子どもたちの生きるための底力を育むーー『マンガ・コグトレ入門』「コグトレ」とは、コグニティブ(Cognitive:認知)に着目したトレーニングの略称です。コグトレには、学習面、社会面、身体面の3方面から包括的に子どもたちを支援するという特徴があります。学習面では基礎学力の土台づくり、社会面では対人スキルの向上、身体面では身体的不器用さの改善を図ります。『マンガ・コグトレ入門』では、小学校のクラスを舞台にしたマンガで「コグトレ」を分かりやすく紹介。学習面、社会面、身体面を育む計50のトレーニングが掲載されています。実際に取り組む際のポイントや留意点、子どもからよくある質問やその答え方、間違うパターンなどを一緒に紹介しているので、「コグトレ」がはじめての方も進め方をイメージすることができます。この本に掲載されている50のトレーニングは、ダウンロードして何度でも使用できます。支援者の方だけでなく、保護者の方にもおすすめの一冊です。タブレットの活用術、便利なアプリが満載ーー『教室でできる タブレットを活用した合理的配慮・自立課題』GIGAスクール構想が動き出し、全国の小中学校では一人1台タブレットを持つようになってきました。しかし、障害特性に合わせたICT活用は進んでいない現状があります。この本では、iPadを用いて、子どもが使用する際に推奨する基本設定やそれぞれの特性に合わせた設定の仕方、アプリを活用した合理的配慮のヒント、自立課題に役立つアイデアや使えるアプリを紹介しています。教室だけでなく、家庭でもすぐに活用できるアイデアが満載です。タブレット活用の基礎が分かる一冊です。脳科学によって解明ーー『ASD、ADHDの「苦手」を乗り越え自己実現』発達障害のある人の、脳の中で起こっていることを明らかにする検査は、現時点ではありません。しかしこれまでの研究で、発達障害は脳と関連しているということは分かっています。発達障害のある人が苦手なことの中には、脳の中で起こっていることを想像できるものと、脳の中で起こっていることが想像できないものがあります。この本では、ASD、ADHDというような診断名ではなく、脳の中で起こっている「苦手なこと」に着目し、脳科学でその分析と苦手を克服するためのトレーニング方法を紹介しています。「発達障害」を今までとは違った視点でとらえることができるようになるかもしれません。発達が気になるお子さんを育てる保護者の方、そして思春期のお子さんにぜひ読んでほしい一冊です。困っている一人ひとりに寄り添う場所ーー『みんなが輝くために3 (舞台は通級指導教室)』『みんなが輝くために』は、小学校の通級指導教室の日々を描いたマンガです。主人公の松平彩はあることがきっかけで通級指導教室の担当教諭になります。さまざまな困難さや、学校生活を送る上で悩みを抱えた子どもたち。主人公は、時に周囲の先生や児童の家庭とぶつかりながらも、一人ひとりに合った支援を探っていきます。第3巻は、新入学のお話からはじまります。新一年生の担任は、入学したばかりの児童にADHD傾向があることに気づきます。過去にADHD傾向のある児童を指導した経験のある担任は、通級の活用を考え、主人公である松平彩に相談します。その中で分かったのは、保育園などとの連携で学びの場が変わっても継続して支援を続けられる工夫でした。マンガの舞台となる通級指導教室は、開設から4年目を迎えます。主人公は、通級指導教室のない学校に赴き、通級指導のために巡回し、困っている子どもたちへの支援だけでなく、通級への理解を高める活動をしていきます。著者は、発達障害教育、特別支援教育を専門とする梅田真理教授(宮城学院女子大)。通級指導教室のしくみや、指導におけるねらいについての解説つきなので、マンガを楽しみながら通級指導について知ることができます。真の幸せとは。15の家族へのインタビューーー『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう-精神障がいがある人の家族15の軌跡』この本は、精神障害のある人の家族15組が障害や困難とどのように向き合い、未来へ歩み出したのかを紹介しています。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして34年間にわたり、精神障害がある人やその家族に寄り添ってきた社会福祉学博士の青木聖久教授(日本福祉大学)がインタビューをしました。15のエピソードは、自分を大切にした生き方を考えるきっかけになるでしょう。
2022年05月10日意外にも好きだった耳鼻科や歯医者発達障害のせいで感覚過敏がある私。小さなころは、特定の感触の服が不快で着られない、大きな音を怖がって泣き出す、食感が気持ち悪いと言って食べられないものがある、香料で気持ち悪くなるなどの傾向がありました。そんな私、病院なんか不快刺激が多くてギャン泣きしていたかというと、実はそんなことありませんでした。むしろけっこう病院が好きだったのです。特に耳鼻科や歯医者などは今思い出しても楽しかったなと思えます。好奇心が勝る耳鼻科や歯医者が特に好きだったのは、いろいろな機械があったり、変わった薬の瓶や道具が並べてあったりしてとても好奇心をくすぐるからでした。次になにを使うのかな、機械がどう動くのかな、と想像しながら治療されるのがとても楽しかった。耳鼻科や小児科で鼻や口に当てるネブライザーも大好き。看護師さんがスイッチをカチッと入れると機械がブブブブブと震えて、その振動でガラスやプラスチックのアンプルの中にある薬液が震え、同時に空気が噴射されることで霧が出る。霧の味はちょっとしょっぱい。ベースはたぶん生理食塩水… 小さなころはこのように明確に言語化はできませんでしたが、こういった仕組みが動くのを私は夢中で観察していました。耳鼻科医や歯科医の先生の特有の格好やまぶしい照明、治療しやすいように形が変わる治療用の椅子も、ちょっと怖いけど面白かったなあ。小学校低学年だったと思いますが、かっこいい医者のマンガにハマり、「あのマンガの世界みたいだ!」と、医療の世界への憧れムンムンでもありました。特定の感覚刺激にハマる私は感覚過敏のせいで苦手な感覚刺激は極端に苦手なのですが、逆になんらかの理由で好きだと感じた特定の感覚刺激にハマることがありました。病院の消毒薬のにおい、耳鼻科のハッカ油の添加された点鼻薬の味、歯医者で塗られる薬の味、風邪をひいたときに出されるシロップ薬の味。小児科で喉を診るときに舌を押さえる器具の感触、胸に当てられる聴診器の冷たさ。今では小さなころほどの感動はありませんが、病院で好きな感覚刺激に出合うと今でも「ああ、これこれ!」とニヤニヤしそうになります。「下へも置かない」扱いの心地よさ小さなころの私にとって、病院へ行くことは一種のちょっと楽しいイベントでした。両親が共働きで普段祖父母に預けられていたのですが、病院へは普段いない母か父が付き添ってくれるのが嬉しかったのです。子ども用の待合室には絵本や児童書がたくさん置いてあって読み放題だし、壁には可愛い動物のお飾りなどがしてある。おもちゃもある。途中で疲れてきて少しぐずることはありましたが、本もあるし隣で親がおしゃべりの相手をしてくれるので、基本的には長い待ち時間も退屈はしませんでした。お医者さんも看護師さんもみんな優しいし、両親も私が機嫌を損ねて素直に治療を受けなかったら大変だからか、いつもよりも優しかったように思います。みんなが、私が安心して機嫌よくいられるように扱ってくれる。治療を受ける私がいちばんの主役になるのも心地よかったですね。「病院は楽しいところ」と思わせられるといいかも自分に照らして考えてみて、子どもには「病院ではいい思いができる」と感じさせられるとうまくいきやすいのかなと思います。その子によって興味を持つものや気に入るものは違いますし、感覚過敏の程度も違うので一概には言えませんが、子どもや発達障害児の扱いに配慮のある病院を選ぶこと、また、本人には可愛らしい絵本や楽しいごっこ遊びで「病院では何をするのか」を理解させ、興味を持たせておくことは大事な気がします。普段通わず、具合が悪いときにだけ行くと、体調の悪さと病院へのイメージが紐づけられてしまう可能性もあるので、もし余裕があれば何もなくとも予防の意味でも定期的に病院に通うことをするのもいいかもしれません。健康管理のためには病院通いはとても大事。楽しみと余裕を持ってこなせるようになるといいですね。文/宇樹義子(監修:鈴木先生より)一般に顔に直接触れられてしまう歯科や耳鼻科が感覚過敏のお子さんには苦手です。特に音過敏のお子さんには歯科の機械音が大の苦手です。今回は珍しいケースですが、プラス思考で病院通いしていることがすばらしいと思います。さらに、医師、看護師、受付の人とも相性が良かったのだと思います。一つでも嫌なことがあるとそのこだわりやフラッシュバックが続いて通うのが嫌になるケースが多いのです。機械類があるのを楽しみとし、臭いや味に関しても好きな感覚刺激としてとらえ、病院は苦ではなく楽しいところと考えを転回することも工夫の一つかと思いました。親を含めた周りの人がみんなやさしいとうまくいくのです。病院だけでなく学校もそうありたいものです。
2022年05月09日マンガでダウン症を学ぼう!ダウン症は、正式名称をダウン症候群といいます。通常、ヒトの染色体は、1番目から22番目の染色体まではペアになっていますが、ダウン症がある場合は、21番目の染色体が1本多く3本あります。このコラムでは、ダウン症を分かりやすくマンガで解説します。ダウン症のある子どもとの生活や家や学校などでの接し方、親自身の過ごし方やダウン症のある子どもの力を育むためのポイントなどを小児科医の鈴木先生の解説とともにまとめました。ダウン症は大きく分けて3種類に分かれます。このページではダウン症をタイプ別に詳しく紹介。発生のメカニズムや出生前診断についてなど気になる部分を解説します。ダウン症のある子どもとの生活。ダウン症のある子どもの保護者が抱えることが多い悩みを「乳児期」、「幼児期」、「児童期以降」の3つの期間に分けて紹介します。二次障害についても解説します。ダウン症がある子どもを育てるとき、どのような点に工夫すると暮らしやすくなるでしょうか?保護者や周囲の大人ができる家や学校などでの接し方を解説します。気になる友人関係のコツなども。ダウン症のある子どもにはこだわりの強さ、勉強によって得た知識や技術が短編的になりやすい、抽象的な説明を理解することが難しいなどの特性があります。特性を踏まえ、子どもの力を育むためにできる、周囲の大人が気をつける点4つを紹介。ダウン症のある子どもは、周りの雰囲気に敏感で感受性が強く、人に対する深い思いやりがあると言われています。自分のパターンがあることが多く、いつもと違うことが起きるとパニックになってしまう一面も。子どものペースを乱さずに温かく見守ってあげることが大切です。それでも日々の子育てで悩むことはあると思います。悩んだときや情報がほしいときなどは医療機関や児童相談所、地域の親の会などに相談し、ご家族だけで悩まないことも大切です。
2022年05月08日未就園児の子育て。居場所を求めて私は結婚してすぐに夫の転勤で生まれ育った地域から遠方に引っ越しました。そのため、初めての子育ては、周りに知り合いがいない中でのスタートでした。同世代の子どもを持つ友達が欲しくて、私は自治体主催の赤ちゃん広場に行ったり、歩いて行ける範囲の公園を一日に何ヶ所もはしごしたりしました。娘がほかの子とうまく遊ぶことができず、落ち込んだり悩んだりすることはしょっちゅうでしたが、それでも通い続けるうちに顔なじみのママ友もできました。土地勘がなかった私にとってそこで得る情報はとても貴重なものでした。ママ友に誘われ私は公園で知合ったママ友に誘われて近隣の幼稚園主催の2歳児を対象とした「プレ幼稚園」に参加することにしました。それまでもママ友に誘われて幼児サークルや音楽教室などを体験したことはあったのですが、どれも娘には“早すぎた”ようで、楽しむことはできませんでした。月二回療育センターでの親子教室にも通っていましたが、それでも未就園児と二人きりの時間を持て余していた私は“ダメもと”でプレ幼稚園に参加してみることにしたのです。プレ幼稚園とはプレ幼稚園の活動内容はさまざまで、日数や時間、費用も園によって異なります(無料のところもあります)。同年齢の子どもを持つ親同士が知り合いになり、育児の不安や悩みをお互いに話したり、情報交換ができたりするので地域の子育て支援の一環として開催しているところもあります。参加したからといってその幼稚園に入園しなければならないという決まりはありませんが、優先的に入園できるケースもあります。幼稚園にそれぞれ特色があるように、プレ幼稚園にもさまざまなタイプがあります。手あそびや体操、絵本の読み聞かせなどをするところや、在園児と一緒に季節の行事に参加するところ。親子同伴型もあれば、子どもとは別の場所で保護者が交流する場合もあります。私は娘と一緒に楽しく過ごしたかったので、親子同伴型で自由度が高いところに申し込みをしました。情報通のママ友(笑)いわく、そのプレ幼稚園は「子どもを別の幼稚園に通わせる予定の親も、プレだけはそこに行きたがる」「順番待ちが出るほど人気がある」とのことでした。確かに申し込みをしたときは順番待ちでしたが、しばらくすると空きが出て、私たち親子は想定よりも早く参加ができました。実際参加してみるとそのプレクラスは月二回、幼稚園敷地内の別棟で行われていました。二時間の保育時間の多くが自由遊びの時間で、子どもたちは保育室内で自分の好きなおもちゃで遊ぶことができました。おもちゃはおままごとセット、ブロック、絵本、ミニカーなど2歳児が喜びそうなものがそろっていました。同じおもちゃが複数あるので子ども同士で取り合いになることもほとんどありません。娘は大きなキッチンのおもちゃがお気に入りでした。夏は外にビニールプールも用意されていました。娘はおままごとセットに夢中だったので参加しませんでしたが、自由遊び時間中ずっとプールに入っているお子さんもいました。