新版K式発達検査とは?新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査です。課題への子どもの反応や回答から、発達の状態を多面的に評価します。検査の適用年齢、かかる時間、費用などは以下となります。・新版K式発達検査の適用年齢:0歳~成人まで・新版K式発達検査にかかる時間:生活年齢や検査を受ける子どもの発達によって検査内容が異なります。時間に余裕をもって受検しましょう。・新版K式発達検査の費用:受検の目的や実施機関によって費用が異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的の場合は無料の場合が多く、保護者や本人の希望により民間施設などで受検する場合はその施設が定める料金がかかりますので、受検の前に確認をしておくと安心です。知能検査は学習能力や知識などの認知機能を中心に評価します。検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。一方発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外にも姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価をします。検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。検査結果の見方や準備するもの、心構えなど新版K式発達検査のギモンを専門家が解説!Q:新版K式発達検査を受けるにあたって、準備するものや心構えなどはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:新版K式発達検査を受けたのですが、検査結果の見方などが知りたいですUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月27日入学する前に常同行動について確認すると……長男は、同じ直線をお気に入りのものを持って行ったり来たりする常同行動を幼稚園でも頻繁にしていました。小学校でもするかもしれないと思った私は長男に、とんがったものや長いものを持って走らないこと、廊下や教室で走らないこと、休み時間に外で走ることなどを入学前に話しました。もともと幼稚園でも邪魔になるような場所でやったり、トラブルになったことはないのですが、小学校だとまた環境が違うので一応話しておこうと思いました。しかし、それを聞いた長男の反応は予想外でした。「知らない人ばかりで人の目も気になるし、変なやつだと思われたくないから常同行動はやらない」と言ったのです。長男なりにいろいろと考えているのだと驚きました。そして本当にやっていない様子でした。Upload By ねこじまいもみ 小学校も数日で登校渋りに 入学してから数日、順調に登校していましたがすぐに登校渋りになりました。理由は「楽しくない」と最初は漠然としていましたが、後々音がうるさいこと、友達ができないこと、窮屈であることなど少し具体的に教えてくれました。また、常同行動を自分の意思でやっていなかったのですが、やはりその衝動的な行動を無理やり抑えているのもあり、学校では思うように走れないことや常同行動の時に手に持っているお気に入りのものを学校へは持っていけないことも理由として話してくれました。入学したばかりだし幼稚園とのギャップもたくさんあるだろうし、こういったこともだんだん慣れていくことなのか、そういう問題ではないのか私は悩みました。どうしても無理な時は休ませていたのですが、その様子を見た夫も行かないとますますなじめなくなるんじゃないかと心配していました。しかし休めばまた次の日行ける様子だったので、しばらく休みを挟みながら様子を見ることにしました。Upload By ねこじまいもみ長女もかつて登校渋りだったが長男とは理由が違う休みたがる長男に比較的冷静に対応できたのは、2つ上の長女も1年生の時に登校渋りだった経験があったからです。長女の場合は母子分離不安で長男とは少し違いますが、月日と共に成長していく長女の様子を見ていたのもあり、1年生になったばかりは不安も多いのでできるだけ寄り添っていこうと長男に余裕が持てたのもその経験からでした。しかし長女の場合は母子登校すれば行ける様子だったのですが、長男は朝から泣いて暴れて登校を拒否していました。長女で登校渋りを経験しているとはいえ、一筋縄ではいかないまた違った長男の登校渋りは心構えがあってもなかなか大変でした。Upload By ねこじまいもみ体育の時間に「変な子」と言われて…そんな中長男がますます行きたくなくなる出来事がありました。体育の時にクラスの子に「変な子」と言われて砂をかけられたと泣きながら帰ってきた日がありました。長男はその子に何もした覚えはなく心当たりがない様子でした。長男の話をよくよく聞くと長男は体育の整列の時、普通に並んでいたつもりだったけどその場所が違っておりそれに気づいた女の子がそう言ってきたのではないかと私は予想しました。長男は、当時順番を覚えたり列にならぶことが苦手でした。保育園や幼稚園、習い事でもその様子を見たことがありました。並んでいても気づいたら列からはみ出ていたり全然違うところに行ってしまったり。その一件からますます学校を拒否するようになり、悩んだ末に担任の先生に相談しました。先生は、相手の子と話す機会を設けてくださり和解することができました。やはり原因はきちんと並んでいなかったことでした。先生は「こちらが簡単にできると思い込んでいることも、そうではない場合もあると大変勉強になりました」とおっしゃってくださり、体育の時ビブスを着て色と番号で並ぶ場所が分かりやすくなるように対策してくださいました。直接長男本人とも話してくださり、また長男は登校することができました。本当に当時の先生には感謝の気持ちでいっぱいです。Upload By ねこじまいもみほかにも、長男が休み時間1人で過ごしており机のまわりをずっとぐるぐるまわっていると長女から聞いたり、友達ができる気がしない、「友達って何?」と口にしたり、みんなの声で先生の話が聞き取れず先生が何を言っていたか覚えていない場面が多々あったり、本当に心配の尽きない日々でした。甘えなのかそうでないのか、どこまでが寄り添いなのか、時が経てば慣れて解決していくのか、本当に迷うことばかりで、少しでも何か向き合うヒントになればと発達検査の日を待っていました。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの小学校入学後の様子のエピソードをありがとうございます。長男くんは常同行動を学校ではしないと言い、実際にしなかったり、登校渋りを呈してからもその理由を家庭で話せていてすごいなと感じました。自分のことをある程度分かっているからこそ、うまくできないことはさぞつらかったろうと思いますし、集団の中にいるだけでさまざま緊張しているだろうにそこで同級生からの刺さる発言をされたこともとても悲しかっただろうと思います。いもみさんは長女さんでの渋りの経験もあり、慣れるのには時間がかかるだろうと登校渋りを大らかに捉えてくださいました。焦って無理に行かせてもいいことはないので、大らかに捉えてくださったことは長男君にとっても、よかったと思います。体育の一件を経て「悩んだ末に担任の先生に相談した」とのことですが、普段学校でスクールカウンセラーとして働く私からすると、もっと早くお知らせしてほしかったとも感じます。教室にいる子どもたちが、どんな思いでその場にいるのかということは集団生活の中だと見えにくいものです。登校をめぐって実は行きたくない気持ちが強い、教室の音がうるさく感じている。そうしたことはお子さん本人が担任の先生に言えれば伝わりますが、案外学校の中で先生とお子さんが個別に話す場面も少ないと思います。そうした場合、家庭からそのような様子や言動について、連絡帳や電話などで知らせていただいたり、面談を設定してお話できたりするとそういった面を担任側が知ることができ、さまざま手立てを講じたり、工夫や予防をしたりできることもあるだろうと感じます。基本的には、担任はじめ学校の職員はみな、子どもたちが学校で健やかに過ごし、学習や集団での活動を通して成長できることを願っています。学級の中でどこまでできるかはケースバイケースではありますが、お子さんがどんな思いで教室にいるのか、家庭でどんなふうに学校のことを話しているのか。そうした面を共有しながら、お子さんにとって過ごしやすい環境調整をすり合わせていけたらと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月26日マンガ「発達障害の子どもと私たち」1章はるき編が完結!発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー・マンガ「発達障害の子どもと私たち」。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして彼らを育てる保護者たちです。子どもたちと保護者は、幸せに暮らすことができる環境を迷いながら求め続けます。それを乗り越えるため、それぞれが選んだ道は――。プロローグはこちらからご覧いただけます。はるきは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。小学2年生まで元気に学校へ通っていましたが、運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって……。母親は発達障害の勉強をしていて理解はあるのですが、完全な不登校となったらどうしようという気持ちもあるようです。なぜはるきは学校へ行けなくなってしまったのか。はるきの気持ち、そして保護者の決断は……?学校へ行くとさみしくて涙がでてしまう……。不登校トラブルに悩む「はるき編」を完結まで一気読みはるき編全4話は現在公開中です!以下関連記事からぜひご覧ください。そして2章みき編、8月中旬から連載スタートそしてもう一人主人公・みき編が8月中旬から連載スタートします。小学4年生のみきは、5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。小学校では通常学級に在籍していたのですが、小学3年生から勉強が難しくなり、そして今4年生では――。また、みき編の完結後は、はるきのその後についてもお届けいたします。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月25日発達障害グレーゾーンの次男、通常学級へ?わが家には、3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた長男けんと、そして、病院の先生に「ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつくか、つかないかの境界付近」と言われたことがある発達障害グレーゾーンの次男ゆうきがいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍。次男ゆうきは現在、小学1年生。通常学級に在籍しています。次男ゆうきは発語が遅く、2歳から発達支援施設に通い出しました。3歳の誕生日頃に話したいスイッチがオン。言葉が出始めたら一気に出ました。1人遊びばかりでしたが、集団行動はできており、こども園での友達とのトラブルは特にありませんでした。ただ、負けることや、間違えることを極度に嫌がり、負けてパニックを起こすことがありました。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきの就学について……なぜ通常学級にしたのか、どのように決定したのかを書いていこうと思います。次男ゆうきに合いそう?居住地域の特別支援学級次男ゆうきは、こども園の年中までは1人遊びばかり。コミュニケーション面が心配でした。月に1回受けていた言語訓練で、何か上手くいかないことがあると怒りだし、中断することも。Upload By ゆきみ私の住んでいる地域では、特別支援学級に在籍した場合、基本的な活動と国語、算数の時間は特別支援学級で過ごし、そのほかの教科(生活、図工、体育、音楽など)の時だけ通常学級の教室へ行き、勉強します。次男ゆうきがこの地域の特別支援学級に合っているのか?ということが心配だったので、2歳から通っている言語訓練のSTの先生や、こども園の放課後に通っていた発達支援施設の先生などに年中の頃から就学について相談させていただきました。いろいろなことを考慮し、年中の時点では特別支援学級か通級指導教室の利用、どちらかで考えようと思っていました。年長の夏、就学に向けて発達検査をすることにUpload By ゆきみ年長の夏。STの先生とのお話しの中で、就学に向けて発達検査をすることになりました。検査当日。間違えることを極度に嫌がる次男ゆうきは、問題の回答の仕方が理解できなかったり、決められた時間内でできない問題があったことへの不満が爆発。パニックになり、検査を中断。日を改めて、もう1度だけチャレンジすることになりました。2度目の挑戦で、何とか最後まで受けられたものの、先生には「発達検査の点数には出てこない、特性的な難しさがある」と指摘を受けました。そして検査結果で数値が高い項目と低い項目との間に大きな差があることが判明。特に、「耳からの情報を一時的に記憶する」というのが苦手とのこと。「言葉を聞いて、頭で内容をイメージすることが難しい可能性がある」と、教えていただきました。Upload By ゆきみ年長での変化そして就学相談で感じたことUpload By ゆきみ年長になってから、次男ゆうきの様子に変化が。お友達と楽しそうに遊ぶようになり、家でもお友達の名前が出てくるようになりました。言語訓練で上手くできず、怒って中断することも、ほぼなくなりました。年長の1年間で成長を感じる場面がとても多くなったのです。そして9月。発達検査の結果を持って、市が行っている就学相談に行きました。個人的な希望としては、次男ゆうきの場合は基本的な活動は通常学級で過ごし、何かパニックを起こしたり、静かな環境に身をおきたい時は特別支援学級で過ごせたらいいのにな……と思っていました。しかし、その子1人ずつの希望ピッタリの環境をつくることは、私の住んでいる地域の学校では難しいのだと就学相談の際に感じました。通級指導教室について伺うと、就学前は受け付けておらず、入学後に担任の先生と相談して通級指導教室を利用する希望を出してくださいとのこと。住んでいる地域では、入学時は特別支援学級か通常学級のどちらかを選択するということだったようです(地域によって違うようです)。兄弟で同じクラス?容易に想像できた姿は……わが家の場合、もう1つ大きな問題を抱えていました。とても小規模な小学校なので、次男ゆうきが特別支援学級を希望した場合、長男けんとと同じクラスになる可能性が極めて高いというところです(実際、今年度は特別支援学級の情緒クラスは全校で1クラスだけだったので、同じクラスになっていたはずです)。Upload By ゆきみ同じクラスになった場合、間違いなく2人で遊ぶ、気が散る、ケンカをするという姿が容易に想像できました。長男けんとにとっても集中しづらい環境になってしまいます。次男ゆうきが年長で友達と遊んだり、こども園や発達支援施設でも安定して過ごし、集団行動ができていたこと。長男けんとと同じクラスになる可能性の高さ……いろいろなことを考慮して、秋ごろにゆうきは通常学級に通うことを決めました。入学後は保育所等訪問支援とも連携し、学校での様子をうかがっているので、今後も引き続き見守っていきたいと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)次男ゆうきくんの就学先を決めるプロセスのシェアをありがとうございます。お子さんが年中さん頃から、小学校の就学形態を検討される方もいらっしゃいますね(年長になってから検討しても間に合いますのでご安心を)。年中、年長それぞれの1年間で子どもの発達はめざましいものがあります。ゆうきくんは一人遊びばかりで集団遊びが苦手だったとのことですが、できるようになったり。間違えることに強い拒否感を示すところが和らいできたり。お子さんの様子はどんどん変化します。そういう意味では、早めに決めきるのではなく、このままこの苦手さがあまり改善されなかったらこうしよう、でももう少し様子を見て年中の秋冬ごろに決めようというスタンスで良いかと思います。ただ、就学相談そのものには時期が決まっているので、締め切りの時期よりも早めにお申込みされることをおすすめします(締め切りごろだと混み合うことがあります)。通級指導教室に関しての運用は自治体によって異なります。入学時からの利用ができるところもありますので就学相談等でそのあたりもご確認ください。通常学級に入学した場合、発達的なつまずきや集団生活の苦手さが想定されるお子さんの場合、保護者の方は、「うちの子、うまくやれているかなぁ」と心配になることも多いと思います。ゆきみさんは保育所等訪問支援(保護者の依頼で、発達支援事業所や放課後等デイサービスの事業所が訪問し観察してくれる支援)を利用されているようですが、ほかにも担任やスクールカウンセラーに相談する、(全体を統括されている)特別支援コーディネーターの先生に相談する(自治体で活用できる心理職の申請等ができるかもしれません)など、お子さんの学校での様子を見ていただいた上で相談できる方はいらっしゃると思います。さまざまなリソースを活用しながらお子さんの学校生活を見守れると良いと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月24日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022(令和4)年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そのような中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そのような彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第三回は、東京都日野市教育委員会の教育長である、堀川拓郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール堀川拓郎氏1987(昭和62)年生まれ。 東京大学法学部、米 コロンビア大学教育大学院卒業。 2010(平成22)年文部科学省入省。 初等中等教育局 教育課程課係長、幼児教育課専門官、 スポーツ庁オリパラ課専門官、初等中等教育企画課専門官、教育 DX推進室室長補佐等を経て2022(令和4)年から現職。Upload By 発達ナビ編集部全員が主体的に取り組むことができるよう対話を重ねるーー本日はよろしくお願いいたします。日野市の教育をリードする立場にある堀川さんですが、まずはご自身の教育に対してのお考えの原体験にあるものを教えていただけますでしょうか。原体験で言うと、あれは今からちょうど10年ほど前に、アメリカのコロンビア大学に留学して教育工学を学んでいた時の話です。学校の先生たちが日々実践していることを持ち寄って、自分たちで研修をつくるというプログラムに出合ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。というのも、先生たちがこんなに良い顔をするんだって驚くほど、そのプログラムにみんなワクワクしながら参加していたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生たちから能動的でポジティブなエネルギーを感じたと。そうなんです。研修が終わって帰るときには、明日から学校で実践するのが楽しみだとうれしそうに話していて。やらされるのではなくて、自分からこれをやりたいという人たちが集まってモチベートし合いながら学ぶことで、こんなにも希望が生まれるのかと感じました。挑戦する先生がどんどん増えていくこと、そして挑戦する先生が称賛される社会をつくっていくことが、教育にとって不可欠である。そのことに実感として気付いたんです。ーー今のご自身の教育観にもつながっていますか?はい、私自身強い意志を持って教育委員会という立場にいるつもりですが、一律に型にはめるということではなく、それぞれの学校と先生と子どもにとっての「やりたい」を尊重し応援することを大切にしたいと常に思っています。そしてその気持ちがしっかりと現場にも伝わって、現場に自身の挑戦を応援されていると心底感じてもらえる状態まで持っていきたいと考えています。ーー思い描くだけではなく、現場への浸透までがやはり大切であると。そうですね。今日も明日も学校に行きますが、教育委員会は先生たちの挑戦を常に応援しているというメッセージを伝え続けています。日野市の教育の大方針として、先生や子どもたち全員が関わって学校教育基本構想をつくり、2024(令和6)年4月に公表しました。第一に、市や学校を含め、みんながプロジェクトベースで学校教育を前に進めていくこと。第二に、構想の中に多くのプロジェクトが位置付けられている中で、それぞれの学校が取り組みたいものを主体的に選ぶ形をとっていることが特徴です。全部の取組を全部の学校でやろうとしても無理なので、学校ごとの文脈や問題意識を踏まえて、色とりどりの学校づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部ーー具体的にはどのようなプロジェクト活動があるのでしょうか。例えば、「子どもたちがつくる学校プロジェクト」というものがあります。これは委員会活動や学年・学級の活動などを中心に「やらされる」ではなく、より良い学校に向けて自分たちが提案し、自分たちでつくっていくというものです。他にも、運動会や音楽会、学年の枠を超えた活動や修学旅行のプログラムを自分たちでつくったり、SDGsに関するプレゼン大会を企画したり、時に各教科での学びと絡めながら、主体的に取り組んでいます。教育委員会としても、各学校のプロジェクトを支援するために、特色ある学校づくりに対して手挙げ制で応募を募って審査をして予算をつけることもしています。私たちが各学校の挑戦を応援することで、各校の新しい挑戦へのモチベーションにつながり、良い循環を生み出す環境をつくっていきたいと考えています。教育の現場にある既存の枠を一つひとつ外していくーー教育委員長として、普段から特に意識していることはありますか?