「相手のマークを外す動き」U-11年代にどう教える? 説明下手な指導者でも選手に伝わる方法を教えて
例えばゴールに向かって走り出す相手は懸命についてくるので、スッと90度に曲がります。どこへ動いても同じように90度に曲がります。ディフェンスから離れる(ディフェンスを振り切る)ためのひとつの方法として「こうしてみたら?」と教えます。
祖母井さんから聞いたので、恐らく(祖母井さんが指導を学んだ)ドイツのコーチたちがやっていたことだと思います。練習のときは、最初から足でやる必要はありません。ハンドパスゲームにしてL字ランをやります。パス5本つなぐと1点といったゲームにして行うといいでしょう。
■マークを外す練習で味方との関係性や全体を俯瞰で見る空間認知能力が育つ
私は、講習会でデモンストレーションを行うとマークをどんどん外し講師の方に褒められたことがあります。
選手時代はセンターフォワードだったので、どうやったらマークを外せるかをいつも考えていました。
この練習をしていくことで、他の選手と自分の関係性や全体を俯瞰で見る空間認知能力が育ちます。
また、このような練習を行うと、ポジションがその子に合っているかどうかが見えてきます。もうすぐパリ五輪ですが、日本代表のU23でさえポジションに合っていないかもと思わせる選手がいます。空間認知がいまひとつだと感じさせます。
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■4種年代から常に考える練習を取り入れなければならない
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
そう考えると、私たち日本の指導者は、4種の段階でこういった練習をもっとやらなくてはいけません。簡単なものでは、低学年のころに鬼ごっこなどをたくさんやります。
相手を出し抜く、だますといったずる賢いことが考えられる。もっと言えばいつも考える頭になれば変わってきます。
それなのに、トップの子は体格がよいか、足の速い子がベースになります。本当にそれが正しいのでしょうか。
私が見ている中学生は、小学生のときからフォワードですが、性格が真面目でやるプレーが相手にわかってしまう子でした。相手の裏をかけないのです。ところが、その子をボランチに置いたら才能が生きました。体力もあるので、よく動き相手の攻撃の芽を摘んでくれるのです。
そんなことも考えながら日々学んでいただければと思います。
池上正(いけがみ・ただし)