レベル差があるから学年ミックスのグループ分けを検討するも、保護者から「劣等感を抱く」と反対が......。レベル差のあるチームの指導、どうすればいい?
とか「点を取らせる」といった考えを捨ててください。そして「みんな同じだけ出場して勝つにはどうするか?」を考えてほしいのです。
よく聞かれるのは「子どもは勝ちたいでしょう?」という意見です。その通り、子どもは技術が劣る仲間が交替で出ると「そいつに替えたら勝てないのに」などと平気で言います。そのときに、協力し合うこと、上手い下手ではなくリスペクトし合う大切さを教えなくてはいけません。
「このメンバーでどうやったら勝てる?みんなで相談して」と言って一緒に考えてあげてください。もし負けても次どうするかを考えます。それがスポーツです。
そこを大人がわかっていないと、敗戦の原因だとひとりが責められていたり、いじめに発展することを止めることはできないでしょう。
■アドバイス②相手へのリスペクト、仲間との協働を意識させる最近の少年サッカーはヒエラルキーが生まれやすくなっている
2つめ。子どもに伝えなくてはいけないことを整理し、徹底してください。小学生のサッカーにしても、みんながみんなプロになるわけではありません。リスペクトや、仲間と協働すること、ルールを守ること。子どもが学ぶべきこと、大人が伝えるべきことはたくさんあります。そこを優先すれば、やるべき指導は見えてくるはずです。
つい最近、小学校の先生からこんなことを聞きました。
「少年サッカーにヒエラルキーが生まれやすくなってますね。ひと昔前は少年野球をしている子どもの中でいじめのようなことが発生し、それが学校にまで持ち込まれていて私たちも対応に追われました。でも、今はサッカーのほうが問題になることが多いです」
そのような時代だからこそ、チームでやるということを強調し実践してほしいです。スポーツの指導現場での暴力根絶についての講演を頼まれることもあります。その際、「皆さんはなぜ子どもにスポーツをさせますか?一体スポーとは何でしょう?」と問いかけます。
日本は、そこが欧米に比べて圧倒的に抜けているからです。スポーツに対し「勝負する」という側面が強すぎます。勝ち負けや成績ばかりに一喜一憂します。
レギュラーの子どもは上手いからいいけど、補欠の君はダメだから試合に出られないのは当然だよと評価してしまいます。
サッカーを学ぶ目的は「勝つ」ことではありません。試合の目的が「勝つ」ことなのです。このことを間違えずに私たち指導者は子どもに伝えなければならないのです。