松崎悠希(まつざき・ゆうき)/’81年生まれ。日米で俳優やプロデューサーとして活動。『ラストサムライ』などに出演今、日本の映画界・芸能界において初めてといっていい、ハラスメント告発ムーブメントが起こっている。「女優さん、そして業界にいる女性の方々で、セクハラ・性被害を受けたことがない人を探すほうが難しいレベルで、みなさん何らかのセクハラ被害を受けている」そう話すのは、俳優の松崎悠希さん。日米で活動し、『硫黄島からの手紙』(’06年)などの出演で知られる。プロデューサーとしても活動し、“現場”に触れてきた。今、業界においてハラスメント告発が増えているが、起こりやすい事情があるのか。「演技指導だ」と俳優を追い込む日本映画界「1つの要因として、日本の映画産業、テレビドラマ産業において、監督に権限が集中しすぎていること。日本では、監督の名前に“組”を付けて、製作陣を『○○組』と呼ぶことが多いですが、監督をトップとするチームです。監督にすべての決定権があるように進む。日本は監督がお山の大将になりやすい環境があります」(松崎さん、以下同)性加害が告発された映画監督の園子温は、『有料ワークショップ』を開催していた。彼だけが行ってきたものではないが、ここに業界で長年行われ続けてきた搾取の構造が。「有料のワークショップに参加した人の中から映画のキャストを選んだりします。役が欲しい俳優の気持ちを利用し、お金を搾取し、それで作品を撮っている。園子温氏のワークショップは参加に10万円かかり、特に悪質なケースでした」“決定権”を持つ監督、木下ほうかのような“発言権”のある有名俳優と出演を願う俳優。完全に上下関係にある。日本の映画や演劇界では、監督が過剰なまでに俳優を演技指導として追い込み、ダメ出しし、そのおかげで“名作ができた”というように美談として取り上げられてきた。「それを誰も疑問に思ってこなかった。アメリカでは、先に演技を学び、お芝居ができるようになってから俳優としてのキャリアの階段を上っていきます。しかし、日本はお芝居ができない状態のタレントを出演させている」大手事務所の若手イケメンが、いきなり“主演で演技デビュー!”。日本の芸能界で繰り返されてきたものだ。「監督が無理やり自分の望む芝居を指導し、そこでパワハラが生まれる。その俳優はお芝居を学ぶ健全な環境を与えられていないから、その現場で受けたパワハラ指導が、正当な演技のステップであり、当然と思い込んでしまう。監督もこの俳優は演技ができないから、自分が教えてやらなければいけないという勘違いをし、厳しく当たる」演技指導の名目で行われる罵倒や暴行。監督だけでなく俳優自身もパワハラを正当化してしまっていた。女優を誘うのは“普通のこと”「美談化され、そして武勇伝のようになってきた。自分が育ててやったかのように監督たちが自慢をする。そしてそれを聞いた若手の監督も、そういう演出がありなんだと覚え、現代社会で社会人としてありえないようなパワハラ行為が、なぜか映画界だけでは許されているという恐ろしい現実があるのです」これらは昔の話ではなく、現在でも行われていること。「すごいよかったです。児童虐待、撮りました」悪びれずにそのように話していたのは、’17年公開の『ヘドローバ』という映画の監督を務めた小林勇貴。作中、子どもが暴行されるシーンがあるが、演技ではなく実際に暴行が加えられており、メーキング映像では暴行場面が映されている。何度も平手打ちを食らった少年は、撮影直後、嗚咽が止まらず嘔吐。これを“宣伝”としてメーキング映像で公開することが、異常と捉えられないのが映画界。そこに対し、ようやく“異常だ”と声が上がってきたのが、今なのだ。水原希子は性加害について『週刊文春』の取材を受け、次のように話した。《友人の役者さんから園氏はそういう(性加害の)噂があるから気をつけた方が良いと言われた事がありました》性被害・セクハラについてもパワハラ演技指導と同様の“意識”がはびこってきた。「例えば監督やプロデューサーが女優を誘うのは“普通”のことであり、その誘いをかわす技術を持っていることが、当然であるというようなワケのわからない常識がある。セクハラをどうやって受け流すかというスキルを持っているべきである。持っていなかったらその女優さんが悪いというとんでもない考え方です」なぜ俳優たちはこれまで声を上げられなかったのか。「俳優の立場が弱いことが1つ。そして俳優として、加害行為を行った人だけに迷惑がかかるならいいのですが、その周りの人にも迷惑がかかるというプレッシャーがある。また、加害者を守る圧力のようなものもあります」だが、相次ぐ告発で変化が。「自分が声を上げなければ、これから先も自分と同じような被害者が生まれると考える人が増えてきた。日本はハラスメントに対する法整備、俳優を守る法整備が遅すぎるし、甘すぎます。俳優を守る法律を作るべきです。日本の政治・法律は、誰かが死んで、問題が表面化するまで変わらないことが多い。誰かが死ぬ前に変えなくてはなりません。それが“今”なのです」素行が悪いことを“尖った”と表現さらに松崎さんが「許せない」と話すのは……。「日本の映画会社、テレビ、制作会社などが、“ハラスメントを許さない宣言”を出さないことです。これは本当にありえない。自分の会社はそういうことをしませんというポリシーを出せない。なぜかというと、自分たちの抱えている作品にパワハラ監督が作った作品があるかもしれないから。そういう痛い腹を抱えているから宣言ができないんです。公に宣言した瞬間に、自分たちの組織内でも宣言内容を守らなければいけないという拘束力が発生します」これは“作品に罪はあるのか”という議論にもつながる。「公に宣言を出した後、ハラスメントが認定されれば、その人をすぐにクビにすることができます。宣言をした手前、その人を使うことが体裁としてできない。宣言にのっとり、監督を厳正に処罰する。作品は新しい監督を雇い、製作を続行し、作品を発表できる。つまり作品は守られる。これこそが“作品に罪はない”ということだと考えます。すでに撮っている作品でハラスメントがあったものはいずれ表沙汰になるはずです。そういった作品はもう“死んで”います。公開を諦めるしかない。今、ハラスメントを隠蔽し、最終的にバレてしまった場合、さらに被害が大きくなります。だからこそ今、膿を出すべきなのです」悪い習慣はまだある。「“尖った人間”のほうが面白い作品を作る、“尖った俳優”がよい俳優とされる。尖ったということは何かというと、“悪い”。素行が悪いことを尖ったと表現している。業界の膿を生む最悪の考え方だと思います。そしてこういう考え方をしている映画会社の重役は非常に多い」古い考え方ゆえに、ハラスメントへの認識が甘い。「そこにはハラスメント監督とずっと作品を一緒に作り、世話になってきたこともあり、ハラスメントを許しちゃうような癒着がある。こういう人たちがまず自分がどれだけ認識が甘いか知るべき。映画会社の重役レベルから、全員ハラスメント講習を受けろ!と言いたいですね」健全化はいつの日か……。
2022年05月13日被害者が続々と声を上げている“性加害”問題。映画監督や俳優による許されざる行為には各所から非難の声が集まっているが、悪しき風習が蔓延るのは映画界だけではなかった。美しい女性を撮影する“写真家”によるあまりに醜く卑劣な手段とは―。カメラマンの藤里一郎氏《嫌な思いをした事は数えきれないぐらいあります》4月13日、女優の水原希子が『文春オンライン』で“性加害”に関する自身の見解を発表した。「映画監督の榊英雄さん、園子温さん、俳優の木下ほうかさんによる性行為の強要が明るみに出て、多方面で同様の被害を訴える人が続出。水原さんのコメントが発表された4月13日には、飲食店経営者による性加害も報じられました」(スポーツ紙記者)カメラ雑誌で有村架純と連載も映画界にとどまらず、多くの被害者が声を上げ始めた性加害問題。非道な行いの数々が白日の下に晒される中、週刊女性編集部には新たな女性からの告発が寄せられた。※性的暴力に関する記述が含まれます。「写真家の藤里一郎は“写真展の撮影をする”と言って密室に呼び出し、最終的に襲う……という手口を、複数の女性に働いていました」そう語るのは、自身も被害に遭ったというグラビアアイドルのAさん。藤里一郎は、女性ポートレートを主戦場とする写真家。過去にカメラ雑誌で女優の有村架純との連載企画が掲載されたこともあり、歌手・MayJ.のライブに同行した経験もある。有名カメラマンが性加害を行っているのであれば、大問題。詳細を尋ねるべくAさんに取材を申し込むと、対面取材に応じ、恐怖と憤りが混ざった様子で経験を明かした。「数年前に藤里が主催する写真スクールの生徒さんからオファーがあって、それを機に藤里の写真展の仕事を紹介されました。最初に被害を受けたのは、’20年11月。撮影は関東近郊にある旅館で行われたんですが、現場は密室で、いるのは私と藤里の2人だけ。“素の部分が撮りたい”という理由で一緒に酒を飲まされ、ベロベロになるまで酔わされました……」(Aさん、以下同)酒を飲む前から撮影は続いていたというが、Aさんが酔い始めると様子が変わった。「ヌードを含む撮影でもあったので“脱いで”と言われて服を脱いだのですが……下着を外した途端、カメラを投げ捨てて抱きついてきて、胸をなめられました」密室で行われた蛮行は、これだけではない。「浴室のシーンの撮影では、なぜか藤里まで服を脱いで同じ浴槽に入ってきたんです。“ダメです”と断っても“A、好き”と言ってきて……本当に気持ち悪かった。最終的に挿入されることはなかったものの、私が拒んでいるのに避妊具なしで性交に及ぼうともしてきました」Aさんは、仕事上の立場もあり、拒絶の姿勢を強く表すことができなかったという。「写真展はすでに告知されていたので、ファンの方々のためにも撮影を中止するわけにはいかなかったんです。この撮影以降、LINEなどで一方的に好意を伝えられるようになり……」指先を1本1本舐められる恐怖あからさまに断ることはできず、それとなくかわすようにしていたAさん。しかし、2度目の撮影でも、藤里の暴走は止まらず……。「’21年2月、“撮影をしたい”と言われ、都内のシティホテルにデイユースで入りました。途中までは普通の撮影だったんですが、ベッドの上で下着姿のシーンになったとき、いきなり抱きついてきて鏡越しに2ショットを撮られました。そのまま“好きって言って”と言われ、応じなければ予定されていた写真展の話がなくなってしまうかもしれないと思い……。精神的にも肉体的にもつらい状態で、恐怖心から“好き”と返さざるをえませんでした」藤里にとっては、これが“撮影”なのだろうか。Aさんの恐怖は、まだ続いた。「その後、カメラをソファに投げて、キスしようとしてきたので顔を背けたんです。そしたら、腕をつかまれ、指先を1本1本なめられ……。上手くあしらって逃げようとしましたが、なぜかパンツ姿になっていた藤里に、今度は上に乗られて下着越しに下半身を押し付けられました」度重なる性被害を受けたAさん。その後も藤里からの連絡は止まらず、返事をしなくてもメッセージが届き続けたという。「当初は写真展のためにこらえていましたが、我慢の限界で……。《誤解を与えてしまったようで申し訳ないですが私は付き合っているつもりもないです》と、はっきり伝えました。すると、《僕はAのことが大好きでした。だから余計に想いが先走ってしまったのかもしれません》と。彼にとってはそうなのかもしれませんが、私が受けた行為は立派な性被害です……」この時点で、Aさんは藤里の写真家デビュー25周年を記念する写真展に向けすでに撮影をされており、藤里からは《25周年の作品もご協力いただけたら》と伝えられていたものの、結局その写真展のモデルは別の女性に変えられたという。そもそも、好意の有無は被害女性にとっては関係のないこと、しかし“好意”を盾にするのが藤里のやり口だという。「“好きだよ”と繰り返し伝え、相手に本気の好意だと思わせて性加害を行うので、みんな訴えにくいのかもしれません……。同様の被害を、私はほかの女性からも確認しています」藤里の行いについて、彼が主宰する写真スクールの生徒から連絡がきたことも。「性被害を心配するような連絡がきたので、事情を明かすと《やっぱり…》と返事が。生徒の間でも、ある程度認識されていたんだなと思いました。藤里から受けた被害について、Bさんという女性は訴訟を起こし、裁判で闘っているとも聞きます」性加害行為によって、藤里は現在係争中だという。詳しい事情を尋ねるべく、Bさんに電話で取材を申し込むと……。「申し訳ありませんが、まだ係争中なので……。私の口からは、現時点では何もお答えできないんです。すみません……」そう言い残し、通話を終えた。Aさんの話が事実ならば、藤里の行為は間違いなく性加害にあたる。4月中旬、事実を確認するため藤里に電話で取材を申し込むと、後日、本人が対面での取材に応じた。藤里カメラマンに性加害を直撃─Aさんという女性が、性被害を訴えていますが。「大前提として、恋愛関係にあったんですよ」─Aさんは仕事上の立場もあり、強く拒めなかったと話しています。「僕は“仕事をやるから俺と付き合え”とか、何かを強要したことはいっさいありません」─Aさんは《付き合ってるつもりはない》とはっきり伝えているかと。「それは、最後ですよね。都内のホテルでの撮影の日に僕は告白をちゃんとしていますし、そのときにAさんは“うん”と頷いてらっしゃったんですよ。僕としては、交際関係にあったという認識です」─仮にそうだとしても、’20年11月の段階では交際していないことになりますが。「僕の撮影距離はめちゃめちゃ近いので、撮影中に身体が触れることはあります。ただ、故意に身体を触る、胸をなめる、挿入しようとしたなんてことは、記憶にないです」─浴室での撮影中、服を脱いで同じ浴槽に入ったことは。「アングルの問題で浴槽に入ることはありますし、暑ければ服を脱ぐこともあります。ただ、仮に女性が嫌がっていたとしたら、絶対にやめます」撮影手法については、こんな話も。「欲情して撮らないと、作品として何も伝わらないと思うんですよ。そういうふうに自分をもっていく部分はあります。だけど、実際に行為に及ぶことはありません」あくまで性加害はなく、一部の行為は交際関係のもとに行われたものだと主張する。しかし、Aさんはこの回答に対し怒りをあらわにする。「彼の主張は、すべて嘘です。最初の撮影以降、一方的に好意を伝えられるようになり、どれだけ気持ち悪くても写真展を控えた立場からは強く断れず、ヘラヘラとかわすような態度をとってしまったのは事実です。それで誤解させてしまったかもしれませんが、異性として見たことは一度もありませんし、交際なんてしていません。ホテルで抱きつかれ“好き”と言うよう迫られたとき、彼にとっては告白だったのかもしれないけど、ほぼ裸の状態で権力も体格差もある人に言われてる私にとっては、脅しでしかなかった。藤里の記憶になくても性的な行為は間違いなく受けているし、近い距離で撮影しても、モデルに抱きつく理由がわかりません」両者の合意なき性行為は、いかなる背景があろうと認められない。一方的な感情を理由に相手の尊厳を傷つけるのは、紛れもなく“加害行為”だろう。
2022年04月18日2022年4月4日、映画監督である園子温(その・しおん)さんに性的関係を迫られたという、複数の女性の証言を、一部の週刊誌が報じました。また、同年3月には俳優や映画監督として活躍する榊英雄さんや、俳優の木下ほうかさんの性行為強要疑惑が報じられています。原作者「映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます」同月12日、作家の山内マリコさんと、柚木麻子さんが、「映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます」という声明を発表しました。過去には、山内さんの作品『ここは退屈迎えに来て』『あのこは貴族』や、柚木さんの作品『伊藤くん A to E』が映画化されています。山内さんたちは、「物語がスクリーンに映し出される感動は、作者として何物にも代えがたい幸せ」とつづりました。一方で、「その作品がいかなるものであっても、自分の生み出した物語である責務を負う」と訴えています。原作者の名前は、映画の冒頭にクレジットされ、その作品がいかなるものであっても、自分の生み出した物語である責務を負います。映画制作の現場での性暴力・性加害が明るみに出たことは、原作者という立場で映画に関わる私たちにとっても、無関係ではありません。不均等なパワーバランスによる常態的なハラスメント、身体的な暴力、恫喝などの心理的な暴力等が、業界の体質であるように言われるなかで、今回、女性たちが多大なリスクを背負って性被害を告白したことは、業界の内外を問わず、重く受け止めるべきと考えます。声をあげてくださった方々の勇気に応えたく、私たちは、連帯の意志を表明します。原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。ーより引用また、「映画業界の内部にいる人たちは声を上げづらい状況にあることを目の当たりにした」という、山内さんたち。映画業界と特殊な関係性を持つ原作者だからこそ、連帯し声を上げられると考えたことが、今回の声明を発表したきっかけだそうです。今後は、契約の段階から適切な主張を行っていくとともに、万が一、被害があった場合は原作者としてしかるべき措置を求めていけるよう、行動するそうです。映画界が抱える問題は、出版会とも地続き声明では、「映画界が抱える問題は、出版界とも地続きです」ともつづっています。これからは、出版界のハラスメント根絶のためにも、声を上げていくという、力強い意志を表明しました。声明には、数々の作家が賛同しています。山内マリコ「さすがにここでアクションを起こさないのは」声明とは別に、山内さんは自身のTwitterで、このように想いをつづっています。ステートメント【原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。】公開しました。小説家は自作が映画化される際、蚊帳の外というか、直接なにか意見を言える機会はとても少なく、言っても反映されることはまずない無力な存在(わたしだけか)ですが、 — 山内マリコ (@maricofff) April 12, 2022 一連の性加害報道を受けて、さすがにここでアクションを起こさないのはどうなんだと思い、映画化経験のある知人作家まで、という小さな括りで賛同者を集めました。— 山内マリコ (@maricofff) April 12, 2022 また、「ここから何かが変わることを心から望みます」ともつづりました。山内さんたちの力強いメッセージに、ネットからも賛同の声が上がっています。・映画ファンとして、賛同します。勇気ある行動に拍手を送りたい。・声を上げることは大切なことだよね。一時的なニュースとして話題になるだけじゃなく、いい方向に変わっていかないと。・「素行は悪いけど、あの人の作る作品は素晴らしいから」ということがなくなることを祈ります。・素晴らしい、大切な一歩だと思う。作品を楽しむ側も、ハラスメントに対しては厳しい声を上げたいね。まずは、原作者として声を上げた18名の作家たちの勇気ある行動に拍手を送りたいですね。そして、この声明が、映画業界や出版業界のみならず、さまざまな業界によい影響をもたらすことを願います。[文・構成/grape編集部]
