それって指導? 暴力? バレーボール協会が取り組む暴力撤廃アクション、暴力と指導の間にある「未暴力」とは
日本スポーツ界に、連綿と続く体罰の連鎖。競技を問わず、指導者の体罰、暴力、暴言は、令和に入っても後を絶ちません。
2012年の『桜宮高校バスケットボール部体罰自殺事件』後、スポーツ界は様々なアクションを起こしてきましたが、スポーツ指導者の体罰がニュースになるなど、いまだ強くはびこっています。
2023年3月、日本バレーボール協会は「暴力撤廃アクション」を発表。川合俊一氏が会長に就任以降、改革を進めるべく、様々なアクションを起こしています。
そこで今回は川合会長に「なぜ、いま暴力撤廃アクションを発表したのか」「指導者の暴力をなくすために、どうすればいいか」をうかがいました。バレーボール協会が立ち上げた、新たな施策も含めて紹介します。
(取材・文鈴木智之写真・新井賢一)
日本バレーボール協会の川合俊一会長(C)新井賢一
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■選手への暴力撤廃に向けた取り組みを強化
2022年3月に、バレーボール協会会長に就任した川合俊一氏。
現役時代は日本代表の主将を務め、ロサンゼルス五輪、ソウル五輪に出場。引退後はタレントとして活躍し、2015年からはトヨタ自動車ビーチバレーボール部でゼネラルマネージャーを務めるなど、スポーツ内外の知見が豊富な人物です。
川合氏が会長就任以降、「トヨタ自動車での経験を活かして」(同会長)、コンプライアンス・ガバナンス強化に着手。指導者による選手への暴力撤廃に向けて、取り組んでいます。
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■協会がアクションを発表したことで声を上げやすくなる
2023年に入っても、指導者による暴力は起きており、2月には、市立船橋高校男子バレー部の監督が生徒への暴行容疑で逮捕。3月には、前年度の高校選手権で優勝した日本航空高校の監督が、部員に暴行(平手打ち)をしたとして解任されるなど、指導の名のもとに暴力を振るう事件が立て続けに起きています。
現状について、川合会長は次のように感想を述べます。
「指導者の体罰が表面化していますが、これはバレーボールに限ったことではなく、他のスポーツにも、表に出ていないだけで、体罰や暴力、暴言はあるでしょう。
ただ、バレーボール協会として、暴力撤廃アクションを発表したことで、暴力や暴言を受けている人が声をあげやすくなっている面はあると思います」