産科婦人科舘出張佐藤病院 院長/産婦人科医。 多くの専門医資格を持つ立場から女性の心身の健康を支援するための診療を日々心がけている。女性の生涯にわたるメディカルアドバイザーであることをライフワークとし、予防医療の観点から食事や栄養、運動など生活習慣の大切さを指導している。東京オリンピックに向けて女性アスリートの健康支援やNPO法人ラサーナ理事として子宮頸がん、乳がん検診率向上や予防に向けた活動にも力を入れている。 NPO法人ラサーナ理事 医学博士、日本産婦人科学会専門医 日本生殖医学会生殖医療専門医 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医 日本抗加齢学会専門医 日本体育協会公認スポーツドクター 他
おしるし・破水・陣痛 妊娠36~39週頃の臨月になると、ママの体では出産準備がはじまります。この時期には、赤ちゃんが産まれてくるための様々なサインが現れますが、個人差によるため必ず起こるとは限りません。 ・ おしるし 血の混じった状態のおりものを指します。出産に向け、赤ちゃんが産まれてくるための子宮口が開き始めた出産兆候です。子宮が収縮し、赤ちゃんを包んでいる卵膜が剥がれることで出た血液が、粘液と混じって出てくることで現れます。 ・ 破水 赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が流出することを破水といいます。おしるし後や陣痛後、子宮口が全開する前後や分娩台の上など、出産につながる兆候として突然起こります。 また破水がなく、陣痛を迎える場合もあります。 ・ 陣痛 赤ちゃんをママの体外に押し出すために、子宮が収縮することです。個人差はありますが、次第に痛みが増し、間隔も狭まります。おしるしや破水がなくても陣痛は発生します。 おしるし・破水・陣痛がある時期 おしるし・陣痛・破水は、一般的には妊娠36~40週に発生します。すべてが必ず起こるものではなく、ママの体質や体調、妊娠状態により異なりますが、陣痛は必ず発生します。 また破水に関しては、妊娠37週以降の破水は陣痛が始まりお産となりますが、24時間以内に陣痛が始まらない時は陣痛誘発剤を使うこともあります。37週未満で破水した場合は、赤ちゃんがお腹の中に留まって成長できるように入院し、安静状態でお産に備えます。 おしるし・破水・陣痛の症状 ・ おしるしの症状 おしるしは個人差が大きく、出血の量や色味、粘り気の有無などで状態が異なります。回数も1回から1週間くらいかけて毎日など、差があることが特徴です。またおしるし自体がない場合もあります。 ・ 破水の症状 羊水は匂いがやや生臭く、透明・黄緑・黄色味をもち、粘り気がないと言われます。自分の意思で止められないことも特徴です。 一般的には、赤ちゃんを包んでいる卵膜の下部が破れ羊水が出ることを破水と呼びます。陣痛前に破水することを前期破水、子宮口が全開になる前に破水することを早期破水と呼びます。破水がなく子宮口が全開になった場合は、分娩台の上で分娩医が安全に破水させることもあります。いずれも羊水が勢いよく出る点が特徴です。 また子宮卵膜の上部が破れたことによる破水を高位破水と呼び、少量の羊水が継続的に流れる点が特徴です。 ・ 陣痛の症状 下腹部から膣を周辺に、子宮が強い収縮を繰り返すことで痛みが発生します。痛みは規則的な間隔で訪れることが多く、2~3時間程度の間隔から始まり、5~10分程度、3~4分程度と間隔を縮めて継続的に発生します。人によっては間隔が規則的ではないままお産を迎える場合もあります。 また子宮の収縮に伴い、腹痛や腰痛、背中の痛みや突っ張りなどといった症状も同時に起こります。 おしるし・破水・陣痛が起きたら? おしるしの場合は慌てずに様子を見て、妊婦健診時に健診医に伝えましょう。 破水は、産道を経由して子宮内に雑菌が入り込みやすくなり、赤ちゃんが感染症を引き起こす可能性があります。「もしかして破水?」と思ったら、必ず分娩施設に連絡し、指示を仰ぎましょう。その際、シャワーや入浴は控えることも大切です。 陣痛は、痛みや間隔が徐々に消えていくなら前駆陣痛ですが、継続的に続き、痛みが増していくなら本陣痛である可能性があります。痛みや発生する間隔をメモしておきましょう。 おしるし・破水・陣痛の受診の目安 おしるしは、健診施設や分娩施設での受診は特に必要ありませんが、水様性の場合は破水しているかもしれませんから、分娩施設に連絡を。また出血量が多い時やいつもと違う症状を伴う時は受診が必要です。 破水は出産が始まるサインであることが多いため、赤ちゃんへの細菌感染を防ぐためにも、すぐに分娩施設へ連絡しましょう。 陣痛は、初産婦の場合は痛みの間隔が5~10分間隔の時点で、分娩施設へ連絡しましょう。ただし経産婦の場合は陣痛開始から分娩へ進むスピードが速い場合があります。事前に主治医へ相談し、「○分間隔になったら連絡を」といった取り決めがあったほうが安心です。
2016年04月04日妊娠線ってなに? 妊娠線は皮膚の表面にひびが入ったようになったり、赤や赤紫の筋ができたりすることを指し、正式には線状皮膚萎縮症と言い、肉割れやストレッチマークと呼ばれることもあります。お腹の中の赤ちゃんが大きくなるにつれて、皮膚が急激に引き延ばされることが原因で起こります。 一度できると産後に白くなることがありますが、完全には消えることはありません。 皮膚は、表皮、真皮、皮下組織から成り立っています。表皮には弾力性があり、ある程度伸びることができますが、真皮や皮下組織には弾力性がないため、表皮が引き伸ばされると柔軟に対応することができません。お腹が大きくなり皮膚の表面と真皮、皮下組織が伸びることで裂けた状態となり、亀裂が入る仕組みです。 また妊娠期間中には、表皮の増殖と再生をおさえるはたらきを持つ種類のステロイドホルモンの分泌量が増えるため、肌の再生能力(ターンオーバー)が低下します。スムーズな新陳代謝がしにくくなるため、妊娠線として断裂しやすくなるとも言われています。 妊娠線発生時には痛みなどは起こりませんが、跡になりやすいため、妊娠線ができる前からの予防が大切です。 妊娠線が現れる時期とは 妊娠線は、妊娠中期にあたる妊娠16週~27週目にかけてできやすいと言われています。お腹の赤ちゃんの成長に伴い子宮が大きくなり、それにつられて皮膚が伸びることで起こります。 妊娠線の種類と見分け方 妊娠線はお腹全体や下腹部を中心に、脂肪がつきやすい二の腕や太もも、おしりにできやすい傾向があります。 また妊娠期間中は胸の乳腺が発達するためバストが急激に大きくなりやすく、胸に妊娠線ができやすくなります。 見た目は、波打つ線状のものが多く、同じ方向を向いた状態を基本として現れますが、お腹やおしりに出現する場合は放射状である場合もあります。1本だけできる場合もあれば、数十本単位でできる場合もあります。 そのほか、お腹の真ん中にまっすぐな妊娠線が現れることもあり、これを正中線と言います。 妊娠線の予防と対策 妊娠線予防には、お腹が大きくなり始める前からの保湿ケアが大切です。妊娠線が現れる可能性がある部分やカサつきがある部分に対し、保湿効果のあるクリームやオイルでマッサージを行って表皮の乾燥を防ぎ、肌に柔軟性を与えます。 とは言え妊娠初期にはホルモンの影響で肌荒れを起こしやすくなっている可能性もあるため、保湿製品によるかぶれやかゆみ、湿疹などの異常を感じた場合は使用を控え、様子をみながらケアを行いましょう。 季節によって乾燥しやすい場合は、ボディ用の化粧水で表皮に水分保湿を行ってから、オイルやクリームの油分で蓋をして保湿性を高める工夫を行いましょう。 また、急激な体重増加があった場合にもお腹が大きくなり、皮膚の表面と真皮、皮下組織が伸びて裂け、妊娠線が現れやすくなります。適切な体重コントロールを行い、妊娠線の予防につなげましょう。
2016年04月04日妊娠期間中はすべての期において胸の張りを感じることがありますが、妊娠中期では、妊娠を継続しやすくしながら、赤ちゃんが成長しやすいようママの体内を調整するはたらきを持つ卵胞ホルモン(プロゲステロン)が関係します。 プロゲステロンの分泌が盛んになると乳房の乳腺組織が増え、血管が膨張するため、内側から圧迫された乳房に張りや痛みを感じるようになると言われています。これは、乳腺や乳管の組織を発達させ、赤ちゃんが生まれた後すぐに授乳できるようにするための変化だと言えます。 プロゲステロンは妊娠8~9ヶ月ごろに分泌量のピークを迎えるため、妊娠中期から後期にかけ、胸の張り症状が現れる傾向があります。 ・胸全体が張った感じがする ・胸にチリチリ、ムズムズといった感覚がある ・乳首の周りに違和感を感じる ・乳首が衣服などに触れると痛みを感じる ・乳首や乳房にかゆみを感じる 妊娠中期の胸の張りが現れる時期とは 妊娠中期の胸の張りは、胎盤が完成する妊娠16週~27週頃にかけて起き、妊娠後期の35週目頃にピークを迎えます。 それ以前の妊娠初期では、子宮内膜を厚くして受精卵を着床しやすくするなど妊娠を継続させる環境を整えるためにプロゲステロンがはたらきます。そのため胸の張りなどが症状として現れることがあります。 妊娠中期の胸の張りの症状 内側から押し上げられるかのような胸の張りのほか、チクチクした痛みやかゆみ、むず痒さ、乳首の周りの違和感などが現れることがあります。 この時期はプロゲステロンのはたらきで乳房の乳腺組織が発達するため、乳首から透明や黄色の分泌液が出ることもあります。乳房の内部では、母乳が通る乳管が枝分かれしはじめ、乳汁が溜まる腺房と呼ばれる房のようなものができます。ここに溜まった最初の乳を初乳と呼び、お産後1週間かけて赤ちゃんに飲ませることになります。 初乳には赤ちゃんを守る抗体成分や貴重な栄養が含まれており、赤ちゃんを病気から守る効能があります。乳首を軽く圧迫させると分泌液が出るのは、内部に初乳が溜まりはじめている証拠です。 基本的には、胸の張りは妊娠のために必要な身体の変化の一環として生じるものであり、その症状が続くことで別の疾患や病気を引き起こす心配はありません。 ただし、胸の張り以外にしこりを発見したり、乳首から出血がみられたりするような場合は、乳腺症や乳腺線維腺腫、乳ガンなど別の要因が考えられます。速やかに産婦人科を受診しましょう。 妊娠中期の胸の張りの、予防と対策 女性の胸はとてもデリケートで、妊娠期間中も同様に繊細な器官です。優しく扱うことを心掛けましょう。胸が張っている場合は、おっぱいのケアやマッサージは避けましょう。無理に行うと乳首や乳腺を傷つける可能性があります。 アンダーウェア・下着 胸や肌への刺激が少ないものを選びましょう。なるべく締め付け感が少ないもの、ワイヤー素材のないものやマタニティ専用ブラジャー、パッド付きのキャミソールなどがおすすめです。 母乳パッド 乳首から乳汁などの分泌液が出る場合には、母乳パッドを使用しましょう。乳首のこすれによる痛みを防ぐ効果もあります。 胸の保湿ケア 胸周りの肌の乾燥が、かゆみや痛みなどとなって症状を悪化させてしまう可能性があります。肌の状態に合わせ、お風呂上がりにボディ用の保湿クリームを塗るとよいでしょう。 入浴時の洗い方 乳房や乳頭部分はデリケートであり、刺激を与えると胸の張りや痛みをさらに強くしてしまう可能性もあります。お風呂で胸を洗う際には、柔らかめのタオルか手で軽く洗うようにしましょう。 胸を温めすぎない 妊娠中の身体は温めることをおすすめしますが、胸の張りがつらいときは入浴時のお風呂の温度をぬるめにし、胸を温めすぎないようにすることがおすすめです。季節によってはシャワーだけにしてもよいでしょう。
2016年04月04日妊娠中期~後期にかけ、足がつりやすくなったり、こむら返りを起こしやすくなったりします。足がつることは、筋肉が急に収縮した状態で硬直してしまう現象を指し、筋肉疲労やカルシウムやマグネシウムなど電解質の栄養不足、血行不良などが原因だと言われます。 妊娠中のママの足がつることは、赤ちゃんの成長により足の筋肉に重みがかかることが主な原因の一つです。足に重力がかかることで下半身が血行不良となり、筋肉がつりやすくなります。 こむら返りは、ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)という筋肉が異常収縮するために起こります。 そのほか、妊娠期間中の発生はまれですが、スポーツなど激しい活動を行った場合に筋肉が損傷する肉離れを起こしている場合もあります。その際、痛みが伴い歩けなくなることもありますので、健診医に相談しましょう。 妊娠中に足がつりやすい時期とは 妊娠期間中において、お腹が大きくなる妊娠中期ごろからお産直前にかけ、足のつりやこむら返りが発生しやすくなります。 夜や朝方など寝ているときなど筋肉が緩んでいるときや、また背伸びをしたり体を伸ばしたりして筋肉を動かした際にも発生します。ママに筋肉疲労や血行不良などの自覚がなくても発生します。 つりやすい箇所と、痛みの種類 足がつることやこむら返りは、ふくらはぎや足の裏、足の甲や指の付け根などで発生します。ママに自覚がなくても、お腹の重みにより体を支える足そのものに負担がかかっているためです。 足がつったりこむら返りが起きたりすると、鋭い痛みとともに筋肉が膨らんだり盛り上がったりする感覚が起こります。痛みは寝ていても気付くくらいの強さで、筋肉が収縮している間ずっと続き、翌日まで痛みが残る場合があります。 一度起こると慢性化しやすく、同じ箇所で何度もつることがあります。 足のつり予防と対策 足のつりやこむら返りを防ぎ、慢性化させないための予防は普段の生活で行うことができます。発生した時は、筋肉を緩めてあげることが大切です。 ■予防法 マッサージやストレッチ ふくらはぎや足の裏を軽くもんだり、手のひらを滑らせるようになでたりすることで筋肉の緊張が和らぎます。体に負担がかからないよう座りながら足全体を延ばしたり、足の指を丸めたりするストレッチも効果的です。マタニティ体操なども検討してみましょう。 体を温める 血行が良くなることで冷えを防ぎ、筋肉を緩めます。湯船にお湯を張って入浴したり、足湯などの時間を設けたりして、しっかりと体を温めましょう。 カルシウムやマグネシウムを摂る 体は電解質を使って神経や筋肉の機能を調整しますが、つわりなどで嘔吐が続いた場合、血液中の水分が少なくなると電解質のバランスが崩れます。また、電解質のもとになるミネラルが食品や飲み物から補給されない場合にも、血液が薄められて電解質のバランスが崩れます。食事の際はカルシウムやマグネシウムを含む食品や飲料を摂るように意識しましょう。 マグネシウムを含む食べ物や飲み物 納豆 油揚げ 豆味噌 しらす干し イワシの干物 こんぶの佃煮 あさり はまぐり 桜エビ あおさ わかめ ひじき とろろこんぶ オートミール ミネラルウォーター(硬水) スポーツドリンク カルシウムを含む食べ物や飲み物 モロヘイヤ 小松菜 大根の葉 かぶの葉 牛乳 チーズ ヨーグルト しらす 煮干し 干しエビ 炒りごま 木綿豆腐 足がつったときはどうしたらいい? もし発生したら、足の指を手でつかみ足の甲側に反らしたり壁に手を付けて筋を伸ばしたりすることで、筋肉の違和感が収まり痛みも引きやすくなります。収まった後は疲労を貯めないために足全体を優しく揉み、マッサージしておきましょう。お腹が大きく自分の手が届かない場合は、パパや家族の手を借りましょう。 異常なほど頻繁に発生する場合、原因となる疾患が潜んでいる可能性があります。下肢静脈瘤や糖尿病の症状として足がつる場合もありますので、気になる場合は健診医に相談しましょう。
