9人組グループ・Snow Manの渡辺翔太とタレントの東野幸治が、5月3日に放送されるフジテレビ系バラエティー『この世界は1ダフル』(後11:00)でMCを務めることが決定した。さまざまな世界で活躍する一流たちが選ぶ“人生で1番スゴい、ワンダフルな話”、すなわち“1ダフルなエピソード”を紹介する同番組で渡辺は、バラエティー番組のMCに初挑戦する。番組では日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』第2シリーズ(TBS系/2018年1月期)を監修した弁護士が明かす“人生で1番の逆転裁判”や、スポーツ名試合を追い続ける雑誌「Number」のトップに聞いた“人生で1番手に汗握った名試合”などのエピソードを紹介。さらに、アジア・テレビジョン・アワード2023で最優秀脚本賞を受賞したバカリズムに聞いた“今までで1番やられた!と思った作品”や、超人気ウエディングプランナーが明かす今までで1番忘れられない結婚式、芸能界イチのグルメ・寺門ジモンが教える“今まで1番衝撃的だったタン”など、さまざまな世界で活躍する一流たちが選ぶ人生で1番スゴいワンダフルな出来事が続々と登場する。緊張の面持ちでスタジオ入りした渡辺は、入念にリハーサル。その姿を見た東野は「渡辺くんのやりたいようにやったらいいよ。でもオンエアは見ない方がいいかもね(笑)」と笑いを交えながらアドバイス。ゲストの辻希美、ホラン千秋からも「すごい期待しています!」「ちょっとかんだくらいじゃ大丈夫!」と、それぞれからプレッシャーをかけられつつも、無事に収録を終えた。渡辺は、「僕的には、東野さんがいてくださって安心感がすごかった。助けられてばかりの収録だった」と振り返り、東野も「何度か共演したことがありましたけど、改めて、渡辺くんのキャラクターが面白いなって思いましたね。僕らでは浮かばない話をしたりしていて。彼のよさもかわいらしさもダメなところも出ていてよかったんじゃないですかね」と初めてのMCぶりをたたえていた。番組の詳細は後日解禁する。■出演者コメント▼東野幸治(渡辺くんとは)何度も共演していて、初めてじゃなかったのでそういう意味での安心感はありましたね。MCやるのも最初やから、出ているカンペに気づいてすぐ言ったりとかされてましたけど、これは何回もやりゃね、なんてことない話になってくると思いますので。また、ぜひともチャレンジしてほしいですよね。あとは、渡辺くんは人となりが面白い!タンの話のVTR後にいきなり寿司の話をしたり…。その返し浮かばんなあと(笑)。僕は、Snow Manだと向井康二くんとは番組一緒にやらせてもらってますけど、向井と渡辺…、めちゃくちゃキャラクターが強くて面白いなと思いました。▼渡辺翔太(Snow Man)初めてのMCは、めちゃくちゃ緊張しました。でも、収録前に東野さんが“自由にやっていいよ”と言ってくださったので、少しのびのびとできたかなと思います。僕的には、東野さんが隣にいてくださったことで安心感がすごかったです。VTRの合間とかもゲストの人に話しかけてくださったり、話を広げてくださったり…とにかく助けられてばかりの収録でした。
2024年04月24日「最後の共同作業せえへんか?」東野幸治(56)が3月末で解散する人気お笑いコンビ・和牛(水田信二、川西賢志郎)と共演するロケバラエティ番組『東野・和牛の全国街ぶらチーキーズ』(BSよしもと)が2月25日に放送される。舞台は新潟で、南魚沼しおざわ産のコシヒカリを使った「ばくだんおにぎり」を試食する場面では、期間限定メニューの「新潟和牛 牛しぐれ」の文字を発見した東野は2人に冒頭のように話しかけて苦笑いを誘ったという。テレビ局関係者は言う。「もともと東野さんは“言いにくいことをズバリと聞く”キャラで、テレビ局内では安定した人気を誇っています。松本人志さんの一件により、今田耕司さんや千原ジュニアさんら“ダウンタウンファミリー”の起用が減っているなか、東野さんは安泰です。それは彼が20代前半で結婚し、早くに家庭を築いていたことが大きい。松本さんや仲間の芸人たちが頻繁に行っていた合コンなどには、東野さんは一定の距離を置いていましたから…」東野人気はテレビ局内だけではない。なんと吉本内の株も急上昇しているという。「実は、吉本内でも東野さんを再評価する動きがあります。というのも、基本的に彼は冷めた男なので、先輩であろうと、自分の意に添わなければ“人のために何かやる”という発想がほとんどない。ましてや女性のアテンドといったことに加わるタイプではない、という共通認識があるんです。会社に大きな仕事が来たら、以前より東野さんに回す頻度が増えると思います」(制作関係者)「人の心がない」「白い悪魔」と共演者からよく揶揄される東野だが、WEBのインタビューでこう語っている。《極端に言うと、人なんて好きになれないって思ってるほうがいいんじゃないですか。マイナスから入るほうが》《僕、日常生活がものすごい楽なんですよ。テレビで「心がない」とか「毒舌」とか言われてるから、ご飯食べに行って「ありがとうございます」とか言うだけで「めちゃめちゃいい人じゃないですか!!」って思われる。イチコロなんですよ》(『新R25』 20年3月13日配信)東野が極めたこのキャラが、今まさに功を奏している!?
2024年02月22日1月31日、松本人志(60)が不在となった初めての『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が放送された。松本の席に座り、そつなく代役をこなしたのが、東野幸治(56)だ。いま、東野の評価がメディア関係者の間でうなぎ登りなのだという。もともと、関西地方で放送されていた、ダウンタウンの番組『4時ですよ~だ』(毎日放送)に出演したことで、世間に知られるようになった東野。東京進出後も、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)など、複数のダウンタウンの番組で活躍しブレイクを果たした。テレビにおける関係性だけでは、“ダウンタウン軍団”や“松本軍団”といってもいい芸人だ。「しかし、今田耕司さんなど、プライベートでも松本さんと親しかった芸人と違うのは、20代前半に結婚し、早くに家庭を築いたことです。松本さんや周囲の芸人が行っていた合コンや女遊びなどと、東野さんは一定の距離を置いていました」(テレビ関係者)2001年に妻と離婚するものの、2011年に離婚した妻と復縁して再婚。2020年には長女に女児が生まれ、“おじいちゃん”になっている。娘が海外に住んでいることやコロナ禍の影響もあって、長らく孫に会うことはできなかったが、昨年、3歳になった孫に初対面。ラジオでは「本当に私だけがこんな幸せでいいんでしょうか。日々、ニコニコ笑いながら生活しております」と語り、“孫煩悩”ぶりを見せつけた。「松本人志さんだけではなく、“松本軍団”のメンバーといわれる芸人たちも過去に女性スキャンダルが報じられています。今後、新事実が報じられる懸念も。一方、東野さんにはそういう心配が薄い。そして、トークの実力は十分ですから、テレビ局も安心してキャスティングできるのです」(同前・テレビ関係者)芸人仲間からの信頼も厚い。「不倫スキャンダルで謹慎中だったアンジャッシュの渡部建さんと小まめに連絡をとって励まし、自身のユーチューブチャンネルで活躍の場を与えたのも東野さんです。またM-1優勝前からウエストランドをおもしろいと言って井口浩之さんをいじり続け、新しい魅力を発揮させたのも東野さんでした。いずれも他事務所の芸人さん。“感情がない”といじられることも多いですが、情に厚い人といっていいでしょう」(同前・テレビ関係者)松本人志が不在となったお笑い界で、新たな帝王になるのはこの男かも……。
2024年02月02日2023年8月27日、第1子である男児の出産を発表した、フジテレビの山夕貴アナウンサー。夫でありお笑いタレントの、おばたのお兄さんは、出産に立ち会うことができたことと、幸い母子ともに元気であることを報告しています。不妊治療と流産を乗り越え、元気な第1子と出会うことができた2人に、多くの人から祝福の声が上がりました。東野幸治、出産終えた山夕貴アナへの質問に謝罪同年9月3日に放送された、情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、出産を終えた山アナが電話出演。喜びと安心が伝わってくる声色で、祝福の声に感謝するとともに、「幸い安産だったので、体調もよくなってきているけど、考えられないくらいに寝不足です」と苦労も明かしました。出産の苦労や喜びについて盛り上がる中、MCである、お笑いタレントの東野幸治さんは「母乳ですか?」と質問。赤ちゃんに与えているのが母乳なのか、ミルクなのかが気になったのでしょう。突然の質問に、山アナは「母乳とミルク…なんでそんなことを聞くんですか?」と苦笑しました。出産経験者の女性タレントは、「何がなんでも母乳第一という考えは、母親にとってプレッシャーなんですよ」と優しく諭し、フォロー。共演者たちから笑いながらも発言を注意され、東野さんは戸惑った様子でこういいました。いや、ちょっと待ってください!あの、お言葉返すようですけど、ちょっと黙っててくださいね。俺、別に母乳第一じゃなくて「母乳なんですか?」って聞いただけで。これでも炎上するんですか!?ワイドナショーーより引用「母乳を与えなさい」と推奨したわけではなく、「母乳を与えているのか」と質問しただけで責められることに、東野さんは納得がいかない様子。しかし、共演者から諭され続け、最終的には「じゃあもう、ハッキリいいます。すみませんでした!」と頭を深く下げて謝罪しました。予想外の質問に、山アナは「『なんで聞くんだろう』ってビックリしました」とコメント。今回の出来事で、東野さんは新たな学びがあったようです。母親にプレッシャーを与えがちな『母乳の質問』幼い子供を育てる母親の中には、他者からの母乳に関する干渉で、嫌な思いをした人も少なくありません。さまざまな粉ミルクや液体ミルクが販売されている現代ですが、ミルクを使った子育てに否定的な、『完全母乳育児』の信条を持つ人も存在するようです。母親の中には、母乳の出が悪く困っている人や、子育ての負担を少しでも減らすべく、あえてミルクを活用している人もいます。どちらが正しいかの問題ではなく、個人の自由といえるでしょう。番組を見た人たちからは、さまざまな意見が上がっています。・東野さんに悪気がなかったのは、よく分かる。でも、やっぱり無神経な発言だと思うな。・産後の女性にその質問は、本当にやめてほしい。フォローしていた出産経験者の言葉に共感しました。・そもそも、そんなことを知ってどうするんだろう?山アナ、きっと身構えちゃっただろうな。質問すること自体に問題はありませんが、その問いによって相手を不快にさせてしまう可能性はあります。また、相手との関係性も重要でしょう。人によっては、東野さんのように悪意なく母乳について触れてしまうこともあるかもしれません。一連の流れに、多くの人が考えさせられたようです。[文・構成/grape編集部]
2023年09月03日株式会社福島中央テレビ(日本テレビ系列/福島県)は、2023年9月18日(月・祝)に「東野幸治の福島移住計画」を関東・福島県内にて放送することを決定いたしました。東野幸治の福島移住計画 場面写真1「数年したら東京から離れて、地方に拠点を置きたい…」他県への移住を考える東野幸治の目を通して、福島県のグルメ、自然、人情などの魅力を紹介していきます。福島県いわき市出身のTVプロデューサー・佐久間宣行が、福島移住の良さを全力プレゼン。果たして東野幸治は福島移住を決断するのか…!?いわき市の惣菜日本一のスーパー、南相馬市の移住者が醸す酒に、相馬市の鮮魚&相馬牛…いわき市出身の芸人ゴー☆ジャスが案内する、移住にぴったりのいわき市・南相馬市の不動産情報も。番組を観終わったあなたもきっと、福島県に行きたくなる!住みたくなる!東野幸治の福島移住計画 場面写真2東野幸治の福島移住計画 場面写真5東野幸治の福島移住計画 場面写真8■番組概要番組名 : 東野幸治の福島移住計画放送日時 : 2023年9月18日(月・祝)午後3時50分~午後4時50分放送地域 : 関東・福島県内出演者 : 東野幸治 佐久間宣行 ゴー☆ジャス提供 : 復興庁制作協力 : 日本テレビ放送網制作著作 : 福島中央テレビ番組WEBサイト: 東野幸治の福島移住計画 場面写真11■出演者コメント【東野幸治】「スーパー、不動産物件、おいしいものなど1時間番組で収まりきらないくらいのボリューム!いわき、南相馬、相馬と巡ったけど、福島はまだまだ広いんでしょ?今度は会津にも行ってみたい。今度は企画会議から参加させてください(笑)」【佐久間宣行】「相馬のヒラメと相馬牛、ほんとにおいしいものが近くにあることに驚き!そして福島の人たちはほんとにやさしい!東野さんにそんな福島の魅力を伝えられてよかったです」【ゴー☆ジャス】「お笑いの先輩と高校の先輩に優しくしていただき地上波初MCコーナー!?をやり遂げることができました。ロケ中に出会った福島の人々の方言や温かさに癒され、復興の様子も肌で感じられました。福島には住みやすい物件がまだまだたくさんアルジェリアー!!」 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月23日発達障害と知的障害の違い発達障害も知的障害も、社会生活を送る上で生きづらさを伴うことは、大きな共通点です。では、発達障害と知的障害は、何が違うのかと疑問に思う方もいるかもしれません。発達障害というのは、よく「発達凸凹」とも呼ばれます。得意なものと苦手なものの差が大きいイメージです。いろいろな能力の中に、著しく高いものもあれば、低いものもある状態です。一方、知的障害は全体的に発達がゆっくり進んでいると考えてみてください。どこかの能力が低いというのではなく、全体的にゆっくり成長しているのです。例えば、IQ70の10歳児であれば、精神年齢は7歳くらいというイメージです。そう解釈すると、目の前の子どもにとって何が必要かが見えてきます。小学校4年生の中に小学校1年生の子どもが混じっている、だからレベルに合った学習内容の取得が必要だといった具合です。そしてそのゆっくりとした成長が、成人になっても12歳くらいの水準で止まってしまうのが軽度知的障害です。ただし、必ずしもみんなの精神年齢が12歳レベルで止まるかというとそうではなく、生活上の経験値がそれぞれ異なりますので、あくまでも目安です。子どもたちの知的なしんどさもしも発達障害と知的障害の両方がある場合、個人的には、まず知的なしんどさに対応することが先決と考えます。日常生活や社会的な生活を送る上での困りごとは、知的なしんどさから生じる部分が多いからです。発達障害に知的障害も伴う場合は、知能の程度(軽度・中等度・重度)がどうかという点が重要になります。発達障害でもIQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は少なからずあるでしょう。こだわりが強い自閉スペクトラム症のある人が、興味や専門性が活かされるような技術職や研究職に就いて、高いパフォーマンスを発揮できることも見聞きします。また、大手企業を起業した経営者のなかにも、診断を公表している方がいます。ADHDの特性である行動力やアイデア力が、起業に生きるというのは想像しやすいでしょう。「軽度・中等度・重度」の程度の違い知的機能の水準は一般的にはIQで表され、知的障害の基準のひとつに「IQ70未満」があります。障害は、その程度によって次のように4段階に分けられます(WHOの「ICD-10」より)。