特別支援教育を含めた市の教育の根本的な考え方の一つが「一人ひとりに必要なアプローチをすべての子に」です。その本質は裏を返せば、「特別ではない支援教育」を全員に届けていくことだと思っています。特別ではない支援教育を届けていく上で、インクルーシブ教育として既存の「枠」を一つひとつ外していく、ということが極めて重要です。例えば日野市では「かしのきシート」という取り組みがあり、これは0歳から18歳までの子どもの成長の記録や受けたサポート内容(個別の支援計画)を、入園や入学・進学にあたり切れ間なく蓄積し、つないでいく日野市のシステムです。担任の先生や専門職が作成し、保護者の方に確認を取りながら1年ごとに1枚のシートにまとめ、独自の電子システムにより関係者が参照することができます。ーー「かしのきシート」はどのような意図でつくられた仕組みなのでしょうか?これは、障害者総合支援法体系に基づく個別の支援計画、そして学校教育法体系に基づく個別の教育支援計画、就学・進学にあたっての就学支援シートなど数あるシートの間に存在していた「枠」をとり除いて、カルテを一元化しようという取り組みです。学年や教育機関が変わっても、スムーズに一人の成長を見守ることができます。例えば小1の壁、中1ギャップの問題や、公立と私立、学校教育と放課後の分断という視点においても、「枠」を外すことで現場において適切な支援や判断がしやすくなるという意味合いを持っています。「特別支援教育」が必要だからシートを作成するのではなく、子どもの個性や特性について関係機関により良く理解してもらうためにシートをつくる。結果として、文部科学省の調査によれば、通常の学級に在籍する子どものうち、個別の教育支援計画を作成している割合は2022(令和4)年時点で1.6%とされていますが、日野市では小学校で14%、中学校で10%が計画を作成しています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。特別支援学級で取り組まれていることについても教えてください。私自身は「特別支援学級」「通常の学級」という表現自体が変わっていくことが大切だと思っています。。「通常」という言葉を使うことで「通常」という枠をつくってしまわないか。例えば、少人数学級と一般学級でもよいのではないか。日野市では、特別支援学級かどうかにかかわらず、誰にとっても困りごとの少ない授業が実現できる学校環境をつくる、授業のユニバーサルデザイン(授業UD)に取り組んでいます。その理解を促進するために研修会を実施するのですが、現在では教育委員会が年間28回の特別支援教育に関する研修会を開催しています。昨年度から全ての先生を対象に希望者が誰でも参加できる形にして、開かれた形で困りごとの少ない授業の実現を目指しています。ーー日野市ではさまざまな形でインクルーシブ教育に取り組まれているのですね。これらのベースとして「ひのスタンダード」という取組の方向付けをしているんです。ごく簡単に言えば、チェックリストをつくり、学習面でのつまづきや、教室でじっとしていることが難しいなどの、子どもたちの日々の困りごとをできるだけ少なくする学習環境をつくろう、というものです。障害の有無に留まらず、多様性あふれる教室という場が、みんなにとって困りにくい環境であることはとても大切なことで、実現のために2つのアプローチで日野市では取り組みを進めています。ーーどのようなアプローチでしょうか?まずは共通の基盤となる環境を整えること、そしてその上で個別に必要なサポートの手立てを充実させていくことです。みんなが困りにくい環境をベースとすることで、先生や子どもたちがゆとりを持って個別の対応へと進んでいくことができます。場や時間の構造化を含めた授業UDがあり、校内委員会を含めた学校の環境があり、行政による複層的な支援策を含めた地域の環境がある。その全ての方向付けを、日野市の教育に関わる人がみんなで議論しながらつくってきたということがポイントだと思っています。日野の教職員全員が作成に関わった「ひのスタンダード」について、みんなが腹落ちをして取り組めることが、主体的な挑戦のための大切なポイントなのではないでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部ーー「ひのスタンダード」はどのように浸透と改善をしているのでしょうか?この「ひのスタンダード」は300ページに及ぶ一冊の本としてまとめられていて、各学校に置いてあります。理解を浸透させるための研修会も必ず開催をし、各校で目線合わせをするようにしています。その上での課題として、時間が経つにつれて形骸化することはどうしても起こってしまいます。直近では、改めてチェックリスト項目の精査を行いました。教育委員会が決めたことをトップダウンで現場に下ろすのではなく、現場を含めた関係者みんなで考える、ということに日野市の特徴があるのではと考えています。ーー改善を繰り返す中でも、本質がぶれないようにするために大切なことはどのようなことですか?自治体の中だけでガラパゴス化しないよう、国全体の動きや学術的な視点も取り入れながら、開かれた視野を持って進めていくことを心掛けています。最終的に、現場にとってより価値のあるものになっているか、が何より大切だと思います。また日野市では、インクルーシブな教育環境の一環として、福祉と教育の「枠」を外すことにも取り組んでいます。日野市では発達・教育支援センター「エール」を設置しており、心理士やスクールソーシャルワーカー(SSW)だけでなく、保健師や保育士、ST、OT、看護師など、多様な専門職が1か所にいて、子どもの発達や育ちについて教育や福祉の垣根を超えて考えています。保護者の方にとって、学校と福祉の「枠」を感じることなく、ワンストップであらゆる相談ができ、適切な支援を得られるという環境づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部最後はやっぱり、子どもたちがインクルーシブな学校づくりの主人公ーー多くの自治体でも課題としてフォーカスされている、不登校のお子さんについてはいかがですか?不登校については、すべての子どもに質の高い学びへのアクセスを保障する、という理念のもと、子どもの状況に合わせた複層的な選択肢を準備しています。日野市としても力を入れていて、予算で言えば前年度比で172%増となっています。特徴的な取組としては、全国で行われている教育支援センターや小中学校における校内登校支援教室の取組の充実に加え、中学校の中に、不登校の生徒を対象にした少人数学級である「チャレンジクラス」という学級を今年度から新たに開設しました。これは、東京都から6名の教員の追加配置を受け、教育課程に基づき日々授業を行う「校内分教室」であり、市と都がタッグを組んで取り組む新しい試みです。加えて、この5月には母子保健と子ども政策の担当部門を一元化した子ども包括支援センター「みらいく」がオープンし、施設内に中高生専用の居場所を開設しました。教育委員会だけでなく、子ども政策や福祉政策、民間の取組を含め、子どもたちの居場所の選択肢が街の中に増えてきています。オンラインの活用も含め、枠を一つずつ取り外しながら、その子にあった安心できる環境で、つながりを持ち、学びに向き合えるようにしていくことが重要です。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざま取り組まれているのですね。他にも新しい取り組みとして、経験豊富な元校長先生を今年度から「教育支援コーディネーター」として配置して、各学校の一人ひとりの出席状況を細やかに確認し状況をフォローし、スクールソーシャルワーカー(SSW)などのスタッフと連動した個別支援のサポートや、学校とフリースクールの連携促進の取組も始めました。挙げればキリがないのですが、他にもNPO法人と連携した不登校に関わるスタッフ研修の仕組みづくりや、保護者同士の繋がりを生む仕組みづくりなど、さまざまなアプローチで取組を進めているところです。ーー取り組みに対しての手応えはありますか?例えば、ある中学生の生徒が校門から中に入れないという状況から、1年経って学校に入ってきて給食を食べられるようになった、と。そんな話を先生方からたくさん聞いています。課題は大きいですが、同時にいかに学校現場が一人ひとりを大切に取り組んでいるかを感じています。ーーインクルーシブ教育が、言葉だけではなくて実践されている。現場の強い思いを感じます。教育委員会としても「インクルージョン」を学校教育基本構想の中で最上位の姿の一つとして位置付けていますが、インクルーシブな学びをつくるのは誰かと考えたときに、最後はやっぱり子どもたちなんだということが、非常に大きなポイントだと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなぜそう思われたのでしょうか?非常に印象的だったのが、市内の小学校と特別支援学校との交流および共同学習の中であった、3連フラフープという、小学生の子ども2人の間に特別支援学校の子ども1人が挟まって取り組むという競技での光景です。特別支援学校ではなく、ある市立小の子どもがどうしてもフラフープの輪に入ることができなかったのですが、みんなでサポートしながら最後にはゴールすることができました。その時に、歓声をあげたり拍手が起こったり、その子が達成できたことに対してみんなが称え合う姿、これこそがインクルーシブな学びが実現している姿だと感じたんです。やはり最後は、子どもたちがインクルーシブな環境をつくっていくんだと強く感じました。ーーLITALICOのソフトも導入していただいています。LITALICOの教育ソフトを導入したいと考えた意図としては、個別の教育支援計画や指導計画である「かしのきシート」の質を高めていく力になると考えたことです。もう一つは、さまざまな教材を子どもの特性や必要性に応じて選べるような環境をつくることで、先生の働き方改革につなげることや、アセスメントによって子どもたちの理解を深めていくことが狙いとしてありました。実際に活用してみた中では、教材をゼロから自分でつくるのではなくて選べることで、働き方の改善につながったという声や、保護者を含めたニーズの把握に生きているとの声も聞いています。Upload By 発達ナビ編集部ーー最後に、これから教育長が目指すインクルーシブ教育の理念について、教えてください。インクルーシブ教育の先には共生社会があって、その共生社会とは、多様性が輝く社会のことだと思います。そこに向かう道のりとしてインクルーシブ教育があるとすれば、それは多様な個性が輝く学びの場、それをつくる営みなんだろうと。そしてそれは、多様な個性が輝く教室をつくっていくということでもあるのだろうと思っています。その中で、全員がこの共生社会をつくっていく主体なんだということ、多様性が輝く場をつくることに貢献することは、全員に開かれた権利なんだということが、非常に大きなポイントです。これは先生たちだけが進めていくでもなく、教育委員会だけが進めていくでもなくて、全員が進めていくことなんだと。全員に対して開かれているということは、それはとても素敵な権利の一つなんじゃないかなとも思うんです。当然、教育委員会にしかできない仕事もあるし、先生にしかできない役割もあるし、子どもたちにしかできないこともある。全員で枠を一つずつ外しながら、インクルーシブに取り組んでいきたいです。Upload By 発達ナビ編集部この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。堀川さんは明確なビジョンを示しつつ、現場の声を何よりも尊重し、双方の視点を持ってリーダーシップを発揮されています。その姿勢こそが、全員が主体的に関わる事例としての日野市をつくっているのだと感じます。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年07月24日幼稚園入園後、気になった長男の様子3歳で発語なし、指差しもなし。泣く、怒る以外で唯一できる発信は「ちょうだい」のアクションのみの長男りーでしたが、無事に幼稚園へ入園しました。入園当初はさみしくて泣いてしまう子どもが多いという話をよく聞いていたので、りーもそんなふうになるのかなあと思っていたのですが、そういったことも一切なく、されるがまま、いつも通りのりーでした。母は少しさみしかったです……(笑)。Upload By かし りりあ幼稚園では加配の先生がつき、常にりーと一緒にいてくれました。りーが疲れた時には抱っこしてくれたり、りーがうれしそうにしている時には一緒に飛び跳ねてくれたりと、言葉で表現することができないりーの気持ちを受け止め、違う方法で表してくれました。親以外にはクールな表情が多かったりーでしたが、幼稚園に通ううちに、いろいろな人に明るい表情を見せるようになりました。幼稚園で制作をする時には、りーの状態を見て、場合によってはカンタンなもの(クレヨンで顔を描く→りーは顔を丸シールで貼るなど)に変えてくれました。また、お手製のパーテーションを用意してくれ、りーにじっくり伝えたい時にはそこへ誘導するなど、りーに応じた対応をしてくれました。幼稚園に通ううちに、困りごとが徐々に増えてきて……Upload By かし りりあこのように幼稚園ではとても丁寧な対応をしてくださったのですが、困ったこともありました。幼稚園では給食がありましたが、野菜嫌いのりーは残すことが多くありました。家でも野菜はほとんど手をつけないりー。食べさせようとすると寝転がって泣き、拒否するため、無理強いはせずに家へ帰ってからおやつを多めに食べさせる、野菜ジュースを飲ませるなどしていきました。Upload By かし りりあまたある時は、園からの電話で、りーが園庭から抜け出すということを聞きました。勢いよく飛び出るということではなく、ふらーっと出ていき、気づいたら園庭そばの駐車場にいたようです。先生は申し訳なさそうに伝えてくれましたが、こちらのほうが申し訳なく感じました。Upload By かし りりあそして、幼稚園の行事への参加も、私にとっては気が重いものでした。子どもたちが座っている中、りーは先生に抱っこされながらもぐにゃぐにゃとしていて、静かにする場面で声をあげてしまいます。心なしか、りーのクラスも次第ににぎやかになってしまっているような気がして、「これってうちの子がクラスの子たちへ良い影響を与えていないのではないか……」と思い悩むときもありました。幼稚園に通って一年。このままでいいのかと悩むように……幼稚園に通い始めて約1年がたち、幼稚園の先生との面談がありました。そこで、進級することで特別活動が始まること、りーには難しいと幼稚園が判断した時には一緒の活動ができなくなってしまうかもしれないこと、その時には下の年齢との活動をすることになるかもしれないことを伝えられました。りーは環境に慣れ、友達も優しく接してくれる。しかしりーにとって幼稚園で過ごすことは良いことなのか考えるようになりました。当時次男のかーの妊娠出産もあり、りーの育児や対応に専念できずに申し訳ない気持ちになっていました。そうして思い悩んでいた頃、児童発達支援施設での面談がありました。そこで私から話す前に先生からある提案を受けました。Upload By かし りりあそれは幼稚園から療育園への転園の提案でした。私たち家族にとって大きな変化となった療育園への転園については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)お住まいの市町村で違いはありますが、3歳時点で発語がない場合、一般的には3歳児健診で難聴を否定するためにABR検査を勧めます。さらに、幼稚園ではなく療育園を勧める場合も多いと思います。今回のコラムでは、りーさんに専属で加配の先生がつきましたが、発語のないお子さんを幼稚園でみるのには人的な限界があるからです。そして、加配の方とどういうコミュニケーションツールを用いたかは記載されていませんが、発語のないお子さんに対するコミュニケーションツールの一つとして私は絵カードの利用をお勧めしています。これは日本語が分からない外国人のお子さんに対しても有効な手段です。これからは、幼稚園ー療育園ー小学校とどう連携していくかが重要になってきます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月23日LITALICOジュニアスタンダードコースってどんなところ?スタンダードコースは、通所受給者証を使って通うコースで、児童発達支援と放課後等デイサービスの2種類があります。児童発達支援は0歳から年長のお子さま、放課後等デイサービスは小学1年生から高校3年生のお子さまが対象です。スタンダードコースでは、約10人の子どもたちが集団で過ごす場と個別指導を組み合わせ、合計3時間程度の支援を行っています。(※)体験授業では、豊富な知識や経験に基づき、一人ひとりに合わせて楽しく学べるような工夫がされた授業を実際に体験できます。※お子さまの状況やニーズに応じて1.5時間などでの支援提供もしております。詳しくはお問い合せ時におたずねください体験授業を受けてくれるBくんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部今回体験授業を受けるのは、保育園に通う5歳の男の子Bくんです。保育園で友達に手を出してしまうことがあり、「友達と仲良く過ごせるようになってほしい」というご両親の願いから、LITALICOジュニアスタンダードコース・児童発達支援の体験に参加しました。事前にお母さまにお話を伺いました。「Bは手が出てしまうこと以外にも、眠くなると怒りっぽくなったり、落ち着きがないところもあるんです」LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業では具体的にどんなことを体験できるのか、Bくんの1日体験の様子をご紹介します。丁寧なヒアリングでお悩み相談しながら困りの整理ができる!体験授業を申し込むと教室から電話があり、体験授業の内容やその後の流れについて説明があります。その後、お子さまの困りごとを先生が丁寧にヒアリングします(教室やご状況によって、当日行われる場合もあります)。「好きなことがたくさんあって素敵ですね!注意が逸れやすいのは、興味の幅が広いということも関係してるかもしれませんね」「お母さまに手が出やすいのも、お母さまやお家が安心できる場だからこその行動なのかなと思いました。お母さまが汲み取ってくれるからBくんも安心できるんでしょうね」などお子さまのいい面をしっかり分析しているのも印象的でした。お母さまに事前の面談について、感想を聞いてみました。「先生がいろんな視点から質問してくださって、質問の内容もとても的確で、あ、そういえばそうだなと答えながら思うこともたくさんありました」「いろんなお子さまを見てきたから分かるんだろうなと、先生の専門性の高さを感じました。とにかく話していてとても安心感がありました」先生にも、事前の面談でどんなことをヒアリングされているのか聞いてみました。「困りごとは同じでも、その要因はお子さまによってそれぞれです。ですので、より細かくお話を聞きながら、考えられるたくさんの要因のうち、お子さまの困難さはどこにあるのか、困りごとの根底にある要因を見立てていきます」「お子さまはこういう様子がありそうなので、体験ではこういうところを見ていきましょう」というように体験授業で見るべきポイントを提示してもらえるので、お母さまも一緒の目線で体験授業を見られるところもいいですね。Upload By 発達ナビ編集部体験授業では、LITALICOジュニア川崎駅前教室を訪問しました。教室は明るくカラフルで、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。お母さまと教室にやってきたBくん。数日前まで風邪をひいていたこともあり、体調が万全ではないとのこと。お母さまと離れるのが難しく、予定していた集団授業のお部屋に入ることができません。そこで、先生はタブレットで集団のお部屋の様子を見ることを提案。「ここでお友達がどんなことしてるか見られるんだよ」とタブレットを見せると興味津々のBくん。徐々に笑顔が見られました。先生とほかの教室を一緒に探検したり、好きなもののお話をしていくうちに、Bくんは先生とすっかり打ち解けていました。集団授業に入って体験を受けられる予定でしたが、予定を変更し、このまま個別で行われることに。最初お母さまと離れることが難しかったBくんも、先生と2人でお部屋で過ごすことができました!先生から好きなものを聞かれると答えたり、「これはどうかな?」「こうやってあそぼう!」と自分からもたくさんお話しする姿がみられました。Upload By 発達ナビ編集部このように、お子さまの状況に合わせて、体験できるのは安心ですね。最初はお母さまと離れるのも難しそうだったBくんがここまで楽しそうに過ごせたのはなぜなのか、先生に伺いました。「体験授業は、お子さまのご様子をみて、必要に応じて形を変えて行うこともあります。それは、まずはお子さまに楽しかったなと思ってもらうことを目的にしているからです。そのために、お子さまの興味がありそうなおもちゃを用意したり、お子さまが興味をもたれたものは積極的に共感したりしながら、まずは『楽しい場所だ!』『褒めてくれる人だ!』と思ってもらえるような関わりを意識しています」Upload By 発達ナビ編集部また、Bくんとあそびながらも、Bくんの得意不得意や事前の見立てがあっているかなどを見ながら授業をしていたという先生。先生は具体的にどんなことをされていたのでしょうか。「隣の部屋の音を気にしていたり、先生の持っているシートのにおいを気にしたりしている様子から、もしかしたら感覚の過敏さがあるのかもしれないなと思いました」「また、力いっぱいおもちゃを押す様子があったので、力のコントロールに苦手さがあるのかなと感じたので、『そっと押すとうまくできるよ』と声をかけると、上手に力をコントロールできていました。このように、お子さまの困りごとはどんなところにあるのか、どういう声かけをしたら解消できそうかを考えながら接していました」お子さまも楽しく過ごせている状態で、困りごとの根底にあるもの、どういう支援や関わり方でそれが解消できそうかを専門的な視点で見てもらえるのはうれしいですね。また、先生があそびの中でも、「教えてくれてありがとう」「先生のお話聞いてくれてありがとう」などBくんの一つひとつの行動を見逃さず褒めている姿が印象的でした。