「友人がいない自分が駄目な人間に思えて苦しい」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第26回
友達なのに、その友達に認められたくて必死になってしまったり、自分よりもその友達のほうがみんなに人気があれば、嫉妬したり。それ以前に「友達ができない」という悩みを乗り越えるのが難しくて、誰にも認められていないように感じたり。
でも、これは、どこかの時点で経験しておいたほうがいいことのように私には思えます。あの不器用な、自分で自分が何者なのかわかっていないままぐしゃぐしゃにもがいた期間がなければ、今頃どうなっていたか。そのぐしゃぐしゃの期間の自分の無様さを思い出すのも怖いですが、あの期間がないまま今まで来てしまった自分を想像するのはもっと怖いです。
嫉妬や、誰にも相手にされないのではないかという不安、友達がいない悲しさや寂しさは、それを嫌というほど経験しないと、自分がいったいどういう関係を求めているのか、どういう欲望を持っているのか、どうなれば満足できるのか、いい関係を築けるのか、見えてこないものです。見えてこない時期も、失敗が続く時期も苦しいものですが、自分がどんな欲望に突き動かされているのか気づけないほうがよっぽど怖いです。はっきり「承認欲求なのだ」「いや、友情が欲しいだけなのだ」と言えなくてもいい。