お母さんが事故?介護から解放されやっと自由になったのに…無縁なあのママが妬ましい<ママ友に嫉妬>
とあるパン工場に勤務する3人のワーキングマザーの群像劇です。明るく人当りもよい人気者だが、元ヤングケアラーで義実家との確執を抱えている花岡楓(40歳)。パン工場の職場の同僚に「コミュニケーション力が高くて素敵」と憧れられている、花岡さんもまた、さまざまな悩みを抱えていました。
夫と2人の息子と暮らす花岡さんは独身時代、祖母の介護をしていました。認知症の祖母を看ながら農業を営む両親を助けようと、毎日必死に面倒をみていました。
休日や長期休暇も、祖母の面倒を看ないといけないため、家からろくに出られず、休めなかった花岡さんと両親。
しかし、祖母の介護を両親に押し付けている親戚たちは、自由きままに旅行へ行ったり、同じ年のいとこは海外留学に行っていることを知り、怒りが沸いてきてしまいます。
介護に縛られた人生……無縁なあの人が羨ましい
壮絶な祖母の介護を続けられたのは、命の尊さや生きるための知恵など、たくさんのことを教えてくれて、大好きだったからでした。花岡さんと両親は自宅で祖母を看取り、ようやく自由な時間ができました。
「エジプト行ってみたいな。ピラミッド見てみたいねん」
母親が久しぶりに自分のやりたいこを口にしてくれたことが嬉しくて、喜ぶ花岡さん。貯金を頑張って、5年後に一緒に行きたいね、と約束をしていました。
しかしその後、母親が事故に遭い急逝。やっと自由になったのに、自由を楽しむ時間もないままに、いなくなってしまいました。長年祖母の介護に追われ、母親との約束も果たせないままになってしまったことが、花岡さんの心の傷となっていました。
そんなとき、産休から復帰した百瀬雪の姿を目にして、「うちの子らも女の子やったら大切にされたかな」、「私が25、6のころは看護でヘトヘトやったな……」と自分と比べて、「介護とは無縁そうでええなぁ」と心の内で思うのでした。
容姿の美しさや裕福さを羨む百瀬雪、コミュニケーション力と人柄の明るさを羨む雨宮涼香、介護と無縁の人生や娘がいることを羨む花岡楓。とある工場に勤める3人のママはそれぞれ「自分が持っていないもの」