保育の後半は親子で楽しめる集団遊びで・子どもの手形のうちわづくり・乾燥パスタを使ったフォトフレーム工作・親子で新聞ビリビリ遊び・大きな鍋でポップコーンづくり・子が踏んだうどんづくりなど季節を感じることができる内容が多くありました。Upload By 荒木まち子プレ幼稚園に通っている子どもたちは、自由遊びから集団遊びへの切り替えもスムーズでした(意外!)。これは・子どもたちが思う存分自分が好きな遊びができていた・次にも何か楽しいことがあるという期待感がある・親も一緒におもちゃを片付けるというのが、理由としてあるのではないかと思いました。プレ幼稚園の先生プレ幼稚園担当のM先生は、私たちと同じ“子育て中のお母さん”で、気さくな人でした。M先生は子どもの自由遊びの間、孤立しているお母さんがいるとさりげなく話しかけたり、子育ての相談に乗ってくれたりしていました。実は私はこのとき、ある悩みを抱えていました。翌年一年間、夫が単身赴任することが決まっていたのです。近くに頼れる親戚もいない中、コミュニケーションが上手くとれない自閉傾向がある娘と一年間二人きりで過ごすことに私は不安を感じていました。私はM先生に事情を話し「単身赴任先に一緒についていくこともできるみたいなんだけど、一年間だし、どうなかなぁ…」と相談しました。先生は少し考えてから言いました。「私だったらご主人の単身赴任にはついていかないかな…」私たち親子を見て、考えてくれている人がいるそれはM先生が娘のこと(環境の変化に弱いなど)を理解しているからこその言葉だったのだと思います。慣れない土地での初めての障害児育児…不安なことばかりだけど、こうして見守ってくれる人がいるなら大丈夫かもしれない…。私の気持ちは決まりつつありました。次に会ったとき私はM先生に「夫の単身赴任の間、私と娘はこのままここで暮らすことにしました」と告げました。先生は私に「そうですか。実はこの前『私ならついていかないと思う』と言ったことが無責任な発言だったかもしれないとずっと気になっていたの」と言いました。M先生が私たちのことをそんな風にずっと気にかけてくれたことに、私は胸が熱くなりました。私は先生に「大丈夫です。自分で考えて決めたので」と伝えました。先に述べた通りプレ幼稚園に参加したからといって必ずしもその幼稚園に入園する必要はありません。実際私はこの幼稚園のほかにもいくつか幼稚園を見学していました。それでも私はM先生の「もし荒木さんがこちらの幼稚園に入園したら、今までの経緯も含めて園全体で情報を共有していくので安心してくださいね!」という言葉をとても心強く感じたのでした。最初の集団生活に向けて小学校は住んでいる地域で学区が決められている場合が多いですが、幼稚園は親が選べる分、悩む方も多いと思います。今はまだコロナの影響もありプレ幼稚園の体験や活動にもいろいろと制限があるかと思いますが、一回の見学だけでは分からない幼稚園の実際の雰囲気や、子どもとの相性を知るためにもぜひプレ幼稚園の体験をしてみることをおすすめします。もちろん無理のない範囲で!執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)いきなり幼稚園にはいるのは不安が大きいと思いますがプレ幼稚園で環境に慣れたり、先生たちと話をする機会があるのはとてもよいと思います。特に父親が単身赴任で不安な中で、しっかり話を聞いてくれる先生がおられる園はとても安心できたのではないでしょうか。お子さんも自由遊びから徐々に集団活動に移行するといったゆるやかなステップがあることで、無理なくなじめたのではないかと思います。プレ幼稚園でどんなことがされているかは口コミなどで知れることが多いので、同じ療育に通われている親御さん、地域のペアレント・メンターさん(障害のある子どもを育てた経験のある先輩の親)などに聞いてみられるとよいかもしれません。
2022年05月07日学校・園行事でトラブル続出!?一体どうしたらいいの?運動会や発表会、学芸会…学校や園行事は親としては子どものいつもと違う姿を見られるということでワクワクしてしまいますよね。しかし、発達障害の特性がある場合にはそううまくいかず…いつもと違う雰囲気、たくさん来る保護者たち、ワイワイ、ザワザワと騒がしい空間。「いつも通り」が好きな子どもにとっては、行事ごとはとってもハードルの高いものなのかもしれません。2021年度に実施した、LITALICO発達ナビのユーザーさまへのアンケート調査では、「発達が気になるお子さまを育てる中で、課題や困難を感じるのはどのような場所ですか?」という質問への回答結果を見ると、かなりの多くの方が学校や保育園、幼稚園での悩みを抱えていることがわかります。ただでさえ悩みを抱えている場所なのに、普段と違うことをする行事ごと。子どもの特性を理解し、それを園や学校に連携し配慮などを頼みたいけれど、どのように伝えたらよいのかも難しいところですよね。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイから、こうした悩みを解決するヒントやあるあるの共感などが見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学校・園行事のコミックエッセイ幼稚園、保育園、小学校に通っていると、遠足、運動会、発表会など普段とは違う楽しみなイベントがたくさんあります。ウキウキワクワクする子どもたちの中に、それを嫌がる子どももいます。自閉スペクトラム症のある立石さんの息子さんもその一人でした。毎日通う保育園には行き渋りもなく楽しく通っているのに、行事になると楽しめない息子くん。行事での号泣は年々酷くなるけれど、これも成長…?しのくんは3歳8ヶ月。診断名がついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンの男の子です。母親のkeikoさんは保育園で開催された生活発表会を楽しみにしていたのですが、いざ始まってみると…!?小学2年生のときに場面緘黙と診断された、現在4年生の次女ちゃん。そんな次女ちゃんが場面緘黙診断前の保育園時代、2歳上の長女ちゃんの小学校の運動会に参加したときのお話です。幼稚園に入園して初めての運動会で、楽しそうな様子だったいっちゃん。参加させてよかったと母のかさはらあやこさんは感じましたが、秋になり行事が増え、睡眠が不安定になったり癇癪が激しくなってきて…。自閉スペクトラム症があり、特別支援学級(情緒クラス)に在籍している小6の太郎くん。母のまゆんさんが「太郎は発達障害かも」と思い始めたのは1歳7ヶ月のころ。保育園で開催された運動会での出来事がきっかけで…。集団への声掛けに気づきにくく、個別の声掛けを必要とすることが多いコウくん。集団の中で“すぐに見つけられる”わが子の姿を見て、母の丸山さとこさんが感じた「発達障害であることを改めて意識した瞬間」とは?自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)があるSAKURAさんの長女、あーさん。周りと比べてゆっくりマイペースだけど、だからこそ、成長の一つひとつがとても大きく、嬉しいものです。その中で一番成長を感じることができた、幼稚園の運動会でのエピソードを紹介します。まとめ行事での楽しかった、嬉しかった思い出、少し苦い思い出などさまざまあると思います。まずは子どもが無理せず安心して楽しめるように、子どもの性格や特性を理解し、苦手なシーンを避けたり、合理的配慮などを受けられるように環境を整えていくことが重要です。
2022年05月06日もしかして感覚過敏?子どもの行動が気になったら「感覚過敏(過剰反応性)」とは、光や音などをはじめとする特定の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。逆に、刺激に対する反応が低くなることを「低登録・感覚鈍麻(感覚の鈍感さ)」といいます。どちらも感覚に偏りがあることが原因です。感覚過敏があると、多くの刺激を受け取りすぎることによってストレスが増したり、多くの人にとって平気な刺激を過剰に怖がったりすることがあります。また、感覚の鈍感さがあると、遊びの呼びかけの声を聞き逃してしまい、仲間に入れないなど、集団の中でうまく過ごせないことがあります。感覚に過度な偏りがあると、日常生活に支障をきたす場合があります。しかし、感覚の偏りによる困難さは個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれなので、理解されにくいという側面もあります。「LITALICO発達ナビ2021ユーザーサーベイ」にて行った「お子さまの困りごとの原因となっている、感覚の過敏性、感覚の鈍さはありますか」のアンケート項目の結果を見ると、多くの方が子どものさまざまな感覚過敏、感覚鈍麻に悩んでいることが分かります。最も多いのが聴覚過敏。次に味覚過敏、触覚過敏、視覚過敏や感覚の鈍麻、嗅覚過敏と続きます。こちらのアンケートは複数回答可となっているので、上記の感覚過敏が複数ある子どもも多くいると思われます。Upload By 発達ナビ編集部アンケートの要望・フリー回答欄では、感覚過敏がある子の将来の生活の心配、学校との連携方法などに悩む一方で聴覚過敏などの認知度が上がってきているなどの声もありました。その一部をご紹介します。・HSCの娘(中3)は、知覚過敏に属するのだと コラムを読んで、娘に通じるものがあり、普段、「何で、そう感じるのだろう?」と思っていた部分が、そういうことだったのかとわかり、新たに 納得しました。(2021ユーザーサーベイより)・感覚過敏、過度激動などを持つお子さんや成人の方の生活や就労について知りたい。(2021ユーザーサーベイより)・うちの娘は感覚過敏が強いのに、本人のストレスを感じる感覚レベルが低すぎて、双方の感覚の差が大きすぎるがゆえに体調を崩すようで、今は不登校になっています。学校の先生方は温かく迎えてくださいますが、担任の先生が「元気に遊べばすぐに学校に来られるようになりますよ!」という感じで、感覚過敏からの体調不良という内容等について書類などを作ってご説明はしていますが、なかなか意識の共有がうまくいかず、学校と今後どうやってお付き合いをしていくべきかに高い壁を感じています。(2020ユーザーサーベイより)・聴覚過敏の認知度が少しずつ上がってきているので希望を持っています。サポート機関の応援を心強く感じています。(2020ユーザーサーベイより)感覚過敏・感覚の鈍麻がある子どもは一人ひとりその困りの内容が違います。まずはお子さんの様子を注意深く見て、一体何に困っているのかを見つけ、適切な対応をすることがお子さんの苦痛の軽減・安心につながっていきます。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイからも、感覚過敏・感覚の鈍麻の悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。感覚過敏についての情報コラム気になる子どもの行動。それは音や光、味などの刺激に強い不安やストレスを感じる「感覚の過敏さ」や、刺激に対する反応が低い「感覚の鈍感さ」が原因かもしれません。それらの症状の具体例と、効果的な対処方法、発達障害との関係についてご紹介します。微細運動とは、手指の細かい動きのことで、身の回りのことをするために必要な動きです。発達障害がある人の中には、手先が不器用で、微細運動の発達に課題がある場合が見られます。自閉スペクトラム症のある人の「感じ方」を、工学技術とのタッグで解析し、支援に役立てていく「CREST認知ミラーリング」プロジェクト。発達ナビライターのひらたともみさんの体験ルポです。マンガで学ぶ感覚過敏感覚過敏をマンガで分かりやすく解説します!感覚の偏りの4パターンや症状、発達障害との関係、心がけたい感覚過敏がある子どもへの対応方法などを専門家が説明!感覚過敏のコミックエッセイ子どもをぎゅっと抱きしめるって、しみじみと幸せを感じる瞬間の一つかと思います。だけどウチノコさんの息子、発達障害があるむっくんは小さなころから抱っこが苦手な子どもでした。感覚過敏の困りごとは24時間365日、当事者たちを絶えず悩ませます。今回はそんな感覚過敏の当事者たちの冬ならではの感覚過敏の困りごとをまとめて紹介します。新生児のころから感覚過敏があり、素肌に触れられることや、抱っこを嫌がるタイプの娘さん。必要以上のものが体に触れるということが、苦痛な娘さんにコロナ禍でマスク着用問題が出てきて…。小学6年生の太郎くん。自閉スペクトラム症があり特別支援学級(情緒クラス)に在籍してます。特性として感覚過敏、多動傾向、こだわり、真面目、緊張症、場面緘黙などもある太郎くんと母のまゆんさんとの生活の様子を紹介します。五感が過敏になってしまう感覚過敏と、その真逆の感覚鈍麻の2つの特性があるリュウ太くん。一日のうちに2つの感覚が入れ替わり立ち替わり起こりますが、それって一体どんなときに起こるの…!?発達障害があるリュウ太くんは「暑さ寒さに気がつきにくい」という体の感覚の鈍さがあります。小学校低学年のとき、山でのキャンプ中に熱中症になり、母のかなしろさんが気づいたこととは…。小学校3年生の娘イロハちゃん。小学生になってからときどき”ある症状”に悩まされていました。家では元気なイロハちゃん。一体その不調の原因は?4歳くらいごろから服の襟元をぐっとひっぱり、口に入れてガシガシ噛む「噛み癖」のあったジョンくん。しつけなきゃと決意し、見かけるたびに叱って止めさせていた母のママリーゼさんですが実はしつけの問題ではなく…。まとめ子どもの行動が気になったときには、まず子どもの行動をよく観察してみましょう。子どもが気になる行動をするときにはその背後に何らかの理由があります。そのようなときには、その行動がどのような刺激や、どのような理由によって引き起こされているのかを知ることが必要です。子どもの感覚の偏りを知ることによって、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いしたりすることもできます。