IQ50~69(おおよそ9~12歳)……軽度IQ35~49(おおよそ6~9歳)……中等度IQ20~34(おおよそ3~6歳)……重度IQ20未満(おおよそ3歳以下)……最重度※()の年齢は、発達期を過ぎた成人に対する精神年齢です。4段階のそれぞれの特徴は、次の通りです。各段階で、学力の習得が可能な年齢(学年)というのも付記していますが、あくまでも目安となる年齢です。支援次第で、目安の年齢以上に、成長を促せる可能性はあります。・IQ50~69…軽度多くの場合、身のまわりのことは自分でできるようになります。自分で考える力も身につき、小学6年生くらいまでの学力を習得できます。簡単な読み書きや計算ができます。ただし、言葉の発達や抽象的なことの理解に遅れが生じる傾向があります。高度なスキルが必要な場合を除き、仕事に就くこともできるでしょう。一般的に知的障害といっても、本人や周囲の人にも「知的障害」という自覚がなく、支援を得ることなく生活しているケースもあります。そのため、実際の人数よりも認定数が少ないものと考えられます。また統計上は、知的障害者の約85%がこの段階に分類されます。ですので、知的障害といえば、概して「軽度」のことを指すといっても過言ではないでしょう。・IQ35~49…中等度身のまわりのことはだいたい自分でできるようになりますが、一定のサポートは必要なことが多いでしょう。簡単な読み書きや計算が部分的に可能です。乳幼児期に言葉の遅れはありますが、コミュニケーション能力はあります。適切な支援を受ければ、小学2年生くらいまでの学力を習得できます。配慮があれば、単純作業の仕事などに就くこともできるでしょう。・IQ20~34…重度乳幼児期はほとんど会話をしませんが、学童期になると、基本的な生活習慣(会話、食事、排せつなど)を身につけることができます。学力の習得目安は5歳くらいまでで、読み書きや計算は難しいでしょう。簡単なお手伝いやおつかいといった作業は可能です。・IQ20未満…最重度快・不快の表出は可能な場合が多いですが、言葉でのコミュニケーションを身につけることは難しい場合が多いでしょう。適切な支援によって能力の成長は見られますが(3歳程度まで)、身のまわりのことを自分で処理することは難しく、常に周囲からの支援や保護が必要となります。誤解されやすい「障害程度」なお、知的障害の男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)で、全体での男女比は1.5:1程度とされます。ここまで、知的障害の程度区分の4段階について解説してきましたが、ここで誤解されやすいことがあります。それは、「障害程度が低い」=支援の必要性も低いのか?ということです。確かに身のまわりの世話などが必要な場面は、中等度や重度よりも軽度のほうが減るかもしれませんが、それでも支援をしなくていいわけではありません。むしろ軽度知的障害の場合、定型発達と見分けがつきづらく、支援されない可能性すらあります。そうなると、生きづらさは増していきます。失敗を極度に恐れ、失敗するくらいだったら最初から挑戦しない。そんなプライドの高い子どもがいます。小学校低学年のAくんもそんなひとりです。Aくんは、先生から「この問題、間違ってもいいからやってごらん」と言われても、(少しやってみて)「やっぱり無理」「もうやめた」(考えもせずに)「わかりません!」「できません」などと答えるパターンが多いのです。Aくんは、あきらめるのが早いのです。しかし、これらの言葉はできないことへの防衛でした。知能検査を受けたところ、Aくんには軽度知的障害があることがわかりました。 By 宮口幸治気づかれない「軽度知的障害」軽度知的障害のある子どもは、普通に話したり遊んだりしている分には、定型発達児とほとんど見分けがつきません。また自分が興味のあること・好きなことの記憶力はよかったりします。しかし、言われたことはだいたいできますが、いつもとやり方が違ったり何か問題が発生した際の対処法が分からなかったり、自分で新たな工夫をするのが苦手なことが多いのが特徴です。なお、軽度知的障害がある場合でも、保護者が熱心に教えたり、個別塾に通わせたりすることで、小学生までの勉強にはなんとかついていけることもあります。小学生では成績がそれほど悪くなかったからといって知的障害がないとも限らないのです。もし知的障害が疑われるなら、「まだ小学生だから様子を見ましょう」と経過観察するよりも、少しでも今できることを考えてあげたほうがいいでしょう。例えば、自治体の教育センターや発達に詳しい医療機関を受診し、どこの部分につまずきが見られるのかをしっかりアセスメント(子どもの状態や特性を把握し評価すること)してもらって、具体的にできる今後の対応策を、学校、保護者が一緒に検討することが望ましいと考えます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年08月04日医療分野から司法分野へNHKドキュメンタリードラマ『ケーキの切れない非行少年たち』(2023年6月20日(火)放送)の原作者、精神科医の宮口幸治さんのインタビューをお届けします。――宮口先生は精神科医として、病院で小さい子どもから高齢者まで診てこられたのですよね。宮口先生:はい。実は、医学部時代、小児科医と精神科医で進む道を迷いました。子どもの発達を専門にしたい気持ちが強かったのですが、その人の長い人生を考えたときに「生まれてから亡くなられるまで」関わりたいと思い、それが叶うであろう精神科医を選びました。精神科病院ではさまざまな人を診てきましたが、病院を訪れる人は周りに支援者がいるのですよね。保護者や先生に「この子ども(大人)には、支援が必要」だと気づいてもらい、病院などの支援機関とつながることができる。一方で、支援が必要なのに周りに気づかれない子ども(大人)もいる。後者のような子どもたちのために自分に何ができるのかを考え、司法分野(矯正教育分野)に移り、医療少年院や女子少年院で法務技官を務めました。――その経験をもとに書かれたのが、『ケーキの切れない非行少年たち』ですね。宮口先生:非行少年たちに関するさまざまな本が出ていますが、ライターの方が少年院の関係者に取材をして書いているものが多いですよね。そういった場合、核心の部分、深刻な問題を伝えられないと感じることがありました。少年院で出会った非行少年たちが切ったケーキの形のいびつさに驚愕した体験から、少年院の職務を離れたあとに少しでも多くの人たちに「見過ごされがちな困っている子どもたち」の現実を伝えたいという思いで書きました。「境界知能」にあたる子どもたちの困り――IQ100を平均とした場合、約14%が該当する「境界知能」にあたる子どもに今は特に焦点を当てているのですね。宮口先生:例えば発達障害は、以前よりも認知が進み、まだまだ具体的な支援の面で課題はあるものの、学校で合理的配慮を受けやすくなっているように思います。しかし、境界知能にあたる子どもたちは、支援が必要なのにそもそも気づかれていない現状があります。そのような子どもたちが一番困っていることは何か…。私は、「勉強についていけない」ことだと思います。19歳以下の自殺の原因・動機でも学業不振や入試や進路の悩みが上位となっています。学校は、勉強するために通っていて時間割もびっしりですよね。授業の内容が分からない、周りについていけない、テストができない…そんな日々が続くのはとてもつらいことです。本人にもプライドがあるので、素直に助けを求められないことも多いでしょう。そうして困りが募り、中には非行に走ってしまう子どももいるのです。厚生労働省|令和4年中における自殺の状況付録1年齢別、原因・動機別自殺者数――ドラマ化の話を聞いたときは、どのように思われましたか?宮口先生:本当に実現できるのだろうかと思いました。完成した作品を見たときは、ドラマに関わるみなさんの「こういう困っている子どもたちがいる現実を伝えたい」という気持ちが伝わってきましたし、視聴者のみなさんの心にも届くのではないかと思いました。制作過程でもいろいろと意見交換をさせていただきましたが、尽力いただいたみなさんに心から感謝しています。おかげさまで『ケーキの切れない非行少年たち』は、書籍だけでなく、マンガ、ドラマとなり、多くの方にお届けする機会をいただくことができました。これからも伝える取り組みを続けるとともに、困っている子どもが自分の人生を生きていくために必要な学習面・社会面・身体面の土台を育めるよう支援していきたいと思います。――ありがとうございました。ドキュメンタリードラマ『ケーキの切れない非行少年たち』児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務してきた宮口幸治さんの著書『ケーキの切れない非行少年たち』初のドキュメンタリードラマが、2023年6月20日(火)よる8:00~9:39 [BS1]に放送されます。(あらすじ)都内の公立高校に通う17歳。ある出来事から妊娠し、生まれてきた赤ちゃんを…。女子少年院に勤務する精神科医が、入所してきた少女のある特徴を発見する。「ケーキを3等分できない」認知機能の弱さが引き起こす悲しみの連鎖。衝撃の事件から1年、少年院を出た彼女は小さな命と向き合おうと決意する。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部※クリックすると発達ナビのサイトからNHK『ケーキの切れない非行少年たち』のページに遷移します。
2023年06月17日お笑いタレントの東野幸治とお笑いコンビ・和牛(水田信二、川西賢志郎)がこのほど、都内で行われた「BSよしもと7月新番組取材会」に出席した。7月30日にスタートする新番組『東野・和牛の全国街ぶらチーキーズ』(毎月最終日曜22:00~23:00)に出演する東野と和牛。これまで『Cheeky’s channel アワード』のMCを務め、日本各地のスポットやグルメの魅力に触れてきた3人が全国各地を街ぶらし、これからは自らの足で地域の魅力を体感する。東野は「和牛と3人でBSよしもとの前から、日本全国の地域の皆さん、住みます芸人と触れ合う番組があって、BSよしもとが開局して『Cheeky’s channel アワード』を月1でやっていて、次はロケに行く」と説明し、「1回ロケに行ったんです。広島に行きまして、とても楽しくて。夜に着いていきなりオネエ系バーに行きました。スタッフちゃんと会議しているのかなと思いましたが、結果面白いし、3人で日本中いろんなところに行けるのが楽しみ。前向きにやりたい」と語った。水田は「いろんな地方に行けるということで、3回に2回は愛媛に行きたい。愛媛は何回行っても語り尽くせない魅力がある」と地元愛を爆発。川西は「BSよしもと自体も、吉本が大きな舵を切ったところで、大きなプロジェクトだと思いますが、最近になって番組もどんどん新しくなった。大崎(洋)社長が万博のほうに行かれたので、このタイミングでリニューアル失敗すると、大崎社長がいないと、という感じになってしまう。こっちも万博ぐらい盛り上げたい」と意気込み、東野も「年内には大阪に行って、万博の会議に行きたい。2025年は大阪でロケをやりたい」と希望した。これまで何度も共演している東野と和牛だが、関係性の変化を聞かれると東野は「1回目会ったときの距離感と、まんまの距離感です」と笑い、「離れてないし、めちゃめちゃ近い感じもない。コンビの人と話すときって、どうしゃべったらいいのかわからない。コンビの関係性もあるし、ええ感覚の三角形な感じで常にいるようにしています」と話した。だが、新番組で距離が縮まることを期待しているようで、東野は「ロケに毎回行くようになって、人の生活の匂いがわかるかもしれない。エンディングでお風呂に入る。お風呂に入ると距離も縮まりますから楽しみにしたいと思います」と話していた。取材会には、BSよしもとアナウンサーの赤間有華も参加した。
2023年06月16日障害のある人から寄せられた50編の詩を紹介する第27回「NHKハート展」6月19日からNHKプラスクロスSHIBUYAにて開催Upload By 発達ナビニュース全国から寄せられた3,009編の詩の中から入選した50選の詩を展示する、第27回「NHKハート展」東京展が、2023年6月19日(月)~7月23日(日)まで東京都渋谷区にあるNHKプラスクロスSHIBUYAにて開催されます。障害のある人がつづった詩を紹介する展覧会「NHKハート展」は、障害のある人もない人も互いに理解しあい“共に生きる社会”の実現をめざして、1994年に始まりました。ハート展の詩から、障害のある人の思いを感じ、理解することで、多様な個性を認め合う社会への一助になる願いがこめられ、毎年開催されています。会場ではスペシャル企画として、女優の貫地谷 しほりさんや矢吹 奈子さん、声優の西山 宏太朗さん羽多野 渉さん、細谷 佳正さんによる朗読をお手持ちのスマートフォンとイヤホンで聴くことができます。さらに、2023年度のテーマソングであるケツメイシさんの「自分が思っていたよりも」が展覧会場で上映されています。たくさんの詩からさまざまな感性を感じる会場に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。■詳細日時:2023年6月19日(月)から7月23日(日)時間:10時00分~21時00分(※最終入場は20時30分まで)料金:無料会場:NHKプラスクロスSHIBUYA(東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア14F)主催:NHK、NHK厚生文化事業団、全国社会福祉協議会後援:内閣府※クリックすると、発達ナビのサイトから<NHKハート展>のページに遷移します。日本再上陸した「FOREVER 21」が障害者アーティストと学生の共創により生まれたアートでコラボTシャツを制作し5月8日より発売Upload By 発達ナビニュース人気ブランド「FOREVER 21」は、渋谷で暮らし・働く障害のあるアーティストと、渋谷で学ぶ学生が共に創り上げた文字や絵柄「シブヤフォント」を使用したコラボTシャツを5月8日(月)から発売します。「FOREVER 21」を運営するゲートウィンの親会社アダストリアでは、障害の有無、年齢、ジェンダーに関わらず、「すべての人がもっとファッションを楽しめる世の中を作りたい」と、インクルーシブな社会の実現を目指すプロジェクト「Play fashion! for ALL」を2020年より立ち上げ、「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」をコンセプトに、さまざまな立場の人の視点や想いを大切にした取り組みを実施しています。渋谷区内の障害のある方が描いた文字や絵から、専門学校桑沢デザイン研究所の学生がフォントやパターンデータを制作(2023年4月時点500種以上)し、それらを渋谷区公認のパブリックデータ「シブヤフォント」とし、誰でも利用できるよう公式サイトで公開しています。「FOREVER 21」を運営するゲートウィンの本社所在地である渋谷で生まれた「シブヤフォント」を使用することで、渋谷の新しいソーシャルアクションにつながり、個性や多様性を重要視する同社のコミュニケーションテーマに通ずると、今回のコラボレーションが実現しました。そして、こうして生み出された商品の売上の一部は、渋谷区内で暮らし・働く障害のある人の工賃向上に還元されます。今回のFOREVER 21のコラボTシャツ制作をきっかけに、「誰もが同じじゃない」という当たり前が受け入れられ、さまざまな人の個性や多様性、働き方が尊重されるインクルーシブな社会の実現に少しでも寄与したいと考えられています。