子育て情報『そのコーチングは「指導者が考える正解」では? 佐伯夕利子さんに聞くビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革とは』

そのコーチングは「指導者が考える正解」では? 佐伯夕利子さんに聞くビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革とは

30年近くに渡ってスペインで活動し、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得し、アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。

2020年よりJリーグの常勤理事となり、現在は日本を拠点に活動(11/30-2/1まで一時帰国中)しています。選手の育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。第2回はビジャレアルが行った育成改革の内容に迫っていきます。
(取材・文鈴木智之)

目次

・育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか
・選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた
・そのコーチングは指導者が考える「正解」では?
・20年の指導歴で初めて自分が成長できる機会だった


そのコーチングは「指導者が考える正解」では? 佐伯夕利子さんに聞くビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革とは

ビジャレアルが行った育成改革改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まったそう(写真はサッカー少年のイメージ)

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■育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか

――サカイクでは、「子どもを変えるには、大人が変わらなければいけない」というメッセージを打ち出しています。
ビジャレアルの育成改革は、まさに大人(指導者)が変わることで、子どもたちの変革をうながしたそうですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?

それまでの私達はサッカークラブの指導者なので、普段からサッカーの話ばかりをしていました。どんなシステムがいいのか、サイドバックの選手に求める要素は...といった形です。あるとき、ビジャレアルの育成改革を推進したコーチに「そんな話を何十年もしてきて、これから先の何十年も続けていくのか?」と言われたときに、はっとしたのです。指導者として、それはあまりにも貧しいのではないか。そうではなくて、もっと広い視野で選手を育てるべきなのではないかと。

ご存知のとおり、育成はすぐに結果が出るものではありません。目の前にいる選手が8年後、10年後にこうなっていてほしいという理想像に向かって、進んでいかなくてはなりません。8年後、10年後に、今いるコーチが引き続き、ビジャレアルにいるとは限りませんが、選手たちの将来にとってプラスになるのであれば、より良いアプローチを模索するべきだということで、まずは指導者に対して様々な取り組みが行われました。

■選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた

――どのようなことが行われたのでしょうか?

改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まりました。

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