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますお子さまの困りの要因や関わり方のアドバイスを教えてもらえる!Upload By 発達ナビ編集部体験中の様子はリアルタイムで視聴でき、体験後には授業中のお子さまの様子や課題の解決方法についてフィードバックがあります。Bくんの体験授業について、先生からは「人も場所もはじめてのところで見通しが立っていなかった中、2、30分でこれだけ慣れることができたので、事前に情報が分かるとBくんのいいところがたくさん発揮できるかもしれないですね」とお話が。的確なアドバイスをしてくれる先生に、お母さまから就学に向けての相談も。「園での様子があまり分からないんですが、手が出てしまうという話は聞いているので、小学校入学に向けて今のままで大丈夫か心配で……」先生からは「通う小学校を事前に見ておいたり、学校の先生と面談をしておくと、どんなことをするところかが分かって安心して通えるかもしれないですね」とアドバイス。また、「園の様子が分からないと不安ですよね。LITALICOジュニアでは保育所等訪問支援を行っているので、指導員が園を訪問してお子さまの様子を見てお母さまに共有したり、LITALICOジュニアでうまくいった方法を園の先生と共有したり、連携することもできるので、一緒に活用されるのもおすすめです」と、実際のサービスを使ったときのイメージがわくような説明も。体験授業のあとにどんなお話をされているのか先生からもお話を伺いました。「体験授業後は授業の振り返りとともに、どういうスキルを獲得すれば過ごしやすくなるかといった個の側面と、どんなふうに環境面を整えてあげれば過ごしやすくなるかといった環境の側面のそれぞれで、LITALICOジュニアではどんなアプローチができそうかといったことをお話ししています」Upload By 発達ナビ編集部体験授業後、お母さまにお話を伺いました。「とにかく褒めて、とにかく居心地のいい居場所をつくることに全力を尽くしてくれる先生がいるという安心感がありました。園で怒られて、家でもうまくいかなかった日も、ここでは絶対に褒めてもらえるということが、子どもの力になるんじゃないかと思いました。体験授業の1回だけでも、子どもが成功を実感して積み重ねていける『成功体験の場』だと実感できました!」「ほかにも、『感覚の過敏さはありますか?』という質問をされたのですが、まさに聴覚過敏気味なのが気になっていたので、『体験の時間だけで見抜くのがすごい!プロの目ってこういうことだ!』と実感しました」Bくんは体験が終わってからも、「次はいつ行く?」とお母さまにLITALICOジュニアのパンフレットを持ってきてくれるそうです。Bくんが楽しめた様子が伝わってきますね!「子どももとっても楽しかったみたいです。親としては子どもが楽しいというのであれば、じゃあ行こうか!という気持ちになりますね!」とお母さまもお話しされていました。LITALICOジュニアスタンダードコースは、お子さまが楽しみながら学べる場所。教室によってはすぐに体験授業を受けられる場所もあるそうなので、気になった方はまずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。先生に聞く!体験授業を受けると何が分かる?Upload By 発達ナビ編集部LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業を受けるとどんなことが分かるのか改めて先生にお伺いしました。「LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業は、実際の集団指導を受けられるので通ってからの様子がイメージしやすいと思います。また、体験授業後には、指導員の視点から見たお子さまの様子をお伝えしているので、お子さまの新たな強みを知ることができるかもしれません」「そして、今後どうすればいいか手立てが分かるので、やるべきことの整理がしやすくなるのも体験をおすすめするポイントですね」Upload By 発達ナビ編集部何をするべきか、今どのステップにいるのかが分かるだけでも体験授業を受ける価値がありそうですね!保護者さまのお話を聞く先生のあたたかい雰囲気がとても印象的ですが、どんな気持ちでご家族を迎えられているのか聞いてみました。「保護者さまは、さまざまな困りごとやお悩みがあって相談してくださっていると思うので、まずはその気持ちをしっかり受け止めたいなと思っています。そして、違う側面から見るとお子さまの素敵な強みを知っていただき、お子さまと関わる時のヒントになればいいなと思っています 」「たとえば、園などの集団の中では『できていない』と判断されてしまっても、大人になって広い世界に出たときには、お子さまの強みが発揮されることもあります」「LITALICOジュニアでは、困りごとを解消するために必要なスキルの獲得をサポートしているのと同時に、お子さまの強みを伸ばすことも心がけています。お子さまには強みを伸ばしながら、いずれはお子さま自身が自分のもっている強みを理解して発信できるようになるといいなと思っていますし、保護者さまにもお子さまの強みにあらためて気づいてもらえたらいいなと思っています」お子さまが楽しみながら必要なスキルを獲得できるように、指導員みんなでご家族をサポートしてくれるスタンダードコース。気になった方はまずはお問い合わせしてみるのがおすすめです。LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業のまとめ教室ではどんな授業を受けられるのか、利用したときの様子をイメージできるLITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業。集団生活の中での困りごとや、学習でのつまずきなど、お子さま一人ひとりの課題に合わせて集団指導と個別指導を受けられるスタンダードコースの体験授業であれば、お子さまの困りごとの解決の糸口が見つかるかもしれません!体験授業では、利用するにあたっての疑問点や不安なことも相談することができるので、気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。※この記事は、LITALICOジュニアに掲載のコラムの一部を変更し、構成しています※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移します
2024年07月22日ナツメ社は7月11日、『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた「生きづらい」がラクになるメンタルを守る仕事術&暮らし方』を発売しました。同書は、10万部突破のベストセラー『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(サンクチュアリ出版)の著者、小鳥遊さんによる待望の新刊。仕事の進め方のノウハウ&心穏やかに暮らすヒントが満載です。■「発達障害」「うつ」を乗り越えた著者が編み出した仕事術を紹介仕事・生活面で困りごとがあり、生きづらさを感じている人や、毎日の不安・心配・焦りが強く、自己肯定感が低くなっている人にぜひ手に取ってほしい一冊。不注意やミスが減らない、マルチタスクが苦手、先延ばしグセが直らない……そんな仕事の悩みを解消!すぐに取り入れられる仕事の進め方のコツが満載です。発達障害の一つであるADHDの診断を受け、会社員として勤務するも、仕事の抜けもれや要領の悪さなどから自分を責め、抑うつや適応障害を起こし休職や退職を余儀なくされた小鳥遊さん。その後、自身の特性をカバーするためにExcelで仕事管理ツールを自作し、独自のタスク管理手法を編み出し、安定して働くことができるようになりました。自分を変えるのではなく、しくみを変えることで、しんどさから抜け出し、仕事を進められるようになるという、小鳥遊流「タスク管理」。誰でも実行できるこの仕事術のノウハウを、余すところなく紹介しています。■生活スキル&人間関係を円滑にするヒントも満載!生活スキル&人間関係を円滑にするコツも紹介仕事だけでなく、「心の余裕」を保ちながら、暮らしの様々な困りごとを解決するヒントも紹介。片付けや環境を整えるちょっとしたコツや、自己管理、良好な人間関係を築くちょっとした心がけやコミュニケーションのコツ、穏やかに過ごすためのリラックス法や考え方のヒントも取り上げています。◇【著者プロフィール】小鳥遊(たかなし)発達障害の一つADHD(注意欠如・多動症)の診断を受ける。会社員として勤務するも、仕事の抜けもれや要領の悪さなどから自分を責め、抑うつや適応障害を起こし休職や退職を余儀なくされる。その後、自身の障害特性をカバーするためにExcelで仕事管理ツールを自作し、独自のタスク管理手法を編み出して安定して働くことができるようになる。その経験やノウハウを伝えるイベント「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」を継続的に共催し毎回満員の好評を博す。また、自作ツールをだれにでも簡単に使えるようクラウド化し、社会福祉法人SHIPの協力のもとタスク管理習得支援ツール「タスクペディア」として無料提供。現在は会社員からフリーランスへ転向し、書籍執筆・ウェブ記事ライティング・個人/企業へのコンサルティングや研修・就労移行支援事業所での講師など、同じような特性や悩みを持つ人たちへ自身の経験やタスク管理などのノウハウを伝える活動を精力的に行っている。著書に『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(サンクチュアリ出版)がある。■書籍概要『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた「生きづらい」がラクになるメンタルを守る仕事術&暮らし方』著者:小鳥遊(たかなし)発行:ナツメ社定価:1,540円仕様:四六判/224ページ/2色刷発売日:2024年7月11日Amazon ⇒ (エボル)
2024年07月22日子どもの性にまつわる悩みや疑問に!『親子で話そう!性のことー3歳から始める性教育ー』Upload By 発達ナビBOOKガイド「性について子どもにどう教えればいいか分からない」「子どもの気になる行動をやめさせたいけれど、伝え方に悩む」など、大切なこととは分かっていても、子どもの性教育についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。本書の著者である臨床心理士の高山恵子さんと、保健師の佐々木睦美さんのお二人は、長年にわたり子どもたちや教職員に向けた性教育講座を実施しているエキスパートです。子どもからの質問にどう答えればいいのか、子どもの性にまつわる悩みや疑問など、分かりやすくQ&A方式で解説しています。命に繋がる「性」について知ることは、自分自身を大切にすることにも結びつきます。まずは大人が正しい知識を身につけることができれば、子どもからの突然の質問にも 、恥ずかしがったりすることなく、自信をもって答えることができるはず。巻末には取り外せる絵本もついており、親子で楽しみながら学び、性のことについて話し合うきっかけになるのではないでしょうか。遊びながら「できた」が増える!『発達障がい・グレーゾーンの子のための水中療育 からだ・こころ・ことばを育むスイミング』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書の著者である酒井泰葉さんは、元アーティスティックスイミング日本代表選手で、長年にわたり発達障害がある子どもに水泳指導を行っていらっしゃいます。本書で紹介されている「水中療育20の実践プログラム」は、リラクゼーション・ウォーキング・ジャンプ・潜水など、さまざまな水遊びを楽しみながら、体性感覚・平衡感覚などを養うというものです。本書で紹介されているプログラムの実際の様子を動画で見ることもできるので、合わせて活用することで、より理解が深まります。体の動かし方に苦手さがあったり、水が怖かったりするお子さんにも、取り組みやすい工夫がたくさん紹介されている本書。この夏、水に親しみながら心身を成長させる機会として、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。55の実例で手立てを紹介!『少しの工夫で変わる!気になる子が過ごしやすくなる保育の環境構成』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達が気になる子どもの「遊びに集中できない」「友だちとトラブルになる」「パニックやかんしゃくを起こす」といった行動へ、どのように対応すればよいのか困った経験のある方は多いと思います。本書では、子どもが「できない」のではなく、周りの環境が子どもに「合っていない」という考えのもと、環境構成による支援を紹介しています。実際の保育の現場でみられる全55の実例を掲載し、「お支度」「着替え」「集まり」「食事」「トイレ」「午睡」「室内遊び」「外遊び」など、さまざまな場面で起こりがちな困りについて、ビフォーアフターの写真付きで分かりやすく手立てが紹介されています。「段ボールでパーテーションをつくる」「給食の配膳の仕方を変えてみる」「おもちゃの片づけ方を変えてみる」「保育室の隙間を落ち着けるスペースとして活用してみる」など、本書で紹介されている実例はどれも手軽にできるものばかり。ぜひ本書を参考に、保育の現場やご家庭でも、お子さんに合った環境の工夫に取り組んでみてはいかがでしょうか。最新の臨床精神医学に関する知識を深める!『神経発達症群(講座精神疾患の臨床 9)』Upload By 発達ナビBOOKガイド近年、「発達障害」という言葉の認知度は高まっていますが、医学的には知的発達症(知的障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)といった疾患を総称して「神経発達症」としています。本書は、発達ナビでも多くの記事をご執筆いただいている本田秀夫先生が編集を担当され、神経発達症群全般における概念や、各疾患の分類の歴史的変遷についても詳しく解説されています。医学専門書ではありますが、「神経発達症群」の各疾患の診断概念や症状、原因、治療・支援に関する正しい情報を知りたい医師以外の医療・福祉関係者の方や、より深く学びたいと考えている方にとって、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月21日発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介!定期テストなども終わり、多くの学校で担任の先生との面談が始まる時期となりました。「先生に子どもの特性を伝える際に何を用意したらいいの?」「合理的配慮、どこまでお願いできる?」「学校でトラブルなどを起こしていたらどうしよう……」など悩む保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介します。持ち物や相談の内容など、ぜひ参考にしてみてくださいね。発達ナビみんなのアンケート「連載ライターのみなさんに聞いてみたいこと大募集!」に寄せられた「小学校・中学校の先生に理解を得るコツ」の声。このコラムでは丸山さとこさんとコウさんの小学校から中学校にかけての合理的配慮についての実体験をつづっていただきました。幼児の頃から動きが大きくて速かった次女のリスミーさん。小学校の三者面談でリスミーさんが授業中に走り回っていることを知らされ……!先生に教えてもらった「落ち着くための工夫」とは?ASD(自閉スペクトラム症)のある小学校2年生のミミさん。お母さまのtaekoさんは面談で担任の先生からミミさんの友達トラブルについてのお話を聞きます。「指摘グセ」のあるミミさんに対してtaekoさんの考えは……。発達障害のある息子のコウさんが中学に入学して1ヶ月、担任の先生と二者面談を行った丸山さとこさん。診断書とWISCの検査報告書をコピーして挑んだ面談の結果は……。面談で心がけたこと、新生活後すぐに面談をする意義など参考になるお話がたくさん盛り込まれています。ASD(自閉スペクトラム症)のあるミミさん。小学校1年生から2年生への進級にあたって先生が変わると知ったお母さまのtaekoさんが新しい担任の先生に連携したものとは?また、「宿題がつらい」と悩むミミさんについて面談で相談すると……。小学校6年でSLD/LD(限局性学習症/学習障害)グレーゾーンと診断を受けたひらたともみさんの息子さん。中学3年生、夏の三者面談で高校進学について先生から聞かされたのは「母の知らない息子の頑張り」で……!中学受験をし、中堅の私立中学に進学したあっきーさんの息子さん。ある日突然、学校から呼び出しを受け、向かうとそこには担任、学年主任、副校長などの面々がずらり……息子さんの起こした「ある事件」で停学処分、さらには退学の危機にまで……!?ASD(自閉スペクトラム症)のあるまゆんさんの息子の太郎さん。行き渋りなどはまったくなかったものの、小学生のころは体調不良で学校から急な呼び出しがかかることがたびたびあったそうです。気になって小児科を受診すると……。その他関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月20日社会人になってからできないことが浮き彫りとなり、発達障害に気づくというケースも。今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになると、ミスが目立ち始めるように……。友人のすすめで心療内科を受診すると、ADHDと診断されたのでした。田所は彼女にADHDであることを打ち明け……今までを振り返り……ADHDだったと打ち明けた田所ADHDと診断されたことを、彼女に打ち明けた田所。その後、友達が田所と「似た感じの人」と会うことになり……。その人との会話で得たこととは一体!?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年07月20日LITALICO発達特性検査の結果をヒントにLITALICO発達特性検査は、保護者の方がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていることが分かるオンラインの検査です。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。LITALICO発達特性検査の結果では、お子さまの特性に合わせて取り組みやすい対応方法も紹介されます。ご家庭や園・学校などで、おすすめされているサポートを試すことで、困りごとが軽減される可能性があります。そこで、この記事では検査結果を使って対応方法を試す方法について、Q&A形式でお答えします。うまくいかない場合の解決法など、検査結果の使い方に関する疑問を解消し、お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントとしてお使いください。Q.検査結果を受けて、まずは何をすればいいでしょうか?検査結果が出たら、まずは以下の3つを試してみましょう。周囲の人にとっての「困った行動」が、実は本人自身もどうしていいか分からない「本人が困った結果の行動」である場合があります。例)欲しいものを言葉で伝えることができずに、保護者の手を引っ張ってその場まで連れて行くなどまた、保護者や周りの人が「やめてほしい行動」「意味がない行動」と思っていても、本人にとっては必要のある行動だという場合もあります。例)筋力が弱く、姿勢を保てないために、寝そべりながら宿題をするなど特性やそれに関連した行動がなぜ現れるかを理解すると、解決法を一緒に考え、困っていることを減らしたり、適応的な方法に置き換えていくこともできます。また、「困った行動」ではなく「特性による行動」として、周囲の理解を得やすくなるかもしれません。検査結果レポートの「サポートの方向性」の中から、お子さまに合いそうで、できそうな方法からやってみるのがポイントです。「試しやすい」のタグがついているものがあれば、はじめに取り組んでみてください。基本となるサポート方法や、まずは取り組みやすいサポート方法を示しています。ほかにも、お子さまの特性や困りごとに対応して複数のサポート方法が提示されますが、すべてを一度に始めなくても大丈夫です。お子さまに合いそうなもの、できそうなものから順番に試してみるといいでしょう。一つの方法が合わなくても、そのときは別の方法を試してみましょう。検査結果を周りの人と共有することで、お子さまへの一貫した接し方につながります。お子さまにとって、取り組みやすく失敗しにくい方法や環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとは軽減されていくでしょう。そのために、特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。また、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点での回答に基づく検査です。保護者の方と関係者で見立てが異なる場合や、環境によってお子さまの困りや特性の現れ方が異なる場合もあります。「家庭ではこのような困りがあり、この方法でうまくいきました」「学校ではその点は困っている様子がありませんが、こういう場合には困ることがあるようです」など、園や学校、専門家との相談などで結果を共有し、話し合うきっかけにすることで、別の情報やサポートのヒントが得られることもあります。相談や対応方法を試す際などに、検査結果を周りの人と共有するためのツールとしてご活用ください。Q.サポートを試してもうまくいかない場合はどうしたらいいでしょうか?検査結果レポートの「サポートの方向性」では、基本的にはお子さまの特性や年齢に合わせ、比較的うまくいきやすい方法が表示されています。ですが、お子さまの状況や環境、またほかの特性や要因が影響している場合などもあるため、表示された方法がそのまますべてうまくいくとは限りません。お子さまの場合はどう当てはめたらうまくいきそうか調整をしてみましょう。例えば、課題の難易度や取り組む時間、内容などをカスタマイズしたり、お子さまに合うように試してみてください。検査結果を参考にしながら、本人が困っていることや状況に合わせて工夫や調整をしてみましょう。