熊本市にある慈恵病院が設置している、親が育てられない子どもを預ける「こうのとりのゆりかご」。熊本市は、「こうのとりのゆりかご」の運用状況について6カ月毎に検証をおこない、結果を公表しています。2023年5月30日、2022年4月1日から2023年3月31日までの検証結果を公表しました。
2022年度に預けられた子どもは3年ぶりに増加
慈恵病院が「こうのとりのゆりかご」を開設したのは、2007年5月。25人預けられた2008年をピークに増減を繰り返し、今に至っています。
2022年度に預けられた子どもは9人で、過去最少だった2021年度より7人増加しました。報告書によると、9人のうち、男の子は5人、女の子は4人でした。また、新生児が7人、そのうち6人が生後7日未満の早期新生児で、1人が体重2,500g未満の低出生体重児でした。
「こうのとりのゆりかご」では、扉を外側から開けてベッドに赤ちゃんを預けると、ブザーが鳴り、職員が駆け付ける仕組みになっています。預けられた子どもたちは、命に別状はなかったものの、医師による健康チェックの結果、精密検査など何らかの医療行為が必要となった子どもが3人いました。
預け入れは遠方からも
子どもを預け入れたあと、病院や市に直接、あるいは手紙や電話、メールなどで接触があったケースは、7件でした。この事後接触や児童相談所の社会調査などによって、父母などの居住地を確認していますが、その結果、九州(熊本県以外)2件、近畿1件、関東2件、不明4件と、遠方から預け入れに来ているケースもあるようです。
預け入れの背景には…
報告書によると、母親の年齢は10代が2人、20代が3人、40代が1人、不明が3人でした。また、それぞれの婚姻状況は、婚姻が3人、離婚が1人、未婚が3人、不明が2人となっています。そして、子どもの実夫は夫が3人、恋人などが4人、詳細不明が2人でした。
預け入れの理由として最も多かったのが、生活困窮が6件でした。次いで、育児不安・負担感が3件でした。そのほか、親(祖父母など)からの反対が1件、未婚が1件あり、これらの理由が影響しているのか、自宅で出産したケースが5件ありました。
2022年度に預け入れられた子どもを父母などが引き取ったケースはありませんでした。