「最近、ママのイライラの『質』が違ってきたように感じます」と語るのは、娘二人を現役で東大に合格させたスーパーママ
江藤真規(えとう まき)さん。江藤さんは、家庭内の言葉を、とても大切にされています。
イライラして、子供に対してキツイ言葉を使ってしまい、後悔することって、ありますよね? そんなとき、どうすれば良いのでしょうか? 子どもへの上手な声掛けについて伺いました。
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お話をうかがったのは…
江藤真規(えとう まき)さん
教育コーチングオフィス、サイタコーディネーション代表。マザーカレッジ主宰。自身の子育て経験を通じて、コミュニケーションの重要性を実感。東大大学院で研究を続けながら、保護者と教師が連携をとることの重要性を提言している。
・マザーのための知的な学び場:MOTHER COLLEGE(マザーカレッジ)
■自分を責めるママが増えた
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冒頭の、
「ママたちのイライラの『質』が変わってきた」という話について、少し突っ込んでお話しを聞いてみました。
以前のママたちの悩みは、「子どもが勉強しない」「子どもが言うことを聞かない」といった、
「子どもが●●しない」という困難感が中心でした。けれども、いまは、「子どもを感情的に叱ってしまう」「時間がなく、ちゃんと子育てができていない」といったママの自責感が中心になってきているよう。こうした悩みがママのイライラにもつながっていきます。
「子育ては、本来、自分が好きなようにやってよいもの。それなのに、ママたちは、学べば学ぶほど、『●●すべき』というToDoリストや、
『●●はいけない』というNGリストが増えてしまう。やがて、『それができない私は、何て悪い母親なんだ』という気持ちになってしまうんです」(江藤さん)。
自分の子育てに「苦しさ」や「ふがいなさ」を感じているママたちが多い…。教育現場を取材している筆者自身も、肌感覚として、同じ実感があります。
■「教育の見通し」が立たないママの不安
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なぜ、そんなことが起きているのでしょうか? 江藤さんは、言います。「いま、大きく教育が変化しようとしています。そのなかで、
『教育に対しての見とおし』が立ちにくくなっていることが大きな要因なのではないでしょうか?」
「何かが、違う」と感じつつも、「何をすべきがが見えない」という端境期のなかで子育てをしている現代のママたちは、洞窟のなかを手探りで歩いているような状態。
苦しいのは、あたり前なのかもしれません…。
ただ、「時代が、悪い」「学校が、悪い」と誰かのせいにしていても、解決にはなりません。わが子は、いま、目の前で毎日育っているのですから! では、今日から、ママができることは、何なのでしょうか?
■いま目の前にいる子どもにすぐにできることは?
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江藤さんは、こんなふうにアドバイスをしてくださいました。
「一番、手っ取り早いのは、
家庭内の言葉を変えることです」。
何か変化を起こそうと決意しても、ハードルが高すぎたら気持ちは萎えてしまいます。そんなとき、ファーストステップとして、言葉を変えるという手段は、簡単で速攻性も高いのです。
「たとえば、『子どもを褒められない』というママ。子どもを褒められない方は、『私が褒められてこなかったので、どう褒めていいのかわからない』と、おっしゃいます」(江藤さん)。
ある方は、手始めにキッチンに3つの褒め言葉を貼っておくことからスタートしたそう。
●子どもを褒める言葉3つ
「すごいね!」
「やったね!」
「さすがだね!」
「最初は、まさに『形だけ』だったそうです(笑)。けれども、形だけの言葉を重ねるうちに、子どもの表情や態度が変わってきた。そうすると、『私も、子どもを褒めてあげられるかもしれない』と、意識変容が起こり、次の行動に繋がっていきました」(江藤さん)