2022年04月13日園子温「予想どおりの反応でした。そもそも謝る気がないんです。自分がした行為がどれだけ卑劣なことか、わかっていないんですよ」怒りで声を震わせながら、そう話すのは、映画監督の園子温から受けた“性被害”を、4月5日発売の週刊女性で告白した元女優のひとり。園は自身の公式サイトに直筆の謝罪文を発表したが、《関係者の皆様にご迷惑とお騒がせをしてしまいました事、また、作品を見てくださった視聴者の方を含め、皆様にお騒がせをしてしまっていることにつきまして、深くお詫びいたします》と、どこにも被害女性たちへの謝罪の言葉は見当たらない。そればかりか、法的措置を示唆する文言も記載されている。報道後に“俳優T”・坂口拓が園監督に言われたこと冒頭の元女優を飲み会へと連れていき、強制性交未遂の間接的な加害者となったアクション俳優のTこと、坂口拓も5日、YouTubeに謝罪動画を投稿。「10年前のこととはいえ、不快な思いをさせた方がいるのであれば、この場を借りて謝罪したいと思います」と頭を下げたが、「不快な思いをさせた方がいるのであれば」と、あたかも、そんな被害者はいないかのように語った。前出の元女優は、「まるで根も葉もない誹謗中傷を受け、自分が被害者だと言わんばかりの言い分ですね。こっちは被害を受けて眠れない日が続いたり、当時のことがフラッシュバックして震えが止まらなくなったり、感情のコントロールができなかったり……。私はそうやってずっと苦しんできたのに……」そう話し、悔しさをにじませた。週刊女性は坂口が謝罪動画を投稿した翌日、彼に電話で取材を申し込んだが、「園監督が、とりあえず弁護士を通じてすべてやると言うので、自分からは何もしゃべらないでほしいとのことでした……。自分の中では正義を通して生きてきたので、本当にこういう感じになったことに驚いています」と話すだけ。しかし、週刊女性には園だけでなく、坂口に対する告発も相次ぐ。「知人女優も園と坂口の被害に遭っている」「坂口さんが花見で女性スタッフを罵倒し続け、暴力まで振るおうとしていた」「ある映画監督のアトリエで坂口さんが嫌がる女優を無視して胸を触り、下着をめくって覗き込んでいた」まさにパワハラやセクハラのオンパレード。それでも坂口は“そのような被害者がいたのなら”と言うのだろうか。「まだ私の知らない被害もたくさんあるはず。現に私の知人女優も、園と坂口の被害に遭っています。2人に無理やりされたって……。被害者の1人に今回、告発しないか聞いてみましたが“嫌だ、もう思い出したくもない”と言っていました。こうやって苦しんでいる女性がいるのに、謝罪をせず、法的措置をにおわせて、脅すかのように威嚇してくる。ただ、正直に言えば、私も怖いんです。訴えられる恐怖だけじゃなく、家族にも何かされるんじゃないかって……」(前出・元女優)被害女性たちは、今も絶え間なく、不安に苛まれる日々を送っているが、園はそんな彼女たちについてどう思っているのか。個人事務所に改めて聞いてみると、《ご質問につきましては、先日弊社ホームページ上で発表させていただきました謝罪文の通りでございます》妻の神楽坂恵から、そう回答があっただけだった。かつて園と親交のあったという別の女優は、彼の人柄についてこう明かす。「性暴力ではないですが、撮影現場で“俺にはヤクザがバックについてるからな!”と、もめた相手を威圧しているのを見たことがあります。本当にヤクザと関係があるなら、そんなこと言わないでしょうけど。自分を大きく見せようとする、すっごく気の小さい人なんですよ」これ以上の被害を生まないためにも、事実を認め、被害女性たちに向けた真摯な謝罪が求められている。
2022年04月12日園子温人気映画監督という立場を利用し、複数の女優に対して性行為を強要してきた過去を告発されている、園子温。4月5日発売の『週刊女性』では、園から「主演女優にはだいたい手を出した」と聞かされた女優や、彼と2人きりになった時に襲われそうになったという女優なども登場した。園といえば、2009年公開の映画『愛のむきだし』が、ベルリン国際映画祭にてカリガリ賞と国際批評家連盟賞をダブル受賞するなど、ほかにも多数の作品でさまざまな賞を獲得してきた有名監督。日本映画界の恐ろしい実態しかし、その裏では立場を利用して女優たちに関係を迫っていたといい、「週刊女性」には、実際に園から「仕事あげるよ」と言われて性行為に応じたという女優の証言も。さらに、別の女優はある飲み会がきっかけで園の部屋を訪れた結果、無理やりキスをされたり、ベッドに押し倒されたりしたことを証言している。一方、本誌の取材を受けた園は「何の話ですか」などと答え、同6日には所属事務所・シオンプロダクションの公式サイト上で公開した直筆コメントにて、報道内容は「事実と異なる点が多く」と主張していたが、どこがどう異なるのかという説明はなかった。「3月には『週刊文春』(文藝春秋)が、同じく映画監督の榊英雄や俳優・木下ほうかもその立場を利用し、さまざまな女優に性行為を強要していたことを報道。いずれも、報じられた内容を完全には認めていませんが、日本映画界の恐ろしい実態が次々と告発されている状況に、世間からも批判の声が噴出しています」(スポーツ紙記者)なお、「文春」報道を受けて、榊が監督した新作映画『蜜月』や『ハザードランプ』は、公開中止に。無期限の活動休止を発表した木下も、ジャニーズ事務所退所後の山下智久にとって初めての地上波ドラマ主演作『正直不動産』(NHK総合)に出演予定だったが、降板となった。そんな中、『週刊女性PRIME』は、園が手がけていた新作の情報をキャッチ。まだ公にされていなかったその作品は、今回の性加害報道の影響により、やはり“お蔵入り”が濃厚となっているようだ。お蔵入り必至のドラマとは「園監督の脚本・監督で、WOWOWにて来年放送予定だったドラマがあるんです。全8話30分ずつの連続ドラマで、ゴーストハンターたちが個性豊かな霊を退治していく……というコメディ作品。すでに撮影もほぼ終わっている状態だったらしく、園監督のスキャンダルが報じられたことでお蔵入りコースとなりそう。作品の情報がまだ世に出ていなかったという点では、制作側も決断しやすいかもしれません。とはいえ、撮影はかなり進んでいた状態だったので損害は大きく、園監督への賠償金は数千万円に及ぶ可能性もあります」(芸能プロ関係者)ちなみに、同ドラマは愛知県でもロケを行っていたといい、サブキャストは愛知近隣で募集していたものの、募集要項には少し気になる点も……。「募集要項には、役によってはキスシーンもあることや、男性は下着姿、女性はタンクトップ姿くらいまでの露出もあることなどが記載されていました。こうした条件は別におかしいものではないけれど、園監督の報道が出た今となっては、いろいろ心配になってしまいます」(同・前)園が手がけていた新作ドラマについて、WOWOWに問い合わせたところ、「情報解禁がされておらず、お答えできない」との回答だった。「榊監督作品が公開中止となり、木下がドラマを降板した際も、世間は“当たり前だろう”という反応がほとんどでした。園監督のWOWOWドラマも、放送に踏み切ったところで批判が殺到するでしょうし、断念せざるを得ないのでは。ただ、園監督自身は報道内容を認めていないばかりか、“代理人を通じて、しかるべき措置をとって参る所存”と強気なコメントも発表していましたよね。そこまで言うくらいですから、本人は賠償金を回避するためにもドラマのお蔵入りに断固反対するかも。制作側は、いろいろな意味で苦労しそうです」(同・前)園にはまず、被害を訴える女性たちと向き合ってほしいものだが、果たして……。
2022年04月08日映画『事故物件怖い間取り』完成記念イベントでの木下ほうか(’20年7月)『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)のレギュラー放送が終了した。木下ほうかの好感度を上げた美談ミニドラマ形式で、トラブルメーカーが懲らしめられる話などを描くこの番組はある意味『水戸黄門』(TBS系)の現代版。同じ月曜8時台で人気を博し、ここからブレイクした者も少なくない。そのひとりが「イヤミ課長」を演じた木下ほうか(58)だ。悪役だがどこか憎めないキャラがウケ、決めゼリフの「はい論破!」は流行語大賞にもノミネートされた。最終回にはスタジオに登場して、「感謝しかないですね。なんか、さびしいなぁ。育ててもらったような気がして」と、涙を流す場面も。ハリセンボンの近藤春菜から「一瞬でもウソ泣きだと思ってごめんなさい」とツッコまれ、絶妙な笑いが生まれていた。が、その2日後、ふたりの若手女優への性加害疑惑が報道されることに。記事によれば、演技指導などを名目にパワハラ的な性行為をしていたという。脇役として引っ張りだこだったが、山下智久の主演ドラマ『正直不動産』(NHK総合)は降板。事務所からも契約を解除された。それにしても、ブレイク番組が終わった直後に現実でも悪役になってしまうとは──。なんとも劇的な展開だが、この人にはもうひとつ劇的な話がある。2017年、ACジャパンの日本骨髄バンク支援キャンペーンcmに出演。骨髄提供を行っていたことがわかった。ドナー登録を決意した理由については、インタビューでこんなエピソードも明かしている。「大学時代に同じ演劇科の同級生だった女性と4年間付き合っていたんですけど、のちに彼女が急性骨髄性白血病で亡くなってしまって……。まだ29歳という若さでした」この「美談」はブレイクをさらに揺るぎないものにした。かつての八名信夫や近年の遠藤憲一などもそうだが“実はいい人”というギャップが悪役系の役者の好感度を爆上げするからだ。スキャンダルで好感度急降下しかし、好感度が上がってからの不祥事は逆に爆下げをもたらす。例えば、田中聖が覚醒剤で逮捕された際、アンジャッシュの児嶋一哉がこんなことを言っていた。「悪そうな人がホントに悪かったんかい、ってガッカリしちゃいますよね。ウラではちゃんとしてるっていうのがカッコいいなと思うんですけど、そのまんまじゃん」木下もまさにこの状態なのである。とはいえ、人間というのはそんなに単純なものではない。ドナー登録で誰かの命を救いつつ、若手女優を性加害で傷つけるという二面性が共存することもありうるのだ。ちなみに、彼は独身。前述のインタビューでは、こんな発言をしていた。「離婚したくないから結婚しないんです。結婚して離婚して……というのが多いじゃないですか。だからみんなもっと慎重にやろうぜって(笑)」夭折(ようせつ)した恋人の話のあととあって、まじめな結婚観にも思えたが、性加害疑惑が報道された今は違うイメージになる。ケジメをつけるのが面倒なだけだったのではとか、自分こそもっと慎重にやっておけばよかったのに、などとツッコみたくもなるのだ。こうした詰めの甘さというか、馬脚の現し方みたいなものも「イヤミ課長」と重なるところがなかなか興味深い。それでもこれが『スカッとジャパン』なら、誰かが懲らしめてくれるし、笑いに変えてもくれる。が、現実はドラマのようにスカッとはいかないのだ。今後不定期放送されるというこの番組に「イヤミ課長」の席はあるだろうか。PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)
2022年04月05日園子温日本映画界に波紋が広がっている。映画監督の榊英雄、俳優の木下ほうかによる“性暴力”が明るみに出たのだ。「『週刊文春』で複数の女優が榊監督から性行為を強要されたと告発。彼は事実を一部認め、公開直前だった映画『蜜月』と『ハザードランプ』は公開が中止になりました。木下さんも複数の若手女優に性行為を強要していた過去が報じられ、放送前のドラマから降板。芸能活動も無期限休止することになりました」(スポーツ紙記者)一連の報道を受けて、西川美和、是枝裕和などの映画監督有志らが、《加害行為は、最近になって突然増えたわけではありません。残念ながらはるか以前から繰り返されてきました》と声明を発表。その一方で、井筒和幸監督は、《日本映画の業界全体が色眼鏡で見られてしまうことが問題。監督はみんなこんなことしてるんちゃうか、と思われるのは心外だ》と、夕刊紙のインタビューで語った。出演予定の女優を呼び出して……「確かに、すべての監督がそうでないにせよ、少なからず現実に起こっている“異常”な実態があるんです」そう話すのは、さる映画配給会社の幹部だ。話を続ける。「今も平気で“俺とヤッたら仕事をやる”と言う映画監督がいます。彼の作る映画は評価が高く、作品に出たがる女優はたくさんいます。それを利用して、彼は当たり前のように女優たちに手を出している。それが、園子温です」園はカルト的な人気を持つ映画監督で、海外作品にも進出している。「注目を集めたのが’09年に公開された西島隆弘さん主演の映画『愛のむきだし』です。これはベルリン国際映画祭で、カリガリ賞と国際批評家連盟賞をW受賞しました」(映画ライター)ここから園の快進撃が始まっていく。「’10年には『冷たい熱帯魚』、’11年には『ヒミズ』、’13年には『地獄でなぜ悪い』の3作品を、ベネチア国際映画祭に出品。’21年にはハリウッド進出を果たすなど、世界的に評価されています」(同・映画ライター)私生活では’11年に園の映画に出演していた女優の神楽坂恵と結婚。’19年に脳梗塞で緊急搬送され、生死の境をさまよった末に回復。入院した2日後には長女が誕生している。そんな園の悪評が、業界内で後を絶たないというのだ。前出の映画配給会社の幹部が明かす。「出演予定の女優を園監督が自分の事務所に呼び出して、性行為を迫ったけれど、彼女は断った。すると園監督は前の作品に出ていた別の女優を呼び出して、目の前で性行為を始めたというんです。それを見せられた女優が驚いて固まっていたら、一緒にいた助監督が外に連れ出してくれて。助かった……と思っていたら、今度はその助監督が彼女をラブホテルに連れ込もうとしたというのです……」園の映画作品に出演したことがある、女優のAさんは眉をひそめ、こう証言する。「普段から“女はみんな、仕事が欲しいから俺に寄ってくる”と話していました。“主演女優にはだいたい手を出した”とも。ある女優さんのことを“俺のおかげで売れたんだ”と言ってましたが“別の男に乗り換えられて、捨てられた”って嘆いていました」映画監督という立場を利用して、女優たちに関係を迫っていたというのであれば、悪質極まりない。これが“噂”であればよかったのかもしれないが、園作品に出演したことがある女優のBさんが、その身に起きた実体験を告白する。急に脱ぎ出した園子温「あるイベントで出会い、LINEを交換したんです。その後、新宿で飲むことになりました。複数人いましたが、その席ではたしかに“俺はたくさんの女優に手を出しているけど、手を出したやつには仕事を与えている。だからほかの監督とは違うんだ”と話していました」悪びれる様子もなく、堂々と話していたというのだから、それが“問題行為”だという認識を持ってはいなかったのだろう。しかし、Bさんも、それが問題だということに気づけてなかった。「当時の私は“役者として売れたい”という目標があったから必死でした。あるとき園さんから連絡が来て、都内のシティホテルに来ないかと誘われて。“俺は仕事あげるよ”とずっと言っていたので、受け入れて向かったんです」(Bさん、以下同)平日の昼間、Bさんはそこで園と関係を持った。「嫌がることをされたとかはありませんが、“彼氏がいるなら、彼氏に電話しながらシタい”と言われました。