「正当な要望」と「クレーム」の線引きポイントとは?教師をやる気にさせる3つのステップも――保護者と教師がパートナーとなるために【明治大学教授・諸富祥彦】
と余裕が出てくるものです)。20代の若手教員を一番否定しがちなのが、40代の保護者なのです。
どこまでが正当な要望で、どこからが過剰な要望なの?
ここまで読まれた読者の方、特に保護者の方は、こんな疑問をもたれるかもしれません。
「何かあったらおっしゃってくださいというけど……どこまでが正当なリクエストで、どこからが過剰なクレームなのだろう?」
リクエストとクレームの線引きポイントは、どこにあるのでしょうか?
私は、「正当な理由があるかどうか」によると思います。
正当な理由とは、「子どもが困っている➡だからこうしてほしい」という配慮のお願いです。
前回のコラムで紹介したように、
「何が宿題として出されているのか、口頭で聞いただけではうちの子どもは理解しづらい➡だから黒板に書いてほしい」
「うちの子は板書を書き写すのに時間がかかる➡だからうしろの黒板に書き残してほしい」
これは、子どもの困り感に対応した配慮のお願いです。
ほかにも、
「うちの子は視力が悪い➡だから板書が見えやすいように前の席に座らせてほしい」
「慢性的な病気をもっている➡だから体育の時間は運動量を軽減してほしい」
というのも、正当な理由です。
https://h-navi.jp/column/article/35027894
もし担任が「ダメな先生」だったら?わが子の「困った行動」を伝えられた親がすべきこと【明治大学教授・諸富祥彦】
保護者からの要望、どこまでが正当なものなの?
最近、小学校の特別支援学級(支援級)に通うお子さんの保護者の方から、こんな相談を受けました。
「うちの子は2年生なのですが、通っている支援級では1年生の授業をやっています。国語ではカタカナ、算数では数をかぞえるとか簡単な足し算を習っています。でも、うちの子は漢字の読み書きもできますし、家では繰り上がりのある足し算をやっています。うちの子だけ、もっと進んだ学習をさせてほしいというのは、要望が過ぎますか?」
これは先生にリクエストしてもいい案件だと思います。この場合、お子さん自身は授業の進度が遅いからといって困ってはいないでしょう。
ただし、授業の進度がお子さんの学力に見合っていないのであれば、お子さんの能力は十分には伸びず、機会損失をしてしまい不利益になるかもしれません。正当な要望かどうかの見極めは「それは、子どものためになることか?」