2016年04月04日おっぱいケアとは 産後に母乳育児を検討している場合、母乳を出やすくするためにおっぱいの手入れを行うおっぱいケアがおすすめです。赤ちゃんがおっぱいを吸う力は強く、また1.5時間~3時間おきの頻繁な授乳が必要になるため、丈夫な乳首にしておく観点からも、妊娠期間中からのケアが大切です。 乳頭のケア 妊娠中期から始められるケアです。赤ちゃんの舌に絡みやすく、吸いやすい乳首にするため、かつ、頻繁な授乳に耐えうる丈夫な乳首にするために、指で乳首を摘まみながら行います。乳首が柔らかく伸びやすいと授乳時に傷がつきにくくなるためです。 ママによっては妊娠中期ごろ、乳首から透明~黄色の分泌物が出る場合もありますが、血行が活発になり乳腺が発達してきたことによります。放置すると固まって栓状となる可能性があるため、無理に絞らずに優しくふき取りましょう。 乳房のケア 妊娠後期にあたる妊娠37週目頃から始められるケアです。乳房全体をマッサージすることで、乳腺を刺激し、母乳が出やすい状態に整えます。 自治体などが開催する母親学級や両親学級のほか、健診施設や分娩施設によっては、受診時におっぱいケアの指導を行う施設もあります。母乳育児を推奨する傾向のある施設では、母乳外来や助産師外来などを設け、おっぱいケアを重点的に行う施設もあります。 おっぱいケアはいつからいつまでするの? 妊娠20週~妊娠39週にかけて、体調や妊娠状況をみながらおっぱいケアを行うのがよいと言われています。 また、おっぱいを刺激すると子宮が収縮しやすくなります。ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤が完成していない妊娠16週目頃以前のおっぱいマッサージは、お腹の張りを引き起こしやすく、切迫早産や切迫流産を引き起こす可能性もあるため、控えましょう。 妊娠中期以降のおっぱいケアでも、お腹の張りを感じたときはすぐにケアを中止してください。 乳首の形状は主に直系8mm以上の乳頭を持つものを基準とし、引っ張ると長さが2cm程度になると良いと言われていますが、形状はママ一人ひとりによってさまざまです。赤ちゃんが吸いやすいのは乳首の付け根にくびれがある形状ですが、“こうでなければいけない”かたちは特にありません。赤ちゃんの小さな口にしっかり含まれるような形を目指してケアを行っていきましょう。 おっぱいケアを行うときは、皮膚の伸びを良くし、肌表面を優しく保護するため、ボディクリームなどを使用して行いましょう。 扁平乳頭 全体が平らで高さがなく、乳首の長さが0.5cm以下の状態を指します。 陥没乳頭 乳首が乳輪に埋もれた状態で外部に出ていない状態を指します。先端が出ている場合から完全に埋没している場合まで、個人差があります。 小さい乳頭 赤ちゃんが吸うときに圧力がかかりやすいため、傷がつきやすい状態を指します。 巨大乳頭/長大乳頭 乳首のサイズが大きかったり、乳首の長さが2cm以上あったりする状態を指します。 おっぱいケアの方法 おっぱいはとてもデリケートで、妊娠期間中も同様に繊細な器官です。乳房も乳首も優しく扱うことを心掛けましょう。ケアは必ず健診医や助産師の指導を受け、自己判断で行うことは避けましょう。無理なケアやマッサージは乳首や乳腺を傷つける可能性があります。 妊娠期間中は乳房の乳腺を圧迫しないために、しめつけの緩いブラジャーを着用しましょう。マタニティ用にあつらえられているものや、パッド付きのキャミソールなどもあります。入浴後は乳腺が開きやすくなるため、ケアはお風呂上りがおすすめです。ケア前には乳首部分にクリームやオリーブオイルなどを塗り、肌を傷めないよう滑りを良くしておきましょう。 また、おっぱいや乳首を清潔に保つことも大切です。乳頭に垢や分泌物の塊がある場合は、オリーブオイルを浸した脱脂綿で10分間湿布すると取りやすくなります。 乳首ケア(基本編) 1 親指と人差し指で乳首の付け根を乳輪から摘まみ、角度を変えながら乳首を引っ張ります。同様に角度を変えながら指の腹で乳首を軽く圧迫します 2 人差し指と中指で乳首の中ほどを軽く摘まみ、親指の腹で先端を軽く転がします 3 親指、人差し指、中指で乳首を摘まみ、左右に軽くひねります ・扁平乳頭 乳首がしっかりと立ち上がった状態を目指します。乳首を伸びやすくするケアを行うことで、赤ちゃんが吸いやすい乳首になります。 ・陥没乳頭 乳首が外に出た状態を目指します。乳首に刺激を与えたり、乳頭吸引器などで乳首を外に出したりしてケアを行います。乳首を伸びやすくすることで、赤ちゃんが吸いやすい乳首になります。 ・小さい乳頭 乳首を大きくしていきます。マッサージなどで刺激を与え、乳首を伸びやすく鍛える必要があります。 ・巨大乳頭/長大乳頭 マッサージで柔らかくし、赤ちゃんが吸いやすい状態に整える必要があります。ですが、過度な刺激は乳首が大きくなる可能性があるため、様子を見ながら行いましょう。 乳房ケア 1 両手を乳房の外側に添え、支えながら上に持ち上げます。同様に支えながら胸を外側に軽く引っ張ります 2 片方の乳房の上下を両手で包み込み、下側は外側へ、上側は中央に向けて軽く動かします 産後の母乳マッサージのやり方 産後は母乳マッサージを行いましょう。乳房の血行を促進することで母乳の出を良くし、スムースな授乳を行うためです。 ママの心の状態や体調によっては母乳の出が悪くなる場合もあるので、その際もマッサージを行ってみましょう。 乳房ケア 1 マッサージを行なわない乳房側にある手で、下から、マッサージする乳房を支えます 2 1の手の上から反対の手をのせ、斜め上内側に向かって軽く押します 3 1~2を同様に行います 母乳マッサージのやり方としては、下から上に持ち上げたり、斜め上に持ち上げたり、下からゆすったりするのを数回繰り返します。上手に行えば、乳腺の緊張もほぐれて、母乳の出がよくなります。炎症が起きているときなどは、もみほぐさないように注意してください。 またママによっては、母乳が出すぎたり、乳腺が狭かったりする場合があり、詰まった母乳がしこりとなって現れる場合があります。しこりが確認できる場合は、しこりがあるほうの乳房から授乳し、赤ちゃんに飲んでもらうようにしましょう。母乳のつまりを悪化させないために、授乳後に余った母乳は搾乳して捨てることも有効です。 悪化すると、母乳が乳腺に詰まって炎症を起こす乳腺炎になることもあります。
2016年04月04日妊娠高血圧症候群とは 過去に妊娠中毒症と呼ばれていた病気で、妊娠高血圧症候群は、妊娠20週~分娩後12週までに高血圧がみられる場合か、または高血圧に蛋白尿を伴う場合に診断され、高血圧を伴う病的状態が複数みられる状態を指します。 ママの体では赤ちゃんに栄養や酸素をより多く届けるため血液を多く流すべく変化しますが、それにより高血圧になりやすい状態です。ですが高血圧状態が続くとママと赤ちゃんの健康や体に悪影響を及ぼし、重篤な障害や疾患を引き起こすリスクがあります。 原因は、現在のところまだはっきりとは分かっていません。有力な説とされているものとしては、妊娠16週頃までに完成する胎盤の血管が通常とは異なる作られ方をすることにあるということと、妊娠そのものへの中毒症状であることだと考えられています。 妊娠高血圧症候群は、15歳以下または35歳以上での妊娠や、肥満傾向にある人、もともと糖尿病の人、腎臓などに疾患のある人、家族に糖尿病患者がいる・いた人、出産が初めての人、双子などの多胎妊娠の人、過去の妊娠で妊娠高血圧症候群と診断された人などがかかりやすいと言われています。 妊娠高血圧症候群は、いつからいつまでにかかりやすいの?(※1) 妊娠後期にあたる32週以降に多く発症する傾向がありますが、妊娠32週未満で発症した場合は重症化しやすい傾向があったり、最悪の場合では死に至る場合もあったりすることから早期発見と早期治療が重要とされています。 妊娠高血圧症候群の症状 眠気や倦怠感、頭痛、嘔吐感などが症状として現れますが、通常の妊娠症状と紛れやすいことから、妊娠高血圧症候群の症状を自覚することが難しい傾向があります。妊婦健診での検査結果で異状が見つかるまでママ自身が気づかない場合が多いと言われます。 重症の場合、子宮や胎盤で血液が流れにくくなるため、赤ちゃんは栄養と酸素が不足した状態が続き、胎児発育不全となります。体重が少ない赤ちゃんが生まれたり、中枢神経や脳に障害が発生する低酸素症を引き起こしたりするリスクが高まります。最悪の場合、お腹の赤ちゃんが死に至るケースもあります。 診断の仕方と、診断後の生活について 診断は妊娠20週以降から産後12週目まで高血圧であることか、または高血圧に尿蛋白を伴うことによって診断されます。 高血圧の判定は血圧測定、尿蛋白は尿検査による尿中蛋白の測定によって行われます。 血圧測定は、収縮時血圧と拡張期血圧の数値で診断されます。収縮時血圧は140mmHg以上、拡張期血圧は90mmHg以上のどちらか、もしくは両方の場合に高血圧と診断されます。 尿検査は、妊婦健診での尿検査で蛋白尿1+ の結果が出た人を対象に、24時間分の尿をもとに尿中蛋白を正確に測定します。一日の尿蛋白量が300ミリグラム以上の場合に、正確な診断が下されます。 妊娠高血圧症候群と診断された場合、外来で通院しながら食事のカロリー制限や塩分制限による指導での治療が中心となります。重度の場合は赤ちゃんの発育状態をみながら経過観察入院し、薬での治療と安静状態が必須となりますが、母体の健康状態によっては早期計画出産を行い、赤ちゃんとママの治療を優先させる場合もあります。 そのほか、診断を受けた場合は産後12週目まで経過を観察します。 子癇前症(しかんぜんしょう) 高血圧に伴う脳組織の循環障害と機能障害で、異常な高血圧とともにけいれんが発生し、意識喪失や視野障害を起こした状態を指します。早期胎盤剥離や胎児発育不全、早産を引き起こしやすく、お産後にも赤ちゃんに問題が生じるリスクが高まります。 妊娠20週以降または、産後1週間内での発症が多いと言われますが、お産の最中にも発生する可能性があります。 HELLP症候群 重度の子癇前症で、肝障害や、ママの血液中にある赤血球や血小板にトラブルが起きる疾患を指します。 HELLP症候群では、まれに、異常な高血圧に伴う発作が起きる状態である子癇(しかん)が発生します。産後に発生する傾向がありますが、速やかな処置を行わないとママが死に至る可能性があります。 普段から注意することとは 妊娠高血圧症候群の予防方法は、現在のところ決定的なものは見つかっていません。ですが食べ過ぎを控え、塩分を摂りすぎない工夫を行うなどの高血圧に対する一般的な対策は有効だと考えられています。 とは言えママが極端にカロリー摂取や塩分摂取を控えると、栄養状態面でのリスクも発生するため極端な制限には注意が必要です。健診医の指導を守り、ママ一人一人に合った予防法を心掛けましょう。
2016年04月04日頻尿は、一般的に起床時~就寝までの排尿回数が8回以上である場合を指す症状です。一つの目安であり、その日の水分摂取量や活動量などでも個人差があります。あわせて残尿感を伴います。 妊娠中期の頻尿はいつからいつまでになるの? 妊娠期間中は、お腹の赤ちゃんに送るために通常より多くの血液を必要とします。妊娠初期は、心臓で作られた血液や体液をろ過する役割を担う腎臓のはたらきが活発化するため、頻尿につながると言われています。 妊娠中期ではママの体内で作られる血液量が最大となり、血液が腎臓でろ過される際、原尿と呼ばれる尿の元になるものがあるため、頻尿が起こりやすくなります。 お腹の赤ちゃんが大きくなり子宮が膀胱を圧迫することでも頻尿症状が現れるため、妊娠後期からお産直前まで頻尿になる場合があります。 妊娠中期に頻尿が現れる時期とは 妊娠中のすべての期間を通して、頻尿症状を感じるママが多いと言われています。いずれもお腹の赤ちゃんの成長に伴う理由が原因とされ、産後には解消されるケースがほとんどです。 妊娠中期では、妊娠16~24週ごろに頻尿症状が現れやすい傾向があります。 こんな頻尿症状の場合は、感染症に注意 妊娠中期の頻尿は、大きくなった子宮が膀胱を圧迫することで尿が溜まっていなくても尿意を感じることと、尿が溜まる量が少なくなることで起こります。 妊娠期間中の頻尿は、主に妊娠による生理現象のため治療の必要はありません。まれに排尿を我慢することで感染症を引き起こしたり、尿路の感染や炎症が原因となり頻尿症状が現れたりする可能性があります。 尿路感染による感染症は、直接赤ちゃんへの影響はなく、早期治療すれば妊娠に影響がない場合がほとんどです。しかし、重篤化すると炎症によって子宮が収縮し、早産や流産になりかねません。感染による症状を感じる場合は、早めに健診医または分娩医に相談しましょう。 膀胱炎(ぼうこうえん) 頻尿に加え、排尿時にピリッとした痛みがある、残尿感がある、尿の色が赤いなどといった場合は膀胱炎の疑いがあります。普段は排尿によって尿道に存在する細菌も洗い流されますが、妊娠中は抵抗力が低下しているため、感染しやすくなっていることが原因です。 腎盂炎(じんうえん) 膀胱炎が悪化すると、膀胱から尿管・腎臓へと細菌が上行し、腎盂炎を発症します。酷い残尿感、出血、悪寒や震え、腰痛などの症状に伴い38~40度の高熱が出ます。多くの場合は入院しての治療が必要です。 妊娠中期の頻尿対策と感染症予防 妊娠中のすべての期間において、排尿を我慢しないことが一番の予防になります。尿意を感じたら、できる限りすぐにトイレに行きましょう。 排尿して細菌を洗い流す 女性の体は、尿道と膣、肛門が近くにあることから細菌が入りやすい構造をしています。尿路に存在する細菌は、排尿で洗い流しましょう。こまめに水分補給を行い、尿の回数を増やすことも効果的です。 外陰部を清潔に保つ おりものシートなどを使用している場合はこまめに交換したり、排便時は膣周辺に触れないようお尻を前から後ろに拭くなど、患部を清潔を保つように心がけましょう。 性行為によって膀胱炎になるケースもあるため、その場合は自分だけではなく、行為前にパパの体も清潔に保つように話し合いましょう。 体を温める 冷えなどの理由で膀胱内の粘膜が32℃以下になると、細菌が繁殖・感染しやすい環境になります。夏でも温かい飲み物を飲む、お風呂にゆっくり浸かるなど、日頃の生活から体を温める工夫をしましょう。 妊娠中期の頻尿では、こんなことにも注意 妊娠期間中の頻尿症状には、尿を出したにもかかわらず、まだ残っているかのような感覚が伴う残尿感が発生する場合があります。実際に尿が残っていることは少ないと言われていますが、不快感が伴います。 ただし頻尿に限らず、排尿時に痛みがあったり、残尿感があったりする場合は感染症を引き起こしている可能性があるため、健診医に相談しましょう。 また病気ではありませんが、妊娠中期から後期にかけては尿漏れにも注意しましょう。せきやくしゃみなどの際、お腹の圧力で尿が漏れることがあります。これも、妊娠中、子宮が膀胱や尿道を圧迫し続けることが原因です。 尿漏れの量に応じて、尿漏れパッドや生理用ナプキンを使用しましょう。清潔を保つためこまめに付け替えましょう。 妊娠中期の頻尿予防と対策 妊娠中期の頻尿を予防するには、膀胱を支える骨盤底筋群と呼ばれる筋肉を鍛える方法があります。排尿時に尿を止めたり、おしりの穴を絞めたりすると骨盤底筋群の存在が分かりやすいと言われています。意識的に絞めたり緩めたりする運動を行うことで、強化することができます。ただし膣や肛門を締めるときは、お腹に力を入れないように注意しましょう。
2016年04月04日妊娠初期から引き続き、中期に入っても倦怠感が続くことがあります。倦怠感は疲れやすい、熱っぽい、だるい、体が重い、または眠気やめまいなどの症状として現れます。 この時期に落ち着く傾向があるつわり症状も倦怠感の一種であると言えます。吐き気や頭痛、微熱、体のだるさ、眠気、イライラなどの症状があります。 妊娠中期の倦怠感は、赤ちゃんの成長に用いられる栄養素を含んだ血液がママの体内で不足し、貧血気味になることが原因の一つと考えられています。 また、赤ちゃんの成長に伴う体重の重みで下半身に負担がかかることなどでも倦怠感を感じます。 そのほかにも、妊娠を継続させるはたらきを持つ黄体ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)のバランスが崩れた際に起きる情緒不安定や、妊娠生活のストレスや不安などからも、倦怠感が発生すると言われます。 妊娠中期の倦怠感が現れる時期とは 妊娠中期の倦怠感は、妊娠16~27週に発生しやすいとされますが、特に期間が明確に決められているものではなく、妊娠初期から継続したり、妊娠後期にも感じたりすることもあります。 出産後は、ホルモンバランスが整ったり、産後の体調整備などを経たりすることで、倦怠感も減少すると言われています。 妊娠中期に起こる倦怠感と風邪との違い・見分け方 妊娠周期の倦怠感は、風邪症状に似ているものもあります。疲れやすい、熱っぽい、だるい、体が重い、または眠気やめまいなどは妊娠特有の倦怠感ですが、それらに加えて発熱や寒気、のどの炎症や咳などがある場合は風邪を引いている可能性があります。 また、めまいがある場合は、貧血によるものか体調不良によるものかでも現れ方が多少異なります。貧血の場合は立ちくらみ、体調不良の場合は発熱などによる浮遊感などが考えられます。 風邪を引いていると分かった場合は、自己判断で市販の薬を飲む前に健診医や分娩医に相談しましょう。 市販の内服薬の場合、胃または腸から肝臓を経て血管に吸収され、薬の成分が血管中にある間に効果として体に作用し、肝臓や腎臓で代謝されて他の物質となり便や尿として排出されます。排出までにかかる期間は個人差がありますが、そもそも、成分のほとんどは体内に残りません。 妊娠4ヶ月目の14週~16週ごろには、ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤が完成します。血液が混ざり合わないようになり、胎盤に備わっているフィルター機能のはたらきで薬の成分の侵入が制限されるようになります。ただし分子の小さい成分は胎盤を通過するので赤ちゃんの体内に入る可能性もあるため、市販の風邪薬を服用する際には必ず健診医や分娩医に相談しましょう。 妊娠中期の倦怠感の予防と対策 妊娠中期の倦怠感を予防するには、貧血予防と十分な休息に効果があります。 貧血予防 妊娠中期の貧血は、多くが鉄欠乏症貧血だと言われています。赤ちゃんの発育上、ママの体内で作られる血液量が最大になるためです。妊婦健診で貧血傾向を指摘される場合もありますので、貧血を予防する鉄分を多く摂取するとよいでしょう。 妊婦健診の血液検査で貧血が指摘された場合、健診医の指導のもと、妊娠中のママでも服用できる鉄剤や注射が処方されることもあります。ただし副作用として吐気や便秘、下痢などの胃腸症状が起きる可能性もあるため、できる限り食品から鉄分を補給しましょう。 レバー 豚もも肉 菜の花 ほうれん草 小松菜 キハダマグロ キワシ カツオ カキ 牛乳 卵 大豆 納豆 豆乳 ひじき 岩海苔 きくらげ 十分な休息 倦怠感に眠気やだるさを伴う場合は、妊娠によって負担が生じているママの体が休息を欲していることの現れです。無理をせずに休憩したり、横になれたりする環境を整え、心身穏やかに過ごしましょう。