2022年05月05日子どもの不登校、行き渋り、どのように寄り添ってあげたらいい?不登校とは、文部科学省の定義としては「連続又は断続して年間30日以上欠席し、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況である(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」とされています。不登校になる原因やきっかけは子どもによってさまざまですが、早期解決できるか長期化させてしまうかは周囲の対処法によって大きく左右されると言われています。参考:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説|文部科学省令和2年度の調査によると小・中学校における不登校児童生徒数は196,127人(前年度181,272人)であり、前年度から14,855人(8.2%)増加しています。児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は20.5人(前年度18.8人)。不登校児童生徒数は8年連続で増加し、過去最多となっています。また、新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、それが子どもたちの行動などにも大きな影響を与えていることもわかります。新型コロナウイルスの感染回避による長期欠席者数は20,905人となっています。子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。いろいろな体験談と解決策を描いたコミックエッセイや、情報コラムから不登校や行き渋りの悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。参考:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省Upload By 発達ナビ編集部不登校、行き渋りなどの情報コラム不登校の原因・きっかけはさまざまですが、早期解決できるか長期化させてしまうかは周囲の対処法によって大きく左右されると言われています。不登校はどのようにして起き、どんな経過を辿るのか、保護者の子どもとの接し方のポイントを解説します。子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。このコラムでは、不登校の子どもと保護者をサポートする役割を担う「教育支援センター(適応指導教室)」を取り上げます。日本で唯一の不登校専門紙「不登校新聞」。夏休み明けに増え続けている子どもの自殺を止めるために、私たち親は何ができるのか、石井志昂編集長(不登校新聞)と牟田編集長(LITALICO発達ナビ)とともに考えます。不登校、行き渋りのコミックエッセイADHDのある次男くんは4月から小学6年生。いよいよ本格的に中学校選びを始める時期になりました。中学1年生のときに対人関係のトラブルがあり、1年間不登校だったスガカズさん。「自分の子どもには同じような経験はしてほしくない」と「本人(次男)の意思に任せたい」で揺れておりーー。小学校でも中学校でも卒業式で涙を見せたことがなかった荒木まち子さんの娘さんですが、高校の卒業式では大号泣!その涙の理由は、卒業式直前に行われた、生徒主体の「学習発表会」で知ることができました。通信制高校の角川ドワンゴ学園S高等学校に在学中の高校1年生の加藤路瑛さん。今回は、ネットコース生である加藤さんの学校生活をお話しします。今話題の通信制高校のリアルを大公開!小学校入学以来、何度となく登校渋りを繰り返し、小学2年生の秋から不登校になった鈴木希望さんの息子さんですが、4年生になり普通に登校するようになりました。そこに至るまでに何があったのでしょうか。ADHDと自閉スペクトラム症の診断を持つ小学2年生、むっくん。今は不登校で自宅学習を選んでいますが、気になる将来のことについてフリーランス児童精神科医の三木先生に聞いてみました!ASDがあるいっちゃんは中学3年生。府内の美術系の高校への進学を考えており、この秋から受験塾(のようなところ)に通い始めました。しかし、塾に通うのは嫌だと言いだして…。まとめ不登校に限らず、思春期の子どもとの接し方に悩む保護者の方は数多くいるのではないでしょうか。思春期に起きる子どもの変化は、時として親子関係にも変化をもたらします。そうしたタイミングで子どもが不登校になったとき、親としての責任を感じて自分を責めたり、子育てに自信を失ってしまったりすることもあるかもしれません。ですが、不登校の原因は一つではなくさまざまな要因が複雑に絡み合っています。つまり、子どもが不登校になるのは必ずしも全て親の責任ではないとも言えます。子どもとの対話を通して、前向きに、少しずつでも前に進んでいけることを願います。
2022年05月04日おとなしくて育てやすいと思っていたゆいだけどゆいは赤ちゃんのころからおとなしくて育てやすく、夜泣きやイヤイヤ期も一般的で、検診でも何も指摘されずに成長しました。小学校に入るまで、子育てで悩んだことはそれほどありません。楽しく育児ができていたと思います。でも、今思い返せば私が脳天気で大雑把な性格のため見落としたことはたくさんあったのかもしれません。小学三年生あたりから勉強についていけなくなり、四年生で学校から「発達検査を受けてみては」と勧められたときは、とうとう来たか…と観念したような気がしました。単に勉強が苦手なだけだと思っていたけれど、教育現場のプロから見ても明らかに何かあると思われたんだ…と悲しくなりました。Upload By 吉田いらこ単身赴任中の夫に伝えると…学校の先生に発達検査を勧められたときは単身赴任中だった夫にも伝えました。夫は残業も多く、話ができるのは朝の30分だけという毎日。朝から重い話だなと思いながらもゆいのことを相談していました。夫の反応はいつも「えー、そんな大げさな」。そう思いたいんだろうなと感じました。小学五年生で発達検査を受け、療育手帳が取れる(軽度知的障害がある)と説明を受けたときは頭の中がいっぱいで呆然としてしまいました。自分はわが子の発達の遅れを見落とすようなダメな親だ。そうハッキリしたような気がしてつらかったです。でもこの子のために行動しないと、とは思いました。Upload By 吉田いらこ療育手帳を取得することで、さまざまな福祉サービスを受けられメリットが多いと思っていますが、親にとってはわが子に障害があるということを認めることにもなります。そこがちょっと難しいと思う人もいて当然だと思います。Upload By 吉田いらこ「様子見でいいんじゃない?」の言葉に…夫に話すと「そんなに急がなくても…。まだ様子見でいいんじゃない?」と言っていました。様子見でいい、という言葉はいいなと思いました。不安をやんわりと先送りにできて、未来もちょっと明るく感じます。成長したら今の困りごともなくなるかも知れないのだから。でもゆいはもう小学五年生。「様子見」は未就学児だったらいいと思いますが、わが家の場合、時間はもうないのです。続けて「それにさ、そのうちみんなに追いつくかもよ?」と言われたときは、なんだこの人全然分かってないなとちょっとイラっとしました。でも、夫に対してイラっとした自分も嫌でした。勉強が苦手で引っ込み思案だけど、気にしすぎることはないと思っていたからです。Upload By 吉田いらことはいえわが家の場合は療育手帳取得のデメリットはないなと思ったのでメリットを調べてまとめて伝えました。夫に対しては、手帳がいかに必要か感情的に訴えるよりも具体的な例を並べたほうが伝わると思いました。説明しながら、なんだか仕事でプレゼンしてるみたいだな、とちょっと笑えました。結果、夫も手帳取得に納得し(仕方なく…かもしれませんが)役所に申請することができました。はりきって手帳を取得したものの、その後の私たち夫婦は「こうしたほうがいい」「こんなことをしてみたらどうだろう?」と熱い信念もなくとりあえずやったほうがいいことをこなしているだけの毎日です。意見の相違などでの夫婦間の言い争いなどはないですが、悪く言ったらあんまり頑張っていません。でもまだまだ先は長いわが子2人と夫との4人での生活、ゆいが暮らしやすいように小さな工夫などをしてサポートしながら、楽しく過ごしていこうと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)発達検査を受けたり、手帳を申請したりすることは吉田さんも書いておられるように、親としては「障害を認める」ことになり、さまざまな葛藤があったかと思います。ちなみに「療育手帳」とは知的障害のある子どもが取得できる手帳になります。療育手帳に関して、何歳までに取得しなければならないという制限はありませんが、取得にあたっては吉田さんのご夫婦のような話し合いも必要になります。療育手帳はそれぞれの自治体が交付するものであり、お住まいの地域によって受けられるメリットは少しずつ異なります。吉田さんのようにメリット、デメリットをご夫婦で検討されながら判断されるのがよいと思います。
2022年05月04日周囲は知らない人ばかりの小学校一年生タケルは私立の幼稚園に3年間通い、地元の公立の小学校に進みました。新学期が始まってみると、周りはほとんど小学校付属の幼稚園から来た子たち。すでにお友達グループができているようだったので、この中に入っていくのは、難しそうだな、と思いました。幼稚園でウケた「大技」を披露しかし、言われたことはそのまま受け取るASDの息子のこと、入学式での「お友達をいっぱいつくってくださいね」という校長先生のスピーチに、すっかりやる気になりました。早速「友達つくるぞ!」と、入学式の後、校庭で立ち話をしている男の子たちのグループに割り込みますが、知らない子が無言で入ってきても、話しかけてくれる子はいません。なんとなく距離を空けられ、いつしか解散してしまいます。Upload By 寺島ヒロなんて言って良いか分からないのかな…と、ハラハラしながら見ていると…大人びた感じの女の子が近づいてきました。どうやら、タケルが子どもたちの輪に入れないことを見て、話しかけてくれようとしているみたいです。良かった…!と、思ったのもつかの間、タケルが、急に大きな声で「ピコーン!ピコーン!」と言いながら飛び跳ね始めました!Upload By 寺島ヒロあれは…!「某有名ゲームのキャラクターが21連続でコインを叩く」というタケルの持ちネタ…!しかし、そんなことは知るよしもなく…汗だくになりながら「ピコンピコン」と繰り返すタケルに恐れをなし、女の子は半泣きでどこかに行ってしまいました。大滑りを経験して思ったこと友達をつくるぞ!と意気込んでいたものの、幼稚園ではテッパンだった「ゲームの真似」も不発に終わり、当時はタケルも相当落ち込んだようです。幼稚園では、物心つく前から一緒にいた仲間だったので、特に彼らには前振りなどなくても、タケルが何かネタを披露していると集まってきて、笑ってくれてたのですよね。でも、知らない人ばかりの中では、タケルは、急に予想のつかない動きを始めるコワイ人でしかありませんでした。会話の中で話題を変えるときのスキルそんなタケルでしたが、小学校に通い始めて2〜3ヶ月もすると、学校で親しく話すことのできる子ができてきました。4年生になるころには、クラス替えがあっても「友達」と言えるような子もでき、なんとかなるもんだなあとホッとしました。今、大きくなった息子に、小学校のときの友達のことを聞いてみると…Upload By 寺島ヒロ自分なりにルールをつくっていたようです。いつもうまくはいかないけれど…相手があることでは、自分の思いついたことをいきなり始めないというのは、当たり前のことではありますが、ASDのある子どもの場合、なかなか想像できないことかもしれないと思いました。実は二十歳を越えた今でも、それまでの会話と関係なく、思いついたことを長尺で喋ってしてしまうことがあり、しばしば友達に「ご講義はいいから!」とツッコミを入れられたりしています。三つ子の魂なんとやらですが、それでも、いつしか外で「いきなりゲームキャラの真似」はしなくなったので、少しずつ人付き合いの中で学んでいるんだろうなと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)ASDのある方の場合、自分が会話に入っていくときや話題を変えるときに、タイミングが計れない、あるいは切り出し方が分からないといった声をよく聞きます。タケルさんのように、話題を転換するときに予告をしたり、相手に指摘されたときにうまく受け入れることができると、苦手意識は軽減するかもしれませんね。また、相手の話を相槌を打ちながら、上手に聴く、というスキルがあると相手との関係も取りやすくなると思います。
