IK Multimediaは、古今東西のマイク名機をモデリングしたiPhone/iPad用アプリ「Mic Room」を公開した。価格は960円で、標準搭載のモデル数が限定された無料版も用意されている。同アプリは、同社のデジタル/アナログ・マイクロフォンやiPhone/iPadの内蔵マイクで入力したサウンドを、プロ用スタジオ・マイクロフォンで入力したサウンドであるかのように再現するというもの。プロの録音スタジオで使用されているコンデンサー・マイク名機をモデリングした「Condenser 12」、「Condenser 87」、「Condenser 414」、リボン・マイクをモデリングした「Ribbon 121」、ダイナミック・マイク名機をモデリングした「Dynamic 57」、「Dynamic 58」、「Dynamic 421」、「Vintage Dynamic」、さらに古い電話機のカーボン・カプセルをモデリングしたOld Telephone Micなど9機種のモデルが標準搭載されている。また、同社iRigマイク製品のシリアル・ナンバーを登録すると、ラージダイアフラムのダイナミック・マイク「Vintage Dynamic 20」、リボンマイク「Velo 8」と、ふたつの限定マイク・モデルが無償でアンロックされる。さらに、アプリ内課金にて9種類の追加モデル「Mic Pack 2」(1,200円)の購入も可能だ。なお、音声入力には、IK MultimediaのiRig Mic Studio、iRig Mic HD、iRig Mic Field、iRig Mic、iRig Voice、iRig Mic Castのほか、iPhoneやiPadの内蔵マイク、Apple EarPods with Remote and Micも使用できる。
2015年06月23日現在、アップルのWebサイトでは「iPadですべてが変わる」と題された特設ページが開設されている。「クッキング」「学ぶ」「スモールビジネス」「旅に出る」「模様替え」という5つのシーンで、iPadをどのようなアプリを用いて活用するかを紹介し、その魅力を伝えるというものだ。すべてが変わる、ということで言うと、教育の現場でiPadが採択されるようになり、今まさに大きな変革の時期が訪れている。本稿では三重県松阪市立飯高東中学校が参加したアップルのジュニア向けプログラム「フィールドトリップ」の様子とともに、iPadが学校に齎した「変化」について見て行く。Apple Store, Ginzaで開催された「フィールドトリップ」には、三重県松阪市立飯高東中学校の3年生22名が参加。iPadを利用しプレゼンテーションを行った。同校は松阪市が推進するICT教育で、日頃よりをiPad使った授業に取り組んでいる。この日はまず、iMovieを使ってプレゼンテーションを行う3グループと、Keynoteでプレゼンテーションを行う2グループという5つのチームに別れ、ワークショップ形式でプレゼンテーション用資料を作成していった。同校の修学旅行のプラグラムの一部として取り入れられた「フィールドトリップ」、参加した22人は、新橋駅からApple Store, Ginzaまで徒歩で移動する道中、気になったもの、興味をそそられたものを写真、および動画でiPadに記録していた。今回はそれらの素材を組み合わせて作業にあたる。ここまでは、よくあるiPadを用いたコンテンツ制作のトレーニング風景のように見えるが、実はもう一歩踏み込んだところでテーマが設定されていた。それは、iPadを教員と生徒が学びの場においてインタラクティブなツールとして使うだけでなく、表現力やコミュニケーション力を深めるために利用するというものであった。全校生徒はわずか58人、松阪市の山間部に位置する飯高東中学校は、例えば交通の便があまり良くなかったりするのだが、不便な地域だからこそ、情報収集力を高めていかなければならないし、表現したことを発信する力を養っていく必要があると、同校の平野修教諭は力説する。閉ざされた環境では育みにくいコミュニケーション力を、iPadがどのようにアシストしてくれているのか興味深いところだが、行われたプレゼンテーションを見ていると、それは見事な形で結実しているように思われた。また、出されたお題に沿って、出来上がったものを読み上げるだけではなく、自分達で発見したものを自分達で伝えようとする、本当の意味でのプレゼンテーション力が身についているという印象を受けた。平野教諭は、家庭の中で気がついたことをピックアップしてきて、それらを学校での学びに活かしていくということを最終的な目標にしているので、今回のApple Storeに於ける研修(フィールドトリップ)はそこに繋がる機会となるだろうし、生徒達にとっても良い経験になるだろうとも話す。地元の交番と東京の交番の違いをレポートしたグループは、前者では自転車が使われるが、後者ではパトカーが利用されているようだと伝え、外観の違いにも触れた。このグループは普段見慣れているものが、違った場所に行くと実際に違ったものとして現前するということをiPadのカメラでキャッチし、Keynoteの助けを借りながら上手く言い表していた。自動販売機が数多く並ぶ路地を見つけたグループは、それが自分達の暮らす地域にはあまりないと報告してくれた。撮ってきた写真を見ると、都心に住む我々でも驚くくらいの数の自動販売機が設置されており、こんな場所があるのだと感心させられた。表現力、コミュニケーション力に加え、彼らは鋭い観察眼も獲得しているのではないだろうか。iMovieでプレゼンテーション用の動画を作成したチームは、珍しいものや可愛いものを集めてみたとのことだったが、目に映った新鮮な光景を捉え、修学旅行の思い出を纏め上げ、その楽しさを、喜びを余すところなく伝える発表を行った。生徒達だけでなく、教員もiPad導入以前とは変わってきたと平野教諭は言う。ICT機器を使うにあたって、生徒一人に一台渡すということに抵抗感を覚えていたある教員は、導入後、授業のことをよく考えるようになっていったと続け、デバイスの操作に慣れるのはもとより、どう使い、どう授業を進めていくかを熟考するようになってきていると明かしてくれた。元々、生活指導担当だったという同教諭は、フィルタリングの問題など、教育でマイナス面になることも心配していたというが、実際にiPadを取り入れてみると、むしろプラスの面が大きかったと評価する。そして、完璧に守られている状況に真実はないと思うようにもなったそうだ。文科省は5年後に始まる新学習指導要領で、生徒達が主体的に発言したり議論したりする「アクティブラーニング」を採用する方向で準備を進めているが、飯高東中学校はその先鞭をつける形での授業を行っている。さらに文科省の期待を超え、例えそれが実用性のない事柄であったとしても、発見を学びに結びつけようという姿勢も伺える。iPadが何気ない日々に変化を齎し行動規範も変えていく、飯高東中学校の取り組みはその好例であると感じられた「フィールドトリップ」であった。
2015年06月19日センチュリーは17日、リテイル事業のひとつ「秋葉館」から、ノートPCのディスプレイにiPadなどを連結できるコネクタ「SideCar - Laptop to Tablet connector -」を発売した。ホワイトとブラックの2色を用意し、価格は2,980円(税込)。MacBookや各種ノートPCのディスプレイサイドに、iPadなどのタブレットを固定するためのコネクタ。取り付け部には、滑り止め用および本体の傷つき防止用のゴムパッドを装備する。本体のノブを回転させてコネクタを固定し、その上でタブレットを装着する仕組み。iPadとMacBookの組み合わせであれば、両者をWi-Fiでリンクさせ、iPadをMacBookのサブディスプレイとして利用するアプリを使い、デュアルディスプレイ環境を構築できる。または、iPadをそのままタブレット端末として使用してもよい。材質はABS樹脂で、本体サイズはW76×D25×H89mm、重量は60g。
2015年06月17日米Appleは9日(現地時間)、同社が2015年秋のリリースを予定する次期iOS「iOS 9」で、iPhoneとiPad向けにNews閲覧アプリを提供すると発表した。すでにConde Nast、ESPN、The New York Timesなどを含む20社以上の出版元から、50以上のタイトルを配信する準備を整えているという。提供を予定するNewsアプリは、雑誌のようなレイアウトと、即時性やカスタマイズ機能といったデジタルメディアの特徴を組み合わせるという。ユーザーが感心を抱きそうな情報を抽出し、「For You」と呼ばれるカスタマイズされたニュースフィードとして表示する。この情報を共有したり、後日参照するために保存するともできるという。新しいコンテンツを検索する「Explore」機能では、ユーザーが過去に閲覧した内容に基づき、関連する情報を提案する。閲覧した内容が多ければ多いほど、よりパーソナライズされ、配信される記事の精度が向上する。また、Newsアプリの利用に当たり、Appleでは、ユーザーの個人データを共有せず、プライバシーを保護した形で情報の配信が可能だという。一方の出版元に対しては、「Apple News Format」を用意。記事の見た目を調節に加えて、写真やオーディオ、動画、奥行きや立体感を表現するパララックスといったコンテンツを組み込むことができるとしている。2015年後半には追加のパブリッシングツールを提供する。
2015年06月09日米Appleは8日(米国時間)、米・サンフランシスコで開発者向けカンファレンス「WWDC15」の基調講演を行い、iPhone/iPad向けのニュースアプリ「News」を発表した。今秋から提供されるiOSの最新バージョン「iOS 9」で利用できる。「News」は、iPhone/iPadの次期OS「iOS 9」向けに提供されるニュースアプリ。100万件以上のトピックをフォローし、ユーザーの興味・関心に合わせて情報を抽出する。抽出された記事はニュースフィード「For You」にまとめられ、ユーザーは、フォローしている出版社のチャネルやトピックを閲覧できる。記事のフォーマットには、Apple独自の「Apple News Format」が採用されており、写真、オーディオ、ビデオ、マップ、パララックス、動画などを組み込むことができる。また、閲覧するデバイスの画面サイズに自動的に最適化される。発表時点では、Conde Nast、ESPN、The New York Times、Hearst、Time Inc.、CNN、Bloombergなど20社近くの出版社が参加を表明しているという。そのほか、過去に読んだ内容に基づき、関連する情報を提示する、コンテンツ検索機能「Explore」を備える。閲覧した記事が多ければ多いほど、パーソナライズされていき、配信される記事の選択精度が向上していく。iOS 9の対応端末は、iPhone 4S/5/5c/5s/6/6 Plus、iPad Air/Air 2、iPad 2、iPad mini/mini 2/mini 3、iPad(第3世代以降)、iPod touch(第5世代)。
2015年06月09日静岡県熱海市の網代漁業株式会社(以下、網代漁業)では、今年に入ってから定置網漁業にiPadを活用している。iPadを導入したことで、仕事のやり方が変わり、延いては漁具や漁法、市場での取り引きにも変化をもたらすかもしれないという。網代漁業では定置網漁業、魚類の畜養および養殖海産物流通販売、水産加工事業を行っている。iPadが利用されているのは定置網漁業の現場に於いてだ。具体的にどう使われているかというと、魚群探知機(以下、魚探)のモニターとしてである。定置網には魚探が施設されていて、その情報を3Gの通信モジュール経由でiPadに送信するというわけだ。網の中にどれくらい魚が入っているかという情報はほぼリアルタイムで確認できるので、仕事のあり方がこれまでとは変わってくると、網代漁業の代表取締役である泉澤宏氏は話す。「ユビキタス魚探」と呼ばれているこの魚探は、公立はこだて未来大学が中心となり、東京農業大学、株式会社光電製作所、日東製網株式会社、株式会社ゼニライトブイの2大学3社が共同で開発にあたっている。開発の中心メンバーである、公立はこだて未来大学 システム情報学部教授の和田雅昭氏によれば、以前にも沖合の定置網に取り付けた魚探の様子を無線機を利用して、陸の事務所などに設置した専用のモニターでチェックするというシステムは存在したが、それらは「昭和の機械」だったという。「昭和の機械」だという無線を使ったシステムは、日東製網の関根敏昭氏に伺ったところ平成10年あたりまでは製造が行われていたようである。しかし、これらの機器は海上にある魚探と、陸上に置いた専用モニターを1対1で結ぶものでしかなく、魚探の情報を入手したければ、モニターを据置した場所に出向かなければならなかった。網代漁業が取り入れた「ユビキタス魚探」は、前述の通り、3G回線を利用してデータが送信されてくるので、専用機でなく、iPadで情報のチェックがどこでもできる。魚探のデータ閲覧用には「定置網モニタ」というアプリが利用されている。