自閉症息子の先生から突然の電話。音楽の授業でのハプニングを聞いて母は…
中学校からの着信
ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、現在中学2年生。特別支援学級に在籍しているが、基本的に授業は交流学級で行われている(※)。
一学期の終わり、私の仕事がちょうど終わった頃に携帯に着信が入った。
(※)授業の受け方や支援方法などは地域によって異なります
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「〇〇中学校」太郎が通っている中学校からの着信だった。
学校からの着信は珍しくはない。しかし何度かかってきても胸がざわつくもの。「今回は何があったのだろう」と、毎回不安になりながら電話に出ている。
「もしもし。いつもお世話になっております。太郎の母です」私は冷静な声で電話に出るよう努めた。
「こんにちは」聞き慣れた声は、太郎の担任の先生だった。
太郎の担任の先生は、いつもであれば落ち着いてゆっくりと話す方である。しかしこの時は少し様子が違った。
「えーっとですね」言葉に詰まっている様子から、何かあったのだと想像ができた。
先生は続けて話を始めた。
「今日の音楽はリコーダーのテストだったんですが……。それがみんなの前で吹くというテストで、太郎くんはそこで固まってしまって……」
話は続き、リコーダーのテストは前もって生徒たちに伝えていたらしいが、太郎は「知らなかった」と言い「急な出来事」になってしまったようだということだった。
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みんなの注目を浴びた太郎は固まって動かなくなり、特別支援学級の先生に誘導されて少人数のクラスへ移動したとのことだった。
音楽の授業は午前中に行われたが、特別支援学級に移動したあとも緘黙状態は続いたという。
そしてようやく放課後になると表情は和らぎ、そのまま迎えに来た放課後等デイサービスのスタッフと学校を出たということだった。
次に、今後のテストの受け方についての方針の相談があった。
リコーダーのテストは受けなければ評価をできないため、必ず受けてほしいということだった。
どうしたら受けることができるかと先生と話をした。
本来はみんなと同じ条件でクラスメイトの前でテストを受ける形であるが、注目を浴びることで緘黙状態になるのであれば個人的にテストを受けることも可能ということだった。そして、最終的には本人の意見を聞いて、どういう形でテストを受けるか決めることになった。
先生もここまで緘黙状態が続くとは思っていなかったようで、2人で教室にいて話をしようとしても太郎の口からは言葉がほとんど出てこなかったとのことだった。