子どもの主体性に任せる指導は甘い? 厳しい指導を求める親も多い中、それでも楚辺SCが「サカイク10の心得」を実践する理由
皆さんはお子さんのサッカーで何を大事にしていますか。公式戦が始まる年代になると特にその傾向が強くなり、子どもより親が勝利を求めて熱くなったり、上手い子だけが試合に出続ける状況もまだまだあります。
サカイクでは、上手くなる、勝たせるの前に大事な親の心得10か条を提案していますが、サカイク的な考えに対して「弱いチームがやること」「下手な子が自信をつけるためにやることでしょう」といった考えを持つ方も少なくないようです。
SNSで「(サカイク10か条は)私達が大切にしたいこと。簡単なことのようで非常難しい。けど、楚辺SCはこれを大事にしていく」と宣言している沖縄県の楚辺SC。
周囲のチームはまだまだ「強くしてほしい」「勝たせるための練習を」という声も多い中、どうしてそのような決意したのか、チームを創設した松田さんご夫妻に真意を聞きました。
(文・木村芽久美)

(写真提供:楚辺SC)
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■中学でバーンアウトする子が多い中、「ずっとサッカーを楽しめるチーム」を作りたかった

(写真提供:楚辺SC)
自身も社会人チームでプレーヤーとして仕事をしながらサッカー選手としても活動していた松田塁さん(夫、以下松田さん)は2019年に楚辺SCを立ち上げました。
きっかけは、お子さんが小学生年代、サッカーの活動でなかなか休みがなく、家族の時間が作れなかったこと、また中学年代までサッカーを続ける子たちが少なく、バーンアウトする(燃え尽き症候群)子が多かったことからでした。
「少ない練習でもサッカーを頑張ってできるような、余白のあるチームを作りたいと思った」と話す松田さんは、サカイク10か条を知った時「これこそ自分たちがサッカーを楽しむために大切にしたいことだ」と感じ、賛同したのだそうです。
■背景に根強くある、勝利のための厳しい指導や保護者の要求
バーンアウトの背景には勝利のための厳しい指導や、子どもが思考停止してしまうような言葉かけもあるのだと松田さんは話します。かつての「部活動の厳しさ」を求める保護者も根強くいて、そういう保護者からすると、楚辺SCの考え方は、子どもたちにとって甘いという風に捉えられてしまっているのだそうです。
「最近指示でしか動けない、いわゆる『指示待ちの子ども』が増えているのを感じているんです。