「サポートの方向性」の例示そのままではうまくいかない場合でも、以下のような工夫でうまくいくようになることもあります。・好きなものや取り組みやすいもの、ご褒美でモチベーションをあげる例)着替えのあとでジュースを飲めるようにスケジュールを示す・本人に分かりやすい言葉や方法で伝える例)「早くして」と注意する代わりに、時計を示して「短い針が6になるまでにやってね」と具体的な指示に変更するこのほかにも、課題の難易度や取り組む時間を調整する、スモールステップで段階に分けて取り組む、本人に合う道具や環境を探すなどの工夫もできます。タイミングがいいときや慣れることによってうまくできるようになったり、調子がいいときにうまくいく場合もあります。どのようなきっかけや状況があると困りごとが現れるかや、どのようなときにうまくいくかなど、お子さまの様子を観察することもポイントです。カスタマイズできるところがないか、何度か試してみるといいでしょう。サポートは一つだけではなく、いくつか試して本人に合う方法を探していくといいでしょう。うまくいかない場合は、特定のやり方にこだわらず別のサポートも試してみてください。対応方法を試してもうまくいかないときや、何らかの理由で試すことができない場合、無理に取り組んでお子さまや保護者の方がつらくなる場合は、家庭で抱え込まず、専門家に相談するのも大切です。「やり方を工夫する」ことについて、カスタマイズの方法を専門家や周囲の関係者と相談するのもいい方法です。相談支援や児童発達支援、医療機関など、園・学校以外の機関も含めて相談していきましょう。以下の記事で相談や連携ができる機関を紹介しています。お子さまのことを考えて、試行錯誤する中で疲れてしまう保護者の方もいることと思います。お子さまと向き合うのがしんどくなってしまったり、心身に不調が現れたりしたときには、保護者の方自身のサポートや負担を軽くする方法を検討してみてください。Q.困っていることが変わってきました。どうしたらいいでしょうか?以前検査した時から困りごとの様子が変わったり、新しい困りごとが出てきたり、対応方法がうまくいかなくなることがあります。同じ特性があっても、状況や環境が変わったり、お子さまの発達や成長によって変化することによるものかもしれません。逆に、本人に合った対応をすることで、困りごと自体がなくなっていくこともあります。特に幼児期の場合は、発達による変化も大きい時期です。・入園や入学などの環境の変化・ストレスや体調の影響・発達や成長による変化・要求されるスキルの変化などその際には、変化した状況に応じて、サポート方法も調整できることがないか試したり、新たに現れた困りごとに合わせたサポートをしたりすることも検討しましょう。検査結果では、困りごとや年齢に応じた検査結果が表示されますので、LITALICO発達特性検査を定期的に受検することで、子どもの発達の記録として残していくことも可能です。Q.医療機関やほかの検査では指摘や診断をされませんでした。その場合でも子どもへのサポートをすべきでしょうか?診断がない場合、サポートは不要である、ということではありません。医療機関では、疾患や障害の有無を医学的な診断基準と照らし合わせて判断します。そのため、特性があっても基準を満たさない場合などには診断されない場合もあります。ほかの検査や医療機関で指摘や診断をされなかった場合でも、困りごとが生じたり、特性に合わせたサポートが必要になることは多いと言えます。医療機関で診断されなかった場合には、公的な支援や医療的なサポートにつながりにくい場合もあるかもしれません。そのような場合に、本人や周りの人が困りを感じているときには、LITALICO発達特性検査で得られた結果をもとに、サポートを試すことでうまくいく方法が見つかる可能性があります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスなど公的な支援の中には、診断がなくても支援の必要が認められれば利用できるケースもあります。診断の有無にかかわらず、本人や周りの人が困っていることにフォーカスし、本人の特性に合わせた対応方法を探すために、LITALICO発達特性検査の検査結果をぜひ活用し、サポートをしてください。また、医療機関では確定診断までに何度か経過や様子を見るなど、すぐに診断されないケースもあります。そのような場合にも、特性を理解し早期にサポートを開始することが重要です。Q.困りの強さや困りごとの分類などは、どのように理解すればいいでしょうか?LITALICO発達特性検査の検査結果は、年齢群・性別ごとの定型発達母集団データを元に、平均点が50になるように得点を変換し、判定しています。困りの程度や特性が強いほど点数が高くなります。「困りが強い」「困りがやや強い」「今は困っていない」の困りのラベルについては、変換した点数を元に、どのくらい困っているかを得点によって以下のように分類しています。得点70以上:「困りが強い」得点60-69:「困りがやや強い」得点59以下:「今は困っていない」※ただし、一部の分類は上記の点数換算が妥当でないことを踏まえて、定型発達データと臨床データから推定した困りの強さの判定を元に、点数の割付を行っています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポート大分類内における小分類ごとの困り度ラベルの組み合わせによって、お子さまに最も近いタイプを推定しています。こちらは、より妥当な困りごとの背景説明やサポート方法をお伝えするための分類となっています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートQ.検査結果レポートは年齢に合わせた内容ですか?LITALICO発達特性検査では、お子さまの年齢によって適切な検査結果が出るように設計されています。同じ特性でも、年齢によって困りごとの内容や強さ、その対応方法が変わると考えているためです。検査結果の得点は、年齢・性別ごとに算出しています。また、提示される検査結果のレポートも、できるだけ年齢段階に応じた例示や、その年齢段階で起きやすい困りごととその対応方法を取り上げています。例えば、学齢期の学習面でのサポート方法については、学習内容に応じて、学年相当の漢字を例にするなど、学年に応じた例示が提示され、より具体的な支援で役立つことを目指しています。また、その発達に応じたコミュニケーションの方法や手先操作の難易度を考慮し、内容を提示しています。中高生には生活面で身の回りのことを自分でできるような工夫、お小遣いやスケジュール管理の方法などのヒントや、パソコンやスマートフォンを使った環境調整の方法などが提示される場合があります。まとめお子さまにとって取り組みやすい環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとの軽減につながります。また、失敗しにくい環境で成功体験を積むこともできます。特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。そのために、LITALICO発達特性検査の検査結果は詳細な内容で複数の「サポートの方向性」が示されます。さまざまな方法が提示されることで、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないか「ちょっと考えてみる」、「できそうな対応方法から一つだけやってみる」でもいいのです。お子さまの特性を整理して、困りそうな状況を減らしていくことができれば、保護者や周りの人にとっても、子育てがスムーズになったり、つらい状況が減っていくことにつながります。もし、サポートが難しいと感じたら、専門機関に相談することも検討しましょう。その際にも、検査結果が参考資料として役立つかもしれません。LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
2024年07月19日音楽を使った発達支援を始めるまでのまゆみ長女のまゆみには、ASD(自閉スペクトラム症)と中等度の知的な遅れがあります。療育へつながるまでの流れは前回の記事にさせていただきましたが、今回は同時期に始めた音楽を使った発達支援のお話です。私は、まゆみがお腹にいた頃から「豊かに生きる一環として、音楽を好きになってくれたらいいなぁ」と思っていました。「この歌を歌うとこんな表情になった」とか、「親子番組のこの歌で揺れていた」とか、まゆみの変化を読み取りながら歌のレパートリーを増やしていくことは私の楽しみにもなっていて、まゆみの発達の遅れに気付き始めた頃もあちこちのリトミックイベントや体験教室に顔を出していました。Upload By にれが、これが親子で泣いて帰ることの連続!参加するどころかその場にいることもできないまゆみの姿にはショックを受けながらも、「集団になると参加できないだけで、この子は音楽が好きなはず」という直観だけはあり、どうしたらその気持ちに応えられるのか分からず無力な気持ちで過ごしていました。音楽を活用した児童発達支援に通い始めてひだまり児童園(仮称)に親子通所を始める直前、相談支援の先生から連絡をいただきました。「音楽特化型発達支援の事業所を設けている楽器店さんがあるんです。まゆみちゃんは音楽が好きだとおっしゃっていたので……こちらもどうですか?」もちろん二つ返事でお願いしました。一般のリトミック教室には参加できなかったまゆみも、発達支援という枠組みでなら音楽を楽しむことができるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませて、まゆみと二人で音楽を活用した児童発達支援事業所「ぴあちぇ~れ」(仮称)の扉を叩きました。当時1歳8ヶ月のまゆみには同年代の生徒さんがおらず、個別療育でのスタート。先生方はあたたかく迎え入れてくれて、とことんまゆみに合わせたプログラムで対応してくれました。最初は入室拒否して『大文字泣き』していたまゆみも、次第に「どうやらここは楽しい場所らしい」と気付いたようで、3回目くらいからは自分でドアを押して入ろうとしていたように記憶しています。重いガラスのドアで、しかも引くタイプだったので押しても開かないのですが、進んで入ろうとしてくれる姿が嬉しくて涙が出ました。音楽を使った発達支援の内容Upload By にれ1)まずは教室の隅に用意された小さな椅子を親子で運び、着席できたらご挨拶です。「今日は○月○日○曜日、お天気は○○。よろしくお願いします」という先生の声にはあまり反応しませんが、その後の「はじまりの歌」では、渡されたタンバリンをリズムよく鳴らしたり振ったりしていました。この歌は毎回同じなので、「これからはじまる」という導入のサインにもなっていたのだと思います。2)歌・楽器遊びでは、毎回違う歌と楽器が用意されます。1曲につき数種類の楽器が並べられ、そのうち1つを選んで先生のピアノ・歌に合わせて自由に演奏を楽しみます。カスタネットや鈴といったお馴染みの楽器に加え、ウインドチャイムやスリットドラム、カホン、セミーヤといった珍しい楽器も。鳴らしてみたい楽器が複数あるときは同じ歌でもう一度トライできたり、柔軟に対応していただきました。3)2~3曲、歌と楽器を楽しんだあとは、形の違う4つの太鼓を用意します。大きな太鼓、平べったい太鼓、細長い太鼓、小さな太鼓……音の違いや感触の違いを楽しみながら、こちらもピアノに合わせて手やマレットで演奏を楽しみます。4)その次は、細長い太鼓だけを教室に残して体を動かす遊びです。太鼓の周りを、ピアノの調べに合わせて走ったり歩いたりしながらグルグル回ります。やがてグループ療育にも参加するようになると、年齢や参加人数に合わせて「音が止んだら太鼓を叩く」「名前を呼ばれた人が太鼓を叩く」などバリエーションが増えていきました。5)太鼓をしまうと、回によって内容は変わりましたがリラックスできるような遊びが多かったと思います。まゆみを仰向けに寝そべらせた状態で行う手遊びを教えてもらったり、リトミックスカーフを使う遊びなどを教えてもらいました。6)終わりの挨拶と歌も毎回同じなので、まゆみにとって「これでおしまい」というのが分かりやすかったようです。教室内をウロウロしていても、終わりの歌が始まると先生の前に戻ってくるようになりました。まゆみの変化まず驚いたのは、楽器を選んだことでした。二択でも「選ぶ」という行為が難しいまゆみにとって、並べられたものから一つを手に取るだけでも珍しいことでした。選んだすぐあとでほかのものが気になって手を伸ばしたりしてしまう姿は今も見られますが、少しずつ「選ぶ」「順番」の概念を学んでいってくれているように思います。さらに、表情が乏しかったまゆみが、太鼓の周りを走りながら満面の笑みを見せてくれたことも衝撃でした。リラックスタイムで、たくさんの造花の花びらをまき散らしながら嬉しそうに寝そべっていた様子も忘れられません。Upload By にれ一番の変化は、教わった手遊びを家でも繰り返すうちにまゆみから催促してくれるようになったことです。一緒に遊びたくてもまゆみが受け付けてくれない日々が続いていた中で、初めて「わが子と遊んでいる」という実感が持てました。あまりに嬉しくて、自宅用に買ったリトミックスカーフがボロボロになるほど相手をしました。触れ合いが増えていくにつれてまゆみの表情が柔らかくなっていき、笑顔が増えていきました。振り返りと、現在ぴあちぇ~れさんには音楽を通して「楽しい」という感覚を育ててもらえたのではないかと思います。そうして1年4ヶ月ほど楽しく通わせてもらいましたが、まゆみが3歳になる直前に一旦卒業することになりました。メインとなる療育先を移って単独通所を始めることになり、平日昼間の予定が埋まることになったためです。それから2年ほど経ったまゆみ5歳3ヶ月のとき、ぴあちぇ~れから「金曜夕方のクラスを開設することになったのでいかがですか?」と連絡がありました。またも二つ返事でお願いし、まゆみは2年4ヶ月ぶりに音楽を使った発達支援を再開しました。ぴあちぇ~れが楽しい場所だと覚えていたまゆみは、入るなり大興奮!……復帰第1回目はひたすら跳ね回っているうちに終わってしまいました……。それから数ヶ月通い続けていますが、楽しすぎて動き回ってしまうことが多く、なかなか身を入れて参加とはいかない日が続いています。けれど、音楽が好きという気持ちはまゆみの中で育っているようで、家では自分からピアノに向かったり、クリスマスプレゼントにハープを欲しがるような女の子に成長しました。コミュニケーションは相変わらず独特で何かを教えることは難しいのですが、いつの間にか一人で覚えた『きらきら星』や『ハッピーバースデー』を演奏してくれます。これも、楽しく楽器に向かう気持ちを音楽を使った発達支援が種まきしてくれたからかもしれません。まゆみが音を楽しむ様子を、これからもじっくり見守りたいと思います。Upload By にれ執筆/にれ(監修:室伏先生より)にれさん、音楽を使った発達支援の内容や、まゆみちゃんがそれらを楽しむご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、周りの方との関わりに興味が向きにくい傾向にありますが、音楽を使った発達支援には、音楽を使った関わり遊びやふれあい遊びを通して、ご家族や支援者との関係性の改善や、コミュニケーションスキルの向上によい影響があることが分かってきています。そのほかにも、聴覚過敏のお子さんがさまざまな楽器の音に楽しく慣れることができたり(感覚過敏のお子さんにとってさまざまな刺激を受け取ることを楽しめるというのは貴重な機会です)、音楽に合わせて体を動かすことで運動能力の向上なども期待できます。これらは、お子さんがこの活動を楽しめる場合に得られる効果です。好きなもの、好きな遊びはお子さんによって異なりますので、その子の趣向に合わせた療育や活動の場を選ぶことができるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月19日マンガ「発達障害の子どもと私たち」はるき編 第4話(最終話)Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談私も息子と同じだった……?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談わが家が選んだ道――Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談家族で話し合い、不登校に取り組んでいく発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」の最終話(第4話)をお届けします。小学2年生のはるきさんは、3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けています。2年生の5月、運動会のあとから学校を休みがちになり、保護者はそんなはるきさんを受け止めていました。しかしある日登校をうながされたはるきさんは、教室で腹痛を訴えることに。身体症状がでたはるきさんは、完全に不登校となりました。保護者である母は、自宅でリモートワークをしているのですが、仕事が忙しいためはるきさんを全く構えない状態。部屋の隅で気配を消してゲームをしているはるきさんを見て、心を痛めていました。A家がとった選択は「母が仕事を辞めて、今ははるきさんと向き合う」こと。長期で休むことによって、学校の先生やスクールカウンセラーと話す機会が減っていくかもしれません。自分ひとりで悩みを抱え、孤独になりがちだった母とパートナーが話し合いをし、一つの決断をできたのはとても大切なことです。もちろんこれは選択肢の一つであって、唯一の正解があるわけではありません。このことによってはるきさんとの時間がとれるようになった母は、はるきさんと会話したり、はるきさんの居場所探しをすることができるようになりました。はるきさんたちのその後は、2章みき編完結後にお届けする「エピローグ」でご紹介します。不登校の子どもの居場所は?今や将来についての情報を集める【専門家解説】ずっと家にこもりっきりでいいのだろうかと不安になることも多いと思いますが、今は家にいるだけで精一杯のお子さんも、少し元気が出てくると、家にいながらオンラインなどで興味関心のあるイベントに参加したり、やがて実際に行われているイベントへ行ってみたいという気持ちが湧く場合もあります。また、同世代の友達がほしいと思う場合、「不登校」仲間がいると心強いと感じるお子さんもいます。そうした単発イベントや継続して通える公的・民間の居場所についての情報を集めてみるといいでしょう。フリースクール、放課後等デイサービスなどは地域の相談支援専門員などと相談しながら進めていけるとよいでしょう。※放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」(受給者証)が必要となります。取得の条件や手続き方法は自治体により異なります。在宅勤務で家にいるのに、はるきさん相手にできない罪悪感があったと思います。はるきさんとお母さんの場合、退職をするという一大決心をされたのは良い側面もあるでしょう。寄り添う時間をもつことが、大きなプラスになったと思います。一方、不登校状態になってしまったお子さんに対する親御さんの関わり方として、一定の答えがあるわけではありません。寄り添うことが親御さんにとって過度な負担になって、お子さんとの関係が悪化してしまうケースもあるので、一人ひとりに合わせて判断する必要があるのでしょう。Upload By ユーザー体験談不登校への対応については、以下記事を是非ご覧ください。次回からは2章「みき編」がスタートします。通常学級に通うみきさんは、小学校4年生になりだんだんと学校の勉強についていくことができなくなりました。苦しむみきさんを見て母は「このままではみきの心が壊れてしまう」と感じ、転籍を求め学校、教育委員会との話し合いに臨むのですが……。お楽しみに。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月18日成長しても「何でも口に入れる」息子。外出時も……息子は赤ちゃんの頃から、自分の指はもちろん、固いおもちゃから柔らかいおもちゃ、絵本など何でも口に入れてしまうところがありました。赤ちゃんとはそういうものかもしれません。でも、息子は大きくなってきてもそれを止める気配がありませんでした。特に冷たくてつるつるしたものを口で確かめたくなるようで、家の中では床や窓ガラスに口をつけていることが多かったです。外でも油断は禁物で、できるだけ気をつけていましたが、防ぎきれないこともあったので、常に除菌ウェットティッシュを持ち歩くようにしていました。注意するとその場では止められるけれど、また気づくとどこかに口をつけている……という状態でした。Upload By メイついに恐れていたことが!幼稚園年少での誤飲トラブル物をなめたり口の中に入れたりする癖が災いし、息子は幼稚園の年少の時、小銭を飲み込んでしまったことがあります。その日私が家事をしていると、急にむせるような息子の声が聞こえました。慌てて息子のもとに駆けつけましたが、息子はけろっとしています。周りを見ると、幼稚園への支払い用に準備してあったお金が散らばっていました。金額を確認すると50円足りません。息子に、「もしかしてお金飲み込んじゃった?」と聞くと「うん」と答えました。Upload By メイ急いで口の中を見ましたが、もう飲み込んでしまっていて、口の中に50円玉はありませんでした。息子は何事もなかったかのように平気そうな様子でしたが、異物を飲み込んでしまうのは初めてのことだったので、どうしたらいいか分からず、かかりつけの小児科に電話をかけました。その時はすでに夜だったのですが、かかりつけの先生の勧めで夜間もやっているこども病院を受診することにしました。子ども病院の夜間救急を受診。レントゲンを撮ってもらうと……こども病院で、お腹のレントゲンを撮ってもらいました。すると、50円玉が胃の中にあることが確認できました。Upload By メイお腹の中まで入ってしまっていたら後は出てくるのを待つしかないということで、ちゃんと50円玉が出てくるか、これからしばらくの間は便を確認するように言われました。それから数日間、息子が排便をするたびに割り箸を使って探しましたが、結局見つかりませんでした。その後再びこども病院で診察をしてもらい、もうお腹の中に50円玉はないということを確認してもらいました。一度だけ息子が自分で便を流してしまったことがあったので、その時にもしかしたら入っていたのかもしれません。