子育て情報『殺人と同じ? ダウン症や流産を防ぐ『着床前スクリーニング』への賛否』

殺人と同じ? ダウン症や流産を防ぐ『着床前スクリーニング』への賛否

殺人と同じ? ダウン症や流産を防ぐ『着床前スクリーニング』への賛否

皆さんは流産の確率を飛躍的に下げる『着床前スクリーニング』という検査をご存じですか?

あまり聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、着床前スクリーニングとは簡単に言うと体外受精の際に行われる検査の一つです。

日本でほぼ唯一着床前スクリーニングを実施している『大谷レディスクリニック』の報告によると、平均年齢40.4歳の女性に行った愛着床前スクリーニングでは、着床率が約2.2倍になったとのこと。また、流産率は通常の約4分の1にまで減少した といいます。

過去に流産経験を持つ人や高齢出産する女性にとっては大変興味深い数字ですよね。

今回は、着床前スクリーニングについてお話しします。

●着床前スクリーニングって何をするの?

日本で現状行われている体外受精の方法と、着床前スクリーニングの方法は少し異なります。

日本で行われている体外受精の方法は、女性から取り出した卵子を男性の精子に受精させていくつかの受精卵(胚)の中から医師が目視で健康状態にあると判断した胚を選んで子宮に戻すというもの。

一方、着床前スクリーニングでは胚の一部を摂取して検査をし、染色体に異常のないものを選んで子宮に戻します。


前者は目視による選別 のため、実際には異常を持つ胚を子宮に戻してしまうことも多いですが、後者ではきちんと染色体検査 をしているため、確実性が高いと言われています。

しかし、日本ではこの着床前スクリーニングは禁止されており、体外受精を行う際は前者の方法が取られます。

●着床前スクリーニングが日本で禁止されているワケ

なぜ日本では着床前スクリーニングが禁止されているのでしょうか。ひと言で言うと、「倫理上の問題があるから」 です。

日本の母子健康の増進を目指す『日本産科婦人科学会』という非常に影響力の大きい学会が、着床前スクリーニングは「命の選別になる恐れがある」という理由で禁止しているため、日本の病院では導入されていません。

着床前スクリーニングはダウン症などの染色体異常や性別の判定ができる精密さがあるため、命の選別につながりかねないという懸念があるのです。

とはいえ、前述した大谷レディスクリニックの研究結果を受け、日本産科婦人科学会は3年間かけて大規模な臨床実験を行うことを2015年に決めています。結果次第では数年後には日本でも着床前スクリーニング検査を受けられる日が来るかもしれません。

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