2022年05月03日子どもの学習の悩み、もしかしたら学習障害かも?字が読めない、書けない、計算ができない…子どもの学習の悩み、もしかしたら学習障害かも?3つのタイプがある学習障害。症状や困りごとは人それぞれです。一体どのような特徴があるのでしょうか。今回はそんな学習障害についてのコラムをまとめました。文部科学省の定義によると、学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことと言われています。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、診断名が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」になっています。限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」に限定されます。学習障害は大きく分けて・読字障害(ディスレクシア)・書字表出障害(ディスグラフィア)・算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分けられます。しかし、一人ひとりその症状はさまざまです。その子に合った学習の方法を見つけていくことが重要です。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省「LITALICO発達ナビ2021ユーザーサーベイ」にて行った「お子さまに対して、特にしてあげたいと思っていることについて教えてください」のアンケート項目の結果を見ると、多くの方が子どもに合った学校の選定をしてあげたいと答えており、子どもの学力だけでなく、学びについての環境も大事にされていることがわかります。併せて学習障害のある子どもに対して活用できることの多いICT教育(PC、タブレット、スマートフォンなどの積極的な活用)にも興味のある方が多いことも伺えます。学習障害についての基礎知識を知り、子どもの特性を理解し、適切な支援につなげることで子どもの学びやすい環境を整えていくことは可能です。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイからも、学習障害の悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学習障害について学べる情報コラム学習障害(LD)がある子どもはどのような状態で、何に困っているのかご存知ですか?イラスト図解などで分かりやすく解説します!学習障害にはさまざまなタイプがあります。また人によって症状の現れ方も違うので、診断が難しい障害でもあります。このコラムでは、学習障害の3つの種類とそれぞれの症状、そして、具体的な特徴や受けられる支援を説明します。大人になってから学習障害と診断される人は近年増えています。学習障害の大人が仕事で直面する困りごとや、それらに対する対処法などをまとめました。子どもが学習障害の場合、どのように接するべきでしょうか?子育ての困難への対処法、個性を伸ばすための最良の手段やその子が感じている困難さを乗り越えれるサポートなどを解説。マンガで学ぶ学習障害マンガで分かりやすく学習障害を解説!学習障害チェックシートや困難の理由、相談先や治療法、具体的な接し方の手立てなどを専門家が解説します。学習障害についてのコミックエッセイADHDとLD(学習障害)があり、本人自身勉強をあまりしたくない様子の次男くん。親のスガカズさんとしては毎日の宿題を習慣づけたいところですが…そんなときに救世主が現れて…!?学習障害がある息子2号くん。中学3年生となり、高校進学を考える時期になりました。しかし特性から読み・書き・計算のとらえ方に偏りがあり、学校の授業や受験勉強も悪戦苦闘。果たして無事に高校生になれるのでしょうか!?まとめ苦手さの理由や原因は一人ひとりのケースで違います。その子がどこに困難を感じているのか、またその理由はどこにあるのかを観察してみるとよいでしょう。環境を調整したり、やり方を工夫したりすることで対処法が見つかることがあります。その子の困難の背景を考え、寄り添ってサポートをすることが大切です。
2022年05月02日ゲーム動画で何を見ているの?テレビゲームが大好きなむっくんは毎日ゲームを楽しんでいます。さらに小学生になり、自分で動画検索できるようになってからは好きなゲームの動画も楽しむようになりました。ときに真剣に、ときにげらげら笑いながら動画を見るむっくん。私が子どものころはゲーム動画なんてありませんでした。自分でプレイすることを楽しむスタイルなので、動画で喜ぶむっくんは一体何が楽しいんだろう?と当初は不思議に思ったものです。そんなむっくんをよく観察してみると、楽しむゲーム動画の内容はおもに二種類に分けられることに気づきました。一つは攻略動画で、プレイする上でどこにアイテムがあるかや、敵をどうやって倒すのか、無事クリアするにはどんなとこに気をつけると良いか、またどんなストーリーなのかを知ることができます。もう一つは実況動画で、ゲームが上手な方がびっくりするようなテクニックでプレイされている様子や、これをやったらどうなるか?などの子ども心をくすぐる実験的な内容を楽しんでいるようです。Upload By ウチノコ攻略動画は見通しになる?!現在プレイ中のゲームに関しては特に攻略動画を見ていることが多いむっくん。攻略動画はプレイに詰まったときに見ていることが多く、どうすれば進められるのか?ということを知るために見ている様子です。むっくんは家庭内ルールでゲーム時間に縛りがあります。なので、できるだけ短時間で要領よくゲームを進める必要に迫られていて、そこを解決するのが攻略動画!なるほど、理にかなっている!また、ゲームを始めたころはキャラクターが倒されることにストレスを感じたり、どこから強い敵がでるのかハラハラしたりするため、思うように進めないときにプチ癇癪を起こすことがあったのですが、攻略動画を見るようになってからは随分減りました。おそらく事前に見ておくことで心の準備ができて安心してゲームに取り組め、困っても調べたら大丈夫という成功体験になっている様子です。実はむっくんは普段から、映画などもいったん早送りして結末を確認したあとに最初から視聴するスタイルです。そんなむっくんにとって攻略動画は予告や見通しを立てて、安心してゲームを楽しむために重要な役割を果たしているのかもしれません。Upload By ウチノコ実況動画はワイワイ楽しむ派実況動画は弟と一緒に楽しむことが多いむっくん。まるでスポーツ観戦のように、おお!すごい!え?!今のどうやったんだろう??なんてことを話しながら画面にくぎづけです。また、配信者さんのケアレスミスに笑ったり、珍しいアイテムにおお!っとなったり。まるで友達のゲームを見て一緒に楽しんでいるような楽しみ方をしています。私も子どものころはよく友達の家でゲームしてたなぁ、同じものに興味を持って、ワクワクを共有できるって楽しかったな~なんて当時の気持ちを思い出したりしています。人と接することが得意ではないむっくんですが、少しだけ友達と一緒に楽しむ雰囲気を味わえているのかな?なんて感じています。最近では面白かった動画をストックして、友達が来たら見せるんだ!と話したり。お気に入りの配信者さんのようにみんなが面白いって思う動画をつくってみたいなぁと興味の幅も広がってきています。Upload By ウチノコ本質は変わっていない私は小さいころからゲームが好きな子どもでした。親に叱られながらゲーム時間をオーバーして没収されるなど、感慨深い思い出がたくさんあります。そんな私が感じたのは、むっくんにとってゲーム動画を楽しむことは、私の時代での攻略本や、ゲームの設定資料集を読みこむ感覚に近いのかもしれないなという事です。以前実験的に、あるゲームの攻略本をむっくんに買ってみたところ、そのゲームに関しては動画を見ないという面白い結果にもなりました(ただし飽きるまで辞書のような攻略本をひたすら読み込んでいましたが…)。ゲームをした後にゲーム動画を見ていると、つい、ゲームばっかり!と不安になるかもしれませんが。何を知ろうとしているのかという目線で観察してみると、意外と内容はさまざまでお子さんの視点を知るきっかけにもなるかもしれません。また、自分の好きなものを誰かが一緒に見てくれる。同じように楽しんでくれることはとっても嬉しいものです。これからは親子で一緒にゲームだけでなく、ゲーム動画を楽しむ時間を持つのもいいかもしれないなぁと考えています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)子どもたちの間でゲームに関する動画はとても人気ですね。むっくんがゲーム動画をどうしてそんなに好きなんだろうと思って分析してみた、というのが素晴らしいです。ウチノコさんはゲームが好きとのことですが、特にゲームをあまりしてこなかった保護者の方だと、「ゲームは良くない」という前提から子のいろいろに対応するため、どうにも対立の構図に陥りやすく、より一層、子はゲームを守ろうと強い態度を取りやすくなり、悪循環になりやすいです。子どもが好きなゲーム、ゲーム動画ってどんなのだろう?と思って、自分でやってみる。まずそこが1つのポイントですね。その際に、なるほどこれは面白いね、と思えればいいなぁと思いますが、そうではないこともあると思います(どうしてこんなのにハマるんだろう、と)。でも、少なくとも、お子さんの興味を引いているのはそのゲームや動画なわけで、それなりの魅力があることは間違いないです。ゲーム実況では、楽しい仲間との関係を疑似体験しているのかもしれない、攻略動画では動画素材によって学ぶことが得意であることの証左の1つかもしれない、ゲームそのものでは、評価がわかりやすい世界は生きやすいのかもしれないなど、お子さんをめぐるさまざまなヒントがあふれていることと思います。ぜひそういう視点もくわえていただいて、「ゲーム・動画と子ども」の関係で何が起きているのかを考えてみてもいいかもしれません。
2022年05月02日ダウン症のある子どもの力を育むためにUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンこだわりの行動を否定しないダウン症のある子どもは、決まった行動をとりたがる傾向があります。例えば、学校の帰りはこの道を通るとか、帰宅したらすぐに靴下を脱ぐなどです。そうした行動には一見意味がなさそうに見えたり、親からすると面倒に感じられるかもしれませんが、決まった行動をとることで、見通しが立てやすくなったり、安心感を得られるなど、子ども自身の気持ちのコントロールに必要だから行っているのかもしれません。本人にとってはとても大切なことですので、あたたかく見守りましょう。成長はゆっくり。焦らないこと周りの子どもたちができるようになったことが、なかなかできないと保護者は焦ってしまいがちです。定型発達の子どもの首すわりが4ヶ月ごろとすると、ダウン症のある子どもの場合は6ヶ月以上かかることもあります。それ以降の発達もゆっくりですが、焦らず見守りましょう。分かりやすく伝えてあげるダウン症のある子どもは、耳から理解すること、聞いたことを覚えてそのまま伝えることが難しいと言われています。また、抽象的な説明も理解しづらい傾向があります。はっきり、ゆっくり、大きな声で、分かりやすい内容で話すことを心がけてあげましょう。必要に応じて、絵カードなど視覚支援のツールも活用するといいでしょう。好きなことをさせてあげる趣味や大切にしている時間をゆっくり過ごさせてあげることも大切です。ダウン症のある子どもは感受性が強く、ストレスを感じやすい面があります。。そのため、絵を描いたり、歌を歌ったりなど、本人が好きな活動を積極的にさせてあげましょう。余暇を上手に過ごせるスキルは、気持ちのコントロールにも役立ち、いきいきと生活するうえで生涯にわたって大切なものとなります。ペースを乱さず、温かく見守ってあげましょうダウン症のある子どもは、周りの雰囲気に敏感で感受性が強く、人に対する深い思いやりがあるといわれています。サービス精神が旺盛で、自分が嫌な気持ちになっても我慢し、にこにこしてつらさをあらわさないこともあるため、ストレスをためていないか注意深く見守ることが大切です。また、自分のペースやパターンがあるので、それを崩すようなことはしないようにしましょう。いつもと違うことが起こると、それに対処できなくなってパニックになってしまうこともあります。
2022年05月01日「親なきあと」の準備から「親なきあと」になるまでの話Upload By スガカズ私の母はもともと「生活保持義務」や「生活扶助義務」について私に責任をもたせる意思はなく、親なきあとの成年後見人についても、母と母方の親戚の間で、叔父(母の弟)にお願いすると決めていました。兄が20代前半のときです。母の持病が悪化してしまい、重度の知的障害のある兄を育てることが難しくなりました。そのため私たち家族は、兄のこれからの人生を障害者支援施設で送ってほしいと願い、入所するための準備をしました。入所を希望する施設には、同じ社会福祉法人が運営している共同作業所が隣接しています。その作業所は以前から兄が通っていたところで、障害者支援施設に入所した方も利用しています。そのため、仮に施設入所が決まった場合でも、兄の環境の変化が少なく済みます。私は、こういった「親なきあと」の母の意向を早めに知ることができたことは、とてもありがたかったです。私は当時高校生でしたが、「兄を含めみんなが自分らしい人生を送れるのでは」と安心したのを覚えています。それから4〜5年ほど入所を待っていたと思いますが、たまたま空きが出て、施設の入所が決まりました。現在は、施設でお世話になり始めてから18年ほど経ちました。Upload By スガカズ5年前に母は亡くなったのですが、当初の予定通り、叔父が兄の成年後見人になりました。主に母方の叔父や叔母たちが施設に面会に行ったり、ときどき外食に連れて行ってくれたり、物資の調達、医療や支援などの協議、財産管理などをおこなってくれています。私は実家から500キロ離れたところに住んでおり、4人の子どもたちもまだまだ目が離せないので、兄の身の回りのサポートをするのは難しいです。そのため、兄の身の回りのサポートをしてくれている母方の親戚には頭があがりません。コロナ禍で直接会うことは難しい…施設長が提案してくれた「WEB面会」という方法Upload By スガカズわが家の末っ子が5歳を迎えたころ(昨年)少しだけ子育てにかかる時間に余裕ができ、久しぶりに兄の入居する施設に電話をして、兄の様子について聞くことにしました。電話をとった方は施設長でした。施設長は、養護学校(注:現在は特別支援学校)卒業後に通っていた作業所で働いていた方で、兄との付き合いはかれこれ30年近くになります。