免疫細胞の70%は腸内に存在…“腸内細菌”が重要な理由
(飯沼先生・以下同)
あの苦しい涙や鼻水だけでも勘弁してほしいところだが、「ブレーキ型免疫」の低下による免疫バランスの崩壊は、がんや糖尿病、動脈硬化や自己免疫疾患、アルツハイマー病などの精神性疾患まで、実に多岐にわたる病気の原因になるという。
「免疫を考えるうえで大切なのは、要はバランス。体内の異物を破壊する『攻撃型免疫』と、それが過剰になるのを抑える『ブレーキ型免疫』は車の両輪だと考えてください」
免疫には異物を破壊する「攻撃型」と、その攻撃を抑制する「ブレーキ型」があり、その2つのバランスが大切だということはわかったが、実際の生活のなかではどんなことを気にすればよいのだろうか?
「講演などでもよくお話しするのですが、免疫力という観点からすると、現代の“清潔すぎる”環境は実は好ましくありません。たとえば、ひと昔前は野菜に寄生虫や泥がついているのは当たり前で、私たちはそれをある程度の量、自然に体内に摂取していました。そのことにより、私たちの体は寄生虫や土壌の雑菌に対する耐性を養っていたのです。『ブレーキ型免疫』をつかさどるTレグ(制御性T細胞)という細胞があり、無菌状態で飼われたマウスでは、このTレグ細胞が減少するという実験結果も出ています」