このアプリ、現在はAdHoc配信の状態で、App Storeでの配布は行っていないが、「年内には公開したい(和田氏)」とのことだ。なお、同アプリは基本的にブラウザベースの仕様になっているので、iPad以外、iPhoneやその他の端末でも、情報量が一部制限されるが閲覧可能であるとのことである。すなわち、網代漁業の従業員は誰でもどこでも魚探の情報にアクセスできるというわけだ。仕事のあり方が変わるという話に戻すと、これまでこういった機器がなかった時代は「勘」に基づいて漁場に出ていたらしい。実際に網を引き上げると、魚があまり入っていないこともよくあったそうだ。時には漁獲高より、燃料費、人件費のほうが高くつくこともあったと、泉澤氏は苦笑まじりに説明する。しかしながら、「ユビキタス魚探」を導入したことで、そのような事態に陥らなくても済むようになるのである。網に魚が入っているかどうか、いつでもどこでもチェックできるので、状況に応じた的確な判断が下せるようになるのだ。5時間沖に出て作業しても、成果はあまりなかったという日があったとする、それが、漁獲が大してないのが分かっているから、その5時間を網の修理など別なことに使おうという発想の転換が起こるのである。反対に、大漁が見込まれる場合にも有用だ。獲れた魚が多い場合、その分、氷も多く船に積まなければならなく、また、一艘では積みきれないほどの水揚げ量になった場合、もう一艘出船しなければならなくなるのだが、このような時も、予め獲れそうな量が分かっていれば問題なく操業できるのである。かつては、その日、5トンなら5トン、翌日、1トンなら1トン、獲れた分だけ出荷していたが、現在ではその量も調整しているとのことだ。そもそも、定置網量では「金庫」と呼ばれる、かかった魚を生きたまま一時的に保存しておくことができるスペースがあり、それを利用することで出荷調整を行っていたが、「ユビキタス魚探」+iPadで、その管理もしやすくなったと泉澤氏は言う。このメリットは二つあって、一つは市場への供給量を調整することで値崩れを防ぐことができるようになるという点。二つ目は限りある水産資源を保護できるという点だ。持続可能な社会という観点から、特に後者の利点は大きいと言えよう。そして、取得した情報をデータベースとして機能させることも見込まれる。前述の無線+魚探のシステムでは、データが欲しいとなった場合、紙に出力していたため、資料として利用するのには検索性という面で今ひとつなところがあったが、iPadから過去の情報に瞬時にアクセスできるので、あの日あの時、どんな条件下でどんな魚がどれくらい獲れたかがすぐわかるようになる。さらに、これらのデバイスを全部合わせても、比較的低価格だとのことで、導入のハードルも低めになっている模様だ。和田氏によれば、研究ベースのものなので、量産しているわけではないということだが、同氏はかつて環境省が数千万かけて導入する海洋観測ブイを、10万円で開発したという実績がある。かなり機能を削ったことで、低予算でも実現できたそうだが(詳細は和田氏の著書『マリンITの出帆 - 舟に乗り、海に出た研究者のお話』(公立はこだて未来大学出版会)を参照して頂きたい)、漁業用で安価と言われる海洋観測ブイでも数百万円するという話なので、アイディアマンぶりにも相当なものがある。和田氏の談では、iPadは漁業の現場に良くマッチするとのことだ。まず、起動が早いので、パッと知りたい情報にアクセスできると評価している。また、漁船に搭載される機器の多くは基本的にスイッチのオン/オフだけで動くのだが、この簡単に操作できるという点も現場では好まれるだろうと評す。また、泉澤氏も「バッテリーが長時間もつ、あと軽くて携行にも便利」と、iPadを高く買っている様子である。泉澤氏は、航跡を記録できる「marine PLOTTER」の機能(このアプリも和田氏の研究チームが開発)を応用して、位置のズレた定置網を元に戻すのに利用できないだろうかと続け、販売担当者にも獲れた魚の情報を海上からサッと共有できれば、船からセリにかけられると、今後の展望についても語ってくれた。漁法や漁具もiPadを導入したことで新しいものが出てくるかもしれないと、期待を寄せている。とは言え、ここまで先進的な取り組みをしている漁業関係者は未だ多くない。進取の気性に富んだ人々が関わったからこその結果であろうことは想像に難くないだろう。加えて、比較的小さい規模の事業ゆえか、設備の採択もスムーズに進められたという印象がある。日東製網の金田耕平氏は、これまで経験がモノを言っていた側面は少なからずあると思うが、若い人たち(網代漁業の従業員の平均年齢は30代前半と若い)がこういったツールを使うことで、ベテランの領域に早く近づけるようになる可能性もある、と将来性について力説してくれた。熱海市網代はJRの伊東線が通っているのだが、実は比較的最近まで、駅周辺が3G圏外の地域であった。それが今回、取材で訪れたところ、各キャリアともにLTEが利用できるようになっていた。インフラの整備もまた、こういった事業にテクノロジーを導入する際、必要なファクターとなってくるのには違いない。取材に伺った日、網を起こすということで筆者は夜中の1時に起き、従業員の皆さんとともに網代港を出港した。この日はカマスが多く獲れたが、中には10kgクラスのヒラマサも入っていた。都内まで自動車で2時間程度ということもあって、網代漁業では、その日に獲れた魚をその日の内に築地市場に出荷しているという。地の利を活かし、新鮮なネタを提供しているというわけだ。網代漁業の魚は、東京・品川の「あじろ定置網」(Facebookページ)でも食すことができる。他にはないマニアックな魚が楽しめるということなので、お近くの方、興味のある方は、ぜひ一度、足を運んでみて欲しい。
2015年06月08日現在、Apple公式サイトのスペシャルコンテンツ『iPadで変わる』特集でも紹介されているビジュアルブックマークサービスPinterest。オンライン上のイメージをスクラップするように集めることができるサービスですが、それが一体どんなことに役立つのか。サービス提供側と利用者側の双方にお話をお聞きし、前編に続いて後編では二人のユーザーさんのお話をお届けします。○言葉で伝わらないイメージを共有する北青山にあるヘアサロン「L’arte」のオーナー・松本良輔さんは、20年以上のAppleファン。店舗では予約・会計用として早くからMacを導入し、現在も数台のMacBookシリーズが活躍中。待合用のソファにはiPadが置かれています。松本さんはこれを使って、Pinterestで作ったへカタログをお客様に見てもらっています。松本さん 「使い方がよく分からなくてずっと見ているだけだったのですが、ある時ヘアアーティスト関連の画像が多いことに気がついて、これは使えるんじゃないかと。かねてからヘアサロンの中でもお客様の需要が紙媒体よりデジタル画像に移り変わっていましたし、検索性もあって良いなと思ったんです」L’arteのアカウントVisit l’arte’s profile on Pinterest.当初は松本さん個人のiPhoneを使っていましたが、数カ月前に店舗のアカウントを作りiPadを使って運用を始めました。カテゴリ分けがしやすいので冊子のヘアカタログよりも探しやすく、トレンドに応じてどんどん追加していくことが可能。言葉では伝えきれないカラーの染まり具合やパーマの仕上がりを伝えるために豊富な画像を用意でき、iPadと組み合わせれば、お客様と対話しながら見るのにも最適です。さらにスタッフにとっても意外な利点がありました。松本さん 「僕らの世界は分業なので、技術的なもの以上に感覚的な"具合"というものを連携するスタッフ間で伝えなくてはなりません。こうした画像があると、その具合がすごく説明しやすい。パーマをするにも数字的な指示より仕上がりのイメージを伝えるほうが実現度が高いんです」現在は、松本さん個人のアカウントにはトレンドになる前の要素を含んだエッジィなもの、店舗のアカウントにはすぐに活用できるものを長さやカラーごとに網羅するように集めています。利便性だけでなく、一般の人が目にする情報の変化を感じていたことも大きな理由です。松本さんのアカウントVisit Ryosuke Matsumoto’s profile on Pinterest.松本さん 「これくらいで自分もやっていけると思っていましたけど、今は想像以上にお客様の方が僕らですら知らない技術を動画や画像で見ているかもしれない。検索をして見たことがないスタイリングが出てくると、自分でできるかなと考えるんです。できなさそうならピンしておこうと。下手をしたら追い越されちゃう、という危機感もあって見ています」これまでは知っている中から提案していたものが、Pinterestを見て知らないものを知り、知れば試してみる、というようにお客様に対するアプローチが明らかに変わったという松本さん。Pinterestをヘビーに使い始めてからほんの数カ月ですが、「たったこれだけの刺激なのに、自分が変わっていくと感じます」と実感を語ってくれました。○イメージから学び、創り、発信するヘアサロンと並行して、大学の「化粧文化論」やヘアメイク実習の講師、また美容師のトレーナーとしても活躍している松本さん。PinterestとiPadはデザイン系の学生が歴史を学んだりインスパイアを得るためのツールとしても可能性を感じていると言います。松本さん 「例えば、1960年代の影響を考慮してファッションショーをするならどんなヘアメイクにするか提案してください、といった課題を出し、様々な素材やイメージをスクラップして世界観を作るという授業をやるんです。今までは実際に切り貼りでやっていたのですが、同じようなことがPinterestとiPadでできます」Follow Ryosuke Matsumoto’s board 60’s : Period and After on Pinterest.歴史に学び、それが時代ごとにどのように解釈されてきたのかを理解することが、デザイナーやヘアメイクアーティストのバックボーンとなります。多数のイメージを系統立てて整理していく作業そのものが学びにもつながります。一方で松本さんは、デジタルばかりでなく実際に紙や布を切り貼りしたり、手で書き込んだりする良さも大切にしています。松本さん 「それぞれの良さを分かって両方使うと、お互いにインスパイアされるところがあるかもしれません。具体的な課題があると取り組みやすいと思います」松本さんにとってPinterestは、参考になる画像を集めたりデジタルなヘアカタログという実用的な用途を超え、インスピレーションを得て仕事に生かしたり、後進の学びに活用するツールにもなっています。他力本願な気楽さもありながら、「プロにとっても思ったより影響力があった」ということに使ってみて気がついたと話す松本さん。これからはヘアサロンで実践したスタイリングの写真を集め、発信していくことにもつなげていきたいと考えているそうです。○Pinterestは「インプットの場所」時岡碧さんは、幼い頃にデジタルカメラを買ってもらったことがきっかけで写真を撮り始め、モード誌でのファッションブロガーを経て、社会人になった現在も風景や人物を撮影し続けている、写真好きなブロガー。もともと文章を書くことが好きで、自分の考えていることを貯める場所としてブログを書いていましたが、文章だけでは表現しきれないことがあったり、言語に関わらず見にきてくれた全ての人にも伝えられる可能性を感じ、写真に比重を置くように。写真表現とオンラインを通じて人に共有するということは、時岡さんにとってひとつに繋がったものだと言います。時岡さん 「オンラインがなければ写真もそれほど続かなかったと思うくらい、繋がっていますね。いいものが撮れると誰かと共有したいという欲求もあったんだと思います」時岡さんのアカウントVisit Midori Tokioka’s profile on Pinterest.Pinterestを使い始めたのは4年ほど前で、最初に魅力に感じたのは「自分の好きなものを貯められること」。ダイアリーを使ったスクラップブックを続けていましたが、それがiPadを使うことで、ハサミやノリを利用せず手軽にできることが画期的だったと言います。また、貯めるだけでなく"開けている"ことも時岡さんにとって魅力に感じるポイント。時岡さん 「スクラップブックは自分だけで楽しむものですが、Pinterestは私がスクラップしたものを人に見てもらったり、逆に他のユーザーさんがどんな形で何を集めているのか、覗き見できるのも好きです」時岡さんは先日の大型連休に買ったばかりのiPad miniを愛用中。どんなカバンにも入り、「頑張らなくても持てる」手帳感覚のサイズがほど良く、ゴールドカラーもお気に入りです。電車の中で立っていても、ベッドで寝転んでいても使えて、使ううちにますます手放せないものになっている様子。Pinterestも「長押しでサッとピンができるのがすごく好き」と、iPad miniから使うことが増えているそうです。