2016年04月04日妊娠糖尿病(糖代謝異常)とは 妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高くなったり、血糖値が高い状態が初めて発見されたりなどで、その妊婦さんが初めて糖代謝異常(糖尿病になっていないが、糖代謝が正常の範囲内ではない状態)になることです。明らかな糖尿病とは異なります。 糖代謝異常とは、食べたものをエネルギーとして全身の細胞に取り込むインスリンというホルモンのはたらきが正常の範囲内ではなくなっている状態です。 インスリンは、食事の後に上がる血糖値を下げるはたらきを持ちます。妊娠時には、血糖値を上げやすいはたらきを持つホルモン(インスリン拮抗ホルモン)などが胎盤で作られたり、胎盤からもインスリンを壊す酵素が作られたりするため、妊娠中期以降にインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上がりやすくなります。 通常はすい臓からインスリンを多く分泌することで血糖値が上がらないように調節しますが、必要なインスリンが少ない体質の人や、必要量を分泌することができない人の場合に血糖値が上昇し、糖代謝異常になります。 妊娠中に発見される糖代謝異常は、肥満体質であったり、高カロリーな食事を続けたり、強いストレスを感じやすかったりなどさまざまな要因で発症すると言われており、ママとお腹の赤ちゃんの健康にさまざまな合併症が生じます。35歳以上での妊娠である場合や、家族に糖尿病の人がいる場合も、妊娠糖尿病につながる糖代謝異常を起こしやすい傾向があります。 また、妊娠前から糖尿病を患っていたり、妊娠時に明らかに糖尿病だと診断されたりした場合は糖尿病合併妊娠と呼ばれます。 妊娠初期・中期の、妊娠糖尿病(糖代謝異常)の症状 妊娠糖尿病につながる糖代謝異常は、初期では自覚症状はほとんどないと言われています。症状が進行すると、のどの渇き、頻尿、倦怠感や体のだるさなどが症状となって現れます。ですがこれらの症状は妊娠症状にもよく見受けられるため、妊娠糖尿病につながる糖代謝異常の自覚として区別されにくいと言われています。 また妊娠糖尿病と診断されたり、もともと糖尿病で糖尿病合併妊娠である場合、糖代謝異常が続くことで母子にさまざまな症状が起きたり、合併症が発生しやすくなったりします。 妊娠糖尿病や、糖尿病合併妊娠などの糖代謝異常をもつママのリスク 巨大児 お腹の中で4000g以上育つことを指します。高血糖状態のママから糖を過剰摂取した赤ちゃんはインスリンを多く分泌しており、巨大児になりやすいとされています。 巨大児の場合は難産となり、多くは帝王切開となるほか、お産時に赤ちゃんの肩甲骨が引っ掛かり分娩ができなくなる肩甲難産となる可能性があります。肩甲難産では仮死状態出産や骨折、脳や体の神経麻痺などのトラブルを引き起こしたりする恐れがあります。 妊娠高血圧症候群 高血圧状態が続く疾患です。重症化すると脳出血や肝機能障害などを引き起こします。 羊水過多症 羊水が増えすぎる病気です。流産や早産、逆子、妊娠中や分娩中に胎盤がはがれる常位胎盤早期剥離などを引き起こします。 子宮内発育遅延(胎児発育遅延) 赤ちゃんの成長が止まったり遅れたりして、十分に成長できていない症状を指します。 新生児低血糖症 産前に、高血糖状態のママから糖を過剰摂取した赤ちゃんはインスリンを多く分泌していますが、産後は母体からの糖の供給がなくなるため、低血糖になります。授乳やミルク、糖水などで速やかに血糖値を上げたり治療を行ったりすれば健康に問題はないと言われますが、早期に適切な対処がなされない場合、神経学的後遺症を残す可能性があります。 低カルシウム血症 血中のカルシウム濃度が低い症状を指します。命にはかかわりませんが、手足のしびれや筋肉のけいれんなどがある場合は治療が必要です。肝臓の機能が低下している場合にも起きる場合があります。 多血症 血液中の赤血球が異常増加する病気です。血液中の赤血球が多過ぎる状態のことです。血液が濃くなり、毛細血管の血流が悪化してしまうことがあります。その結果、皮膚のかゆみ、目の結膜の充血などのほか、血中に血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性があります。 先天奇形 中枢神経系、骨格系、心血管系、腎尿路系、消化器系、耳や口など、さまざまな器官で奇形が発生します。もともと糖尿病にかかっている場合は、妊娠初期から高血糖状態が続いたり、血糖コントロールが悪い状態が続いたりする傾向があり、先天奇形が起こりやすくなると言われています。 診断の仕方と、診断後の生活について 妊娠糖尿病につながる糖代謝異常は、妊娠の早い段階で血糖を計測し、もし血糖値が高いことが分かれば血糖検査(ブドウ糖負荷試験)を行い、結果を見て診断されます。 妊娠初期で異常が見られない場合も、妊娠中期にはよりインスリンが効きにくくなるため血糖が下がりにくく、再試験を受けて診断を受ける必要があります。 糖代謝異常がみとめられて妊娠糖尿病と診断された場合、主に食事療法で血糖コントロールを行います。健やかな妊娠を維持するのに必要なエネルギーを摂取し、高血糖を起こさない食べ方をするよう管理していきます。血糖値は、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満を目標とし、エネルギー制限食のほか、一日の食事を4回~6回などに分けて摂る方法などを行います。 運動療法も指導されますが、ウォーキングや食後のストレッチや体操を、体調をみながら無理のない範囲で行います。インスリンのはたらきを活発にし、食後高血糖を抑えることができます。 場合によっては、赤ちゃんの健康に影響を与えない種類のインスリン注射や、薬による治療が用いられることもあります。 もともと糖尿病であったり、糖代謝異常がみとめられて明らかな糖尿病と診断され、糖尿病合併妊娠だと分かったりした場合は、かかりつけ医による治療や血糖コントロールを併用しながら妊娠生活を送ることになります。 赤ちゃんの健康に影響を与えない種類のインスリン注射や、薬による治療が用いられることもあります。 普段から注意することとは 妊娠糖尿病につながる糖代謝異常を予防するには、バランスの良い食生活を送り、食べ過ぎや偏食などを避けることが重要です。 妊娠糖尿病と診断されたら、産後すぐでなくても、将来的に糖尿病を発症する可能性が高まります。産後6~12週間後に再び血糖検査(ブドウ糖負荷試験)を受け、妊娠糖尿病が改善しているかの検査が行われます。 妊娠中の生活の送り方はもちろん、産後の体質改善も踏まえ、健診医やかかりつけ医の指導のもと、気を付けて付き合っていきましょう。 明らかな糖尿病であったり、糖尿病合併妊娠である場合は、あらかじめしっかりと血糖コントロールを行い、糖尿病が引き起こすさまざまな合併症を避ける計画妊娠を行います。ママと赤ちゃんの健康のため、しっかりと管理していきましょう。
2016年04月04日感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が、体内に入ることで発症する病気の総称です。妊娠中は、特に免疫機能が低下する傾向にあり、感染しやすいと言われています。妊娠初期においては、つわりによる体力低下も原因の一つです。 妊娠中期以降は、子宮が大きくなるにしたがい、肺活量や心肺機能の低下が見られるため、感染症にかかりやすくなっています。 感染症が引き起こす母子感染とは ママが何らかのウイルスや細菌などに感染して、それが赤ちゃんに感染することを母子感染と言います。 特に妊娠中の母子感染は流産や早産などを引き起こす可能性があり、赤ちゃんが直に影響をうけることもあるため、早期の治療と予防が欠かせません。 胎内感染 赤ちゃんがお腹の中にいるときに、へその緒や血流を介してウイルスや細菌に感染することを指します。 産道感染 お産時、赤ちゃんがお母さんの産道を通るときにウイルスや細菌に感染することを指します。 母乳感染 産後、母乳育児中に発生します。ウイルスや細菌に感染したママの母乳を介し、赤ちゃんがウイルスに感染します。 感染症の種類 赤ちゃんへの感染予防を兼ね、ママ自身がウイルスに感染しないよう注意が必要です。ウイルスによる感染症は、人の血液や体液などを介し、既存のウイルスに感染することによって発症します。 インフルエンザウイルス 気道感染症であるインフルエンザを引き起こすウイルスです。症状は一般のかぜと似ていますが、重くなりやすい疾患ととらえられています。また国内で使用されているインフルエンザワクチンは生ワクチンではないため、重い副作用を引き起こしにくく、妊娠中のすべての時期において、ママの体と赤ちゃんの発育に関して影響がないと言われています。 万が一インフルエンザにかかってしまっても、タミフルやリレンザなどの薬は赤ちゃんの健康リスクも高くないため、処方されます。 B型肝炎ウイルス B型肝炎ウイルスが主に血液・体液を介して感染しておきる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると持続感染状態になるリスクがかなり高くなり、症状が出なくとも、将来的に肝炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週前後に血液検査で検査を行います。 C型肝炎ウイルス C型肝炎ウイルスが主に血液を介して感染して起きる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると、将来、肺炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週目に血液検査で検査を行います。 HTLV-1(ヒト細胞白血病ウイルス) HTLV-1は、感染してもほとんどの場合で症状も現れないため、赤ちゃんに感染しても、同じくほとんどの場合に無症状だと言われています。しかし将来的に感染者全体のおよそ2.5~5%にATLと言う白血病の一種が発症することがあります。また、ごくまれにHAMという神経疾患などが発症することがあります。 特にHTLV-1は母乳感染によって起きやすいことが分かっています。検査は妊娠30週ごろまでに、妊娠健診で抗体検査を行います。 HIV(エイズウイルス/ヒト免疫不全ウイルス) 進行状況によって数年~10年程度かけて免疫力が弱まり、健康な人であれば何ともない菌やウイルスによりさまざまな病気や疾患を引き起こすウイルスです。それら病気が、エイズ指標疾患に該当する場合“エイズを発症した”と診断されます。 HIV検査は妊娠後の妊婦健診で受けることができますが、万が一ママがHIVに感染している場合、医師の治療を受けることにより、母子感染を防ぐ対策をとることも可能です。 パルボB19ウイルス りんご病と呼ばれる伝染性紅班の原因となるウイルスで、妊婦さんが感染すると、およそ30%が赤ちゃんにも感染します。まれに流産や胎児水腫などを引き起こすことがあります。 性器ヘルペス 単純ヘルペスウイルスが原因とされる、性感染症の一つです。産道を通じて赤ちゃんに感染すると、重度の肺炎や脳炎を起こすことがあります。 サイトメガロウイルス 性器ヘルペスと同様、ヘルペスウイルス科のウイルスです。妊娠初期に初感染すると、流産を引き起こしたり、赤ちゃんに肝障がいや難聴などが発生する可能性があります。 風疹ウイルス 発熱や発疹、リンパ節の腫れなどを引き起こすウイルスです。妊娠20週頃までにママが感染すると赤ちゃんに母子感染し、聴力障害や視力障害、先天性心疾患などを引き起こす先天的風疹症候群になる可能性があると言われています。 水痘(水ぼうそう) 水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって生じる感染症です。赤い発疹が出ることが特徴で、水疱や膿疱になった後、かさぶたになって治ります。妊娠中に発感染があると、まれに赤ちゃんに眼の異常や皮膚の萎縮が生じることがあります。 梅毒 梅毒トレポネーマという病原菌が原因とされる感染症です。感染部位にしこりができたり、赤い発疹が起きたりします。赤ちゃんに感染すると、神経や骨などに異常をきたす先天梅毒になることがあります。 性器クラミジア クラミジア・トラコマチスという菌が原因の性感染症です。赤ちゃんに感染すると、結膜炎や肺炎を起こすことがあります。 B群溶血性レンサ球菌(GBS) 膣内や肛門付近にいる細菌です。母体には影響はありませんが、赤ちゃんに感染すると、肺炎や髄膜炎、敗血症などの感染症を起こすことがあります。 リステリア菌 食品を介して感染する食中毒菌で、妊娠中は特に感染しやすくなります。赤ちゃんに影響が出ると、敗血症と同様の症状が現れる新生児リステリア症が発症することがあります。 感染症を防ぐには 感染症は、人との接触、空気感染のほか、食べ物や飲み物、ペットなどの動物の体などを介する感染などで発症します。日頃から感染症を予防することを心掛けておきましょう こまめな手洗い、うがいを行う 帰宅した後や、調理をする前後、食べる前、トイレの後など、手洗い・うがいを行うことで接触感染や飛沫感染を防ぎます。アルコールを含む消毒液で手を消毒するのも有効です。 マスクをする インフルエンザなどにかかった感染者の咳やくしゃみなどの飛沫感染を防ぎます。外出時にはマスクを着けましょう。 キッチン周りの消毒と、食品の加熱処理 調理用具や調理台はいつも清潔に整え、食品はしっかりと加熱して調理して食品感染を防ぎましょう。加熱すべき食材は、中心部までしっかりと火を通すことも大切です。 予防接種を受ける インフルエンザや風疹など、予防接種を受けることで感染を防ぎます。妊娠前に受けるものと、妊娠中に受けてもよいものがあるため、健診医に相談しましょう。 免疫力を高める 免疫力の低下は感染の確率を高めます。十分な睡眠をとり、できるだけバランスの良い食事を1日3食摂って免疫力を高めましょう。ただしつわりがある時期は食べられるものを食べられる量だけで構いません。 診断の仕方と、診断後の生活について 妊娠期間中は、感染症にかかっていないかを調べるために妊婦健診で検査を受けます。もし検査で感染症が見つかった場合は、赤ちゃんへの感染を防ぐためにも、医師による保健指導が行われます。 治療は、感染症の種類や妊娠週数によっても異なります。妊娠中に治療しお産に備える場合や、特に母体に影響がない場合は、妊娠中は治療しないものなどもあります。 何らかの感染症が見つかったら、家族や健診医や分娩医などとよく相談して、早めに対処法を考えましょう。症状の現れ方によっては、緊急に処置が必要な場合もあります。分娩施設は24時間365日開いているので、自己判断せずに相談をするように心がけましょう。 参照サイト 東京都多摩小平保健所「感染症とは」 厚生労働省「参考とした文献等の概要 4 妊娠中のおくすりに関する基本的な考え方 国立成育医療センター」(平成21年) 厚生労働省「母子感染を知っていますか?」 厚生労働省「母子感染を知っていますか? HTLV-1抗体検査を受けましょう」 国立感染症研究所「風疹とは」 厚生労働省「水痘 Q1水痘とはどんな病気ですか?」 厚生労働省「梅毒に関するQ&A」 国立感染症研究所 感染症情報センター 肝炎情報センター「B型肝炎について」 首相官邸「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」 東京都感染症情報センター「咳エチケット」