「(亡くなった)お父さんもお母さんもよく作業所に来てましたよ」と昔話に花を咲かせているうちに、施設長から「よかったら、WEB上でお兄さんと面会しませんか?」というご提案をいただきました。私がなかなか会いにいける状況ではないこと、さらにはコロナ禍で実家にすら帰ることができないという事情を知った上で提案していただきありがたかったです。さっそく施設長の厚意に甘えさせていただくことにしました。電話を切って最初のうちは、私はうれしい気もちでいっぱいになりました。ですが、時間が経つとだんだんと、言葉には言い表せない複雑な感情が芽生えてきました。私が面会することで、兄の情緒が不安定になってしまわないか?という不安Upload By スガカズ私が直近で兄と会ったのは、5年前。母の葬儀のときに兄が支援員さんと参列したときです。そのため、そもそも「あまり会いにこない妹のことを兄は覚えているのか?」といった疑問をもちました。また、このような不安もありました。「仮に妹のことを覚えていたとして、私と面会することで、兄の情緒が不安定になってしまわないだろうか?」兄はもともと情緒が不安定なときに、耳を抑えてうなることはありましたが、癇癪などで表現することがないので、周りに兄の気持ちの変化などがなかなか伝わりません。また、自分の感情を言語化することができません。そのため、私は兄の本心を知ることができず、兄が今までどんな気もちで「親なきあと」の生活を送っていたのか分かりません。ただ、私が知っている事実は、「兄は母の死を今も理解できていない」ということです。母が亡くなったあと、施設の職員さんは兄に「お母さんは、もう会いにこれないって言ってたよ」「天国ってところに行ったんだって」と伝えてくれていました。それからというもの、兄は時折「おかあさん、テンゴクにいった」と、笑顔で独り言を言っているのだそうです。テンゴクはどんなところなのか?なぜテンゴクにいったのか?なぜテンゴクにいくと会いにこれないのか?そこは理解してはいないようです。心の底で兄は、母が面会に来なくなったことを、悲しんでいるのではないだろうか?いつか来てくれるだろうと待っているのではないか?もしそうだとすれば、私(家族)が面会することで、「母に会いたい」と思い、情緒が不安定になってしまわないか?不安定にさせてしまうのであれば、「兄に会いたい、話したい」と私が思うのはただのエゴなのではないか?そういった複雑な気もちが芽生えました。外の世界で、兄とは別の人生を送っていること、自由に行動できることへの罪悪感Upload By スガカズまた、私にはこのような感情もありました。5年前に母が倒れたときに、危険な状態だと知り、私は現在の家族(主人と子どもたち)と一緒に実家のある大阪へ向かいました。2週間ほど滞在し、毎日出来る限り付き添いましたし、意識のあるうちに子どもたち(孫)に会わせることもできました。ですが、重度の自閉スペクトラム症と知的障害のある兄は自分から母に会いに行くことはできません。母の命をつなぐ処置が施されている病室(ICU)に、多動の強い兄を連れていくことはできないと思いましたし、母方の親戚も同じ考えだっただろうと思います。私はこういった「私(きょうだい)は外の世界で、兄とは別の人生を送っている」「私は重要な場面で、自由に行動ができる」という事実を考えると、兄に対して申し訳なさに似た気もちがありました。兄はそういった状況を理解しているわけではありませんし、望んでいるわけではありません。「申し訳ない」と罪悪感を持つのも私の気もち次第ではあるのですが…。複雑な気もちを抱えたまま面会。笑顔の兄を見てすっかり気もちが楽にUpload By スガカズ昨年の11月に、いよいよ兄と会う日がやってきました。私は自宅のリビングで、兄は施設の事務所から、画面を通して面会しました。始めに兄のケース担当の方と話をして、5分ほどして兄がニコニコしながら事務所に入って来るのが見えました。私は「Yくん(兄の名前)!」と声をかけました。最初は目があったのですが、スルーされました。どうやら事務所は普段入ることができない場所のようで、兄は目をキラキラと輝かせながら事務所にあるものを手にとっては戻し、手にとっては戻しを繰り返していました。その様子を見て、今まで私にあった不安な気もちが消えました。多動の強い兄の行動や表情は、一緒に住んでいたときと同じだったのです。「Yくん、この人誰?」と私自身を指さして聞いてみました。すると、私の方を見てすぐ、「カズちゃん!」とニコニコしながら答えてくれました。そして、また先ほどと同じように周りを気にしていました。妹の私を覚えているのもうれしかったですが、なにより、妹よりもまずほかのことに目を向けて楽しそうにしている兄を見て、安心しました。家族(私)を気にしている様子があるのなら、それは「母が来なくなって今も寂しい思いをしている」ともとれるのではないかと思ったのです。Upload By スガカズそのあと、兄のケース担当の方から、最近の兄の様子や生活について詳しく聞くことができました。その話から兄にとっての「自分らしい生活」が送れていると感じましたし、担当の方にあたたかく見守っていただけていると感じました。面会の時間は1時間ほどだったのですが、終わるころにはすっかり私の心は軽くなりました。「Yくん、がんばってね。また会いに行くからね」と伝えると、兄は「うん、うん」とうなづきました(言葉は理解せずともあいづちをうってくれました)。Upload By スガカズここ数年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入居している障害のある人の家族は面会が思うようにできないという話を聞きます。そういった中でWEB面会が今回できたのは、コロナ禍であることが要因の1つかも知れませんが、私のように実家から離れて生活をしているきょうだい、家族にとっては、とても貴重なよい経験でした。現在は2〜3ヶ月に一度施設に電話をして、兄の様子を聞いたり、兄が好きなお菓子を送るようにしています。今はまだそういったことしかできませんが、10年後にはまた違った関わり方ができるようになると思います。はじめに提案してくださった施設長には心から感謝します。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)「親なきあと」は本当に難しい問題ですよね。どういう方法や状態がベストなのかは、その人によっても違ってくると思います。そして、相当な悩みと葛藤を過ぎたあとでないと、「これでいいのかな」と思えないこともよくあります。お兄さんのコンディションや反応がどうであったとしても、そのとき、そのときを過ごしていくことで、お互いに安心できる状態になっていくのかもしれませんね。
2022年04月30日「新学期」をテーマにした学校生活に役立つコラムをピックアップ!新学期、入園、入学、進学などもひと段落し、新生活にもだんだんと慣れてきたころでしょうか。今回は「新学期」をテーマにした、学校生活に役立つ情報コラムや連載コラムなどをピックアップ!新学期のストレス問題、合理的配慮の求め方などの役立つ情報から、新学期のあるあるトラブル、解決ライフハックまで、さまざまなコラムがあるのでぜひ参考にしてみてください。2021年度に実施した、LITALICO発達ナビのユーザーさまへのアンケート調査では、「発達が気になるお子さまを育てる中で、課題や困難を感じるのはどのような場所ですか?」質問への回答結果を見ると、かなりの多くの方が学校や保育園、幼稚園での悩みを抱えていることがわかります。特に新学期、子どもも親も慣れない環境にガラリと変わることで、かなりの不安や悩みが出てくる時期ではないでしょうか。特性があり、支援が必要な子どもを持つ保護者の方にとっては、担任の先生にどこまで合理的配慮を頼んだらよいのか、どのように伝えたらよいのかも悩ましいところですよね。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイから、こうした悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学校生活に役立つ情報コラム新学期が始まりもうすぐ1ヶ月。環境や関わる人が大きく変わることの多い新学期は、子どもも親も気づかないうちに疲労やストレスがたまりがちに。子どもの出すイライラサインや症状とはどんなものなのでしょうか。新しい学校、クラス、友達との出会いにお子さんがわくわくしている一方、親としては新しく子どもの担任になる先生との連携や協力、合理的配慮のお願いなど心配事もたくさんあります。そんな新しい先生との関係の築き方、コツを解説します。新学期についてのコミックエッセイASDのあるミミくん。小学2年生進級前のギリギリのタイミングで担任の先生が変わることが分かり…!?新学期に母親のtaekoさんが新しい担任の先生にお願いしたこととは…?3歳のときに自閉スペクトラム症と診断を受けた長男けんとくん。年中のときに市の発達支援施設から地域のこども園に転園することになったのですが、不安なことだらけで…。そんなけんとくんの入園式~入園してすぐのエピソードです。自閉スペクトラム症と知的障害があるほぺろうくん。3歳のころに保育園に入園したのですが、癇癪を起こしたら?お友達とコミュニケーションは取れる?一緒に保育園生活できるの?と母親のぼさ子さんは不安がいっぱいで…。自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)のある長女あーさん。休校あけの新学期、「学校は楽しい」と言っているのになぜか家や放課後等デイサービスで大号泣!その原因は以前もあった「あること」が理由で…。4月(新年度)になると、情緒不安定になる自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)があるあーさん。毎年恒例のことだから…と母親のSAKURAさんは覚悟していましたが、今年は何もかも一味違い…!?4月は入園・入学・進級に合わせて持ちものを新調するご家庭も多いのではないでしょうか。上履きの左右問題、ランドセルのフック、折り畳み傘の開け閉めなど、特性のある子のつまずきやすいポイントを解消する工夫がたくさん紹介されています。発達障害がある子どもの進学、進級問題。何が最適なのかがわからず、悩んだり不安に思ったりすることも多いのではないかと思います。子どもに合う居場所を見つけるのが大切ですが、どのように見守ったら良いのでしょうか。まとめ新学期は、子どもにとって環境が大きく変化するため、子どもにとっても、親にとってもストレスや不安を抱えがちな時期です。親子で取り組めること・先生にお願いしたいことを考えたうえで、先生と良好な協力関係を築き、子どもが楽しく過ごせるように学校生活をサポートしていくことが大切です。
2022年04月30日感覚過敏と感覚鈍麻Upload By かさはらあやこ自閉スペクトラム症のある息子は感覚過敏も感覚鈍麻もあります。この過敏や鈍麻がきっかけでパニックや癇癪が起こってしまうので、いち早く気づいて不快感をなくす、または軽減することに日々意識を集中させています。とはいっても、意思の疎通が困難なため、現時点で息子に出ている症状は、母親である私の予想、想像でしかありません。また、以前は大丈夫だったのに急に過敏さを感じたり、反対に過敏だったのに大丈夫になったり。その度合いが成長や季節や体調によって変わるので判断がとても難しく、感覚過敏によって実際どのような症状が出てどのくらいつらいのか…?それを分かってあげることはできません。複雑な触覚の過敏さUpload By かさはらあやこ実際に息子にあると感じている感覚過敏をご紹介します。まずは聴覚過敏と触覚過敏です。聴覚過敏は、耳の奥が痛くなったり、頭痛やめまいなどを伴うこともあると言います。触覚過敏は皮膚に触れるものに対しての感覚過敏で、洋服がチクチクする感覚や、雨や風が皮膚に当たると痛みを覚えたり、他人に触られるのが苦痛という場合があるそうです。息子の場合は赤ちゃんのころ(現在もですが)、インターホンや郵便配達のバイクの音など、外から聴こえる音に反応してすぐに起きてしまう子でした。私は極力音を立てずに生活をし、インターホンのスイッチを切ったり、夫が出掛ける際や帰宅したときの物音がうるさいと腹を立てたり。周囲に神経質だと言われ、自分でも神経質だと自覚するぐらい気を遣っていました。それぐらい寝かせることに苦労していました。呼びかけに反応せずあまりにもしゃべらないので、「耳が聴こえていないのでは?」「病院に行ったのか?」と周囲に言われたこともありましたが、特定の音楽ですごく泣いたり、テレビから好きな番組の音楽が流れてくるとどんなに小さなボリュームでもすぐに反応してとんでくるので、絶対に聴こえていると思っていました。妹が産まれてからは、赤ちゃんの泣き声をとても嫌がり、妹が泣くと息子もパニックになり同時に泣き叫ばれる日々が続きました。今でも、入眠時に妹の声が聴こえただけで酷く怒って泣いてしまうことがあります。あやそうと抱っこをしてものけぞってしまい、うまく抱けずにより激しく泣き、どうにもできない自分の無力さに泣いていた記憶が頭をよぎります。普段から手を触ったり身体を触ったりしても嫌がられ、抱っこをしても自分の力では抱きついてくれないので、しっくりきません。未だに、求められたときにしか抱きしめられない状態です。たまに甘えてきて頬が触れるようなときも自分の手をしっかり顔の間に挟んで触れないようにガードしています(笑)。もちろんマスクをつけることはできません。寝るときに使うタオルはふわふわよりガサガサな質感でなければ怒ったり。風が吹くと凄く嫌がったり、飲み物を服に少しこぼしてしまっただけで激しく怒り出すこともありました。味覚と視覚もUpload By かさはらあやこ次に、味覚過敏です。これこそまさに偏食の原因だと思います。特定のものしか食べることができません。(抱かれるのも嫌がるし)母乳を飲むこともできませんでした。味や食感が少しでも違うとすぐに吐き出してしまいます。