ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。tomekkoです。
暖かくなって目や鼻がむず痒くなってきたなぁ(花粉症)と思ったらもう3月ですね。
春らしい可愛らしいお節句、ひな祭りじゃないですか〜!
ってウキウキしたいけど…男3兄弟、最近仲間入りした犬まで男の子のわが家には縁の無い話。
華やかな雛飾りが飾れなくて寂しいです(涙)
でも保育園児がいる間は、制作物で作ってくるのクスッと笑える可愛いお雛様を見るのが楽しみ。
目下制作中の三男は、園で聞いて覚えてきたことを事細かに教えてくれます。
「今日はおだいりさまのおぼうし作って〜、なんか持つやつ作って〜」
「ねぇ冠とか持つ棒(笏です!)ってさ、なんであるの? いらなくない?」
そんな合理主義な夫のツッコミにイラッ! としたところで…
歴史案内人のお二方に登場してもらいます〜。
最近は雛人形の小物が省略されて販売されている商品もあるんですよね。
誤解のないように強調したいのは、時代に合わせて改変していくことは賛成しています!
古臭いままでは売れない、職人さんも食べていけない。伝統を継承しつつ新しい雛人形のジャンルを打ち立てることは素晴らしい取り組みだと思っています。
人形のお顔はその時代の流行を反映するので、後々の研究史料にもなることもあるし、衣裳の色や生地が斬新になるのも良いですね。
でもね、やっぱり歴史を知った上で省略しても良いものと絶対に外せないものとあると思うんですよ。
というわけで今回はひな祭りと雛人形の歴史を見てみましょう。
雛人形のはじまりは…何時代?
時代はたぬ君の出身、平安時代。
桃の節句は魔除けの意味のある桃にちなんで、厄払いの願掛けがもとになっていました。
紙で作った人形(ひとがた)に病をうつして川に流す(地味な)お祓い行事だったようですが、それとは別にこの時代にはもう女の子遊びとして紙人形やミニチュアの調度品を使った、今でいうままごとのような「ひいな遊び」はあったみたいです。
それから時代が流れて〜中世には雛人形自体が少しずつ技巧を凝らしたものになっていき…
江戸時代には、雛人形は(裕福な家庭限定ですが)女の子の成長を祝って飾るためのものになり、天皇の結婚式を模して豪華絢爛な段飾りになっていき、今に至るのです。私たちの母の時代までは嫁入り道具として揃えたり受け継いだりしていたものです。
そんなわけで今に残る雛人形の多くは江戸時代の衣装がベースになるのですが、平安の世からずっと受け継がれている伝統の中で
男雛は衣冠束帯、女雛は唐衣裳装束の姿です。
男性にとって冠をつけない状態が「恥ずかしい」のはなぜ?
私は毎年SNSでひな祭り頃になると
絶対にお内裏様の冠は付けてくれ!省略しないで!と騒ぐのですが
それは、以前も
「日本人が恥ずかしいと思うこと」について描いた記事でも伝えた通り、平安時代の男性にとって冠をつけない状態はとても「恥ずかしい」ことだったからなんです。
が…なぜそんなに恥ずかしいのか? をもうちょっと深掘りしてみましょう。
実は私も一時期「髷を見せること」が恥ずかしいという解釈をしていたんですが、たぬ君によると実際には当時の冠の構造に理由があったらしいのです!
よく時代劇などで、武士は髷を切られることが何よりの屈辱であるというシーンがありますが、この考えの元になるのは平安時代の冠の付け方にあります。髷の髻(結び目)に冠が外れないよう結びつけるようにできているため、この結びつける
「髷が無い」ということは当時の「社会的地位を表す冠をかぶれない」ということになるんですね。
当時の価値観では自分が真っ当な社会人男性であることの証明のようなものなので、絶対に無くてはならないものだったんですね。
他にもお内裏様が持つ笏は、元は大事な儀式で話す内容を忘れないようメモ・カンペとして使っていたものだそうで今はもちろんそのようには使っていません。
でもこれが無いとポーズが決まらないんですよねぇ。
女雛の小物も例えば髪飾り、釵子(さいし)と言いますが、これも冠と同様成人女性であることを示す「髪上げ」の具です。女性が裳着と呼ばれる成人式を執り行う際に髪を上げていたことが起源。
檜扇は平安時代の女性が他人に顔を見せないことがマナーだったことから必需品でしたが、今でも着物の礼装では必ず扇子を脇に挿すものだし、やはり省略して良いものではありません。
このように、全てに成り立ちがあり、セットで揃っているからこそ意味がある小物たちなんです!
洋装で考えるとわかりやすいのではないかと思います。
正式なパーティーの盛装で女性のイブニングドレスから手袋だけを、男性のタキシードから蝶ネクタイだけを「どうせ使わないよね?」と取り上げたら、全体の調和を損なうと思いません?
いっそ雛人形の衣装を丸ごとオリジナルで作りました!…というのならなんの文句もありません。
現代の価値観で勝手に判断して省略するのではなく、せっかく飾るなら「なんでこんなもんつけてるんだろー?」って疑問から意味や歴史を知る良い機会になると良いなぁと。
ちょっと興奮して荒ぶった内容になってしまいましたが…女の子たちの健やかな成長を願う、華やかで楽しい桃の節句を楽しんでください!
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