衝撃実話!がんを患う70代父親が認知症を理由に緩和ケア入院を拒否された
前出の日本対がん協会は、小川医師らの協力を得て、全国のがん診療連携拠点病院に対し、認知症のがん患者への対応状況を調べるアンケート調査を初めて実施、256施設から回答を得て結果を公表した。
調査分析した小川医師が言う。
「がん患者が認知症だったため、対応に困ったことがあると回答した施設は97.7%にのぼりました。多くの医師が抱えるのは『医師が治療方針を説明しようと思っても、患者本人が自分の治療について判断できない』ということでした」
本人や病院側の大きな関心は、介護施設の受け入れ状況だが、じつは「介護施設からがん患者だということを理由に入所を断られた」拠点病院は26.5%もある。
小川医師が、診察した患者の事例を挙げて説明する。
「70代の女性は認知症の進行は中等度(認知機能の低下が進んで、周囲のサポートが必要となってくる段階)で、ステージIVの大腸がんの治療中でした。腸閉塞にならないようにストーマ(人工肛門)をつくって抗がん剤治療を行っていましたが、リンパ節に転移が見られ、そこから痛みが出て、医療用麻薬(オピオイド)を処方する必要がありました」
介護施設に入所していたが、医療用麻薬が必要となった段階で、「これ以上の入所は受け入れられない」