子育て情報『我慢と自己主張のバランスーー日本と世界の「いい子」はこんなに違う!』

我慢と自己主張のバランスーー日本と世界の「いい子」はこんなに違う!

このような環境で子どもは自己抑制を覚えるのです。

一方で、論理性に基づく自己主張が大事にされます。小学校低学年のテストに ”Reasoning(推理・推論)” と言う科目が採用されている学校もあり、親子間コミュニケーションを大事にするなかで、自己表現や自己主張が育まれていきます。つまり、“きちんとルールを守ることができ、筋道立てて自分の意見を言える子” が理想のいい子なのです。

我慢自己主張2


佐藤氏は、これら三国の違いを次のように表現しています。


「自己主張すべき場面でも抑制すべき場面でも自己主張するアメリカ」
「自己主張すべき場面では主張し、抑制すべき場面では抑制するイギリス 」
「自己主張すべき場面でも抑制すべき場面でも抑制する日本」

(引用元:佐藤淑子著(2001), 『イギリスのいい子日本のいい子 自己主張とがまんの教育学』, 中公新書.)

わかりやすいですね。文化や慣習、考え方の違いもあるので、もちろん求められる “子ども像” は違って当たり前ですが、イギリスの例を知ると、自己主張と自己抑制は両立しうるものであることがわかります。

「我慢」と「自己主張」のバランスをとることの難しさと大切さ

我慢(自己抑制)と自己主張はどちらも非認知能力です。
つまり、どちらも人格を形成するうえで必要かつ大事な能力なのです。車に例えるなら、アクセルとブレーキ。要はバランスの問題です。まだ小さなうちは自己主張のほうが強く、そのバランスをとることは難しいですが、研究の結果、「4~5歳の期間に自己抑制能力が発達し、その後そのときの能力が持続する傾向がある」と、幼児期が能力発達に重要な時期であることがわかっています。

児童心理学の専門家・森下正康氏によると、難しいのは 「自己主張」と「わがまま」の境界線。言い換えると、前者は「自分の理想」、後者は「理想が叶わない苛立ちからの甘え」です。親としてはこの点に留意して、子どもの自己主張を押さえつけて不必要な我慢をさせないようにしなければいけません。

我慢自己主張1

我慢と自己主張のバランスをとるために親が気をつけたいこと

イギリスと日本の「自己主張」のベースには、じつは違いがあります。
イギリスで言われる自己主張は “理性” に基づくもの。一方、日本では “感情” に基づくものとしてとらえられるケースが多いようです。そのため、日本では「自己主張=わがまま」

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