ピンチはチャンスってどう教える? 何度転んでも立ち上がれる子ども
■親が言えない「一歩踏み込んだピンチをチャンスに変える言葉」
そして、この書籍の特筆すべきところは、我が子がピンチの時、親が言いがちだけど何の解決にもならないありきたりな声がけを
「それもわかるけど、できないよねー」と一歩踏み込んだ解決策を提案しているところ。
例えば、「友だちとケンカしちゃった」の章。親友とケンカしてしまったと我が子が相談してきたら「『ごめんね』とすぐ謝れば良かったのに」と子どもに言ってしまいそうですよね。
子どもからしたら、「そんなことはわかってるよ…」と言い訳したい。でも、せっかくママがアドバイスしてくれたから言い返せない…と思っているかもしれません。
そして、ピンチをチャンスにできないまま、「もうママには相談できないな…」と子どもはあきらめ、園や学校でのトラブルを家で口にしなくなることも。
そんな時、本書では「ケンカをした時は大抵お互い悪いところがあるから、自分だけ謝る気にはなれなかったよね。
わかる、わかる」とまずは子どもの気持ちを受け止めています。
そして、「謝らないと仲直りってできないもの?」「一晩時間をおいたほうが、冷静になれるよ」「きっと相手もあなたと同じように感じているよ」とアドバイスしています。
そうだ、そうだ、自分が子どもの頃もそうだったと思い出しませんか? 勝手にモヤモヤしていたあの頃、こういった考え方を知っていれば、もっと心が軽くなっていただろうな~と思うのです。
そして、ハッと気づかされます。いつのまにかしたり顔で
「親」ぶってる「大人」ぶってる言葉しか我が子にかけられなかった自分に。
でも、中には親が声がけしにくい言葉やシチュエーションもありますし、親から言われたことでプライドが傷つき、あえてその逆をやってしまうタイプの子もいるでしょう。
でしたら、この本を子どもの目が届くところにポンと置いておけばいいのです。子どもから何か相談されたら読むようにすすめればいいし、自分で解決したいタイプの子はこっそり読んでくれるかもしれません。
うちの小5男子は後者で、この本を手に取り、運動会の緊張を自分なりに解決していたようです。
親や大人が介入する前に、なんとか
子ども自身でピンチをチャンスに変える方法を模索できる。そんな心強い一冊ではないでしょうか。
参考図書:
『ピンチ!! それはチャンスだ!』(高橋書店)
小さなピンチから大きなピンチまで、ピンチを乗り越え、さらには成長できるような解決法を55万部突破の児童書『こころのふしぎ なぜ?どうして?』を手掛けた著者のわかりやすく心に響く文章と、5名の人気イラストレーターによる見ているだけでも楽しいイラストで紹介。人間はピンチで強くなるものであり、大切なのは、ピンチにどう立ち向かうか。もうピンチが怖くなくなること、間違いなしの一冊。