この時は大事に至らずに済んでよかったのですが、もしうまく胃の中まで入らず、途中の食道で引っかかって止まってしまっていたら、手術をしないと取り出せなかったかも……とお医者さんに言われてゾッとしました。小学生になった今も「物を口に入れる癖」は残っていて……実は小学生になった今も、食べ物ではないものを口に入れたがることがあります。さすがに懲りたのか、小銭を口に入れることはありませんが、プラスチックのお菓子のゴミやティッシュなどを口に入れている時があります。Upload By メイ特に宿題をしている時に口に入れていることが多いので、何かしらのストレス発散になっているのかもしれません。学校や外ではやっていないようですが、誤って飲み込まないように注意しつつ「それはゴミだから口に入れるものじゃないよ」ということはその都度伝えています。最近では何か口に入れたくなった時のために、ボトルのガムを常備するようにしていて、異物を口に入れることは少しずつなくなってきています。執筆/メイ(監修:新美先生より)乳児期を過ぎても何でも口に入れてしまうことが続くタイプのお子さんがいます。口腔内の感触でどのようなものか確かめたい場合や、口腔内の触感の刺激を好んでいる場合、口腔内の感触で気持ちが落ち着く安らぐ場合などがあります。大人から見ると誤飲・窒息のリスクが高いことはもちろん、衛生面の心配や、周りからどう見られるかマナー面での心配などがあり、やめさせたい行動ですが、無意識的にやっていることも多く、やめさせるのがなかなか難しいこともあります。まず、誤飲・窒息を避けなければいけないので、口の中に入るサイズのものや、たばこ・薬など少量でも毒性のあるものは、絶対に、子どもの手の届く場所に置かないというのは大人の責任でやっていくしかありません。親戚の家に遊びに行ったときなどは、もう、目を離さず見ているしかないでしょう。……とはいえ絶対に目を離さないということは現実的ではないし、どんなに気をつけていてもついうっかりと言うことは、あるものですよね。本当に大変です。ある程度理解できるようになってきた場合、なぜ、口の中にものを入れてはいけないのかを、4コマ漫画などを使って視覚的に具体的に伝えることで、本人が自覚してやめようと思えるようになることもあります。この際は本人が気にしていること……例えば病気になるのが怖いお子さんだったら、衛生面から病気になる可能性があることを伝えるなど、本人が納得しやすい観点から理由を説明するとよいでしょう。消しゴムをかむのをやめられない子どもが腹痛で入院した時に、お医者さんから指導されて、消しゴムをかむのはやめられた……なんていうエピソードがあったりもします。何かのきっかけで本人が納得できるとやめられることもあります。本人が、その行動をやめようと思えた場合であっても、代わりになる行動を提案しないと、無意識的にやってしまうことはあります。なめたりかんだりしても差し支えないもの、ガムやカミカミグッズ(かんでもOKなタオルや、それ用に販売されているグッズもあります)などを手に取りやすい場所に置いておくなどがいいかもしれません。集中したい時にかむ刺激があることで集中できるお子さんもいます。じゃあ、ガムで!といっても、ガムの味や触感が好きじゃないという子どももいて、どうしても不適切なものをかんでしまうことをやめられない場合もあります。TPOを考慮する(学校など公共の場ではしないけれど家ならOK)など、徐々に折り合いをつけていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月18日保育園の保護者さんたちにわが子の障害を受け入れてもらいたい!きいちゃんは身体が小さめなため、小学2年生くらいまでは保育園児に間違えられることも多かったのですが、小学3年生になった今はどこからどう見ても小学生!という体格にすくすくと成長中です(母はうれしい反面、ちょっと寂しい……)。さて、前回は「新生活」をテーマにして、保育園入園時(当時きいちゃん0歳)に主に保育園や担任の先生に対し、障害のある息子を理解し、受け入れてもらうために私がしたことを書きました。今回は、同じ保育園のクラスに通う児童の保護者さんたちにどうやって溶け込めたか、そしてどうやってきいちゃんの障害を受け入れてもらったか、ということについて書きたいと思います。受け入れてもらえるかは私の説明次第⁉意気込むも……きっと昔の私のように、保育園や幼稚園に通う前の障害のあるお子さんをお持ちのパパママさんたちは、ほかの保護者や子どもたちに自分の子どもを受け入れてもらえるか心配な方もいらっしゃると思います。まずは、自分の口から丁寧にきいちゃんの障害を説明して、ほかの保護者さんたちに理解してもらわなければ……‼と当時の私は意気込みました。Upload By 星きのこしかーし‼きいちゃんが入ったのは保育園。そう、働くパパママたちのお子さんが通う園です。はっきり言って、行きも帰りもバッタバタ。私もでしたが、みんな、仕事前や帰りに子どもをサッと預け、サッと連れて帰り、忙しくて1日1日を回していくのに精いっぱいです。ほかのママさんたちとも、挨拶を交わすことはあるものの、少し立ち話……なんて、そんな時間はありませんでした。Upload By 星きのこしかし、保育園が始まって間もなく、その時は、やってきました……。そう、懇談会です。やっとめぐってきた自己紹介の機会!明るく笑顔で話そうとしたら……やっと、やっとここで自己紹介ができる……!ここできいちゃんの障害をカミングアウトできる……!と思いました。保育園入園当時、きいちゃんはまだ6ヶ月。私もダウン症のある子のママになって6ヶ月。まだまだ気持ちが安定していない状態でした。でも……!暗ーくならず、障害なんか気にせずに、明るくきいちゃんのことを笑顔で話せば、きっとほかの方も構えすぎることなく自然に受け入れてもらえるはず……!元気に挨拶して頑張ろう……!と、何度もシミュレーションまでして挑みました。そして当日、10人くらいの0歳児クラスで、保護者の方は7名くらい出席されていたでしょうか。みんな、自分の子どもの性格、好きなこと、嫌いなものなどを話して、和やかに自己紹介が進みます。そしてとうとう私の番に……Upload By 星きのこなんと……途中まで普通に話せていたのに、きいちゃんの障害名を口にした途端、ポロッと涙が出てしまったのです…。自分では明るくしようと思っていたのに、心はそうじゃなかったんですね。つらいという本音の気持ちが涙になって出てしまいました……。でも、見渡すと……「うん、うん」という顔で聞いて下さっている方、「頑張れ」というような気持ちで聞いてくださっている方、そこには温かい空気が流れていました。考えてみるとみんな、ママ歴1年経ってないママさんたちなんですよね。自分の子どもに今、障害がなくても、いつどうなるかなんてわからないし、障害だけではなく、急な発熱や病気など、不安に思ったこともあったのかもしれません。だから、きっと私の気持ちや立場同じ年頃の子どもを持つ親として、分かってくださっていたのかもしれないな、と今は思います。きいちゃんが保育園でいじめられるかも……!と思っていたのは私の杞憂でした。そうして、きいちゃんと私の保育園生活は無事にスタートしたのでした。保育園の先生方もほかの保護者さんたちも、明るく普通に私たち親子を受け入れてくださったのでした。これから新しく新生活を送る予定のお子さんやそのママパパたちは不安があると思いますが、こちらが心を開くと、分かってくださる方のほうがずっと多いです。頑張ってくださいね!執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)私は障がいを持って生まれてきたお子さんの親御さんに「この子の染色体の1%には染色体異常があるかもしれませんが、99%は正常なのです」と日頃から伝えています。つまり、その1%のところは主治医が診るので、残りの99%のところは親御さんが楽しく育ててくださればいいのです。世間ではさまざまな障がいや病気を抱えて過ごしている方々がいます。そして周りの人たちは、その障がいや病気の詳細を知る由もないのです。最近は、その子の持っている障がいや病気に関して周りの子たちにも知ってもらうために、親御さんが教壇に立って伝えることも珍しくありません。できるだけ早い時期に学校のみんなに障がいのことを理解してもらえれば、障害や特性があるお子さんも楽しい学校生活が送れるのではないかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年07月17日娘が赤ちゃんの頃は、積極的に育児していた夫わが家の娘(ASD/自閉スペクトラム症、現在小学校4年生) は、生まれた時から私の想像を絶する育てづらさでした。抱っこしていないと寝ない、母乳も飲まない娘に、私は心身共に疲弊していました。産前産後は実家に里帰りをしていましたが、夫が仕事で不在の間1人で世話をするのは無理だと思い、1ヶ月間のつもりだった里帰りをさらに1ヶ月延長してもらったほどでした。生後2ヶ月が過ぎ、ついに夫の待つ自宅に帰りました。私は気合を入れて帰りましたが、想像以上に夫も気合いを入れて待っていてくれていました。ほぼ一日中泣いて抱っこしないと寝ない娘に対して、夫は夜の担当を申し出てくれました(母乳は飲まなすぎて、完全ミルク育児に切り替えていました)。何時間も泣き止まない時や何日かに一度は交代したものの、仕事をしながら夜もみてくれて本当に感謝していました。Upload By マミヤ献身的に育児をしていた夫に変化が?娘の乳児期は献身的に頑張ってくれていた夫でしたが、娘が1歳を過ぎると、多動やパパのお世話を嫌がる「パパイヤ期」など違う育てづらさが出てきました。次第に、夫は子育てに対して壁を感じるようになってきたようでした。私も育てづらさを感じていましたが、夫は娘と2人きりになるのを拒否し、子育てを「大変なもの」としか認識しなくなっていきました。夫は娘を「怪獣みたい」「俺は公園に娘と2人で行けない」「可愛いよりも大変」と言うようになり、今思うと「育児ノイローゼ」のようになっていたように感じます。娘は1歳半健診で要観察になり、発達障害なのでは?と思った私は療育を始めたいことを夫に伝えましたが「ママがそう思うならいいよ」と即答でした。私は「他人事みたいだけど、反対されるよりはいいか」と思っていました。Upload By マミヤ徐々に開き始めた娘と夫の距離娘は2歳4ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。ほどなくして、わが家は他県に引っ越しをしましたが、その引っ越しをきっかけに夫は娘の寝かしつけをやめ(娘が夫を拒否して泣くので)、一人で自分の部屋で寝るようになりました。休日に娘を連れて遠出する時なども、夫には留守番してもらうようになりました。これ以上夫に子育てを負担に思ってほしくないと、私が考えたことでした。その頃私は、夫にも娘の発達のことを知ってもらいたいと思い、発達障害に関する本をすすめました。しかし夫の返答は「どうしてもっていうなら、今内容を口頭で教えて。それからどうしても読んでほしいところに付箋をつけといて」でした。このあたりから、娘のことに関して夫には意見がないことが気になるようになりました。発達外来にかかっても、療育に行っても、幼稚園を選ぶ時も自発的な気持ちを感じないのです。そして、娘のこだわりや特性を理解して臨機応変に対応しない夫に、娘はどんどん懐かなくなっていきました。娘の5歳の誕生日に起きたトラブル。思わず涙した私に、夫は……そして月日が経ち、娘の5歳の誕生日がやってきました。夫と娘の関係は悪くなる一方でしたが、事前に「その日は家族仲良くできるよう協力してね」と夫には伝えていました。それにもかかわらず、誕生日の当日に夫と娘は喧嘩をしました。私は初めて夫の前で泣きました。夫はすぐに謝ってくれましたが、私はその日の夜に思っていたことをたくさん伝えました。うちの子は定型発達の子ではない。ASD(自閉スペクトラム症)なんだ。親がしっかり向き合って、信頼できる存在にならないと今後親子関係が破綻する。いつまで目を背けているつもりだ。病院にも療育にも興味を示さないし、娘のことなんてどうでもいいと思ってるのか。私が一番恐れているのは発達障害の二次障害で、ストレスなどが原因で自傷行為に発展することもある。また父親と仲が悪くなり家に居場所がなくなって家出したらどうするんだ……と。夫は衝撃を受けた顔をして私の話を聞いていました。そこまで先のことは考えていなかった、どうしてもその場その場の感情で接してしまうと言って再度謝ってくれました。Upload By マミヤ本音をぶつけた日を境に、変わり始めた夫この日を境に夫は娘への態度を変えたような気がします。病院での話も詳しく聞いてくれるようになったし、就学相談の時も、発達検査の結果を見てはじめは 「通常学級でいいんじゃないの?」と言っていましたが、特別支援学級に行かせたいという私の意見に理解を示して「しぇーちゃんが楽しく通えるほうにしよう」と言ってくれました。娘が一時期不登校になった時も「しぇーちゃんが落ち着いて過ごせる場所を探せばいい。学校に絶対に行く必要はないよ」と娘に話し、いつでも味方であるとしっかり伝えてくれていました。わが家は、夫婦で同じ方向を向いて育児することに時間がかかりました。夫だけでなく私自身にも落ち度はあり、夫と言い合いになることを避けていたところもあります。娘は現在9歳になりました。今では夕食のあと3人でいろんな話をしたりカードゲームをして楽しく過ごしています。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)ご家族のしぇーちゃんへの向き合い方、しぇーちゃんとお父さまの関係性について詳しく共有してくださり、ありがとうございます。お子さんのことをとても大切に思っているのに、拒絶されたように感じてしまって葛藤を感じたり、どのように接したらいいのか分からなくて戸惑いを抱えたり、というご経験がある方は少なくないと思います。外来ではお母さまとお子さんだけでお話にいらっしゃったり、ご家族でいらしてもお母さまが中心にお話しされることもしばしばあります。しかし、お父さまのお気持ちやご家族全体の関係性に思いを馳せること、そしてご家族全員の心が健康でいられるようなサポートなどもとても重要なことだと、マミヤさんの記事を読ませていただいて、私自身も改めて感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月16日ヘルプマークって?みなさんヘルプマークをご存知でしょうか?発達がゆっくりな子どもを持つ親御さんは、一度は聞いたり見たりしているのではないかと思います。一般的には「外見では分からない、見えない疾患や障害がある方など、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲の方に知らせることができるマーク」として周知されていると思います。 私自身、子どもが生まれる前……独身時代からテレビや電車の掲示で存在は知っていましたが、どちらかというと「ペースメーカーや内臓の疾患などの外見で分からない方が使用するマーク」という認識が強かったと思います。2歳半で息子がASD(自閉スペクトラム症)と診断され、療育などいろんな手続きをしているうちに、発達障害がある場合でもヘルプマークを使用するケースがあることを知りました。Upload By 海乃けだまヘルプマーク、つける?つけない?……悩んだ末に息子は年少・年中の年は療育園に通い、年長の年から地域の幼稚園に転園したのですが、まず最初にヘルプマークをつけようか悩んだのはこの転園のタイミングでした。というのも、療育園と違い、地域の幼稚園は定型発達の子どもが大半だったので、その親御さんたちの中に「発達障害のことをよく知らない方もいるのでは?」と思ったからです。私自身息子の診断がなければ、発達障害についてこんなに深く調べることもなかったでしょうし、実際育児の"い"の字も知らない独身時代は「子どもは保護者のしつけ次第」なんてお恥ずかしいことを思っていました……(恥)。転園する頃には、一応一通りの生活動作は自立していた息子ですが、なんせ何事にも時間がかかり、場面の切り替えも苦手で、特に運動面と食事動作は「本当に5歳?」と初めて会ったお友達に言われるほどでした。幼稚園児といえど、もう年長……定型発達の子どもたちは自分と他人の違いも分かっている年齢……。診断名をカミングアウトとかそんな大それたことはせずとも、ほかの親御さんに息子が発達ゆっくりさんであることをそれとなく知ってもらうためにヘルプマークをつけようか迷いました。メリット、デメリット、そして息子本人の気持ち……(息子には診断名は伝えていませんが、改まったカミングアウトという形ではなく、日常的に「お友達よりも苦手なことがある、難しくて時間がかかってしまう。でも息子のペースでできるようになるからね」という話はしていました)。夫とも話し合った結果、幼稚園での生活では、先生が常に子どもたちのそばにいて見守りをしてくれているし、登園降園も必ず保護者が付き添うので、ヘルプマークはつけない選択をしました。いよいよ小学校入学。ヘルプマークをつけようと思った理由。そしてヘルプマークを見た上級生の子が……!?無事幼稚園を卒園し、いよいよ小学校入学となりました。幼稚園は少人数で3クラス(年少・年中・年長)、そして異年齢の交流も多々あったので、園児のみんなが息子のことを知っていました。しかし小学校は1年生~6年生、異学年の子どもたちは名前も知らなかったり……。そんな中で、登下校には息子が慣れるまで付き添いをするつもりでしたが、学校生活では息子のことを知らない子どもたちが多いのでヘルプマークが必要だと感じました。地域の登校班で登校する初日、息子のランドセルにヘルプマークをつけて、息子以上にドキドキしながら集合場所に到着しました(上級生の親御さんたちには軽く息子が発達ゆっくりさんであることを話しました)。道徳の授業でヘルプマークについても習っていることを聞いていたので、子どもたちがどんな反応をするかドキドキでしたが、初日は歩き慣れてない息子が「疲れたーー!ランドセル重いー!」と不機嫌になるのをなんとか励ましながら歩くのが精一杯で、ほかの子どもたちを気にすることができませんでした(汗)。やっとの思いで校門に到着し、息子を見送ろうと手を振っていた際、目撃してしまったのです……!!上級生の女の子が息子のランドセルを指さして(ヘルプマークがついてるあたり)、お友達に耳打ちしている姿を……。Upload By 海乃けだまやっぱりつけないほうがよかったかも……落ち込んで帰宅。翌日からの周りの反応は?上級生の女の子がランドセルを指さして耳打ちをしている姿を見てしまった後、見送りの帰り道は頭の中でずっと「あの子はお友達になんて言ったんだろう。ヘルプマーク、つけないほうがよかったかな」とマイナスなことばかり考えていました。家事も手につかず(←いつも手につかず(笑))、息子に申し訳ないことをしてしまったんじゃないかと気持ちも沈んでいました。落ち込んでいても仕方ないので、下校のお迎えに行った際に息子との距離感をそれとなく確かめようと思いましたが、その上級生の女の子とは下校時間が違い会えませんでした。そして翌日……昨日の登校よりさらにドキドキして集合場所に行きました。「昨日耳打ちしてた女の子はどの子だったかな……」と考えていると、上級生の女の子2人が息子の近くに寄ってきて「ひとでくん、一緒に手繋いで歩こう?」と声をかけてくれたのです…… (感動)!!そう、その女の子たちは昨日耳打ちしていた女の子とそのお友達でした……!!耳打ちしているところを見たことで、悪い方向に考えてしまっていた自分を恥じました。今ではその優しい上級生の女の子たちのことがとっても大好きな息子。毎朝姿が見えると「〇〇ちゃーん!」と息子からニコニコ寄っていきます。Upload By 海乃けだま入学して3ヶ月経った今でも登下校には必ず付き添っていますが、元々インドア志向で登校しぶりのある息子が楽しく登校できているのはこの上級生の女の子をはじめ、優しい登校班のお友達のおかげです。ヘルプマークをつけるか、つけないかとても迷い、悩み・葛藤がありましたが、今のところつけていて良かったと思います。執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)お子さんのランドセルにヘルプマークを付けることにした経緯とその反響についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。ヘルプマークは、援助や配慮を必要とされるすべての方が、「援助や配慮をしてほしい」という意思を示す目印です。対象となる障害や疾患が特に決まっているわけではなく、必要な方は誰でもつけることができます。メリットは、援助や配慮が必要になる場合があるということを明示できることです。例えば、「がんの治療中で体力がない」ということをわざわざ言わないで優先席に座っていても、ヘルプマークがあれば何らかの事情があるのだろうと理解してくれるかもしれません。ヘルプマークの意味を認知している人の中には、困っている様子を見て声をかけてくれることがあるかもしれません。また、緊急事態のために、ヘルプマークの裏面に必要事項をメモしておくことも可能です。緊急連絡先やしてほしい対応などを書いておくこともできます。デメリットもないとは言えません。なんらかの「障害」がある人とみなされて、差別や偏見の目で見られることがないとは、今の世の中で言えません。また、お子さんの場合、ご本人が自発的にというのではなく、保護者が良かれと思ってつける場合、お子さんが物心ついて、ヘルプマークの意味を知った時に、疑問を抱いたり、自分の意志とは無関係につけられていたことに反感を持つかもしれません。周囲の子どもから「なんでこれをつけているの?」と聞かれて、困ってしまうというようなことも起こり得ます。今回は、ヘルプマークをつけることで、理解のある上級生が声をかけてくれるきっかけになったという、あたたかいエピソードをきかせていただきほっこりした気分になりました。ヘルプマークをつけるかどうかは、ご本人の性格・特性や周囲の環境を考えて、メリット・デメリットを検討して、各自に決められたらよいかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月15日心が重たい放課後等デイサービス探しスバルが年長の秋頃、当時通っていた療育先で1番の情報通ママから「放課後等デイサービス探しもう始めてる?」と聞かれました。就学相談や学校見学やサポートブック製作で身も心もいっぱいいっぱいなのに、情報通はもう放課後等デイサービスも探しているのかと焦りました。