子どもを持つと不幸に!? “親ペナルティ”の意味と親の幸福度の捉え方
また一方で、子どもを持たない夫婦とひと言に言ってもその背景にもさまざまな要素がある のも事実ですね。
「子どもを持たないという選択を主体的にしている」のか、「やむを得ない状況により子どもを持たないという選択になった」のかというだけでも大違いです。
保育園に預けられず、職場復帰のチャンスを諦めなくてはならなくなってしまった母親の幸福度は低かろうと容易に推測できますよね。
ですから、私はこの「親ペナルティ」があまりしっくりこないのです。日本で子育てしているすべての人には当てはまらないことをあれこれ議論するのがちょっと馬鹿らしいといいますか。
子育て支援制度の恩恵を受けたい、それが受けられないとなったとき幸福度が低くなる ということではないのでしょうか。
ですから「子どもを持つと幸福度が下がる」という勘違いをしてはいけないと思います。
●納得できるポイントを探して
内閣府が行っている幸福度の調査に関する資料を見て、少しヒントを得た気がしたのでご紹介したいと思います。
この資料の年代別・男女別の幸福度を判断する際に重視する項目に注目してみましょう。
・男性の25歳から29歳は「家計」、一方の女性は「家族」
・男性の30歳から34歳は「家族」、女性は「家族」
・男性の35歳から39歳は「家計」、女性は「家族」
・男性の40歳から44歳は「家計」、女性は「家族」
という結果が出ています。
一般的な子育て世代である25歳から44歳までを追って見てみると、女性は常に「家族」を幸福度の判断をする際に最重要視しているということが分かりました。
一方男性は、30歳から34歳までの年代でのみ「家族」だっただけで、他の年代では「家計」が最重要項目という回答だったのです。
夫婦といっても担っている役割が違う。幸福感に対するものさしも違う ということ。
男性は家族よりも家計が幸福度の判断材料になると単純に考えると、仕事が充実していたりキャリアアップで社会的地位が上がったりすることでも幸福度を上げることが可能です。給与という対価が伴ってくれるからですね。
では女性はどうでしょうか。
もちろん女性も社会進出が進んでキャリアを積み、男性に劣らないほど出世することもありますが、女性の幸福度の重要項目は「家族」なので給与という対価があっても幸福度に直接反映されないこともあるということでしょう。