■商品詳細①「F21XSF/CTST」フリーサイズ、3色展開【オフホワイト、イエロー、ブルー】¥3,850/税込②「F21XSF/BPTワイドT」フリーサイズ、2色展開【オフホワイト、ブラック】¥3,850/税込③「F21XSF/MERCIT」フリーサイズ、3色展開【オフホワイト、ブラック、イエロー】¥3,850 税込※クリックすると、発達ナビのサイトから<コラボTシャツ>のページに遷移します。視覚を用いずに対戦可能!6月2日発売「ストリートファイター6」のサウンドデザインにバリアフリーeスポーツePARAが協力Upload By 発達ナビニュース1987年に発売されてから、長期間にわたり人気を博している対戦型ゲーム格闘技「ストリートファイター」。2023年6月2日に発売された新シリーズ「ストリートファイター6」では、これまでのシリーズにはない新たな試みとして、視覚情報を用いずに対戦が可能となるさまざまなサウンドアクセシビリティが追加されています。本作のサウンドには、株式会社ePARAが協力し、障害当事者が主導して、サウンドに関する助言をレポート。株式会社ePARAは「本気で遊べば、明日は変わる。」を掲げ、年齢・性別・時間・場所・障害の有無を問わず、誰でも参加できる「バリアフリーeスポーツ」を提唱し、企画・運営・支援を行う企業です。また、「バリアフリーeスポーツ事業」に関連するさまざまな業務について、障害者に業務委託もしくは雇用の形式で参画する就労支援事業も展開。eスポーツを通じて誰もが輝ける社会づくりを目指し、障害当事者との共創を積極的に行っています。今後同社では、ブラインドeスポーツの探求と合わせて、視覚情報を一切使用せずに音声だけで状況を判断して戦うeスポーツイベント「心眼CUP」の開催や、ストリートファイター6の体験会などを企画予定。障害がある人もない人も誰もがeスポーツを楽しめる、「インクルーシブなゲーム世界」の発展が期待されています。※クリックすると、発達ナビのサイトから<バリアフリーeスポーツ>のページに遷移します。障害のあるアーティストの作品がカラフルなパッケージに!「アート&カカオ」第4弾、2023年6月1日より発売Upload By 発達ナビニュースウェルフードマーケット&カフェ「imperfect(インパーフェクト)」は、障害があるアーティストの所得支援を目指す「アートビリティ」と協業し、2022年9月からパッケージデザインに障害があるアーティストの作品を使用した「アート&カカオ」を発売。発売以降、人気を博した同シリーズの第4弾が2023年6月1日(木)より表参道店とECサイトにて発売しました。「アート&カカオ」シリーズ第4弾のパッケージデザインに使用されているのは、相田大希さんの「ふたつのパイン」。みずみずしい2つのパインが印象的なこの作品は、パイナップルが大好きな相田さんが、初めてカットされていない原型のパイナップルを買ってきた記念に描いたそうです。相田さんは作画にサインペンを使用し、独特の色の使い方や塗り方から描かれる作品は、不思議な力強さを感じます。また、imperfectでは「アート&カカオ」を通じて、森林の減少が進んでいるカカオの主要産地ガーナの、カカオを育てる森の保全にも取り組んでいます。相田さんが描くカラフルで躍動感があるパッケージと、森林保全につながるチョコレートは、夏のギフトにもピッタリではないでしょうか。■商品詳細商品名:アート&カカオ内容:クランチチョコレート3種類×3粒 計9粒 入り販売価格:1,800円(税込)場所:imperfect表参道および公式ECサイト( 東京都渋谷区神宮前4丁目12-10 表参道ヒルズ同潤館1F)※クリックすると、発達ナビのサイトから<アート&カカオ>のページに遷移します。「imperfect」公式サイト『ケーキの切れない非行少年たち』初ドラマ化―女子高生が子どもを産んで遺棄…現実にあった悲劇を描く-2023年6月20日(火)よる8:00~放送Upload By 発達ナビニュース児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務してきた宮口幸治さんの著書でシリーズ累計150万部のベストセラーを記録する「ケーキの切れない非行少年たち」が、初めてドキュメンタリードラマ化され、2023年6月20日(火)午後8時よりNHK BS1にて放送されます。17歳の恵は、都内の公立高校に通っています。小学生のころから勉強が苦手で、友達もあまりおらず、高校では友達に認めてもらおうと万引きを繰り返してしまいます。そして、あるできごとが起き、子どもを妊娠。その結果、生まれてきた赤ちゃんを…。恵は女子少年院へ入所。そこに勤務する精神科医が、彼女のある特徴を発見します。それは「ケーキを3等分にできない」ということでした。実は、彼女のIQは76。知的障害(IQ70未満)ではないものの、平均値には及ばない“境界知能”に該当します。恵はその事実を誰からも気づかれず、どんなに頑張っても勉強ができないことを「やる気がない」と責められ続けてきました。平均的な知能の人たちのなかでもがき、叱咤され、そして誰からも援助を得られないまま、社会で一人取り残されてしまったのです。境界知能の人たちは、統計的に全人口の14%いるとされ、35人のクラスに5人いる計算です。「ケーキの切れない非行少年たち」は、認知のゆがみが引き起こす悲しみの連鎖を、フィクションではなく、現実に起きた出来事を元にして描いた物語です。さらに今作では、少年院のドキュメンタリー取材なども交えて放送。いま社会が向き合うべき”見えない問題″をより深く描く作品となっています。【放送予定】2023年6月20日(火) よる8:00~9:39 [NHK BS1]※クリックすると、発達ナビのサイトから<ケーキの切れない非行少年たち>のページに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年06月14日学習のつまずきは小学校低学年から私は児童精神科医として、これまでさまざまな自治体で、教育相談や学校コンサルテーション(教育現場での問題を解決する支援)を行ってきました。小・中学校で出会うお子さんたちの相談内容は、「文章が読めない」「漢字が覚えられない」「計算が苦手」「集中力が続かない」など、発達や学習の遅れに関するものが多く、話をうかがうと、だいたい小学校の低学年から、学習面でのつまずきが始まっています。認知機能の働きが弱いという可能性そういうお子さんは、認知機能の働きのどこかに弱さをもっている可能性もあります。学力を向上させたいからといって、いくら計算ドリルや漢字ドリルをやらせても、なかなか効果が出ないことも少なくありません。学習の土台がしっかりしていないところに、教科学習を積み上げていっても定着はしづらい可能性があるのです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といったいくつかの要素が含まれた「知的機能」を指します。いわば、下の図のように「学習の土台」なのです。Upload By 宮口幸治「点つなぎ」の課題と漢字を覚えることの困難さここでは、認知機能の弱さをもっていることによる困り事例や、認知機能は強化できるという事例を挙げていきます。下の図は、小学1年生後半のお子さんが書いた「点つなぎ」の課題です。点つなぎは、視覚認知の基礎力をトレーニングするもので、見本のように、点を結んで同じ絵を再現してもらいます。Upload By 宮口幸治このお子さんは、ひらがなの読み書きが不十分で、文章が読めない、漢字もほとんど読み書きできないと、担任の先生から報告されていました。点つなぎの段階で形を模写できていないと、漢字などは点々のガイドがなく、複雑な形をしているので、覚えるのも苦労しそうだと推察できます。Upload By 宮口幸治次に、認知機能を強化するトレーニング「コグトレ」を行った前後の変化を示す例を紹介します。コグトレとは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です。学校の勉強についていくのがしんどいと訴える中学生が、下の絵のような自画像を描きました。そのお子さんは、小学生のころから黒板をノートに書き写すことや漢字を覚えることに苦手意識をもっていました。コグトレ後は、形を覚えて模写する力が身についたのでしょう。4ヶ月のコグトレの成果で、立体図はかなり正確に写せるようになり、自画像の表現力も増し、学習面では漢字の読み書きが上達しました。Upload By 宮口幸治Upload By 宮口幸治図形の模写から知る、発達の目安ここでは、図形の模写から、お子さんの発達の程度に目安をつける簡単な方法をお伝えします。立体図や蜂の巣は、8~9歳くらい、ひし形は7~8歳くらい、三角形は5~6歳くらい、正方形は4~5歳くらいまでに描けることが、ひとつの目安です。これらの図形が、該当する年齢を超えても描けないことが明らかであれば、そのときは念のため、発達専門外来や教育センターなどでご相談されることをお勧めします。Upload By 宮口幸治トレーニングで認知機能を強化する仮に今は、立体図の模写がうまくできなくても、認知機能を強化するトレーニング次第では、かなり正確に写せるようになる可能性はあります。「写す」力が弱いなら写す練習をしたほうがいいですし、「数える」力が弱いなら注意して数える練習をしたほうがいい…。その結果、黒板を書き写せるようになる、漢字を書けるようになる、数え間違いや計算ミスが少なくなる、という効果に結びつく可能性があるなら、今、できることを少しでもしてあげたいのでないでしょうか。Upload By 宮口幸治「学習の土台」をサポートする『コグトレ』漢字が覚えられない、計算が苦手というお子さんに必要なのは、学力以前の「学習の土台」づくりです。体育の跳び箱やさか上がりにたとえるなら、それ以前に、まずは体力づくりが大事ということです。体育でいう基礎体力に相当する「学習の土台」をサポートするために考案したのが『コグトレ』です。これは、注意して見る力・聞く力、想像する力(認知機能)を鍛えていくトレーニングです。『コグトレ』は、鉛筆と消しゴムがあれば、すぐに始められるトレーニングなので、「学習の土台」のサポートとして、よかったらお試しください。
2022年12月01日児童精神科医として少年院に勤務、そこでの気づきとは今回は、困っている子どもたちを教育・医療・心理・福祉の観点で支援する「日本COG-TR学会」を主宰し、全国で支援者向けに研修を行っている児童精神科医・宮口幸治先生のコラムをまとめてご紹介します。宮口幸治先生は、2009年より児童精神科医として少年院に勤務したご経験から、認知能力の大切さに気づき、子どもたちが遊び感覚で認知機能を鍛えられるトレーニング『コグトレ』を考案。「勉強ができない」「黒板を写せない」「漢字が苦手」…そんな子どもの困りに向き合う先生の思いや保護者の方へのメッセージをご一読ください。発達障害の認知度が高まる今、宮口先生は保護者や支援者の方に見逃さないでほしいと思うポイントを2つ挙げています。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。特に「境界知能」に当てはまる子どもたちは、適切な支援を受けられていない可能性があるといいます。児童精神科医として10年以上、少年院に勤務し多くの子どもたちに出会ってきた宮口先生。今、「困っている」子どもたちの今後の人生が少しでも生きやすくなるように、「学力以前の力」を身に付ける必要性を強く感じたと言います。そのために必要な適切なサポートとはなんでしょうか。「ワーキングメモリ」という言葉をご存じでしょうか。宮口先生は、別名「心のメモ帳」といい、短い時間に心のなかで情報を保持し、同時に処理する能力のことを指すと解説します。このワーキングメモリには「見る」「聞く」の2種類があり、人は、聞いて覚えるよりも、見て覚えるほうが得意な人が多いものであると続けます。それでは、「聞く力」を身につけるトレーニングにはどのようなものがあるのでしょうか。「認知の力」とは、どのような力を指すのでしょうか。宮口先生は、学習はもちろん、相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるには、すべて「認知の力」が土台になっていると言います。だからこそ、「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばす必要があり、「できないこと」をひたすらやらせるのではなく遊び感覚でできるトレーニング法を提唱しています。教育相談の場を通じて子どもの知能検査などを行った際、「見る・聞く」といった認知機能の弱さが見つかれば、それが学業不信につながっている可能性を保護者の方に説明してきた宮口先生は、「認知機能に弱さがあるのは、どうしたらいいですか?」という質問をよく受けてきたと言います。なかなかいいトレーニングを紹介できずにもどかしさを感じていた宮口先生が、生みだしたのは。
2022年10月31日発達障害のある人への対応で重視したい2つのことこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。最近では「発達障害」への認知度が高まり、発達障害があることの生きづらさについても理解が深まりつつあります。今回は保護者や支援者の方が発達障害のある人に対応するときに、見逃さないでほしい2つのポイントについて、お話ししていきます。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。1つ目は、知的障害の有無です。社会生活を送る上での困りごとは、実は、知的な障害から生じるケースがほとんどです。逆にいえば、発達障害のある人でもIQ(知能指数)が高ければ、今の社会を生き抜いていく方法はあるでしょう。例えば、自閉傾向が強くても勉強ができたら、好きな分野での研究職に就くといった選択肢が考えられます。知的障害の認定基準は「IQ70未満」知的障害の認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、おおむね「IQ70未満」です(一部では「IQ75未満」のところもあります)。さらに日常生活での援助が必要だと認められると「知的障害」と判断されます。そのうち、「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。ただし、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあります。みなさん、「境界知能」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。IQ70と85の境となる「IQ70~84」が境界知能です。意外に思うかもしれませんが、境界知能は日本人の7人に1人が該当(IQ100を平均とした場合、境界知能には約14%が該当)します。勉強が苦手な子どもの中には、知的障害には該当しないものの、この境界知能に当たる子どもたちがいます。また、はっきりと発達障害と診断はされないものの、何かしらの課題を抱える「グレーゾーン」の子どもたちもいます。こうした子どもたちにも、本当はなんらかの支援があってしかるべきだと思うのですが、家庭や学校で見過ごされてしまうことが多々あります。むしろ、「軽度知的障害」と診断を受けていたほうが特別支援学級に在籍するなど、支援の手が届きやすくなります。