自己肯定感はアートで高める! 「自ら考え、かたちにする」を繰り返し、自信を持てるようになる
自信をつけて「0から1」を生み出せる子どもに
たとえば、未就園児が版画をつくる場合、絵を描くよりも、難しく感じられます。描いた絵を切り抜いて凹凸をつくり、版にするという紙版画の場合、どうして版画ができあがるのかという仕組みが、幼い子どもにはなかなか理解できません。
すると大人はつい、「まず、下絵を描きましょう」「次は、切り抜きましょう」「最後に貼って、版をつくりましょう」というふうに、次々に指示を出してしまいます。それでは、子どもはただ指示されたままに作業をしているに過ぎません。版画の仕組みについて、「自分で考えてみる」「やり方を模索する」という過程がなければ、子ども自身の力はつきません。
もちろん、幼い子どもの場合には時間がかかります。一度できあがった版を刷ってみても、思ったような絵にならずに、「あれ?」と思うこともあるでしょう。でも、隣の友だちの版を観察してみたり、「こうすればいいのかな?」と探求したりするなかで発見がある。
子どもが自分なりに考え模索して、ようやくつくりたかったものができたとき、はじめて子どもは「自分でできた!」と感じられます。この体験を積み重ねることが、自信を持つことにつながります。大人を頼らず、自分で考えられるようになれば、「0から1」を生み出せるアート思考が身についていくでしょう。
なぜアート教育が注目されているのか
いままでの日本の教育は、「与えられた問題に対して、正解を出す」「知識の暗記」などが主流でした。しかしながら、これらの分野はコンピューターやAIに勝てません。正解が見つかっていないものに対して、探求することがより大切になってくるでしょう。
ビジネスにおいても、創造力が豊かな人材が求められ、「デザイン思考」が取り入れられるようになってきています。「0から1を生み出すこと」への価値が高まっているいま、アートを学ぶ意義は大きいでしょう。
「好きなこと」を通じて生きる力を身につける
いまの子どもたちはたくさんの習い事をしていますが、習い事を選ぶ際にも、ぜひ「子どもが好きなこと」を基準にしてあげてください。自分が好きなことを思い切りできる環境を与えられた子どもは、自信に満ちあふれ、生き生きとしています。ありのままの自分が認められていると感じられるからです。それは、まさに自己肯定感そのものでしょう。
また、好きなことにとことん打ち込む過程のなかで、達成感を味わうこともあれば失敗することもあります。