時岡さん 「ブログは主にパソコンから更新していますけど、やっぱり座らないと出来ないので、画像はiPadからアップロードするなど、だんだんこちらの比重が大きくなっています」Instagramもよく使いますが「Pinterestがインプットの場所だとしたら、Instagramはアウトプットの場所」と、自然に使い分けているそう。さすが、デジタルネイティブはサービスの本質がよく分かっています。○俯瞰して見えてくる、自分のやりたいこと時岡さんのピンボードを見せてもらうと、様々な視点で集められた人物の写真が並んでいます。髪型やファッション、色をキーワードにしたり、こういう写真を撮ってみたいと思う作品を構図の参考として集めたり。ファッション誌のエディターやスタイリストをフォローして、次のトレンドにアンテナを巡らせるのも楽みのひとつ。Follow Midori Tokioka’s board Midori’s Vision Board on Pinterest.また、Pinterest主催のワークショップで作成した、今年やりたいことを集めた「ビジョンボード」は、視覚的に思い返すことができるので「箇条書きより楽しい」と言います。学生時代から続けている劇団のビジュアルデザインにおいては、参考資料となるイメージを集めるツールにもなっています。時岡さん 「例えば、50年代のニューヨークが舞台の作品なら『50s NY fashion』などで検索して関連するビジュアルを集め、衣装のスタイリングやポスター作成の参考にしています」集める目的は様々ですが、こうして数を集めて俯瞰してみると全体的な雰囲気として見えてくるイメージがあります。視覚的に整理していくことで、ボンヤリしていた考えが具体的になってくるもの。時岡さんは「自分がこういうテイストが好きなんだという発見にもなることが面白い」と言います。時岡さん 「写真を撮ることに限らず、世界観を"表現"して"共有"することを大事にしていきたい。介在するものが異なるだけで、それは仕事でもブログをでも演劇でも同じかな、と思っています。あまり統一感なくやっているように思われることもありますが、実際に最近はヴィンテージショップの空間プロデュースを任せていただくこともあったり、少しずつ自分の中でひとつに結びつきはじめている感じはあります」写真が好きだけど写真だけにこだわるわけではない、という時岡さん。iPadの上にたくさんのテーマのピンボードを並べるように、表現・記録・人との関わりなど、様々な場で行う活動が大きなひとつのイメージにつながっています。
2015年06月06日ラナは5日、MacbookやiPadの背面に貼り付ける「リラックマ」デコレーションシール(4種類)を発売した。キャラクター雑貨販売サイト「ラナタウン」にて発売し、価格は1,620円(税込)から。○Petamo! for Macbook リラックマ「お空でリラックス」と「ボンジュールリラックマ」の2種類をラインナップ。価格は2,160円(税込)。Macbookの液晶背面をデコレーションするシール。パーツごとにシールが分かれているので、自由なレイアウトが可能。MacBookだけでなく、他社のノートPCなどにも使用できる。一度貼り付けたら貼り直しができない点に注意。○Petamo! for iPad リラックマ「お空でリラックス」と「ボンジュールリラックマ」の2種類をラインナップ。価格は1,620円(税込)。iPadシリーズの背面デコに適したシール。パーツごとにシールが分かれており、自由にレイアウトできる。s
2015年06月05日サンワサプライは2日、iPadおよびiPad miniシリーズ用のスリムなハードケース「200-IN041」「200-IN042」を、直販サイト「サンワダイレクト」にて発売した。税別価格は、iPad向けが2,296円、iPad mini向けが2,204円。表面にはハードなポリプロピレン素材を、内部には衝撃を吸収するEVA素材を使用し、機器の保護を重視したタブレットケース。内側は起毛素材になっており、収納した機器が傷つきにくいようになっている。ケースのエッジ部分に厚みを持たせることで、角落ちでもダメージを低減する。iPad向け「200-IN041」シリーズのカラーは、ブラック、シルバー、レッドの3色で、本体サイズはW280×D210×H30mm、重量は約196g。対応機種は、iPad Air 2、iPad Air、iPad 第4/3世代、iPad 2、iPadとなっている。iPad mini向け「200-IN042」シリーズのカラーも、ブラック、シルバー、レッドの3色。本体サイズはW240×D165×H30mm、重量は約138g、対応機種はiPad mini 3、iPad mini 2、iPad mini、および本体サイズがW205×D12×H135mmまでのタブレット。
2015年06月02日●生産ツールとしてiPadを捉えなおすiPadについて、日常的には使っているが、iPhone×Macの親密度の向上により、iPadがリビングでの気軽なメディア消費端末以上の使い方をしなくなってしまった、という話を前々回、前回でしてきました。潔く、「筆者のiPad離れ」とも言い切れないところが、iPadの宙ぶらりんなポジショニングを物語っていると思います。「消費端末」から抜けきれないのであれば、その裏返しで、作り出す端末として活用していこう、という単純な発想に切り替えてみてはどうでしょう。ということで、今回は、実際にiPadで本連載の原稿を書きながら、まずは筆者の「原稿執筆」という作り出す作業について、実践してみたいと思います。ちなみに、前回紹介した、Appleの米国サイトで展開していたiPadの特設サイトにも日本語版が登場していました。「iPadですべてが変わる」と題したページには、英語版と同じ5つの利用シーンが紹介されています。かなりのアプリの数が紹介されており、日本向けにアレンジが加えられていますので、覗いてみてください。お題【iPadで作り出す:原稿執筆を行う】解決策→外部キーボードとお気に入りのテキストエディタ、「作業台」でひと通り●テキストエディタはiA Writer Pro、これに外付けキーボードを組み合わせる【今回のレシピ】2013年に購入したiPad mini 2(という名称に変わったiPad mini Retinaディスプレイモデル)iA Writer Pro + iCloud DriveMicrosoft Universal Keyboard もしくは Apple Wireless KeyboardSlateGo○ワークフローが便利なiA Writer Pro原稿を書くとき、以前は、話の流れを決めて、資料を集め、文字を書くことに集中するというスタイルを採っており、そこでアウトライン作りと「紙幅」を感じながら書けるテキストエディタを探していたところ、iA Writer Proというアプリに出会いました。このアプリはMarkdownに対応していて、シンプルな記法で構造化した文書を作ることができます。このMarkdownは割と便利で、例えばブログサービスのTumblrやWordPressでも利用できるので、使えるようになっておきたいところです。HTMLだけでなくMicrosoft Word形式で出力することもできるため、納品にも便利! そのままだと、謎の連続したシャープ(#)や括弧が付いていて、わけがわかりませんが。Markdownと並ぶ有効な機能が、「モード」。これが、筆者の文章執筆のスタイルにぴったりなのです。まずは「Note」。テーマカラーは緑です。アウトライン作りや情報収集の結果を貼り付けて、文章を書き始める準備をする状態です。次に「Write」、青。今現在のように、Noteで作ったアウトラインと資料とで、文章を書く作業。続いてピンクの「Edit」。書き上げてから編集や校正などを行います。筆者はこの3つを使っていますが、もう一つはエディタ上から編集できない読むだけのモードである「Read」があります。カラーは黒です。ファイルのリストは前述の通り色分けされるため、どの原稿がどのプロセスにあるのか、ということが一目でわかり、便利、というわけです。○キーボードがモノを言う実はこのiA Writer Proは、iPhone/iPad両対応のiOS版の他に、Mac版もリリースされており、筆者はMacで先に使い始めました。保存はiCloudとDropboxに対応していますが、iA Writer Proの作業ファイルはiCloud Driveに置いています。その理由は、Handoffです。iCloud Driveで同期していると、Macで書いていた原稿をiPhoneやiPadのiA Writer Proにそのまま引き継いで編集を続けることができるのです。例えば、Noteの段階ではMacでブラウザなどを駆使して情報収集をしながら資料を作り、Writeの段階になったらiPadで持ち出して、どこかリラックスできるところで書く、という流れが実現できるのです。ただ、原稿執筆はテキストエディタの快適さだけがポイントではありません。最大のストレスは文字入力用のデバイスです。当然この原稿も、ここまでのところ、iPad mini 2の画面に表示されるソフトウェアキーボードでは1文字も入力していません。筆者とて、多分1段落くらいで脱落するでしょう。そこで外付けキーボードが必要となります。今回はApple純正のBluetoothキーボードをiPad mini 2にペアリングして使っています。iPad mini 2にはスマートカバーを装着し、自立させて使っています。キーボードは十分タッチタイピングに対応する使いやすさがあり、指が絡まったり、なんのキーを押しているのかわからなくなることはありません。ただし、日本語変換は、普段使い慣れたATOKを外部キーボードでは利用できないという制約があるため、iOS標準のものを使用しなければなりません。しばらく使っていませんでしたが、iOS 8とOS X Yosemiteからは速度も精度も向上しているように思います。気は利かないが、実用の範囲内、といったところでしょうか。●タブレットか? ノートパソコンか?○ノートパソコンというスタイルに打ち勝つ何か、とは?Apple Wireless Keyboardはフルサイズで申し分ない使い勝手ですが、これをで先に持ち運ぶのは形状も相まって難しいところです。また、iPadにもキーボードにも、机が必要です。そこで、これはMac向けのモバイルデスクなのですが、アメリカ製のバンブー材で作られた「板」、SlateGoを用意してみました。大きめの穴が空いている単なる板で、右側にはiPhone 6 Plusにぴったりなサイズのトレーが用意されています。工夫は施されていますが、やっぱり「板」ですね。これの上にiPadを立てて、キーボードを配置すれば、机のない場所でもiPadと打ちやすいキーボードでガンガンタイピングができる、というわけです。とはいえ、iPad、キーボード、そして「板」を持ち歩ける環境とはどこでしょう。自宅のリビングルーム、あるいはアパートにある、霧がなければゴールデンゲートブリッジが望める(つまりほぼほぼ見られない)共用テラスぐらいしか、思い浮かびません。荷物が多すぎ、大きすぎるのです。そこで取りいだしたるはMicrosoft Universal Keyboard。WIndows、Android、iOS全てをサポートするコンパクトなモバイルキーボードです。Apple Wireless Keyboardに比べるとキーは小さく、ミスタイプを防ぐにはかなりの慣れが必要ですが、このキーボードには前述の多すぎて大きすぎる荷物の問題を解決する工夫があります。それは「キーボードのカバー」です。iPadにもカバー、キーボードにもカバー、とカバーだらけなわけですが、Microsoft Universal Keyboardのフタにはヒンジに近い部分に溝が作られており、ここに厚さ10mmまでのデバイスを立てかけることができるのです。しかも、初めは気づきませんでしたが、このフタ部分は磁石でくっついているだけなので、取り外してデバイスを自由な場所で立てかけることが可能です。屋外でちょっとでも風が強いと、iPad mini 2のスマートカバーはすぐに風にあおられて倒れますが、このキーボードのフタなら心配ありません。○MacBookが絶妙すぎるノートパソコンより確実にコンパクトで、しかしきっちりタイピングができ、公園のベンチでも仕事ができる、そんなスタイルをiPad mini 2で作ることができそうです。しかしながら、ここで登場したのがMacBook。MacBookの920gという軽さ、フルサイズのキーボード、そして12インチのRetinaディスプレイという仕様は、絶妙過ぎる、の一言です。iPadで苦労して環境を整えなくても、これ1枚があればキーボードの問題も机の問題も解決してしまうわけです。もちろん、iPad mini 2+Microsoft Universal Keyboardの組み合わせの方が224gほど軽いのですが、それであの快適さが手に入るなら、とその魅力を感じずに入られません。しかし、価格は4倍近くになるわけで、大いに考える余地、あるいは思いとどまる可能性があります。MacBookは確かに魅力的だし、iPadのポジションを奪いそうな存在です。しかし圧倒的な価格さと、「タブレットとして使えないこと」という2つのポイントがあります。iA Writer Proの「Write」で書きあがった原稿を、「Edit」モードにしたら、iPadを手にとって、プリントされた文書を読むように確認することができます。この瞬間、iPad、やるじゃないか、とニンマリさせられるのでした。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年06月02日コルグは、同社の伝説的ミュージックワークステーション「M1」を完全再現したiPad用モバイルデジタルシンセサイザーアプリ「KORG iM1 for iPad」を発売した。価格は3,600円だが、6月30日までは発売記念特別価格2,400円にて販売。同アプリでは、同社が1988年に発売したミュージック・ワークステーション「M1」に搭載されたM1ピアノ、M1オルガンなど数々のサウンドを、iPadでプレイし楽しめるもの。PCMは、オリジナルM1のライブラリーを搭載。また、ハードウェア部はオリジナル設計時の回路図を解析し、細部のパラメーターまでソフトウェアで完全再現されている。さらに、シンセ・パートにはフィルター・レゾナンスやVDAモジュレーションが新たに追加され、エフェクト・パートも合計18系統にパワー・アップされている。なお、画面をなぞるだけで直感的に演奏できる「カオシレーター・モード」も装備しており、アプリ内課金によりサウンドプログラムの拡張パックも用意するほか、KORG Gadget、KORG Legacy Collection、M1実機などとの連携もサポートする。