でも、障害の診断はされていないのに、「授業についていけない」「周囲の子となじめない」という子どもの場合は、「本人のがんばりが足りない」「努力不足」「やる気がない」などととらえられてしまいがちです。先にお伝えしたように、境界知能とはIQ70~84です。IQ80あればIQ100の8割なので、同じ年齢の子と比べて8割程度の知能ということです。平均の8割あれば、そんなに心配する必要はないように思いますか?でも、考えてみてください。8割の知能ということは、10歳の子どもたちの中に8歳の子どもが混ざっているイメージです。小2の子どもが小4のクラスの授業についていくのは、しんどいことだと想像できるのではないでしょうか。認知機能の弱さが学習のつまずきにさらに、境界知能の子どもたちがしんどいのには、もう1つ理由があります。「認知機能」の弱さです。発達障害に対応するときに、重視してほしい2つ目のポイントです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といった「知的機能」を指します。見る、覚える、写すといった社会生活を営むのに必要な能力で、「学習の土台」でもあります。境界知能の子どもたちの多くは、この認知機能に弱さを抱えていることが多いといわれています(知的障害や発達障害のある子どもにも、その弱さは見られます)。例えば、「見る力」が弱いと文章を目で追いづらかったり読み飛ばしてしまったり、「覚える力」が弱いと九九や漢字を覚えられなかったり、「写す力」が弱いと板書が書き写せなかったり…学習面でのつまずきにつながります。このような認知機能の弱さを抱えながら、教科学習の知識を積み上げていくのは大変なことです。学年が上がるにつれて、学習内容は複雑になり、抽象度も増していきます。学習の土台がしっかりしていないところに、知識を積み上げても、子どもたちのつまずきが増すばかりです。子どものつまずきに気づき、手を貸してあげられる大人といえば、親御さんや学校の先生方です。とくに親御さんは、子どもが「自立」するまで、共に寄り添っていく存在です。いわば、子どもの「伴走者」です。子どもが自発的に何かをやり始めて、つまずきながらも、目的に近づいていく。それでもくじけそうになったときに、「大丈夫だよ。いつでも手伝うよ」と安心させるのが、伴走者の役割です。ポイントは、つかず離れずの距離感です。子どもにくっつきすぎて、やることを先回りして手伝ってばかりいると、自立を妨げかねません。一方で、親の子どもへの関心が薄かったり、困っているときに手伝えなかったりすると、子どもは不安になってしまいます。最後に、学習面でのつまずきを解消するには、学習の土台である認知機能をトレーニングすることが大切です。『コグトレ・パズル』は、親御さんに専門的な知識がなくても、パズルやゲーム感覚で楽しみながら、お子さんの認知機能の向上が期待できるトレーニングです。子どもの学習の「伴走者」として、保護者の方も一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2022年10月26日株式会社 PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2022年10月17日に『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(宮口幸治著/税込990円)を発売します。宮口幸治氏は『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の著者です。同書の部数は80万部を超えており、子どもの認知機能問題に対する社会の関心の高さが見てとれます。刊行から3年が経過し、その問題にも新たな変化がありました。本書は、認知機能の弱さに困っている子どもたちを支援する活動に取り組む宮口氏の最新刊です。オリジナル教材「コグトレ」を始めた非行少年たちの経緯や「その後」、学校教育機関での事例を紹介します。「立方体が描けない」とはどういうことか本文より「立方体が描けない子」とは、認知機能の弱さに気づいてもらえなかったために非行化した子どもや少年を指しています。立方体の模写は7歳から9歳までの間にクリアする課題ですが、著者が少年院で出会った非行少年の多くは、10代後半でありながら正しく模写ができませんでした。宮口氏は、非行少年の「見たり、聞いたり、見えないものを想像したりする力」の弱さを目の当たりにし、非行問題の一因が認知機能にあるのではと考え、「まちがい探し」「点つなぎ」などの認知機能強化トレーニングを矯正教育に導入し始めました。「学習の土台」を強化するトレーニング少年院での取り組みをもとに開発された、子どもたちへの支援プログラムが「コグトレ」です。社会面・学習面・身体面という3方向のアプローチがありますが、認知機能の弱さには、学習面のコグトレが効果的です。①覚える、②数える、③写す、④見つける、⑤想像する、という5つのトレーニングで構成され、頭の基礎体力の向上を目的としています。国語や算数を学ぶ以前の「学習の土台」となるため、周囲についていけなくなることによるモチベーションの低下を防ぎ、ゲーム感覚で知らず知らずの間に力を付けることができます。本書は、コグトレの具体的内容をワークシートとともに多数掲載しています。学習面コグトレの例「何が一番?」(方法)大小、軽重、遠近など比較の入った文章を聞いて、何が一番目だったかを答える(効果)文章読解力と聴覚(言語性)ワーキングメモリのトレーニング例)「キリンさんの家は、ゾウさんの家よりも大きいです。ライオンさんの家は、キリンさんの家よりも大きいです。一番小さい家に住んでいるのは誰ですか」答え(ゾウ)「記号さがし」(方法)記号がランダムに敷き詰められた表から、法則に従って特定のマークを数える(効果)集中して数えるという持続的な注意力と、ルールに従って注意を切り替える力を同時にトレーニング「くるくる星座」(方法)上の見本と同じ星座になるように、下の点を線で繋いでいく(効果)視覚認知の基礎力と、論理的判断力を身につけるトレーニング一般の学校にも広がるコグトレは、少年院だけでなく、一般の学校でも取り入れられています。本書では、学校や教育機関での導入事例と、その成果も紹介しています。●小学校6年生を担当する教員「運動会が終わってから、コグトレに取り組み始めた。1学期は話が聞けず、いつ学級崩壊が起こるかと、学校に来るのが嫌になっていたが、今、クラスが静かになって話を聞ける場面も増えた。…2学期を終えて、落ち着いて授業が受けられる時間が増えてきた」●大阪府のある小学校の教員「(コグトレ導入の理由は、)学習の基礎になる力をしっかり整えることで、学習の力を向上させてあげたいと思ったからです。以前は、離席とか教室飛び出しが頻出するような学校だったのですが、今は落ちついてじっくりと学習できる子ばかりになりました」『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』について著者について宮口幸治(みやぐち・こうじ)立命館大学産業社会学部・大学院人間科学研究科教授。医学博士、児童精神科医、臨床心理士。京都大学工学部卒業、建設コンサルタント会社勤務ののち、神戸大学医学部医学科卒業。大阪府立精神医療センター、法務省宮川医療少年院、交野女子学院医務課長などを経て2016年より立命館大学教授。困っている子どもたちを教育・医療・心理・福祉の観点で支援する「日本COG-TR学会」を主宰。書に、80万部を超えた『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たちケーキの切れない非行少年たち2』『ドキュメント小説ケーキの切れない非行少年たちのカルテ』(以上、新潮新書)のほか、『コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング(三輪書店)』など。書誌情報書影タイトル:「立方体が描けない子」の学力を伸ばす著者:宮口幸治定価:990円(10%税込)発売日:2022年10月17日判型:新書判並製ページ数:240頁ISBN:978-4-569-85323-9発行:株式会社PHP研究所「立方体が描けない子」の学力を伸ばす | 宮口 幸治著 | 書籍 | PHP研究所 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月14日ゲーム感覚で楽しめる読み書き指導ーー『マンガでわかる読み書き指導: スモールステップで読めない、書けない子どもを伸ばす』「もしかして読み書きが苦手かもしれない」と思ったとき、どこに相談し、どのような支援をしていけばいいのでしょうか?この本では、読み書きに困難のある5歳のそらちゃんとそらちゃんのお母さんが、作業療法士の児玉先生による読み書き指導を通して少しずつ文字に対する苦手意識を克服していく様子が描かれており、作業療法士の視点から、読み書き困難のある子どもへの指導について分かりやすく紹介されています。文字の読み書きには、文字と音を結びつける、文字と意味を結びつける、文字の形を的確にとらえる、など子どもにとっては難しい要素がたくさん詰まっています。あいうえお表に沿って読み書きの練習をするのではなく、絵カードなどを用いて、語彙を豊かにする、図形を模写する力をつける、絵や音と文字を結びつけたり、文字の数や形、意味を認識する力をつける練習をするなど、読み書きに必要な基礎的な力をスモールステップで身につけていくことが重要です。大切なのは、文字に興味を持てるようにすること。この本では、読み書きが苦手な子どもの特性に合わせ、ゲーム感覚でできるトレーニング、お家でできるトレーニングもたくさん紹介されているので、遊び感覚で一緒に実践してみるのはいかがでしょうか。発達障害のある子どもたちの学校生活について考える、本田秀夫先生の新刊ーー『学校の中の発達障害 「多数派」「平均値」「友達」に合わせられない子どもたち 』発達障害のある子どもの特性を本人や家族がどんなに理解していたとしても、学校の中で多くの人の理解を得ることは難しい、そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この本では、発達ナビにもご寄稿いただいている本田秀夫先生により「発達障害のある子どもの学校生活をサポートするコツ」が紹介されています。厳しい校則、授業を受ける際のルールなど、発達障害のある子どもたちは「学校の標準」に合わせることに苦労することもあります。発達障害のある子どもが安心して学校生活を送れるようにするために、親や先生ができることとは何か、また現在の教育に必要なことは何か、など、さまざまな視点から「発達障害と学校生活」について考えられる一冊になっています。また「子どもが教室を飛び出してしまったら?」「ほかの子どもをたたいてしまったら?」「子どもが宿題をやらないときは?」など学校生活で生じやすい困りごとについて、親ができること、先生ができること、協力してできることがそれぞれ紹介されています。集団生活、たくさんのルール…学校生活は発達障害のある子どもたちにとってハードルが高いことも多く、その過程でつまづいてしまうことも少なくないでしょう。子どもたちやその家族が「学校の標準」に合わせることができないことで悩まずに済むように、また多様な特性を持つ子どもたちがのびのびと学校生活を送れるようにするためには、どんな支援、工夫が必要なのでしょうか。発達障害のある子どもを持つ保護者の方だけでなく、発達障害のある子の支援に関わるさまざまな職業の方におすすめの一冊です。自閉スペクトラム症のあるスバルくんの成長記録ーー『スバルくんは 頭の中 全部言いたくてしょうがない: わが家のハッピーBOYは自閉スペクトラム症』この本では、自閉スペクトラム症のあるスバルくんのお母さん、星あかりさんが、子育ての中で発見したほのぼのエピソードを四コマ漫画で紹介しています。スバルくんは3歳のときに自閉スペクトラム症と診断されました。診断を受ける前のスバルくんの様子、また診断を受けてからの、幼稚園や特別支援学級での様子に至るまで、スバルくんとご家族の笑いあり、涙ありの日常がこと細かに描かれています。星あかりさんはスバルくんが自閉スペクトラム症と診断されてから、さまざまな本を読み自閉スペクトラム症について知識をつけようと奮闘しますが、結局得意なことや苦手なことは一人ひとり異なるのだから「一周まわってスバルはスバル」と受け止めます。発達障害、自閉スペクトラム症と一言で言っても、症状や特性は一人ひとり違います。発達障害のある子どもの子育てにおいては、大変なこともあるけれど、楽しいことや驚かされることもたくさんあるでしょう。誰かと比べるのではなく「この子はこの子」と、個々の子どもの特性に向き合いながら、一日一日を大切に過ごしていけるといいですね。自分の困りごととうまく付き合うには?ーー『特別な支援が必要な子たちの「自分研究」のススメ: 子どもの「当事者研究」の実践』発達障害などの特性があり、日常生活の中で困りごとを抱える子どもたちは、自分の特性を自覚していく過程で、「なんで自分だけできないの?」「自分は普通じゃない」と悩んでしまうこともあるそうです。成長するにつれて、自分の得意なこと、苦手なことを把握することが求められる場面も増えてきますし、困りごとに対する適切な対処方法を知らないと、「できないのは自分のせい」だと思い込み、自己肯定感がどんどん低くなってしまうことも考えられます。この本では、子どもたちが、自分で自分の困りごとを研究する「自分研究」について、実際の例と共に紹介されています。「泣き虫ゴースト」「ペラペラノドン」など自分の困りごとをキャラクターにして、それはどんなとき、どんな場面で表れるのか、どうすればそれを軽減することができるのか、どんな環境、道具があると安心できるのか、などについて、ほかの子どもたちからのアドバイスも踏まえながら、自分で研究します。子どもたちは「お守りをつくる」「ストップと書かれたカードをつくる」「運動する」など多様な対処方法を考えます。イヤだと感じること、苦手なこと、安心できること、落ち着けること…それらは一人ひとり異なります。自分の特性にしっかりと向き合うことで、苦手なこと、困っていることに対する自分なりの対処法を前もって考えておくことができ、「次にこういうことがあっても大丈夫」という安心感を得ることができるのではないでしょうか。児童養護施設や非行少年をテーマに境界知能について考えるーー『傷ついた子を救うためにマンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち4』「もしも同僚が全員ノーベル賞をとっていたら、その中で仕事をしていくことができますか?」この本の主人公、大頭先生は、児童養護施設の職員からこう問われます。発達障害グレーゾーンの子どもや境界知能の子どもたちは、このように求められる「普通」のレベルが高すぎる、負担の大きい環境の中で生活しているとも考えられます。この本は、小学校の先生である大頭先生が、児童養護施設で暮らす生徒の家庭訪問にいく場面から始まります。児童養護施設にはさまざまな理由・背景で入所している子どもたちがいますが、約半数に被虐待経験があるといわれています。この本の中で、虐待を受けた子どもたちは「必要な時に必要なだけ、充電をさせてもらえない」「充電器が当てにならない」状態にあると表現されています。さらに本書では、同じ児童養護施設の卒業生キノシタくんが登場します。キノシタくんは母親からのネグレクトが原因で児童養護施設に入所します。キノシタくんは境界知能レベルにあることが分かっていましたが、適切な支援が行われず、次第に非行に走り、少年院に入ることになります。