アートで非認知スキルを伸ばす! 週に一度、10分間を親子の対話型鑑賞に捧げよう
B君「女の子が喜んでいる」
私「どうして女の子だと思ったの?」
B君「髪が長いからだよ」
私「他に女の子だと思えたことはある?」
B君(作品を見直してから)「ピンクのワンピースを着ているから」
私「なんで喜んでいるの?」
B君「楽しそうな格好をしているし、周りにピンクのお花があるから」
これは、Julia Wegenerというドイツのアーティストによる本作品について、私が子どもと行った対話です。はじめに子どもは結論めいた発言をしがちです。その後、私からこんな疑問を差し挟みました。
私「髪が長いから女の子だと決められるの?」
B君「髪が長かったり、ピンクのワンピースを着ていたりするから女の子だとは限らないかも」
B君「表情をよく見ると、笑ってはいないので、喜んでいるとも限らないね」
B君「髪が長いんじゃなくてかつらかもしれない、帽子かもしれない」
私「なんでかつらや帽子かもしれないと思ったの?」
B君「髪にしては、大きさや色、模様、形が変だから」
B君「人間ではなくて妖精かもしれない」
私「なんで妖精かもしれないと思ったの?」
B君「雲みたいな白い空間に浮いていて、ピンク色の光の粒を出しているから」
このように様々な見え方の可能性を考えながらも、色彩や丸みを帯びた形状などの全体の印象から、やっぱり女の子が喜んでいると結論づけました。
親子で実践!7つの力を育む「対話型鑑賞」
「観察力」「推論する力」「他者を受容して理解する力」「再考する力」「表現力」、そして「自ら学ぶ力」と「コミュニケーション能力」。これらの7つの力を育ててくれるのが、アメリカ発の新しい美術鑑賞教育法「対話型鑑賞」です。
連載第1回目ではその効果を、第2回目では家庭での実際の進め方についてお話ししました。時には美術館で対話型鑑賞ワークショップが開かれることもありますが、地理的・時間的に制約のある方も多いでしょうし、プログラムの対象年齢に達していないお子さんもいるかと思います。
ですが対話型鑑賞は、美術館に足を運ばなくても、ご家庭で気軽に取り組めるもの。ちょっとしたコツをおさえれば、年齢問わず、幼児から小学生以上のお子さんまで親子で簡単に実践できます。自宅のリビングで、家族みんなでアート作品を味わう。対話を通して子どもの思考の特性を知り、親子の絆を深める。