2015年05月29日●なぜiPadが低迷気味なのか?iPad、してますか?そんな事を考えていたら、連載1回分の長さを使い切ってしまいまして、今回は後半戦です。冒頭の文句は冗談にしても、「動詞化する」というのは、サンフランシスコ界隈のテクノロジー企業では重要な指標になっているように思います。つまり、動詞にならないアプリは使われない、ということです。英語の場合、特に動詞化して扱われると、過去形になったり進行形になったりして分かりやすいですね。「Googleする」。説明するまでもなくウェブ検索です。日本語では「ググる」ですね。また「Facebookする」、これもFacebookでつながる、と言う意味で動詞になっています。日本語では……、使われてませんね。Twitterは「Tweetする」ですが、これは元々さえずるという意味の動詞があり、それをサービス名に変えて動詞化を早めた、というテクニックを垣間見ることができます。「LINEする」、言いますよね。「Instagramする」、これも言います。日本では「インスタする」と略されるくらいですし。多分インスタントラーメンを作る動作を「インスタする」と言わないあたり、Instagramはラーメンに勝った、ということでしょう。成功して動詞化を勝ち取ったアプリと、それを動作させるためのデバイス。デバイスは動詞を表現するためのものであり、特定の色がついてはいけないのです。そのため、「DSする」とは言うけれど、「iPadする」とは言わない。もし動詞化しても、何を示すか分からない。その言葉が特定の動作を示さないことは、狙い通りかもしれません。メーカーも、汎用的であることが、その価値を最大化する、と信じているはずです。しかし、それ故の苦境、というのが現在のiPadでしょう。お題【iPadを再起動しよう、その2】解決策→今やっていることと、なぜiPadが低迷しているのかを紐解く●iPhone VS. iPadという構造の打破○iPhoneをメディア消費に使う際の問題点前回からの続きです。筆者の日常の中で、iPadはメディア消費のためのデバイスとして毎日使っています。しかし部分的に、その役割を、画面が大きくなったiPhoneが奪いつつあることも事実です。例えばKindleでの読書。どんな本でも文庫本のようなサイズ感で読み進められることが、体験として良いのかどうか分かりませんが。おそらくAppleも、影響がどこまで大きく出るかの予測が当たったかどうかは別として、iPhone 6あるいはiPhone 6 Plusを登場させる際、iPadの一部の役割をiPhoneが奪う結果になることは分かっていたのではないでしょうか。非常にパーソナルかつモバイル環境でのコンテンツ消費の際、常に手元にあるiPhoneがより最適なデバイスになる。そんなストーリーを描かなかった方が不自然とも言うべきです。とはいえ、iPhoneでの読書やビデオ視聴中、一つ不満があります。それは、画面上部に届く通知が邪魔、ということです。加えて言えば、メディア消費に類するアプリを使っている時には、Apple Watchがちゃんと仕事をしろ、と言いたいです。iPhoneのロックが解除されている状態、すなわちユーザーがiPhoneを使っていると判断される場合、Apple Watchには通知が届かず、iPhoneに届く仕組みです。つまり、Apple Watchは、ユーザーがiPhoneを使っているときはサボるわけです。隙あらばサボれ! これは15年以上前の日本のケータイも含めて、モバイルデバイスの特徴であり、Apple Watchの態度もモバイルデバイスの鑑です。電波の受発信、バイブレーター、プロセッサの処理、ディスプレイなど、不用なときはできる限り使わない。ケータイ時代、「バリ3シンドローム」という言葉がありました。ケータイの電波が3本入ってないと不安になる、というケータイのコミュニケーションにどっぷり浸かった若者の話です。そのおかげでケータイを振ると電波の入りが良くなるという都市伝説が流行ったり、明らかに電波の受信効率を下げそうな1mの長さのアンテナに交換したりしていましたが、バリ3の時の方が消費電力が少ないので、長くコミュニケーションが取れるという意味ではその不安も、技術的な意味があったのかもしれません。記憶が15年ほど吹っ飛んでしまったので話を戻します。サボる仕組みが備わっているApple Watchの続き。iPhoneがロックされていてApple Watchを装着していると、Apple Watchが鳴動し、iPhoneのディスプレイは点灯せず通知を受け取ります。これが一通りの挙動ですが、できれば、iBooksやKindleでの読書中、YouTubeなどでの映像視聴中も、iPhoneに届く通知をApple Watchに転送して欲しいな、と思うのです。画面上部に通知が届くのは邪魔で、時々フライトモードにして読んでいます。まあそれでも解決はするのですが、LINEできなくなっちゃうじゃないですか。○Appleが考える、iPadらしさの発見iPhoneにジワジワと浸食されつつあるiPad。ではiPadの逆襲はあり得ないのでしょうか。前述のiPhoneの通知が邪魔、という話も少しヒントになりますが、やはりiPadの特徴である画面の大きさ、そして「iPhoneではないこと」が、iPadらしさ、あるいはiPadらしい使い方を考えるヒントになるのではないでしょうか。AppleはiPadのプロモーションサイトを開設しました。「Everything changes with iPad.」というタイトルがつけられた特設ページ。ここでは、5つの場面、「クッキング」「学ぶ」「スモールビジネス」「旅に出る」「模様替え」で、どのようなアプリでiPadを活用するかを紹介しています。これらのストーリーを見てみると、なるほどと思わせる部分が多々あります。Macでやれば良いじゃないか、iPhoneでやれば良いじゃないか、同じアプリもあるじゃないか、と思う部分もありました。しかしながら、実生活で考えてみると、そうしたツッコミがだんだん勢いを失っていくにも気づかされます。キッチンで、自立するスマートカバーがついていて、より画面が大きなiPadを使ってレシピを見る。レジでSquareでカード決済をする際、お客さんを待たせないように素早く操作する。家具や装飾の配置を検討するとき、大きなiPadの画面で合成した結果を見る、など。これらはAppleが提示した、「iPadらしい使い方」の例です。いずれも、画面サイズのメリット、デバイスとアクセサリによって、利用シーンを創り出している様子を見つけることができます。一つずつ見てくと、視認性、操作スピード、疑似体験性といった点で、iPadがiPhoneに勝る、と判断できます。上記のメリットは画面サイズに起因しています。「iPhoneにはない」というメリットは、「電話」という割り込みがない、という点で片付きます。例えばiPhoneでレシピを表示しながらキッチンで料理をしていたり、iPhoneで店頭でSquare決済をするとき、もし電話がかかってきたらこれらの作業を中断せざるを得なくなってしまいます。もちろんiPhoneになるべく集約する方向性は変わらないでしょう。同時に、より効率や便利さを求める際、別のデバイスの必要性が出てくるわけです。Appleはそこをこれから喚起しようとしているのではないでしょうか。もちろん、Appleの売上につながるわけですが。●iPadは確実にiPhoneよりも重要なデバイスになる○iPadはもう変わらなくても良い?iPadが改めて発展するために、デバイスそのものがこれ以上変わる必要はないのかもしれません。2010年にiPadが登場したとき、筆者は「Jobsが世に送り出す、形あるデバイスとしては最後」という原稿を書いた覚えがあります。そのときは、「持ち運べる板」というシンプルを極めた形を前にして、これ以上どうしようもないな、という諦めに近い感覚がありました。Steve Jobs氏は翌年亡くなり、iPadは、筆者が考えていたデバイス進化論とは別の形で「Jobsが世に送り出す最後のデバイス」になってしまいました。前述の通り、iPadは第三世代でRetinaディスプレイを搭載してから、軽さ、薄さ、処理性能、カメラなどの進化はありましたが、本質的に何かが変わったわけではありません。おそらく、iPadだからできることを、考えて、見つけていかなければならないのだと思いました。iPadが動詞化するような強烈な使い方が発見されても良いし、iPadが必要なライフスタイルを総合的に作り上げていくアプローチでも良いと思います。あるいは、このままスマホに押されて、いらないデバイスになるのを待つか、その二択になるでしょう。少し未来の話をすれば、iPadは確実にiPhoneよりも重要なデバイスになる、と個人的には考えています。Apple Watchが、iPhoneが担っている通信やストレージの機能を飲み込むほど技術発展があれば、iPhoneのような、大きくも小さくもないサイズのディスプレイを持つ必要がなくなるからです。おそらく人々は、最も身近な画面表示と操作のデバイスとして、iPadを必須にすることでしょう。しかし、家のテレビ、デスクのディスプレイと並ぶ、身の回りにある複数のサイズのディスプレイの1つ、になってしまう可能性もありますが。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年05月27日ヤマハは、iPhone/iPad /iPod touch内にあるオーディオファイルを自動解析し、コード譜を表示できるアプリ「Chord Tracker」を発表した。価格は無料。同アプリは、iPhone/iPad /iPod touchに保存されたiPodライブラリ内の楽曲を指定し、自動解析させることでコード譜を生成可能。曲を再生し、コード進行を見ながら右手でメロディー、左手でコードを演奏したり、右手でコード、左手でベースを演奏するなどして楽しめる。また、コード情報の編集、テンポやピッチの変更、ボーカルなどのメロディーパートを小さくするメロディーキャンセル機能も装備。加えて、iOSデバイスと対応楽器を接続することで、抽出したコード情報を楽器に送信したり、演奏を録音したりすることもできる。なお、デジタル著作権管理(DRM)で保護されている曲は利用できないということだ。
2015年05月27日IK Multimediaは、iPhone、iPad、iPod touch用のギター/ベース・アンプ & エフェクト・モデリング・アプリの最新版となる「AmpliTube for iPhone」、「AmpliTube for iPad」バージョン4をApp Storeにて公開した。価格は両アプリともに2,400円。同アプリの最新バージョンでは、Mac/PC版の「AmpliTube 3 Custom Shop」と同じ音声処理アルゴリズムを搭載し、サウンドクオリティが向上。ストンプ、アンプ、キャビネット、マイクなど100種類以上のギアによる拡張が可能となった。また、3D表示のキャビネットと最大2本の集音マイクの位置を自由に設定できる新しいCab Room画面、アンプの後にも設定可能な2つのストンプ・エフェクトも装備。さらに、アプリ内課金により、4トラック・ルーパーや高品位な16種類のマイクなども新たに追加が行えるということだ。