“いない”と伝えたら“俺のために彼氏つくって”と。そういう性癖なんでしょうね。避妊はしてないです」ほどなくして、園が監督する新作のオーディション案内が事務所に届いた。「会場で園さんと会ったとき、アイコンタクトをしてきたので“受かった”と思いました。撮影が終わった後も、何度かLINEが来ましたが、“都合が合わない”と返事をしていたら、連絡が来なくなって……」別の女優からは、こんな話も聞いたという。「マネージャーと一緒にアトリエに呼ばれて3人でビールを飲んでいたら、いきなり園さんが脱ぎ始めて“ふたりでして”と要求してきたそうです。結局、園さんは飲みすぎたせいか、途中でやめてしまったみたいですけど」これだけではない。元女優で音楽活動もしていたCさんは、怒りをあらわにする。「10年ほど前、枕営業を公言していた女優さんに誘われて、俳優Tの自宅で行われていた7~8人ほどでの飲み会に参加しました。時間が深くなると参加者たちはなんとなく帰るような空気になり、私もそのタイミングで帰ろうと、エレベーターで降りました。すると、Tの舎弟のような後輩俳優が、階段を駆け降りて追いかけてきました。そこで、“Tさんが帰らないでって言ってます”と腕を掴まれて、しばらく口論になって。ですが、なんとかタクシーに乗って帰ることができました」「コレクション見せるよ」後日、その飲み会の別の参加者を通じて、Tから連絡があったという。「“俺の後輩が悪いことをした”と謝りたいという連絡がありました。さすがにその気持ちを無下にするのも悪いので、直接会うことに。後日、ランチに行ってお店を出ると“俺、このあと友達の家に行くんだけど一緒に来る?”と誘われたのが、園の部屋でした」連れられていったのは、都内の高級マンション。「2LDKほどの部屋で、生活感が全然ありませんでした。私は、ソファを背もたれのようにして床に座って、園は赤いカーペットに置かれた小さいテーブルで、缶ビールを飲みながら『みんな!エスパーだよ!』の脚本を書いていたようでした。私たちも缶ビールを渡され、3人で話していると“この子、Tの女?”と、確認されました」(Cさん、以下同)しばらくすると、Tの携帯に着信が。「そのままTは部屋を出て行って、全然戻ってきませんでした。その間“有名女優と別れて落ち込んでいたとき、今の奥さんに俺は救われたんだよ。だからすごく感謝してる”という話をしていたのを覚えています」向かいに座っていたはずの園だったが、話をしながらだんだんCさんに近寄ってきて、いつの間にか隣に。「肩に腕を回して、突然キスされて……。私は驚いて“本当にやめてください。さっき、奥さんに感謝してるって言ってたじゃないですか”と。すると、今度は違う話をし始めて、抱きついてきたんです」その後も押し問答が続く。「ずっと抵抗していると“俺は業界で有名なヤリチンだよ?”って言ってきました。言い間違えだったようで“違う、違う!有名なアゲチン!”と焦っていましたが……。そして“俺、ハットがすごい好きなんだよ。コレクション見せるよ”と、別の部屋に案内されました」その部屋が、寝室だった。園子温に直撃!「私は、絶対に寝室に入りたくなかったので、ドアの外からハットを見ていました。でも、強引に腕を引っ張られ、ベッドに押し倒されて馬乗りされました。そして、キスをされたり、首元を舐められたり、胸を揉まれたり……。私の身体に股間を押しつけてきて触らせようとしてきたり、服の首元から、中に手を入れられたりもしました」どうにか部屋を出ようと、Cさんは床に転がり下りた。「園は服を脱いで、“見て見て”と言ってきました。その隙に荷物を取って、なんとか逃げ帰ることができて。お酒が入っていたこともあり、追いかけてはきませんでした」しかし、その後も一方的な連絡が続いたという。「後日、プロデューサーを名乗る人から“『みんな!エスパーだよ!』出ればいいじゃん”、園本人からも“曲をエンディングに使わせてよ!”と連絡が来たんです。私はどちらにも淡々と、マネージャーの連絡先を伝えました。それでも園は“結局政治で負けて、曲使えなかったよ~”と私に直接連絡をしてきて。しばらくは“舐めたい”とか“今何してるの?”といったLINEが届きました」Cさんは、不信感を抱き続けていることがある。「いったいどこから仕組まれていたのかと考えると怖くって。女優さんに誘われてTの飲み会に参加したところか、Tの後輩俳優が追いかけてきたところか、後日Tから謝罪したいと言われたところか、Tが電話をして出て行ったところなのか……。どの出来事も、園のレイプ未遂につながっていたような気がして。この10年の間に、被害を受けている方が増えていると考えると、本当に胸が痛いです」日本を代表する映画人の1人として、自身がしてきた行為についてどう思っているのか。3月下旬、園の携帯に電話をして、話を聞いた。─映画に出演するにあたり、園監督が女優に性的な関係を求めていたというが?「いやいや……ちょっと待って……ええっと……何の話ですか」─キャスティングする際に性行為の対価として映画に出演させていた?「それは……知りませぇん……それは……」小さな声でボソボソと話し、ろれつが回っていない。─実際にそう証言する女性がいます。「そんな……ありえ、ありえないですね」すると突然、園に代わって女性が電話に出て、文書で質問するように要求。しかし、質問状を送っても期日までに回答はなかった。すべての性的な虐待が許されないことに、彼は早く気がつくべきだ。
2022年04月04日立場を利用し、他者の心身や尊厳を傷付ける、許しがたいハラスメント行為。性的な加害をするセクシャルハラスメント(通称:セクハラ)や、職場で加害行為を行うパワーハラスメント(通称:パワハラ)など、被害は絶えません。加害者の方が立場が上であるため、被害者はどれだけつらい思いをしても、泣き寝入りをせざるを得ないケースが多いといいます。中川翔子、芸能界を夢見る人に注意喚起2022年3月31日、タレントの中川翔子さんがTwitterを更新。芸能界を夢見る若い人たちに向けて、20年間芸能活動を続ける立場から、真剣なアドバイスをしました。ニュースを見て思う芸能界を夢みる若者たちへパワハラ、セクハラなんかの誘いになんか絶対に乗らないでそもそもそんな人なんの力もないしそんな話に乗っても仕事なんかにならないしそんなことしても絶対に売れないそんな世界ではない。— 20周年の中川翔子 (@shoko55mmts) March 31, 2022 中川さんがなんのニュースを見たかは書かれていませんが、同月28日に、俳優の木下ほうかさんが芸能活動の休止を発表したことが話題になりました。仕事をだしに、複数の女性俳優に性加害を行ったことが報じられた、木下さん。後にTwitterアカウントを通して「おおむね間違っておりません」と報道を認めました。今回の件だけでなく、芸能界で『立場を利用し、仕事をだしに性加害をする』という騒動はたびたび明るみに出ています。中川さんは20年におよぶ芸能界での経験から、ハッキリと「そんな話に乗っても売れない」とコメント。華々しい芸能界を夢見る若者がこれ以上被害に遭わないよう、こうして注意喚起を行ったのです。【ネットの声】・20年選手のしょこたんがいうと、説得力があるな。・セクハラやパワハラには、社会全体が「NO」といい続けなくては!・芸能界に限らず、そういう話は耳にします。新社会人も気を付けてほしいですね。社会ではあらゆるところで上下関係が構築されるため、残念なことにあちこちでハラスメント行為は行われているのでしょう。中でも、まだ判断力が低い若い人や、地位が低い人、抵抗しない物静かな人などが狙われやすいといいます。社会全体が「ハラスメント行為はいけないことだ」という意識を持つことが、被害者を減らすことにつながるのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2022年03月31日※写真はイメージです口コミ評価は3つ星が並ぶ整体院で事件は起こった。施術を受けた2人の女性がわいせつ被害を訴え、逮捕・起訴された自称・整体師。「パニック障害が治る!」をウリにした整体はセクハラ治療だった。3月に判決が下ったわいせつ裁判の全貌に迫る。「人の人生を壊しておいてこんな判決で……。私より苦しんでほしい」3月3日、東京・板橋区の整体院で起きたわいせつ事件の判決が東京地裁で行われた。「懲役3年、執行猶予5年」下された判決に被害者の加納みゆきさん(30代・仮名)は「納得できない」と悔しさをにじませ、週刊女性の取材に答えた。1人目の被害者事件の現場となったのは、東京・板橋区にあった整体院『T』(現在は閉店)。パニック障害や不定愁訴に効果がある、と宣伝し、口コミサイトでは高評価ばかり。“パニック障害が治った(中略)親切な先生のおかげです”などという書き込みが目立っていた。最初の被害者・加納さんが同店を訪れたのは’19年11月27日。加納さんはかねて、パニック障害に悩まされていた。(《》内は公判での証言)《夫が『T』をインターネットで見つけてくれました。“脳幹療術”という,パニック障害の根本治療をしてくれるとのことだったので、一縷の望みをかけて予約をしました》以前にも整体院でセクハラ被害に遭ったことがある加納さんは、事前に夫に施術を体験してもらい、問題がなかったことから自分も予約した。証言台に立った夫は、《妻が以前(別の)わいせつ行為を受けたこと、持病のことなどを被告に話しました。理解してもらったという感覚があり、妻に紹介しました。施術中私が同伴することも構わないということだったので来店したのですが》そこで事件は起きた。被害者の加納さんが証言する。《その日は院長しか店にいなくて、夫も隣の喫茶店で待ってるように指示されました。“電磁波が悪い影響を与える”という理由でした。よくわからなかったけど、そういうものなのかな、と思って従ったんです。夫が退出してOと2人きりになり、写真を撮られたあと、アイマスクをされました。施術中にレギンスの中に手が入ってきて、“ずらしますね”と言いながら恥骨まで下着とレギンスを下ろされました。子宮周辺を指圧されて、Tシャツを鎖骨までまくられ胸が露わになった状態で片方ずつ胸をなでられました。そのとき被告の性器が着衣の上から当たって……。そもそも私は尻や胸の不調は訴えていないのになぜ執拗にそこばかり揉む必要があったのか》別室から音声で出廷証言している加納さんは当時を思い出し、苦しそうに言葉を絞り出す。怖くて声が出せなかったという加納さんだが、施術が終わり夫が迎えに来た途端、店外へ飛び出し店の前で泣き崩れた。そこで夫が、警察に通報。しかしこのときは客と店の単なるトラブルとして処理されたのか、Oはすぐに釈放されている。2人目の被害者加納さんとのトラブルから3か月もたたない’20年1月9日、ネイリストの瀬川直子さん(30代・仮名)は持病の肩こりを改善するため同店を予約。《2人きりの施術室で、裸になる状態まで服を上げられ、院長特製の『生姜ジェル』というものを胸の横や下につけられ揉まれました。そのとき胸が見えないようにする配慮はなかった。乳房を直接触られ、下着とチノパンをひざ下まで下ろされ直に尻を揉まれました。そのとき私の陰部に被告の指が触れました》瀬川さんは恐怖から何も言えなかったという。さらに、《施術中に被告が国会議員や弁護士の知り合いが多いなどという話をしてきました。脅されているのかなと思い怖くなった》と、脅しともとれる言動。瀬川さんは帰宅後に相談した友人や家族のすすめで被害届を警察に提出。Oは在宅起訴される運びとなった。2人の女性にセクハラ治療をしたOとはどんな人物なのか。’75年に生まれたOは、大学卒業後、金融や人材サービスなどの仕事を経て問題の店舗『T』を’18年にオープンする。母親が倒れ、介護に専念するようになったことから自律神経や脳幹療術に興味を持ったというが、熊本の整体院で半年修業をしたのみ。整体師としての免許や資格は持っていない。当事者のOは、昨年9月の初公判で、《Aさん、Bさんに対してわいせつな行為は考えていなかった。両乳房を揉んだというのは、施術で片方ずつリンパを流しただけで、ズボンを下ろしたのも治療の一環》と、容疑を否認したものの、6回目の公判では、《私の施術中の行為で2人には謝罪をしたいと思っている》と、誤解を招く行為だったことは認めたものの、終始一貫して故意ではないと主張。Oの弁護側の主張はこうだ。《従業員がいつでも入れる状況でわいせつ行為をするわけがない》《肌感覚は錯覚しやすいので勘違いではないか》。1人目の被害者の加納さんに至っては、《過去にわいせつ行為を受けたので思い込みをしたのではないか》とセカンドレイプともとれる証言をしている。2人目の被害者の瀬川さんは、《私はもともと看護師だったので、施術とわいせつ行為の違いはわかります。嘘ばかり言っていてやるせない。100万円で示談の話があったが、お金はいらない。心と真心と誠意で対応してもらいたい》と求刑の際に結んだ。判決は妥当?3日、東京地裁で行われた判決公判で遠藤圭一郎裁判長は、《被害女性2人の証言には信用性がある。わいせつ行為をしている時に従業員が入ってきても、施術と言い訳ができる》と、弁護側の主張を一蹴した。それでも、《本件を機に仕事をやめていること、前科がないことから執行猶予をつけることとする》とした。わいせつ事件において、この判決は「妥当だと思います」とアディーレ法律事務所の長井健一弁護士。「初犯であっても、被害者が複数で、否認しており示談等が成立していないことを考慮すると量刑は妥当でしょう。判決が執行猶予がつけられる上限の懲役3年かつ執行猶予の上限である5年となっていることから、執行猶予にするか実刑にするかのギリギリの事件だったと思います」強制わいせつの量刑は2年以下が多く、そのうち90%近くが執行猶予となるという。「記録映像などがなく、そもそも“わいせつな行為をしたかどうか”について客観的な証拠がないことが多いため、立証が難しいです」被害者が嫌な思いをすることが多いというのが現実だ。加納さんは判決後、週刊女性の取材に、「甘いと思います。自分の受けた肉体的、精神的な苦痛と判決が見合っていない。つらいのは事件だけではなく、取り調べや写真撮影、現場検証、マネキンを使ったDNA鑑定、すごく精神的にきつい時間でした。自分は嘘をついていないのに、被告が無罪を主張する限りずっとこのつらい事件当日のことを思い出させられて。犯人は私の事件の捜査中にもかかわらず同じことをしました。性犯罪は繰り返されることが多い。この判決はほかの被害者を生み出しかねないと危惧しています」
2022年03月31日『ようこそ!!ワンガン夏祭りTHEODAIBA2018』制作発表に出席した木下ほうか「牧場」の持つ牧歌的で生産的な意味とはまったく違う、心底ぞっとする言葉。アンジャッシュ・渡部建(49)の“多目的トイレ不倫”も不快だったが(多目的トイレという名称は、その後変更になった)、それを凌駕する不快さ。「君も『ほうか牧場』の一人なんでしょ?」週刊文春3月31日号が報じた俳優の木下ほうか(58)の若手女優蹂躙(じゅうりん)騒動。被害者の女性が、ある日、男性の映画監督にそう言われたという。木下も最低だが、映画監督も最低。同罪だ。「木下君が君とヤったって言ってたよ」前述の言葉に続け、監督は被害女性にそう言い放ったという。それを言われたときの若手女優のくやしさが想像できる。やり直しのチャンスはあっても芸能界は永久追放スポーツ紙女性記者は怒り心頭だ。「その会話から透けて見えるのは、木下が複数の女性と交際しているということ。そしてその女性たちを、自分の牧場に家畜のように飼っているという意識。さらに彼女たちとの“関係”を、自慢げに映画監督に漏らしている点。酒の肴のつもりなのか、そんな場面が容易に想像できて、本当に汚らわしい。女を性の対象としか見ていない!という感じです」やり口がまた、薄汚い。自分の立場を利用して、「井筒和幸監督に紹介してやる」とか「業界の常識だから」とか顔の広さをにおわせて、肉体関係を迫っている。「複数の女性と関係しても、そこに愛情、恋愛感情があればまだましですが、1ミリもない。パワハラだし、性犯罪に近い。木下は芸能活動無期限休止と所属事務所との契約解除、山下智久主演のNHKドラマ『正直不動産』の降板を発表しました。芸能人が不祥事を起こし、ほとぼりが冷めるころになると必ず、復帰のチャンス、セカンドチャンス、やり直しのチャンスを与える、という論調が出てきます。木下にも、セカンドチャンスがあってもいいと思いますよ。生きて行かなきゃならないわけですから。ただし、芸能界以外で。映画業界、テレビ業界は木下を永久追放にしてほしいですね。業界全体の信用を棄損したわけですからね」(前出・スポーツ紙女性記者)報道から5日後、木下は所属事務所を“クビ”になり、自身のツイッターで「記憶にない」を2回繰り返しながら「概ね間違いない」と謝罪するも、世間の目は冷たいままだ。名脇役、代役が見つけにくい俳優としてプロデューサーや監督に重用されてきたバイプレイーヤーという立場を悪用し、まるで業界に暗部があるかのように女性に迫り、自ら暗部を作り出していた罪は大きく、消えることはない。〈取材・文/薮入うらら〉
