子育て情報『人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!? 新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力』

人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!? 新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力

つまり、表現者が働きかけるためにとった手段、媒体、対象などの作品やその過程が、アートだと思われがちです。

しかしアートとは、表現者あるいは表現作品と、鑑賞者とが相互に作用しあうことにより、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動だとも言えるでしょう。対話型鑑賞法では、鑑賞者側の活動に重点を移し、作品と鑑賞者の間に起こる現象をアートと捉えています。

作品を解釈するのは、鑑賞者自身です。そしてその解釈は、鑑賞者それぞれが育った環境や経験、好みや思考の特性によって異なります。

対話を通して鑑賞者の視点から作品を捉えるとき、人間にとっての知覚のメカニズムが反映されます。つまり、個人の認知や認識の過程、さらには思考形成の過程を探ることの手がかりが得られるのです。これは、子どもたちの心や知の発達に大いに役立つことでしょう。


人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!? 新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力


対話による鑑賞で「他者を受容して理解する力」が育つ

本来人間は、見たいものを見たいようにしか見ません。同様に、聴きたいものを聴きたいようにしか聴きません。これが先入観を生み、相互理解を妨げ、ひいては偏見を生み出す原因となっています。

しかし、対話型鑑賞を続けることによって、さまざまな視点や解釈の可能性を受け入れることができるようになります。自分は絶対にAだと思ったのに、隣の子はBだと言っている。さらに、Cだと考えている人もいる。このように、自分とは異なる他者の意見にふれることで、先入観のしがらみから自分自身を解放できるのです。


人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!? 新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力


論理的思考力・自ら学ぶ力・観察力・共感力・表現力が養われる

対話の経験を通して、論理的な思考力が養われることは言うまでもありません。なぜなら、自身の考えを他者に理解してもらうためには、自分の思考回路を順序立てて説明することが求められるからです。さらに、周囲の人々の様々な意見に出会うことで、もともとの自分の考えを再考する機会にも恵まれることでしょう。

同時に、自分自身の視点や思考の特性を知り、検証するという、自己との対話も始まります。自己対話は、自ら自分自身を育て、主体的に学ぶことを学ぶという、セルフ・エディケーション能力への道を拓いていきます。

さらに、鑑賞する喜びから感動できる力、作品に対する「観察力」や「共感力」が育まれます。加えて、イメージの構想力や言語による「表現力」、それを相手に円滑に伝え合う「コミュニケーション能力」

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