空気が乾燥している熱いサウナの中で鼻から息を吸うと、鼻の奥に痛みを感じることがあるだろう。しかし、このときでも鼻毛は鼻から入る空気の温度を抑え、湿度を上げて空気を鼻に入れてくれようとしているのだ。
「鼻毛のこうした機能があるからこそ、私たちは外気の暑さや寒さ、湿度に適応しながら呼吸をすることができているのです」
そしてもう一つのフィルター機能。
「呼吸によって鼻から入ってくる空気中のほこりやアレルゲンなどの汚れやゴミの8割は、鼻毛によって鼻孔のあたりで防ぐことができます」(今井先生)
空気が汚染されている場所に住んでいる人は鼻毛が伸びやすいといわれるが、これは体が防御のために起こす自然な反応だ。
■鼻毛の量でぜん息発症率も変わる! 鼻毛に着目したおもしろい研究があるのだそう。
「2011年にトルコで行われた研究で、季節性の鼻炎を持っている患者233人を対象に、鼻毛の量が『多・中・少』の人に分けて気管支ぜん息の発症率を調べたところ、『少』の人が45%、『中』の人が26%、『多』の人が17%でした。鼻毛がいかにフィルターの役割を担っているかがわかる結果です」(今井先生)
女性は男性に比べて体毛が薄いが、鼻毛にも同様の傾向がある。