2022年03月30日吉岡康成容疑者(本人のフェイスブックより)「逮捕されて“やっぱり、こうなったか”と思いました。なにしろ“カントク”として評判の悪かった人物なので」と容疑者を知る映画製作関係者は打ち明ける。人気映画監督・榊英雄による女優への“性行為強要”報道が過熱する中、同じような手口でわいせつ行為を行う“カントク”が存在した。映画の出演者を選ぶオーディションを装い応募してきた20代女性にわいせつな行為をしたとして警視庁池袋署は2月28日、強制わいせつの疑いで東京都練馬区石神井町の無職・吉岡康成容疑者(52)を逮捕した。1月25日午後6時ごろ、映画プロデューサーと名乗って被害女性に濃厚なキスシーン入りの台本を手渡し、「自分が相手役をします」と言ってキスをしたり、胸や下半身を触った疑いが持たれている。警察の取り調べに対し、「そんなことはしていない」と容疑を否認している。冒頭の映画製作関係者は、容疑者が無職になる前を知る証言者のひとりだが、まずは犯行の手口を詳述したい。社会部記者の話。「インターネットの掲示板に映画キャストのオーディション開催を告知。『海外映画祭で受賞実績のある映画監督が担当。クランクインは2022年4月、都内』と書き込み、そこに応募したのが俳優志望の被害女性。書類選考通過のメールを受けて当日、関西地方から上京した女性は東京・池袋駅近くの会場に到着。そこはレンタルルームとして貸し出されたマンションの一室で、ほかにスタッフの姿はない。異例のマンツーマンでオーディションは始まった」女性が渡された紙1枚の台本のタイトルは『教室』。設定は“小・中学時代の同級生男女の再会”小・中学時代の同級生男女が再会し、母校の教室で秘めた想いを告白し合う容疑者自作のラブストーリーだ。男性がキスを迫ると、女性はビンタ。呆然とする男性に「遅いよ」などと言いつつも、《見つめ合う二人。二人は激しくキスをする》と都合よく展開する。「最初は被害女性ひとりで2回演じさせ、3回目以降に相手役を買って出て何度もキスシーンをさせた。女性が映画監督の名前を尋ねると、合格者でなければ教えられないと答えたため、不審に思って警察に相談した」(前出の記者)捜査当局は防犯カメラの映像などから吉岡容疑者を特定。ほかにも同様の被害相談が寄せられており、余罪の可能性も含め関連を調べている。容疑者宅からは類似の自作台本が多数見つかったという。異業種交流会を主催するバイタリティー閑静な住宅街の賃貸マンションで3LDKの部屋にひとり暮らし。容疑者の親族によると、妻子がいたが、2〜3年前に離婚している。「家賃は月11万〜13万円台。何度か容疑者を見かけたが、多くはファミリー世帯なのでひとり暮らしは珍しい」とマンションの男性住人。不動産関係者によると、無職では入居できず、ごく最近、失職したとみられる。容疑者を知る仕事上の関係者は言う。「以前は住宅や店舗の設計・管理・工事を請け負う建築会社の経営。風水学による住環境の改善に意欲的で、関連団体の役職を務めたこともある。コンサルタント業やパワースポットを巡るツアーも催行するなど仕事の幅をずいぶん広げていた。人脈が豊富で、異業種交流会を主催するなどバイタリティーがあった」容疑者のSNSでは積極的に異業種交流会を開いていた様子がわかる。人脈を駆使して講演会を企画したり、著名人との記念写真をアップするなど賑やか。実際に映画をつくったこともあった。容疑者がつくる映画に出演したことがある男性の話。「いわゆるインディーズ映画ですが、プロデュースから監督までこなし、ストイックに取り組んでいました。例えば主人公がさまざまな出会いを通じて成長していくヒューマンストーリーとか。建築業出身のため、映画をきっかけに大工のような職人に憧れる人を増やしたいと話していました。出品した映画祭では認められず、本人から“落選しちゃいました”と報告があり、上映会が開かれました。まっとうな人物なので逮捕は何かの間違いではないかと思っているんです」作品名は『宇宙をつなげるトラ』自らも映画製作に出資したが、端役で映画出演させる代わりに協賛してくれる出資者も集めたのは18年ごろのこと。作品は『宇宙をつなげるトラ』など何本か撮っており、ベトナムで出演者オーディションを開いたこともあるという。映画業界は低予算の公開作品『カメラを止めるな』の大ヒットに湧き、自主制作映画が注目された時期と重なる。しかし、吉岡容疑者がメガホンをとった撮影現場では悪評が渦巻いていた。冒頭の映画製作関係者はこう話す。「出演女性へのセクハラがひどかった。役者を目指して地方から上京してきた女優の卵を相手に、オーディションのときに台本にキスシーンを追加したり、気弱そうな子にはハグを多めにしたそう。監督なのに“オレが相手をしてやる”と言い出すパターン。ほぼほぼ逮捕容疑とやり口が同じなんですよ。撮影中に食事に誘うこともあった。出演女性たちは陰で“あいつはヤバい、本当にヤバい”と警戒しまくっていました」言い返すような勝ち気な女性には手を出さなかった。「映画監督として才能は感じられず、作品にセンスもないし、人望もありませんでした。唯一、周囲のスタッフだけは優秀でした」(同・関係者)地元の知人によると、吉岡容疑者は中学でバスケ部、高校ではラグビー部の元スポーツマン。「まじめで優秀な青年だった」(同・知人)という。建築家を志し、都内の美術大学を卒業後、その夢は叶えたはずだった。「離婚してからも、別居中の子どもたちと旅行に行くなど親子関係は途絶えなかった。大きなストレスがあったとは思えず、事件は信じられない。かつて映画をつくったことは家族にも話していたそうで、ヒューマンドラマだと説明したらしい」(容疑者の親族)容疑者の好きな言葉は『一期一会』。容疑が事実ならば、出会いを大切にしているとは言いがたい。
2022年03月12日その施術台、ちゃんとタオル替えてます……?年を重ねればアチコチ痛くなる。そんなとき治療院は強い味方!でも中には絶対行っちゃいけない、アブナイ治療院もあって……。人気院院長が暴く、不衛生、セクハラ、詐欺まがい。あなたの行きつけは大丈夫!?詐欺まがいな治療院に要注意!腰が痛い。肩こりがひどい。そんな身体の不調があるときにお世話になるのが、整体院や整骨院だ。病院よりも敷居が低く、問診だけでなく実際に身体に触って施術してくれるため、安心感がある。しかし、痛みやこりがとれるどころか、整骨院や整体院での健康被害や詐欺まがいの商法が、消費生活センターや国民生活センターに次々と報告されている。「指圧で肋軟骨が折れた」などの健康被害もただ事ではないが、施術の回数券を大金で買わされ、被害額が大きいケースもある。癒しの場所であるはずの治療院の中で何が起きているのか。柔道整復師、はり師、きゅう師としてこれまで延べ10万人以上に施術をしてきたアスリートゴリラ鍼灸接骨院の高林孝光院長に事情を聞いた。「ぎっくり腰専門を謳う整骨院に行ったのに、腰を触るのを怖がって、ふくらはぎばかり触られたという患者さんの話を聞きました。全然専門じゃなかったようですね。ホームページや看板で“〇〇専門”などと謳っていたとしても、それはみんな自称ですから」(高林先生、以下同)インターネットの検索でも注意が必要だ。「例えばHPに“地域ナンバーワン”などとあるのも、自称ですから。根拠になるデータは何もない。“治癒率99・9%”なんて謳い文句もそう。全部、裏付けのない自称です」ほかによくあるのが、有名な健康系雑誌の表紙をHPに出し、「掲載されました」としてPRする方法だ。「実際は広告費を払って載せていることが多いです。『●n-an』の表紙などでハクづけする作戦はよく目にしますね。また、お金を出して有名人にコメントをもらうなどもよくある手口です」グーグルのクチコミなどもサクラが多い。「ネットを見ていて、これは怪しいと思うのが、“当院はクチコミなどのやらせは一切ありません”と注意書きのある院。わざわざ書く必要はない。以前、サクラの規制が入って300件ぐらいあったクチコミが一気に消えた院があったんですが、そのHPにもやはり“やらせではない”旨の文言がありました」最近では「サクラチェッカー」なるアプリも登場。クチコミが本物かサクラが書いたものかを判断できるそうなので、活用を!なんでも骨盤のせいにする接骨院“痛いところに手を当てて、手当てをするのが治療”と語る高林先生。「でも院によっては、患者さんの話を聞かず、首が痛いと言っているのに『これは背骨が原因』などと主張し、何でも自分の得意な分野に持っていこうとする先生がいる。自分の得意じゃない分野については患者さんの声を無視するんです。これはアウト!」また、痛みから緊急で来院している患者に対して『3週間後にもう1回来て』といった対応をする院も。「患者さんの声がまったく聞けない。それは、治療院側の経験不足です。あと接骨院で多いのが『骨盤・背骨ずれずれ営業』。腰痛も肩こりも、なんでもかんでもそれを理由にしてしまう(笑)」骨盤矯正は女性誌でも度々、その効果が特集されているが、疑問視する声も多い。「骨盤矯正ブームのころ“自分は骨盤がずれている”と主張する患者さんが急に増えました。実際に身体に触ってみると別にずれていない。実際は、腰の痛みを和らげようと無意識に側屈(身体を左または右に曲げること)する姿勢になっているだけ。なのに“骨盤のずれ”をあおる治療院が多かったから、その弊害です」また施術で骨を盛大に鳴らす治療も流行った。パフォーマンスとして行う治療院も少なくない。「音を鳴らすと、施術側は“やっている”感が出せる。院によっては、待っている患者さんの前に施術台を置き、ステージのようにしている。もし骨がずれていたなら、一発で治るはずなのに、なぜ通わせるのか疑問です」見せ技は金儲けのため?「“あの患者はお金があるな”と思われると、個室に連れていかれてVIP待遇が始まる院もある。オソロシイ話です」最近、消費生活センターが注意喚起しているのが、治療院で回数券を購入させられたが、解約や返金に応じてもらえないというトラブルだ。埼玉県の消費生活支援センターに寄せられたのは“骨盤が歪んでいるため、骨盤矯正とインナートレーニングに定期的に通う必要がある”と言われ、「96回の施術、計68万円分の治療が45万円になる回数券」を購入したものの、症状が悪化してしまった事例だ。カルテに書かれる酷い隠語「回数券問題ですね。“回数券を売るためだけに教育されたスタッフ”がいる治療院もあるんですよ!回数券は利用期日が小さ~く書いてあるけど、おじいちゃんやおばあちゃんは老眼で見えずに、期日を過ぎてしまう。また、使おうとしても期日までになかなか予約が取れずに失効してしまうケースもあります」実は法律上、購入を解約したくても、しづらくなっているのだ。東京都消費生活総合センターによれば“自ら出向いて契約した場合”の施術はクーリング・オフ制度が適用されない。また治療院側が「解約できない」と言えば、お金を諦めざるをえない。まったくの無法地帯だ。接骨院には法的な規制があるが、整体院にはないのだ。「よく繁華街で“あなたも3日で整体師”や“4日間でカイロプラクター資格取得”といった広告を見ます。整体師もカイロプラクターも法的な資格はないのです」接骨院(整骨院)は、国家資格を持った柔道整復師がいるので、法的規制もあり保険適用にもなる。はり師、きゅう師も同じく国家資格だ。接骨院であればあくどい手口はないようだが、回数券の購入には注意が必要だ。「治療院のカルテの右上、名前の横などに数字が書いてあれば、“〇人目の患者”という意味。では“500UB”と記号がついていたら何だと思います?答えは“500番目に来たうるさいババア”です。いろんな病院に勤めていた経験から言いますが、UBならうるさいババア、UGならうるさいジジイという暗号は、ほとんどの病院が使っています。業界の裏常識だと思います……嫌な話です」またPと書いてあれば、“頭がパ●”、Bなら“バ●”の意味だそう。「カルテがドイツ語なのは、患者に内容を知らせないようにするため。それと同じで、患者の目の前でスタッフたちに“この人はパ●だ”“バ●だ”なんて言えないけれど、PやBなら本人を目の前に悪態をつき放題なんです」PやBに加えて三重丸や花丸が書かれたカルテにはそのときの書き手の感情が反映されることも多いという。「カルテ一面の赤い花丸で怒りを表現したものも見たことがありますよ。例えば“自分の施術に懐疑的だった”くらいで怒って、そんなことをする施術者もいました」「T」は水虫患者を指す。「“だからこの患者の施術後は手を洗いなさい”という、まじめな記号もありますが、ほとんどは患者さんに絶対悟られてはならない隠語です」もし自分のカルテの右上に謎の記号があったら、それは何か尋ねよう。「もし相手が動揺したなら悪い意味だと思います。治療に行って、そういうことをされたら悲しいじゃないですか」院が交通事故専門を謳う理由これらの手口を明かしたことで、アウトな治療院がすべてなくなればいい、と語る高林先生。「世の中を正したいですね。結局、ダメな治療院って扱いにくい患者さんを攻撃するんです。治療院側がきちんとコミュニケーションさえとれていれば扱いにくい患者さんなんていないはず。私はむしろ患者さんから元気をもらっていますよ。よくなった患者さんがお礼を言ってくれると本当にうれしい。これからも1人でも多くの患者さんの痛みを治したいと考えています」●そもそも治療院って?→器具を使用しない主義による医業類似行為・法的な資格制度があるもの→あんまマッサージ指圧はり、きゅう柔道整復・法的な資格制度がないもの→その他の施術(整体、カイロプラクティックなど)※これらは法的資格制度のあるなしに関係なく治療院と呼ばれる。◆行ってはいけない!アウトな治療院のpoint【その1】フケツスタッフのユニフォームの襟元やズボンなどが黒ずんでいる。サンダルの靴下が汚いなど、衛生観念が低い。「そういう院では、前の人が素足で乗ったマットの上にうつぶせで寝て、など平気で言います」(高林先生)【その2】外から見えない!外から中の様子が見えないように目隠ししてある。「評判が落ちて患者が来なくなると、院の中を見えないようにしがちです。空の治療台や待つ患者がいないのを見られないようにするのが姑息ですね(笑)」(高林先生)【その3】“交通事故専門”を謳う“交通事故専門”“自賠責ゼロ円”などののぼりを立てたり、ポスターを張っている。「交通事故って儲かるんです。普通の患者さん1人が10人分ぐらいの儲けになります。交通事故専門って何だよって思いません?自賠責ゼロって言うけど、保険が使えるところなら、どこでもゼロ円ですよ。あえてそれを声高に宣伝する院はおかしいですね」(高林先生)【その4】セクハラ若い女性患者はとくに気をつけたい。「患者さんで若い女性が来ると、なぜかいつも院長が出てくる治療院がありました。下半身の痛みがあるにもかかわらず、関係ない上半身を脱がせ、肩を揺らして胸を凝視。そんなことをする治療院は本当にアウトですね!」(高林先生)【その5】先生が練習、実力不足先生が患者と目を合わせない。あるいは患者の質問に逆切れする意味は? 「人見知りの先生や鍼を打つときに手が震える先生がいます。緊張しないようになるにはどうしたらいいか。緊張しないぐらい練習すればいいんです。治療をして、もし治らなくても、いい先生は引き出しを持っているので動揺しない。引き出しを持っていない先生は急に慌てたり怒ったりするし、コミュニケーションが円滑にとれないことが多いです」(高林先生)ホントにあった! アウトな事例【事例1】15年以上前から行きつけの指圧・マッサージ店で全身の指圧マッサージを1時間半受けた。終了直前にブキッと音がして息をつけない痛みを感じたが、1~2分で通常に戻ったので激痛があったことを言わず帰宅。その夜に発熱し痛みが出たため整形外科を受診したら肋軟骨骨折と診断。加療に1か月を要するとされた。(60代・女性)【事例2】健康ランドで受けたマッサージ。腰、脚に痛みが出て歩行が困難になった。翌日、整形外科を受診したところ、脊椎管狭窄症があって、マッサージで強く押したため痛みが出たのだろうとの診断だった。店に苦情を言うと、もともと病気があったのだから治療費しか出せないとのこと。通院治療は1か月、その間仕事ができない。施術者に確認したところ、免許は持っておらず、マッサージではなくボディケアだから免許は必要ないと言っていた。免許のない者がやってもいいのか。(60代・男性)【事例3】お試しのハワイアンオイルマッサージがよかったので全身マッサージに行った。背中などをぐりぐりと痛いくらいマッサージされた。数日後首や頭のまわりが痛くなったので病院に行ったところ、頸椎捻挫と診断された。治療費などをマッサージ店に知らせて対応を求めたところ、「マッサージとの因果関係がはっきりしないので支払えない」との通知が来た。痛みが続いているにもかかわらず何もしてくれないのは納得できない。(50代・女性)国民生活センターホームぺージよりお話を聞いたのは……アスリートゴリラ鍼灸接骨院高林孝光院長鍼灸師・柔道整復師として延べ10万人以上を施術。有名アスリートや著名人の治療実績も豊富。テレビ番組などメディア出演多数。『ひざ痛がウソのように消える! 1日40秒×2 ひざのお皿エクササイズ』(CCCメディアハウス)ほか著書多数。《取材・文/ガンガーラ田津美》