2016年04月04日出産のリスクとは 妊娠と出産は病気ではありません。けれども決して、いつでもどんな時も安全に済むものでもありません。妊娠と出産は、ママが体と生命力を賭けて行う命がけの行為であり、その昔であれば出産はもちろん、妊娠中にも命を落とすママと赤ちゃんが大勢いました。現代では産婦人科医療の発達により、危険をできる限り回避することができるようになりましたが、健やかな妊娠と出産のためには、ママとパパが正しい知識を身に付けることが大切です。 妊娠期間中には、さまざまな妊娠症状による体調不良や、妊娠中にかかる病気やトラブルを乗り越え、ママと赤ちゃんの健康を最優先に保つ必要があります。 臨月に入ってからは、出産にまつわるリスクを知り、同じようにママと赤ちゃんの健康を最優先に保ちながら健やかなお産につなげましょう。 出産のリスクの種類 分娩施設では、分娩医や助産師、看護師が一丸となり、赤ちゃんとママの健康状態を考慮しながら最適な処置を行います。安全な出産へ導けるよう配慮がありますが、出産にまつわるリスクも存在します。 また現代ではさまざまな出産スタイルがありますが、助産院での水中出産や自然出産の場合、ママと赤ちゃんに感染症が発生しやすい傾向があったり、体力や気力への配慮が充分ではない可能性があるなども懸念されます。同様に、万が一の大量出血などの事態が引き起こされたり、分娩設備に関する不安もあります。助産院でのお産は、医療施設との連携をきちんと行っている院を選び、万全の体制を整えたうえで行うことをお勧めします。 ・ 微弱陣痛(びじゃくじんつう) 子宮の収縮回数や持続時間、痛みの強さが弱いため子宮口が開かず、分娩につながらない陣痛を指します。 微弱陣痛はお産までが長時間となる傾向があるため、ママの体力が著しく低下し、分娩まで体力も気力も持たない恐れがあり、また、赤ちゃんにも大きな負担がかかります。そのため、微弱陣痛の場合、分娩の進み具合や母体の疲労度を考慮しながら適時、陣痛促進剤を使用し、薬の作用で子宮口を広げ速やかに分娩するか、母子の健康状態に懸念がある際は緊急帝王切開での分娩となります。 陣痛促進剤を使用する場合も、帝王切開となる場合も、どちらもその場で本人や家族の同意が必要となります。また費用については分娩施設によって異なります。 ・ 陣痛促進剤(じんつうそくしんざい) 長時間の微弱陣痛で分娩につながりにくい場合や、破水があったにもかかわらず陣痛が始まらない場合、出産予定日を大幅に過ぎた場合などに、陣痛や分娩を誘発する目的で使用される薬です。子宮を収縮させる作用を持ち、主に点滴です。 薬の使用後、分娩準備が整わず、強い陣痛だけが過剰に進むことを過強陣痛といい、陣痛促進剤を使用した際にまれに起きるトラブルとして知られています。 ・ 帝王切開(ていおうせっかい) 通常分娩が難しい妊娠の場合、出産時のリスクを回避するために選択されます。手術によりお腹と子宮を切開する出産方法です。帝王切開による赤ちゃんへの健康リスクは少ないですが、産道を通らないため、呼吸が一時的に安定しない場合があります、ママの体へは、術中出血や術後感染症の他、次回妊娠時に前置胎盤や癒着胎盤になりやすい傾向や、次回以降の出産で自然分娩を行うと子宮破裂の恐れがあるなどがあります。 健やかな出産にするために 出産にまつわるリスクは、ママと赤ちゃんの健康の確保を最優先に見据えながらも、副次的に生じるものです。パパは、陣痛時のママに寄り添ったり、痛みを軽減させるサポートを行ったりすることでママの励みになり、また、分娩に必要な各種処置への同意が必要な場合はママと一緒に説明を聞き、健やかなお産につなげられるように尽力しましょう。
2016年04月04日お産には陣痛が必要ですが、産前の子宮収縮によって、痛みが不規則に起こる前駆陣痛が発生します。実際のお産につながる本陣痛とは別物で、医学的には偽陣痛と呼ばれています。お産に備え、赤ちゃんが骨盤のほうに下がるため、その振動や子宮収縮でお腹の張りや痛みを覚えることが原因で起こります。個人差はありますが、腰痛や胎動も同時に感じる人が多いようです。本陣痛の予行練習と捉えると良いでしょう。 痛みの程度でいえば張りの間隔が一定ではなかったり、感覚がそれほど強くなかったり、また痛みが徐々に収まったりする場合は前駆陣痛である可能性が高いといえます。 一方で、弱くても痛みが続いたり徐々に痛みが強くなる場合は、微弱陣痛と呼ばれる陣痛の弱い本陣痛である可能性もあります。微弱陣痛は周期の長さや陣痛の強さが不足していることで、子宮口が上手に開かないと起こります。 痛みが長く続いたり、痛みの間隔が一定であれば本陣痛というものではありません。発生した陣痛がどのようなものなのかは、子宮口の開きや痛みの強さ、周期を圧力計などで測定し、分娩医が総合的に判断するものです。気になる場合は早めに分娩施設に尋ね、助産師や分娩医の指示を仰ぎましょう。 前駆陣痛が始まる時期 前駆陣痛は妊娠36週頃に起きはじめ、お産直前まで続きます。 いつお産を迎えてもよい時期であるため入院準備を済ませておくことをおすすめしますが、前駆陣痛が起こる時と実際のお産日は特に関係ありません。 また「前駆陣痛が重いと、本陣痛も重く難産になる」という俗説を聞くことがありますが、医学的な根拠はありません。 前駆陣痛の症状 前駆陣痛の症状は赤ちゃんの動きにより引き起こされるものであるため、個人差があり、痛みの間隔や強弱も異なります。例えば次のような症状があげられるものの、人によっては生理痛のように感じたり、前駆陣痛に気付かないこともあるようです。 ・ 腹痛 ・ 下腹部痛 ・ 腰痛 ・ 下痢のときのような痛み ・ 生理痛のような痛み ・ 骨盤周辺の痛み ・ 今までに強い痛みを感じたことがない部位に感じる痛み ・ 一定間隔で痛みがあるが、徐々に収まる ・ 不定期間隔で痛みがあり、徐々に収まる ・ お腹が強く張って固くなるが、徐々に収まる 前駆陣痛はお産準備症状であるため、避ける必要は特にありません。起きた場合はなるべく安静にして、痛みの強さや周期を測ると本陣痛との差が分かり、安心につながります。痛み周期が規則的で徐々に狭まり、痛みも強くなるなど、計測内容によって本陣痛が予想される場合もありますので、自己判断せずに分娩施設へ問い合わせ、助産師や分娩医の判断を仰ぎましょう。 本陣痛との違い 本陣痛との違いは、痛み周期の規則性があるかどうかだと言われます。本陣痛の目安として、初めに2~3時間程度だった痛みの間隔が、徐々に5~10分間隔に狭まり、赤ちゃんが産道付近まで下がりきると3~5分間隔と規則的に変化する場合が多いと言われます。とは言え、本陣痛でも痛み周期に規則性がなく、不規則のままお産するケースもあるようです。 前駆陣痛?それとも? 受診の目安 痛みやお腹の張りが伴うため不安を感じることもありますが、前駆陣痛はお産準備症状であり、基本的には異常を示すものではありません。とは言え、無事に赤ちゃんをお産するまで自己判断は危険です。以下のような症状がある場合、トラブルを伴っている可能性も考えられます。速やかに分娩施設に連絡し、助産師や分娩医の判断を仰ぎましょう。 ・ 規則的な痛みが続き、痛みが徐々に強くなる 本陣痛の可能性があります。分娩施設を受診し、家族に連絡してお産準備を整えましょう。 今まで感じたことがないような強い痛みが突然起きたり、激痛が止まないなど異常だと感じられる痛みが発生した場合は、赤ちゃんの健康が害されていたり、子宮内外で何らかの異変が起きたサインという可能性があります。 ・ お腹の張りが規則的に訪れ、徐々に強くなる 本陣痛の可能性があります。分娩施設を受診し、家族に連絡してお産準備を整えましょう。 今まで感じたことがないようなお腹の張りや、異常だと感じられる固さがあったりする場合、赤ちゃんの健康が害されていたり、子宮内外で何らかの異変が起きたサインという可能性もあります。 ・ おしるしがあった おしるし(血の混ざった、ピンク色のおりもの)があった場合は、子宮口が開き始めている証拠です。前駆陣痛だと思われる症状が発生した前後であれば、さらに本陣痛である可能性が高くなります。すぐに分娩施設を受診しましょう。 ・ 破水があった 前駆陣痛だと思われる症状が発生した前後に破水が起きた場合は、羊膜が破れたことで空気中の雑菌が産道を介して赤ちゃんに到達しやすくなり、赤ちゃんが感染症にかかる可能性が高まります。場合によっては本陣痛の症状がなくても陣痛誘発剤などで早急にお産する必要があるため、すぐに分娩施設を受診しましょう。 特に逆子といわれている場合は、救急車を呼び、直ちに受診しましょう。 ・ 赤ちゃんの動き(胎動)が感じられない 胎動は分娩台の上に上がってからも続きます。赤ちゃんが動いている気配が感じられなくなった場合や、普段より動きが少ない時は、赤ちゃんの健康が害されたり、子宮内外で何らかの異変が起きたたサインという可能性があります。すぐに分娩施設を受診しましょう。 分娩施設は24時間365日開いており、ママと赤ちゃんが健やかなお産ができるよう待機しています。症状が現れていなくても、不安な点があれば速やかに分娩施設に連絡し、相談をするように心がけましょう。
2016年04月04日産前産後には、痔の症状が現れる場合があります。お腹の赤ちゃんの頭が子宮内で下部に位置する場合、おでこが肛門を圧迫しやすくなることで、痔になりやすくなるからです。 また妊娠中は、体調の安静を優先にするためにどうしても運動不足になりやすく、便秘になりがちなことも原因の一つと言われています。 また、お産時のいきみが強かった人も痔になりやすい傾向があります。いきみによって脱肛(直腸の粘膜組織が肛門から出る状態)することが原因です。 肛門の外側に痔核が出る状態を外痔核、内側にできてしまうことを内痔核と言います。妊娠中は内痔核、産後は外痔核になることが多いと言われています。 ・ イボ痔(痔核・脱肛) 肛門内外にイボ状の腫れができる痔です。排便時やお産時のいきみで肛門部に集まっている細い血管に負荷がかかりうっ血し、腫れあがることで起こります。イボにはしこりのような硬さがあり、排便時にイボに触れると痛みがでます。 肛門の内側にイボができるものを内痔核、肛門の外側にイボができるものを外痔核と呼びます。 ・ 切れ痔(裂肛) 肛門部が切れたり、周辺の粘膜が損傷することで起きる痔です。便秘の硬い便や、激しい下痢便による勢いなどで肛門の出口周辺が切れたり、血液循環が悪くなったりすることが原因です。多少の出血と鋭い痛みがあり、排便時以外でも痛みを感じる場合があります。繰り返すことで慢性化します。 産前産後の痔は、いつからいつまでになりやすいの? 産前産後の痔は、妊娠36週前後になりやすい傾向があります。初期に痔になるケースは少ないと言われていますが、妊娠前から過度なダイエットなどを繰り返し、常に便秘気味の場合は妊娠初期からすべての期において症状が現れやすくなります。 また産後に痔になる場合、お産時のいきみで肛門に負荷がかかったり、産後に腹筋が緩み便秘になりやすくなっていることが原因だと言われています。また、授乳によってママの体内が水分不足状態となり便秘につながり、痔症状として現れることもあります。 産前産後の痔のリスク 痔がお腹の赤ちゃんの成長に影響を与えることはありませんが、ママが感じる不快症状としては見過ごせない問題でしょう。痔自体は自然に治ることもありますが、症状が進行し、慢性化すると様々なリスクが発生する可能性があります。 ・ 内側にできてしまったイボ痔(痔核・脱肛)のリスク 内痔核は、肛門内部のイボ部分が肛門の外へ脱出し、戻らなくなることがあります。症状が軽いと排便を終えれば戻りますが、慢性化すると、イボ部分を指で押し戻す必要があったり、悪化すると、指で押しても戻らなくなる可能性があります。 外痔核は、腫れたり、触れると強い痛みを感じたりします。進行が進むと外痔核自体が炎症を起こし、さらに腫れたり、痛みが強まる可能性があります。 ・ 切れ痔(裂肛)のリスク 切れ痔が治らないまま繰り返すと、傷口や粘膜の損傷部分に生じた裂け目が深くなって炎症が起きます。進行すると潰瘍やポリープができ、肛門が狭くなることがあります。 診断の仕方と、診断後の生活について 痔は、基本的には肛門科の医師が診療し、診断します。 ・ 問診(症状を聞く) ・ 視診(肛門を見る) ・ 触診(肛門にできているイボなどに触れ、症状を確認する) ・ 指診(肛門内部を調べる) 妊娠中の痔に関しては、妊婦でも飲める内服薬や塗り薬を健診医が処方し、改善させたり、治したりすることができます。痔の原因が便秘である場合は、食生活の見直しなども必要ですので、妊婦健診の際に健診医に相談しましょう。症状がひどい場合は肛門科での手術で治すことができますが、一般的には妊娠中期ごろ、安定期での施術が良いと言われています。 産後の痔の場合は、授乳による水分不足で便秘が起こり、痔の症状が起きていることも原因の一つです。水分をきちんと摂り、食物繊維を多く含む食事を1日3食摂りながら、体調に合わせた軽い運動を行うことも便秘の改善には効果的です。 痔の症状がひどい場合は一般的な市販薬でも治すことができますが、市販薬にはステロイドを含むものが多くあります。ステロイドが母乳に影響を与えることはないと考えられていますが、授乳している場合は念のため、かかりつけの産婦人科医に確認しましょう。 また症状がひどい場合は、注射療法や手術療法などで治療したり、会陰切開の回復を待って手術することも考えられます。 もし診断を受けたら、産前産後の状況に合わせて食生活や生活習慣を見直し、便秘にならないような生活を心掛けましょう。 痔にならないために、普段から注意することとは 産前産後のママにとって、便秘にならない生活を送ることが痔の一番の予防法です。つわりや体調不良など、妊娠期による体の変化に配慮しながら、できる範囲で取り組んでみましょう。 ・ いつもより多めに水分を摂る →カフェイン量の少ない麦茶やミネラルウォーターを、1日数回に分けてこまめに飲みましょう。 ・ 食物繊維の豊富な食べ物を摂る →玄米、芋、こんにゃく、海藻、きのこなどを、1日3食しっかり食べましょう。体重制限などで栄養指導を受けているママの場合は健診医または分娩医に相談しましょう。 ・ トイレへ行く癖をつける →起床後にコップ1杯の水を飲み、胃腸を刺激してからトイレに行く癖をつけることで、便意を感じやすくなることがあります。 ・ 湯船につかり、体を温める →体調に合わせながら、シャワーだけではなく湯船にしっかり浸かり、体を温めて血流をよくしましょう。 ・ 安定期に入ってから、無理のない程度に運動する →ウォーキングやマタニティスイミング、ストレッチなど、体調や好みに合わせて適度に運動しましょう。働いているママの場合は、デスクワークでも、30分に1回は立ち上がるなど同じ姿勢を保ちすぎない工夫をしましょう。 ・ 患部を清潔に保つ →肛門部分はウォシュレットなどで衛生状態をよくしておきましょう。 ・ 便意を我慢しない →できる限り、便意を感じたときに排便を行うことが大切です。
