運動後の骨格筋の損傷の程度を評価する有効な方法を発表 最大随意等尺性収縮(MVIC)トルクの回復率を活用
■研究概要
本研究では、芝浦工業大学赤木亮太准教授(責任著者)と当時修士学生の東海林幹生氏(筆頭著者)及び神田章裕氏、静岡産業大学江間諒一准教授(共同筆頭著者)、早稲田大学平田浩祐助教(当時芝浦工業大学ポスドク研究員)、エディス・コーワン大学(オーストラリア)の野坂和則教授からなる研究チームが、エキセントリック運動後の膝関節伸展筋群の損傷を評価するための方法を検討しました。研究チームは、若年男性28名の右脚の膝関節伸展筋群を対象に、筋力計を用いて、全力でのエキセントリック運動を合計100回(10回×10セット)実施しました。
運動前と運動後の複数回にわたり、各種変数を測定し、膝関節伸展筋群の損傷を予測するのに適した指標を調べました。この研究では、筋力計を用いて、運動後3日間のMVICトルクの変化を測定しました。その他、膝関節伸展筋群の剛性率(超音波せん断波エラストグラフィで測定した骨格筋の硬さ)や、膝関節伸展筋群を制御する神経を外部から刺激したときに生じるdoubletトルクなども調べました。doubletトルクを測定することで、随意的な動員度合いを数値化し、実験結果に神経筋疲労の影響があるかどうかを調べました。
■実験結果と今後の展望
実験参加者は、運動直後から1日後のMVICトルクの回復率によって、2つの異なるグループに分類されました。そして、運動直後から1日後のMVICトルクの回復率は、その後の筋力変化の予測に使えることがわかりました。
しかし、遅発性の筋肉痛の程度や骨格筋の硬さの変化の予測には使えませんでした。
限界はあるものの、MVICのトルク変化は、運動後の筋損傷の症状の有用な予測指標として活用できる可能性を示しました。今後、筋損傷の大きさを予測する最適な方法を確立したいと考えています。
■研究助成
本研究はJSPS科研費(JP16K01671)の助成を受けたものです。
■論文情報
著者:
芝浦工業大学システム理工学部 准教授赤木亮太(責任著者)
芝浦工業大学大学院システム理工学専攻(当時)東海林幹生(筆頭著者)
静岡産業大学 スポーツ科学部 准教授江間諒一(共同筆頭著者)
エディス・コーワン大学健康医学科 教授野坂和則
芝浦工業大学大学院システム理工学専攻/ミズノ株式会社神田章裕
早稲田大学スポーツ科学学術院 助教平田浩祐
論文名:Muscle Damage Indicated by Maximal Voluntary Contraction Strength Changes From Immediately to 1 Day After Eccentric Exercise of the Knee Extensors
掲載誌: Frontiers in Physiology
DOI : 10.3389/fphys.2021.775157
■芝浦工業大学とは
工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科
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日本屈指の海外学生派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の理工系大学です。