特に薬は98%見破るので、飲ませるのに本当に苦労します。そして視覚過敏。息子の場合は、光を眩しく感じて目を開けられない過敏もありますが、テレビに登場すると目を隠して嫌がり、パニックになって泣き出してしまうキャラクターが何種類か存在します。そのキャラクターの色が共通していることもあり、もしかすると色に対しての過敏があるのではないかと思っています。母親もつらくなる感覚鈍麻Upload By かさはらあやこそしてとても困るのが、感覚鈍麻。息子の場合、40度の熱があっても元気に走り回り、怪我をした瞬間の痛みには反応はありますが、その後はすぐ泣き止み、痛がる様子が分かりづらいので、目の届かない範囲で起こった怪我は気づくのが遅くなってしまいます。これが感覚過敏と合わさると厄介で、怪我をして、手当をしたくても触覚過敏で絆創膏を貼ることはできず、鼻血が出ても詰め物はできず、熱が出ても冷やすこともできず。薬を塗ることもできず、飲むこともできず…。頭に大きなたんこぶがあるのに、痛みが分からず、自傷行為で同じ場所を何度もぶつけたり、傷ができた場所が気になって、傷口をえぐるような行為をしてしまったり。痛いときや苦しいときや、不安でどうしようもないとき。何もしてあげられないことが母親として本当につらく…できれば怪我をさせたくないできれば風邪をひかせたくないできれば癇癪は極力避けたい…!!!そんな思いで日々生活しています。そりゃ神経質にもなるわ!と、そう思っていただけたら本望です。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症には感覚過敏が、知的発達症(知的障害)には感覚鈍麻がある傾向にあります。感覚過敏の中でも音(聴覚)過敏が最も多く、それが原因で不登校になるお子さんもいます。教室内のちょっとした音、音楽の時間、大声の先生などです。赤ちゃんのときは新聞をめくる音やお皿のあたる音などにも敏感に反応してモロー反射が起きることが多いです。成人ではアパートの隣や上階の音が気になったり、出かけるとき電車だと他人の話し声が気になるため自家用車で行ったりという人も多く見られます。視覚過敏の色に関しては、以前赤い服の先生に激しく怒られた既往がある場合、その後は赤い色を着た人はすべて怒られるものだと思い嫌がるといったこともみられます。白いご飯は食べられても、ちょっとゴマがふりかけられていると別物と思い食べなくなります。触覚過敏で多いのはシャツのタグが首の後ろについて嫌がるケースです。自分でタグをとるか、その服は着たがらないです。タグのないシャツかジャージーが喜ばれます。電車で横に座った人の足が接触するのも痛がるので端に座る傾向があります。療育としてはリハビリのOT(作業療法士)が行う感覚統合訓練や、音楽療法士が行う音楽療法を幼少期から受けることによりいろいろな過敏性は軽減していきます。そのためにも、かかりつけ医に相談して専門医に紹介してもらい、早期に診断して支援につなげていく必要があると考えています。
2022年04月29日宮城県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと仙台教室は児童発達支援に特化した施設です。こちらでは、お子さん一人ひとりの専用プログラムで療育を行っています。ABA(応用行動分析)を基にお子さんに合わせた支援を行い、スモールステップで成功体験を積み重ねることを大切にしています。就園・就学を見据え、発語、語彙の習得、困った行動を減らし正しい行動を増やす、集団での指示理解、会話のやりとり、ソーシャルスキル、身辺自立など、一つひとつ新しい行動を獲得することで、お子さんがより安心して、より豊かに生活できるようサポートをする施設です。宮城県の児童発達支援事業所をもっとみる東京都児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと東久留米駅前教室は2022年4月にオープンしました。この施設ではABA(応用行動分析)を基に毎回先生がプログラムを考え、マンツーマンで提供しています。個室のプログラムで先生と一緒に練習したあと、大きなセラピールームで3~4人の小集団で実践をします。さらに、できるようになったことを家庭でも取り入れることで、幼稚園や保育園の大きな集団でもできることを増やせるようサポートしています。子どもも家族も「ホッ」とできる場所、そして子どもの「できた!」をサポートし可能性を発揮できるような支援を提供する施設です。東京都の児童発達支援事業所をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスLaLaLand療育スクール アトリエGift 戸塚では、一人ひとりに合わせた個別療育や小グループ療育を行っています。活動を通してコミュニケーションスキル、多言語・多文化交流し多様性を認める力を育みます。また、こちらの施設では教室内で得ることのできない多彩な課外活動を提供し、支援者は子どもたちと共に可能性を見つけていきます。『みんな違っていて、いいんだよ』という考え方を大切にし、『Gift=才能を最大限に伸ばし、個性を創り未来を描くアトリエ』のような場所でありたいという思いで支援をしている施設です。Upload By 発達ナビ施設情報2022年4月1日にオープンしたきっずあいらんど横浜鶴見教室は鶴見小学校近くにある施設です。この施設では、子どものペースで基礎レベルを上げていけるよう、宿題のサポートや個別プログラムを提供しています。また遊びを通した運動プログラムでは「できたっ!」という達成感を大切にしています。運動における基本の力を身に着け、集団の中での約束事や他者と関わることの大切さ、楽しさを学ぶことができます。また、買い物、公園、外出イベントなどの課外活動では、家族からの要望なども反映しています。将来の自立のことも見据えた支援を行う施設です。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援事業所LaLaLand療育スクール アトリエGift戸塚では、一人ひとりの特性を理解した「オーダーメイド式アプローチ」を重視しています。特性や能力など個別支援計画に基づいたオーダーメイドの個別療育や、2~3人の小グループ療育を行う施設です。こちらでは運動や音楽、制作活動など、興味や能力に配慮したグループ活動を通してコミュニケーションスキルを高められるように支援しています。大切な幼児期の貴重な時間を楽しみながら共有し、お子さんに寄り添い丁寧に支援することを大切にしている施設です。Upload By 発達ナビ施設情報こどもサポート広場 minatos 綱島店は2022年1月5日にオープンしました。この施設では、活動の土台となる“感覚”に着目しバランスを整える感覚統合療法の観点を取り入れた運動や楽しい遊びを提供しています。感覚に着目した活動のあとは、小さい個室で集中できる環境をつくりながら、指導員とお子さん1対1の個別療育を行います。保育士や言語聴覚士、児童指導員、介護福祉士などスタッフ全員で子どもの状況について共有し、多様な目線で、子ども一人ひとりに合った支援をする施設です。Upload By 発達ナビ施設情報2022年4月1日にオープンしたきっずあいらんど横浜鶴見教室は幼児から成人(18歳)になるまで一貫して療育ができる施設です。こちらでは、個別支援計画に基づいた運動プログロムを通し、「36の動作」を基本に子どもの興味関心を引きながら、今できることを伸ばせるように支援しています。こちらの施設では、お子さんが「またやりたい」と思うことを大切にしています。楽しみながら、からだを自主的に動かしていくことで、自然に笑顔が生まれ言葉以外の表現機能を刺激し言語発達やコミュニケーションを促せるようサポートをしています。神奈川県の児童発達支援事業所をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報スペアミント東大阪は『できたを増やして笑顔と自信を』という言葉を日々スタッフで共有しながら、支援に取り組んでいる施設です。こちらでは、 医療的ケアを必要とするお子さんに対応できるよう看護師を常勤で配置し、ICT療育にも力を入れています。 楽しみながら粗大運動、微細運動、 ICT療育、コミュニケーションなどを育めるようなプログラムつくっています。「目標に向かって粘り強く頑張る」「諦めない気持ち」「自分自身の気持ちをコントロールする力」などを大切にしている施設です。Upload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービス ウィズ・ユー高井田元町は2022年3月1日にオープンしました。「みんなのもう一つのお家」のようなアットホームな雰囲気の施設です。こちらでは、臨床心理士・公認心理師による独自のプログラムでお子さんの「自立」に必要な療育を行っています。保護者向けには、お子さんの日常生活での困難を解決する支援方法をアドバイスしています。また、保護者が子どもとのより良いかかわり方を学び楽しく子育てができるよう支援するペアレントトレーニングも行っている施設です。Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援・放課後等デイサービススマイルONEは2022年4月にオープンした施設です。【楽しみながら】【確実な療育を】【継続する】を軸に、集団療育、個別療育を提供しています。こちらの施設では、子どもたちに分かりやすい教材を導入し、言葉や数の概念、読み、書き、計算などの学習を行っています。また、スイミングスクールと提携し、温水プールで水泳や、プロのインストラクターによるダンス、体操などの運動療育なども取り入れています。さらにコミュニケーションスキル、金銭や時間管理をはじめとする基本的な生活スキル・社会性を身につくようソーシャルスキルトレーニングを行っています。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2022年04月28日止まらない、娘のおしゃべり。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、小学4年生ごろから反抗的で発言と行動の矛盾が多くなりました。発達検査を前に、久しぶりに発達外来を受診することになったため、私は娘の行動の原因と、その対策を聞いてみることにしました。待ちに待った発達外来の診察日。担当は、今までの先生とは違う方でした。聞きたいことが山ほどある!私は、早く聞きたくてうずうずしていたのですが…Upload By SAKURA先生と娘の話がなかなか終わらない!定期的に受診していた小学2年生のころは、先生に聞かれたことしか答えなかった娘でしたが、小学5年生になり、言葉も成長していた娘のおしゃべりは、なかなか止まりませんでした。いつもと違った診察の方法に動揺!先生と娘だけの話が始まって15分ほど経ったころ、ようやく私に話がふられました。いつもなら最初、先生と娘が話をし、それが終わると、娘の相手をする看護師さんがやってきます。娘の様子や困りごとなどの話をするときは、先生と私だけです。娘が、私たちの話を聞くことはありません。しかし今回は…Upload By SAKURAなぜか先生は、娘の相手をするために来た看護師さんを、退出させました。話を始めようにも、娘がいる…話を聞かれたくない…私が、「できれば娘のいないところで話したいのですが…」と言うと先生は、『話してどうぞ』というジェスチャーをしていました。仕方なく私は、娘がいるため、言葉を選びながら、最近の様子を話しました。Upload By SAKURA最初はなるべく、娘が分かりにくいような言い回しを選んでいたのですが、途中私が気持ちをおさえられなくなってしまい、娘の前で愚痴のような内容になってしまいました。娘は、私に悪口を言われたとショックを受け、隣で泣いてしまいました。久しぶりに近づいた、娘との心の距離。だから聞かれたくなかったのに…私は娘に対して申し訳なく思い、同時に先生に対して、疑問を持ちました。すると、先生は…Upload By SAKURA先生から直接聞いた訳ではないので、ここからは私の予想ですが…先生は話を聞き始めたとき、私と娘の間の不穏な空気を感じ取ったのかもしれません。娘の話からも、矛盾感を感じ取った…。だから、私の話をあえて娘に聞かせるため、同席させたのかもしれません。何ヶ月もピリピリした状態が続いていた私と娘の心の距離が、久しぶりに近づいた気がしました。原因は、「自立心」と「自立力」のバランス?それから先生は、娘の発言と行動の矛盾の原因を話し始めました。Upload By SAKURAこの説明には、目からうろこでした。今まで、矛盾を感じていた娘の行動すべてが、理解できました。今の娘に必要なこと。娘の行動の理由は分かった…しかし、私が知りたいのは、この状態を改善する方法があるかどうかでした。Upload By SAKURAその方法とは、娘に決めさせる…?先生の言った方法は、「あーさんに、選択も結果も全て委ねる」というものでした。Upload By SAKURA次のステップへ。私は、いつも娘がパニックにならないよう、失敗しないよう、いろんなことを先回りして声かけをしていました。「○○しないと、~になっちゃうよ」「先に○○したら?」「忘れ物ない?」など、娘がスムーズに過ごせるように、良かれと思ってしていたことでした。これは私が娘の発達に問題があると分かってから、歩んできた日々の中で、言うなれば自然と身につき、染みついて離れなくなっているような…私のスキルのようなものでした。Upload By SAKURA娘がパニックを起こさないため、私が先回りしての声かけは、今の娘には不必要な支援だったのです。私は、いつまでも娘が幼くて、パニックを起こして泣いていると、思い込んでいたのかもしれません。「次のステップへ」という言葉は私の中で、区切りのように感じたのです。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:三木先生より)ご本人を場から外さないことも含めて、ちゃんと「あなたのテーマだからね」ということを明示してくださる先生なんですね。そういうメッセージも「本人のテーマを本人が扱う」ためのステップとして、素晴らしいと思います。