2016年04月04日逆子とは、子宮内で赤ちゃんの頭が上に向いている状態のことを指します。 自然分娩のお産の時は、赤ちゃんは、子宮内で頭を下にした状態を保ちながら産道を通る必要があります。逆子の場合は頭が出にくく、またへその緒が圧迫されやすくなり赤ちゃんに酸素が行きわたらない可能性が発生するため、お産日間近まで逆子が直らなければ帝王切開を検討する必要があります。 妊娠後期での逆子は、妊婦さん全体の約3%だと言われます。逆子になる理由はまだ医学的に明らかになっていませんが、骨盤の狭さや子宮筋腫、前置胎盤、羊水の過不足などが原因ではないかと言われています。 また、逆子の体位にもさまざまなパターンがあります。 ・ 単殿位(たんでんい) 赤ちゃんのお尻が下を向いた体位です。比較的、自然分娩がしやすいと言われており、お産時に赤ちゃんがお尻から出てくるのが特徴です。 ・ 全複殿位/不全複殿位(ぜんふくでんい/ふぜんふくでんい) ひざを曲げ足裏を下に向けている体位で、両足裏が下を向いていれば全複殿位、片足裏を上に上げていれば不全複殿位です。お産は、基本的に帝王切開になります。 ・ 全膝位/不全膝位(ぜんしつい/ふぜんしつい) ひざを曲げてひざ先を下に向けている体位です。両ひざ先を下に向けていれば全膝位、片方だけ下に向けていれば不全膝位と呼ばれます。お産は、基本的に帝王切開になります。 ・ 全足位/不全足位(ぜんそくい/ふぜんそくい) 脚全体を伸ばして、足裏を下に向けており、赤ちゃんが立っているように見える体位です。両足裏を下に向けているなら全足位、片方だけ下に向けていれば不全足位と呼ばれます。お産は、基本的に帝王切開になります。 逆子は、いつからいつまでになりやすいの? 逆子は、妊娠中期のおよそ16週前後からなりやすいと言われています。妊娠初期までの赤ちゃんは体が小さく子宮内を動き回ることができましたが、妊娠中期・後期になるにつれ向きを落ち着かせる傾向にあるからです。とは言え、妊娠中期である28週末までは向きが定まらないことも多々あります。子宮口がちょうど頭を収めやすい逆三角形であるため、それまで逆子だった赤ちゃんも妊娠後期には頭を下にするようになっていきます。 妊娠後期の37週以降からお産予定日間際まで逆子の場合は、帝王切開を検討した方が良いと言われます。とは言えお産直前・当日に逆子が直ることもありますので、赤ちゃんに根気良く付き合いながら、分娩医の判断を仰ぎましょう。 逆子のリスク 逆子は、妊娠中ではなくお産時にリスクが発生します。逆子だと診断されたら、なるべく遠出や旅行は控え、万が一に備えていつでも入院できる準備を整えておくことが大切です。なぜなら自然分娩では次のような危険性が高まるため、注意やお産に備えての準備が必要となるからです。 ・ 呼吸困難 分娩中、赤ちゃんの頭だけが骨盤に引っかかって子宮内に残り、酸素が行きわたらずに呼吸困難を引き起こす可能性があります。この状態が長く続くと、赤ちゃんは呼吸ができず低酸素状態となり、後遺症が残るおそれがあります。 ・ 神経の損傷 分娩中、赤ちゃんの頭だけが骨盤に引っかかった際に懸念されるリスクです。赤ちゃんの頭を無理に出そうとすると、首に負担をかけ頸椎(けいつい)神経が傷つき下半身麻痺を引き起こす可能性があります。 ・ 破水時の臍帯脱出 逆子の状態で破水した場合、へその緒だけが先に子宮外に出てしまうケースを臍帯脱出といい、緊急帝王切開が必要になります。へその緒の血液の流れが悪くなって赤ちゃんにストレスがかかるため、さまざまな健康弊害が起きる可能性があります。逆子での破水は直ちに受診しましょう。 診断の仕方と、診断後の生活について 逆子は、妊娠16~27週の妊娠中期に自然と直るケースがほとんどであり、不安にさせないためにあえて妊婦さんには伝えない健診医または分娩医も多いようです。 健診医または分娩医は、赤ちゃんが育ち、お腹への触診で判断できるようになる妊娠28週以降に正確な診断を下す傾向があります。診断時には触診と超音波検査(エコー)を併用し、前置胎盤や羊水の過不足など関連性をチェックします。 逆子だと診断した場合、逆子を直すための働きかけを行います。働きかけは基本的に赤ちゃんへの悪影響はないものと見られていますが、ママが自宅で行うものに関しては、必ず、健診医または分娩医の指示や判断に従いましょう。 ・ 外回転術 妊娠36~37週以降でも逆子が直らない場合に主治医によって行われる矯正法です。お腹の外から健診医または分娩医が手をあてて心拍数を確認しながら、赤ちゃんのお尻部分を上に直します。羊水の多い妊婦さんや、すでに赤ちゃんを1人生んでいる経産婦さんほど、成功率が高まる傾向があります。 ・ 自己回転促進法 妊娠30週以降に行う、妊婦さんが自宅でできる矯正法です。腹帯をとった状態で行います。 就寝前、手と膝を床についてお尻を後ろに突き出し、胸も床ギリギリまで低く落とす姿勢を10~15分維持します。その後、赤ちゃんの顔が右に向いているなら右、左に向いているなら左に体を向けて寝ることで、体位そのものの位置を変えるよう促します。 ・ 鍼灸治療 民間治療の種類で、逆子を直すと言われる2箇所のツボにお灸をするという方法です。逆子矯正を取り扱う鍼灸院では、妊娠28週頃からの施術を推薦しています。民間療法であるため、検討する場合はあらかじめ健診医または分娩医へ相談することをおすすめします。 普段から注意することとは 逆子になる医学的なメカニズムや原因は、現在ではまだ分かっていないため、決まった予防法はありません。 ただし妊娠後期で逆子と診断されたら、いつでも入院できるような準備をしておきましょう。緊急であれ、計画的であれ、帝王切開でのお産になる確率が高い傾向があります。パパや家族に相談し、理解を得ておくと良いでしょう。
2016年04月04日タバコには、タバコそのものに含まれるニコチンが心臓や血管にダメージを与え、新陳代謝のはたらきを邪魔します。同様に含まれる様々な有害物質には発がん性があるものが含まれます。 またタバコを吸うときに出る副流煙には、タバコの燃えカスと共に、燃やすことで変化した化学物質や有害物質、一酸化炭素などが数多く含まれ、体に悪影響を及ぼします。副流煙は喫煙者以外の人にも煙が届くため、タバコを吸わない人や子どもが煙を吸い込むことで健康に影響を及ぼすことが起こります。これを受動喫煙と呼びます。 さらにタバコの煙が周りに触れると、煙に含まれている化学物質や有害物質、一酸化炭素などがカーテンや壁、髪の毛や衣服に付着し長い間残ります。タバコを吸わない人や子どもが、それらの物質を体内に吸い込むことで健康に影響を及ぼすことを三次喫煙(サードハンドスモーク)と言い、健康に影響を及ぼす可能性があります。 喫煙や受動喫煙は不妊の原因の一つとしても知られつつあります。タバコに含まれるニコチンや有害物質が女性ホルモンの生産をおさえ、卵子の老化や遺伝子異常を増加させるなどの可能性があるからです。また、タバコを吸う期間が長いほど妊娠に至るまでの期間も長くなると言われています。 これから妊娠を希望する人も、妊娠が分かった人も、なるべく早い段階で禁煙することを心がけましょう。 (※1) ママの喫煙が、妊娠中の身体に与える影響とは 妊娠中のママの体内は水分量や免疫力が低下しており、タバコや副流煙に含まれる化学物質や有害物質、一酸化炭素などの影響を受けやすくなっています。 ・ママの体内に確保されている水分量の変化 妊娠期間中につわりの妊娠症状があった人は嘔吐などで水分を失いやすく、体内が水分不足の状態になっている可能性があります。また体内の水分はお腹の赤ちゃんに優先的に届けられるように変化していることも影響します。 ・お産直後、出血を止めるために血が固まりやすく変化 妊娠中のママの身体は、お産でたくさんの出血があってもすぐ血が止まるように血液が固まりやすくなるよう性質が変化します。血液中の水分量が少なくなっている状態です。 このような状況で喫煙を行うと、前置胎盤、胎盤異常といった妊娠合併症のリスクや全治胎盤を引き起こす割合が高まると言われています。また産後には子宮頸がんなどの発がんリスクが増加する可能性もあります。 喫煙が、お腹の赤ちゃんに与える影響とは 妊娠期間中の喫煙はママの身体だけでなく、お腹の赤ちゃんにも悪影響を及ぼす場合があります。赤ちゃんにさまざまな発育不良が起き低体重児となったり、ママには、子宮内の羊水量が少なくなったり、流産や早産のリスクが高まったりなど、妊娠の継続自体が危ぶまれる可能性があります。 また赤ちゃんが生まれた後にもさまざまな疾患の原因になる可能性があるうえ、乳幼児突然死症候群(SIDS)で命を落とすリスクが高まります。 ・赤ちゃんの発育不良 喫煙で全身の血管が収縮することでママの体の血流が悪くなり、お腹の赤ちゃんに届けられる栄養素が不足しやすくなります。喫煙すると体内に入り込む一酸化炭素が、血液中の酸素を運ぶはたらき持つヘモグロビンと結合し赤ちゃんに酸素が届きづらくなります。 ・胎盤の機能が低下 子宮などの血流が悪くなることで胎盤機能が低下し、流産や早産が起きる可能性が高まります。 ・赤ちゃんに疾患が引き起こされる可能性 ぜんそくや中耳炎、気管支炎、肺炎など呼吸器系、循環器系の疾患や障がいを引き起こしたりする可能性があります。 ・低出生体重児 低出生体重児の多くは妊娠22〜37週未満の早産で生まれた赤ちゃんですが、喫煙者の場合は妊娠期間が十分であっても低体重となる場合があります。 産後の喫煙が、赤ちゃんに与える影響とは 産後のママの喫煙は、先に述べたように、タバコを吸っていない人や子どもにタバコ自体から出る煙や喫煙者が吐いた煙を近くの人が吸ってしまう受動喫煙を引き起こします。身体が未発達な赤ちゃんは、この受動喫煙やサードハンドスモークの影響を強く受け、呼吸器や循環器の疾患発生など健康被害を引き起こす可能性が高まります。 また、喫煙を行うと、授乳中のママの母乳にニコチンが混ざります。母乳中のニコチン濃度は母親の血液中の濃度より1.5~3倍ほどになるといわれ、この母乳を摂取した赤ちゃんは急性ニコチン中毒(不機嫌、眠らない、嘔吐や下痢など)を起こしやすくなります。加えて、母乳の分泌量や脂肪分の減少も指摘されており、喫煙は母乳の質も量も落としてしまうと言われています。 乳幼児突然死症候群とは 乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、それまで何の問題もなく健康だった赤ちゃんが、眠っている間に突然死亡してしまう病気のことです。詳しい原因はまだ解明されていませんが、喫煙者のいる家庭ではこの乳幼児突然死症候群のリスクが大きく上昇するという報告があります。 とくに両親とも喫煙する家庭であれば、両親が非喫煙者の家庭に比べて約4.7倍の発症リスクがあるとも言われていますので、パパ、ママともに禁煙を徹底したほうがよいでしょう。 (※1) (※1) 平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」より
2016年04月04日早産とは 赤ちゃんの発育が十分に確認でき、安心してお産できる妊娠37週0日~41週6日にお産することを正期産と呼びます。早産は妊娠22週0日~36週6日の早産期にお産することを指しますが、その期間中での赤ちゃんの発育は十分でないことから、医師の診断により、早産しないよう対処がなされます。 早産は、赤ちゃんが先天的および後天的に障がいなどを抱える可能性が高くなり、健康への負担も増すと言われているためです。 早産となる主な理由は、早産の危険性がある切迫早産の診断ができなかったり、早産傾向があるにもかかわらず対応が遅れたりしたままお産準備を迎えてしまうことです。以下のような原因で切迫早産と診断された場合は、健診医や分娩医の指示にすみやかに従いましょう。 ・ 早産経験がある 過去に早産経験があったり、切迫早産の診断を受けたことがある人は、切迫早産になりやすい傾向があります。 ・ 母体に負担がかかりやすい環境にいる 慢性的な疲労がある、常に強いストレスがかかっている、喫煙経験があったり妊娠中でも喫煙している、妊娠中でも長時間働いている、双子など多胎妊娠であるなど。心身に負担がかかりやすい環境にいる人は、切迫早産を引きおこす場合があります。子宮収縮が著しい子宮収縮は、母体にかかる刺激や負担による緊張から起きます。回数や強さなどが著しい場合、早産傾向が強まると言われています。 ・ 絨毛膜羊膜炎などの感染症にかかっている 赤ちゃんを包む羊膜が感染して発症する病気です。切迫早産を引き起こしやすくなると言われています。 ・ 子宮に異常がある 子宮頸管無力症や子宮筋腫、子宮奇形など子宮自体に異常が起きている場合、切迫早産を引き起こしやすくなると言われています。 早産は、いつからいつまでになりやすいの? 妊娠22週~36週末の間のお産を早産と呼びます。例えば妊娠22週の早産で産まれた赤ちゃんの体重は、出生児の平均の1/6程度の約500gで、発育が不十分な状態です。低血糖や無呼吸発作が起きやすく、十分に成長するまでNICU(新生児集中治療室)へ長期間入院することとなります。 また胎児成人病発症説によると、小さく産まれた赤ちゃんほど倹約遺伝子の働きで常に飢餓状態であり、摂取した栄養素をすべて蓄える傾向にあるため、将来的に生活習慣病を発症する可能性が高いと言われています。ママの心と体の栄養状態が悪いと、先天的ではなく、後天的に、子どもに症状が出る可能性があるのです。 また正常な正期産間近である妊娠34週以降の早産であっても、お産が早まるほどに、呼吸障害などが長期的に残る可能性があります。 (※1) 早産の症状 妊娠22週~36週末の早産期に、お腹が張るような子宮収縮が10~15分間隔以内に起こったり、不正出血や破水(羊水が流れ出ている状態)といった症状が見られるなら早産しかかっている可能性があります。 また、安静にしているにも関わらず、下腹部や背中に持続的に強い痛みがある場合、子宮収縮の影響により早産しかかっている可能性があるため注意が必要です。 ごくまれに、特に痛みに耐性がある人の場合は、子宮口が開き始めていることに気づかないケースもあります。いつもと違った痛みや症状がある場合は、早めに分娩医に相談しましょう。 診断の仕方と、診断後の生活について 主に妊婦健康診断時に、子宮口の開きや、破水または不正出血があるかを調べ、健診医及び分娩医が診断します。お腹が張ると子宮頸管がじょじょに短くなるため、長さがどれくらいかを経膣超音波断層法で調べることもあります。早産のリスクが発生した切迫早産と診断された時点で、在胎週数を伸ばすための安静入院または自宅療養が薦められ、お腹の張りを和らげる効果のある薬を処方されることもあります。家事や外出は控え、働いている場合も職場へ相談し、健診医及び分娩医の許可が下りるまではお休みをするなど安静第一に過ごしましょう。健診医及び分娩医からの指導を職場へ伝える方法として、母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)などの利用も検討するとよいでしょう。 また万が一のお産リスクに備え、NICUのある総合病院か連携クリニックへの転院をすすめられる場合もあります。 普段から注意することとは 受動喫煙を含む喫煙を避け、長時間の重労働や移動は避けましょう。ママの心と体に負担をかけないことが一番の早産予防です。健診施設または分娩施設の妊婦健康診断をきちんと受け、早期診断に対処ができる環境を整えておきましょう。 厚生労働省「平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要) P2
