相手のラインを崩し、スペースを作って前に運ぶ動き コンビネーションを理解させるにはどうしたらいい?
すると、崩し方が良くなって点がたくさん入りました。選手はとても楽しそうでした。
後日、中学校の先生が、選手たちが書いた練習の振り返りを見せてくださいました。多くの中学生が「あのような練習をして崩し方がよくわかった」と書いていました。
一見簡単そうな2対1で何を磨くか。いつパスをするか、ドリブルなのか、ワンタッチか、ツータッチでよかったのか。そういったことをまずは指導者が理解したうえで練習をすることが重要です。観察する視点が違ってきます。
■足が速くもない、身体も小さい、でもJクラブに入るような選手が育つ理由
京都には、私が指導を続けている子どもたちがいます。そこのコーチたちは2対1が大事だということを知っていて、ずっと取り組んできました。
そのクラブからJリーグクラブのジュニアユースに入る子も出てきました。足が速いわけではないし、体も小さいです。ただ、人を使うのが非常に上手い。練習やコーチ次第でそういう子が育つのです。
そういったことを私は経験しているからこそ、確信をもって指導をしています。
ここまで説明したような練習は、私が外部指導員として教えている高校生にもやってもらっています。
彼らを見始めて今半年ほど経ちますが、ようやく3人目を見られるようになりました。できればこのような練習を小学生からやってほしいと思います。
■説明や指示は短くシンプルに
最後に指導の仕方を話しましょう。私は長くしゃべりません。説明や指示はシンプルにやります。コーチの話す時間を短くしてプレー時間を長くすることを心がけています。練習中、全体に修正したいことがあるときはいったん集めて説明しますが、ここでも言葉をできるだけコンパクトにします。
その際「これって理屈だからね」という言い方をします。
あくまで理屈だから、実際にやると違うことも起きる。その都度自分たちで考えるしかない。毎回考えながらやってくださいと伝えます。
■コーチがドリブルやパスを逐一指導してたら相手を崩して前に運ぶ力が身につかない
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
コーチが気を付けないといけないのは、練習がうまくいかなかったからといって「こうしなさい」とコーチがすぐに答えを教えないことです。さまざまなチームの練習や試合を見ますが、コーチがドリブルやパスを指示する場面が目立ちます。