連載記事:リアル・モンスターワイフ、再び
被害妄想に自信喪失…産後セックスレスに「女の涙」は通用しない:美香の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第11回】
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夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に
モンスターワイフの影が見えるから…。
今回のテーマも多くの夫婦が直面する「産後のセックスレス」です。出産後ガミガミママになってしまった妻に、夫は腰が引けてしまう…というのが、
前回ご紹介したケースでした。
今回は、それとは様子が異なります。一見やさしいママで、けなげな妻。しかし、そんな妻たちにもモンスターの魔の手は忍び寄ります。
家事も育児も頑張って、家族にはやさしく接している。けれどもどうにも気がめいり、うつうつとして仕方がない、午後になるとため息が出てしまう…あなたもそんな状態に陥っていませんか?
■産後劣化が止まらない…女としては自信喪失な「理想の妻」
「セクシャル系モンスター メソメソマミー」代表:美香(仮名)33歳の場
鏡に映った自分の顔に向かって、美香は大きなため息をついた。
「ひどい…まるで
お婆さんだわ」
同い年の健正と結婚し、かわいい息子の悠人は6カ月になった。美香は確かに幸せだった。けれども、鏡に映る自分の姿が目に入るたびに、ひどくみじめな気持ちになる。
産後に抜けた髪が、最近一気に生え始めた。新しく生えてきた短い毛があちこちからツンツン飛び出て、まるでウニのようだ。お肌もひどい。妊娠中に乾燥肌に悩まされるようになったうえに、シミが急増した。腕やデコルテの乾燥もひどく、白い粉を吹いたような状態。
服も、授乳のしやすさ第一で選んだゆるめの服ばかり。
「昔は、家にいる時も、健正の前ではかわいい服装を心がけていたのに…」
夫のことは、今でも大好きだ。なかなかイケメンだし、何よりとても優しい。仕事が忙しい中でも、できる限り家事・育児に協力してくれる。だからこそ、夫が仕事に集中できるよう家事も育児もバッチリこなし、家では安らげるように私もやさしくしている。
理想の奥さんになるために、手を抜いていない。
けれど、自分の外見の変化…世間では
「劣化」などと呼ばれてしまうのだろう。それを鏡で目の当たりにするたびに、美香の心は沈みに沈むのだった。
台風で電車が止まったある日、会社の同僚が車で健正を家まで送ってきた。窓から外の様子をうかがっていた美香には、その同僚の姿が見えた。若くてきれいな女性だった。身なりも髪形も美しく整えられたその女性が、自分とは違う世界の存在くらいに輝いて見えた。そんな彼女の隣にいる夫も、美香の隣にいる時よりも、何だか輝いて見える。
「ただいま」
いつも通りの声で帰宅した夫に、美香は自然に笑いかけることができなかった。