2016年04月04日前置胎盤(ぜんちたいばん)とは ママから赤ちゃんへ血液・酸素・栄養を送るための重要な組織が胎盤です。胎盤は、受精卵が子宮体部へ着床した後、ホルモンの働きかけにより妊娠16週ごろまでにかけて作られます。その際、通常より低い位置に胎盤が作られることを前置胎盤と言います。 前置胎盤は妊婦さん全体の約0.3~0.6%に発生すると言われ、胎盤そのものが子宮の出口(内子宮口)の一部または全体を覆ってしまう状態のことを指します。子宮出口がふさがれると赤ちゃんが産道に辿り着きづらく、自然分娩が難しくなります。そのため、前置胎盤の診断を下された妊婦さんの多くが帝王切開でのお産になると言われています。 前置胎盤の原因はまだ明らかになっていません。ただし流産や人工妊娠中絶、帝王切開などの子宮手術によって子宮の内膜に傷や炎症などの損傷がある場合、前置胎盤を引き起こしやすくなると考えられています。 また、高齢妊娠 、双子など多胎妊娠である妊婦にも全治胎盤が引き起こされやすい傾向がみられると言われます。さらに、喫煙もハイリスクです。受精卵着床時の喫煙だけでなく、過去の喫煙経験も、血流低下から子宮内膜萎縮につながり受精卵の正常な着床を妨げるため、前置胎盤の原因になる可能性は高いと指摘されています。 前置胎盤は、いつからいつまでにかかりやすいの? 前置胎盤は、お腹が張りやすくなる妊娠28週以降に判別しやすくなり、31週末までに診断がつくと言われています。胎盤自体は、それ以前の妊娠初期や中期であっても超音波検査で確認することができますが、子宮の増大や伸張によって位置が変化するために正確な診断はつきません。 例えば、妊娠早期に診断された場合でも、妊娠後期に至るまでに胎盤の位置が動く可能性があるため、前置胎盤でなくなる場合があるからです。そのため異変の兆候があったとしても、妊娠28週以前では“前置胎盤疑い”といった診断に留まることが多いでしょう。 前置胎盤の症状 前置胎盤は一般的には自覚がなく、症状も感じられないと言われています。しかし前置胎盤にはいくつかの区別があり、状態によって症状の度合いも変わります。 ・ 全前置胎盤(ぜんぜんちたいばん) 胎盤が完全に内子宮口を覆っており、お産時に大きなリスクがあると考えられます。 ・ 部分前置胎盤(ぶぶんぜんちたいばん) 胎盤が内子宮口の一部(2cm未満)を覆っている状態です。 ・ 辺縁前置胎盤(へんえんぜんちたいばん) 胎盤の端が内子宮口の辺縁(0cm未満)を覆っている状態です。 最もハイリスクである全前置胎盤では、腹痛の伴わない性器出血が徐々に増えたり、大量に出血したりといった症状が出る可能性があります。また、胎盤が子宮筋層に付着した癒着胎盤などの合併症を起こしている危険性もあるため、症状を感じた場合はすぐに健診医または分娩医を受診しましょう。 診断の仕方と、診断後の生活について 前置胎盤の診断と分類は、経腟超音波検査(エコー)を用いて行います。胎盤が内子宮を覆っているかどうかをチェックするため、子宮の内と外を結ぶ子宮頸管を検出し、内子宮口の状態を検査します。子宮が収縮している場合は、前置胎盤でなくても“該当あり”と誤診される可能性があるため、場合によっては超音波だけでなくMRI検査(X線を使わず、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査)を行います。 前置胎盤と診断されたら、まずは安静を第一に考え、無理な運動や性交渉は控えましょう。また、出血症状がある場合は即入院となり、お腹が張らないように子宮収縮抑制剤を投与します。貧血を起こすほど出血がある場合は、鉄剤などの内服で改善処置を行います。 それでも出血症状が続いたり妊娠36週を超えたりした場合、自己血液の貯血など十分な輸血準備をしたうえで、帝王切開によるお産を行います。 前置胎盤と診断されても目立った出血がない場合は、安静後、妊娠36週以降に予定帝王切開を行います。突然の出血がある可能性も考慮し、緊急帝王切開にも対応できる麻酔科やNICUのある総合病院・大学病院など、各機関と連携がある分娩施設でのお産が望ましいでしょう。 普段から注意することとは 前置胎盤の発症メカニズムは、現代医学でも解明されていません。そのため決まった予防法はありませんが、有害物質による害や血流の低下を招く喫煙や、受動喫煙を避けましょう。またママと赤ちゃんの健康状態に影響を及ぼすアルコールの飲酒も控え、健やかな生活を送るように心がけましょう。 前置胎盤はいずれも発症してからの対応となりますが、過去に流産や人工妊娠中絶など子宮手術を経験している方は、あらかじめ健診医または分娩医に相談しておくと万が一の対応もスムーズです。不安を減らし、安心してお産に挑める準備を整えておきましょう。
2016年04月04日頻尿は、一般的に起床時~就寝までの排尿回数が8回以上である場合を指す症状です。一つの目安であり、その日の水分摂取量や活動量などでも個人差があります。 妊娠後期の頻尿はいつからいつまでになるの? 妊娠中のすべての期間を通して、頻尿症状を感じるママが多いと言われています。いずれもお腹の赤ちゃんの成長に伴う理由が原因とされ、産後には解消されるケースがほとんどです。 妊娠後期の頻尿が現れる時期とは 妊娠時は、胎児に送るために通常より多くの血液を必要とします。 妊娠初期は、心臓で作られた血液や体液をろ過する役割を担う腎臓のはたらきが活発化するため、頻尿につながると言われています。 妊娠16~24週頃には、ママの体内で作られる血液量が最大となります。血液が腎臓でろ過される際、原尿と呼ばれる尿の元になるものがあるため、頻尿が起こりやすくなります。 妊娠32週以降は、お腹の中で約2000gにまで成長した赤ちゃんにより子宮が徐々に持ち上がります。子宮が膀胱を圧迫することで、少しでも尿がたまると尿意を感じやすくなり頻尿症状として現れます。 注意が必要な妊娠中の頻尿の回数と、痛みの種類 妊娠期間中の頻尿は、主に妊娠による生理現象のため治療の必要はありません。まれに排尿を我慢することで感染症を引き起こしたり、尿路の感染や炎症が原因となり頻尿症状が現れる可能性があります。 尿路感染による感染症は、直接赤ちゃんへの影響はなく、早期治療すれば妊娠に影響がない場合がほとんどです。しかし、重篤化すると炎症によって子宮が収縮し、早産や流産になりかねません。感染による症状を感じる場合は、早めに健診医または分娩医に相談しましょう。 ・膀胱炎(ぼうこうえん) 頻尿に加え、排尿時にピリッとした痛みがある、残尿感がある、尿の色が赤いなどといった場合は膀胱炎の疑いがあります。 普段は排尿によって尿道に存在する細菌も洗い流されますが、妊娠中は抵抗力が低下しているため、感染しやすくなっていることが原因です。 ・腎盂炎(じんうえん) 膀胱炎が悪化すると、膀胱から尿管・腎臓へと細菌が上行し、腎盂炎を発症します。 酷い残尿感、出血、悪寒や震え、腰痛などの症状に伴い38~40度の高熱が出ます。多くの場合は入院しての治療が必要です。 妊娠後期の頻尿対策と感染症予防 妊娠中のすべての期間において、排尿を我慢しないことが一番の予防になります。尿意を感じたら、できる限りすぐにトイレに行きましょう。 ・排尿して細菌を洗い流す 女性の体は、尿道と膣、肛門が近くにあることから細菌が入りやすい構造をしています。尿路に存在する細菌は、排尿で洗い流しましょう。こまめに水分補給を行い、尿の回数を増やすことも効果的です。 ・外陰部を清潔に保つ おりものシートなどを使用している場合はこまめに交換したり、排便時は膣周辺に触れないようお尻を前から後ろに拭くなどの工夫をしたり、患部を清潔を保つように心がけましょう。 性行為によって膀胱炎になるケースもあるため、その場合は自分だけではなく、行為前にパパの体も清潔に保つように話し合いましょう。 ・体を温める 冷えなどの理由で膀胱内の粘膜が32℃以下になると、細菌が繁殖・感染しやすい環境になります。夏でも温かい飲み物を飲む、お風呂にゆっくり浸かるなど、日頃の生活から体を温める工夫をしましょう。
2016年04月04日神経痛ってなに? 妊娠期間中に、腰から太ももにかけてしびれを感じたり、心臓の周りにピリッとした痛みが出たりするといった症状が現れることがあります。そういった痛みやしびれは、神経痛の可能性があります。 神経痛とは、病名ではなく症状そのものを指します。全身に張り巡らされている運動や感覚を伝えるための連絡網である末梢神経が、なんらかの原因で刺激を受けることによって、痛みやしびれといった症状として現れます。 ・ 妊娠による、ホルモンや体型の変化 ママの体内では妊娠初期から、卵巣や子宮、胎盤などからリラキシンというホルモンを分泌します。リラキシンには、出産に向けて赤ちゃんが狭い骨盤を通れるようにするため、骨盤などの関節や周辺のじん帯をゆるめる作用があります。骨盤が緩むことで体を支える力が弱くなり、背骨などにもゆがみが生じます。 また、妊娠後期は胎内でどんどん大きくなる赤ちゃんによって、ママの重心や姿勢の変化にともない、骨や関節の位置がずれやすくなります。これらの理由から、おしりや下肢に伸びる神経が圧迫され、痛みやしびれなどといった症状が引き起こされます。 ・ 血行不良による冷え 赤ちゃんが胎内で成長すると共に、子宮は大きくなります。このことで、お腹や骨盤内の血管が圧迫され、下半身に冷えやむくみが起きやすくなります。これが痛みに対する感受性を高めてしまい、神経痛の発症を促したり、すでに症状がある場合は悪化させたりする原因の一つとなります。 ・ ストレスや不安 妊娠による生活面での制限や体型の変化は、ママの心の戸惑いをはじめ、親になるための不安やプレッシャーなどストレスの要因になることが多く、精神的な負担が増えます。これらのストレスも冷えと同様に、神経痛の発症を促したり、すでに症状がある場合は悪化させたりする原因の一つとなります。 妊娠後期の神経痛はいつからいつまでになるの? 妊娠28週以降は体型の変化や血行不良といった理由から、神経痛を感じ始めるママも多いようです。出産することで治る人もいますが、骨盤や筋肉は長期間同じ状態でいることで固定されてしまうために慢性化し、出産後も続く可能性があります。神経痛の症状が現れたら、妊娠中に放置しないことが大切です。 神経痛が現れる妊娠時期とは 骨盤をゆるませ神経痛の一因となるリラキシンの分泌は妊娠2ヶ月頃から起こります。またママが妊娠初期に感じる精神面の不安やストレスなども加わり、妊娠4週~15週頃という早い時期から発症する場合があります。 お腹の赤ちゃんが成長し、子宮が大きくなることでママの体内の臓器が神経を圧迫することで起きる神経痛に関しては、妊娠中期~後期にわたり症状が現れる場合があります。 神経痛の種類と、痛みやすい場所は? 妊娠期間中に発症しやすい神経痛には、座骨神経痛と肋間神経痛があります。 ・ 座骨(坐骨)神経痛(ざこつしんけいつう) お腹が大きくなることで姿勢の変化や重心の変化が起こります。座骨神経が圧迫されたり刺激されたりし、お尻や太ももの後ろやすね、足先などに痛みやしびれが現れます。また腰痛を放置しすぎると、悪化して座骨神経痛につながることもあります。 ・ 肋間神経痛(ろっかんしんけいつう) 妊娠によるストレスで筋肉が緊張したり、子宮が大きくなったりすることで内臓が内肋間神経を圧迫します。それに伴い、肋間(肋骨と肋骨の間)周りに痛みやしびれを引き起こすことがあります。 妊娠後期の神経痛予防と対策 神経痛の痛みは独特で、痛みの頻度は天気や気温に左右されることがあります。痛みの強さによっては眠れないこともあるため、あらかじめ予防対策を行うことが大切です。 ・ 心の安静を保つ 妊娠期間中の生活は制限しなければならないことも多く、ストレスを感じやすくなります。またママの体内で分泌される流産を防ぐはたらきを行うプロゲステロンというホルモンは、気分の落ち込みやイライラなどを引き起こします。 落ち込みやイライラを感じたら気分転換を行ったり、体そのものを休めるなど、気持ちの切り替えをこまめに行いましょう。 ・ 体を温める 血行が良くなることで、冷えの原因となるストレスをやわらげることができます。湯船にお湯を張って入浴したり、足湯などの時間を設けたりして、しっかりと体を温めましょう。 ・ 就寝時の体位を工夫する 仰向けの状態で寝ると、腰やおしりの筋肉が座骨神経を圧迫することになります。下半身に痛みやしびれを感じるママは抱き枕などを利用し、横向きで体を曲げた体勢で眠りにつきましょう。体の重みを分散させることで、神経への刺激をやわらげることができます。 ・ 簡単なストレッチをする お腹に負担がかからず、無理なく行えるストレッチを行い、筋肉の緊張をほぐしましょう。腰椎椎間板ヘルニアがある方や、切迫早産と診断されている方の運動はママとおなかの赤ちゃんの健康に影響が出る可能性があります。必ず、健診医または分娩医に相談の上行いましょう。
2016年04月04日腰痛はすべての妊娠期において、多くの妊婦さんが経験すると言われています。原因は妊娠による体の変化や、お腹の赤ちゃんの成長によるものがほとんどです。 ・ 体形や姿勢の変化 妊婦さん個人への体重指導の内容にもよりますが、妊娠すると臨月までに約7~12kg前後体重が増える傾向があります。体重が増加することで体の重心が前に移動し、背骨を反らせ、お腹を突き出した姿勢となり、腰への負担が大きくなるために起こります。 ・ 下半身の血行不良 胎内の赤ちゃんが成長し大きくなった子宮が、お腹や骨盤内で血管を圧迫するようになり、血行不良になりやすくなります。血流が悪くなることで腰や足などが冷え、むくみや痛みなどが発生するために起こります。 ・ ホルモンの作用 妊娠初期から、ママの体内では卵巣や子宮、胎盤などからリラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンは妊娠していなくても生理期間中前後に分泌されますが、生理期間中前後または妊娠中どちらでも、骨盤を開きやすくするはたらきがあります。 妊娠期間中では、お産に備えて赤ちゃんが狭い骨盤を通れるようにするために分泌がなされ、そのはたらきにより骨盤が体を支える力が弱まるため、腰や背中へ負担がかかり、痛みが発生すると考えられています。 妊娠後期の腰痛はいつからいつまで続くの? 妊娠後期に入ると赤ちゃんの成長も進み、お腹の大きさそのものが目立ってきます。このため妊娠28週~32週頃には、体形の変化や下半身の血行不良が関係する腰痛に悩むママも増加するようです。 お産と同時に治る人もいますが、約1割のママが産後も腰の痛みを訴え、数年にわたって症状が続く場合もあります。 またリラキシンのはたらきによる骨盤のゆるみの影響で、産後も腰痛が起きやすくなるケースもあります。 妊娠中、腰痛が現れる時期はいつ? 妊娠する前から腰痛が出やすい姿勢であったかどうかにも関係しますが、妊娠中は、初期からリラキシンの分泌が始まります。そのため、妊娠4週~15週頃の早い時期から腰痛が起き、分泌が減少する20週以降に消えていく傾向があると言われます。 赤ちゃんの成長に伴い、お腹が大きくなることを原因とした体形の変化による腰痛は、お産直前まで続くことが多いようです。 妊娠中の腰痛発症時に注意したいこと 妊娠症状における腰痛は、あらかじめ、腰回りの筋肉がついているかどうかで痛みの強さが異なります。立つときも座るときも良い姿勢を心掛けたり、同じ姿勢をとり続けないようにするなどのほか、負担のかからない範囲で軽いストレッチを行うことも効果的です。 症状がひどい場合でも、自己判断で市販薬の利用することは控えましょう。妊婦さんが市販薬を服用または使用するには、市販薬に含まれている薬の成分(痛み止めや、非ステロイド性抗炎症薬と分類される薬の成分(アスピリン、アセチルサリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウムなど))について、飲み薬と同様、外皮薬の使用にも注意が必要なことがあります。 これらの成分は、胎内の赤ちゃんに届き発育に影響を及ぼす可能性がありものもあります。赤ちゃんの心臓の近くにあり、胎児の血液を全身へ送る通り道として重要な役割を持つ動脈管と呼ばれる血管が収縮したり、閉鎖したりする可能性があるためです。そのため、脈が遅くなる不整脈や、羊水が少なくなる羊水過少などという症状が引き起こされる場合もあります。 市販薬を使用する前に健診医や分娩医に相談し、妊婦さんでも使用できる薬を処方してもらいましょう。 妊娠後期の腰痛予防と対策 妊娠中の腰痛はつきものですが、ひどい症状の場合、慢性化する恐れがあります。腰痛の原因を知り、しっかりと予防や対策をしておくことが大切です ・ 運動をする 体を動かすことはストレスの発散、体力の維持、血液循環の回復につながり痛みが緩和されます。また、妊娠前からの体作りは腰痛予防はもちろん、健やかな妊娠生活のために良いとされています。 妊娠中であれば、マタニティスイミングや散歩、ストレッチなど腰に負担が少ない運動がオススメです。しかし、切迫早産などの診断をされている方は注意が必要ですので、必ず、健診医や分娩医に確認しましょう。 ・ 体重管理を行う 急激な体重増加は、腰への負担はもちろん、お腹の赤ちゃんの健康やママの妊娠生活にも影響がある場合があります。健診医や分娩医が妊婦さん一人一人に指導する適正な体重指導に基づき、健やかな食生活を送りましょう。 ・ 腹帯やマタニティーガードルを使う お腹を支えることによって、腰へかかる負担を減らすことができます。巻く位置や使い方は助産師からの指導が必要な場合もあるので、使用前には助産師や健診医、分娩医に相談しましょう。 ・ 体を温める 体調により、シャワーだけではなく、ぬるめのお湯を張った湯船に浸かってゆっくり入浴したり、夏でもできるだけ温かい飲み物を摂るなど、体全体を温めましょう。温まることで血流がよくなり、腰痛の痛みが改善されることがあります。