2015年05月26日ちょうど1年前のWWDC 2014でiOS 8の新機能として発表されると噂されていた「iPadの画面を分割して2つのアプリを同時表示する機能」が、今年6月8日に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されるWWDC 2015において、やはり噂の12インチクラスiPadとともに発表されるのではないかと騒がれている。9 to 5 Macが5月21日(米国時間)に報じている。9 to 5 Macが関係者の話として伝えるところによれば、12インチクラスの新型iPadは「J98」「J99」の開発コード名で呼ばれ、WWDC 2015のタイミングにも発表される可能性があるという。大画面iPadの噂は昨年2014年夏頃から出始めており、同年末の時点で「春ごろ」との話が出た後、最終的に「2015年後半にリリース」という話がサプライヤ筋から伝えられている。Appleが考えるこの大画面iPadの位置付けは、従来の9.7インチや7.9インチのiPadのそれとは異なるものになると予想される。まず2015年後半でのリリースを報じたWSJによれば、大画面iPadではUSB 3.xクラスの高速ポートをさらに追加するなど、可搬性よりも据え置きやPC的な用途での利用を想定している様子がうかがえる。これには2つの意味があり、複数のUSBポート内蔵で給電と同時に複数の周辺機器やドッキングステーションの利用が可能になるということ、そして「Lightningポートの排除」という可能性も示唆している。現行のiPadではLightningポートしか搭載しておらず、もしこれを「USB-C」のような規格で置き換えるようになれば大きなトピックだ。またスタイラスのオプションが用意されるという話もあり、手軽な操作性というよりも、教育や業務、イラストレーターなど、よりプロフェッショナルな用途での場面にも活路を見出しているといえる。このほかiOSの新版では2つのアプリの1画面同時表示機能をサポートし、ちょうどWindows 8/8.1におけるModern UIアプリのような形で1つの画面を2つに分割して、それぞれの"枠"でアプリが個別動作するようだ。この分割表示モードは噂の12インチクラスiPadだけでなく、既存のiPadでも利用可能で、画面分割モードも50:50の1/2モードのほか、1/3と2/3といった具合に比率を変更可能だという。別々のアプリの同時表示に加え、例えばMobile SafariのようなWebブラウザで2つの異なるページを同時分割表示させたりと、同一アプリの共存も可能だとしている。こうした仕組みも前述「プロフェッショナル用途」や「大画面の活用」を前提としたもので、シンプルさをうたっていたiOSが変革期に差し掛かりつつあるともいえる。これと合わせ、12インチクラスのiPadでは「従来モデルから解像度が変更される」可能性も考えられる。iOS 8とiPhone 6/6 Plusでは従来とは異なる解像度体系が導入され、これをスケーリング機能によりアプリが自然な形で吸収できるようにした。これまで1024×768のノーマルサイズと4倍解像度のRetinaの2種類しかなかったiPadにおいても、iPhone 6と同様の変化が起こる可能性がある。もう1つ、新iOSにおけるiPad向けの新機能としてマルチユーザーログインの導入も検討されているようだ。これは複数のユーザーが1つのタブレットを共有利用することを想定したもので、例えば12インチクラスiPadのように比較的大型画面の端末をリビングなどに配置して、家族内で使い回すといったことも容易になるとみられる。大画面iPadの登場は、iOSとApple製タブレットのPC化をよりいっそう推し進める役割を果たすのかもしれない。なお9 to 5 Macによれば、これら機能はまだ計画途上にあり、WWDCのタイミングまでに導入が中止される可能性があることも示唆している。
2015年05月22日●iPadの市場は今後も縮小傾向が続く?4月からゴールデンウィークにかけて、本連載でも個人的にも、真剣にMacBookシリーズについて真剣に考えた1カ月強でした。今もなお、2015年中の本気のリプレイスを検討し、ノートパソコンの新しい基本形となるであろうMacBookと、成熟と新しさを兼ね備えたMacBook Pro 13インチ。どちらも魅力的な選択肢で、買い換えても損はしないと思います。その一方で、頭の片隅にありつつ、長らく話題に触れなくなってしまったiPad。いや、使っていないわけではないんですよ。むしろ毎日リビングルームで活躍しているほど。ただ、使い方があまりに変わらぬ日常過ぎて、特筆すべきことがなくなってしまっていたんですよね。これは良いことでもあり、悪いことでもあります。Appleの2015年第2四半期決算でも、iPadは前年同期もアナリストの予測も下回る1,262万台の出荷に留まり、縮小のトレンドが続いています。ただ、自分のiPadとの接し方を考えてみて、少し納得できる部分もあります。お題【iPadを再起動しよう】解決策→iPadという存在について考えてみる●iPadの存在意義を洗いなおす○iPadシリーズも成熟し、すでに十分魅力的、ゆえに基本的に本連載は、筆者の非常に個人的な意見、感想ばかりなので、あえて断るまでもありませんが、殊、現在使っているiPad mini Retinaディスプレイモデル改めiPad mini 2については、「非常に」をつけるほどに満足しています。いや、まさか同じものが、名前のアップグレードを受けるとは思っていなかったのですが。iPad mini 3やiPad Air 2が登場し、特に後者は薄さとディスプレイのキレイさに感動しましたが、じゃあiPad mini 2を買い換えるほどか、といわれると必要性を発見しにくかったというのが本音です。もちろん、Retina化される以前のiPad 2や、Retina化されても分厚く持ち歩きに不向きだった第三世代iPadを持っている人には魅力的と言えるかもしれません。ただ、後述の筆者の使い方だと、買い換えなくても問題ない、という評価もできるでしょう。第三世代iPad、つまり2012年に発売されたモデルを持っている人は、既にRetina化が済んでいることから、ゲームや何らかのコンテンツ編集を行わない人、つまりビデオ視聴が中心のユーザーにとっては、既に充分な性能を備えている1枚、と言えるわけです。形も既にシンプルで、最新モデルでは薄さも極まっており、早い段階から成熟していたiPad。このあたりが、iPadが伸び悩んでいる理由の1つと言えるのではないか、と思いました。○コンテンツを見る道具として最高さて、筆者のiPad mini 2(と呼んで良いですよね、買ったときと名前は違いますが……)。コンパクトで軽く、Retinaディスプレイの高精細なディスプレイとステレオスピーカーは、「コンテンツを見る道具」として十分な性能を発揮してくれます。筆者は米国・バークレーの自宅で、iPad mini 2を毎日使っています。主に、ビデオの視聴が中心です。だったら、より画面サイズが大きなiPad Airシリーズの方が良いんじゃないか、と思われるかもしれませんが、そうでもないのです。使い方としては、Amazon Instant Videoや、NetflixもしくはHulu(見たいドラマごとに契約を変えてる)、CrunchyRollなどのアプリで見たい番組を選んで、Apple TV(1世代古い、720p対応モデル)がつながったテレビに映像を飛ばして楽しんでいます。つまりiPad本体のディスプレイを使わずビデオを楽しむ時間が多いため、たまに外に持ち出すときにはより小さな方が良い、という考え方です。基本的にiPadのスマートカバーを閉めた状態で視聴するので、電池も心なしか長持ちします。ディスプレイ使いませんからね。それならiPhoneからApple TVに映像を飛ばせば良いじゃないか、と思われるかもしれませんが、それではダメなのです。電話がかかってきたり、メールが届いて返信しようとしたり、映像を見ながら辞書やWikipediaを調べたくなったとき、間違って映像が止まってしまったら困るじゃないですか。○iPhone 6 Plusにお株を奪われた部分もiPad mini 2は、ビデオに限らず、割とコンテンツを楽しむ使い方が中心でした。あるいはBluetoothのコンパクトなキーボードを使って、ときおりで先でiPad miniを使って取材メモを取ったり、アイディアを考えたりすることもありました。ここで、iPadが伸び悩むもう一つの理由として考えられる実体験を見つけています。それはiPhone 6 Plusの存在です。iPhone 6 Plusは5.5インチRetinaディスプレイを搭載しています。数字の上では大したことないですが、7.9インチのiPad mini 2の方がやはり大きく、また4:3の縦横比も「画面が広い」印象を創り出しています。とはいえ、外付けキーボードを使ったちょっとしたメモ書きなら、iPhone 6 Plusでも充分な広さを確保できるようになってしまいました。特に、横長に構えると、メールやEvernoteなどのアプリでは、左にメニュー、右に内容や編集画面、という2画面構成も利用でき、非常に実用的です。この画面構成も、iPadのお株を奪うもの、という感じがします。また、メディア消費についても、特にKindleなどの電子書籍は、iPad mini 2ではなくiPhone 6 Plusで読むようになってしまいました。上手く文字サイズを調整すると、ちょうど文庫本の1ページの紙幅のような感覚になり、軽い端末も相まって、疲れ知らずで読書が捗るのです。これも、主にiPad mini 2の「読書端末」という用途を、iPhoneが奪っていった格好です。●iPadを再起動させるためのAppleの施策に注目筆者は、iPadがある生活が日常になってしまったという感想を持っていました。とはいえ意外と愛情深く使っていたんだな、という気づきもあります。それ故に、iPadの再起動のストーリーは1回では完結しませんでした。ということで、次回もiPadを再起動する話の後編、ということにしたいと思います。売上低迷の続くiPad、Appleも、おそらく分かっていたこととはいえ、何らかの打開策を見出す必要があると感じているようで、米国のウェブサイトで始まった特設サイトなどに触れつつ、話を進めていきましょう。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年05月21日Positive Gridは、iPadををギターアンプ&エフェクト・プロセッサーへと変えるアプリ「BIAS FX」を発売した。価格は価格は3,600円同アプリでは、新開発のアルゴリズムによる25種の高音質なエフェクト・ペダルをはじめ、高級アナログ機の音質を再現する5種のハイエンド・ラック・プロセッサー、12種のクラシック・アンプなどを搭載。また、チューナー&メトロノームも装備しており、それらすべてを直感的に操作できるユーザーインタフェースとなっているという。さらに、自身で制作したオリジナルトーンに加え、クラウドから他ユーザーのトーンや、アーティストによるシグネーチャー・ペダル・ボードのダウンロードも可能。デスクトップおよびモバイル・デバイス間でプリセットを同期にも対応する。なお、同社「BIAS Amp」とのフル・インテグレーションにより、カスタム・アンプも手軽に利用できる。
2015年05月14日オリックス生命保険(オリックス生命)は4月30日、iPadを約500台を導入したと発表した。iPadは同社の営業担当者に付与し、全国の代理店の募集活動に活用する。営業担当者は、26都道府県・全34支社に在籍する。全国9,500店以上の募集代理店に対し、新商品の紹介や内規改定の通知など、募集代理店が必要とする業務のサポートを行っている。iPadの利用目的は、営業担当者が外出先で募集代理店からのメールの確認、返信などを想定している。訪問時の課題や資料連携などのご要望には、支社に戻ることなくその場で対応することで、これまで生じていたタイムロスを解消させる。また、代理店会や新商品説明会などのセミナーでiPadを活用し、プレゼンテーションを実施する。
2015年05月01日日本郵政グループ、IBM、アップルは30日、業務提携しiPadを利用した日本の高齢者向けサービスを提供すると発表した。サービスの提供開始に向け、2015年度下期より実証実験を開始する。3社が提供するのは、日本の65歳以上の高齢者約3,300万人に向けた生活サポートサービス。高齢者にiPadを配布し、家族、自治体・地域の事業者および郵便局とつながることで、地域のバーチャルコミュニケーションの基盤と高齢者コミュニティを創造していくという。2015年度下期より予定されている実証実験では、日本郵便が展開している「みまもりサービス」と連携し、対象地域の高齢者向けに、各種ネットサービスの提供や郵便局社員などによる生活支援などを行う。アップルはFaceTime、メッセージ、メール、写真、iCloudなどのアプリや機能、App Store、iTunes Store、iBook Storeで提供する様々なコンテンツへのアクセス、iOS 8に標準搭載されたアクセシビリティ機能を提供する。IBMは、日本IBM東京基礎研究所が中心となって開発したアクセシビリティ技術や自然言語解析技術を応用し、高齢者向けのアプリを開発する。また、IBM MobileFirst for iOSプラットフォームの専用クラウド・サービスによるデータ統合とセキュリティ、アナリティクス、機器管理のほか、システム構築や日本郵政グループ社員向けの研修を実施する。サービスは「みまもりサービス」のほか、親世代・子世代向けの「コミュニケーションサービス」、自宅から申し込める「買い物支援サービス」、自治体と連携した「地域情報サービス」、各種相談サービスなどを段階的に提供していく。各社では2020年に400万人から500万人規模の利用を見込んでいる。
