「スマホが学力を破壊」は本当? 脳に良くない根本理由
スマホで動画を観たり、ゲームをしている時間が長くなると、睡眠をとるべき時間が削られます。その結果、勉強への意欲や集中力の欠如のほか、論理的な思考ができなくなったり記憶にも支障が出るという弊害が起こるのです。
スマホをどれだけ使うかではなく、どう使うか
電車やバスといった公共の乗り物に乗っているときや待ち時間などには、騒いで周囲に迷惑をかけたりしないようスマホで静かにさせたいというのも本音ではないでしょうか。それでも、スマホによって何か悪影響があるかもしれないと思うと不安ですよね。
子どもの脳の発達や学力向上は、スマホの使用時間がどれくらいかではなく、人とのやり取りがあるかどうかに関係があるという意見もあります。小児科医でお茶の水女子大学副学長の榊原洋一氏は以下のように話しています。
「かつてテレビの視聴時間が長い子どもは、言葉の数が少ないという研究結果がありましたが、さらに詳しく研究すると、視聴時間が長くても家族の会話が多ければ言葉も多いという結果が出てきました。
子どもの発育に重要なのは、テレビやスマホなどの視聴時間の長短よりも、生身の人間とのやり取りがあるかどうかです」
(引用元:NHK生活情報ブログ|「スマホ育児」発育に影響は?)
やむを得ずスマホを利用するときにも、使い方さえ気をつければ影響を少なくできるということです。
スマホの動画やゲームで待ち時間を過ごすときなどは、子どもに与えっぱなしにすることなく、一緒に視聴したり話しかけたりしてみてはいかがでしょうか。
また、学力低下と併せて気にしたいのは、スマホによる「視力低下」。国立成育医療研究センターで小児眼科を専門とする仁科幸子先生は、スマホを見る距離はテレビよりも近く、目にはその分の緊張が強いられるため疲れやすくなると指摘します。
子どもの視力が低下しないよう、スマホを見せる際には以下のことに注意しましょう。
・画面から30cm以上離れ、明るい場所で視聴する
・連続で視聴する場合は30分を限度としタイマーで時間を計る
・ベビーカーや車などの揺れている場所では見せない
・親子できちんとルールを決め節度を持って使用させる
***
「スマホを長時間使っているから学力が低下する」という説を裏づける科学的な根拠は現在のところ明らかではありません。しかし、学習のための時間がスマホに奪われたり、ゲームや動画が気になって学習に集中できなかったりということが、学力低下につながる可能性は否定できません。