2016年04月04日妊娠初期のママの体に現れる妊娠症状は、微熱や倦怠感など風邪によく似ているため薬を飲もうと考える人もいるでしょう。妊娠していることに気づかずに、体調を整えるために既に薬を飲んだ人もいるかもしれません。 内服薬の場合、胃または腸から肝臓を経て血管に吸収され、薬の成分が血管中にある間に効果として体に作用し、肝臓や腎臓で代謝されて他の物質となり便や尿として排出されます。排出までにかかる期間は個人差がありますが、そもそも、成分のほとんどは体内に残りません。 ママとお腹の赤ちゃんをつなぐ胎盤がまだない妊娠初期は、赤ちゃんの体を流れる血液はママの血液と同じです。ママが薬を飲んだ際に血液中にある薬の成分も赤ちゃんの体内をめぐることになりますが、通常の生活における範囲内での体調整備のため一般的に市販されている市販薬を用法・用量どおりに短期間服用した程度であれば、お腹の赤ちゃんの成長へ影響を及ぼすことはありません。期間に関しては、薬の説明書に記載されている「その薬を服用して症状が治まらなければ病院へ」と書かれている期間を目安にしてください(通常は3日程度)。 また過去の様々なデータから、薬の成分の影響によって赤ちゃんが奇形になったり、妊娠に影響が出たりする例は極めてまれだと考えられています。 妊娠4か月目の14週~16週頃に胎盤が完成するとお互いの血液が混ざり合わないようになり、胎盤に備わっているフィルター機能のはたらきで薬の成分の侵入が制限されるようになります。ただし分子の小さい成分は胎盤を通過するので赤ちゃんの体内に入る可能性もありますが、とは言え、薬を服用する際には必ず健診医や分娩医に相談しましょう。 外服薬の場合は、皮膚の表面や粘膜から患部だけに直接作用するためお腹の赤ちゃんへの影響はありませんが、同様に、使用前に健診医や分娩医に相談しましょう。 また、風邪や生理痛などの通常の生活における範囲内で体調を整えるため、妊娠前から市販薬を飲んでいるケースでも、飲んだ薬の成分がお腹の赤ちゃんの成長に関係することはありません。 飲んでも問題がない市販薬 通常の生活における範囲内で体調を整えるため、薬局やドラッグストアで購入できる一般的な風邪薬や頭痛薬、胃腸薬などは、お腹の赤ちゃんへの影響を心配するようなものはないと言われています。また、目薬や塗り薬などの外服薬も同様です。 風邪をひいて病院にかかった際、医師の診断の下に処方される咳止め、抗生物質などについても、お腹の赤ちゃんの成長に影響を及ぼすものではないと言われています。 ・内服薬 カプセル剤、錠剤、散剤や顆粒剤などの粉薬、液剤やシロップ剤などの液体の薬など。 ・外用薬 軟膏、湿布、外用液剤、坐薬、目薬、消毒薬、吸入剤、トローチ、口腔用スプレー材、うがい薬、点鼻薬、点耳など。 避けたほうが良い市販薬 妊娠期間中に飲むのを避けたほうが良い成分が含まれている薬は、市販にはほとんどありません。ですが病院で処方される薬に含まれている一部の成分には、お腹の赤ちゃんの体の一部が奇形(催奇形性)となる可能性があるものがまれにあります。 また、ぜんそくなどの持病を持つママの場合、健診医に治療中である旨を知らせ、相談をしましょう。持病の治療薬に関しては、妊娠中でも使用するほうが良いと考えられているものもありますが、治療薬に含まれる一部の成分には体内に長く残るなど、妊娠中のママは使用しないほうがよいものもあるためです。また自己判断で治療を中断すると、かえってママと赤ちゃんの体に危険を及ぼす可能性があります。まず健診医に相談しましょう。 ・風しん生ワクチン(※1)(※2) 妊娠初期のママが風しんにかかると、お腹の赤ちゃんに難聴や視力障害、心臓疾患、知的障害をもたらす先天性風疹症候群を起こす可能性があります。 妊娠が分かる前に予防接種を行うことが大切ですが、風しんの予防接種は生ワクチン(注1)で行うため予防接種後に妊娠していたことが分かるケースもあります。その場合は赤ちゃんに先天性風疹症候群にかかる可能性がありますが、過去に蓄積されたデータによると、障害児の出生は1 例もないので、妊娠を中断する理由にはならないとされています。 また風しんの予防接種を行っておらず風疹の抗体価が低いママは、家族の予防接種を行いママ自身が感染する可能性を減らすなど、妊娠期間中に風しんにかからないよう注意しましょう。 (注1…弱毒化しているが生きている細菌やウイルスを体内に注射し、その病気にかかった時と同じように体内の免疫(抵抗力)をつける予防接種の手法) ・体内に長く残る成分が含まれる薬 エトレチナート(角化治療薬)、金チオリンゴ酸ナトリウム(抗慢性関節リウマチ薬)、イソトレチノイン(ニキビ治療薬)など、体内に長く残る成分が含まれる薬は服薬を避けましょう。医師からの処方の元使用している場合は、使用中止後に、一定期間の避妊を申し付けられます。 ・解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬) 妊娠初期も含むすべての期において、赤ちゃんの健康や妊娠状態に影響を与える恐れがあると考えられています。 ・禁煙補助剤 禁煙するためのサポートとして使用する禁煙補助剤にはニコチンが含まれており、ニコチンはお腹の赤ちゃんの発育や将来の健康に影響を及ぼし、心臓や循環器の疾患を引き起こす可能性があります。妊娠期間中はもちろん、授乳中のママの使用も避けましょう。 妊娠初期に、すでに市販の薬を飲んでしまったら? 妊娠期間中に飲むのを避けたほうが良い成分が含まれている薬は、市販にはほとんどありません。通常の生活における範囲内で体調を整えるためであれば問題はありませんが、医学は日々進歩しており、これまでに問題がないと考えられてきた成分が、念のために注意すべき対象になるなど新たな情報が公開されることがあります。 体調を整える以外の目的での薬の使用はできる限り避け、どうしても必要な場合は、服用前に必ず健診医や分娩医に相談しましょう。 (※1) 厚生労働省 風しんについて (※2) 国立感染症研究所
2016年04月04日切迫早産は、早産になりかけている状態を指します。子宮の収縮が頻繁に起きることで子宮口が開きかけ、赤ちゃんの充分な成長を待たずに出産しかけていたり、子宮内で赤ちゃんを包んでいる羊膜が破れる破水が起きてしまったりなど、早い段階で出産につながる可能性がある状態です。 早産は妊娠22週0日~36週6日の早産期に出産することを指しますが、切迫早産の場合、早産を引き起こす可能性がある状態であるため、治療によって食い止めることができます。切迫早産と診断された場合、入院または自宅にて安静状態となります。働いているママの場合も同様です。 切迫流産とは 切迫流産は、流産になりかけている状態を指します。 流産は妊娠初期から妊娠22週までに妊娠が継続できなくなることを指しますが、切迫流産の場合、流産を引き起こす可能性がある状態であるため、実際には流産の可能性が低くても、症状が見られれば切迫流産と呼びます。 切迫流産と診断された場合、入院または自宅にて安静状態となります。働いているママの場合も同様です。 妊娠中期の切迫早産 妊娠初期において切迫早産は起きやすく、多くの妊婦さんが経験すると言われています。下腹部の痛みやお腹の張りが見られますが、症状が現れた場合は、安静にして下腹部の痛みや張りが収まるのを待ちましょう。 症状がたびたび起こる場合は、妊婦健診時に健診医に相談しましょう。切迫早産と診断された場合、子宮の下部にあって子宮の外側と内側を結ぶ子宮経管が短くなっていることがあります。 赤ちゃんは、分娩時に子宮頚管(子宮の下部にある子宮の内側の口と外側の口(内子宮口と外子宮口)を結ぶ管)を通って産まれてきますが、これは産道とも呼ばれます。子宮頚管は、たびたびお腹が張る、つまり子宮が収縮する回数が多いと短くなる傾向があります。通常は臨月に入るころに徐々に短くなりますが、体質的に子宮頚管が短かったり、細菌感染による子宮頚管無力症にかかったりなどして長さが充分ではない場合、まだお産には早い時期にもかかわらず子宮頚管が短くなります。そのほか、多胎妊娠や妊娠中毒症、膣炎を起こしている場合や子宮筋腫などの合併症を起こしている場合にも、子宮頚管が短くなる傾向が高まります。一度短くなった子宮頚管は、元には戻りません。 子宮頚管が短くなるとやがて子宮口が開き、赤ちゃんの成長が充分でなくてもママの体が出産体制に入るため、治療を行います。 子宮頚管無力症の場合、子宮口を縛る手術お行いますが、妊娠中毒症や膣炎、子宮筋腫などの合併症の場合も、治療を行いながら子宮頚管が短くならないよう適切な処置を行います。 切迫早産の進行度に応じて、服薬や点滴で子宮収縮抑制剤を使用し、子宮の収縮を抑えることもあります。 妊娠初期の切迫流産 妊娠初期において切迫流産は起きやすく、多くの妊婦さんが経験すると言われています。下腹部の痛みや出血、お腹の張りが見られますが、症状が現れた場合は、安静にして下腹部の痛みや張りが収まるのを待ちましょう。 症状がたびたび起こる場合は、妊婦健診時に健診医に相談しましょう。切迫流産と診断された場合でも、健診医の指導を守ることで、その後の妊娠経過や赤ちゃんの発育も順調となります。 切迫流産の進行度に応じて、服薬や点滴で子宮収縮抑制剤を使用したり、止血剤を投与したりして、症状の進行を抑えます。 実際に流産となる原因は、主にお腹の赤ちゃんに原因があり、染色体異常や遺伝子病などが発生したため、自然に淘汰されるものであると考えられています。 妊娠初期はママの体も赤ちゃんの状態も不安定であり、切迫流産ではない場合でも、不正出血が見られる場合があります。子宮内のトラブルを示すサインである可能性があるため、少量でも自己判断せず、健診医に相談しましょう。 切迫流産、切迫早産の薬について 切迫流産は病気ではなく、治療を行うものではないため、健診機関や分娩機関を受診しても経過観察になります。 同様に切迫早産も病気ではありませんが、赤ちゃんの成長が充分ではないのに子宮口が開くなど出産準備が進むことのないよう、また、子宮頸管の長さに配慮しながら、適切な処置を行います。 いずれも服薬や点滴で子宮収縮を抑える子宮収縮抑制剤を用い、子宮の収縮を抑える治療が行われることがあります。 切迫流産も切迫早産も、臨月前の過度な子宮の収縮を抑え、安静状態にすることが一番大切な予防法となります。心身にストレスがかかりすぎないよう健やかな妊娠生活を心掛けましょう。
2016年04月04日妊娠初期の胸の張りってなに? 生理時に、人によっては胸の張りを感じることがありますが、妊娠初期にも同じように胸が張ることがあります。生理が予定日通り来ておらず、胸の張りが続いているようであれば、妊娠初期にみられる胸の張りである可能性があります。 ・胸全体が張った感じがする ・胸にチリチリ、ムズムズといった感覚がある ・乳首の周りに違和感を感じる ・乳首が衣服などに触れると痛みを感じる ・乳首や乳房にかゆみを感じる 妊娠時の胸の張りは生理時に感じられるものより強い傾向がありますが、(削除)ほとんど感じられない場合もあります。また、1人目の妊娠と2人目の妊娠とで症状の度合いが異なることもあり、症状のあらわれ方にはかなり個人差があります。 妊娠初期に胸の張りを感じる時期とは 胸の張りは、早い人であれば着床後すぐの妊娠0週目(生理予定日の1週間前)頃から感じることもあるようです。症状は妊娠初期の間しばらく続き、つわりが軽くなると同時に症状が落ち着く人が多いと言われています。 妊娠後期でも出産に向けて再び胸の張りが感じられるようになりますが、妊娠期間中ずっと胸の張りが続くという人もいます。 妊娠初期に胸が張る原因 妊娠初期の胸の張りには、さまざまなホルモンの活動が影響しています。 妊娠初期には子宮の発達を促すために卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。この卵胞ホルモンには乳腺組織や乳管を活性化させる作用があり、これが胸の張りを生じさせます。加えて、基礎体温を高め子宮内膜を維持するために黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されますが、黄体ホルモンにも乳腺組織を活性化させる作用があり、この時卵胞ホルモンのほうが相対的に黄体ホルモンより過剰に分泌された際に、張りや痛みを感じる原因になるといわれています。 妊娠初期に胸が張ったら注意すること 妊娠初期に起こる胸の痛みは、妊娠のために必要な身体の変化の一環として生じるものであり、その症状が続くことで別の疾患や病気を引き起こす心配はありません。 ただし、胸の張り以外にしこりを発見したり、乳首から出血がみられたりするような場合は、乳腺症や乳腺線維腺腫、乳ガンなど別の要因が考えられます。速やかに産婦人科を受診しましょう。 妊娠初期に胸の張りを感じた時の、予防と対策 妊娠初期の胸の張りを予防する方法は特にありませんが、症状がストレスになってママとお腹の赤ちゃんにストレスがかかる可能性も考慮し、不快な症状を緩和させられるように対策をしましょう。 ・アンダーウェア、下着 胸や肌への刺激が少ないものを選びましょう。なるべく締め付け感が少ないもの、ワイヤー素材のないものやマタニティ専用ブラジャーなどがおすすめです。 ・胸の保湿ケア 胸周りの肌の乾燥が、かゆみや痛みなどとなって症状を悪化させてしまう可能性があります。肌の状態に合わせ、お風呂上がりにボディ用の保湿クリームを塗るとよいでしょう。 ・入浴時の洗い方 乳房や乳頭部分はデリケートであり、刺激を与えると胸の痛みをさらに強くしてしまう可能性もあります。お風呂で胸を洗う際には、柔らかめのタオルか手で軽く洗うようにしましょう。 ・胸を温めすぎない 妊娠中の身体は温めることをおすすめしますが、胸の張りがつらいときは入浴時のお風呂の温度をぬるめにし、胸を温めすぎないようにしましょう。 痛みが強すぎる場合は冷たいタオルなどで胸全体をアイシングすると痛みが和らぎますが、必要以上に冷やすことは血流を滞らせる原因となるため、状態をみながら行いましょう。
2016年04月04日妊娠中の頻尿は多くのママが経験する症状の一つです。大きく分けて妊娠初期の頻尿と妊娠後期の頻尿がありますが、妊娠初期から後期まで継続的に頻尿があるというママもいます。 頻尿とは、それまでより尿の回数が増えることを指しますが(多尿)、回数や量に明確な定義があるわけではありません。 妊娠初期に頻尿になる時期とは 妊娠初期の頻尿は、妊娠初期の早いうちから始まり、妊娠中期に差し掛かるころまで発生する傾向があります。ママによっては、頻尿の症状が妊娠に気づくきっかけの一つとなる場合もあるでしょう。 また、頻繁に尿意を感じるほか、ちょっとした刺激で尿が出てしまう尿もれの症状が出ることもあります。 排尿に関することがらには恥ずかしさもありますが、妊娠中であれば誰にでも起こりうることです。対策の仕方と注意すべきことを心がけておけば、快適に過ごすことができるようになるでしょう。 妊娠初期に頻尿になる原因(理由/原因) 妊娠初期に頻尿が起こる原因は、主に以下のようなものが挙げられます。 ・妊娠を機に血流が増える 腎臓の働きが活発になることで尿量が増したり、尿が排出されやすくなったりします。 ・妊娠初期に子宮が大きくなる 子宮の前方にある膀胱が圧迫され、尿を溜めておける容量が少なくなり頻尿症状が現れます。妊娠中期には子宮が骨盤より上部に移動するため、膀胱の圧迫も改善されていきますが、後期に入ると大きくなった子宮が再び膀胱を圧迫するため、頻尿症状が現れる傾向があります。 ・黄体ホルモンの影響 妊娠中に分泌される黄体ホルモンには子宮の筋肉を緩める働きがありますが、この分泌により膀胱の筋肉も弱められてしまうことがあります。ホルモンの分泌量や身体への影響については個人差があるため、頻尿症状として現れない場合もあります。 妊娠初期に頻尿になったら、注意したいこと 尿意を感じたら、我慢せずにきちんとトイレに行くようにしましょう。妊娠初期の頻尿では膀胱の筋肉が弱まり、尿を貯めておける容量も妊娠前より小さくなっているため、こまめに排泄する必要があります。 残尿感が気になるようであれば、排泄の際に少し前屈みの姿勢を取ってみましょう。外部的に膀胱を圧迫することができ、尿がうまく排泄される場合があります。 また、尿意を我慢すると膀胱炎を引き起こす原因となります。とくに妊娠中は免疫力が弱まっているので、膀胱炎のような各種の感染症にかかりやすくなっています。通院が必要になるケースもあるため、尿意を感じたら速やかに排泄しましょう。 ただし、通常の頻尿症状との違いがある場合は、他の病気が原因になっている可能性があります。 ・排尿の頻度があまりに多い(5分おきの尿意が繰り返される、など) ・排尿時に痛みを感じる ・排泄した尿に血が混じっている ・残尿感がある ・尿に白濁がみられる ・38℃以上の高熱が続く 上記のような症状がある場合、膀胱炎や腎盂腎炎、または尿路結石症を起こしている可能性があります。健診医に相談のうえ、泌尿器科を受診しましょう。 妊娠初期の頻尿予防と対策 仕事をしていたり、運転中であったりなどの外出先では、尿意があってもトイレに行けない場合もあります。その場合は市販されている妊婦向けの尿漏れパッドを利用してみましょう。すぐにトイレに行けなくても、何かの拍子に尿漏れしても大丈夫などという安心感があれば、ストレスを感じにくくなります。 また、利尿作用のあるカフェインの摂りすぎは頻尿の症状が悪化します。併せて妊娠中は、お腹の赤ちゃんに優先的に水分が回されることで水分不足になり、便秘も起きやすくなります。頻尿になると、つい水分を控えがちですが、脱水予防のためにも水や麦茶などカフェインレスの飲み物でこまめな水分摂取を行いましょう。 時にコーヒーや紅茶を楽しみたい場合、デカフェ(カフェインレス)のコーヒー、紅茶などで代用しましょう。 また、冷えも頻尿の症状を悪化させます。ひざかけを使ったり、お風呂で湯船に浸かって温まったりするなどの工夫を行い、体を冷やさないようにして過ごしましょう。