2022年03月03日「セクハラ義父 新たな出会い編」第22話。なつみさんの前夫との離婚理由。それは義父にセクハラを受けたことが原因でした。できるなら話したくなかったことでしたが、今回相馬さんとご両親の前で、包み隠さず話すことに。話を聞き終わると、相馬さんはその事実を受け止め、なつみさんをやさしく抱きしめるのでした。ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 新たな出会い編22 なつみさんが義父からのセクハラで悩んでいるとき、前の夫は何もしてくれませんでした。 絶望していた日々のことをぼんやりと思いだすなつみさん。 しかし、そんな過去のことは、相馬さんのやさしい言葉と熱い抱擁によってかき消されるのでした。 そして、そのままプロポーズをされることになって……!? さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2022年02月24日「セクハラ義父 新たな出会い編」第21話。ひなちゃんが席を外し、ついに離婚の理由……義父から受けたセクハラ行為の数々についてを包み隠さず話したなつみさん。さて、3人の反応は……!?ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 新たな出会い編21 衝撃的な内容に驚いた相馬さんのお父さんとお母さん。 なつみさんは、自らが性被害に遭ったことに対しての恥ずかしさと、この事実をみんなに受け入れてもらえるのかという怖さがあり、複雑な気持ちでいました。 しかし、相馬さんの口から出た言葉は「あり得ねー! 」 「なんでなつみさんを守ってあげなかったんだよ」 「そのときのなつみさんを俺が守ってあげたかった……」という言葉でした。 やさしい彼の言葉に、思わず目からは涙がこぼれて……!? さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2022年02月18日※写真はイメージですタクシードライバーは、どんな客を乗せるか分からない“リスク”と隣り合わせで、クレームに敏感な職業でもある。ドライブレコーダーが普及した現在では、ドライバーに対する暴行事件の発覚が後をたたない。「道を間違えたから」「スピードが遅い」など、些細なことで顧客とのトラブルに発展することもある。その一方で、ドライバーに対する顧客のクレームの声もよく耳にする。■求められる「丁寧な接客」ベテランドライバーの天野さんは(仮名・60代)はこう話す。「一番多いのは料金を値上げするために停車場所を伸ばした、道を間違えただろう、というもの。次いで話し方などの接客面です。接客時は普通にしているように感じても、気がついたら会社にクレームがいっていた、ということがここ最近は特に頻発していますね」接客態度や運転マナー、運賃などで顧客からやり玉に挙げられるということは、いわばこの仕事の宿命でもあり、避けられない問題でもある。そんなドライバーたちに寄せられる顧客の指摘や不満は、どういったものが占めるのだろうか。その答えを読み解く上で、興味深いデータがある。一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が19年に実施した「タクシーに関するアンケート調査結果」によれば、一か月辺りの利用頻度、いち乗車辺りの利用額などの項目で男女差はほとんど見られない。あくまで母数が限定された調査ではあるが、これはつまり東京などの大都市圏においては、利用金額、利用頻度などで女性のマーケットは男性とさして変わらないことも意味する一つの指標ともとれる。更にデータを読み込むと乗客が重視する項目に、安全性に次いで2位に位置するのが「丁寧な接客」という項目で、これが全体の約20%を占める。面白いことにこの数字は年齢と共に上昇していき、20歳未満と60歳以上では倍近い数値の開きがあるのだ。総じていえば、女性のほうが求める水準が高く、年齢が高まるほどその傾向が一層強まる。具体的に求めることについてみていくと、かなり厳しい意見が占めることがわかる。「タクシーを利用するときに“この運転手は大丈夫かな”と思いながら手を挙げていますが、いつになったらこうした状況が無くなるのでしょうか。お金を払ってサービスを受けるのに、運転手によっては嫌な思いを抱きながら、早く目的地に到着することを願っているのが現状ですが、まともなサービスが提供出来ない運転手が一日も早く居なくなることを願っています」(50代女性)「運転手さんの人となりによって、乗らなければ良かったと思う時もあります。話をしすぎる方もぶっきらぼうな方も乗っていて、とてもつらいです。運転手さんの質の向上をお願いしたいです」(50代女性)「ときに“むっつり”した運転手さんの車に出会うこともあります。そのときは一寸困りますが、人間ですからね、そういうときもあるでしょう。でも“ありがとう、助かりました!”と言って降ります」(60代女性)その一方で、こんな声もある。「最近は運転手さんの対応もとても感じがよく、朝などは気分よく一日をスタートできます。地方などではまだまだ無愛想な運転手さんがいるので、東京のレベルの高さを感じます」(50代女性)これらの意見は、どちらもタクシー業界の現状をそのまま表しているような気がするのだ。■女性客にビクビク業界を取材すると、以前よりも格段にタクシードライバーのマナーはよくなった、という声のほうが多い。バブル期はドライバーが客を選ぶような状態だったというが、現在では都心部ほど研修や接客マニュアルが厳重化されている。それでも高齢になるほど、以前の習慣が抜けないという指摘も少なくない。都内のタクシー会社幹部がこう解説する。「タクシー業務の適正化を図る『タクシーセンター』の存在が浸透してから、かなりドライバーの意識も変わってきました。もしタクシーセンターにクレームが入るものなら、会社側は調査対応が必要となり、ドライバーは営業が制限され、収入にも直結してくるからです。ただ、実際にクレームが入る方は高齢ドライバーが多いのも現状です。そして、主な苦情元は中高年の女性が占める割合が多いということもよく耳にします」さまざまな年齢層を乗せることが多い渋谷〜恵比寿間を地盤に営業する山村さん(仮名・50代)は、女性客を乗せる際は普段よりも気配りをすると明かす。「道の指定をされたり、細かい注文を受けることがもっとも多いのが40代〜50代女性の層ですね。男性客の方だと何気ない世間話をしたりとまだ気が楽なのですが、今のご時世、何か失言があれば“セクハラだ”と言われることがある。こちらも気が気じゃないんですよ。中には手慣れた方もいて、“道が間違っている。間に合わないから金を払わない”や“ふざけた態度だからタクシーセンターにクレームを入れる”と逆に脅されるようなこともあります……。そういった場合はこちらが折れるしかなく、乗車賃をこちらが自腹で建て替えたことも何度もありますよ」ドライバーにとっては些細なものであれ極力トラブルを避けたいが、当然最低限の会話は必要となる。特に難しいのが、よい接客かどうかの線引きだ、とも続けた。「例えば女性のお客さんを乗せた際に、向こうが上機嫌で話しかけてきた場合は、こちらも盛り上げたほうがいいのかな、と感じますよね。ただどんなお仕事を?だとか、普段はどの辺りで?といったことを会話の流れの中で聞くと、途端に“知ってどうするんですか?”と警戒され、態度が一変することもある。知人のドライバーの中には、話が盛り上がったことでテンションが上がってしまい、何度かタメ口になったというだけで、会社にクレームを入れられたという経験をした者もいます。たぶんね、これは世間が抱くタクシードライバーに対する固定観念も影響していると思う。例えば飲食店ならこうなるのかな、と。だから極力こちらからは話しかけないという、無難な選択をするようになっていきましたね」以前取材した女性ドライバーの吉岡さん(仮名・30代)によれば、女性客を乗せると男性ドライバーの悪口を吐き散らす、というようなことも珍しくないという。実際にはこんな話しがあった。「一番多いのは、不快感のあるドライバーだと家を知られたくないから、“家の手前で下ろしてくれ”という注文することだそうです。あとは喋り方や話す内容についての厳しい意見が多いですね。だから、“女性ドライバーに乗ると安心だ”“今後もお願いしたい”と予約を頼まれることも結構あったりします」ただ、その一方で吉岡さんはそういった客としての“権利”を全面に出す風潮が強くなりすぎているのではないか、とも感じているという。「そういった声も正しいとは感じますが、業界で働いている私からすれば、ちょっと言いすぎじゃないか、とも思うんです。確かにダメなドライバーもいますが、話すといいおじちゃんドライバーもたくさんいます。むしろ男性ドライバーの方から“女性客は気を使うし、突然爆発するから乗せるのが怖い”と相談を受けることもあります。私は女性ドライバーだからダメだ、と男性客に乗車拒否されたり、お客さんからセクハラ発言をされることなど日常茶番事ですよ。ハイヤーでもないし、高級ホテルではないのだから、サービスにムラがあるのは仕方ない。気にしすぎたら、どんどん無機質な接客になっていくのは目に見えてますから。ドライバーも、お客さんも過剰過ぎるんじゃないかな、とは感じますね」目的地へと向かう車中の短い時間には、顧客とドライバーのさまざまな思いが交錯している。栗田 シメイ(ノンフィクションライター)1987年生まれ。広告代理店勤務、週刊誌記者などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材し、雑誌やwebを中心に寄稿する。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』(扶桑社新書)。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。
2022年02月14日“龍角散裁判”に関する記者会見の様子「通常、不当解雇を訴える訴訟で会社側が支払う金銭補償は月給の6か月から1年分が多い中、裁判官は会社側の非を認め解雇無効を前提に、定年までの約8年間の給与を補償させました。定年退職までの給与が出ることは、まずないそうで結果的には和解といえども実質的には原告の勝訴といえます」(司法関係者)社長のセクハラを調査しただけで解雇された、と製薬会社・龍角散の元法務部長・福田由紀さん(50代・仮名)が厚生労働記者会で会見してから約2年半ーー。昨年12月1日に行われた非公開の場において両者は和解。原告の定年退職までの給与を支払う金銭補償で合意退職という形で幕を閉じた。■「ハグはしたけどセクハラではない」と主張ことの発端は、’18年12月の同社の忘年会。15人ほどが参加したその席で、藤井隆太社長(61)が、派遣社員の相田幸子さん(40代・仮名)に抱きつくなどのセクハラを行ったとされることだった。現場に同席していた執行役員で原告・由紀さんの姉の福田亜紀子さん(50代・仮名)がセクハラを問題視し、法務部長を務めていた妹の由紀さんに相談。由紀さんが社内調査を行ったところ、社長は“(由紀さんと亜紀子さんが)セクハラを捏造した”とし、由紀さんは自宅待機を命じられたのち、解雇が言い渡されたのだ。「’19年6月に由紀さんが提訴会見をしてから裁判はほぼ非公開で行われてきました。公開となったのは3回だけで、’21年9月の藤井社長の証人尋問が公開の法廷で行われました。その中で藤井社長は相田さんに抱きついたことに関しては“ハグはしたけどセクハラではない”と主張。“首筋が色っぽい”と言ったことに関しては、言ったかもしれないと認めつつも“首筋が出ている服装は好ましくないという意味を込めて言いました”“(ハグを)嫌がっていたら逃げます”などと独自の理論を展開。身体を触ったがセクハラではないと繰り返し、傍聴席から笑いが漏れた場面もありました」(同・司法関係者)2回目の尋問は同年11月、セクハラを受けたとされる相田さんが証人として出廷した。「相田さんも藤井社長と同じくハグをされたことや手を何度も触られたことは認めながらも“セクハラだとは思っていません! 福田姉妹に発言を強要された!”などと言い、法廷にいる藤井社長に“セクハラ騒動に巻き込んでしまい申し訳ありません!”と謝罪する場面もありました。当初、相田さんは由紀さんにセクハラをされた、と自ら話していたんです。相田さんは忘年会当時の’18年12月は派遣社員でした。それが騒動があった翌月、正社員になっています。中途採用や社内人事が行われる時期でもなく不自然な形に見えたので“会社側に買収されたのでは”と勘ぐる声が社内でも多くありました。相田さんのセクハラに関する証言には首をかしげる部分が多く、裁判長が問い詰める場面もありました」(同・司法関係者)■裁判長からの質問に相田さんは……ーーあなたは社長に対して申し訳ないと言いながら、社長がしてもいないセクハラをしたと(福田さんに)言ったことは不法行為、名誉毀損、犯罪だと思いませんでしたか?「福田姉妹が怖く、保身のために嘘を言ってしまいました」ーーそれは社長を困らせることになるのに、なぜそんなことを言ったのですか?「保身のためで自分の弱さです」ーーあなたは保身のため嘘を言えと言われたら言うような方なんですか?裁判長の質問に相田さんが言葉を詰まらせる場面だった。“福田姉妹が怖くて”という相田さんの証言が腑に落ちないのには理由がある。「会社側は福田姉妹が社内で権力を持ちすぎているという主張をしていましたが、龍角散はオーナーカンパニーで株の90%を保有する藤井社長が絶対的な権力を持っているのは明らか。現に、由紀さんはセクハラ調査をしたわずか3日後には自宅待機を命じられて、姉の亜紀子さんも役職を解かれて工場へ異動させられた後、自宅待機を命じられているんですから」(会社関係者)セクハラを認めようとしない会社側の主張に裁判は長引くと思われていたが昨年12月1日、突如、会社側は和解を承諾してきた。一体何があったのか。「12月1日の非公開裁判において裁判長が長時間にわたり会社を説得して最終的に会社が折れました。その代わりに会社が主張した条件とは“解雇撤回”、“解雇無効”という言葉を使わないこと。守秘義務を外すということです」と、原告の由紀さんが取材に応じてくれた。龍角散は12月7日、自社のホームページで見解を発表。“セクハラはなかった”、“和解金額は退職までの給与ではない”と敗訴ではないことを主張。龍角散にコメントを求めたところ、「そもそも本件は、原告が自ら、ヒアリング前に、予め被害者とみなす本人の発言録を作成し、事前に同人に複数回接触しセクハラと陳述するよう求める等、不適切な調査であったことが主な論点でありました。被害者とされる本人自身がセクハラとは思っていないと明確に証言していることも附言いたします。原告側が解決金(6000万円)は定年までの給与だとコメントしていますが、実際は原告の要求は定年までの給与・賞与・退職金で1億5000万円超でした」という回答だった。■自殺したくなるくらいつらかった最後に原告の由紀さんが『週刊女性PRIME』にだけこの2年半の心境を明かしてくれた。「セクハラを証言していた人たちが次々に証言を翻していき、裁判では私たち姉妹への悪口ばかり言われて人間不信になりました。法務を担当していたのに不正をしたかのように言われ自殺したくなるくらいつらかったですが、諦めないで闘ってきてよかったと思います。会社のコメントを読みましたが、私は『発言録』など作成しておらず、公開の法廷で尋問が実施され裁判記録も公開されているのに、会社が事実と異なることを公表し続けていることに驚いています。私が起こした訴訟を通じても、全く反省がなく、また、学びのない会社で非常に残念です。私以外にも、姉は2年以上も自宅待機を命じられたままでしたし、セクハラを証言した後、雇い止めになった方もいます。内部にいる社員のためにも、第三者相談窓口を設置してほしいと切に願っています」
2022年02月14日「セクハラ義父 新たな出会い編」第20話。離婚した理由を聞かれなつみさん。しかし、まだ小学3年生の小さな娘の前で、義父のセクハラ行為を話すことは抵抗がありました。そのため、「全てをお話ししますが、娘は席を外させて下さい」と2人に頼みます。さて、2人の反応は……!?ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 新たな出会い編20 ただならぬ気配を感じたひなちゃんは、自らその場を去ります。 ひなちゃんにお礼を言うと、これまでに起こった義父のセクハラ行為の全てを話し始めたなつみさん。 さて、その一部始終を聞いた3人の反応は……!? さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2022年02月10日SNSで話題!親戚によるセクハラあるある!@puyozipさんの『「もう40歳でしょ?」叔母はすねかじりの息子にも見切りをつけて…?!【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<最終話>』を紹介します。昭和世代の親戚が集まる場は地獄…。社会に出てバリバリ働いている独身女性は肩身の狭い思いをするのです…。前回、既に叔母は長年培ってきた家事の技術で就職先を見つけ、離婚の準備万端でしたね。そんな叔母に叔父は「家事が好きなら家でやればいいだろ」と言い放ったのです…。叔母のダメ押し…それなら実の息子は…?背負っていた荷物を下ろし…第2の人生の始まりですね…!家族のために生きてきた叔母…。これからは自分だけのために時間も労力も使って、人生を謳歌してもらいたいですね。叔母の決意と行動力にスカッとしたお話でした…!!今回は「「もう40歳でしょ?」叔母はすねかじりの息子にも見切りをつけて…?!【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<最終話>」をご紹介致しました!(恋愛jp編集部)(イラスト/@puyozip)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。