その人は「放課後等デイサービス探しは意外と楽しいよ」と言っていましたが、私は「楽しい訳あるかい」と思いました。スバルは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、当時入園する予定で通っていたプレ幼稚園を退園になり、大急ぎで幼稚園を探したことがありました。その記憶とリンクして心が重たくなりました。さらに私の住む地域では放課後等デイサービス契約までの道のりはやたらと長くややこしいものだと分かりました。私の心はますます重くなるのでした。楽しくなってきた放課後等デイサービス探し市のWebサイトに放課後等デイサービスの一覧がありました。想像していたよりたくさんの放課後等デイサービスがあり、地域でしぼったあと、1つずつインターネットで検索しました。その際にWebサイトがなかった放課後等デイサービスは候補から外しました。なんかアナログだから古そう……と思ったのです。いろいろ調べて行くうちに居場所系、療育系、お勉強系、イベント系など施設によって特色があることが分かりました。この時点で少し楽しくなってきていましたが、とある新しい施設のWebサイトが目にとまり、さらにテンションが上がりしました。その放課後等デイサービスでは毎月たくさんのイベントがあり、外部から特別講師が来て教えてくれるというのです。英会話、ダンス、ヨガ、工作、化学、プログラミング、ほかにもいろいろなイベントの日があり、こんなところに通えたら最高だと思いました。スバルと習い事と私スバルが赤ちゃんの頃、スバルの寝顔を見ながら夫とこんな話をしていました。「スバルは大きくなったらどんなことに興味を持つかな」「オレは水泳をさせたいな」「運動系ならダンスや体操もいいね」「剣道や柔道にも憧れる」「今の時代は英語も必要かな」「プログラミング教室も駅前にあったよ」「楽器もいいね」習い事ができる年齢になる頃にはASD(自閉スペクトラム症)と診断されており、集団活動が苦手なこと、先生からの集団への指示が通らないこと、びっくりするくらい不器用なことが分かりました。「先生の指示が聞けないと命に関わるから水泳は無理だね」「不器用だから楽器も厳しいね」「スバルは英語に興味がありそうだけど、集団だとほかの生徒さんに迷惑がかかるから英語教室も難しいかもね」「あれも……」「これも……」と諦めてきました。Upload By 星あかりそんな記憶がブワッっと溢れて、この放課後等デイサービスではあれも選べるこれも選べると感動しました。放課後等デイサービスの中でなら苦手なことにだって挑戦できるし、失敗したって集中できなくだって迷惑だなんて考えなくていいし、未知の分野に触れることもできる……。なんて楽しい場所なんだ!なんなら私が通いたい!と思いました。スバルは新しい場所や新しい体験が好きなのできっと楽しんで通えると思いました。アドレナリンがドバッと出て、その後は面倒な手続きもあっという間にこなしてしまいました。結局こちらのイベントもりもりの放課後等デイサービスと、これといってイベントはないけれど先生の印象がとても良かった放課後等デイサービスの2ヶ所に通うことになりました。いざ通所が始まると……小学校に入学し、学校に慣れ始めた頃に放課後等デイサービスの通所を開始しました。今まで体験した事のないイベントや習い事に目を輝かせて「楽しい!」と言っていたスバルですが、1ヶ月経った頃から行きたがらなくなりました。行くたびに違うことをしなくてはいけない環境に疲れてしまったのです。冷静になって考えるとスバルは新しい場所や新しい体験は好きなのですが、ルーティンが落ち着くという性質もあります。1ヶ月経ち、放課後等デイサービスへの通所がスバルにとって「日常」になったのでルーティンの優先度が上がったのだと思います。私が自分の欲望に目がくらみ、スバルの本質を忘れてしまったために起こったミスマッチでした。Upload By 星あかりその後はスバルが好きなイベントの日をメインに通い、もう1つの放課後等デイサービスとバランスを取りながら楽しく通所していましたが、数ヶ月後人間関係のトラブルで辞める決断をしました。紆余曲折あり、もう1つの放課後等デイサービスも辞め(その話はまたの機会に)現在は穏やかにルーティンをこなしながらエッセンス的に毎日楽しい活動がある放課後等デイサービスに通っています。人間関係も活動内容もスバルにぴったりあっているようで、心の底から楽しんで通っているのが分かります。この放課後等デイサービスはWebサイトがありませんが、先輩ママの紹介で見学に行き決めました。「Webサイトがない放課後等デイサービスはなんか古そう」と避けていた私ですが、WebサイトがなくてもSNSなどを上手に活用して情報を発信している施設がたくさんあることをこの時に学びました。SNSに疎かった私のほうがアナログでした。現在のスバルと習い事幼稚園児の頃と小学校低学年の頃は集団の中で活動しているスバルの姿が想像できなくて諦めていましたが、なんと現在は習い事に通っています。この習い事は、小学3年生になったスバルが「最初の放課後等デイサービスのイベントで体験したあれが習いたい」と言い出して決まりました。この頃には集団の中でも活動に参加できるようになっていたので、体験教室に何度も通い決定しました。楽しかったりつまづいたりしますが、小学5年生になっても自分の意思で習い事を続けています。舞い上がった私が決断した最初の放課後等デイサービスへの通所は、反省の多いものになりましたが、今の習い事につながったことで少しだけ心が軽くなりました。執筆/星あかり(監修:新美先生より)放課後等デイサービスは、活動内容や雰囲気が施設によってかなり異なっています。定員もあり、放課後等デイサービスを探すのは本当に大変ですよね。放課後等デイサービスを利用する目的として、療育的な関わり、学習サポート、家や学校でできない活動を経験する場、安全に過ごせる居場所などさまざまあると思います。学校生活を頑張ったあとにほっと一息、安心して過ごすことを目的とするなら、自由度が高くのびのび過ごせる放課後等デイサービスを選んだほうが良いでしょうし、ふだん家だけではできない活動を発達特性を踏まえてサポートを受けながら経験する場にしたいのであれば、興味ある活動が多い場所が気になりますね。放課後等デイサービスは定員があり、通える地域の制約もあるのでインターネット発信をほとんどしていない施設もけっこうあります。福祉サービスを紹介してくれる窓口は公的機関だと公平性の担保のため、どこがおすすめというようなことは教えてもらえないことも多くて、探すのは本当に大変です。相性の問題も大きいので、少々面倒でもいくつか見学して、ご本人に合った場所を見つけられると良いと思います。スバルくんは、放課後等デイサービスでの活動がきっかけで、やりたい習い事がみつけられたのですね。慣れて安心して通える放課後等デイサービスのイベントだったからこそ、その活動に出合えたといえるのかもしれません。そして、その活動をもっと深めたいと思えて、習い事を始めることができたのですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月14日幼少期は困った事はなかったものの、社会に出てから自身の発達障害に気づくというケースも。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、そんな自分に嫌気がさし仮病で欠勤するように。友人に相談すると、病院の受診をすすめられ、実際心療内科に行ってみると……?診断の結果は……話を聞いている間も、気がそれてしまう……治るものなの……?「ADHD」であることを友人のすすめで心療内科を受診したところ、ADHDだと診断された田所。子どもの頃は周りのフォローがあったため、困り感には繋がらなかったようです。ADHDであることを彼女に打ち明けると……?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年07月14日小さい頃から怖がりだった息子しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子。現在6歳で小学校へ通っています。しのくんは昔からとっても怖がり。爪切り、耳掃除、髪の毛をカットするのもすべて怖がります。なので、赤ちゃんの頃から、寝ている間にこっそり素早く済ませるのが習慣になっていました。もちろん「歯磨き」も苦手で、怖がってなかなか口を開けてくれず暴れてしまうので、私はしっかりと仕上げ磨きができないことに悩んでいました。Upload By keiko歯磨きを怖がる息子に、とうとう虫歯が……!そんな怖がりのしのくんに、保育園の年中になって、急に虫歯ができてしまいました!しのくんの抵抗にあいながらも仕上げ磨きはしていたし、保育園の歯科健診ではいつも問題がなかったので、これには私もショックを受けました。お菓子が大好きなしのくん。年中になってできることが増えてきたので行動範囲が広がり、時々、戸棚からお菓子を探し出して勝手に食べていたからかもしれません……。とにかく、虫歯になってしまったからには仕方ありません。小児歯科を探してしのくんを連れて行くことにしました。ところが、何とか歯科医院には連れてきたものの、しのくんは歯医者さんをとっても怖がり、診察台に寝ころぶこともできません。Upload By keikoこのままだと全身麻酔するしかない!?当時5歳だったしのくんはかなり力も強くなっていたので、歯医者さんには「このままだと、全身麻酔で治療できる病院に行ってもらうかも」と言われてしまいました。ですが、全身麻酔の治療となると、入院もしなければならないので、できれば回避したい……!ということで、虫歯の進行止めのお薬を塗って様子を見てもらうことになりました。その様子見の間に、歯医者さんにあるいろんな機械を触らせてもらったり、寝ころぶ練習をしたりして、慣れてから治療に進もう!という計画だったのですが……。直後に虫歯が悪化!治療することにそんな思いも虚しく、歯科医院にいった数日後に、しのくんの虫歯が痛くなってきてしまいました!歯の痛みが強かったので、その歯科医院で急きょ治療することになりました。私はしのくんの上に馬乗りになり、しのくんの腕と足を抑える担当です。しのくんの頭と足は看護師さん達に抑えてもらい、5人がかりで治療が始まりました。あまりの怖さに泣き叫ぶしのくん。緊張が走る治療の最中、歯を削る時に水が出る機械がまさかのタイミングで故障してしまい、現場は一時的に大パニック!ここまできて治療を中断するわけにはいかないので、凄まじい緊張感の中、先生が手早くなんとか治療を完了してくれました。Upload By keiko現場は水浸しになり、私はしのくんにひっかかれて流血……。しのくんは泣きすぎて目の周りが点状出血してしまいました。Upload By keikoこんな怖い思いをしたら、もう二度と歯医者に行ってくれないのでは?と心配していましたが、小学生になった現在は、嫌がりながらも病院にはちゃんと行ってくれています。嫌だけれど行かなければいけないと分かってきたのかな?と成長を感じています。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは初めてのことが怖い傾向があります。動画があればあらかじめ見せて予習してから行く方法もあります。しかし、今回のような歯科治療や予防接種などはあらかじめ見せても余計に怖がるかもしれません。私の外来でもASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの予防接種は、激しく暴れる場合には安全性を優先して、お子さんには壁に向かって立ってもらい、親御さんとスタッフで動かないようにサポートしてもらいながらやることもあります。このように多少強引にではあっても、予防接種ができた時には褒めます。ただ、それ以上のことはしないと分かれば、だんだんと分かってくれるものです。そして、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの怖がりの裏には感覚過敏がある場合が多いのです。そのため、爪切りや耳掃除、髪の毛カットも嫌います。できるだけ早いうちから慣れさせて習慣づけてしまえばお互いに楽なので、少しずつスモールステップで慣れるようにしていくといいでしょう。もしできなくても叱らず、できたらたくさん褒めてあげるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月13日医療機関での相談と連携お子さまの発達が気になるとき、医療機関を受診する場合もあるでしょう。受診では、お子さまの様子を実際に診察するほか、保護者の方への問診が行われます。特に、それまでの生育歴や様子、気になっていることなどの保護者の方からの情報が重視されます。必要に応じて検査や診断を行う場合もあります。発達が気になる場合の専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。Webサイトなどで診療科を確認したり、発達障害の診断や診察ができる専門医が在籍している医療機関を調べたりしてみましょう。かかりつけの小児科や、相談機関から紹介を受けて受診するケースもあります。もし、自分で専門の医療機関を見つけることが難しい場合や、受診すべきか迷う場合などには、地域の子育て支援センターや発達支援センター、保健センターなどの相談機関や、かかりつけの小児科などで受診について相談するといいでしょう。紹介状をもらえることもあります。発達障害診療医師名簿(一般社団法人日本小児神経学会)事前に具体的な困りごとを整理しておくと、問診がスムーズに進みます。その方法の一つとして、LITALICO発達特性検査があります。オンラインで受検できる検査サービスのため、自宅など好きな場所で利用でき、受検後すぐに検査結果レポートをWebブラウザで閲覧できるほか、PDF形式でダウンロードできます。お子さまの困っていることや特性の傾向や強さのほか、その困りや特性の背景にどのようなことがあるか、またどう対応すればいいかのサポートの方向性が表示されます。検査結果のデータやPDFをプリントすることで、医療機関での相談・共有のためのツールとしてお役立てください。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。連携と情報提供のポイント問診では、まずは家庭での様子や保護者の方やお子さまが感じている困りごとや課題を具体的に共有します。どのくらい困っているかなどは、主観的な内容でもあり、なかなか説明するのが難しい部分です。LITALICO発達特性検査を受検している場合は、その結果を持参し、検査結果のグラフなどを見せながら説明すると、より伝わりやすくなります。注意点としては、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点で測定されるということです。保護者として感じている不安や困りごとは重要な情報となりますが、医療機関では、そのほかの情報も含め、診断基準を満たしているかなどを慎重に判断します。そのため、医師の見立てが保護者の方の見立てと異なることもあります。環境によって特性や困りごとの現れ方が変わっている可能性もあり、見立てが異なること自体も重要な情報になります。専門家の見立てや場面による行動の違いを知る機会と考えて、相談を進めるとお子さまの理解が深まるかもしれません。検査結果のほかにもフラットな情報収集を意識するといいでしょう。問診では、出産時の状況やその後の病歴、歩き始めた時期や言葉の発達の様子など、生育歴についても聞かれることがあります。また1歳半健診や3歳児健診時の様子やそこで言われたことなどが確認されるケースもあるので、母子健康手帳なども準備しておくとよいでしょう。LITALICO発達特性検査を複数回受検している場合には、過去の結果も持参すると、困りごとの現れ方の変化の情報にもなります。また、授業についていけなくなった、学校に行くのを嫌がるようになったなど、新しい困りごとが出てきたり、お子さまの様子が変わってきたことをきっかけに受診する場合にも、情報を整理しておくと問診がスムーズになります。変化によって不安が強まりやすい特性があるお子さまの場合、また、困りごとの生じにくい環境や方法がある場合などには、本人に合った環境で一貫した対応が必要なことがあります。そこで、保護者だけでなく、周囲で関わる人が情報の共有をし、理解をしたうえで同じような接し方をすることが大切です。特に、医療機関では、治療方針や診断をよりきめ細やかにするために、実際に家庭や園・学校で試してみた対応方法などの結果といった情報の共有が必要になることがあります。また対応方法や環境調整についても、医学的な見地からのアドバイスを得られるチャンスとなります。具体的な支援方法や、家庭で試してみてもうまくいかなかったことなどについて、レポートの結果をもとに話すことで、限られた診察時間の中で、より具体的で専門的な相談ができるかもしれません。予約や診断まで時間がある場合にできること医療機関や状況によっては、予約がとりにくいなどで初診までに時間がかかることもあります。また、子どもの発達障害の診断には、さまざまな検査や経過をみる必要があるため、ある程度の期間がかかる傾向があります。また、一度受診したあと、再診までに期間があくこともあるでしょう。その間にできることをいくつかご紹介します。受診時にその場で考えると意外と焦ってうまく伝えられないことや、思い出せないこともあります。事前に以下のような情報を集め、まとめておくといいでしょう。・困っていることやお子さまの気になる様子・様子がいつ頃から続いているか、変化した時期はいつか・いつ、どのような状況で困りごとが起きるか、家庭で試してみた対応方法などの様子・園や学校での様子や、相談機関などに相談した際の内容など、外部からの情報など家庭で保護者の方が観察したり、これまでを振り返ったりすると、時間がかかって負担が大きいと感じるかもしれません。LITALICO発達特性検査の検査結果の情報を切り取ったり、マーカーや付箋、メモなどをつけて活用するといいでしょう。どのような観点で気になっているかが分からないときには、ヒントとしてLITALICO発達特性検査の検査結果を活用することもできます。検査結果で困りが強く出ているところや、特性などで当てはまると感じた部分に注目してみましょう。事前に相談機関や園・学校で情報収集する際の連携ツールとしても、検査結果を活用できます。問診の時間が限られていることもあるので、相談したいことが複数ある場合は、事前に相談したいことに優先順位をつけておくことをおすすめします。検査結果を持参する際には、特に相談したい点にマーカーや付箋をつけておいたり、自分でメモをつくる際には箇条書きなどにしたり、簡潔にまとめておくといいでしょう。さらに時間がある場合、検査結果で表示されたお子さまに合いそうなサポートの中からいくつか試してみて、その結果がどうだったかメモしておくのもおすすめです。それらを医療機関で伝えることで、お子さまの特性についてより把握しやすくなることもあります。今後の方針や、より具体的な配慮について相談するきっかけにもなります。再診時のポイント再診時には、前回の受診時との変化や、直近の様子などを中心に聞かれることが多くあります。お子さまの様子や、治療や発達支援などを受けた様子、家庭や学校で試したみた方法などについてまとめておくといいでしょう。特に、前回の受診から数年経っているときなど、間が長くあいた場合には、困りごとの内容や強さが変わっているかどうかが情報として役立ちます。検査結果と以前の様子で変化があるところや、気になるところをまとめておくといいでしょう。まとめお子さまに合った対応をすることで困りごとが軽減する場合、発達が気になる場合でも、必ずしも受診や診断が必要であるとは限りません。ですが、困りごとが強く、長く続いている場合などには、医療機関に相談し、より専門的な支援を検討することが重要です。また、医療機関の受診や診断がなくても、受けられる支援もありますが、福祉的な支援や園・学校での配慮を受ける際に、医療的な見解を求められる場合もあります。医療機関と連携し、信頼関係をつくることで、お子さまと保護者の方にとって心強いサポートになるともいえます。医療機関への相談で重要なのが、保護者の方からの情報をスムーズに伝えることです。受診の限られた時間の中で情報の共有やより具体的な相談をするためにも、事前に情報をまとめておく、優先順位をつけておくといった工夫がポイントとなります。そのような際に、ぜひLITALICO発達特性検査を連携のためのツールとしてご活用ください。