2022年04月27日切り替えで大癇癪勉強会で知ったのは…Upload By ゆきみ言葉が遅く、1歳半健診で指摘を受けた長男けんとは、市の発達支援の親子教室に通っていました。「毎日体を動かしましょう」とアドバイスをいただいていたのですが、散歩を嫌い、公園へ行っても座り込んで砂をサワサワ触るだけ。どうにか少しでも歩いてほしいと、大好きなエレベーターと駐車場があるショッピングセンターによく行きました。しかし3歳のころ、大好きなエレベーターに乗りまくったあと、お気に入りの場所である、地下1階にある駐車場の事前精算機の前で動かなくなってしまったのです。帰るために離れようとすると大癇癪!!床をゴロゴロ転がって抵抗し、隙をみてママから逃走してお気に入りの場所へ…。そのころはまだ弟が赤ちゃんだったので、暴れるけんとと2人を抱っこして車に連れていくのが本当に大変で、気がめいってしまいそうでした。そんなときに、親子教室や発達支援施設でおこなわれた勉強会に参加し「視覚支援」というのがあることを知ります。ネットや本でも調べてみて、軽い気持ちでやってみることにしました。視覚優位!?視覚支援がピッタリはまったUpload By ゆきみショッピングセンターに到着。「1 エレベーター」「2 ちゅうしゃけん」「3 くるま」「4 おかし」など、言葉と簡単なイラストも添えて紙を見せてみました。指をさしながら「次は駐車場だね」「次は車だね」と案内していくと、泣くこともせずに自らの足で次の場所まで歩きだしたのです!たった1枚の紙でこんなに違うの?と本当にビックリ!それからというものの「まだ帰りたくない」と癇癪をおこしてしまうような場所へいくときは紙を持っていき、順番を書いて見せることに。その後、4歳ごろに通っていた発達支援施設の臨床心理士の先生に「けんとくんは視覚優位なタイプだと思います」と言われました。文字が読めなかったり、説明するのが難しい場所へ行ったりする場合、予めインスタントカメラやスマートフォンなどで撮影をして、写真を見せるのも有効的かもしれないとアドバイスをいただきました。発達支援施設の先生の案で新たな発見Upload By ゆきみ「いつもと違う行動」というのが苦手なけんと。忘れ物に気がつき、家に引き返そうとしたときや、帰宅途中にコンビニへ寄ろうとしたときに大癇癪をおこしてしまうことがありました。「お店に寄ってから家に帰るよ」と口でいくら言っても泣き止まないのに、紙に「おみせ→いえ」と書いて見せるだけでピタリと泣き止むことも。年長で通っていた発達支援施設では「おわりの会」のときに数人が「今日の感想」を発表するというのがありました。けんとは、これが大好きで毎回発表をしたがったそうです。ですが当番制!毎回は無理です。どうしても発表したいけんとは大号泣。それが何回か続きました。そこで先生が提案してくださったのが、カレンダーを印刷し、けんとの当番の日に丸をつけてくださるというもの。施設に行く前にカレンダーを見ながら「今日は発表だね」と確認してから行くと、泣くことはなくなりました。年齢と共に少し変化!?6歳の現在は…Upload By ゆきみ6歳になった現在は「忘れ物を取りに帰る」「寄り道して帰る」というのがどういう状態なのかというのを理解したようで、文字にせず、口での説明だけでも大丈夫なことが増えてきました。それでも視覚を使わないと理解が難しいことも多く、試行錯誤の毎日です。これは最近分かったのですが、うちの子の場合「なるべく前もって見通しを伝えておく」「予定変更になりそうな予定も含めて伝えておく」というのも大事なポイントのようでした。今から思いかえしてみると、ショッピングセンターで見せた紙の最後をいつも「おかし」にしていたのがお菓子大好きけんとくんは「食べたい!」となり上手くいったのかなーなんて思ったりもします。イラストを書いたり、文字で書いたりと、ひと手間を加えるのは少し面倒なときもありますが、これからも「こんな小さなことで変わる?探し」を楽しむ気持ちでいけたらいいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)視覚支援をめぐる驚いたエピソードの共有をありがとうございます。ASDのあるお子さんは「視覚支援」「見通しを提示する」がピタッとはまることが多いです。視覚的な刺激に引っ張られやすいため、お母さんの声掛けが入りづらかったり、言葉は分かっていても、実際の物事や展開と一致させることが苦手であったりするため、絵や文字で提示するのは有効なことが多いです。また、予期せぬことにパニックになりやすいASDのあるお子さんも多くいらっしゃると思いますが、だからこそ、あらかじめ見通しを提示しておくことは安心感につながります。年齢が上がるにつれ、急な変更が入りやすい場合は、そのことも見通しの中に入れておくことができますし、そういったことにも慣れてくると、急な変更にも少しずつ慣れていくこともあります。「こんな小さなことで変わる!?探し」、素敵ですね。小さな工夫でも本人に合っていればうまく機能することは結構あるかもしれません。ぜひ楽しく探してみてください。
2022年04月27日トラブルの多い息子。上履きを隠された!?Upload By かなしろにゃんこ。小学校時代息子のリュウ太は、しょっちゅう周りとケンカをしていました。売り言葉に買い言葉で、いつ誰に恨まれていても仕方がない状態でした。そんなある日、息子は学校で誰かに上履きを隠されてしまったのです。上履きを隠されてしまい、仕方がなく裸足で過ごしていた息子。先生は、「上履きがない間はPTA来賓用のスリッパを履いていましょう」と持ってきてくれ、リュウ太はその間スリッパで過ごしていました。Upload By かなしろにゃんこ。机に座っていてもスリッパはすぐ脱げるため、リュウ太は授業中、座っている間は裸足になっていました。それが案外よかったようで、上履きがなくなってもテンションが下がることもなく「スリッパ意外にイイ」と気にいっていました。下駄箱からなくなってしまったときは怒ったものの、時間が経てば忘れて怒りがすぐに静まるのです。一方で先生は、「上履き隠し=いじめ」と感じたのでしょう、放課後必死に探してくれて「校舎の裏に落ちていました!」と上履きを見つけてくれました。あとから聞いたところリュウ太自身は先生が心配して探してくれている間、床に寝ころんだり、まったりして自分で探そうとはしなかったそうです。上履きがなくなったことはどうでもよくなって(完全に忘れていた?)、のびのび過ごしていたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。私自身も(上履き隠し事件は誰でも通る道なのでは?)と深刻には捉えてはいませんでしたが、先生はこのようなトラブルが起きたことを謝ってくれました。そのとき、先生は「以前ケンカなどをした子かもしれません、リュウ太くんに仕返ししたいけど面と向かってできない場合はこのような形で嫌がらせをすることがあります。上履きを隠した子も、悩んでいたり悔しい思いをしているということなのかもしれません」とおっしゃっていました。先生は上履きを隠した子に心当たりがあるようでしたが、今回は犯人捜しなどせず、しばらく様子を見てみることを教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。上履き隠しトラブルは、息子の普段の行動にもワケがある?Upload By かなしろにゃんこ。息子に聞いてみると、「これまでほかの人に対して競争心を持ったり、ライバル視などをしたことはない」と言います。嫌がらせをされない限り、自分から無条件で誰かを攻撃したりもしないので、思い返せばこれまで起きた対人トラブルは、周りがリュウ太に干渉してきてトラブルになる、というパターンばかりでした。しかし、売られたケンカは買ってしまうリュウ太。そのときの相手を言い負かすような行動が、誰かを苦しめていた…?対人トラブルがあると「苦しんでいるのはこっちじゃ!」と思ってばかりいましたが、それだけでもないのだと知りました。ただ、そう思っても仕返しのために上履きを隠すという心理は理解しがたく、私はモヤモヤした気分になったのでした。ですが、リュウ太自身は上履きを隠されても「スリッパ最高!」とダメージを感じていないので、それでもうヨシとしておこうと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。これでは上履き隠しをした子は、仕返しのためにやったのだとしてもスッキリしないでしょう(笑)。 作戦失敗と感じたかもしれません。その後、靴を隠されたことが一度あった程度で、履物のトラブルはなくなりました。もしかしたら隠した方も深い気持ちはなく、遊びのノリだったのかもしれません。とはいえ、当時のことをどう思っているのか成人になった息子にこのときの話を聞いてみると、嫌な思い出になっていなかったことが分かりました。スリッパの対応などを素早く提案してくれた先生に感謝です。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)子どもが上履きを隠されたという事実を知ったときに親としては、かなり動揺すると思います。先生が丁寧に説明をしてくださり、その後の対応もうまくされたのだと思います。上履きを隠されたリュウ太さん自身が、あっけらかんとしていることは親の立場から見ると肩透かしをされた感じかもしれませんが、お子さんによっては極端に不安を感じ学校に行くのが怖くなってしまうお子さんもいるので、それを考えると逆に安心されたのではないでしょうか。学校の中のトラブルに関して親は、実際にその場にいないですし直接関与できないのですが、先生としっかり連携していくことで解決していける問題は多いと思います。
2022年04月26日初めて聞いた「発達外来」Upload By まる息子の発達の遅れが判明してから相談しにいった発達支援センターで、心理士さんから発達外来(※)の受診を促された。そのときは具体的な理由を言われなかったが、今振り返ると息子を支援に繋げていくためだったんだなと思う。私は発達外来の存在を知らなかったため、『発達障害って病院にかかるのか!』と内心驚いたことを覚えている。それまでは「発達障害=療育へ行く」だけだと思っていたのだ。心理士さんより、「行くなら院内にOT(作業療法士)やST(言語聴覚士)のいる病院がいいよ」と教わったのだが、調べてみるとそんなに数がない。私の住んでいる地域でその条件を満たしていて家から通えそうな病院が3ヶ所ほど。1番近い病院は毎月1日の朝からその月の診察を電話で予約するのだが争奪戦らしい。1日は仕事の予定があったので朝から電話をすることができず、お昼の休憩時間に電話をかけてみたのだがすでにその月の予約は埋まってしまっていた。仕方なく家から電車とバスを乗り継いで1時間ほどかかる病院に決めたのだが、そこは紹介状がないと受診ができない。急いでかかりつけの小児科へ行き紹介状を書いてもらった。※発達外来…小児科の中に設置されていることが多い。診察時間を絞り、発達が気になる・遅れがあるお子さんを専門医が検査・診断したり、助言(療育・子育て)や投薬を行ったりする。緊張しながら病院へUpload By まる発達支援センターで発達外来の受診を勧められてから数ヶ月後、リュウが2歳8ヶ月ごろに初受診をした。当時の息子を連れて電車とバスを乗り継いで病院まで行くのは大変だったため、初回は父(息子の祖父)に車を出してもらった。初受診の際は紹介状と母子手帳を持って行った。息子が自閉スペクトラム症だと言われるのか、ドキドキしながら呼ばれるのを待っていたのを覚えている。担当になってくれた先生は優しそうで、でもハキハキと喋ってくれる女性の先生だった。初受診Upload By まる「リュウくんこんにちは!」先生がリュウに話しかけるも息子はスルー。キョロキョロと室内を見回し自由に動き回っている。そんな息子の様子を見ながら先生といろいろな話をした。言葉がまったく出ていないことや発達状況、家族構成や身内に発達障害がある人や病気の人はいるか、保育園のこと、仕事のことなど、さまざまなことを聞かれた。「いつごろ歩き出した?」「いつごろ指差しした?」なども細かく聞かれるのでこれから受診を控えている方はメモして行った方がいいと思う。私はまったく用意してなくて「いつできた?」の問いかけにしどろもどろになってしまった。特に先生の口から自閉スペクトラム症などの診断名が出てこないので、恐る恐る「この子は発達障害があるんですか?」と聞いてみた。すると、言葉が出ていないことに関して、ただ言葉が出ていないだけ(こちらの言うことをちゃんと理解している、やりとりができる)ならただ言葉が遅れているだけの定型発達かもしれないが、やりとりができていない、理解も及んでいない部分が見えるので「発達障害の可能性が高い」と伝えられた。ただ、「まだ発達検査をできる段階ではないためハッキリと断言できない」とも言われてしまった。発達外来へ行くようになってUpload By まるそれから3ヶ月毎に発達外来を受診することとなった。行くたびに近況報告で、「こんなことができるようになりました!」「こんな発語がありました!」などを伝えている。先生も「おー!すごいねぇ!!」と褒めてくれるので私も嬉しくなってしまう。受診時間は15分程度で病院への移動時間や待ち時間の方がだいぶ長くかかるが、息子のできたことを伝え、発達外来の先生に褒められるということが嬉しくて受診が苦ではない。定期的に気になったことの相談もできるし、その後、発達検査を受けてOTやSTの訓練にもつながることができたので、発達外来に通うようになってよかったと思う。執筆/まる(監修:井上先生より)発達外来に通ったことで、お子さんの得意なことや苦手なこと、少しずつできるようになっていくことなど、さまざまなことに気づけるようになったのはよかったですね。通うのに時間がかかったり、待ち時間が長かったりとその間どのように過ごされたのかと想像するとさまざまなご苦労があったことでしょう。投薬などはなくても、定期的に主治医の先生にお子さんの発達の様子を見ていただくことは、まるさんの感じておられたメリットのほか、子どもさんが少し大きくなってきてからも健康管理やさまざまな行政書類、学校への意見書などを書いていただけたりなど、たくさんのメリットがあると思います。