キノシタくんが非行に走る理由は、決して彼個人の問題だけではないはずです。どのような環境が彼を非行へと追い立てたのでしょうか。この本はベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の著者である宮口幸治先生によって書かれました。「ケーキの切れない~」でもテーマとなっていた境界知能、グレーゾーンの子どもについて理解を深めるためのシリーズ第4弾がこの作品です。大頭先生と一緒に境界知能や発達障害グレーゾーンの子どもたちの困りごとについて学んでみましょう。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年10月09日できないで困っている子を助けたい私は児童精神科医として、2009年から現在まで少年院に勤務し、非行少年と言われる多くの少年たちに出会ってきました。「非行少年」というと粗暴で、周囲を「困らせる子」のイメージがあるかもしれませんが、実際に私が出会った少年たちは違っていました。ひとことでいえば、その少年自身が「困っている子」だったのです…。下の図は、私が少年院で出会った中学生が描いた立体図です。彼は見本を見ながら「難しいなあ」とつぶやいてなんとか描き上げたのですが…。私は彼の苦労する姿を見て、この少年に今必要なのは、反省の念もさることながら、立体図がしっかり描けるような力、つまりは正しく物事を「認知する力」だと感じ入りました。Upload By 宮口幸治約5年間かけて開発した認知機能強化トレーニング立体図の模写は見る力の問題ですが、ほかにも調べてみると、聞く力が弱くて、簡単な文章も聞き取れない、復唱できないという少年たちも数多くいました。そこで少年院の「実科」(授業)では、見る力・聞く力をトレーニングする教材を使おうとしたのですが…なかなか納得できるものにめぐり合えませんでした。だったら、「自分で納得のいくものをつくってみよう!」と思い立ち、試行錯誤の末、完成まで約5年間の歳月がかかりました。目の前にできないで困っている少年を、なんとかできるようにしてあげたい。ただそれだけの思いで、私は「コグトレ」を考案しました。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭の文字を合わせた言葉です。認知機能の弱さが学習のつまずきにつながることも漢字が苦手、黒板が写せない、九九や計算が苦手、文章題が苦手といった子どもたちは、「写す力」「覚える力」「数える力」「見つける力」「想像する力」(=認知機能)の弱さが背景にある可能性があります。例えば、「覚える力」や「写す力」「見つける力」が弱いと、黒板を写せなかったり、漢字の書き取りができなかったりするかもしれません。「数える力」が弱いせいで、算数のうっかりミスにつながっているかもしれません。でも、たとえ基礎的な認知機能が弱かったとしても、あきらめてはいけません。トレーニングにより高められる可能性はあります。見る力・聞く力をトレーニングみなさん、「ワーキングメモリ」という言葉を聞いたことがありますか?これは、別名「心のメモ帳」と呼ばれ、短い時間に心のなかで情報を保持し、同時に処理する能力のことを指します。ワーキングメモリには「見る」と「聞く」の2種類があります。概して、記憶するには見て覚えるか、聞いて覚えるかの2つです。視覚性のワーキングメモリを使う場面は、例えば、黒板をノートに書き写すとき。黒板を見て、覚えられる情報量が少なかったり保持できる時間が短かったりすると、何度も黒板を見直さなければなりません。視覚の短期記憶や基礎力、情報整理の力を鍛えるそこで、「コグトレ」では、以下のような「覚える」課題で、視覚の短期記憶をトレーニングします。ほかにも、視覚認知の基礎力(模写・形の把握)をアップする「写す」課題、視覚情報を整理する力をアップする「見つける」課題もご紹介しましょう。「写す」「見つける」力も黒板を書き写すのに役立ちます。文字の位置を10秒間しっかり見て覚えてね。10秒たったら何があったか書いてみよう。Upload By 宮口幸治上の絵と同じように、点をつないで下に写してね。Upload By 宮口幸治下の絵のなかにはみほんと同じ絵が1枚あるよ。見つけて番号をこたえてね。Upload By 宮口幸治ワーキングメモリで大事な「聞く力」ワーキングメモリには、視覚性と聴覚性の2つがありますが、実は、パッと見て覚える分にはみなさん、そう大差はありません。人は、聞いて覚えるよりも、見て覚えるほうが得意な人が多いもの。だから支援教材には「見て分かる」系のものが多いのですね。差がつくのは「聞く力」のほうです。例えば、学校で先生から「教科書の25ページを開いて、3番と4番の問題を解いてください」と言われたら、「25ページ」「3番と4番」と言葉を順に覚える必要があります。先生の話を聞き取っては覚え、覚えながら次の話を聞き取るわけです。ただし、「聞く力」が弱かったとしても、トレーニング次第で高められる可能性はあります。次に、そのための課題を紹介しましょう。聞く力をトレーニングする「最初とポン」一例として、「最初とポン」という課題を紹介します。文章理解力と聴覚性(言語性)ワーキングメモリを鍛えていくのが狙いです。まず、出題者が3つの文章を読み上げます。ただし、お約束ごとが2つあります。1つは、文章内の最初の単語だけを覚えること。2つめは、「決められた単語」(動物、食べ物、色など)が出てきたら、手をポンと叩くこと。ここでは「動物」の名前が出てきたら手を叩きます。Upload By 宮口幸治この場合、覚えてもらうのは「牧場」「池」「カエル」で、下線の「ウシ」「アヒル」「カエル」で手を叩くのが正解です。もしも覚えづらい場合には、言葉を頭のなかで映像に結びつける工夫をしたり、グループで行う場合には、うまくいった人にどのような工夫をしたのかを聞いてみたりするといいでしょう。もしも、がんばっているのに、「今ひとつ学習が身につかない」「テストの点に結びつかない」…そう感じておられるとしたら「認知機能」の弱さが原因かもしれません。ぜひ「コグトレ・パズル」をお試しください。遊び感覚で解きながら「認知機能」を高めていくことができるでしょう。
2022年03月24日お笑いコンビ・平成ノブシコブシの徳井健太が28日、都内で著書『敗北からの芸人論』(新潮社)の刊行記念トークイベントを開催。スペシャルゲストに東野幸治を迎え、2人で同書について熱いトークを繰り広げた。芸人やバラエティ番組を的確に「考察」することでも話題の徳井。『敗北からの芸人論』では、「負けを味わった奴だけが売れる」をテーマに、千鳥、オードリー、かまいたちなど、どん底から這い上がった21組の生き様をつづっている。東野は「徳井さんの目線で面白い」と称賛。「僕が知っている芸人さん……極楽とんぼも書いているんですけど、僕が思う加藤(浩次)の印象と、徳井くんの印象が違うのが面白い。こんな一面あるんだなって」と話した。同書で徳井は、相方・吉村崇とのコンビの関係の変化にも言及。結成15年目まで「いつ殺してやろうか」と思っていたが、今は「兄弟」のような関係になっているという。東野は「昔からノブシコブシってコンビ仲が悪いっていうのも知っていた。今はいい関係になっているからすげーよかったなって。いい兄弟だなと思って読ませていただきました」と感慨深げに語った。ただ、吉村本人は徳井の文章を読んで「コイツまだ俺のこと殺そうとしている」と思ったという。徳井は「『吉村ありがとう』っていうのを見て、あいつはナイフを持って『ありがとう』と言っていると思ったみたいです。『ごめんな』って言われて、『もう(殺意)ないよ』って」と吉村とのやりとりを明かした。
2022年02月28日認知能力と非認知能力の違いって?みなさんは、「非認知能力」という言葉をご存じでしょうか。昨今は、学力やIQといった数値では計れない、協調性やコミュニケーション力、思いやりなどを指して「非認知能力」と称し、「非認知能力が大事だ」という風潮もあるようです。でも、実は、「非認知能力」という言葉はあいまいで、何を指すのかといった決まった定義がありません。それにわざわざ非認知能力という言葉を使わなくても、協調性などが大切なのは誰でも知っていることです。一方で、例えば、相手の表情をしっかりと見て、あわてているのか、怒っているのかを察するには、「見る力」も「想像する力」も必要でしょう。見て、想像する力は認知の力そのものです。相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるには、すべて「認知の力」が土台になっているはずなのです。「認知の力」には5の要素が含まれるでは、「認知の力(認知機能)」とは何でしょう?それには、「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」という5つの要素が含まれます。そして、この5つの要素を強化させるために、考案されたのが「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばすトレーニングです。題して「コグトレ」です。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭文字をとったものです。Upload By 宮口幸治開発までに5年かかったトレーニングこれまで、児童精神科医として少年院で勤務をしたり、とある自治体の教育相談などを受けたりして、子どもたちと向き合ってきました。すると、「見る・聞く」「数える・想像する」といった認知機能が弱くて、学業不振につながっているケースが多いことに気づきました。現在、提供しているコグトレは、約5年間の歳月をかけ開発し、医療少年院でトレーニングを実施して検証し、手ごたえの得られた認知機能強化トレーニングをアレンジしたものです。勉強ができなくてつらいのは子ども自身教育相談を受けていると、「勉強ができない」ために一番つらいのは子ども自身だとよく分かります。学校には、基本的には授業を受けて、教科学習をしに通っているわけですから、毎日長くいる場所で、肝心のことができていないのだとしたら、それはつらいでしょう。将来の進路にもかかわってきますし、自分の力で生きていくためにも、勉強は大事なのですが……。「学習の土台」はトレーニングで高められる例えば、簡単な図を見ながらそれを正確に写すということができなければ、漢字はなかなか覚えられないでしょう。漢字が覚えらなければ教科書がだんだんと読めなくなってきます。そこで、漢字の練習の前にしっかりと形を認識して模写する力、いわば「学習の土台」となる力をトレーニングで高めていく必要があります(課題例「点つなぎ」「くるくる星座」)。Upload By 宮口幸治また、記号や絵柄を5個、6個とまとめて囲むといったことができなければ、計算で必要な「数を量としてみる力」が育っていないため、計算が苦手になってしまいます。コグトレではそこをトレーニングしていくのです(課題例「コバケをまとめる」)。Upload By 宮口幸治ほかにも、共通点、相違点を見つけるトレーニングは、算数で数字の並びからパターンを見つけることにも役立ちますし、人の顔や表情を見分けるのにも役立つでしょう(課題例「違いはどこ?」)。Upload By 宮口幸治「できないこと」をひたすらやらせるよりも簡単な計算ができない、基本的な漢字が覚えられない、などがあれば、どんどん難しくなっていく勉強についていくのはどうしても難しくなります。だからといって、ひたすら漢字の練習をさせる、ひたすら計算ドリルを解かせるというふうに「できないこと」をやらせようとしても、効果的ではありません。漢字や計算といった学習の下には、「写す」「数える」「見つける」といった土台があります。そこはトレーニング次第で伸ばしていける可能性があるのです。「できないこと」をやらせるよりも、まずは遊び感覚でできるパズル問題からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
2022年02月17日お笑い芸人の東野幸治がメインパーソナリティを務める番組『吉本芸人生存確認テレフォン~Season2~』の初回が28日(20:00~23:00)、YouTubeチャンネル『FANYチャンネル公式』にて生配信される。同番組は、東野が吉本の芸人たちに電話を掛け、現状を聞き出す配信番組。昨年5月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出自粛を求められるなか、お家での時間をより楽しく過ごしてほしいという思いから企画されたSeason1の好評を受け、今回復活することになった。ゲストには、Season1でも番組を盛り上げたメッセンジャーの黒田有を中心に『生存確認テレフォン』お馴染みのメンバーはもちろん、かまいたちの山内健司や品川庄司の品川祐など、話題の芸人と生存確認が必要な芸人が多数出演する予定だ。
2021年06月25日お笑いタレントの東野幸治が23日、自身のツイッターを更新。22日に結婚が報じられたお笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史を祝福した。東野は「岡村おめでとう!」と祝福。「みんなオールナイトニッポンこの後聴いて!矢部色々聞いて!俺は寝るけど!おめでとう!」と、ニッポン放送『ナインティナインのオールナイトニッポン』(毎週木曜25:00~)を視聴するよう呼びかけた。東野のほかにも、千鳥のノブ、NON STYLEの井上裕介、カジサックことキングコングの梶原雄太らがそれぞれ自身のツイッターを更新し、岡村を祝福している。