2024年07月12日重度知的障害(知的発達症)息子のレスパイト、ショートステイの経験をご紹介します4歳で知的障害(知的発達症)と診断された現在33歳の息子の母です。現在息子の知的障害(知的発達症)は重度判定で、グループホームで生活しています。息子は、真面目で、かつマイペース。今はすっかり大きくなりましたが、小さい頃はできないことも多く、悩んだこともありました。ですが、嘆くより「どうしたらできるようになるか」「こんなことができるんだ」と思うようにし、息子と一緒に成長してきました。わが家では、中学生でレスパイトを初めて利用し、20歳でショートステイに登録、その後グループホームへ入所しました。この経験をご紹介します。※レスパイトケア:日頃ケアを行っている保護者に息抜きを提供するため、代理の介護者が一時的にケアを行うこと※ショートステイ:家庭において養育を受けることが一時的に困難となった児童について、児童養護施設などに入所させ、必要な保護を行うこと参考:レスパイトケア|MSDマニュアル参考:在宅の子ども・子育て家庭支援事業の概要|厚生労働省レスパイトの想定外のメリットは「送迎」でした子どもが特別支援学校の中学部に進学した頃から、レスパイトを利用し始めました。利用前にはたくさんの書類を書く必要があったため大変でしたが、登録してよかったです。もちろん自分の時間が持てるというのはありました。ですが、想定していなかったメリットは「送迎」。わが家が登録したレスパイト先は送迎も利用できたので、保護者が送迎しなければ行けない場面で、レスパイト先の送迎に頼ることができました。例えば、息子の学校では、夏休みにプール活動がありました。スクールバスがある登校日は良いのですが、ない時は保護者が送迎する必要があります。私に用事があって送れないときは、レスパイトの送迎で学校まで送っていただきました。この送迎には高等部でも助けられ、部活の迎えなどでも利用していました。子どもの送迎というものは、送迎時間自体が短いものだとしても、丸1日仕事を入れることも難しくなるし、予定も立てづらいですよね。これを解決してくれるレスパイトの送迎には本当に助けられました。Upload By ユーザー体験談「お守り」になったショートスティショートステイには20歳の頃に登録しました。その頃、同居している義父が入院することになりました。身の回りの世話や、突発的に病院へ行くこともあるかもしれないと思い、1人で留守番ができない息子の預け先を確保しようと思ってのことです。幸いにも1人で留守番をする場面はなかったのですが、「もしものとき」を考えるともっと早くから登録しておけばよかったと思いました。この時登録したことで、もしなにかあっても預け先があるという「お守り」として、私の安心材料になりました。Upload By ユーザー体験談特別支援学校高等部卒業後、就労継続支援B型へ。グループホームを将来の居場所として息子は特別支援学校高等部を卒業後、就労継続支援B型に通所しはじめました。月曜から金曜まで通所し、土日は休みです。その施設はグループホームも運営しているため、将来の居場所としても意識していました。息子ははじめ自宅から作業所へ通っていましたが、20歳を過ぎた頃から少しずつショートステイを始めて「ホームで過ごす日」を増やしていきました。※就労継続支援B型:障害や年齢、体力などの理由から一般企業に雇用されることが難しく、雇用契約に基づく就労が困難である方に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行う障害福祉サービス参考:障害者の就労支援対策の状況|厚生労働省Upload By ユーザー体験談週に1回から増やしていき、やがて帰宅が毎週末になって慣れた頃、コロナ禍になりました。グループホームで新型コロナウイルスの感染が広がってしまい、息子は一時期帰宅ができなくなりました。この長期滞在をきっかけに、その後は月2回の帰宅が定着しました。今ではすっかりグループホームが息子の居場所になっています。Upload By ユーザー体験談とにかく「見学」と「質問」で子どもの居場所を探すレスパイト、ショートステイについてはとにかく見学し、聞きたいことは遠慮なく聞くことが大事だと感じました。いきなり泊まるのが心配なら、日帰りできるかを聞いておくのも良いと思います。現在の息子は、グループホームで穏やかに生活しています。特別支援学校卒業後に入った就労継続支援B型での仕事も続いています。老後は、同じ施設が老人ホームを運営しているので、そこに入れたら……と親なきあとをイメージしています。イラスト/海乃けだまエピソード参考/RINRIN(監修:井上先生)青年期のお子さんが学校に通うためにアパートに下宿したり、一人で生活する体験をすることはよくあると思いますが、障害のあるお子さんも親から離れて生活する機会が選択肢としてあることは大事だと思います。それぞれのご家庭の事情でショートステイのニーズは異なると思いますが、このコラムのご家庭のようにグループホームへのステップとして体験されるのも良いと思います。親御さんとして、最初は心配なことも沢山あるとは思いますが、ショートステイでのさまざまな体験がお子さんにとって貴重な経験になっていくと思います。しかしながら地域によってはショートステイの枠が不足しているという現状もあります。その場合、それぞれの地域の自立支援協議会などで行政のほうにも働きかけていくことも大事だと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年07月12日地域の小学校からただ一人、遠くの中学校に入学わが家のASD(自閉スペクトラム症)息子タケルは、中学受験をして、少し遠くの静かな山の上の中高一貫校に進学しました。私たちの住んでいた地域では、中学受験は一般的ではなく、小学校からその中学に進学したのもタケルただ一人です。知り合いが一人もいない新しい環境でのスタートとなったため、最初はなかなかクラスに馴染めず、親しい友達をつくることもなかったようです。ただ、本人はあまりそのことを気にしているようではありませんでした。「みんな勉強が好きだから、あんまり余計なことしないんだよ。騒がしくする人もいないし楽だ」と言って、毎朝片道2時間の道のりを喜々として通い続けました。校長先生に「特別扱いはしない」と言われ……入学式で忘れられない出来事がありました。小学生の頃は動きがガチャガチャとしていた息子も、中学に入学するころには1時間ほどであれば大人しく座っていられるようになっていました。滞りなく入学式を終え、会場から出るとき、夫が校長先生を見つけました。「挨拶をしておこう」と夫が言い、追いかけて名前を名乗ると……にこりともせず、「タケル君のご両親ですね。本人から聞きました。発達障害だそうですね」と言われました。そして、障害があるからと言って特別扱いはしないとはっきりと言われてしまいました。校長先生が、既に息子と個別に言葉を交わしていたことにも驚きましたが、その遠慮のない言い方にも驚きました。もしかしたら、障害があることで、既に問題視されていたのか……?せっかく入った学校だけど、すぐやめることになるかもしれないな……と、その時は思ったのですが……Upload By 寺島ヒロ「特別扱いはしない」が、「できる限りのことはする」と言っていただきました。その言葉は本当で、息子が学校で具合が悪くなった時に家まで送ってくれたり、パニックを起こして授業を聞いていなかった時に後日もう一度同じ授業をしてくれたりと、信じられない手厚さで接してくれました。そして、それはほかの生徒さんにも同じだったのです。そういえば、地元の書店で販売されている学校案内には「大事に育てられた子どもを大事に育てる学校」と評されていました。実際に通ってみて、本当にそうだったなと思ったものです。「文字って手で書かなくてもいいんだ!」タケル小説を書くタケルが中学で友達をつくるきっかけとなったのは、趣味で小説を書いている人たちと出会ったことでした。息子はもともと読書が好きで、ライトノベルなどもよく読んでいましたが、自分で文章を書くことには苦手意識を持っていました。しかし、中学に入ってすぐパソコンでレポートをつくる授業があったことをきっかけに、「文字を手で書かなくてもいいんだ!」と気づき、携帯電話でプチプチとショートショート(短い小説)を書くようになりました。どうもそれまで「パソコンで文章を書いていいのは大人だけ」と思っていたようです。うちでは家族の誰もが使っていいパソコンがあり、タケルもブラウザゲームなどはしていたので、なぜそういう思い込みを持ったのかは分かりませんが……。最初は短い文章から始めた息子ですが、少しずつ長い作品にも挑戦するようになり、学校の小説を書いている人たちとも親しくなったようです。すぐにお小遣いをつぎ込み、書くことに特化した「デジタルメモ」を購入、夏休みになるころには「友達と一緒に学校に文芸部をつくる」と言いだし、一緒に活動する仲間とリレー小説を書き始めました。Upload By 寺島ヒロ文芸部をつくる方は人数が集まらず頓挫しましたが、リレー小説の方は高校を卒業するまで続きました。この経験を通じて、息子は文章を書くことだけでなく、他人と協力して何かをすることの面白さを知ることができたように思います。その時の友達とは今でも親交があり、時折チャットなどで話している様子を見かけます。ラッキーが重なった中学、高校時代息子が通っていた中高一貫校は、難関大学を目指す生徒が多く在籍している学校であり、生徒の保護者にも医療従事者や教育関係者が多く、比較的「発達障害」についての知識や理解を得やすい環境でした。私としては、「このまま小学校と同じ校区の中学校に通ってもタケルの好きな勉強はできないだろうから、本人がやる気なら受験してみればいいだろう。辞めることになってもそれで元々だ」ぐらいの感覚で受けた学校で、全てを意図していたわけではありませんでしたが、結果的には大変良い選択になりました。息子が迷惑をかけたり、また余分な仕事が増えたという先生方もいらっしゃったことでしょう。周囲で息子の成長を支えてくださった皆さんには、もう100回土下座しても足りません。偶然と教育環境に恵まれ、息子は幸せな学校生活を送ることができたと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)知的障害のないASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの場合、中学受験で中高一貫校に入るケースもよく見られます。また、知的障害がない場合診断が出ていないお子さんもいるでしょう。学校の方針とお子さんの相性が合えば、学力も伸びて希望の大学に進み、希望の仕事に就ける可能性があります。一方で、ASDの特性などによって、職場が合わない環境の場合には苦労する可能性もあります。上司や同僚など、周りの人的な環境が今後重要になってきます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月11日マンガ発達障害の子どもと私たち/はるき編 第3話Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「こんなときみんなはどうしているの……」孤独を感じ、一人で抱え込む母Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談分からない不登校の理由……このままでいいの?発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー、マンガ「発達障害の子どもと私たち」の第4話をお届けします。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で軽度知的障害(知的発達症)と診断を受けた小学2年生のはるきさんは、5月、運動会のあとから学校を休みがちになりました。保護者は「学校へ行きたくない」というはるきさんの気持ちを受け止めていますが、完全な不登校にはなってほしくないと思っています。ある日、頑張って登校したはるきさんはおなかが痛くなってしまいました。身体症状がでてしまったことにショックを受けた母は学校の先生と相談、でもはるきさんが学校へ行けない理由や、どうすれば学校へ行けるのかははっきりした答えがでません。夫の意向で療育手帳を返納したはるきさん。母はASD(自閉スペクトラム症)や知的発達の偏りについて支援が受けづらくなるのではないかと不安になります。また相談できる相手もいないため押しつぶされそうです。次回はついに第1章最終話。はるきと母はどうするのか……。第4話「不登校、内にこもる息子と向き合えず焦り…私の選択は」ぜひご覧ください。保護者も頑張りすぎない。不登校の悩みは一人で抱えず、適切な相談先へ【専門家解説】相談先としては、学校、まずは担任の先生と面談などを設定してもらいお話できるといいでしょう。お子さんの状態やお子さんの今の思い、そして保護者としての思いなどを学校に伝え、今後どのようにお子さんが不登校という状態に学校・家庭が対応するか、そのためにどのように連絡を取り合うかといった当座の方針を検討できるとよいと思います。お子さんの状態や思いは時間によって変化しますので、永続的な方針というよりも、まずどのようにしてみるかの当座の方針を確認するのがお勧めです。担任の先生に相談しづらい場合は、スクールカウンセラー、また自治体の教育支援センターなどの教育相談室で、心理の専門家に相談してみるのもよいでしょう。保護者の気持ちや、お子さんの気持ちを整理してもらい、学校とのよい連絡、協働のあり方について提案がもらえるのではと思います。お子さんの不登校のサポートで大切なことは「保護者も頑張りすぎない」ということです。保護者自身も不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今だけでなく将来への情報を集めてみると、想像より選択肢が多く、不安が少し解消されるかもしれません。そして、保護者が自分自身を休める時間をつくるようにしましょう。最近の研究では、ASD(自閉スペクトラム症)のある子の多くがDCD(発達性協調運動症)を併存しているという結果も示されてきています(※)。学年があがり高度な学習が求められるようになると、不器用さが目立つようになったり、学習の問題が表出してくることもあります。このように、学年が上がることで求められる要求水準が変わり新たな困難が生じることもあります。また、そのような困難が心理的なストレスを強め自己効力感や自信が低下し、抑うつや不安を強めてしまうこともあります。担任の先生とは連携を密にしていく必要があります。不登校に関してはその時の子どもの状態にあわせたさまざまな対応やステップがあります。将来のことも気になり、親御さんのメンタルヘルスが悪化することもあります。一人で抱えずに勇気を出して身近に相談できる人を持つことが解決への一歩になります。※ Saito,M.,Hirota,T.,Sakamoto,Y.,Adachi,M.,Takahashi,M.,Osato-kaneda,A.,...& Nakamura,K.(2020).Prevalence and cumulative incidence of autism spectrum disorders and the patterns of co-occurring neurodevelopmental disorders in a total population sample of 5-year-old children. Molecular autism,11,1-9.Upload By ユーザー体験談不登校のサポートで不安が強い、疲弊している方は以下の記事をぜひご覧ください。前の記事はコチラ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月11日スポ少に入ったのも6年生からで、発達障害と協調性運動障害があって運動が不得意。だから他の子たちに「遅い」と言われたり叩かれる息子。チーム全体にいじめの雰囲気がある。本人は「辞めたら何言われるか」と後ろ向きな理由で続けているけど......。子どもの世界に親が口出すのは憚られるけど、子どもだけで解決できる?というお悩みをいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<努力もしないのに「プロになりたい」なんて気軽に言わないで!自主練もしないのに「上手くなりたい」などと言って欲しくない問題<サッカーママからの相談>私の子どもは6年生で、スポ少に入ったのは3か月前からです。周りは早ければ2年生から入団している子もいて、力の差は歴然です。また、発達障害と協調性運動障害もあり、他の子よりも運動が不得意な面もあって、練習中、我が子の番が来るとテンポが遅くなったりすることが見受けられます。そんな時に下級生から遅いと背中をつめられたり叩かれたり暴力的な態度や、乱暴な言い方で責められるようです。また、休憩中には仲間からバカにされる発言が聞かれたり、お前はチームにいらない人間だとハラスメントともとれる言葉が聞かれています。私はチーム全体に我が子をバカにし、いじめる雰囲気があると感じています。子の話を聞いているととても気分が悪くて辞めさせたい気持ちにかられます。しかし、子は辞める気はないらしく続けると言います。ただ、辞めない理由を聞けば、辞めたら誰に何を言われるか分からないから。と言い、スポ少が好きだからとは言いません。子の世界に親が口を挟むのは良くはないと思うのですが、やはり解決は難しいのでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。背中を「つめられる」と書かれていますが、つねられるということでしょうか。暴力はもちろんですが、「おまえはチームにいらない人間だ」と言葉の暴力のほうが息子さんのこころの傷になっていることでしょう。息子さんはもちろんのこと、お母さんもどんなにかお辛いことでしょう。それなのに「子の世界に親が口を挟むのは良くはないと思う」と理解を示しており、頭が下がります。■まずは少年団側に相談しましょう私からは二つほどお伝えします。お母さんには、息子さんだけの問題ではないと考えてもらいたいです。いじめ被害に遭っているのは息子さんですが、いじめのターゲットはコロコロ変わるものです。子どもたちが息子さんに向けて行ったような暴力や暴言が許されてしまえば、再びチームの誰かが同じ目に遭う確率は高くなります。そのように考えて、まずはスポーツ少年団側に相談しましょう。説明の順番としては、最初に息子さんの特性をチームのコーチに伝えましょう。10年、20年前に比べれば、発達障害に対する認識は深まっていますが、多くの人が正確に把握しているとは思えません。そのことを踏まえて、自閉症スペクトラムなのか、それともほかのものか、もしくは何かと何かの混合的な特性があるのであれば、なるべく詳しく説明してあげてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ただし言い方には注意、「いじめ」と聞くと態度を硬化する指導者もいる次に、以下の主旨を伝えましょう。「ピッチの上や練習はコーチと選手の世界なので技術指導やコーチングについては全面的に任せたい。しかしながら、今回はチームメイトの暴力や暴言がある。そこに対してコーチにはコミットしてほしい」と。なぜならば小学生でもフェアプレーを実践すべきアスリートであり、サッカーはチームで助け合うスポーツだからです。ただし、この話をする際は「いじめられている」とか「いじめている子どもが」というように、いじめだと断定する言い回しはやめましょう。過去に私が相談を受けたお母さんがコーチ陣に相談した際、彼女が「いじめがあって......」と言った瞬間にコーチたちの顔色が変わったそうです。困惑した彼らは「何がいじめなのかわからない」「いじめの定義は何か?」と言い出し、話が違うほうに飛んでしまったと聞きました。したがって、起きたことをお母さんの言葉で総括せずに、事実を淡々と伝えましょう。そのなかで、息子さんがサッカーを好きだということにふれ、チームで活動を続けるためにサポートをお願いしたい旨を伝えましょう。■みんなが楽しくサッカーできる環境づくりをお願いしたい、と強調しようでは、コーチたちは子どもたちにどう向き合ってもらえるといいのでしょうか。一番良いのは、このことをチーム全体の話にしてもらうことです。コーチたちが「誰が暴力をふるったのか」という犯人捜しを始めたり、暴力暴言を浴びせた子どもと個別に話し合うのではなく、あくまでも全体の問題にしてもらうこと。そうすることで全員がこのことに対し当事者として考えられるはずです。無論、そういったことを含めて指導者に対してお母さんがどこまで意見を述べられるかはわかりませんが、みんなが楽しくサッカーができる環境作りをお願いしたいのだということを強調してください。■息子さんには「あなたは絶対に悪くない」と言ってあげよう次に、息子さんと話をしましょう。まず「あなたは絶対に悪くない」のひとことを最初に言ってあげてください。息子さんは何も悪くないのに、チームを去るのはおかしいこと。いじめている子どもたちが、これをいじめだと理解しなくては次にまた誰かがいじめられること。その子たちは中学生になったときも同じことをするかも知れないこと。それらを伝えたうえで「暴力や暴言をやめてほしい」と自分から言う勇気をもってもらえたらと思います。■状況によっては「逃げる」という選択肢もあることを知っておいて(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)子どものいじめや差別の問題と出逢ったとき、私は、いつでも被害者がやめなくてはいけなくなることに強い違和感を抱きます。実際に、いけないことをしたのは加害者なのに、結果的に被害を受けた側が居場所を失うことが往々にしてあります。状況によっては逃げるという行動が必要なときもあります。そうなったときは他チームでやることを視野に入れられないでしょうか。技術が遅れていたり、他の子どもよりも下手だとサッカーをする環境を奪われる。このことが肯定されてしまえば、息子さんはもちろんほかの子どもの未来にも悪い影響を及ぼします。ここはぜひ闘ってほしいです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年07月10日夏休みのお出かけにも!「オーディオゲームセンター + CCBT」、7月13日(土)から開催Upload By 発達ナビニュースシビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT] (東京・渋谷)では、「オーディオゲームセンター + CCBT」を7月13日(土)から夏休み期間にわたり開催します。オーディオゲームとは、映像を見てプレイする一般的なビデオゲームとは違い、「音から発想し、音だけでつくるゲーム」のことを指します。本イベントでは、国内外で制作されたオーディオゲームの展示のほか、体験会やトークイベントなどを実施します。普段は視覚に障害のある人がパソコンなどの端末からオンライン上でプレイすることが多いというオーディオゲームですが、今回のイベントでは、実空間でみんなでゲームをプレイすることができます。例えば、プレイヤーの進むべき方向を示す「ガイドメロディ」を頼りに車を走らせるレーシングゲームや、音を手がかりにエピソードをたどるストーリーテリング・ホラーゲーム、音に合わせて叩くことで敵を倒す新感覚のリズム・アクションゲームなどが展示され、実際にプレイできるとのことです。そのほか、目の見える人も見えない人も操作ができるように設計されたオーディオゲーム制作アプリも体験することができます。オーディオゲームを楽しむだけでなく、ゲーム創作にも挑戦できる貴重な機会です。音だけで楽しむ新感覚のゲームセンター「オーディオゲームセンター + CCBT」を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。【詳細】会期:2024年7月13日(土)〜9月16日(月・祝)休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)開館時間:13:00〜19:00会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]観覧料:無料※会場で音を聞くために、ぜひスマートフォンとイヤフォンをお持ちください。