2023年9月15日 21:10
どんな時でも短いパスをつなぐ子どもたち、背後のスペースを突くなど臨機応変なプレーを身に付けさせるにはどうしたらいい?
オシムさんは、ダイレクトでボールを回してつなぐサッカーを選手にやらせようとしていましたが、なかなかうまくいきませんでした。練習のなかでパスをつなぐ途中で奪われたりするので、シュートを打つ機会がありませんでした。
■以前はパスは回るが攻撃が単調になりがちだった
このことに焦りを覚えたフォワードの選手が、オシムさんに「シュート練習をしたい」と居残り練習の許可を求めましたが許可されませんでした。が、オシムさんは「おまえがやろうとしているシュート練習は、果たしてフィニッシュ(つないだ末の最後のシュート)の精度を高めるものなのか?」と疑問を投げかけました。
当時、2000年代前半の日本のサッカーでは、フィニッシュをどう迎えるか、つまりゴールまでのプロセスをどうするかということへの理解が浅かったように思います。オシムさんが「裏もあるぞ」と言えば裏のスペースばかり狙ってしまう。また「サイドは?」と問いかけるとサイドに固執してしまうのです。
このように臨機応変に状況を見ながら攻める感覚がまだ身についていませんでした。
このことは、私が次に在籍した京都サンガでも同様でした。パスは回るけれど、同じやり方で攻めてしまう。攻撃が単調になりがちでした。
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■臨機応変なプレー判断を身に付けるには、指示命令だけの指導では限界がある
しかし、現在は変わりました。例えば日本代表になると、選手たちは互いの特徴を熟知しています。例えば伊東純也選手は自分で抜きに行って、クロスをあげます。浅野拓磨選手は最初から裏に走り込む。あのレベルだからこそ臨機応変にできるとも言えます。
彼らも子どもの時から臨機応変にできたわけではないでしょう。フレキシブルに判断すること、相手を欺けるよう単調にならないよう多種多様な攻撃を選択することこそが重要であることが脳にインプットされるトレーニングを繰り返してきた結果なのです。
このような概念を作るには、ひとつのことをやり続ける反復練習はよくないと言われています。
これは脳の問題で、そのようなトレーニングを年齢に関係なく行う必要があります。口頭で「ショートパスをつなぐけれど、裏を狙うのも忘れないように」と伝えるだけでは、子どもたちはそれをできるようになりません。特にチームのコンセプトがショートパスをつないでゴールに落とし込んでいくというものであれば、子どもは真面目にそれをやろうとします。