連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典

【医師監修】節分の豆で肺炎?「こわい子どもの誤えん」<パパ小児科医の子ども健康事典 第12話>

パパ小児科医の子ども健康事典

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Twitterでも人気! 小児科医であり2児のパパでもある、パパ小児科医(ぱぱしょー)さんが、子どもの健康を守るための「ちょっとしたこと」について教える連載。子どもの病気に関する知識や、大きな事故の…

【医師監修】節分の豆で肺炎?「こわい子どもの誤えん」<パパ小児科医の子ども健康事典 第12話>

イラスト:ぺぷり


節分の季節がやってきました。豆まきをして、年の数だけ豆を食べて…と昔からの伝統行事ですが、小さい子どもがいるご家庭は誤えんに注意です。

「豆って誤えんするんですか?」と思われるかもしれませんが、病院では時々見かける症状です。

■子どもが豆を誤えん…どうやって起こるの?

豆は丸くつるっとしていて、幼い子どもにとってはかみ砕きにくいものです。口の中に入っている時に、笑ったり、びっくりしたりした拍子にヒュッと空気の通り道(=気道)へと吸い込んでしまうことがあります。

気道のほうに入りますと、むせてせき込みます。その時出てくればいいのですが、時に気管をふさいでしまったりすると、息が苦しくなり顔が真っ青になります。

さらに、気管をぬけて肺に入るとせきはましになりますが、豆という異物が入ることによって肺炎を起こすこともあります。
ですから、飲み込んだ直後にせき込んで、そののち、せきがましになっても安心とはいえません。しばらくして、呼吸が苦しくなったり、発熱することもあるのです。

治療
せき込んでいる時は、豆が外に出るのをうながすために、下を向かせて背中を叩いて出させます。

気管の奥のほうに入ってしまったものは、細いカメラ(気管支鏡)でのぞいて取り出さなければならない場合がありますが、子どもに気管支鏡が使える病院や医師は限られており、麻酔も必要ですので大がかりになります。

豆が肺に入って肺炎を起こした場合も、酸素投与や点滴の治療が必要になるので入院しなければならないでしょう。豆の誤嚥はなかなかやっかいですので、まずは予防が大切です。

予防
まずは、幼い子には食べさせないことです。

米国小児科学会では、4歳以下に対して、誤えんしやすいものは避けるべきとしています(※)。
4歳をひとつの目安として、まだ難しそうなら4歳より年が上でも、誤えんしやすい豆は避さけたほうがいいでしょう。

節分の豆まきも工夫が必要です。豆はまいたとしても、全部回収すること。ただ、目の届かない場所、意外な場所に残っていることもあるので、小袋のまま投げる、新聞紙を丸めて豆の代用とするなどの対策もあります。

節分の際は、豆まきのほかにイワシを食べる、飾るという伝統行事もありますから、子どもが小さいうちだけは、こちらだけするのでもいいかもしれません。

年齢が上になって、豆をスムーズに食べられるようになった子どもでも、歩き食べなどをしていると誤えんの危険があります。

例えば、歩いている途中で転んだりすると「あっ!」と声を出し、その時にヒュっと豆は気道へ。食べている時に驚いたり泣いたりして声を出すと、気道に入りやすくなります。


だからといって、子どもが歩きながら食べているのを見つけても「こらっ!」と怒ったりしてはいけません。その声にびっくりしたり泣いたりして、さらに誤えんの可能性を高めてしまうからです。

そんな時は、大人が怒りをしずめて「お口の中のもの、ベーしてね」と優しくさとしてください。


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