2020年10月23日授業中にぼんやりしている子のつらさこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。教育相談の場を通じてお子さんの知能検査などを行うこともあり、その際に、お子さんの「見る・聞く」といった認知機能に弱さが見つかれば、それが学業不振につながっている可能性を保護者の方に説明してきました。すると、保護者の方の多くは、「それじゃあ、この子が授業中にぼんやりしていたり勉強が苦手なのは、ふざけていたりなまけたりしているせいではないのですね」と納得がいった様子を見せます。なかには、それまでの子どものつらさに思いをはせてか涙を流される方もいらっしゃいます。認知機能に弱さがあるのはどうしたら?そのあと、決まって保護者の方から受けるのはこんな質問です。「認知機能に弱さがあるのは、どうしたらいいですか?」しかし、そうたずねられても、以前の私は、なかなかいいトレーニングを紹介できずにもどかしい思いを抱えていました。当時も書店に行くと「見る・聞く力を育てる」という書籍もありましたが、効果検証が不足していたり、包括的に力をつけさせるものではなかったり……。学習ソフトやオンライン教材で「見る・聞く力を育てる」トレーニングを提供しているものもありますが、とても高額であったりしました。そこで、私自身が約5年間にわたり、当時勤務していた医療少年院でトレーニングを実施し、少年たちに対して手応えの得られたトレーニングを『コグトレ』として提供するようになったのです。認知機能を強化する『コグトレ』『コグトレ』とは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です(○○には「ソーシャル(社会面)」「機能強化(学習面)」「作業(身体面)」が入ります)。コグニティブ(Cognitive)とは日本語で「認知」のことで、社会面・学習面・身体面から包括的に子どもたちを支援するプログラムが『コグトレ』です。認知機能強化もその1つです。私たちは、五感(「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる」の感覚)を通して外部から入ってきた情報を処理しています。これが「認知機能」です。認知機能によって、自分の置かれている状況を認識したり、言葉でコミュニケーションをしたり、問題解決の手段を考えたりして、日常生活を送っています。先生の言うことも聞き取れないことも認知機能が弱いと、学習や対人関係にも弊害が生まれます。例えば、見る力が弱かったら、板書を写せなかったり、漢字の書き取りができなかったり、算数のうっかりミスにつながっているかもしれません。聞く力が弱かったら、先生が言っていることをきちんと聞き取れないこともあります。もしも、お子さんがまじめに勉強に取り組んでいても、テストでいい点が取れない、苦手意識がある、覚えられないというケースでは、認知機能のどこかにつまずきがある可能性があります。認知機能は、子どもの見る力、聞く力、想像する力といった、いわば「学習の土台(スポーツでいう基礎体力)」なのです。分かっていなくても「はい」と答える子の心理相談を受けたお子さんのなかには、先生の言うことが聞き取れていないのに、「分かりましたか?」という問いに、とりあえず「はい」と答えてしまうような子もいました。その子なりのプライドで、「分かっていない」と周囲に知られるのが嫌なのです。そうなると、あとになってできていないことが発覚したときに「ウソつきだ」「ふざけているんだ」「なまけたいからだ」などと誤解を受けてしまいかねません。授業についていけない子が「コグトレ」をすると教育相談では、市内の学校から、授業についていけない、黒板が写せない、漢字を覚えるのが苦手、計算が苦手といったお子さんが、保護者とともにやってきます。年齢はだいだい小学2~3年生が多く、なかには高学年のお子さんも見えます。わが子の発達を心配してわざわざ相談に来られるくらいですから、やはりなんらかの課題が見つかります。多いのが境界知能(明らかな知的障害ではないものの支援が必要な水準)や能力の偏りといったものです。その後は、お子さんの発達の特徴をより詳細に見るために、『コグトレ』のワークシートの問題をやってもらいます。計算が苦手、漢字を覚えられない、黒板を写せない背景「まとめる」「点つなぎ」「形さがし」といった課題シートに取り組んでもらいますと、黒板が写せない、漢字を覚えるのが苦手、計算が苦手といったお子さんは、いずれかの、またはすべてのシートがうまくできないことが多いです(課題シートの例題は、追って紹介します)。「まとめる」問題で、5つまとめて囲む力がなければ、繰り上がり・繰り下がり計算のときに必要となる「数を量としてみる力」が育っていないため、計算が苦手になってしまいます。「点つなぎ」問題で、見本を見ながらそれを模写することができなければ、漢字はもっと難しいのでなかなか習得できないでしょう。漢字を覚えられないのは、「形を認知する力」が育っていないことが原因の1つです。また、「形さがし」問題で、いくつもの点々のなかから三角形や四角形を見つけることができなければ、場所や大きさが変わってもある形を認識できる「“形の恒常性”という力」が育っていないと考えられます。“形の恒常性”が育っていないと、黒板に書かれた図形などをノートに小さくまとめて写すといったことが難しいのです。できないことの練習で苦しい子どもこういった「数える」「写す」「見つける」といった基礎的な認知能力の弱さが背景にあれば、どうしても勉強についていくのが難しくなります。しかし学校では、計算が苦手ならばひたすら計算ドリルを、漢字が苦手ならばひたすら漢字のドリルをやらせる場面もあるでしょう。そんなふうに苦手を克服させようとしても、子どもは苦しいだけかもしれません。計算や漢字といった学習の土台には、「数える」「写す」といった基礎的な認知機能が必要なのです。そして、基礎的な認知機能はトレーニングにより高められる可能性があります。子どもが楽しい「コグトレ・パズル」を紹介それでは次に、お子さんがもっと楽しんで取り組めるように再編した『コグトレ・パズル』の問題から、いくつか紹介しましょう。まずは「数える」問題からです。以下の問題は、5人のオバケ(コバケというキャラ)を5人ずつ、〇でかこんでいく「まとめる」問題です。数のまとまりを感覚的に身につけていきます。Upload By 宮口幸治「写す」の「点つなぎ」問題は、見る力の基礎力を強化していきます。以下の問題は「点つなぎ」で正確に形を見る力をつけていきます。漢字や黒板の書き写しのトレーニングになります。Upload By 宮口幸治「見つける」問題では、見る力の応用力を強化していきます。以下の問題は「形さがし」です。Upload By 宮口幸治また、「同じ絵はどれ?」では、複数ある絵のなかから同じものを見つけることで、物事を見るときに共通点や相違点を把握する力をつけていきます。Upload By 宮口幸治最後に、「想像する」問題です。以下の問題「スタンプ」ではイメージを反転させる力を強化します。ほかにも、他者視点で考える力、論理的な思考力、時間的思考力を強化する問題もあり、幅広い思考力や推理する力、物事を判断する力をつけていきます。Upload By 宮口幸治これらの問題は、スピードが遅いせいで時間内に課題を達成できないお子さん、記憶力は悪くないはずなのに暗記が苦手なお子さんの処理速度のアップや記憶力のアップも期待できます。また、中学生や高校生でも教科学習にミスの多いお子さんにも、力になることでしょう。ぜひ一度お試しいただければ幸いです。
2020年09月12日ベストセラーとなった、児童精神科医である宮口幸治さんの著書『ケーキの切れない非行少年たち』。精神科病院や医療少年院に勤務した経験を持つ宮口さんが、非行少年たちの中には気付かれてこなかった『軽度知的障害』や、知的障害とまではいえないものの現代社会でさまざまな困難に直面する『境界知能』の人も大勢いることを指摘し、話題となりました。その書籍を原作として、漫画家の鈴木マサカズさんが漫画化!社会のセーフティネットから落ちこぼれてしまっている、少年たちの実態とは…。第1話 三等分できない少年たちクリックすると画像を拡大します「ケーキを3等分せよ」という問題が分からない少年。彼は認知機能の低さから社会で多くの挫折を味わい、少年院にたどり着いてしまいました。少年院の外では、別の『軽度知的障害』の元非行少年が凶行に及んでしまいます。一見『普通の少年』の共通点認知力が弱い、反省以前の少年たちの中には、『軽度知的障害』や『境界知能』であることを学校の教師や親に気付かれないまま育ってしまう子がいることがあります。そのような人々が犯罪に手を染めないよう、私たちに何ができるのでしょうか。また、教育の見直すべきポイントとは…。気になる続きは『くらげバンチ』で更新されていくので、こちらをチェックしてください!漫画サイト:くらげバンチ[文・構成/grape編集部]
2020年08月10日10年以上の少年院勤務経験から私は児童精神科医として、2009年から現在まで10年以上、少年院に勤務し、非行少年と言われる多くの少年たちに出会ってきました。勤務当初は、凶暴な子ばかりいるのではと身構えていましたが、そんなことはありませんでした。実際には、成功体験が少ないために自信のもてない子、また、学習面では「簡単な計算ができない」「漢字が読めない」「簡単な図形を書き写せない」ということで「困っている」少年たちが大勢いたのです。彼らは見る力、聞く力、想像する力が弱く、そのせいで勉強ができないばかりでなく、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗し、自信を失い、被害的になり、それが非行の一因にもなっていたのでした。生きていくために必要な『学力以前の力』私は率直に言って、「この子たちには生きていくために必要な『学力以前の力』が備わっていない」と感じました。しかし、これは非行少年だけに限った話ではありません。私は現在、幼稚園や小・中学校で教育相談も受けています。そこで出会う子どもたちの相談は、発達や学習の遅れに関するものが多く、その状況は非行少年たちの学校時代の様子と似ているところがあるように感じました。そこで、今「困っている」子どもたちの今後の人生が少しでも生きやすくなるように、子どもたちが生きていくために「学力以前の力」を身につける必要性を強く感じました。そうして考案したのが、注意して見る力・聞く力、想像する力(認知機能)を鍛えていく「コグトレ」です。認知機能を高めるトレーニングコグトレとは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です。○○には「ソーシャル(社会面)」「機能強化(学習面)」「作業(身体面)」が入ります。認知機能には、「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」という5つの要素が含まれます(下図)。その5つの要素に対応する「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばすことが、コグトレの目的です。Upload By 宮口幸治次に、認知機能の弱さがどのように勉強の苦手さにつながるか、例を出して紹介しましょう。出された問題を解くために必要な力たとえば、授業中に先生がこんな問題を口頭で出したとします。「Aさんは10個の飴を持っていました。4個をあげるとAさんは飴を何個持っているでしょうか?」これに答えるには、まず先生の話に「注意」を向けることが必要です。外を見ていたり、ノートにお絵描きをしていたりしては聞き取れません。次に、先生の話したことをしっかり聞きとって「知覚」し、個数を忘れないように「記憶」します。また、先生の話した問題の「言語理解」も必要です。さらに、ここから答えを考えていきますが、暗算するためにはほかに考えごとなどせずに「注意(集中)」する必要があります。認知機能すべての力をフル稼働最後に大切なのが、この問題では次の2通りの解釈ができることです。「Aさんは誰かに4個の飴をあげたのか?」「Aさんは誰かから4個の飴をもらったのか?」いったい先生はどちらを意図したのか「判断・推論」する必要があります。以上から、先生が口頭で出した問題を解くためには認知機能のすべての力が必要なのです。もしその中の1つにでも弱さがあれば、問題を解くことはできません。学習につまずきを抱える子どもは、認知機能の働きのどこかに、または複数に弱さをもっている可能性があるのです。そのような弱さを見つけトレーニングしていくのが、コグトレなのです。紙と鉛筆があれば始められるトレーニング具体的には、「数える」「覚える」「写す」見つける」「想像する」という5つの分野を対象にしたトレーニングを行います。紙と鉛筆があれば、今日から始められます。次に実際に、コグトレの問題をご覧いただきましょう(8月刊行の『医者が考案したコグトレ・パズル』より抜粋)。まずは「写す」問題から。問題に取り組むことで、「見る力」の基礎力を強化していきます。下の図は、「写す」問題の一部で、「点つなぎ」「くるくる星座」です。「点つなぎ」では正確に形を見る力、「くるくる星座」は考えながら見る力をつけていきます。「写す」問題全体を通して、漢字の書き取りや図形問題の基礎力をつけるのに役立つでしょう。見本の通りに点をつないで、上の絵を下に写します。Upload By 宮口幸治上の星座と同じ形になるように、下の★〇●を線でつないでいきます。Upload By 宮口幸治次に「見つける」問題です。この問題では、「見る力」の応用力を強化していきます。下の図は、「見つける」問題の一部で、「黒ぬり図形」「違いはどこ?」題です。「黒ぬり図形」では形の輪郭を見る力、「違いはどこ?」では形の違いを見つける力をつけていきます。「見つける」問題全体を通して、広い観点で物事を見る力、図形問題の応用力をつけるのに役立つでしょう。ある形の影を見つけます。①~④の図を黒くぬったものを、1~10から選びます。Upload By 宮口幸治上の絵と下の絵には、3つの違いがあります。違う部分に〇をつけましょう。Upload By 宮口幸治答えはこちらです。Upload By 宮口幸治子どもの心を傷つけない課題に取り組んでみると、もしかしたら「見つける」は得意だけれども、「写す」は苦手という得意不得意が出てくるかもしれません。苦手意識が強ければ、できるところの課題から取り組んでもらえればいいと思います。なお、テストができなくて傷つく子どもはいますが、コグトレができなくて傷ついたという話はあまり聞いたことがありません。コグトレはパズルやゲームのような課題なので、学習という感覚があまりしないのでしょう。子どもたちは楽しみながら取り組んでいます。自然に認知機能を鍛えていけるのです。勉強嫌いな少年たちが変わった瞬間また、学習は楽しんで取り組める工夫があると、子どもの力を伸ばせるはずです。そう感じるのは、私の経験にもとづきます。少年院では、勉強嫌いで授業などまともに聞いたことのない少年たちに多数、会いました。私は彼らに教えることをあきらめて、「じゃあ、私の代わりに授業をやってくれ」と、教師役を肩代わりさせたことがあります。そうすることで、私の苦労を実感させようとしたのですが……意外な展開が待っていました。なんと、授業をまともに受けようとせず、妨害すらしていた少年たちが「ぼくが教えます!」「ぼくがやります!」と率先して、教える役に就こうとしたのです。前に出て「教える」彼らの姿はとても楽しそうでした(実は、人に教えてみたい、頼りにされたいという気持ちを強くもっていたのです)。教わる側の少年たちも、変わっていきました。自分と同じ立場の少年から出される問題に答えられないのでは面目がないのでしょう。まじめに取り組むようになりました。図形の模写から知る、発達の目安最後に、子どもの発達が遅れていないか、ちょっと不安という親御さんへ。不安を抱えつつ、かといって、知能検査を受けさせるのも抵抗がある…そんなとき、発達の程度に目安をつける簡単な方法をお伝えします。お子さんに次のような正方形、三角形、ひし形を、見本を見ながら書かせてみましょう。Upload By 宮口幸治正方形は4~5歳、三角形は5~6歳、ひし形は7~8歳くらいまでに描けることが目安です。これらが描ければ、さらに次のような立体図や蜂の巣も書かせてみましょう。Upload By 宮口幸治立体図や蜂の巣は、8~9歳くらいまでに描けることが目安です。これらの図形が、該当する年齢を超えても描けないことが明らかであれば、そのときは念のため、発達専門外来や教育センターなどでご相談されることをお勧めします。適切なサポートで子どもの力は伸ばしていけるUpload By 宮口幸治発達や学習の遅れがあったとしても、適切なサポートをすることで、お子さんの力を伸ばしていける可能性があります。たとえば上の絵は、コグトレ前後の変化を示すものです。学校の勉強についていくのがしんどいと訴えていた中学生が、見本の立体図を見ながら写した絵です。4ヵ月コグトレをしたところ、図の立体感が増し、かなり正確に写せるようになりました。その子は、小学生の頃から黒板を写すこと、漢字を覚えること・書くことに苦手さをもっていました。コグトレ後は、正確に形を覚える力・見る力(形の輪郭や構成も)が増したのでしょう。立体図の模写ばかりでなく、漢字の読み書きも上達しました。紙と鉛筆があれば今日から始められるコグトレで、まずは学習の土台づくりをサポートしてみてはいかがでしょうか?
