ソン・ジュンギ「ひと晩中チゲを食べ続けた」。『このろくでもない世界で』物語のカギとなる本編映像公開
ふたりは向かい合い同じ鍋を突き始める。無言で食べ進めていたふたりだが、ふとチゴンがヨンギュのキャップを取り「顔の傷は使い物になる、教えてやるよ」と呟く。
これまで自分を顧みてくれる大人なんていた試しがなかったヨンギュは、初めて自分を気にかけてくれるチゴンの言葉に感動し、目を潤ませる。育ちの悪いチゴンは、手掴みで魚を食べ始める。それを見ていたヨンギュは、意を決したように同じように真似て手づかみで食べ始める。ふたりは見つめ合いながら、無言で魚を食らう。初めてふたりの心が触れ合ったこの夜に、ヨンギュはこの裏社会でチゴンに着いて生きていく覚悟を固めるという非常に重要なシーンとなっている。
キム・チャンフン監督曰く、「メウンタンはもちろん手づかみで食べる料理ではなく、ヨンギュがこれからチゴンの住む世界へ入って真似をしていく、という覚悟を表すシーンにしたかった」という。このシーンはソン・ジュンギにとっても印象的だったようで、「ヨンギュとチゴンが共感という感情を構築する重要な瞬間だ。夜中の2時ごろから一晩中チゲを食べたが、終わるころには魚の生臭い匂いがした(笑)。苦労した分、いいシーンが撮れたようでやり甲斐があった」