1日の活動量の低下が健康寿命を短くする、医師が提唱
また、体が硬くなり、骨がもろくなるだけでなく、心肺機能も衰えてしまいます。また、外に出るのがおっくうになり、人と接する機会が減ると、認知機能の低下にもつながってしまいます。人の体はとても賢くできていて、体を動かさないと脳が『この機能はここまで必要ない』と判断して、縮小していきます。そして運動機能が衰えると、“フレイル”に陥ってしまいます」(横山先生・以下同)
フレイルとは、日本老年医学会が提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことをいう。
厚生労働省が発表した資料によると、日本人の平均寿命と健康寿命(医療や介護に依存しないで自立した生活ができる生存期間)の差は、男性は約9年、女性は約12年。女性は約12年間がフレイルの期間で、介護を要するということになる。コロナ禍による運動不足が長引くほど、健康寿命は縮まり、介護の期間が延びることが懸念されるのだ。
ほかに、身体活動量の低下が、死亡リスクを高めるというデータもある。
WHO(世界保健機関)がまとめた’04年時点での死亡や医療負担につながる危険因子ランキングでは、高血圧、喫煙、高血糖に続いて、運動不足は4位に位置している。1〜2週間という短期間の活動量の低下でも、生活習慣病のリスクが高くなることがわかってきている。