連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】学級閉鎖が続々…インフルエンザ予防接種を打って良い月齢や予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第6話>
予防接種は打ったほうがいい? インフルエンザQ&A
このようにインフルエンザには重い合併症もあるため、ワクチンで予防することが重要です。それでは、ここでワクチンについての疑問について確認していきます。
Q赤ちゃんでは効果が低い? 何ヶ月からうてる?
現状のインフルエンザワクチンは生後6ヶ月から接種可能で、乳幼児に対する有効性については概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。※2(厚生労働省インフルエンザQ&Aから引用)
Qインフルエンザワクチンはいつうてばよい?
ワクチンの効果は時間が経過するほど効果が低下し5ヶ月間で減弱します。よって10月~11月のうちに接種を開始すれば流行期に入る12月までに効果が得られ、流行が終わる頃まで効果が続きます。
Q鶏卵アレルギーだとうてない?
インフルエンザワクチンに含まれる鶏卵成分は数ng/mlときわめて微量(1ng=10億分の1g)のため、ほとんどの場合安全に接種ができます。重症度にもよるため、
卵アレルギーと診断されている場合は担当医と相談してください。※3
Q妊娠、授乳中でもうてる?
妊娠授乳中でもワクチン接種は可能です。
とくに妊娠中は症状が重くなるおそれがあり、また妊娠中のワクチン接種は生まれてきた赤ちゃんのインフルエンザ予防にも役立つため積極的に接種してください。※4
子どものインフルエンザを予防するには、まず周囲の大人がしっかり打って感染源にならないことが大切です。もちろん、パパも一緒に接種してくださいね。
Qワクチンを打ってもかかることはある?
残念ながらワクチン接種をしていてもかかることがあります。ワクチン以外の予防方法を駆使して、できるだけかからないようにしましょう。
インフルエンザの予防方法
インフルエンザワクチンを打つ以外の予防方法もあります。日々の生活の中でできることを書いてみることにします。
(1) 咳エチケットに注意し、マスクをする(くしゃみや咳などから感染します)
(2) 手洗いやアルコール消毒をする(咳やくしゃみをうけた手にはウイルスが付着しています)
(3) 加湿器を使用して湿度50%~60%に保つ(乾燥すると感染しやすくなります)
(4) 栄養と睡眠を十分にとる(風邪を含め全ての基礎になります)
(5) できるだけ人混みを避ける(流行期はとくに感染の確率が高くなります)
なお、
家族の誰かが感染した場合は避けることがなかなか難しいのが現実です。24~48時間ほどの潜伏期間ののち発症します。流行を広げないためには登校停止期間をしっかり守って外出をさけることが大切です(
第4話参照)。
インフルエンザは稀に死亡する可能性がある病気のため、わが子がかかった時にはもしもの場合の不安を感じると思います。
「もしかしてインフルエンザ脳症かも?」と疑い、判断できない時は受診をためらう必要はありません。インフルエンザにかかると、時に重症の経過になる場合があります。その可能性を防ぐためには予防が一番ですので不安感を軽減する意味でもワクチン接種をお勧めします。
次回は実際にかかったあとの受診のタイミングや治療法、ホームケアについて説明します。
参考資料
※1 インフルエンザ脳症について
※2 インフルエンザQ&A
※3 日本ワクチン産業協会:予防接種に関するQ&A集
※4 産婦人科診療ガイドライン2017
<2019年9月11日 修正>
記事内の参考文献を修正いたしました
・「Efficacy of trivalent influenza vaccine against laboratory-confirmed influenza among young children in a randomized trial in Bangladesh.」を削除
・「Protective Effect of Maternal Influenza Vaccination on Influenza in Their Infants: A Prospective Cohort Study.」を「産婦人科診療ガイドライン2017」に変更いたしました。
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