2017年10月5日 07:00
恋を始めたい女性へ 山崎ナオコーラが贈る書き下ろし!
恋の物語は始まらない。
まあ、でも、じっとしていることは決して罪ではない。
恋愛、恋愛、とメディアでは声高にうたわれるが、みんながみんな恋をしなくていい。仕事や趣味など他にやりたいことがある人や、自身の療養や家族の介護など他にやらなければならないことがある人は、恋に対して鈍感で受け身なままで、まったく問題はない。恋なんかにかまけずに、他の努力をした方が人生がキラキラしていくに決まっている。恋愛に興味がないという人は結構たくさんいるので、全人類で見たら、実は少数派ではないのではないか。
また、恋愛が好きな人でも、自分自身が恋愛するより、小説やマンガや映画で恋愛の雰囲気を味わう方が好きだと考える人もいっぱいいるわけで、そういう人はリアルな人間関係では鈍感で受け身でも、フィクションを楽しむ感受性が豊かでありさえすれば幸せな生活を送れるから、やはり、性格を変える必要は全然ない。でも、「自分にも恋が始まらないかな」という期待を少しでも胸に持っている人の場合は、鈍感で受け身な性格は損だ。
昔、世の中では「口説く」という言葉が頻繁に使われていた。女性は何も考えていない状態で生きているという前提があり、男性が意思を持って近づき、女性をその気にさせるアクションを起こさなければならない、つまり男性が「口説く」