2016年7月15日 22:00|ウーマンエキサイト

Vol.4 息子が発達障害の診断を受けたとき


■いちばん最初に抱いた感情は「安堵」

私自身は、診断を受けてどう思ったか? それを思い出そうとすると、ある情景が思い浮かぶ。それは、診察(診断)を受ける日の朝の景色だ。

司馬クリニックは、ビルの4階にある。4階分の階段を上るので、私はちょっと息切れしていた。階段を上り切って、クリニックの扉が見えた。季節柄だったのだろうか、クリニックのドアが少し、風が入るような感じで開いていた。

もし、あのとき、クリニックのドアがピッチリ閉じていたら、私は扉を開く気力があっただろうか? 多分、そんな気力はなかったと思う。深い森の淵にひとりでいるような、そんな心細さがあった。


「できうる限りの方法で、湧太をフォローしたい」という気持ちは芽生えていたものの、それは余りにも頼りなく柔らかい“芽”でしかなかった。 それでも、私は自分から息子の診断名を聞くことを選んだ。「思わず聞いてしまった」という方が正しかったのかもしれない。

私が息子の診断を聞いたときの気持ちを、的確に表現している文章があったので、引用しておこう。

人間は、大人も子どもも、自分自身の欠陥について知ると、なぜか安心する。なぜなら、生まれて初めて、自分が学校や上司などの欲求に対応できずに苦しんでいた理由と、その問題を克服するにはどうすればよいかがわかるからだ。彼らは自分を許せるようになり、(中略)自分を罪人視しなくなった。正しい自己認識は開放であり、許しなのだ。


正しい自己認識は開放であり、許し。まさに、そんな感じだった。ずっと、ずっと、「どうして、(この子の子育ては)上手にいかないのだろう?」と思っていた理由がわかったとき、一番、最初に感じた感情は「ああ、だから、そうだったんだ」という安堵感だった。

この経験を通じて、私は正しい自己認識を持っておくこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことは、当事者(母や子ども)の気持ちを落ち着かせるためにとても重要だと思うようになった。

次回以降は、司馬先生の協力を得て「発達障害の基礎知識」について書いてみる。

新着子育てまとめ
もっと見る

ウーマンエキサイトで人気のコミックが動画でも!

チャンネル登録よろしくお願いします!

記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.