2015年05月01日日本郵政グループ、Apple、IBMは4月30日、高齢者向けのサービス開発で業務提携すると発表した。iPadとiOSプラットフォーム、IBMのITサービス、日本郵政のネットワークや地域密着性を活かし、日本国内で3300万人に上る高齢者と家族や社会のつながりを深めるサービスの実現を目指す。新サービスはAppleとIBMが昨年7月に発表したグローバルパートナーシップを基に構築される。高齢者や子どもでも画面に触れて直観的に操作でき、アクセシビリティ機能も充実したiPadを端末に、IBMグローバル・ビジネス・サービスが高齢者向けの専用アプリを開発する。高齢者向けのアプリやガイダンスにはIBM東京基礎研究所が中心となって開発したアクセシビリティ技術および自然言語解析技術が応用され、薬を飲む時間の通知、運動・ダイエットのおすすめ、コミュニティ活動や高齢者支援サービスへのアクセスなど高齢者の生活を幅広くサポートする。データ統合やセキュリティ、アナリティクス、数百万台規模のデバイス管理といったインフラはIBM MobileFirstのクラウドサービスが担い、システム統合サービスを提供するIBMが日本郵政グループ職員への研修も行う。そして2万4000局の郵便局と40万人のグループ職員を持つ日本郵政のネットワークが、地域差のない全国規模のサービス展開を可能にする。新サービスは、iPadと高齢者向け専用アプリのパイロットプログラムを経て提供開始になる。日本郵政は日本郵便の「みまもりサービス」にiPadを活用する実証実験を2015年度下半期に開始する計画で、サービスを段階的に増やしながら、2020年までに400万から500万人へのサービス提供を目指す。現在、日本の高齢者は人口のおよそ25%を占めており、今後40年の間に、その割合が40%以上になると予測されている。高齢者の割合は世界規模でも2013年の11.7%から2050年までに21%に増加する見通しだ。Apple CEOのTim Cook氏は「多くの国が高齢者をサポートする課題に直面しており、この取り組みは世界に大きな影響を与える可能性がある」とコメントしている。
2015年05月01日アドビ システムズは、写真と文字を組み合わせたWebコンテンツを作成できるiPad向けの無料アプリ「Adobe Slate」を公開した。「Adobe Slate」は、写真と文字を組み合わせて「ビジュアルストーリー」を作成し、Webコンテンツとして公開できるiPad向けの無料アプリ。同アプリで作成した作品は、専用のURLによってWeb上で公開されるため、タブレット、スマートフォン、PCなどデバイスを問わず閲覧できる。また、専用URLはSMSや電子メールでの送信、Webサイトへの埋め込み、SNSへの投稿に対応している。機能面では、アニメーション作成アプリ「Adobe Voice」をベースに開発されており、「Adobe Voice」と同様に、作品のイメージを決める「テーマ」が豊富に用意されている。「テーマ」はワンタップで選択可能。「Adobe Slate」のユーザーインタフェースでは、テキストの追加や写真レイアウトの選択、表示方法と動きの指定が行えるようになっている。そのほか、別のWebサイトや関連情報をリンクできる「Call-to-Actionボタン」機能も搭載。「Donate Now(今すぐ寄付)」「Learn More(詳細はこちら)」などとした部分に、リンクを付けることでユーザーの行動を促すことができる。対応OSは、iOS 8。対応デバイスはiPad 2以降のiPad。
2015年04月23日オークニーは4月21日、訪問営業を支援するモバイルCRM「Orkney Upward」をバージョンアップしたと発表した。今回のバージョンアップにより、iPadでの利便性が大幅に向上したほか、クロス分析やヒートマップ表示などロケーションインテリジェンス機能が強化され、これまでより高度な分析が実現可能となった。PC/タブレット/スマホと業務ニーズに合わせてデバイスの利点を最大限に活かし、オフィスだけでなく外出先でもシームレスにCRMに蓄積された情報を活用できる。同アプリの利用には基本パック(Professional:5ユーザ)2万円/月の契約が必須で、その他の費用として、初期登録費用10万円のほかに、Basicエディションでは800円/月、Standardエディションでは2,000円/月、Professionalエディションでは4,000円/月が必要となる(すべて税抜価格)。動作環境は、iOS 7以上。Salesforce1アプリが動作するデバイスにおいては、Salesforce1対応アプリとして動作する。
2015年04月22日AppleのiPadが米国で販売開始されてから4月3日で5周年を迎えた。発売されてから1カ月後には販売台数100万台を突破、この5年間で2億5,000万台以上が売れたという。また、iPad専用の審査済みアプリは72万5,000タイトルを越えた。iPadは2010年1月28日、 サンフランシスコで開催されたイベントで最初のモデルが発表となり、同年3月12日から米国内のApple Online Store、Apple Store実店舗で予約受付が開始された。発売の1週間前には、Apple Store実店舗とほぼ全店のBest Buyで購入可能になるというアナウンスが流れ、4月3日に販売が開始されると爆発的に売り上げを伸ばし、1カ月で販売台数100万台を突破。この時すでに、ユーザーはApp Storeから1,200万本を超えるアプリを、iBookstore(現在はiBooks)から150万本以上の電子書籍をダウンロードしていたという。iPadがその後も人気を博したことについては論を俟たないが、この5年間での売り上げ台数は、なんと2億5,000万台を越えているとのことである。昨年10月に開催されたiPad Air 2とiPad mini 3、iMac Retina 5Kディスプレイモデルなどを発表したスペシャルイベントでは、同社のCEO・Tim Cookが、2014年第三四半期までの12カ月間のPC出荷台数はiPadが第1位であったことを報告した。同氏は同イベントで顧客満足度も1位であると述べたが、これについては興味深い調査結果が残っている。米調査会社ChangeWave Reserchによれば、2014年5月に行ったリサーチでは、iPad Airについては98%のユーザーが製品に満足しているという数字が出ている。さらにiPad mini Retinaディスプレイモデルにいたっては100%、すなわち購入したすべてのユーザーが満足しているというのである。にわかには信じ難い数字だが、こういった調査にも表れている満足度の高さが、iPadが継続して売れている理由のひとつであることには間違いない。日本国内においても、IDC Japanの調査報告によれば、2014年の国内タブレット端末出荷台数は2013年に引き続き、アップルが年間シェア44.3%で首位。 2位につけたASUSのシェアは10.3%ということで、他社に圧倒的大差をつけていることが明らかになっている。年末商戦期を含む、2014年第4四半期(10月-12月期)だけも参照してみても、アップルのシェアは44.9%で首位。2位の富士通は(8.3%)で、やはり大きく水を水をあけられた結果となっている。一方、Androidスマートフォン同様、他のタブレットは叩き売りに近い状態で販売することでシェアを維持しているが、その結果、実際には使われていないという現象が起きているようだ。発売から数カ月後にサポートが打ち切られるというケースも少なくなく、iPadのように、ユーザーが安心して継続利用できるという環境を提供できていない。似たようなものは他にも沢山あるが、iPadはまったく違うレベルの製品である。単に軽くて薄い、Retinaディスプレイが綺麗といった特性だけに留まらない。それは前述のように継続して利用が可能であること(このことは特に教育分野では大きなアドバンテージとなる。等質な教育現場の実現が可能となる)、セキュリティが強固であること(最新モデルのiPad Air 2とiPad mini 3ではTouch IDも搭載され、さらに安全性が高められている)といった点にも表れている。これらは、ハードとOSとサービスをひとつの会社が行なっているからこそ達成できたことだ。そして、それはまたAppleの伝統でもある。発売から5年、iPadは人々のコミュニケーションやライフスタイルにも変化を齎した。2013年に発表された「Apple - Making a difference. One app at a time.(アップル - 一つひとつのアプリケーションが、より良い世界への一歩になります。)」に登場する、発話における意思疎通に困難のあるエンリケくんがiPadを使って周囲の人々とコミュニケーションを図っている様子は、好例と言えるだろう。そしてこれからも、iPadは人々の生活を変えていく。
2015年04月03日ヤマハは3日、iPad/iPhoneでVOCALOIDによる本格的な歌声制作が楽しめるiOSアプリ「Mobile VOCALOID Editor」を発売した。期間限定セール価格は3,600円(4月13日まで、税込み、通常4,800円)。「Mobile VOCALOID Editor』は、iPad/iPhoneでパソコン版「VOCALOID Editor」とほぼ同等の環境で歌声制作が楽しめるアプリ。同社が2010年よりiPad/iPhone向けに提供してきた同様のアプリ「iVOCALOID」よりも本格的な環境で歌声制作が行えるという。最大16トラックでの歌声制作、1アプリ内での複数の歌声の使用、トラックやパートごとの歌声の切り替え、MIDI機器からの「VOCALOID」トラックの入力、iTunesを通じたPC上のオーディオトラックの取り込み、シンセやギターなどからのオーディオトラックの直接録音、豊富な調整パラメータを利用した歌声の調整など、このアプリ1本で歌声制作環境をそろえることができる。また、インタフェースはパソコン版「VOCALOID Editor」でもなじみ深いピアノロールでのトラック入力だけでなく、アプリに内蔵されたソフトウェア鍵盤からのリアルタイム入力やステップ入力も可能。加えて、同アプリには歌声ライブラリとして、スタンダードな女性声である「VY1_Lite」も同梱しているため、すぐに歌声制作を始めることができる。その他の歌声ライブラリは、アプリケーション内のストアからダウンロード購入することで追加する。加えて、各「歌声ライブラリ」にはデモ曲の制作データが同梱されているため、人気の「VOCALOID」楽曲を手がけるクリエイターが制作したデータを参考にしながら歌声の制作が楽しめる。なお、制作した楽曲データは、ミックスダウンしてオーディオファイル(WAV、AAC)として書き出せるようになっています。「AudioCopy」「AudioPaste」機能にも対応しているため、他のiPhone、iPad用の音楽アプリとコピーペースト感覚でオーディオデータをやりとり可能。クラウドストレージや自動作曲機能などを無料で利用できる「ボカロネット」を利用することで、パソコン版の「VOCALOID4 Editor」などと、「VOCALOID」形式のデータファイル(vsqxファイル)をクラウド経由で直接やりとりすることもできる。
2015年04月03日USENは4月2日、iPad及びiPod touchアプリケーション「USEN Register」の提供開始を発表した。iPadやiPod touchに対応したクラウド型POSレジで、従来のPOSレジと比べて低コスト・省スペース・モバイル化を図っている。専用アプリを端末にインストールすることで、一般的なレジ機能ともいえる商品の入力・会計処理のデバイスとして利用できるほか、クラウド上での自動売上管理・分析機能も備える。特に売上管理・分析機能では、これまで手計算やEXCELなどアナログな作業で実施していたABC分析や簡易PLなどが可能になるため、飲食店や小売り店舗の負担軽減に繋がる。また、オプションとして顧客管理機能やチェーン店向けの日報機能も備えているだけでなく、オーダーエントリーシステムが安価で導入可能で、様々な店舗オペレーションに対応可能となる。さらに、同社は、これまで店舗まわりの課題解決に対応してきた、導入前から導入後にわたるノウハウを最大限生かし、24時間365日体制のサポートを行う。サポートは、「USEN Register」利用店舗を対象とし、料金は月額サービス料に含まれる。「USEN Register」の初期導入費は、6万5000円~で、月額利用料はPOSレジアプリが6000円、ハンディーは4000円(3台目まで)、USEN音楽放送とレジアプリのパックは9980円となる。同社では、12月末までに8000店舗への導入を目指す。
