次世代の抗うつ薬候補「ケタミン」がセロトニンを活性させる - 理研が確認
を介して行われる。セロトニン受容体は複数種あり、セロトニン1B受容体もその1種で、うつ病に関係することが知られていた。そこで研究チームは今回、セロトニン1B受容体に特異的に結合するPETプローブ「[11C]AZ10419369」(PETで測定するためのγ線を放出する質量11の放射性同位体炭素で標識した薬剤(分子))を新たに合成し、ケタミンがセロトニン神経系に及ぼす影響を調べることにしたというわけだ。
研究チームは、[11C]AZ10419369を用いて4頭のアカゲザルで脳のPET撮影を実施。その結果、ケタミンの投与により、前脳にある「側坐核」と大脳基底核の一部である「腹側淡蒼球」において、4頭のアカゲザルそれぞれにおける[11C]AZ10419369のセロトニン1B受容体への結合上昇が見られ、脳の2つの領域でセロトニン1B受容体の活性が有意に上昇していることが発見された(画像1・2)。この2つの脳領域は、"やる気"つまりモチベーションを作り出す領域であり、うつ病に関連が深いと考えられている神経回路の一部だ。
なお、4頭のアカゲザルそれぞれにおける[11C]AZ10419369のセロトニン1B受容体への結合上昇の度合いは、右脳・左脳の両方に同等に見られた形だ。