2016年04月04日ママの喫煙が、お腹の赤ちゃんの健康や発育に悪影響を及ぼすということについてはよく知られています。ママ自身が喫煙しなくても、周囲の喫煙者からのタバコの煙(副流煙)を吸い込むことで受動喫煙(二次喫煙)する状態となり、ママとお腹の赤ちゃんの健康に影響を及ぼします。 ママが副流煙を吸う環境にある以上、タバコから生ずる健康被害を避けることはできません。 妊娠中のママの近くを避け、換気扇の近くやベランダで喫煙したとしても、副流煙を完全に避けることはできません。空気中に漂うすべてのタバコの煙を排出することは難しく、換気扇から漏れたり、窓の隙間を通じたりして室内に侵入します。 また、タバコの煙が付いた髪の毛や衣服、カーテン、壁紙などには、タバコの煙に含まれる有害成分や化学物質が残っています。タバコを吸わない人がこれらの残留成分に触れて吸い込み、体内に摂取してしまうことをサードハンド・スモーク(三次喫煙)といいます。サードハンド・スモークも、ママや赤ちゃんの健康に影響を及ぼします。 妊娠中のママとお腹の中の赤ちゃんをタバコの害から守るには、パパが完全に禁煙する必要があると言えます。家族で外出する際も、喫煙席があるお店や喫煙エリアに立ち入らないよう、パパが率先して気を付けていきましょう。 (※1) タバコの副流煙による受動喫煙が、妊娠中のママに与える影響とは タバコには、タバコそのものに含まれるニコチンが心臓や血管にダメージを与え、新陳代謝のはたらきを邪魔します。同様に含まれる様々な有害物質には発がん性があるものが含まれます。 タバコの煙には、タバコの燃えカスと共に、燃やすことで変化した化学物質や有害物質、一酸化炭素などが数多く含まれ、煙を吸い込んだ人の体や健康に悪影響を及ぼします。 受動喫煙をしたママの体はニコチンの影響で血流が悪くなるほか、一酸化炭素が血中のヘモグロビン(酸素を体内に運ぶ役割をもつ成分)と結びつく影響で、体内に十分な栄養や酸素が行き届かなくなります。つまりお腹の赤ちゃんにも必要な栄養や酸素が行き渡らず、低体重出生児が生まれるリスクや、流産や早産のリスクが高まります。 さらに前置胎盤や常位胎盤早期剥離といった胎盤のトラブルの発生率も高くなるとも言われています。 また、ママが妊娠前に喫煙者だった場合にはママへの配慮が必要です。ママが妊娠のために禁煙していてもパパが喫煙している場合、ママのストレスは大きくなります。ママが禁煙するだけでは受動喫煙のリスクが減少しないことも踏まえ、これからの子育て知識としてパパも禁煙することが望ましいでしょう。 タバコの受動喫煙が、乳児に与える影響とは 出産後にも、赤ちゃんの近くで喫煙を行うことは、赤ちゃんへの健康被害を引き起こすことになります。呼吸器が十分に発達していない赤ちゃんにとって、受動喫煙はぜんそくや肺炎といった呼吸器系疾患の原因になる可能性が指摘されています。 また赤ちゃんにとってサードハンド・スモークは大きな影響があります。赤ちゃんは身体が小さいため家具や床との距離が近く、喫煙環境である部屋内に蓄積されたタバコの有害物質を摂取しやすい状況にあります。これは、赤ちゃんがいないときに自家用車の中でタバコを吸った場合にも当てはまり、タバコを吸う人がいる環境下での赤ちゃんの三次喫煙は避けられないことを意味します。 そのほか、赤ちゃんが受動喫煙しやすい環境にいると、乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こしやすくなると言われています。SIDSとは、それまで健康上の問題もなく元気だった赤ちゃんが事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気で、詳しい原因はまだわかっていません。 しかし両親が喫煙する家庭では、両親が喫煙しない家庭と比べおよそ4.7倍のSIDS発症リスクがあるため(※)、家庭内で受動喫煙がおこらない環境を整えておくべきだと言えるでしょう。 そのほかの、禁煙の具体的なメリット そもそも喫煙は、ガンや脳卒中、心筋梗塞ほかさまざまな重大疾患のリスクを高める行為です。タバコを止めれば疾患のリスクを低下させられるうえ、個人差はありますが咳や痰で悩まされていた人も症状がおさまったり、味覚や嗅覚が改善され食事が美味しく感じられるようになったりします。 喫煙後のタバコのニオイが減り、周囲へのマナーの質も向上するなどの効果もあります。 また、1箱430円のタバコを1日1箱購入する場合、1ヶ月で12,900円がタバコ代として消費されます。1年間ではおよそ157,000円、10年間でおよそ1,570,000円にものぼります。禁煙すれば、それらのお金を家族のために使うこともでき、ひいてはパパ自身の健康リスクも下がることでしょう。パパが禁煙することは、ママや赤ちゃん、子どもたちの健康を守りながら、家族で長く暮らしていける方法の一つだと言えそうです。 (※1) 東京都福祉保健局 健康増進法25条と厚生労働省健康局長通知
2016年04月04日化学的流産とは、妊娠のきわめて初期に起こる流産で、受精はしたものの何らかの理由で着床しなかったり、または着床が続かなかったりした状態を指します。 化学的流産が起きた場合は個人差により痛みも出血もありますが、妊娠していたこと自体に気づかずに過ぎるケースが多いようです。 過去には化学的流産に気づく人はほとんどいなかったと言われていますが、近頃では妊娠検査薬の性能が向上し、妊娠のごく初期段階(妊娠3~4週ごろ)でも陽性反応が出るものがあるため、化学的流産が知られるようになりました。 初期流産(化学的流産)が起きやすい時期 妊娠12週目以前に起こる流産のことを初期流産といいますが、その中で化学的流産は妊娠5週目頃に起きやすいようです。 流産自体は妊婦さんのうちおよそ10~20%が経験するとの統計もありますが、この数値には化学的流産は含まれていません。医学的には、胎嚢や胎芽、胎児の心拍が確認されてはじめて妊娠が確定しますが、化学的流産が起きる時期は胎児がそこまで成長しておらず、妊娠確定対象になりません。 化学的流産は、医学上では流産として扱われていないために流産としてカウントはなされず、産婦人科の問診票でも“流産の回数”に記載する必要はありません。 初期流産(化学的流産)の症状、原因となる理由 化学的流産は、いつもよりも重く、痛みが強い生理が遅れてやってきたような感覚が自覚として現れると言われています。流産前は受精卵に反応して体内のホルモンバランスが変化し、子宮内膜も厚みを増しています。化学的流産にともないこの子宮内膜がはがれるため、通常の生理よりも強い痛みを感じる傾向があるためです。 個人差はありますが、出血に混じり、親指の先ほどの白い塊が出るケースもあるようです。 化学的流産の原因のほとんどは、受精卵の染色体異常によるものです。染色体異常のある受精卵はそもそも着床できないか、着床しても胎嚢が確認できる前に発育が止まってしまいます。それが通常の生理と同じメカニズムで体外に排出されるのが化学的流産であり、掻爬手術などの医療措置は基本的には行いません。 初期流産(化学的流産)を防ぐには 原因のほとんどが受精卵の染色体異常であることから、これを防ぐ手立てはありません。化学的流産が起きたとしてもその原因がママの生活習慣などにあったというわけではなく、自然に淘汰された結果として考えられています。 例えば妊娠が分かる前にスポーツなどで身体を動かしたり、仕事で心身が疲弊していたり、夜更かししたりした後で化学的流産が起きても、それはママのせいではありません。妊娠が分かる前に薬を飲んでしまった場合も同様です。 初期流産(化学的流産)が起きてしまったら 化学的流産は受精卵の自然淘汰であり、自然の摂理です。どんな人にでもそれなりの確率で起こる可能性があります。あまり大きく気を落とさずに、心の回復を待ちましょう。 通常、健康的な30歳の女性であっても、受精する卵子の約25%に染色体異常があると言われています。化学的流産の原因のほとんどが受精卵の染色体異常により起こりますが、一度経験した人が次回以降も科学的流産を起こすつながりを示すものはなく、次回以降の妊娠に影響することはありません。 ただし、まれなケースですが何度も繰り返し化学的流産が続くようであれば、不育症など母体側の原因も考えられるため、産婦人科を受診したほうがよいでしょう。 化学的流産は、早期妊娠検査薬などで早めの妊娠チェックを行った人こそ気づきます。赤ちゃんを心待ちにした気持ちとは裏腹に、陽性反応が出たにもかかわらず流産したという現実に大きなショックを受けるかもしれません。ですが、化学的流産が起きるということは少なくとも排卵や受精には問題がなく、妊娠は可能であるということでもあります。自信を持ち、妊娠しやすい健やかな身体作りを心がけ、いつでも赤ちゃんを状態で迎えられるように過ごしましょう。
2016年04月04日妊娠中のおなかの張りは下腹部周辺の重さ、皮膚の突っ張りなどの症状で、妊娠期間中にほとんどのママが感じると言われています。 原因や症状は、妊娠初期、中期、後期によって異なります。生理的に起きる子宮の収縮や、子宮が大きくなり、子宮を包む膜がふくらむことによるもの、靭帯が引っ張られることによるもの、子宮の増大と共に皮膚がつっぱることによるものなど、さまざまなものがあります。 妊娠初期 妊娠初期のお腹の張りは、子宮が大きくなり始め、筋肉が伸びることが原因だと言われています。張る間隔はそれほど多くはなく、たまにお腹全体や下腹部が痛むなど違和感を覚えることが多いようです。痛みそのものというより、お腹がパンパン、重さを感じる、便秘のような感覚などと言われます。特に大きな心配をする必要はありませんが、つらいときには安静を心がけましょう。 妊娠中期 中期では安定期に突入するため、お腹の張り具合が安定する傾向があります。 例えばママの体調が良くなり、活動的になったことでお腹が張る場合もありますが、その場合は安静にしておきましょう。 また、この時期にひどい痛みが起きたり、張りが長引いたりする場合は、他の病気や切迫早産の可能性もあります。健診医に問い合わせ、指示を仰ぎましょう。 妊娠後期 妊娠後期は間隔・痛みともに強く感じられるようになります。ママが自分で触っても、張っていない時と比べてはっきりと分かるくらいの固さになります。子宮が大きくなり、収縮して固くなるなどの変化が原因です。張りを感じるたびに安静を心がけましょう。 張りがなかなか納まらなかったり、出血やひどい痛みを伴ったりする場合は、赤ちゃんやお腹の中でトラブルが起きている可能性もあります。早急に健診医に問い合わせ、指示を仰ぎましょう。 心配のないお腹の張り 張りを感じ、安静にして体を休めれば張りが治まる場合は、生理的に子宮が収縮したり、ママが活動し子宮が刺激を感じたりしたことが原因と考えられます。こまめに休憩をとるように意識し、体を休めるようにしましょう。 医師にかかったほうがいいお腹の張り しばらく休んでも張りが治まらず、間隔が短くなっていったり、痛みが強くなったりする場合、切迫流産や切迫早産の恐れがあります。 また、量が多い出血を伴うような場合も、流産や早産の可能性が高いと言われています。妊娠初期は流産や子宮外妊娠の可能性も考えられ、妊娠中期から後期にかけては、お産前に子宮の中で胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離や、または早産など、ママと赤ちゃんの体に何かしらのトラブルが起きている場合もあります。 いつもと違うと感じたら自己判断せず、早急に健診医に問い合わせ、指示を仰ぎましょう。
2016年04月04日おりものとは、子宮頚部や膣からの分泌物や、子宮や膣からはがれた古い細胞などが混ざり合った液体を指します。細菌が膣を通って体に侵入するのを防いだり、排卵期に受精の手助けをしてくれたり、とても重要な役割を担っています。 おりものは、妊娠すると多少の色の変化があったり量が増えたりすることがあります。これは、体内のホルモンの状態が変わるために発生する生理的な変化や増加なので心配はありません。ただしかゆみやニオイを伴うなど気になる症状がある場合は、健診医に相談しましょう。 また、妊娠超初期の妊娠兆候を感じるかどうかには個人差があり、おりものの変化が現れない人もいますので、おりものの変化がないからといって気にする必要はありません。 妊娠超初期~初期のおりものの種類 妊娠超初期に相当する妊娠1カ月から、妊娠初期に該当する妊娠2カ月~3カ月にかけては、体の中でホルモンバランスが急激に変化するため、おりものの状態に変化がみられる傾向があります。急におりものの量が増えたことで、妊娠に気づくという人もいます。 赤茶色のおりものは受精卵が着床したときの着床出血と考えられており受診の心配はありません。また、茶色のおりものが出る場合もありますが、これは赤ちゃんがお腹の中で成長するときに毛細血管が切れ、その出血が酸化しておりものに混ざったものなので、心配ありません。 ただし鮮血に近い赤色のおりものが続く場合は、何らかの異常が考えられます。また下腹部に痛みを伴う場合は流産や切迫流産などの可能性もありますので、すぐに健診医に相談しましょう。 妊娠中期のおりものの種類 妊娠中期に該当する妊娠4ヵ月~7ヵ月は、おりものの量が増えるのは普通のことなので特に心配いりません。ただし、これまでと明らかに違う色やニオイ、かゆみや痛みなどを伴う場合は、健診医に相談しましょう。 毎回の妊婦健診でも、おりものの量や状態は確認されますが、健診まで日数がある場合でも、気になるおりものが続くときはすぐに受診したほうがよいでしょう。 妊娠後期のおりものの種類 妊娠後期に該当する妊娠8ヵ月~10ヵ月になり予定日が近づくにしたがって、おりものにも出産の兆候があらわれてきます。赤ちゃんがスムーズに産道を通ってこられるように、白くて水っぽいおりものが増えてきます。 血液が混ざっているようなおりものが出たら、おしるしかもしれません。おしるしとは粘り気のある出血で、子宮口が開き始めたり、子宮が収縮したりすると起こる出産間近のサインです。 この時期注意したいのは、水っぽくてチョロチョロと出てくるような場合です。お腹の赤ちゃんを守る卵膜が破れて羊水が体外に流れ出てくる破水の可能性があります。量が多い場合は自分でも見分けがつきますが、少量の場合はおりものと区別しにくい場合があります。自己判断せずにすぐに分娩医を受診してください。 医師にかかったほうがいいおりもの 妊娠中にみられるおりものは、通常は無色透明か薄いクリーム色でかゆみや悪臭を伴うことはありません。おりものは子宮や膣の状態を表すサインでもあるため、いつもと違うおりものの場合は病気などの可能性があります。健診医や分娩医に相談し、指示を仰ぎましょう。 ・白くてポロポロしている ・外陰部や膣の激しいかゆみがある (疑われる病気:カンジダ膣炎) ・黄色か緑がかって、細かい泡が混ざったような状態 ・外陰部や膣の激しいかゆみがある (疑われる病気:膣トリコモナス) ・白か黄色っぽく、量が多い ・腹痛や下腹部痛、発熱 (疑われる病気:性器クラジミア感染症・淋菌性感染症・骨髄腹膜炎・非特異性膣炎) ・黄色や灰色っぽく、生臭いきつい臭いがある (疑われる病気:細菌性腟症) 妊娠中は、膣の炎症が起きやすい時期なので、通気性のよい下着を身に付けて、常に清潔にするよう心がけましょう。石鹸を使うと悪化させる場合もあるので、デリケートゾーン専用のものを使うようにしましょう。少しでも気になる症状がある場合は、健診医や分娩医に相談しましょう。
2016年04月04日