子どもの「困った行動」、親の過干渉・ダブルバインドが原因かも!?
などと脅すような発言をしてしまうのです。
■認知機能の弱さが起因している可能性も
千葉大学教育学部附属小学校の松尾英明先生は、クラスの友だちに攻撃的な言動をとることで孤立してしまう子どもについて、「親の育て方が悪い」「単純に性格が悪い」としてしまうことに疑問を呈しています。
「その服、ダサいね」などと普通なら面と向かって言わないようなことをストレートに口に出してしまう子や、本当は仲良くなりたいのに、友だちをいきなり突き飛ばしてしまう子は、「相手の気持ちを推し量る能力が欠けているだけ」という可能性も。松尾先生は、「一見普通の子に見えても、あるスキルが欠けている子どもは少なくない」といいます。そして、そういった子は「困った子」ではなく、「困っている子」だというのです。
児童精神科医の宮口幸治先生は、「対人スキルの乏しさは、認知機能の弱さが要因になっているものもある」といいます。認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断・推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指し、すべての行動の基盤となるものです。
見る力や聞く力、想像する力といった認知機能の弱さのため、相手の表情や不快感が読めない、その場の雰囲気が読めない、相手の話を聞き取れない、話の背景が理解できず会話についていけない、会話が続かない、行動した先のことが予想できない、といったように、うまくコミュニケーションが取れないのです。
(引用元:宮口幸治(2019),『ケーキの切れない非行少年たち』, 新潮新書.)
具体的には、次のような問題を引き起こします。
・聞く力が弱い→友だちが何を話しているかわからず話についていけない
・見る力が弱い→相手の表情やしぐさが読めず、不適切な発言や行動をしてしまう
・想像する力が弱い→相手の立場が想像できず、相手を不快にさせてしまう
本人には悪気はなくても、結果的に相手に嫌な思いをさせてしまうことが多いのがこのタイプなのです。
荒れるわが子の対処法
「子どもにいい顔をしたい、あるいは言う通りにしてその場をやり過ごしたいからと聞き入れていると、あとで大変なことになる」と忠告するのは、白百合女子大学教授で臨床発達心理士の秦野悦子先生。人としての善悪の判断を育てるのは、親の役目です。秦野先生によると、「日常のしつけとして、善悪や道徳を親から学んでいない子どもは、将来人としての倫理観の軸をもてない可能性がある」