連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】熱中症「おう吐、ふらつき、痙攣…」重症化しやすい子ども、3つの予防策<パパ小児科医の子ども健康事典 第22話>
イラスト:ぺぷり
だんだん暑くなってきて熱中症が気になる季節になってきました。救急搬送されて亡くなってしまう人のニュースを目にすることもあり、不安を感じている人は多いと思います。
熱中症にならないために、どのようなことに気をつければ良いでしょうか?
■熱中症とは? 子どもはどうして重症化しやすい?
まず熱中症とはどのようなものでしょうか。
通常、人の体温は一定に保たれており、それによって体の機能は保たれています。風邪などをひくと自らの体の機能で体温を上昇させて、風邪が落ち着くと体温はもとにもどります。
一方、熱中症は外から体が温められて、無理やり体温が上昇してしまう状態です。これにより体温調節のバランスが保てなくなり、臓器が正常に働かなくなってしまうのです。
体が温められると熱くほてり、だるさやはき気が出ます。
ふらつきや筋肉の痛み、痙攣(けいれん)なども起こり、症状が進行すると、うとうとして次第に呼びかけにも応じなくなります。最終的には全身の臓器不全をきたして死にいたってしまいます。
子どもは、背が低いため地面からの照り返しで体が温まりやすく、さらに熱がこもり体温が上がりやすいため、熱中症になりやすいのです。
また、自ら症状を訴えることも難しいので、気づかないうちに症状が進行するため、大人がしっかりと様子を見てあげる必要があります。
早期発見、予防のためには何をすれば良いでしょうか?
■熱中症が起こりやすい状況は?「気温、湿度、日照条件」
まずは熱中症が起こりやすい状況を知ることが大切です。
熱中症の起こりやすさを示す指標として、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)が用いられています。熱中症のなりやすさは単純に気温の高さだけではなく、湿度や日の照り具合など周辺の環境も含めて総合的な判断が必要です。
環境省の『
熱中症予防情報サイト』では、地域ごとにその日の暑さ指数を確認することができ、赤(危険)、橙(厳重警戒)、黄(警戒)、水色(注意)、青(ほぼ安全)と色別に危険度を教えてくれます。
例えば、赤であれば外出はなるべく避ける、運動は原則中止とすることが示されています(日本スポーツ協会
「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」)。どのような活動をするかの目安として活用してください。
ただし、必ずしも今いる場所をピンポイントで示すものではないことには注意しましょう。例えば、体育館など風通しのよくない場所では熱がこもりやすく、暑さ指数は高くなると考えられます。
また、屋外だけではなく屋内でも熱中症は頻繁に起こっています。屋内だと油断しがちですが、クーラーをしっかり使って涼しい環境で過ごしてください。