2015年04月03日東京都多摩市の公立愛和小学校は、25日に実施した卒業式で、卒業する生徒8人に対し、卒業記念品として「iPad卒業証書」を授与した。同卒業証書の制作はカヤックが担当。本体の裏面に賞状の紋様が彫り込まれているほか、6年間の行事の写真や校歌などが収録されている。愛和小学校の卒業生徒に授与された「iPad卒業証書」は、iPadの裏面に「卒業証書」という文字や紋様がレーザーカッターで彫り込まれたもの。同学校の校長である松田孝先生より、卒業生ひとりひとりに授与された。ホーム画面には、卒業アルバムのように、「クラスメート」「担任」「職員室」の写真アイコンが並び、それぞれ直筆のお祝いメッセージを収録。また、6年間の行事写真、校歌、6年間の身長体重データなども閲覧できる。そのほか、3年後、6年後、12年後にしか開けない“タイムカプセル”として未来への自分へ向けたメッセージも収録されているという。
2015年03月30日去る2月28日、"Apple Distinguished Program"に選出された大阪府東大阪市の近畿大学附属高等学校・中学校が「iPadと進化する学校教育」と題したイベントをApple Store Ginzaにて開催した。当日は同校の教員、生徒とその父兄をはじめ、多くの教育関係者らが詰めかけた。このイベントは、昨年度4月から新入生に1人1台ずつiPadを導入、現在は中・高あわせて3,000台のiPadが稼働している近畿大学附属高等学校が、iPad活用の最新事例を報告するというもの。生徒の学習成果物作成、教材プリントや解説動画の作成と配信、クラブ活動や文化祭での利用まで、学校生活を送る中、欠かせない存在となったiPadの使用事例を紹介してくれた。モデレーターを務めたのはITジャーナリストの林信行氏。先にタブレットを導入しようということだけ決まっていて、後からどうしようという学校も多い中、近大附属高校は先生方がそれぞれビジョンを持っていて、そこにピッタリiPadが嵌った事例であるという前口上ののち、同校の岡崎忠秀校長を紹介。岡崎校長は、iPad導入後、生徒たちが能動的になって、何よりも自ら学ぼうとする気持ちが非常に日々芽生えていっている、iPadは教育を変えてくれていると所感を述べた。続いて、同校のICT教育推進室・室長の乾武司教諭が登壇。乾教諭は、iPadの導入に関して、操作性はもちろん、授業として使うツールとして完成度が高くアプリケーションも豊富、加えて安全性も高く、信頼に足るものであったからと話す。また一人一台持たせた理由として、元々iPadは個人的な道具である、個人が所有することで最大限のパフォーマンスを発揮するという点を強調していた。それ故、「規制」は似合わない、最小限の規制で自由な発想を活かせるようになるのだととも話していた。最小限の規制で何が生まれたのか、その具体的な事例を女子生徒が紹介。同校は「CYBER CAMPUS」という教育機関向けの情報共有・学習支援に特化したクラウド型ソリューションを利用しているが、宿題などは、この「CYBER CAMPUS」から送信されてくるそうだ。同女子生徒は、iPadを使うようになってから、勉強に対する意欲が変わったという。iPadには沢山の資料が入っており、持っていればいつでもやりたいときに学習に取り組むことができる、その手軽さが学習態度に反映されているのではないかとのことだった。新しいことをする楽しさについても触れ、今行っているプレゼンテーションはその新しいことの一例であると説明した。また、自立心についての意見を述べ、一人一人が自覚を持って自制心を養うのが大事だと続け、「私達が次世代の高校生のスタンダードになれるようにがんばっていきたい」という言葉でプレゼンテーションを締めくくった。次に登壇した男子学生は、iPadの導入により「学び」にどのような影響があったのかを報告した。「インターネットの潜在力を利用できるようになる」「学習のパフォーマンス向上につながる」「アクティブになっていける」「ディペンダブル(頼りになる/信頼できる)なツールを手にできる」と4つのポイントを挙げ、キーワードの最初の1文字を並べ(internet/performance/activate/dependable)、これが「iPad」であるというオチまでつけて、iPad導入のメリットについての発表を行った。前半が終わったところで再び乾教諭が登壇。学校側が携帯電話の使用を禁止しインターネットの利用を制限していた時期があったことについて「調べる手段を封じて、知識にアクセスしにくい環境を作ってしまっていた」と反省するとともに、iPadを使う場面の規制を緩和することで、生徒の行動範囲を広げ、自主的な問題解決を促すことができると、熱弁を奮った。「英語は教科ではなくて、コミュニケーションのための道具であるという意識を持って欲しい」と話す英語科の青山祐子教諭は、インプットだけでなくアウトプットも必要であると感じたという。ただ、その中で絶対的な時間不足を実感しており、その克服としてiPadを活用しているとのことだった。限られたコマ数を有効利用するために文法演習の解答、解説を動画で配信し、Podcastで各自リスニングをさせ、音読発表をやめてiMovieで動画作成課題をメールで提出させるようにしたと、その実例を解説してくれた。生徒たちが卒業するまでの目標としては、人前で話す訓練を継続し、生徒自身が学びのオーガナイザーとして育っていくことを掲げているが、実現に向けては、教員はそれを見守り、ヒントを出していくファシリテーターの立ち位置へ移行するべきだという考えを示した。社会科の神野学教諭は、iTunes Uの運用について持論を展開した。iPadを導入した最初の年度が終わりに近づいた時、同教諭は、これで良かったのだろうかという消化不良感があったとその時の心情を吐露する。これから何にチャレンジしていったらいいのだろうと思案しているそんな時に、アップルのWebサイトで出会ったのがiTunes Uで、iPadを使って知的探求をさせてみたくなったと触発された経緯を話した。遊ぶように学んでいって欲しいと感じているという神野教諭は、コースの中に様々なアプリを組み込めるiTunes Uのアドバンテージを力説し、一斉授業の時間を短縮でき、生徒の能動的に学びたい気持ちを掘り起こせるとも伝えていた。また、iTunes UとiPadを活用した授業を進めていくうちに、教師としての立ち位置を見直すきっかけもできたと、自身の変化についても言及した。最後は森田哲教頭が登壇。自由度を高めた授業をどのように再構成していくのかが課題であるという問題提起ののち、ICT教育を導入することで、自分たちが教えようとしていたことは何なのか、どうして自分は教員になりたいと思ったのかという本源的な部分まで遡って、どのような生徒を育てていくのかという本質的な問題にまで発展していくだろうと述べた。森田教頭は、G.K.チェスタートンのエピソードを引用しながら、解決策を正しく探るには問題を正しく認識する必要があると指摘し、子供たちを変えたいのであれば、まず教師自身が変わらなければならないと説いた。なお、本イベントの様子はPodcastでの配信が行われているので、あわせて、そちらも是非ご覧いただきたい。
2015年03月24日●新MacBookはiPadキラー的な存在にAppleの「Spring Forward」イベントは、最初から最後まで面白かった。飽きることなく、あっという間の90分だった。まず、買えるものならすぐにでもポチりたいと思ったのが新しい「MacBook」。ユーザーを選ぶMacだが、筆者の使い方にフィットする。処理能力が必要な作業とメディア管理にはMac miniがあるため、すでに13インチMacBook AirをほとんどiPadと同じように使っている。常にバッテリー動作で、ケーブルを接続するのは充電の時だけ。データのやり取りは全てワイヤレス。だから、ポート類がヘッドフォンポートとUSB-C×1ポートだけでも全く問題ない。薄くて軽くて、打ちやすいキーボードが付いている理想的なモバイルノートだ。簡単に着脱できるという点では端子をポートに差し込む必要があるUSB-Cよりも、マグネットで引っつくMagSafe電源アダプタの方が扱いやすい。MagSafeでなくなったのは残念だが、「ケーブル1本」をユーザーに強いるのがポイントだから仕方ない。USB-CはUSB規格であり、将来対応する周辺機器が増えることを考えると「PCをUSBで充電できること」のメリットは大きいと思う。これまでAppleはMacのあるべき処理能力の基準を設けて、その範囲でMacBookシリーズをデザインしていた。新MacBookは、そうした基準を一旦ご破算にし、iPhoneやiPadがモバイルの主流になった時代のモバイルノートとして一からデザインし直している。新MacBookのプロセッサは従来のMacBookでは基準を満たしそうにないほど非力であり、代わりに電力効率が良く、ファンレスでポータビリティに優れている。MacBookと名付けられ、見た目もMacBookだが、従来のMacBookとは設計思想が異なるデバイスである。名称を「iMacBook」とかにしても良かったぐらいだ。従来のMacBookシリーズのユーザーから見ると、新MacBookはCPUパワーが犠牲になりすぎている。しかし、日々のコンピューティングをiPadやiPhoneでこなしている人たちにとっては十分なパフォーマンスであり、むしろ打ちやすいキーボード、操作しやすいトラックパッド、そして他のPCにはないポータビリティ(薄型軽量、ケーブル1本)が大きな魅力になるはずだ。その意味で新MacBookは最強の「iPad Air 2」キラーになる。筆者自身、新MacBookに魅了されているが、iPad Air 2を気に入って毎日使っているだけにちょっと複雑な気分でもある。でも、こういう競争はSurface Pro 3も含めて大歓迎だ。噂の12インチiPadへの期待も高まる。新MacBookはiPhoneやiPadのユーザーに馴染むこれからののPCであり、これで存在が危うくなるのはiPadではなく従来のモバイルPCだ。●Appleは操作性と質感だけは伝わったが……○Apple Watchはプライムタイムのデバイスか?Apple Watchについては、よく言えば「ポイントを上手く見せていた」、悪く言うと「見せたいことだけ見せていた」という印象だ。操作性と質感の良さは伝わってきたが、OSやUIの出来については実際に時間をかけて使ってみないと分からない。The VergeのNilay Patel氏は、Watchインターフェイスには学習が必要で「どこにいるのか分からなくなる、何が起こるか予想できないという感覚はApple製品らしくない」と書いている。ハードウエアについても準備が整っているのか不明な点が多い。もしかすると、滑らかな動作によって、バッテリー動作時間が犠牲になっているかもしれない。AppleがApple Watchで目指していることは伝わってくる。そこは評価したい。だが、Apple WatchほどリッチなUIのウエアラブルで、Appleが目指すユーザー体験を、今日の技術(プロセッサ、バッテリーなど)で実現できるのか、疑問符を付けざるを得ない。どこかにひずみが生じていても不思議ではない。ただし、まだ早すぎるデバイスだとしても、Apple Watchが失敗するとは限らない。iPhoneだって、2007年に登場した初代モデルは早すぎるデバイスだった。それでも多くの人を魅了し、第3世代の頃にはハードウエアとのバランスが取れるようになって、Appleのビジョンが形になり始めた。Apple Watchはまだ、プライムタイムのデバイスではないかもしれない。そうだとしても、その時が来たら開花する可能性を感じられるものなら、このタイミングで飛びつく開発者やユーザーは出てくるはずだ。●Apple Watchの価格の噂はジョークかと思っていた○100万円超のApple Watchは誰が買うのか?さて、数カ月前からApple Watchの上位モデルが100万円を超えるという噂が飛び交っていたが、ジョークだと思っていた。だって、Apple Watchは職人が組み立てた精巧な機械ではない。デジタル機器である。しかも、発展途上だ。高価な時計は数十年、数世代にわたって大事に使われ、財産と見なされるが、Apple Watchの商品寿命は数年程度だろう。時間と共にディスプレイは明るさを失い、バッテリーはへたってしまう。高価な時計のようにリセールバリューを長期にわたって維持できそうな"何か"が今のところない。そんなApple Watchに一体誰が100万円超も支払うだろう?そう思っていたのだが、噂は本当だった。Apple Watch Editionは128万円から、最も高価な組み合わせは218万円である。しかし、今回のキーノートでぼんやりとではあるが、Appleの狙いが見えてきた。キーノートで同社はApple Watchを高価な時計として展開するようにアピールしてはいなかった。スーパーモデルのクリスティー・ターリントン・バーンズが登場したが、マラソンレースを目指す1人の女性という感じだったし、終始Apple Watchが普通の人たちの生活をどのように変えるのかに焦点を当てていた。Apple Watchは、やっぱりデジタル機器なのだ。となると、Appleが高級ブランドの腕時計市場を本気で奪おうとしているとは考えにくい。財産やコレクションとして大事にしまっておくような高級腕時計ではなく、使ってなんぼのデジタル機器なのだ。同じウォッチでも土俵が違う。こうした点から推測すると、Apple Watch Editionのターゲットは絞られる。財産やコレクションではなく、普段使いのために高級ブランドの腕時計を身につけている人たち。キズがつくのもお構いなしでロレックスを巻いている人たちだ。つまりデジタル機器としてApple Watchに興味はあるけど、他人と同じものは身につけたくないという人たちを満足させるモデルである。1万ドルを超えるApple Watch EditionについてTim Cook氏は「ユニークで特別な存在」と述べていた。Apple Watch Editionは「限定数」になるという。その言葉通りだろう。本当に少ないのだと思う。この世に数十本しかないというぐらい少なくなければ、1万ドルを超える値札の価値はない。AppleがVertuのようなビジネスに乗り出すのは、それはそれでApple好きとしてはちょっと複雑な気持ちなのだが、それがApple Watch Editionなのではないかと思う。
