連載記事:「幸せ力」の育て方
テレビやスマホを見せすぎると、子どもの知能や発達が遅れる(「幸せ力」の育て方 Vol.14)
パソコンやスマホの影響は?
文部科学省が行った「平成27年度 全国学力・学習状況調査」によると、携帯やスマホの使用時間が長いほど、子どもたちの成績が低くなっています。※1
※1 参考:文部科学省|平成27年度 全国学力・学習状況調査 報告書 【質問紙調査】3.参考資料p.145
また、東北大学と仙台市教育委員会による「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」は、スマホアプリの使用時間に応じて学力が低下するという調査結果を発表しました。
学力低下は平日の睡眠時間や家庭学習時間には関わらず、アプリを使ったことによる直接の効果である可能性が高いそうです。※2
※2 参考:東北大学|スマホで無料通信アプリを使用すると学力が低下することを明らかにしました
内田先生も、幼児期のパソコンやスマホの利用には注意が必要だと言っています。
「コンピュータの普及によって、直接体験の機会が失われ、調べただけで理解した気持ちになることが増えています。
しかし9歳頃までは、知識の操作には体験という裏打ちが必要で、頭の中だけでは操作できません。
9歳を過ぎると、絵に描いたシンボルや数式、言葉だけで知識を操作できるようになります。ただし、そのためには9歳までに具体的な体験が必要です。
目、耳、鼻、舌、皮膚の五官を通しての体験を積み重ねることで、自分の頭を通して物事を捕らえる力が生まれるのです。
スマホやインターネットは控えめに。本当は厳禁と言いたいところですが、いろいろご事情もあるでしょう。
使用時間を制限するなど、ご家庭でルールをつくってください」
できるだけ、テレビやDVD、スマホに頼らない子育てを心がけていきたいですね。
(佐々木月子)
今回取材に協力してくださったのは
内田 伸子先生
十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。
専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『
子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。
【私って、上の子可愛くない症候群!?】知っておきたい子どものこと Vol.13 | HugMug