連載記事:リアル・モンスターワイフ、再び
夫(子ども)と仕事、どっちをとる? あなたの「私利死守魔」度チェック【リアル・モンスターワイフ、再び 第24回】
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自分に不利な条件をのまされてはいけない。自分の主張は通さなければならない。どんな場面でも瞬時に損得を勘定し、議論では絶対に勝たなければならない…。確かにビジネスの場では、そうした姿勢も必要です。けれども、そんな態度をそのまま夫婦関係にまで持ち込むと、2人の関係にひずみが生じ始めます。
■「夫婦は対等ってなに?」夫と妻は運命共同体
上司や同僚、顧客などは、特定の目的のためだけに限られた時間だけ行動を共にする相手です。夫とは、根本的に存在意味が異なります。上司はあなたが病に倒れた時、心配して看病してくれますか? 数十年後、あなたがこの世を去る時、手をにぎって泣いてくれますか? その点を理解せずに
「夫婦は対等」と言い出すから、夫と妻の関係がおかしなことになるのです。
夫婦は対等というのは、絶対的な真理のように聞こえて、いざ実践となると難しく、実に曖昧(あいまい)なもの。完全な
フィフティ・フィフティなど不可能ですし、そもそも夫婦間の「フィフティ」など、どのように判定しろというのでしょう。そこをはき違えると、夫婦関係はこじれるばかりです。
「私が○○してあげたんだから、あなたも同じだけのものを返してちょうだい」「あなたが△△してるんだから、私だってしていいわよね」などと、お互いが勝手な論理を展開をし始めてしまう結果に。夫婦間のやり取りが一から十までこんな調子では、当然息がつまります。
けれども、働く現代女性は、たえず
競争や利害の攻防戦にさらされているケースもしばしば。
妊娠出産に関して嫌味を言われるケースもまだまだあります。自宅でも、その流れのまま、攻防する勢いで夫婦間の会話をしてしまうわけです。
前回ご紹介したのは、誰にも負けられないとバリバリ仕事を頑張るうちに、闘争心と自己防衛力がどんどん強くなっていった茉莉さんのエピソードでした。会社で自分のポジションを守るのに必死で、さらに会社だけではなく義母まで「女性なんだから、仕事よりも出産・育児」という考え方で、心底ウンザリしています。これでは自分の立場や利益は自分で守らなければ…という考え方になっても、無理もないかもしれません。
けれど、茉莉さんは「運命共同体」であるはずの自分の夫を「敵」、「障害物」と見なし始めてしまいました。「敵」だから、意見が異なる場合には「話し合う」のではなく「論破する」。譲歩という選択肢はありません。
「夫婦は対等」という基本を踏まえたうえで、お互いの言い分に耳を傾け、納得できる落としどころをみつけていく。それが夫婦本来の姿です。
それを忘れてしまった妻が、モンスターワイフになっていくのです。モンスター化した妻たちは「対等、対等」とわめきながら、自分の譲歩や犠牲にばかり敏感で、夫の譲歩・犠牲は目に入らなくなっていることがほとんどです。
茉莉さんの場合も、夫の亮平さんは夫婦で過ごせる時間がけずられていっても、嫌な顔をせず茉莉さんを応援。亮平さんも仕事で疲れていましたが、食事の支度を買って出てくれていました。けれども、茉莉さんはそんな亮平さんに感謝することができません。いえ、気づくことさえできませんでした。そして逆に、自分が犠牲を求められる状況になると、過敏に反応して戦い始めています。
あなたもビジネスシーンで自分を守るのに必死になるあまり、家庭でも私利死守魔になっていませんか?