2019年4月10日 10:00|ウーマンエキサイト

母を失って気づく娘につなぐ命のバトン『さよならわたしのおかあさん』(後編)



■母から受け継いだもの、自分なりに作る娘との関係

――どういう親子関係を目指していきたいのか、吉川さんなりにどう考えているのでしょうか。

私はおかあさんに何でも話してきたので、えっちゃんにとってもできれば、私が一番の相談相手でありたいし、友だちや恋人ができたりしても、最後は「お母さんがいるからね」って言える存在でありたい。

おかあさんにしてもらったように、ベッタリするのではなくうまくサポートしていってあげられたらいいなと思います。

――ほかにおかあさんのようになりたいと思うところはありますか。

私は心配性なので、つい先回りしていろいろと心配してしまうんです。でも、おかあさんは私が「芝居がやりたい」とか「音楽がやりたい」と言ったとき、いつもまずは「やってみれば」と言ってくれました。

だから、私も将来えっちゃんのことをあまり心配しすぎずに見守りたいですね。たとえ「ユーチューバーになりたい」とか言われても(笑)。
本人に任せて、もし失敗しちゃったときは受け止めてあげたいです。

母に何でも話してきたから、娘にとってもできれば、私が一番の相談相手でありたい『さよならわたしのおかあさん』

『さよならわたしのおかあさん』より


母の要素も入れつつ自分なりの母親になっていきたい『さよならわたしのおかあさん』

『さよならわたしのおかあさん』より



――おかあさんが弱音を吐かなかった、そうした姿も目標になりそうですよね。

おかあさんがまったくつらい面を見せなかったというのは立派だと思うし、自分もそうありたいと思うけれど、とてもできないなあと。いまとなっては、もっと弱音を言ってほしかったという思いもあるし、自分だったらもうちょっと弱音を言っちゃうと思いますね。

そういうところを、おかあさんの要素も入れつつ自分なりの母親になっていきたいです。ただ、本当に自分がそういう風になったら「お母さんは大丈夫だよ」って言っちゃうのかもしれないですけどね(笑)。



■「命のバトンをつないでいく」吉川さんのメッセージ

インタビューでは、吉川さんが言葉ひとつひとつを丁寧に選びながら話をしてくださり、おかあさんとえっちゃんを大切にする思いが伝わってきました。そして、まさに子育てとは「命のバトンをつないでいく」ことなのだと、書籍とインタビューをとおして強く実感しています。

筆者自身も2年半前に実の母親を大腸がんで亡くし、喪失感がなかなか埋められずにいました。
そんなときにこの本に出会って、心のささくれていた部分にそのメッセージが染みこんできました。母親から私に確実に命のバトンは受けつがれていて、きっと次は自分がそれを子どもに渡す番なのだと感じています。

おそらく書籍を読み終えると、「お母さん」のことを深く知りたい、どう思っているのか感じたいと願うのではないかと思います。親、自分、子ども、そのずっとつないでいく命のバトンのなかに、何を込めていけばいいのか。そんなことを考える機会となりそうです。

■今回のお話を伺った吉川景都さんのご著書
『さよならわたしのおかあさん』
『さよならわたしのおかあさん』

著書『さよならわたしのおかあさん』と吉川景都さん


(吉川景都/新潮社 ¥1,080(税込))
■吉川景都(よしかわ・けいと)さん
神奈川県出身。漫画家。2003年少女誌「LaLa」でデビュー。
『24時間サンシャイン!』で初の単行本を上梓。多岐に渡る作風が特徴的で、テンポのいい会話でみせるストーリー、エッセイコミックなどで人気を博す。著書に『片桐くん家に猫がいる』『子育てビフォーアフター』(新潮社)、『モズ』シリーズ(集英社クリエイティブ)、『鬼を飼う』(少年画報社)などがある。
Twitterアカウント:@keitoyo

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