2022年01月28日SNSで話題!親戚によるセクハラあるある!@puyozipさんの『「あなたが介護したら?」叔母は叔父に離婚をつきつけて…?!【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<6話>』を紹介します。昭和世代の親戚が集まる場は地獄…。社会に出てバリバリ働いている独身女性は肩身の狭い思いをするのです…。前回、叔母は叔父と息子の女を見下す態度に我慢の限界を迎えましたね。そして、叔父に離婚を切り出したのです…。この期に及んで叔父は…見事にスルーされ…家事の技術は仕事になる…もう叔父は手詰まりなのでは…?!叔母かっこいい…!もはや叔父に成す術はありません…。今まで叔母を見下して、召使いのように扱っていたツケがまわってきたんですね。昭和世代の夫婦が熟年離婚する理由がなんとなくわかったような気がします…。今回は「「あなたが介護したら?」叔母は叔父に離婚をつきつけて…?!【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<6話>」をご紹介致しました!次回、「これからは自分の人生を歩く」叔父と離婚した叔母はキラキラしていて…1日1話更新中♪次回の配信もお楽しみに!(恋愛jp編集部)(イラスト/@puyozip)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。
2022年01月27日SNSで話題!親戚によるセクハラあるある!@puyozipさんの『だから帰省って嫌…。「結婚は?!」独身の私に叔父はセクハラ発言を浴びせてきて…【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<1話>』を紹介します。昭和世代の親戚が集まる場は地獄…。社会に出てバリバリ働いている独身女性は肩身の狭い思いをするのです…。M子さんもそんな女性の一人…。今年もこの日がやってきた…相変わらずのセクハラ発言…最もストレスなのは…なんでニートに値踏みされなきゃいけないんだ…昭和世代の中には未だに「結婚は20代前半までにするもの」と時代錯誤の考えを押し付けてくる人達がいます…。今の時代の感覚では、26歳なんてまだまだ若くて、結婚を焦る必要性なんてありませんよね…?独身女性への風当たりがキツイ親戚の集まり…ストレスフルです…。今回は「だから帰省って嫌…。「結婚は?!」独身の私に叔父はセクハラ発言を浴びせてきて…【帰省中に親戚のセクハラ親父をスカっと黙らせた話】<1話>」をご紹介致しました!次回、「女の幸せは出産と結婚だろ!」叔父は“女の幸せ”を勝手に決めつけてきて…1日1話更新中♪次回の配信もお楽しみに!(恋愛jp編集部)(イラスト/@puyozip)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。
2022年01月22日マスク姿で取材に応じる新井祥子元町議(左)と黒岩信忠町長「町長選には立候補します。しかし、社会的弱者や子育て中の女性ら町民の声に耳を傾けない町政を変えたいからであって、町長から受けた性被害とは別の話です。刑事告訴はずっと考えてきましたし、抱えている裁判などで手一杯ですが、強制わいせつの公訴時効が来年1月に迫ったため決断しました」群馬県草津町の新井祥子元町議(52)は来年1月の町長選(18日告示、23日投開票)に出馬する意向を示すとともに、現町長を強制わいせつ容疑で訴えた理由についてそう述べた。町長選には、4期目を目指す現職の黒岩信忠町長(74)が立候補を表明。かたや黒岩町長に対する強制わいせつ容疑の告訴状は前橋地検に受理され、逆に町長から「そうした事実はなく厳正な処罰を求める」と虚偽告訴の疑いで訴え返されている。性暴力の有無をめぐって刑事事件で対立する当事者同士が、町長選でも争うという前代未聞の新展開となった。ことの始まりは2019年11月。■肉体関係を強要された当時現職だった新井元町議が、「2015年に黒岩町長から町長室で肉体関係を強要された」などと突然告発した。町長は激怒し、つくり話で社会的信用などを傷つけられたとする名誉毀損で新井氏を刑事・民事とも訴え、現在も捜査と審理が続いている。つまり、名誉毀損をめぐる刑事事件と民事事件、その根幹にあたる強制わいせつと虚偽告訴で争う刑事事件、さらに年明けに控えた町長選と、両者は4つの闘いを抱えることになる。黒岩町長は新井元町議のアクションについてこう話す。「新井氏が町長選に出馬するとは想定していませんでしたが、だれが立候補しても自由なのでコメントはしません。刑事告訴については、町長選に出る私の評価を下げるためにこの時期を選んだのでしょう。しかし、私にしてみれば、強制わいせつの事実そのものがあったかどうか捜査される告訴は、濡れ衣をはらす絶好のチャンスです。以前から言っているように新井氏には指一本触れておらず、もし訴えられた内容が事実ならば、合意があろうとなかろうと即刻、町長を辞めますよ」新井元町議の告訴状などによると、事件があったとされる2015年1月8日午前10時すぎごろ、草津町役場3階の町長室で、新井氏の意に反して町長は抱き寄せてキスし、ブラウスの上から胸を触さった。さらに新井氏が床に倒れこんで身体を丸めていたところ、町長は彼女のブラウスを捲り上げて胸を直接触り、スカートを捲り上げ下着に手を入れて陰部を触るなどし、下着を足首ぐらいまでおろして背後から陰茎を陰部に直接押し当てるなどの行為をしたと訴えている。■全部ウソのつくり話黒岩町長は「全部ウソのつくり話。誤解されるような行動もゼロです」と完全否定した上で、新井元町議の主張をめぐる不自然さを指摘する。「訴えてきたと思ったら、強制性交等罪ではなく強制わいせつ罪という。最初は肉体関係を持って嬉しかったなどと言っていたはずなのに、いつの間にか犯されたに変わり、こんどは触られたと主張をコロコロ変えている。そんなことが通りますか?」(黒岩町長)新井元町議は最初に告発した電子書籍の中で、《私、新井祥子は平成27(2015)年1月8日、町長室にて黒岩信忠町長と肉体関係を持ちました。以上のことを、深く反省し、告白いたします》(※カッコ内は編集部加筆)とする署名、捺印入りの直筆文を掲載している。これまでの取材に対し、新井元町議は政治家として黒岩町長に憧れを持っていたものの決して性行為には同意していないと訴え、反省したのは公的財産である町長室での出来事だからだと説明してきた。しかし、肉体関係を持ったとする表現は、それが無理やりであれば強制性交等容疑にあたると考えるのが自然だろう。肉体関係ではなかったのか。「性被害に遭ったときはパニックになっていますし、被害状況を明確にするのは難しいところもありました。ただ、服の上から触られただけではありません。デリケートな部分を触られたりいろいろされたわけですから。電子書籍内では『肉体関係』という言葉を使っていますが、同意なく関係を持たされた意味でそう書いたんです」(新井元町議)新井元町議によると、性被害に遭ったことを認めたくない気持ちがあり、詳細を語ることはなかなかできなかった。ただ「レイプされた」と言ったことはないという。確かにこれまでのインタビュー取材では、具体的な被害について「性交」を語ることはなかった。両者の言い分は真っ二つ。しかし、新井元町議は強制わいせつ容疑での告訴にあたり、事件当日にボイスレコーダーをポケットに忍ばせて隠し録りしたとする音声データを公開した。雑音混じりで聴きにくいが、犯行直前とする町長との会話が録音されている。「町長は、町長室のドアはいつも開けているので密室ではなかったと主張していますが、ドアをノックする音が入っていることから閉まっていたと考えられます。さらに前副町長(当時の副町長)も同席していたと言いますが、前副町長の声は入っていません。私を“しょうこちゃん”と呼ぶ声も録音されている。そんな愛称で呼ぶはずがないと言っていたのに、いくつものウソがわかる録音です」と新井元町議は話す。一方、黒岩町長はこう反論する。■“しょこたん”なんて呼び方はしない「ドアが開いていてもノックして入室するのは礼儀ですよ。前副町長の同席については、新井氏が早めに来て前副町長に会ってから町長室に来たのか、途中まで前副町長が同席していたのか覚えていませんが、前副町長あてに訪ねてきたことがわかっています。それと、私が言ったのは“しょこたん”なんて呼び方はしないということ。ほかの町議も愛称で呼んでいるように、公式な場でなければ人間関係を円滑にするため“しょうこちゃん”と呼ぶことはありましたよ」音声データには、性暴力を受けている場面の録音はない。新井元町議によると、町長に隠し録りがバレたと思ってその前に電源を切ってしまったからだという。性被害が事実とすれば同町として由々しき問題であり、ウソだとしても同じ。しかし町議会は2年前の告発当初、現職議員だった新井氏に対し、個人的な性の話題を議会に持ち込んで品位を傷つけたなどとして懲罰動議にかけ除名。県の判断で復職すると、昨年12月には新井氏をリコール(解職請求)する住民投票が実施され、町議の運動もあって賛成2542票、反対208票という大差で失職した。定数12(欠員2)の町議会で新井氏側に立つ議員はひとりしかいない。セクハラ被害者の背中を押す「#MeToo」運動が世界的に広がっていたこともあり、一部の有識者や女性団体などがこの騒動の経緯を問題視。新井元町議の支援者らが同町に駆けつけ、議会傍聴や街頭活動するなど町長との対立が激化していた。町長選はどのような闘いになるのか。新井元町議は、「私の性被害は町政と直接関係がないため争点にしたくありません。立場の弱い町民の声をしっかりと聞く政治を目指し、弱者に寄り添う町づくりや観光政策を訴えていきます」ときっぱり。黒岩町長はこう話す。「もっと観光地として盛り上げるためにも残された仕事をやらなければいけない。性暴力の有無をめぐる争いはマニフェストに書く事柄ではありませんが、新井氏から何か言われた場合はしっかり反論します」年明けから街頭で激しい論戦が展開されそうな町長選。唄に合わせ約180センチの板で熱湯をもんで冷ます“湯もみ”は草津温泉の名物として知られるが、両者の摩擦熱は増すばかりで湯もみも効きそうにない。
2021年12月30日※写真はイメージですここ数年、乗客によるタクシー運転手への暴行、というニュースが取り沙汰される機会が増えたように感じる方も多いのではないか。これはドライブレコーダーの浸透により、これまで表沙汰にならなかった事件が認知されるようになった面も大きい。都内のタクシー会社幹部は、「それでも表面化されているものはまだまだ一部でしかないです。特に深夜帯はアルコール摂取した乗客の方とのトラブルは日常茶飯事。時短要請が空け、年末にかけてトラブルは増えていくでしょうね」と明かす。暴行に限らず、タクシー従事者にとって“ヤバい客”に遭遇することはままある。本稿では、ドライバーたちが経験した、恐怖体験と珍客たちを取り上げていく。■運転手が遭遇したヤバい客小さなトラブルは男女を乗せた際に起こりやすい、と言うのは新宿を拠点とする歴30年のベテラン、山田さん(仮名・60代)だ。ここ4、5年で数自体は随分減ったというが、車中で情事が始まるといったことを度々経験してきた。そんな時に難しいのは、いかに注意を促すことだというが……。「注意すると逆ギレされることも珍しくないんですよ。男女間の性行為というのはどこまでで注意するか、という判断が非常に難しいんです。私の中で一つ決めているのが、性器を露出したら覚悟を決めて『車中なのでやめて下さい』と声をかけます。キスや胸を触る、といったところまでは我慢しますが、性器までいくとその日の営業に影響が出る。タクシーで一番嫌なのは、匂いや汚れ。一度性行為寸前までいった女性客が車中で失禁したことがあり、その後は営業が出来なかった苦い経験をした。それ以来気をつけるようにしています。どんな方が多いか、ですか。意外に思われるかもしれませんが、若い方でそういう客はほとんどいません。ほとんどが40代を超えた中年の方です。明らかに不倫という人も多くて」新宿・歌舞伎町エリアで乗客を拾うことが多い山田さんが、もっとも気をつけるのは深夜帯に派手目の服装をした女性を一人で乗せることだという。なぜなのか。「車中で眠ってしまって、目的地に着いても起きないという方がすごく多いんです。男性なら身体を揺らしたり出来ますが、女性に触るとセクハラで訴えられかねないご時世でしょ。そういうときは警察を呼ぶようにしてますが、いずれにしろ時間をかなり取られて営業的には大きなマイナスです。だから“ヤバい客”かは、乗車の際に見極めるようにしています。10年くらい前は『タクシー代がないから、身体で払う』という方も2、3人当たりましたよ。嘘のような本当の話です。もちろん断りましたが、土地柄もあるんでしょうね」一方で近年増加傾向にある女性ドライバーたちは、男性とは違った視点で煩わしさを感じることがある。これまで聞いた話では、『女性というだけで乗車拒否された』『車中で言葉のセクハラを受ける』といったものは、多くの女性ドライバーが経験している。10年前にタクシー業界に転職した高山さん(仮名・30代)は、乗客から「また呼ぶから連絡先を教えて」と声をかけられることに辟易しているという。これは体のいいナンパともいえるが、タクシードライバーにとっては売上げにも繋がり、当初は判断に困ったと振り返る。「新橋や丸の内といったエリアで営業すると、エリートビジネスマンの方に当たる機会が多くて。それで連絡先を聞かれてまた利用はしてくれるんですが、だいたいがその後飲みに誘われるんです。おじさんは注意するとあっさり引いてくれるんですが、若い人は違って。最初から上から目線で、プライドが高いから誘いを断ると、『もう呼ばない。タクシードライバーのくせに』といった言葉をかけられたこともある。そういったモラハラに苦しむ女性ドライバーも多いと思いますが、なかなか声を上げられません」■乗せても乗せなくても“地獄”まったくベクトルが異なる迷惑客もいる、と言うのは、大阪を拠点とする秋山さん(仮名・40代)だ。秋山さんがいうヤバ客とは、料金に細かすぎる客だという。大阪特有ともいえる文化だが、価格競争が激しかった大阪のタクシー業界では、極端に料金に敏感な乗客も少なくない。「数日前に同じ場所から自宅に戻った際は、500円も安かった!あんたの運転が下手だからこんなに差が出る、というような指摘を受けたことが何度もあるんよ。ただね、信号や交通状況によって500円くらいの差は出てしまう。だいたいそういう人は降りる際に、暴言を吐くので嫌な気分になりますわ」それゆえに、道をすべて指定される客を乗せることも珍しくないのだとか。「トラブルにならないように、だいたい最初に『どの道で行きますか?』と確認するけど、道は全部こっちで言うからそのとおりに行け、という命令をする人が結構おる。ただ渋滞事情などはドライバーの方が詳しいから、結果的に遠回りになったりするんやけど。それで逆ギレする人もいたりで、めちゃめちゃ理不尽な客もおるからたまらんわ」最後に、ドライバーの恐怖体験についても紹介しよう。一日に何十人という客を運ぶ仕事のため、時には明らかにその筋の人間を乗せることもある。六本木周辺で営業を行う小川さん(仮名・60代)は、そんな筋者の逃走に利用されたことがあるという。「大きなボストンバッグを持ち、顔に傷がある男性に突然、車を止められたんです。嫌な予感がしましたよ。どちらまでと聞くと、『とにかく早く出せ!』と言われて、バックミラーをみると明らかなヤクザたちが私のタクシー目掛けて大勢で走ってくる。これはヤバい、と冷や汗をかきました。捕まっても、拒否しても地獄なので、思考停止してとにかく夢中でアクセルを踏んだ。千葉の船橋まで乗せましたが、5万円を渡されて、足早に去って行きました。もしあの時捕まっていたら……私もどうなっていたかは分かりませんね」こういった不良関係の送迎に伴うトラブルは少なくない。小川さんは同じく六本木から千葉方面への乗客を乗せた際に、「トイレに行きたいからコンビニに車を寄せてほしい」と言われたこともあった。全身をブランド品で固められた服装の男性は、車中ではいかに大きなビジネスをしているか、というような自慢話に終始していたというが、「会話の内容からも、『コイツは怪しい』と思っていたら、表からはわからないように出口が両方あるコンビニの裏手からトンズラをこかれました。気がついたときには後の祭り。そういった“勘”は当たることのほうが多いですね」この職種につく人々は、乗客からのクレームや理不尽な攻撃にさらされることは誰もが経験している。だが、運転手も人間であり、時に弱音を漏らしたくなることもある。狭い車中で過ごす空間は、タクシードライバーの視点に立っても常に不安と隣り合わせだ。100人乗れば、95人はまともな客だというが、時に例外もある。そして、そんなトラブルや恐怖と向き合うのもタクシードライバーという仕事でもあるのだ。栗田 シメイ(ノンフィクションライター)1987年生まれ。広告代理店勤務、週刊誌記者などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材し、雑誌やwebを中心に寄稿する。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』(扶桑社新書)。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。