2020年07月22日お笑い芸人の東野幸治が12日、自身の公式YouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」に公開した動画で、軽度の認知症と診断された漫画家でタレントの蛭子能収について言及した。9日に放送された、東野がレギュラー出演する医療バラエティ番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)で病状が明らかになった蛭子。「【第49回】蛭子さんの診断にショックを受けてます」と題して公開された動画にて、東野は収録の段階では、蛭子が診断を受けるロケが行われていなかったとしたうえで、「気になって、オンエアを観たんですけども、なかなかのショックでしたよ」と感想を述べた。さらに東野は、「(蛭子は)72歳でしょ。だから、僕の20年後ですよ。ちょっと怖くなりましたよね。今は津軽三味線して指を動かしたり、最近だったらプレステ4を買ってゲームして指先を動かしたり、あとは登山したり、ウォーキングしたりしていますけど、他人事じゃないなと思いました」と語った。そして東野は、蛭子が「都内で拘束時間が短いのであれば、まだテレビに出演したい」と意欲を見せていることに触れ、「なんとなく認知症になる前はすごく良い人で、認知症になったら狂暴になるとか、悪いことをするっていう話を聞いたりしますけど。もともと蛭子さんは元気な時から性格もあまり良くなかったから、そんなに変わらないと思うので(笑)。ぜひぜひちょっと一緒に仕事をしたいなと思いました」と共演を願った。
2020年07月14日お笑い芸人の東野幸治が8日、自身の公式YouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」に公開した動画で、お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太が自身の代役を務めたことについて語った。「【第48回】PCR検査、陰性でした」と題して公開された動画にて、仕事で一緒だったスタッフが新型コロナウイルスのPCR検査を受け、陰性だったことを明かした東野。スタッフの検査結果が出る前に、収録日を迎えた医療バラエティ番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)は欠席したという。東野は「テレビ東京のガイドラインでは僕は出てはダメ。まず草野仁さんが70歳超えてますから、万が一、僕が感染していたら草野さんにうつすわけにはいかないし、なおかつ医療番組です。日本の名医が集まる番組ですから、万が一、僕が『陽性だった』ってなったら、『何を考えてるんだ』ってなるから」と説明した。続けて、「『代役を南海の山里さんにお願いしてます』って言われて、『ええの? 山ちゃん、忙しいんちゃうの?』って思って。で、山ちゃんにやっていただくことになって、ショートメールで『ありがとうな』ってお礼を言って」と振り返った。そして「後日、『主治医が見つかる診療所』のスタッフとか近い人に聞けば、山ちゃん自身、そんなにハマらなかったみたい(笑)」と語った。「めちゃくちゃうれしかったですよ。だって、南海の山ちゃんは仕事絶好調でしょ」と述べ、「そんな人に助っ人をやってもらって、バシバシ仕切られたらたまったもんじゃないですよ。俺の中でちょっとしたギャンブルでしたけど、どうやら力発揮できなかったみたいです。やった! ギャンブル勝ちましたよ!」とうれしそうに話していた。
2020年07月10日お笑い芸人の東野幸治が8日、自身の公式YouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」に公開した動画で、仕事で一緒だったスタッフが新型コロナウイルスのPCR検査を受け、陰性だったことを明かした。「【第48回】PCR検査、陰性でした」と題して公開された動画にて、東野は「みなさんの中にも知っている方もいると思いますけど、私、東野幸治、ちょっとコロナウイルス騒動に巻き込まれました」と切り出した。東野は「先週の水曜日にゲーム実況番組の生配信をやりました。で、金曜日の夜、(大阪の)ホテルに着いてウトウトしてたら、マネージャーから電話があった」と回顧。続けて、「いつもはメールで来るんですけど、なんだろうと思って聞けば、『水曜にやったゲーム実況生配信のスタッフの1名に高熱が出た』と。で、『病院に行って、心配やからPCRを受けてる状況です』って説明を受けて、えーって」と振り返った。また東野は、「高熱が出たスタッフと僕は接触もしてないし、しゃべってもないし。吉本のガイドラインでは濃厚接触者ではないんですよ。吉本としては、濃厚接触者じゃないから、体調に変化がない限り問題ないというガイドライン」としつつ、テレビ局にはそれぞれのガイドラインがあるため、出演を見送った番組があったことを説明した。そして「月曜に、マネージャーから連絡が来て、『スタッフは陰性でした』と」と東野。「いやー、本当に自分の中でドキドキしましたけど」と言い、ファンからの心配する書き込みが1通のみだったことについて「好感度が地をはっています。誰も心配していませんでした」と嘆いていた。
2020年07月08日お笑い芸人の東野幸治が6月28日、自身の公式YouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」に公開した動画で、お笑いコンビ・雨上がり決死隊の宮迫博之のYouTubeについて言及した。「【第45回】闇営業騒動から一年経ちました」と題して公開された動画にて、「さあ皆さん、あれから1年でございます。『FRIDAY』という雑誌に闇営業騒動で直撃された宮迫くんが嘘をついてから1年が経ちました」と切り出した東野。続けて東野は「宮迫くんとロンブーの(田村)亮くんは涙涙の会見をして、宮迫くんはいまだ吉本と仲良くなってない」としつつも、「現在、背水の陣でYouTubeを日々更新して。もうすぐ(6月28日時点でチャンネル登録者数)100万人いくんですか。すごいじゃないですか」と称賛。そして、「たぶん、宮迫くん、テレビ戻ろうと思ってないんちゃうかな(笑)。どうなんですかね。でも、結果、大成功して」と評した。さらに東野は、「(闇営業騒動を取り上げた)『ワイドナショー』緊急生放送で、ついつい僕が感情的になって泣いちゃって。ネットニュースになりました。『全米が泣いたよりビックリした東野が泣いた』。ありがとうございます(笑)」と回顧していた。
2020年07月02日お笑い芸人の東野幸治が14日、自身のYouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」を更新。複数の女性との不倫が報じられ、芸能活動自粛を発表したお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建について言及した。『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)で渡部と共演している東野は、「『行列』のメンバー、アンジャッシュの渡部くんが文春砲を食らいまして、木っ端微塵に吹っ飛びました。現在すべての活動を自粛中でございます」と切り出し、「びっくりしたねえ」と率直な感想をコメント。「びっくりしたら笑ってまう性格ですけれども、その笑ってまう、また上行きましたね。めちゃくちゃでしたね、渡部さん」と続け、「憧れの家族みたいな風にやっていたんですけど、まさかまさか浮気しまくっていたとは、私も全くわからず」と話した。渡部の出演シーンをカットした14日放送の『行列のできる法律相談所』3時間スペシャルについても言及。「渡部くんの文春砲でスタッフさんに聞いたら、『編集やり直してる』って言ってました。それの迷惑もかけましたし…」と明かした。また、「ネット見てたら『行列の呪い』みたいな言葉が躍っていて、『行列のできる法律相談所』に出演した人は次から次へと番組を去る、芸能界を去る、何か問題を起こすって言われていて」とネット上の噂にも言及。初代司会者だった島田紳助さんや、雨上がり決死隊の宮迫博之などを挙げつつ、「ネットでは、次は東野か後藤(輝基)かどっちかだって。絶対後藤であってくれ。後藤すまん」と冗談交じりに話した。さらに、「僕と後藤くんはどうスタンバイすればいいのか。渡部が帰って来た時に、『何かあったんですか?』って言っても、世の女性は笑わないでしょう」と予想し、「困ったもんですよね」と吐露。「僕も大至急やることはお祓い。効き目のある神社探してお祓い行って清めて…」と語った。
2020年06月15日「すぐに手が出る」「友だちが嫌がることをする」「先生に反抗的な態度を取る」……そういった子どもに手を焼いている方、もしくはお子さんのクラスに問題ばかり起こす子がいて困っている方も多いのではないでしょうか。今回は、乱暴や意地悪ばかりして周囲を困らせる子どもについて、その心の中をのぞいてみましょう。荒れる子どもは「親の過干渉」が原因!?文部科学省の調査によると、小学校低学年の学校での暴力行為や学級崩壊の件数は、ここ数年で急増しているそう。白梅学園大学教授の増田修治先生は、小学校低学年の学級崩壊は「児童たちの『先生にかまってほしい』という気持ちが原因で起こる」と述べています。たとえば、授業中に生徒のひとりがおしゃべりしたりふざけたりすると、先生はその子を注意します。その様子を見たほかの子たちも、先生の気を引くために便乗することで、結果的に学級崩壊へとつながるのです。また増田先生は、「親が『過干渉』になったことで、子どもが家の外でも誰かに頼ったり、甘えたり、かまってもらったりすることが当たり前だと思うようになっている」傾向があると指摘します。昔は兄弟が多く、子どもを放任する家庭がよく見られましたが、現代ではひとりっ子が増えて、親がつきっきりでかまってくれるようになりました。それが結果的に子どもの自立心を阻み、子どもが家庭の外でも手厚い対応を求めるようになったのです。このように、親の過干渉は、幼稚園や小学校での子どもの態度に悪影響を及ぼしています。ほかにも、子どもが荒れてしまう原因はいくつか挙げられるので、詳しく見ていきましょう。子どもの「乱暴・いじわる・うそ」はなにが原因?子どもが荒れてしまう原因は、「親の過干渉」だけではありません。■「叩くといいことがある」と勘違いしているすぐに手が出る乱暴な子を見て、「きっと家で親が子どもを叩いているに違いない」と思っていませんか?たしかに、「お友だちを叩くのはいけないこと」だと子どもにわからせるために、あえて叩いて叱っている親もいるかもしれません。しかし、親は決して子どもを叩くことがないのに、なぜか子どもはすぐに手が出てしまうというケースも。心理学に基づいた育児メソッドを提唱している佐藤めぐみさんは、「人間は、自分で起こした行動でいい思いをすると、その行動を繰り返しやすくなる」と述べています。つまり、何度言い聞かせても叩くことをやめない子どもは、「相手を叩くことで、何かしらの恩恵を受けている」ことが考えられるそう。たとえば、相手を叩いて「欲しいおもちゃを手に入れた」「お菓子をひとりじめできた」「みんなから注目された」など成功体験を得たことで、叩くことが効果的であると学んでいるのです。■親の口ぐせや声かけから影響を受けている「なんでも1番じゃないと気がすまない」という子がいます。スポーツでも勉強でも順位に一喜一憂し、エスカレートすると自分が勝つために友だちを押しのけたり、嘘をついたりと手段を選ばなくなるため、トラブルに発展しやすくなるのがこのタイプです。東京学芸大学教授で発達心理学が専門の岩立京子先生は、「1番にこだわる子は、1位がかっこよくて1位以外は価値がないことや、1位だと褒めてもらえることをどこかで学んできたと考えられます」と指摘します。つまり、親が学歴至上主義であったり、勝ち負けにこだわったりすることにより、日常的に「1番を目指すこと」を刷り込まれているのかもしれません。また、『「言葉がけ」ひとつで行動が変わる!子どもの叱り方・伝え方』(PHP研究所)の著者で自閉症療育アドバイザーのshizuさんは、「早く!」「ダメ!」「やめなさい!」が口ぐせの親御さんは要注意だといいます。親に「急ぐこと」を求められ続けると、友だちに対しても「急ぐこと」を強要するようになります。すると、良好な人間関係を築けずに孤立してしまうことも。■「ダブルバインド」で間違ったコミュニケーションの仕方を学んでいるほかにも、親が気をつけるべき接し方に「ダブルバインド」があります。「ダブルバインド」とは、同時に送られるふたつのメッセージの間で板挟みになってしまった相手が、最終的には従わざるをえなくなることで、ストレスを溜め込むコミュニケーションパターンを指します。典型的な例は、次のようなもの。「お片づけしないと夕ごはん抜きよ!」→でも実際は夕飯を食べさせる「宿題しないとゲーム捨てるよ!」→でも実際はゲームを捨てない子育てに関する多くの本を執筆している立石美津子さんは、「このような親のダブルバインドによって、子どもが『間違ったコミュニケーションの方法』を学ぶ」と警鐘を鳴らしています。間違ったコミュニケーションとは、自分の思いを通すために相手を服従させること。自分よりも立場が弱い弟や妹、友だちに対して「おもちゃ貸してくれなかったら、もう一緒に遊んであげない」などと脅すような発言をしてしまうのです。■認知機能の弱さが起因している可能性も千葉大学教育学部附属小学校の松尾英明先生は、クラスの友だちに攻撃的な言動をとることで孤立してしまう子どもについて、「親の育て方が悪い」「単純に性格が悪い」としてしまうことに疑問を呈しています。「その服、ダサいね」などと普通なら面と向かって言わないようなことをストレートに口に出してしまう子や、本当は仲良くなりたいのに、友だちをいきなり突き飛ばしてしまう子は、「相手の気持ちを推し量る能力が欠けているだけ」という可能性も。松尾先生は、「一見普通の子に見えても、あるスキルが欠けている子どもは少なくない」といいます。そして、そういった子は「困った子」ではなく、「困っている子」だというのです。児童精神科医の宮口幸治先生は、「対人スキルの乏しさは、認知機能の弱さが要因になっているものもある」といいます。認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断・推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指し、すべての行動の基盤となるものです。見る力や聞く力、想像する力といった認知機能の弱さのため、相手の表情や不快感が読めない、その場の雰囲気が読めない、相手の話を聞き取れない、話の背景が理解できず会話についていけない、会話が続かない、行動した先のことが予想できない、といったように、うまくコミュニケーションが取れないのです。(引用元:宮口幸治(2019),『ケーキの切れない非行少年たち』, 新潮新書.)具体的には、次のような問題を引き起こします。・聞く力が弱い→友だちが何を話しているかわからず話についていけない・見る力が弱い→相手の表情やしぐさが読めず、不適切な発言や行動をしてしまう・想像する力が弱い→相手の立場が想像できず、相手を不快にさせてしまう本人には悪気はなくても、結果的に相手に嫌な思いをさせてしまうことが多いのがこのタイプなのです。荒れるわが子の対処法「子どもにいい顔をしたい、あるいは言う通りにしてその場をやり過ごしたいからと聞き入れていると、あとで大変なことになる」と忠告するのは、白百合女子大学教授で臨床発達心理士の秦野悦子先生。人としての善悪の判断を育てるのは、親の役目です。秦野先生によると、「日常のしつけとして、善悪や道徳を親から学んでいない子どもは、将来人としての倫理観の軸をもてない可能性がある」とのこと。人として大事なことを言い聞かせるとき、子どもの年齢に合った言葉選びや伝え方を心がけるようにしましょう。いくら口では「わかった」と言っても、じつは親の意図を理解できていない場合もあるため、子どもがきちんと理解できる言葉を使って説明してください。小学校低学年くらいだと、ものを盗むことも、いじめをすることも「悪いこと」だと十分理解しています。それでも悪いことをしてしまったときは、「そういうことをすると、お母さんは悲しい」と「I(アイ)メッセージ(自分の気持ち)」を伝えたうえで、「あなたも仲間外れにされたら嫌でしょう」と注意しましょう。一方で、前出の佐藤めぐみさんは、「『叩くのはダメ』ということを教えるだけでは、その子は次も繰り返す」と断言します。佐藤さんが提案する対策法は、叩くことで得られるメリット以上の「いいこと」を用意してあげること。叩いてしまったあとでは、親は叱るしかありません。だとしたら、日ごろから「暴力以外で物事を解決したこと」に対して、積極的にほめてあげるといいでしょう。たとえば、「素直にごめんねと言えた」「手を出さずに『貸して』と言えた」「説明したら反抗せずに納得できた」など、叩かなくても自分で解決できることが子どもの自信になり、いずれ「叩かなくても大丈夫」と満足できるようになります。叩いて解決してきたときよりも、親にほめてもらえて「いい気分」になることができれば、その快感は行動に結びついてインプットされます。叩かない解決法を学習することで、子どもの言動はみるみる改善されていくでしょう。「困っている子」を「困った子」にしないためにお子さんのクラスに荒れている子がいて不安を感じている親御さんは、「困っている子」に対して理解する努力をしてみましょう。前出の松尾先生は、次のように述べています。我が子のクラスに先の例に挙げたような子どもがいれば、親は「早くクラス替えをしてほしい」「あの子の親はどんなしつけをしているのか」なんて思ってしまいがちです。「あの子は悪い子だから、つき合っちゃ駄目だ」なんて我が子にいってしまうこともよくあるケースです。本当は「困った子」なんていなくて「困っている子」がいるだけなのに、まわりの大人が「困った子」をつくってしまっている。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|クラスの「困っている子」と「困った子」。子どもの行動にはさまざまな要因がある)もちろん、行きすぎた暴力や暴言によってわが子が苦しむのを見過ごすことはできません。しかし、そのような「困った」言動を繰り返してしまう子どもこそ、じつは「困っている」ことが多いのです。親としてできることは、わが子の気持ちに寄り添い、しっかりと話を聞いてあげること。そして、必要であれば先生と連携を取りながら、すべての子がより良い学校生活を送れるように手助けしてあげることなのではないでしょうか。***子どもが反抗的な態度をとったり、周りの人を困らせたりすると、「育て方を間違えたのかもしれない……」と自分を責めてしまうこともありますよね。しかし、じつは子ども自身が何らかの理由があって「困っている」のかもしれません。親子で一緒にコミュニケーションの仕方を学び、より良い人間関係が築けるようにサポートしてあげたいですね。(参考)livedoorニュース|小学校の低学年で学級崩壊が増加 親の過干渉が一因と指摘All About 子育て|すぐに手が出てしまう……暴力をふるう子供の心理とは?PHPのびのび子育て 2019年10月特別増刊号, PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自己肯定感が低下する「ダブルバインド」。“条件付きの愛”は危険ですPHPのびのび子育て 2019年10月号,PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|クラスの「困っている子」と「困った子」。子どもの行動にはさまざまな要因がある宮口幸治(2019),『ケーキの切れない非行少年たち』, 新潮新書.PHPのびのび子育て 2019年11月号, PHP研究所.