※クリックすると、発達ナビのサイトからシビック・クリエイティブ・ベース東京『オーディオゲームセンター + CCBT』Webサイトに遷移します。共生社会について学ぼう!東京都理学療法士協会、7月28日(日)に小学生対象のインクルーシブ体験イベント無料開催Upload By 発達ナビニュース東京都理学療法士協会が主催する、小学生を対象としたインクルーシブ教育体験事業「2024年度夏休み無料体験イベント 学びの探検隊、始動!~共生社会ってなんだろう?~」が7月28日(日)に東京都内で開催されます。理学療法士(PT)とは国家資格の一つで、けがや病気、高齢などさまざまな理由で日常生活に必要な基本動作が難しい方に対し、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いてリハビリテーションを行い、自立した生活が送れるようにサポートする医療専門職です。昨年度に引き続き、夏休みに開催されることになったこのイベントは、日頃から障害のある人に接している理学療法士の方々により、子どもの頃から「心のバリアフリー」を自然に学べる環境をつくりたいとの思いから企画されました。イベントでは、身近な「エスカレーター」の乗り方を題材に、多様な人の視点に立って危険や問題点などを考えるワークショップのほか、ボッチャ体験なども行われます。東京都理学療法士協会が作成したまんが教材「わけがあってこちら側に止まっています~心のバリアフリー~」は、ワークショップで使用されるほか、Webページからも閲覧が可能です。公益社団法人東京都理学療法士協会エスカレーターマナーアップ推進委員会「わけがあってこちら側に止まっています~心のバリアフリー~」※クリックすると、発達ナビのサイトから「エスカレーターマナーアップマンガ わかげあってこちら側に止まっています 〜心のバリアフリー〜」Webページに遷移します。夏休みに共生社会について学ぶことができる本イベントに、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【詳細】日時:2024年7月28日(日)13時30分~16時(受付13時~)場所:BPM(池尻大橋駅徒歩1分) 東京都世田谷区池尻2丁目31-24信田ビル2階主催:公益社団法人東京都理学療法士協会参加費:無料定員:25名対象:小学3年生~6年生※付き添いの方の待機スペースあり※東京都内の小学生に限らずご参加可能です申込方法:2024年7月20日(土)までに以下リンクから申し込み※クリックすると、発達ナビのサイトから「2024年度夏休み無料体験イベント 学びの探検隊、始動!~共生社会ってなんだろう?~」参加申込フォームに遷移します。「チック・トゥレット症の医学的理解」医療講演会の貴重動画を初公開!Upload By 発達ナビニュース本人の意思に関係なく、まばたきや咳払い、首振りや奇声などを繰り返すトゥレット症(トゥレット症候群)。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)と併存することも多いと言われている発達障害の一つですが、いまだに誤解や偏見などから、当事者の日常生活や社会生活に支障をきたすこともあります。「トゥレット友の会」はトゥレット症(トゥレット症候群)やチック症の啓発と、患者・家族への支援を目的としたボランティア団体で、さまざまな活動を行っています。2024年5月26日(日)、「トゥレット友の会」によって開催された「トゥレット症候群 啓発イベント2024」の医療講演会動画が、現在、Youtubeで一般公開されています。講師の新井先生は2010年~2022年まで神奈川県立こども医療センターで児童思春期精神科部長に就いていらっしゃり、トゥレット症(トゥレット症候群)にお詳しい先生です。また、本イベントのチラシのイラストは、トゥレット症(トゥレット症候群)のMarieさんによって描かれたものです。こちらのイベントは毎年行われていますが、今回の講演会では医学的な知識の解説だけではなく、保護者・支援者の適切な関わり方や具体的な対応方法、心理的ケアなど、幅広い情報がふんだんに盛り込まれています。また、講師の新井卓先生と参加者による質疑応答も視聴することができます。「子どものチックに悩んでいる」「トゥレット症(トゥレット症候群)について聞いたことはあるけれど、あまりよく知らない」という方は、この機会にぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。【詳細】「トゥレット症候群 啓発イベント2024」医療講演会講師:新井 卓 医師(子どもメンタルクリニック院長)主催:トゥレット友の会共催:世田谷区後援:厚生労働省・社会福祉協議会・NPO法人日本トゥレット協会:チック・トゥレット症の概説。経過および併存症:治療と対応。治療動機の変遷:質疑応答※クリックすると、発達ナビのサイトから「トゥレット友の会」Webサイトに遷移します。※トゥレット症は、チック症群の一つです。チックとは、突然、速く、反復的に繰り返される運動や発声のことをいいます。まばたき、肩すくめ、手足の曲げ伸ばしなど身体の動きのチックを「運動チック」、咳払い、鼻ならし、うなりなどの発声に関するチックを「音声チック」といいます。いくつかの運動チックと1つ以上の音声チックが同時(または症状のある同時期)にあらわれる症状が1年以上続いており、その症状が18歳以前に発症している、物質の生理的作用やほかの疾患が原因ではない場合に「トゥレット症」と診断されます。田辺・弁慶映画祭受賞作品『99%、いつも曇り』8月28日(水)〜31日(土)テアトル新宿、9月25日(水)テアトル梅田で上映決定Upload By 発達ナビニュース第36回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門にも出品された映画『99%、いつも曇り』。第17回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門にて、グランプリ・観客賞・俳優賞(瑚海みどり・二階堂智)・わいず倶楽部賞の5冠に輝いた同作が、『田辺・弁慶映画祭セレクション2024』にて上映されることが決定しました。主人公・一葉を演じるのは、本作の監督・脚本も務めた瑚海みどりさん。「アスペルガー(※)じゃないの?」と言われたこともあるという経験が、制作のきっかけになったといいます。※アスペルガー症候群は、現在ASD(自閉スペクトラム症)という診断名に統一されています。45歳の一葉は、母親の一周忌で叔父に「子どもはもうつくらないのか」と言われ、大きく揺れます。夫の大地が子どもを欲しがっていることは分かっていても、流産の経験もあり前向きになれないでいました。一葉は、自分にアスペルガー症候群(現在の診断基準ではASD/自閉スペクトラム症に統一)の傾向があることに悩んでいました。養子をとることを勧められた夫婦は、次第にすれ違うことが多くなっていき……。懸命に生きているのに、空気が読めず不器用で生きづらさを抱える妻と、そんな彼女を支える夫の苦悩が、何気ない日常生活の一つひとつのシーンからリアルに迫ってくる作品です。俳優・声優としても活躍する瑚海みどりさんの長編初監督作を、ぜひ劇場でご覧になってはいかがでしょうか。【開催期間】テアトル新宿2024年8月23日(金)〜8月31日(日)テアトル梅田(旧シネ・リーブル梅田)2024年9月25日(水)【料金】一般・大専:1,500円/シニア:1,300円/TCG会員1,400円※クリックすると、発達ナビのサイトから映画「99%、いつも曇り」公式Webサイトに遷移します。ぜんち共済が、「旧優生保護法裁判~最高裁判決の問いかけ~」オンラインセミナー7月27日(土)を開催Upload By 発達ナビニュース旧優生保護法は1948年に施行され、精神障害や知的障害などを理由にした強制不妊手術を認めるもので、1996年に改正されるまでの48年間に手術を受けた人はおよそ2万5,000人に上るとされています。旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判で、最高裁判所大法廷は2024年7月3日、同法は憲法違反であるとして、国に賠償を求める判決を言い渡しました。今回の最高裁判決を受けて、ぜんち共済株式会社顧問弁護士で原告弁護団弁護士の関哉 直人氏が、原告の一人である北三郎さん(仮名)と共に、この判決が持つ意味を解説します。人権や法の下の平等について理解を深めると共に、社会や個人の中にある偏見や差別といった問題に向き合う機会にしてみてはいかがでしょうか。〈詳細〉日時:2024年7月27日(土)10:00~11:45参加費:無料講師:関哉 直人場所:オンライン(YouTubeライブ)申込方法:下記URLよりお申し込みください。主催:ぜんち共済株式会社※7月26日(金)までに申し込みをいただいた方は、アーカイブ配信(一部編集の可能性あり)をご視聴いただけます。【講師プロフィール】関哉 直人岐阜県出身2000年名古屋大学法学部法律学科卒2001-2023年3月五百蔵洋一法律事務所勤務2023年4月関哉法律事務所開所※クリックすると、発達ナビのサイトから「ぜんち共済<7月27日(土)開催セミナー申し込みフォーム>」Webサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月10日相談機関との連携の重要性子育てに悩むとき、お子さまについて困りごとが強くなったり、専門的な支援の必要性を感じたとき、保護者の方が最初に出合うのが、相談機関ではないでしょうか。相談機関は、子育てや福祉に関する窓口、教育相談の窓口などさまざまです。ヒアリングや相談内容をもとに、保護者にアドバイスをする、適切な支援制度を紹介する、医療的な支援に繋ぐといった機能を持っています。その際に、重要になってくるのが保護者の方からの情報です。どのようなことに困っているのか、お子さまにどのような様子や行動の傾向がみられるか、保護者の方がどのくらい困難を感じているかなどを分かりやすく伝えることで、相談の具体性や、その先のサポートの適切さが上がります。相談機関は入口であると同時に、支援の伴走者でもあります。サポートについてのアドバイスを受ける機会や、お子さまの年齢や状況、ニーズの変化があったときにはその都度相談する機会があるかもしれません。相談機関にはさまざまな種類があります。目的に応じて相談先を選ぶことで、適切なサポートを受けやすくなります。地域によって名称や制度が違う場合もありますが、子育て相談や発達相談、教育相談などのキーワードで探したり、地域の自治体の窓口で聞いたりするといいでしょう。子育てに困ったとき・地域の自治体の子育て支援窓口・子育て支援センター・児童相談所など就学相談・学校生活や教育についての相談・スクールカウンセラー・教育センター・教育支援センター(適応指導教室)など発達が気になるときの相談・保健所・保健センター・発達障害者支援センター・児童発達支援センター・精神保健福祉センターなど支援に関する相談・児童発達支援・放課後等デイサービス・臨床心理士・公認心理師、作業療法士、言語聴覚士などの専門家などそれぞれインターネットなどで、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。各支援機関については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。事前に具体的な困りごとを整理しておくと、相談がスムーズに進みます。その方法の一つとして、LITALICO発達特性検査があります。オンラインで受検できる検査サービスのため、自宅など好きな場所で利用でき、受検後すぐに検査結果レポートをWebブラウザで閲覧できるほか、PDF形式でダウンロードできます。お子さまの困っていることや特性の傾向や強さのほか、その困りや特性の背景にどのようなことがあるか、またどう対応すればいいかのサポートの方向性が表示されます。検査結果のデータやPDFをプリントすることで、周囲の方や関係者との相談・共有のためのツールとしてお役立てください。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。相談での活用方法:共有するときのポイント1.困っていることや状況の共有まずは保護者の方やお子さまがどのようなことに困っているかの共有が必要です。困っていることの共有、お子さまの特性の共通理解をすることで、お子さまにとってうまくいく場面を増やすための方法について考えることができます。特に相談機関での連携時には、まずは家庭での様子や保護者の方やお子さまが感じている困りごとや課題を具体的に共有します。どのくらい困っているかなどは、主観的な内容でもあり、なかなか説明するのが難しい部分です。検査を受検している場合は、検査結果のグラフなどを見せながら説明すると、より伝わりやすくなります。注意点としては、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点で測定されるということです。保護者として感じている不安や困りごとは重要な情報となりますが、専門家の視点と見立てが異なる可能性もあります。外部での様子が家庭での様子と違う場合は、環境によって特性や困りごとの現れ方が変わっている可能性もあり、それも重要な情報になります。場面による行動の違いを知る機会と考えて、相談を進めるとお子さまの理解が深まるかもしれません。検査結果のほかにもフラットな情報収集を意識するといいでしょう。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポート2.本人の特性をみんなで理解し、共通認識をつくる変化によって不安が強まりやすい特性があるお子さまの場合、また、困りごとの生じにくい環境や方法がある場合などには、本人に合った環境で一貫した対応が必要なことがあります。そこで、保護者だけでなく、周囲で関わる人が情報の共有をし、理解をしたうえで同じような接し方をすることが大切です。相談機関に臨床心理士や公認心理師など、専門家がいる場合には、レポートの結果をもとに、より専門的な相談ができるかもしれません。3.協力してサポートする子どもと関わる人が、その子の特性や困っていることについて理解し、共通認識を持つことがとても大切です。子どもの過ごしやすい環境づくりや困りごとが現れる状況を減らすために、相談の機会を役立てましょう。特に、具体的な支援方法や、家庭で試してみてもうまくいかなかったことなどについて、専門家のアドバイスを得られるチャンスとなります。作業療法士や言語聴覚士などの専門家がいる場合、よりお子さまに合った方法の提案や、実践する際のアドバイスなどをもらえることもあります。限られた時間の中で相談をうまく進めるポイントは、相談したいことを事前に整理してまとめておくことです。例えば、下記のような工夫をしてみるとよいでしょう。・話したいことに優先順位をつけておき、大事なことから話す・視覚的な情報や、言語化された資料として検査結果を見せながら話す検査結果レポートの内容は詳細でボリュームもあるため、すべてを読んでもらうのが難しい場合もあります。検査結果を持参する際には、あらかじめ、優先順位をつけて特に相談したい部分に付箋をつけたり、その部分だけを持っていくなどするのもおすすめです。検査結果を見せたり渡したりする際には、検査結果レポートの「04.専門家の皆様へ」のページを見せるなどして、LITALICO発達特性検査についても説明するとよいでしょう。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートまとめ相談機関は、お子さまと保護者の方にとって、支援の輪を広げる最初の入口です。不安や相談そのものにハードルを感じるときは、事前にどのような不安があるかや、何が気になっているかをまとめておくことで、相談しやすくなり、その先のサポートも受けやすくなります。より具体的でお子さまにとって前向きに考えられるよう、相談ができるとよいでしょう。それぞれの相談機関の持つ専門性や機能、専門家の種類によっても相談できる内容はさまざまです。いずれも保護者の方とお子さまに寄り添い、よき伴走者となってくれる頼もしい存在です。そのためにも、お互いの情報を共有し、協力体制をつくることがとても重要です。ぜひ、LITALICO発達特性検査を相談のためのツールとしてご活用ください。
2024年07月09日幼少期は周りのサポートもあり気づけなかったものの、大人になってから発達障害に気づくというケースも。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、そんな自分に嫌気がさし、仮病で欠勤するように……。友人にその悩みを相談すると、一度病院に行ってみることをすすめられ……?友人の助言どおり病院へその後も質問に答えていき……。心療内科を受診した結果は……?友人にすすめられた心療内科を受診した田所。病院の先生と話していると、気づかなかっただけで昔から思い当たる節はあった様子。医師から伝えられた田所の診断結果とは一体……!?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年07月09日小学生の友達関係、保護者にできることって?仲の良い友達ができず、いつもひとりぼっちで過ごす子どもの様子を目にすると、保護者としては心配になり「何か親ができることは?」と考えることもあるかもしれません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のようにわが子の友達関係についての質問が寄せられています。自閉症スペクトラムの小学1年の息子がいます。同じような障害もってる方で友達作りって上手くできてますか?息子はコミュニケーションが下手で相手との会話が行き違いだったり、自分の興味あることは一方的に話続けるのでなかなか友達作りが難しいです。(学校の休み時間はほぼ補助の先生と遊ぶか補助の先生を入れて少人数の友達と遊ぶかしてます)、2年のときは一人でいたくて一人でいたのですが、3年になって、友達がいないから楽しくないと言います。私から見ても楽しくなさそうです。たまに楽しそうにするのですが。。。(略)一人が嫌なら、誘ってもらえないなら自分から誘うしかないんだよって言っても、言わず。。本人が一番寂しいとは思うのですが、それを見ていると私まで寂しくなります。今回はそのような友達関係のお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。友達を作ろうとしない……このままでいいの?A: 保護者としては「わが子は友達が少ないみたいだ」と感じて心配になることもあるかもしれません。お子さん本人が「面倒くさいから友達はいいや」と言っていたとしても、「本当にいいの?」と思う気持ちも自然なことだと思います。これまでいろいろなご相談をお受けしてきましたが、「無理をしてまで友達に合わせるよりは、自分ペースで過ごしたい」という判断をする子どもたちも、もちろんいます。お子さんは小学6年生ですよね。高学年になるまでの段階で、おそらくいろいろな努力をされたり、いろいろなお友達を見てきたりしているのだと思います。その中で、「無理をして友達は作らない」という判断が自分でできて、保護者に言葉で伝えられるというのは、ひとつの成長と言えるかもしれません。保護者としてご心配なお気持ちも大変理解できますが、自分の過ごしやすい方法が分かり、言葉で伝えられる力もあるお子さんですので、心配しすぎなくてもよいのかもしれません。一方でお子さんは「友達は一切いらない」と言っているかというと、そういうわけではないかと思います。ただ“自分が頑張りすぎずに付き合える友達”が、今のクラスの中ではいないのかもしれませんね。自分の好きなものや興味関心があるものが、今のクラスメイトとは合わないという場合には、学校以外の別のコミュニティがあるとすごくいいなと思います。不登校でゲームが大好きなお子さんが、ゲームの大会に出て、そこで別の学校のお子さんと知り合いになってだんだんと仲良くなり、そのことがきっかけで学校のクラスメイトに対する苦手意識も和らいだというケースもありました。今のクラスの中に、自分と話が合う友達が必ずしもいるわけではないものです。今すぐでなくても、本人と趣味や興味関心が似ていて、楽しく過ごせる友達もきっと見つかるのではないかと思います。そういう機会を学校以外でも作れると、よりいいのかなと思います。お子さんのお気持ち次第ではありますが、あまり同年齢にこだわらなくても良いかもしれません。Upload By 発達障害のキホン子どもの友達作り、どうサポートしたらいい?A: 同年齢集団の中で、遊びに入りにくい理由は複数考えられます。例えばクラスで流行っている遊び自体に興味がない場合、その遊びのルールがよく分からない場合や、クラスメイトの中に指示が多かったり言葉が強かったりと苦手な友達がいる場合などが考えられます。幼児のお子さんや低学年であれば、遊びのルールやコミュニケーションの仕方を事前に大人と練習することも有効かと思います。ルールが分かるだけでも遊びに参加しやすくなりますね。例えば遠足や宿泊体験ではみんなと遊びたいという場合には、どのようなレクリエーションがあるか事前に先生に聞いておいて、お家で事前にやってみるということはできるかもしれません。対人的なやりとり自体は、大人相手のほうが学びやすい面はあると思います。お家でできることは限りがあるかもしれませんが、ご家族やご親戚の方と遊びを通してやりとりしていく機会も、本人の自信につながると思います。放課後等デイサービスなどでもサポートしてもらえるでしょう。お子さんが自信をもって参加できる遊びや活動があれば、先生にご相談して、その遊びや活動で活躍できる場を作ってもらうなんてこともできるかもしれませんね。Upload By 発達障害のキホンまとめ学齢期の友人関係については、低学年から高学年・思春期にかけて、さまざまなバリエーションや変化が求められます。それぞれの年齢や環境のなかで、どのようなタイプの友人とどのような付き合い方をするのか、一人ひとりの発達や状況、好みをもとに考えていくことが大切です。現在のクラスや同じ年代にしばられず、少し長い目で見ていくという視点も大事になってくるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月09日