2021年11月12日「セクハラ義父 新たな出会い編」第1話。セクハラに悩まされた義父とは離れ、夫とも離婚。なつみさんはシングルマザーとして娘を育てていく決意のもと、子育てしながら訪問介護の仕事をしていました。新しい職場で働くことになり、なつみさんに出会いが……? 「新たな出会い編」スタート!ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。セクハラ義父 新たな出会い編 第1話 離婚後は、シングルマザーとして娘を育てていく決意のもと、子育てをしながら訪問介護の仕事をしていたなつみさん。 近所にできたグループホームでオープニングスタッフを募集しているのを目にし、応募したところ無事採用され働くことになりました。 そのオープン前の研修会である男性と出会い……急接近!?さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2021年10月27日モデル・女優のエミリー・ラタコウスキーが、11月9日に発売する自伝「My Body」(原題)で、歌手のロビン・シックから受けたセクハラ行為を暴露した。「The Sunday Times」紙が報じた。エミリーは、2013年にロビンがリリースした「ブラード・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」のミュージックビデオに、ほかのモデル2人とともに裸に近い姿で出演。世界で大ブレイクするきっかけをつかんだ。しかし、エミリーによると撮影現場では驚きのハラスメントが起こっていたという。「突然、思いがけず後ろから私の胸が直接つかまれ、誰かの手の冷たさと異常さを感じた。私は本能的にそこから離れ、振り返ってロビン・シックを見ると、彼は間抜けそうに笑い、よろめきながら後ろに下がった。彼の瞳はサングラスで隠れていた」と当時を振り返っている。その場にいた監督のダイアン・マーテルも、この出来事が起こったことを認めており、「『なにをやっているの!おしまい。撮影は終わりにする!』とロビンに猛烈な勢いで叫んだ」と語っている。「彼はきまり悪そうに謝っていた。エミリーがどう感じるか、理解しようともせずにやってしまったことが、間違っているとわかっているようだった」。エミリーは当時、ロビンに怒る、責めるなどの「すべき反応をしなかった」ことで場を収めたという。翌年、ロビンはポーラ・パットンと離婚しているが、原因はロビンのアルコールと薬物の依存症だと報じられた。エミリーによると、MVの撮影中もロビンは「少し酔っぱらっていた」とのこと。(Hiromi Kaku)
2021年10月04日※写真はイメージです「入浴介助のたびに胸やお尻を触られて、その日は自宅でお風呂に入るとそのことを思い出してしまって……。夜は眠れませんでした」そう打ち明けるのは、元介護ヘルパーの高橋清美さん(仮名、20代)だ。■いまのままだと「介護難民」が急増!低賃金、重労働でただでさえ嫌厭(けんえん)されがちな介護の仕事をさらに過酷にしているのが、ヘルパーに対してセクハラやパワハラなど、やりたい放題に振る舞う「モンスター高齢者」の存在だ。介護する側による高齢者への虐待はニュースでも大きく取り上げられるが、ヘルパーなどに対する高齢者のハラスメント行為は、社会的弱者である高齢者を批判することへのためらいもあり、ほとんどが現場で黙認され、表面化することは少ない。自身も介護施設の職員として働いた経験がある淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博さんは、「若い人が介護に興味をもって職に就いても、一部のマナーの悪い高齢者の対応に疲れ果てて仕事を辞めるケースが後を絶ちません。高齢だからわがままや横柄さが許されると思うのは大間違い。ひと昔前までは、ある程度許容される雰囲気もありましたが、いまは違います。高齢者の側が意識を変えないと、近い将来、介護する人がいなくなり、介護を受けたくても介護してもらえない“介護難民”が続出するのは目に見えています」と警鐘を鳴らす。では、介護現場ではどのようなハラスメントが横行しているのか。その実態を20代の元ヘルパーの女性に証言してもらった。■自分でできるのに陰部を洗わされる冒頭で紹介した元ヘルパーの高橋さんは、小さいころから祖母と一緒に暮らしていたこともあり、高齢者の助けになりたいとの思いから介護系の大学に進学。就職活動では「生活に寄り添った柔軟な介護がしたい」と、ルーティンワークが多くなりがちな大規模施設ではなく、在宅介護を行う事業所を選んだ。そんな高橋さんがセクハラ被害にあったのは就職2年目、21歳のときだという。当時61歳の介護を必要とする男性は、脳梗塞で身体の片側がまひしていたため、週1~2回、自宅で入浴や身の回りの世話をしてほしいということだった。ところが、担当になって間もなく、高橋さんは男性の執拗なセクハラに悩まされることになる。「男性の家に行くようになってから1か月もしないうちに、言葉によるセクハラが始まりました。セクハラを受けるのは、決まって入浴介助のとき。『下の名前で呼んでいい?』と言われたのが始まりで、そこから『彼氏はいるの?』『彼氏とどれくらいセックスするの?』『昨日、〇〇ちゃん(ヘルパーの下の名前)とHする夢を見たよ』とあからさまに性的な会話をしてくるようになったんです」(高橋さん、以下同)入浴介助はタオルで身体を洗う決まりだったという。ところが……。「陰部を洗うときに、『手で洗ってよ』としつこく言われました。『そこまではできないんで』と断っても『いいじゃん、いいじゃん』と強引で拒否するのが大変でした。というか、片まひだから、洗おうと思えば自分で洗えるはずなんですけどね……」■自分が行かないと同僚が行かされる男性は、部屋ではおとなしく介護を受けるが、浴室に行くと毎回、態度が豹変した。浴室は、同居している妻に会話が一切聞こえないからだ。男性のセクハラは言葉だけにとどまらなかった。「そのうち胸やお尻など身体のあちこちを触るようになって……。正直、触られちゃダメな部分は全部触られました。私の手を無理やり自分の陰部に持っていったり、強引にキスしようとしたりしたこともありました。でも、へたに抵抗してケガでもされたら、私の責任問題になってしまいますし、浴室という2人だけの空間なので周りに訴えても、本人に否定されたらと思うと、どうしたらいいかわかりませんでした」男性は、入浴介助のたびにやりたい放題だったが、高橋さんは新人だったこともあり、なかなか上司に言いだせなかった。「自分が行くのを拒否すれば、同僚の同年代の女性が担当になる可能性があったので、なんだかそれも申し訳ない気がして……。結局、半年以上、その男性の家に通いました」男性を担当した日は、自宅でお風呂に入ると思い出して気分が沈み、夜は決まって眠れなかったという。高橋さんは、ヘルパーという仕事に疑問を感じるようになり、事業所を退職。いまは介護現場から離れ、別の仕事に就いている。セクハラ被害から数年たつが、まだ当時の恐怖心は消えず、インタビュー中も時折言葉を詰まらせた高橋さん。「人の家に行くのが怖くなってしまったので、もう在宅介護の仕事はできないです」■嫁いびりのようなパワハラで離職セクハラだけでなく、高齢者によるパラハラにあうヘルパーも多い。結城さんによれば、「水持ってこい!」や「オムツ交換ヘタクソ!」など、高齢者がひどい暴言を吐く事例がある。身体が思うように動かず、気持ちに余裕がなくなることはある程度理解できても、暴言は許されるものではない。また、言葉のパワハラで目立つのが、言っている本人はまったく自覚がないのに、ヘルパーが精神的に追い詰められて、心が折れてしまうケースだ。結城さんのもとに寄せられた相談事例を紹介しよう。当時85歳のひとり暮らしの女性は要介護の認定を受けていたが、認知症などはなく、しっかりしていた。週2回、ヘルパーに買い物や掃除、洗濯などを依頼していたが、女性は「大根の選び方がなっていない。野菜の選び方も知らないの?」「肉はもっと赤みのあるものを選んで」「あなたも主婦なんだから、スーパーの品選びくらいできるでしょう」と、頻繁に文句を言ってきたという。ヘルパーは30代前半の独身女性だったが、「たびたびの小言に耐えられない」と悩むようになり、ヘルパーを辞めてしまった。「このケースでは、世代間ギャップが原因のひとつだと思います。おそらく85歳の女性は若いころにお姑さんなどに同じような小言を言われてきた経験があるのでしょう。でも、いまの40歳以下は核家族が浸透している世代で、そういう経験はあまりない。高齢者がそれほど気にせず言った言葉でも、若いヘルパーにとっては精神的なダメージが大きい場合があるのです」(結城さん、以下同)また、言葉ではなく、直接的な暴力被害にあうことも。認知症の高齢者の介護では、殴られる、噛まれるなども珍しくない。「もちろん、プロの介護職として、認知症高齢者への対応は想定していますが、それでも被害にあえば、恐怖や怒りの感情が湧きます。どこからがハラスメントなのか、定義が難しい面はありますが、認知症など特別な理由がなくても『やってもらって当たり前』という気持ちから威圧的な態度になる利用者は多い。やさしい利用者もたくさんいますが、理不尽な人が一部でもいれば、ヘルパーのモチベーションは下がって離職してしまいます」■時代錯誤な上司が若手職員を追い詰める介護従事者を苦しめているのは実はモンスター高齢者だけではない。「上司や先輩による言葉で、悩みが深まるケースもあります。『私も昔は触られたわ。若い人しか触られないんだから、触られるうちが花よ』とか、『うまくかわせるのがプロの介護職だから、自分なりにかわす技を考えてみて』などと、相談を受けても時代錯誤な受け答えをする管理職が珍しくないのです」実際、セクハラ被害にあった高橋さんも、一度、上司に相談したが、「慣れるしかないわね」と言われたという。「慣れるってどういうこと……?」と納得できず、高橋さんは介護の仕事にますます疑問を持つようになった。いま中間管理職になっている50~60代の介護職の人は、「エロじじいや、わがままばあさんにうまく対応してこそプロ」という感覚で働いてきた世代だ。パワハラやセクハラに関する研修をきちんと受けた経験もなく、部下が受けた被害に対して鈍感で、彼らの不適切な受け答えが若いヘルパーの離職の決定打になることもある。「被害を受けたヘルパーが勇気を出して上司に相談したとき、つらさをわかってもらうどころか、逆にプロとして未熟であるかのような言葉をかけられたら、『自分はヘルパーには向いていない』『転職したほうがいい』と感じてしまっても無理はありません」■介護をする人がいなくなる!高齢者がヘルパーに行う不適切な介護ハラスメント。ある調査によると、介護職の74・2%が経験している。一方、厚生労働省の統計によると、在宅介護のヘルパーは、60歳以上が全体の約4割を占めている。年齢的に、10年以内にはこの大半がヘルパーを引退すると予想されるが、後継者となる人材が、今後、介護業界に入ってくる見込みは薄い。「団塊の世代が70代になって労働市場から引退したこともあり、ほかの業界も人手不足です。求人が多いなかで、低賃金なうえに、利用者のマナーに悩まされるような介護職に人は集まりません。子育てを終えた主婦もコンビニやスーパーにとられていますから、このままいけば、後継者ゼロのような状態に陥る可能性が高いです」在宅介護の有効求人倍率は、実に15倍超(昨年9月時点)。求人を出しても人が集まらず、倒産する事業所も年々増えている。事業所がなくなれば、当然、介護サービスは受けられない。「高齢の親に何かあっても要介護認定さえ受ければ、ヘルパーさんに掃除とか病院の付き添いなどをやってもらえると思っている人もいるでしょう。でも、いまのままだと介護認定を受けても、よほどコネがある人じゃないとヘルパーに来てもらえないかもしれません」制度が維持できないほどの人材難のなか、せっかく介護業界に入ってきた若手ヘルパーの離職は致命的だ。人手不足になればなるほどヘルパーの質は低下し、高齢者虐待といった問題も起きやすくなる。モンスター化しないよう心がけることは、自分が安全で質の高いサービスを受け続けるためでもある。■モンスター化しないためのポイントとはでは、自分の親や自分が介護を受ける際にモンスター化しないためにはどうすればいいのだろうか。「まずは介護サービスの利用者とヘルパーは対等な関係だという点を忘れないことが大事です。介護は、行政が行う社会福祉ではなく、あくまで契約で成り立つ民間サービスだということを心得ておいたほうがいいでしょう」高齢者に事業者を選ぶ権利があるのと同時に、高齢者が選ばれる側でもあるのだ。特に在宅介護は自宅で介護を受けるため、利用者の気がゆるみやすく、介護ハラスメントが起きやすい。たとえ自分の家でも、緊張感を持ち一定の距離感を保ってヘルパーと向き合うよう意識したい。また、ヘルパーを自宅に迎え入れる前に、家族が高齢者本人に「いまは時代が違うから、変な話をするとサービスを受けられなくなるよ」「偉そうにしちゃだめだよ」と声をかけておくこともハラスメント防止に有効だ。「もちろんヘルパー側が悪いこともあります。掃除をなまけるとか、そういう場合はしっかり苦情を言っていいのですが、弱者を助ける援助者、という意識で横柄な態度にならず、社会的マナーを守ってサービスを利用することが“介護難民”にならずに介護サービスを受け続けるために重要なのです」あなたの親は大丈夫?モンスター高齢者にならないための3か条(1)ヘルパーと自分は金銭の契約で結ばれている「対等な関係」であることを忘れない!(2)自分にそのつもりがなくても、相手の受け取り方によってはハラスメントになりうることを意識する!(3)自分の家だからといって気を緩めず、家族以外と接しているという緊張感を常に持つ!■高齢者の家族がモンスター化することも!介護サービスを利用する高齢者の家族からハラスメントを受けたケースを紹介する。ヘルパーのAさんは、認知症と診断を受けた高齢者の在宅介護を担当することになり、その利用者と同居している子どもB氏と接することに。ところがそのB氏が問題で、利用者が薬を飲み忘れても声をかけず、認知症である親のトイレの見守りもしない。そのせいで利用者は、血圧が上がって動けないことが多く、服も汚れていてネグレクトが疑われる状態だった。Aさんは、飲み忘れ防止のためのカレンダーに薬をセットし、子どもであるB氏に服薬の重要性を説明して協力を求めたが、「やるから!」「体調が悪いのはこっち(自分)のせいだと思ってるんだろう」と怒るだけで、一向に改善しなかった。一方、認知症の親の体調が悪いと、「ケアの専門家なら認知症を改善させろ。プロに失敗は許されない」「責任の所在を明らかにしろ」「いつでも連絡がつくようにしておけ」と怒鳴ることが続いた。ヘルパーのAさんは地域包括支援センターに相談して担当をはずれたが、いまでもその家の近くを通ると、動悸がするという。介護サービスを受ける高齢者本人ではなく、その家族によるハラスメントも数多く報告されている。(厚生労働省「介護現場におけるハラスメント事例集」より)《取材・文/木村彩》