2020年03月07日東野幸治がアクの強い吉本興業の芸人たちをイジり倒した、芸人紹介本『この素晴らしき世界』(発売中)を上梓。2月には公式YouTubeチャンネルを開設するなど、新たな分野へとチャレンジを続けている。そこで「自分発信でやれることをやりたい気持ちになっている」という東野に、芸人がYouTubeへと進出することへの思いを直撃。「芸人はその時代ごとに色を変えていくことも必要。逆に言えば、色を変えない芸人がいてもいい」という懐の深い芸人論を明かした。――吉本興業のハチャメチャな芸人さんたちの、生き生きとした姿がつづられています。『週刊新潮』の連載コラムが書籍となった形ですが、連載当時を思い出したことはありますか?連載当時は書き殴るようにしてコラムを書いていましたが、それをそのまま書籍にしていただきました。僕はスマホで原稿を書いているんですが、書くときは1人1日で書きますね。「書きたい」と思っている人だと、本当に書きやすいんです。親指が踊りますよ! ダイノジの大谷(ノブ彦)くんなんかは、自分もDJをやっていますから、俺の親指までこんなに踊らすかというくらい踊らせてもらいました(笑)。書籍化する上では、それに加えて、キングコング西野(亮廣)くんにあとがきとして、僕のことを書いてもらったり、登場する芸人さんたちにはそれぞれ近況を教えてもらって、そちらも載せています。“ごっちゃ煮”のようですが、どこからでも読むことができるし、普段は読書をしない人にも読みやすいものになったかなと思っています。――書籍を出し、YouTubeもスタートされました。今、“自分の思いを伝えたい”との考えが強くなっているのでしょうか。「なにか話したい」「ラジオをやりたい」というのは、3年くらい前から言っていて。それで吉本興業が持ってきてくれた仕事が、Amazon Audibleという有料音声配信でした。それが終わって、次に「ラジオをやりませんか?」という話をいただいたんですが、スポンサーが見つからなかったので、YouTubeを自分で立ち上げたんです。音声配信のみなんですが、手作りな感じで、新鮮な仕事が増えたなと思っています。吉本興業とはまったく関係なくやっているので、ちょっとエージェント契約気分を味わってもいます(笑)。基本、テレビで僕に求められているのは、いろんな方にゲストで来ていただいて、その人が思っていることを聞いたり、世の中の方が聞いてみたいことを聞き出すような仕事が多くて。それはそれで求められてありがたいですし、本当に楽しいんですが、自分発信で自由になにかできるラジオやYouTubeの存在があるのも、とてもありがたいですね。なんだか、そういうことをやりたい気持ちになってきています。――『この素晴らしき世界』では、1章につきお一人ずつ芸人さんを紹介されています。YouTubeで『この素晴らしき世界』の音声版をやるのも面白いかもしれませんね。まったく考えていませんでした。新潮社さんのご意見もあるでしょうし、YouTubeは、僕が娘に音源を送って配信してもらっているので、娘から「それは止めておこう」とダメ出しを食らうかもしれません(笑)。でも確かに面白いかもしれませんね。頭の片隅に置いておきます!――YouTube内では、「YouTubeは明石家さんまさんにバレないようにやる」とお話されていました。そうなんです。さんまさんは「YouTubeはテレビの敵や!」とおっしゃっているので、バレないように必死ですよ(笑)!もしバレたら「お前、なにやってんねん。敵やろ!」ということになるので、なんとかバレないように続けていきたいです。――東野さんご自身は、YouTubeとテレビの関係はどのように考えていますか?僕は時代ごとに許容していきたい考えです。劇場で漫才や落語をしていた時代から、ラジオが出てきて、ラジオに行った芸人さんは「お前らそれでも芸人か、それより芸を磨け」と言われたり。さらにラジオからテレビになって、テレビに行った芸人さんは「テレビタレントなんか、劇場に出て5分もやったら、お客も飽きてくる。10分やったら、誰も笑ってへんぞ」と言われたり。そこからネットやYouTubeへとメディアが広がって、変わっていって。そうやって考えると、ラジオ、テレビ、ネット、YouTubeと時代が流れてきただけで、芸人がYouTubeをやるのも大した変革ではないと思うんです。芸人というのは、カメレオンじゃないけれど、その時代ごとに色を変えていくことも必要。逆に言うと、色を変えない芸人もいていい。――本書を見ても、「どんな人がいてもいい。それこそが面白い」という東野さんの許容範囲の広さを感じます。お笑いのノウハウを生かして事業を起こす人がいてもいいし、電化製品のプレゼンをする人がいてもいい。面白いことをなにも言わないけれど、日常が面白い人もいる。そういうこともひっくるめて、芸人やお笑いタレントでいいのかなと思うんです。それは見ている人が判断すること。又吉(直樹)なんかも、小説家もやりながら、漫才をやったり、ピンでもお笑いをやっていますよね。ネタを書いたりするノウハウなど、お笑いで培ったことが小説に生かされているかもしれないと思うと、みんな、お笑いのノウハウをベースになにか新しいことをやっているのかなとも思う。だかこそ、テレビもYouTubeも特に分けなくてもいいのかなと、僕は思っています。僕は、これからも流れるまま。行き着く先でいい出会いがあれば、その方と仕事をさせていただくということになるんだと思います。■東野幸治1967年8月8日生まれ、兵庫県出身。1985年に吉本興業に入社。若手時代は心斎橋筋2丁目劇場を中心に活動。1991年にフジテレビ系『ダウンタウンのごっつええ感じ』に出演し、人気を博す。トーク力に定評があり、フジテレビ系『ワイドナショー』や、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』など多数のレギュラー番組を持つ。
2020年03月07日“芸能界屈指のゴシップ好き”と言われる芸人・東野幸治。芸歴30年を超える東野が、自身が所属する吉本興業の芸人たちの中から選りすぐりの“奇人変人名人凡人”を紹介した書籍『この素晴らしき世界』(発売中)を上梓した。南海キャンディーズの山里亮太、ピースの綾部祐二ら後輩芸人にはじまり、西川きよし、宮川大助・花子といった先輩芸人まで、東野独特の視点で容赦なく、かつ愛情たっぷりにイジり倒し、読者を大いに笑わせてくれる。東野は「吉本の芸人たちはアクが強い。日常がもう、面白いんですよ」とニヤリ。本書を書いて改めて実感した吉本芸人たちの面白さ、そして吉本興業という会社の魅力について語ってもらった。○■欲望のままの人選「新潮社さんも頭を抱えたと思います(笑)」――自分に自信がない西川きよし師匠や、悪口をエネルギーに突き進む山里亮太さん、貧しい境遇で育ったトミーズ健さん、ダイノジ・大谷ノブ彦さんの嫌われエピソードなど、バラエティに富んだ面々の逸話がつづられています。人選はどのように決めていったのでしょうか。僕が「書きたい」と思った人がこのメンツだったということで。新潮社さんとしては、(明石家)さんまさんやダウンタウンさん、ナインティナインさんなどもっとビッグネームを書いてほしかったと思うんですよ。それなのに僕から毎週送られてくる原稿には、トミーズ健さんだとか、中山功太のことが書いてある(笑)。頭を抱えていたでしょうね。文句を言わずに付き合ってくださった新潮社さんは、すごいなと思います。もし僕が担当やったら、絶対にイヤですもん!――書かれた人で、怒っている人はいませんか?僕はそんなにひどいことを書いたつもりはなかったんですが、こうして見てみると、意外と書いていたんですね(笑)。たぶん、怒っている人もいると思いますよ。もちろん、一応みなさんに確認はしてもらっていますし、なんとなく許可はもらっていると、勝手に思っています。発売するにあたって、僕のマネージャーからそれぞれの方に本を送っているはずですが、「ありがとうございます」と連絡をくれたのはただ1人です。誰やと思います? 藤井隆くん。納得でしょう? あとはまったく来ていないので、僕の本に興味がないのか、怒っているのか、吉本ならではのルーズさで、本が届いていないのか(笑)。この3つだと思います。○■いろいろな人を通して「ダウンタウンさんのことを書いた」――宮川大助・花子さんについては、お二人の笑いにかける執念について書かれています。夫婦の物語に胸が熱くなるようなエピソードでした。もともと大助・花子さんのことはなにかしら、壮大な物語を書きたいなとも思っていたんですが、ちょっと僕の思いが強すぎて、原稿を送ったら「これまでとテイストが違う」とダメ出しをもらいまして。ダウンタウンさんの章を書かない代わりに、大助・花子さんを通して、ダウンタウンさんのことも書こうという気持ちもあって。だからこそ一層熱を帯びてしまったんですが、そこでまさかのダメ出し(笑)。常軌を逸して書いていたのかもしれません。ダウンタウンさんは距離が近いので書きづらいし、あまりにも頻繁に仕事をする人は書かないと決めていたこともあります。僕としては、他にもいろいろな人を通じてダウンタウンさんのことも書いたつもりです。新潮社さんにも、申し訳ないですからね。そうやって誠意を見せたつもりですが、きっともっとダイレクトな誠意がほしかったでしょうね(笑)。――本書を読んでも、吉本興業の芸人さんたちが個性的であることが伝わってきます。東野さんにとって、吉本興業という会社の面白さとはどんなところにありますか。やっぱり、70歳代の師匠から、18、19歳の年齢の子たちが同じ会社に所属して芸人やタレントをやっているわけですから、様々な人がいるというところが面白みだと思います。ジェネレーションギャップもあるし、ジェネレーションギャップという言葉もわからない人もいる(笑)。文化も育ってきた環境も違う人が集まっているから、面白いですよね。本書も、吉本興業の芸人を見つめたからこその幅の広さが出たのかなと思っています。――東野さんご自身も、吉本に入って驚いたことも多いでしょうか。そうです、そうです! 僕も吉本に入ってから、「こんな人がおるんや」という驚きばかりです。20代前半に新喜劇に入ったときには、チャーリー浜さんが奇声を上げているのを見て、「大人になっても奇声を上げるんや…」と驚いたり。みんなでネタを相談していると、「なにやっとんねん!」と熱がこもってきて、「さすが師匠」と思っていたんですが、舞台に上がったらチャーリー浜さんだけ手が震えていたり(笑)。質屋に金のネックレスを入れている人、うどんを食べている横でスプレーを延々と頭に吹き付けている人など、もう日常が面白いんです。僕は若い頃、ダウンタウンさんとその時代を象徴するようなバラエティ番組を経験させていただいて、さらには“花月文化”のような、“半・未来永劫”続いていくような劇場での仕事も経験させていただきました。どちらも経験できたことは、僕にとって大きな収穫だったと思っています。○■吉本興業の懐の深さ「会社批判も許容してくれる」――東野さんが吉本興業に入って、30年以上が経ちました。林正之助会長という“伝説の会長”のような人の姿も見ているし、それは長いことやっていてうれしいことの一つですね。ペーペーの頃に一緒にエレベーターに乗ったこととか、新喜劇では客席の横に会長が立っていたり。その後はみんなが東京に進出したり、東京の事務所も赤坂の小さな1室から転々としている時代もあったし、ポピンズというアイドルグループがいた時代もありますね。吉本興業が大きくなっていくのを間近で見させていただいたのは、いい経験をさせてもらったなと思っています。会社、大きくなったなあと思います。いい思い出も、イヤな思い出もあって、本書にはそういうことは書いていませんけれど、行間からそんなことも感じ取っていただければ、すごくうれしいです。――昔と今で、芸人さんにどんな違いを感じますか?大阪の朝の情報番組で、「お前、女は元気か?」「これこれ!」なんていうやり取りが普通にありましたよね(笑)。みんなもそれを温かく見守っていたりして。あの時代はそれでOKですが、今の時代はそれはダメで。ちゃんと吉本興業も変わらなければいけないし、所属している我々も、変わらなきゃいけないと思うし。でも「吉本は変わらなきゃいけない」と言いつつ、実際はちょっと変わりきれていないところが、僕にとってはまた愛おしかったりもするんですよね。会社が変わろうとしているのに、芸人がいらんことを言って足を引っ張ることもあるし。――本書を読んでいても、「愛おしい」という気持ちが伝わってきます。吉本興業って大きい会社やし、ビッグビジネスもやって、なおかついろいろな芸人のことを考えて、テレビだけじゃなく、ラジオ、劇場、ネットやYouTubeもやって、劇場に出られへんやつは「住みます芸人」をやったり。成功するかしないかは別にして、いろいろな仕事を提供してくれる。会社としては反社チェックや働き方改革など、現代社会が求めることもクリアしながら、なおかつ、芸人たちに仕事を作ろうとしているように見受けられるので、芸人のためにも、吉本興業というブランドが落ちていかないように変わり続けようとしているのかなとは思うんです。我々が生きていける場所を作ってくれているという意味では、文句言いながらも感謝ですよね。でもね、ちょっとスカタンなところがあって。ミスをしちゃうんですよね(笑)。それを許容してくれるような社会であってほしいとも思うし、吉本興業自体、芸人が生放送で会社の批判をしても、それを許容してくれたりする。そこが吉本の一番のいいところかなと思います。今の世の中、一度ミスをするとなかなかもう一度戻ってくることが難しいですけれど、ミスしてもいいのかなと思える。ま、悪口を言われたり、ボロカス言われたりもしますが、居場所は作ってくれるんです。吉本も吉本で、一生懸命、社会に貢献しようとしているので、それが貢献できているのか、できていないのかはわかりませんが、一応頑張っているので、許してもらえませんかね(笑)。■東野幸治1967年8月8日生まれ、兵庫県出身。1985年に吉本興業に入社。若手時代は心斎橋筋2丁目劇場を中心に活動。1991年にフジテレビ系『ダウンタウンのごっつええ感じ』に出演し、人気を博す。トーク力に定評があり、フジテレビ系『ワイドナショー』や、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』など多数のレギュラー番組を持つ。
2020年03月05日