2015年03月12日●ファーストインプレッションと大型機との違い"iPad絵師"として、マイナビニュースはじめさまざまなメディアからお声がけいただいていますが、モバイル端末での絵画制作は趣味にあたりまして、本職の方ではワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を使用して作業を行っています。今回、最新機種の「Cintiq Companion2」を自宅にて試用する機会に恵まれました。当方が使っている「Cintiq 21UX」は発売から間が空いた機種であること、また「OS内蔵」の液晶ペンタブレットは触れたことがなかったため、2週間ほどお借りして使ってみた所感をお届けします。○最新機種の高精細な画面にため息早速、届いた「Cintiq Companion2」を作業机に設置してみました。本体の大きさ、重さはスペック表で見た通りでしたが、思っていたよりもコンパクトな印象で、ノートパソコン程度といった感覚です。普段使用している「Cintiq 21ux」に比べれば画面サイズは当然小さくなりますが、コンパクトで持ち運びができることが持ち味の機種のため、そこは使い方次第でしょう。ペンケースや本体を収納する専用ケースも付属しており、場所を選ばず作業ができる利点を感じました。本体を起動して最初に驚いたのは、画面の美しさです。「Cintiq 21ux」では画面に近づくと多少ジャギーを感じましたが、「Cintiq Companion2」では全くジャギーが気にならず、高精細な画面にため息が出たほどです。制作において解像度の高さは非常に重要ですし、モチベーションアップにもつながるため、大変魅力的に感じました。描画スピードも、手を動かした後に遅れて線が描画されるようなことはなく快適です。「Cintiq 21UX」に比べ画面が小さい分、拡大縮小をする頻度は多かったように思いますが、そのほかに工程に対する大きな違いはありませんでした。○小型機ならではの脱着式スタンド普段は仕事で大型の液晶ペンタブレットを利用していて、2台目を検討している……という方であれば、一番大きな相違点と感じられるのがスタンドかと思います。私がメインで使っている「Cintiq 21ux」は画面とスタンドが一体となっていますが、「Cintiq Companion2」には、簡単に取り外しができる13インチ機種用の脱着式スタンドが付属しています。(※編集部注:同時期に発売された最新機種の大型機「Cintiq 27QHD」はスタンドなしでの利用も可能になったが、基本的に同社の大型液晶ペンタブレットはスタンドとセットで販売されている)「Cintiq Companion2」の脱着式スタンドは、スタンドを使わない状態を「0」とするなら、3段階の角度をつけて作業を行うことができます。私の場合、あまり画面を立たせてしまうと、手が安定せず疲れてしまうため、わずかに立たせた1段階の状態にして描きました。iPadで絵を描く時はスタンドを使わず描くことも多いのですが、長時間描いていると首が疲れたり、肩コリになったりするので、やはり多少立たせた方が描きやすいですね。ただ、一点気になったのは、脱着式スタンドは、大型機の可動式スタンドと比べると設定できる角度に限りがあるなど、あくまで補助的な物であるように感じられたところです。装着の手順は溝に差し込むだけと簡単で扱いやすいのですが、アクセサリとして大型機のように角度も細かく設定できるものが出てくると嬉しいですね。●「Cintiq 21UX」にはなかった便利機能とその感触は?○ファンクションキーを活用本体左側には複数のファンクションキーが付いており、取り消しや保存、ブラシサイズの変更、手のひらツールなど、基本的な操作を登録することができます。よく使う機能をワンタップで呼び出せて便利です。「Cintiq 21ux」を使用している時、ショートカットキーは基本的にPCのキーボードを使って入力していましたが、本機はファンクションキーを活用するとずっと使いやすくなりました。薔薇の絵の制作過程ファンクションキーの設定は自分好みにカスタマイズできますが、私は押しやすい下キーに最もよく使う「スクロール」、右キーにその次に使う「ブラシサイズの変更」を設定。3本指タッチでラジアルメニュー表示、4本指左右スワイプでアプリ切り替えなどを配置しました。(ファンクションキーを)きちんと使ったことがなかったので最初は少し戸惑いましたが、いちいちメニューを選ぶ手間が省けて作業がスムーズに進められました。また、「Cintiq Companion2」が「Cintiq 21UX」と大きく違う点として、タッチパネルに対応している点があります。いちいちツールを選ばなくても、2本の指で画面を広げてズームできるのは便利でした。指のタッチとペン先は別物と認識されているようで、ズームしようとしたら誤って色が付いてしまった、ということがありません。こうしたミスタッチ、iPadではまれにやってしまいます…。○デスクトップモードについて最後に、旧機種の「Cintiq Companion」(Windows8版)にはなかった、デスクトップモードを試してみました。この機能は、いわゆる通常の「液晶ペンタブレット」の使い方を指し、付属の専用ケーブルをPCにつなげると、PCの画面がCintiq側にも投影されます。ケーブルをつなぐだけで、Windows 8.1による稼働からすぐさま切り替わり、スムーズに使うことができました。総じて、慣れ親しんだ「Cintiq 21ux」と比較しながらの試用となりましたが、「Cintiq Companion 2」は美しい画面で、タッチ操作を用いながら作業できるのが大変便利でした。また、持ち歩きが可能で、数時間程度であれば電源がない状態でもこれ1台で作業が行える、大型機とはまた異なる取り回しの良さも魅力です。これから液晶ペンタブレットの導入を考えている人、また大型機の次に購入する2台目として、活躍の場面は多い頼れるマシンだと思います。
2015年03月11日去る3月1日、Apple Store Ginzaにて、『50代から楽しむiPad』の著者・馬塲寿実氏と83歳のiPad画家・中村作雄氏がナビゲートするシニア向けワークショップ「iPad画家になろう」が開催された。このイベントは、iPadと無料のスケッチアプリ『LINE Brush Lite』を使った絵の描き方を紹介していくというものだ。まずは馬塲氏から今回のワークショップの概要の説明と、中村氏の紹介。中村氏は、馬塲氏の著書『50代から楽しむiPad』にも登場しているとのこと。83歳という年齢は、Apple Storeで開催されたイベント登壇者の中で、おそらく最高齢だろう。この日の参加者は、ほぼ全員、自前のiPadを手に来場。イベント開始時間より前倒しで、使用するアプリの解説があり、レクチャーを受けながら、一斉にダウンロードに勤しむという場面も見られた。馬塲氏は、視覚が不自由な方、高齢でインターネットが苦手な方にユニバーサルな情報提供を行い、支援するNPO法人「ハーモニー・アイ」の代表を務めている。「ハーモニー・アイ」の設立は2006年とのことだが、その一方で、2013年末から執筆活動を開始。2014年の春から「50代からの幸せ研究所」という個人屋号で活動し、iPadやSNSに関する著書を上梓。前述の『50代から楽しむiPad』は今年の2月に刊行された。紹介された中村氏は、iPadを手に、自身の経歴や作品についての詳細を述べた。20年前に淡彩画家に弟子入り、10年ほど前に小林一茶の英訳された作品にインスパイアされ、パソコンで俳画を描くようになったという。その後、鈴木真砂女の、これまた英訳された俳句にイラストをつけるという作品に着手。それらの作品群もパソコンで手がけていたとのことだが、制作期間中にiPadが登場し、ツールとして取り入れることになったのことだ。最初のうちは思ったようには描けず、四苦八苦したらしいが、すぐに操作には慣れたと話す。中村氏が普段、制作用に使っているのは『Brushes Redux』とのことであるが、この日は『LINE Brush Lite』が使用アプリとして選ばれた。「(自身の作例を指して)これくらいの絵は描けるようになりますから」と、参加者には心強い一言の後、実際にiPadを使って作業に取り掛かる。まずは、アプリを起動し、白いキャンバスが表示されているかどうか確認。続いて作成した絵を格納する「ギャラリー」をチェックする。キャンバスで描いた絵は、ギャラリーに保存し、制作途中の絵はギャラリーからキャンバスに呼び出すことができるのだが、中村氏曰く、この操作は言葉で言うと簡単だが、感覚的にはなかなかつかめない、ということで、参加者全員で何度か一緒に操作することに。この段で挫折する方が多いとのことで、ゆっくりと作業が続いていく。そして、いよいよキャンバスに線を描く。ツールなどを表示させるには画面をタップするのだが、これがシニア層、「タップ」と言われても何だかわからない様子で、馬塲氏から即座に「画面をポンと一回叩いてみてください」とアドバイスが飛んでくる。iPhone/iPadを使い慣れているなら「タップ」や「スワイプ」がどういった操作を指しているか、理解していない人はまずいないと思うが、初めて使う人にとっては何かの呪文か暗号と同じだ。先ほどのタップは「画面をポンと一回叩く」、スワイプは「シュッと画面を掃く」といったように、馬塲氏は具体的な言い方に替えて丁寧に解説していた。これなら初心者でもしっかりついていける。キャンバスに描いた線は、覚えたてのギャラリーに保存し、また新たなキャンバスを広げ、別なペンで別な線を描いていく。筆の形状を変えたり、色を変えたり、絵を描くための操作をひとつずつ習得する。この間、紙のノートに忘れないようメモをとる受講者が何人かいたようだが、中村氏は「ノートはとらないように」と注意を促す。メモを取るのと絵を描くのとでは頭の使い方が違うから、そのやり方だと何時まで経っても上達しない、というのが氏の持論だ。中村氏は、最初から上手く絵を描こうとしてはいけない、まずは道具に慣れることが大事だと話す。ということもあってか、ワークショップも単純な線や円を描くというところから始まっていた。一通りアプリの使い方に慣れたところで、ようやく絵を描く作業に入る、といった具合で進んでいく。途中、中村氏の解説が駆け足になる場面があったが、そこもまた馬塲氏がサッと割って入り、参加者全員の進捗状況を見てから次へと移る。筆者は時々、Apple Storeで開催されるジュニア向けのワークショップを取材させて頂くことがあるのだが、今回初めてシニア向けのワークショップを拝見してみて気づいたことがある。それは、iPadの操作に関しては子供達のほうが圧倒的に習得が早いということだ。しかし、シニアには子供達にはないものがある、集中力だ。操作を覚えるには個人差があって、なかなか一様にはいかないようだったが、そこは集中力の高さでカバーしているように見える。結果、ワークショップの終盤には、皆、同じことができるようになっていた。参加者は単純図形に色をつけ、チューリップの絵を描き上げた。中村氏は小技として、彩色するためのインクの濃淡、彩度の調整法などを紹介。一段上に仕上がるテクニックを学んだ。仕上げとして作品に署名を入れ、iOS標準アプリ『写真』に保存し、一通りのレクチャーは終了。最後は参加者の作品をAirPlay+Apple TV経由でスクリーンに投影、鑑賞して皆で楽しんだ。
2015年03月09日