2021年10月01日“龍角散裁判”に関する記者会見の様子’19年6月“ゴホンといえば”でおなじみの製薬会社・龍角散に不当解雇されたとして、福田由紀さん(仮名・50代)が会社を提訴してから2年以上が経った。非公開で続けられていた裁判だったが9月16日、初めて傍聴人を入れての証人尋問が行われた。民事裁判では異例の傍聴券交付となり、わずか9席をめぐって朝から40人近くが列を作ったが……。「並んだ人の半分ぐらいは龍角散関係者でした。傍聴席を会社関係者で埋めようとしたのでしょう。原告、被告それぞれに傍聴券があらかじめ5席分確保されるので、龍角散側からは5名と抽選に当たったらしい4名の9名近くが傍聴していました。一方で福田さんは傍聴券交付の制度を知らなかったのか原告側の関係者は来ていませんでした」(司法記者)■「軽くハグはした」ことの発端は、’18年12月6日に行われた忘年会の席上でのこと。藤井隆太社長(61)が業務委託(当時)の相田幸子さん(仮名・40代)に抱きつくなどの行為があった。これを問題視した当時、法務部長の福田由紀さんが社内調査を始めたところ、自宅待機を命じられたのち、解雇されたのだ。龍角散側の言い分は「セクハラを捏造した」というもの。審議の大半はセクハラがあったかどうかに割かれ、藤井社長の苦しい言い訳が続く。例えばこうだ。ーー(相田さんに)首筋が色っぽいとは言った?「言った、かもしれないですね。首筋が出ている服装は好ましくないから“襟のある服を着ないといけないよ”という注意を込めて“首筋が色っぽいね”と言いました」ーー相田さんに抱きついた?「抱きついたと申しますか、ハグというか、まぁ頑張っているねという激励の意味を込めてですね、えーこのようにしてですね(手を前に出してポーズをとる)」ーーそれは抱きつくという行為では?「えー、まぁそうですね。軽くハグはしました、1回だけ」しかしその後の尋問でハグの回数は少なくとも2回以上はしていたことが明らかに。ーー(相田さんは)嫌がっていたのでは?「嫌がっていたら(席を)離れると思います」このようなやりとりが続く一方で、今回の裁判で明らかになったことがあった。「中国進出をめぐって福田由紀さんの姉で開発部長の亜紀子さん(仮名・50代)と社長の意見が対立していたというものです」(前出の司法記者)開発部長の他にも7つの役職を兼任していた亜紀子さんは’19年1月に全ての役職が解かれ、千葉の工場勤務となる。現在は自宅待機で社内の人間と連絡をとることも禁じられている。この処分を原告側弁護人に問われた藤井社長は、「姉妹が社内で権力を持ちすぎて社員はみんな怯えている」と、いうのだ。これはどういうことなのか。原告側弁護人が藤井社長を問い詰める。ーー龍角散の株の77%を藤井家が保有していますね?「ええ、オーナーカンパニーですから」ーーあなたは、メディアの取材でも自分のことを独裁者だと言っていますよね「それはメディア用に強く言っているだけで。トップダウンと申しますかね、トップドゥーイングというものでね」姉妹が権力を持っていると言いながら、藤井社長が権力を独占しているということが明らかになるばかりだった。■中国進出の意図とは?セクハラの次に今回の審議で時間を費やされた《中国進出》というキーワード。裁判で提出された証拠を見てみると、藤井社長が’17年11月には中国ビジネスについて否定的だったのに、’18年5月には中国ビジネスにのめり込んでいる姿が明らかに。さらにそのことで福田姉妹と対立していく様子も見えてきた。証拠と証言から経緯をまとめると、’16年4月中国の『東方新報』の取材を受けた社長は《中国本土で販売するつもりはありません。龍角散ブランドの信頼性を損なう可能性があります》と発言’17年11月藤井社長は’17年の11月に香港の代理店宛に《中国では直接販売しない。香港が中国化することが予想されるため、香港市場からの撤退を検討する》とメール’18年3月亜紀子さんガンに罹患。休職する/TBSテレビ「林先生の初耳学」で亜紀子さんが「林先生が会いたい女性」の1位となり紹介された(藤井社長は「君ばかり目立ちやがって、藤井家への冒涜だ」と激怒)5月ガンで闘病していた亜紀子さんが職場復帰。このころから藤井社長から亜紀子さんへの態度が硬化する/中国の『三九製薬』とコンタクトすると社長が発言。7月中国の『三九製薬』を社長と中国人女性Kさんが訪問9月『三九製薬』と直接取引きをすると社長が発言。このとき亜紀子さんと由紀さんは中国ビジネスへの懸念点を進言。「中国企業と秘密保持契約も諦結せずに交渉するのは危険です」(由紀さん)12月6日セクハラ疑惑の忘年会12月14日~由紀さん、ハラスメントの第三者窓口を検討し聞き取りを始める12月17日由紀さん自宅待機を命じられる’19年1月亜紀子さん千葉工場勤務を命じられる3月由紀さんに解雇通知が届く6月由紀さん龍角散を提訴8月「龍角散」が『三九製薬』と提携したと発表中国進出を進めたい藤井社長に提言を繰り返してきた福田姉妹。福田姉妹がいなくなった途端に中国企業と提携しているところを見ると、その渦中に起きたセクハラ騒動は福田姉妹を追い出す格好の口実ではないかと邪推したくなる。しかし、なぜ藤井社長は否定していた中国ビジネスにのめり込んだのかーー。「この中国人女性のKさんは元々中国の『東方新報』の記者で、’16年社長にインタビューをした人物。社長は’17年末頃からKさんと2人でいることが増え、中国にも2人で訪れています。Kさんは’17年に派遣社員として入社してから短期間で正社員となり、そのころから藤井社長は亜紀子さんへの態度を変えています。一連の騒動はこのKさんがキーマンとなっている気がします」(同)16日、件の中国人女性Kさんも傍聴にも訪れていて、記者らの顔やノートを覗き込んだり、時折笑うなど1人リラックスした様子を見せていた。■「セクハラはなかった」と認定証言台に立った由紀さんは、「私の目から見ると、藤井社長は中国進出を焦っているように見えました。’17年11月までは中国進出に関してかなり否定的・批判的見解を明確にしていたにもかかわらず、そこからわずか半年足らずで中国の製薬会社とコンタクトすると言い出して態度を急変させました。すでに中国で(龍角散ダイレクトや龍角散のど飴などの)模倣品が販売されて法的な問題になったりしていたんです。そのため、このまま十分な対策をとらずに中国の製薬会社との話を進めてしまったら、龍角散の生命線ともいえるノウハウや知財、品質やブランドを守ることが困難になると予想されました。そこで、私は当時、中国の製薬会社との取引を先導していたKさんとIさんに対し、中国ビジネスの危険性を伝えると共に慎重に調査及び対応を検討すべきであることについて意見は述べただけです」と結んだ。社長のセクハラ疑惑に端を発したこの裁判。しかし体を触るなどの行為は認めながらも「(由紀さんが)セクハラを捏造した」という主張は苦しい。福田姉妹の処分は他に理由があるのではないか。ことの真意を龍角散に尋ねると、広報部が文書で回答した。ー亜紀子さんの処分理由は、中国進出を妨害したというのが理由なのか?「本件訴訟の当事者ではないことから同氏に関するご質問につきましては回答を差し控えさせていただきます」ー龍角散は触ったり、色っぽいなどと女性に言うことはセクハラに当たらないと考えているのですか?「社内忘年会での当社社長の言動について違法なセクシュアルハラスメントはなかったことが認定されております」ということは、龍角散ではこれらの行為はセクハラにはあたらないということなのだろう。次回はセクハラ問題の当事者、相田さん(仮名)の証人尋問が予定されている。あったことをすべて話して“喉元スッキリ”してはいかがだろうか。
2021年09月28日「セクハラ義父 お別れ編」第4話。なつみさんはついに夫へ離婚を切り出しました! これまで義父からセクハラをされたことを相談しても軽く流すだけ。本当は一番の味方になってほしかった夫は何もしてくれなかった。夫に抱えていたモヤモヤが爆発。なつみさんの思いを聞かされた夫・みのるさんは……。ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 お別れ編 第4話 離婚を切り出された夫は、まさかの大号泣!子どものように泣きわめく姿に、なつみさんも驚いてしまいました。 しかし、その驚きをも超える信じられない言葉が夫から発せられます。 「最後にいい?記念に一回…」 この状況で何を言い出すのか!?夫からのありえない要求になつみさんは……。 さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2021年09月24日「セクハラ義父 お別れ編」第1話。「セクハラ義父」の続きを描くストーリーが始まります。義父とは別居をすることになり、これでもう関わることがないと安堵するなつみさん。夫・みのるさんと子どもの3人、新しい生活では平穏な日々が過ごせるはず。そう思っていましたが……。ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 お別れ編 第1話 引っ越し費用を義父に援助してもらいたいと夫に相談したところ、「それはちょっと甘えすぎ」と断られてしまったなつみさん。家計はカツカツなのに……。 モヤモヤを抱えたまま、引っ越しを終え、家族3人での暮らしが始まりました。 そしてある日、夫から夜のお誘いを受けた際、みのるさんの姿が義父に見えて……。 もうみのるさんと一緒にいるのは無理なのかも? なつみさんは、義姉である桜子さんに相談しようと考えて……。 さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2021年09月21日「セクハラ義父」最終話。「警察に突き出すかどうか、あんたが決めなさいよ」――。セクハラをした義父の行く末は、夫に託されました。「突き出す? 俺が? 親父を……?」戸惑う夫が出した答えとは。ライブドアブログ公式ブロガーでInstagramでのフォロワー20万人超えのAi(@mayai260)さん。2人のお子さんのママです。フォロワーさんの体験談をAiさんがマンガ化! 短期連載にてご紹介していきます。 セクハラ義父 第47話 「なつみちゃんをこんな目にあわせた親父が許せない。警察に突き出そうと思う!」 覚悟を決めた夫の告白に涙が溢れたなつみさん。なつみさんとしては、別居をすれば警察に突き出さなくてもよいと思っていたものの、夫に対する不安が拭い切れずにいました。義姉の計らいで、夫の覚悟をしっかり言葉として聞くことができ、みのるさんとなら、これからもやっていける――。そう思ったのでした。 このときまでは……。 「セクハラ義父」は今回で最終回です。次回からは、「セクハラ義父」の新シリーズ「セクハラ義父 お別れ編」をお届けします。なつみさんは、誰と“お別れ”するのでしょうか。「お別れ編」にもご注目ください。 さらにAiさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:イラストレーター Ai2児の母でライブドアブログ公式ブロガー。インスタやブログで過去の体験談やフォロワーさんのエピソードを漫画にして紹介しています。
2021年09月20日雪美さん(仮名)が起こした「1円」訴訟。8月31日に判決が出る「先生が授業中、私のこめかみと、おでこを、つっつくような感じで触れてきました。私は怖かったので、何も言えませんでした」中学3年生の雪美さん(仮名、15)=東京都千代田区=は、小学校5年時の担任教諭から受けた行為がセクハラだと感じた。それに加え、同級生からは担任から「ひいき」されていると見えたようで、いじめにもあった。それから雪美さんはうつ状態になり、自殺未遂をし不登校になったため、’19年に学校設置者の千代田区と担任の教諭と校長に対し、損害賠償を求めた裁判を起こした(判決は8月31日に出る予定)。損害額は「お金の問題じゃない」とし「1円」。当初、弁護士はつけず本人訴訟だったが、途中から弁護士をつけて闘うこととなった。裁判を起こした心境について、雪美さんはこう話す。「弁護士なしで裁判をしたのは、勇気があったわけじゃないんです。どうしても、責任追求をしたいという気持ちが強かったんです。途中で何度もやめようと思ったことがありました。それでも続けたのは、事実を認めて、謝罪をしてほしかったんです。(裁判では)自分が言いたいことは言えたと思います。私が(担任にされた言動について)、そのとき、こう思っていたということをわかってほしかったんです」■「助けてほしい」と副校長に相談したが訴状や準備書面によると、訴えた被害は、1)雪美さんが小学5年生のときの2017年4月10日と13日、17日、担任が雪美さんの頭部を指で触った。2)翌11日と14日、担任は「雪美さん、かわいいですね」と語りかけた。3)4月26日、給食の時間に、雪美さんが昼食をとっていると、担任が座っていたキャスター椅子を滑らせて訪れ、雪美さんの机の上に左肘をつき、左手に担任自身の頬をついて、「ねえ、先生が考えていることわかる?」「かわいいんだからこっちを向いて」「オレンジの皮を口に挟んでニヤっとやって」などと語りかけた。4)5月11日の授業中、雪美さんが課題を提出して席に戻ろうとしたところに担任が「雪美さん」と呼び止め歩み寄った。そして結んでいた髪を強く掴んで、「雪美さん、背も伸びましたね。(髪の毛の結び目をさわり)コブも伸びましたね」と語りかけた。というもの。これらの不適切な言動によって、雪美さんは「(不快な出来事が)毎日起こるのではないか」と思いながら学校に通い、担任による言動が原因でほかの児童から無視や仲間はずれなどのいじめが起きるようになった。その結果、心身を壊し、二度、自殺未遂し、不登校となった。雪美さんは「男性に恐怖を植え付けられました。担任の行為が性的な目的がないとしても、ハラスメントです」と振り返る。これらの行為について、母親は「担任からセクハラを受けている」と副校長に電話で2回伝えていたが、ちゃんとした対応はされず、担任を擁護する報告書が作成されたという。「副校長先生に『助けてほしい』と相談したんです。頭を触られこと、髪の毛を掴まれたことを話しました。そのときは『話をしてくれてありがとう』と言われました。しかし、具体的に何もしてくれませんでした」(雪美さん)母親は「なかったことにされないように」と、東京都迷惑防止条例による粗暴行為(著しく羞恥させ、または不安を覚えさせる行為)にあたるとして告訴したが、不起訴処分となってしまった。検察審査会に不服を申し立てたものの、結局、起訴することはなかった。「つらいことなので、子どもには被害について忘れてもらいたい気持ちもありますが、私はずっと覚えておこうと思ったんです。一度は受理されたけど、条例では学校は“公共の場所”にはならないとのことです。学校で起きたことは、なぜセクハラや性犯罪と言われないのでしょうか。学校は多くの人が出入りする、事実上の公共の場所だと思うのですが……」(母親)都の迷惑防止条例での「粗暴行為」の禁止規定で、場所に「学校」が加わったのは’18年の改正だ。雪美さんに対する担任の言動は’17年のことだったため、粗暴行為としてみなされたとしても、この条例では適用されない。「ゴールデンウィークごろから学校へ行けなくなりました。少し休んだら学校に復帰しようと思っていたんですが、身体が拒否をしました」’17年5月、雪美さんは不登校になり翌年の1月、担任の言動がきっかけで転校する決意をすると同時に、心療内科で心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。■学校には助けてくれる大人はいなかった’21年5月25日、東京地裁(伊藤正晴裁判長)で証人尋問が行われた。当日、雪美さんは緊張しながらも、小声で具体的に証言をした。その後、雪美さんは裁判を傍聴してた筆者に、「私の声、聞こえていましたか?(証言台では)目の前がぼやけていました。裁判長はどんな顔をしていたんだろう。傍聴人の顔を見ることもできませんでした。もし、見てしまうと怖気ついてしまうそうでした」と、話した。なぜかというと当時の担任が傍聴に来ていたため、その姿を見たらフラッシュバックが起きそうで怖かったという。裁判長は、担任に外に出るよう促した。1)と2)について雪美さんは、「当時担任には、頻繁に下の名前で呼ばれていました。何を言っているんだろうと思いましたが、授業に関係ないので、どうすればいいのかわかりませんでした」3)については、「いきなり言われたのです。先生の顔や身体の距離は拳2つぶんでした」4)については、「理由はわかりません。なぜ、わざわざシニヨン(束ねた髪)をつかむんだろうと思ったんです」と話した。裁判では担任の証人尋問も行われた。原告側から指摘された行為のほとんどを否定するも「こめかみを触れたことはあります。しかし注意する意味であって、ほかの児童にも同じことをしています」と言い、一部は「誤解を与えることをした」と証言。つまり担任は、雪美さんだけに触れたわけではなく、特別な感情を抱いていないと主張した。雪美さんは証言台に立ったあと、「先生の話を聞きたくない」として先に裁判所を離れ帰宅していた。直後から気分が悪くなり、数日間は食欲もない状態が続いたという。法廷に立ったときのことを、後日、あらためて聞いてみた。「ドラマで見るように、裁判はさっさと終わるものだと思っていました。こんなに長引くとは思っていませんでした。先生たちの証言を聞いて、“本当に悪いこをしたと思っているの?” と思いました。裁判をしてよかったのは、助けてくれる大人はいたんだということです。でも、学校には助けてくれる人はいませんでした。いたら、裁判にはなっていません。学校では、最終的に“腫れ物扱い”になって、(転校先へ)去ったんです。過去のことを思い出すのはつらかったです」学校との交渉から考えると、実に5年が経過している。この5年間はどのような生活をしてきたのだろうか。「5年生のゴールデンウィーク後には、学校に行けると思っていたのですが無理でした。中学1年のときが一番つらっかったです。いまは行きたい高校を見つけたけれど、教室にはなかなか行けないので高校に進学できるのか不安です。最近は家からもほとんど出てなく、出たとしても病院に行くくらいです。今でもうつなのかわかりません……」と、貴重な学生時代を謳歌することなく、自宅で過ごしているという。身体も心も著しく成長している、思春期という大事なときに負った心の傷はなかなか癒えていない。雪美さんは、同じように教諭の言動に傷ついている子どもたちに対し、「頼れるのは学校にいる大人ではなく、親だけでした。道徳の授業でよく“誰かがだ助けてくれる”という話がありますが、現実は助けてくれません。証言をお願いした同級生とも音信不通です。でも、助けてくれる人は少ないけれど必ずいます。諦めないで闘ってほしい。心を折らずに自分の主張をしていかないと、助けてくれる大人も探せないよ」と、メッセージを発した。東京地裁、8月31日、13時20分。雪美さんの5年という長い戦いは終結するのだろうか。その後を見守りたい。取材・文/渋井哲也ジャーナリスト。長野日報を経てフリーに転身。生きづらさ、教育問題、自殺問題などを取材。『学校が子どもを殺すとき』(論創社)など多数。
2021年08月30日