2022年04月26日発達ナビユーザーの体験をコミックエッセイ化!発達ナビにて行っている「みんなどんなトラブルで悩んでる?アンケート&エピソード大募集!」。今回はその中で投稿のあった「癇癪」についてのエピソードをコミックエッセイ化してご紹介します。2歳ごろから癇癪が激しかった娘娘は2歳前ころから癇癪が激しく、私の悩みの種でした。癇癪が始まると声が大きくなり、同じ娘だとは思えないような怖い表情になり、顔を真っ赤にしたまま1時間は癇癪モード。2時間くらいになるとさすがに疲れてくるのか、だんだんと落ち着いてくる、というのがほとんどでした。2歳ごろはいわゆるイヤイヤ期なのだろうと思っていましたが、3歳になっても、4歳になっても、5歳になっても落ち着くことはありませんでした。むしろ年齢が上がるごとに声はどんどん大きく出せるようになり、発語もはっきりしてきたため、癇癪を受ける側のダメージはアップしていきました。Upload By 発達ナビ編集部自分の要望が満たされなかったり、本人の予測と違ったことが起きると娘は癇癪になりました。特に癇癪を起こすタイミングは「出かける前」。そして娘が一番癇癪を起こしやすいパターンは「遊びを中断する」ということでした。そのため、出かける前に娘が時間がかかりそうな遊びを始めるのは高リスクでした。娘が遊びに熱中しすぎないように声をかけて気を逸らしたり、短いテレビ番組を流して”観終えたら出発”と約束してみたり、毎日同じ方法ではうまくいかず、とにかく娘がご機嫌に出かけられるようにできることを日々いろいろと考えました。その甲斐もあり「これから出かけるから、一旦遊びは終わらせて一緒に行こう」と落ち着いて話しをして、癇癪を未然に防ぐことができる日もありました。穏やかな朝が一変!掃除機が癇癪の引き金に娘、4歳5ヶ月のころ。その日は、いつもよりも穏やかに1日がスタートしていました。娘は朝の着替えを嫌がることもなく、朝ごはんもおいしそうに食べ、幼稚園に行くというスケジュールも理解していました。普段だったら娘が不機嫌になり、バタバタと出かける準備をしているくらいの時間だったのですが、不思議なくらいスムーズに事が運び、時間に余裕がありました。出発時間まではあと30分ほど。娘が出発前におもちゃを出して遊び始めても、落ち着いて話せば遊びをやめて出かけられそうな雰囲気がありました。時間があったので、私は少し離れたところで掃除機をかけ始めました。この油断がいけなかったのです。この日は、これが癇癪の引き金でした。娘「掃除機しないで!!」母「嫌だった?ごめんね」…娘の表情はみるみる変わっていきました。娘の表情を見たら(ああ、もうこれは癇癪モード突入だ…)とすぐに分かりました。Upload By 発達ナビ編集部癇癪のとき娘は「お母さん、ねえ、聞いて!」と叫ぶのがお決まりでした。「うん、なあに?」「聞いてるよ」と私が言っても、娘は理由などを言うわけでもなく…。娘が話し始めるのを待っていると「だまらないで!」「しゃべって!」と叫びます。そのあと私が「聞いてって言ってたから、待ってたんだよ」と言うと「しゃべらないで!」と娘、そして「お母さん、ねえ、聞いて!」に戻る…という。こんなやり取りが1時間続くというのがいつものパターンでした。こうなると私はもうサンドバッグ状態でした。完全に娘はパニック状態なので、少し距離を置いたほうがいいのかなと思い、そっとその場から離れようとすると「行かないで!」と叫ぶのです。娘が我に返るまで、私はとにかく娘のそばで終わるのを待つしかありませんでした。いつもの癇癪と思って耐えていたら、警察が…その日、癇癪が始まって40分くらいしたとき「ピンポーン」と自宅のインターホンが鳴りました。インターホンのモニターをみると、そこには警察らしき人が映っていました。「ああ、通報されちゃったんだな」とすぐに分かり、涙が出てきました。その日は窓を開けておくと気持ちがいい6月のとある日(しかも私の誕生日…)、大声で「お母さん!」「行かないで!」と言う声が外に響いていたのでしょう。Upload By 発達ナビ編集部突然のインターホンの音と「お巡りさんだ!」という私の声にびっくりして娘の癇癪も収まり、私は娘と一緒に玄関に向かいました。警察の方「○○署の者です。お子さんの泣き声がすると連絡があり…、お母さんどうして泣いているんですか?」私「すみません…。心配していただきありがとうございます。すみません、娘が癇癪を起こしてしまって…」このころ娘の癇癪がない日はほとんどありませんでした。毎日必死で向き合ってきたのに、それは誰にも伝わっていないんだな…と感じ、私はやるせなく涙が止まりませんでした(しかも誕生日なのに…!!)。Upload By 発達ナビ編集部そのあとは警察の方が、娘に「こんにちは」と言うと娘も「こんにちは」と答え、親子と警察の方で少し他愛もない会話を交わしたあと、心配ないと思ってくださったのか、特にほかに何か聞かれることはなく帰っていきました。ご近所の方への感謝と切なさ私は自分の地元を離れ子育てしており、このころご近所付き合いもほとんどありませんでした。ご近所の方は、子どもの激しい泣き声を聞いて、娘を心配して通報してくれたのだということは分かりますし、地域の方が子どものことを気にしてくださることに感謝をしています。ただ、娘がどんな子どもなのか、私がどんな子育てをしていてどんなことで悩んでいるのか、わが家がどんな家庭なのか…このとき心配してくださった方に伝える手段がなかったことが悲しく、少し苦い思い出として残っています。そして、誕生日が来る度に思い出します。この出来事のあと、私は地域の行事に親子で参加したり、地域の方と話す機会を意識してつくるようになりました。娘の激しい癇癪は私(母)に対してがほとんどですが、小学2年生くらいまで頻繫におきました。10歳になった娘は、今でもたまに怒りがコントロールできず「お母さん、ねえ、聞いて!」と言うお決まりのセリフで1時間怒っていることがあります。まさか10歳まで続くとは思っていなかったのですが、理不尽な会話で私がサンドバッグ状態になることはかなり少なくなりました。また怒りが落ち着いたタイミングで「怒る気持ちになると、自分でも言わない方がいいと思うことを言っちゃう」と話してくれるようにもなりました。娘が怒りの気持ちとこれからうまく付き合って行けるように親子でできることをしていきたいなと思っています。エピソード参考/カワカワイラスト/taeko(監修:三木先生)これはとてもつらい経験でしたね。しかし、そんな経験のあとに自分から地域に出ていくという行動を取られたことは驚きと称賛に値すると思います。そういったご苦労のおかげで、いま娘さんはだいぶ落ち着けるようになったんでしょうね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「自傷」「学習」「不登校」のお悩みも追加募集!癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開致します!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年04月25日先生のお話から検査へ児童精神科を受診し、先生との問診で、今までの次女の経過と現状をお話しました。Upload By まりまりUpload By まりまりその経過と現状から、先生から「次女さんですが、今までのお話から、たぶん場面緘黙といって良いと思います」とのことでした。ただ、続けて「場面緘黙の裏に隠れて発達障害などが潜んでいる場合があるので、そういったものをはっきりさせてからですね」とのことで、いくつか検査を実施することになりました。もともと場面緘黙の本などで読んだりして、その可能性も考えていたので、検査に関しては私としては「ぜひやってほしい!」という気持ちでいました。そして、先生と相談の上、本人には田中ビネー知能検査Ⅴ、バウムテストを実施し、さらに保護者が答えるかたちのPARS-TRを実施することになりました。次女と検査についての話をするUpload By まりまり学校では、話す以外の日常生活はなんとかできていましたが、不慣れな環境では緊張しすぎると固まってしまうことがあります。なので、これから取り組む検査に関して、なるべく不安を軽減できるように事前に説明することにしました。検査の目的については、次女の得意なことと不得意なことを知って、これからの生活に役立てていくこととして説明。バウムテストに関しては、絵を描くことが得意で自信のある次女なので、たぶんなんとかなりそう。ただ、田中ビネー知能検査Ⅴはかなりハードルが高そう…。Upload By まりまりなので、田中ビネー知能検査Ⅴに関しては、ネットで事前に検査で使うグッズの画像を見せて、なんとなくどんなことをするか伝えたり、テストじゃないしできてもできなくても全く問題ないことを伝えたりして、少しでも安心して取り組めるように話をしました。が、次女の反応としては「どんなことやるの」「どんな質問があるの」「間違ったらどうするの」と不安そうな様子は拭えませんでした。まずはバウムテスト検査をする心理の先生と慣れるように、というのもあって、まずバウムテストを実施。これは、問題なくできました!先生からの絵に関しての質問にも、小さい声ですが何とか答えられました。この調子なら、田中ビネー知能検査Ⅴもいけるのでは…と少し期待感が。田中ビネー知能検査Ⅴついに田中ビネー知能検査Ⅴへ。まず、言語性の課題から始まったのですが、声を出すのはもちろん、どれかを選んだり、指差ししたりも、固まってしまって難しい状況でした…。心理の先生が、言葉のいらない道具を使った課題もやってくれたのですが、簡単なものでも全く手が出せませんでした…。Upload By まりまりUpload By まりまり結局、何もできずに検査は中止となったのでした。もしかしたらできるかも!と少し期待していましたが、慣れない先生に慣れない場所で試されるような検査。事前に説明したものの不安感は拭えず、まあ、できなくてもしょうがない…とそこは割り切ることにしました。結果…知能検査は全くできず、結果も出ませんでした。ただ、保護者が答えるかたちのPARS-TRを実施して、その他の総合的な判断から、次女の場合は、発達障害はたぶんなく、場面緘黙との診断となったのでした。こうして、場面緘黙の診断がおりて、正直、ホッとした気持ちが大きかったです。それまで、次女自身が困っていることが多くても、話せずコミュニケーションがとれないことで問題が表面化しないことがほとんどで、「問題なく過ごせています」と担任の先生に言われてしまっていました。なので、診断が出たことで、「支援が必要な子」ということを分かってもらいやすくなったのではないかと思いました。執筆/まりまり(監修:三木先生より)お子さんにとって、検査の場面は緊張しますよね。初対面の人の前で課題に取り組むことは、相当にハードルが高いことです。ご本人や親御さんが「失敗した」という気持ちにならないように我々専門家も気をつける一方で、「どこまでできたか」「どんな様子でできなかったか」という様子が見立ての参考になることも多いです。明らかに無理な検査を強いる必要はないですが、チャレンジしてみると良いこともあるかもしれません。
2022年04月25日ダウン症がある子どもへの接し方Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン家での接し方のコツダウン症がある子どもも反抗期を迎えます。最初の反抗期である、「魔の2歳児」と呼ばれる時期は、自分の思いを伝えるための言語能力が発達していない事から起こると言われています。ダウン症がある子どもは発達が定型発達の子どもにくらべて緩やかなため、3歳ごろから始まり、長く続くケースが多いようです。言葉で説明し、じっくり付き合ってあげるといいでしょう。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)こだわりが強く、頑固な面もありますが、それを否定するようなことは控えましょう。決まった場所で決まった服を着る、決まった場所に決まったおもちゃをしまう。大人からすると些細なことかもしれませんが、ルーティンな行動やきまりは見通しが持てたり、安心感を得られたりする面もあり、本人にとって大切なことかもしれません。ダウン症のある子どもも一人ひとり、個性があり、性格も異なります。症状に応じた対応方法はあるものの、基本的には子どもによって育て方は異なるでしょう。筋緊張低下を示す傾向があったり、心臓の持病を併発していれば、通常の運動は難しいかもしれませんが、持病がなく、知的障害が軽度であれば日常生活における制限も少ないでしょう。不得意だったりできないこともありますが、好きなことや得意なことを伸ばせるようにしてあげましょう。学校、学び事のコツ勉強によって得た知識や技術が、短編的になりやすい傾向があります。せっかく覚えたことも、実際の生活上で応用することが難しく、また、抽象的な説明を理解する事が難しいため、実生活での体験を伴う具体的な学習が必要になります。日常生活のなかで、さまざまな経験ができる機会を設け、学べるよう工夫することも大切です。各教科を並列的に学習するよりも、子どもの心身の発達段階や障害の程度によって学習内容を決めることも大切です。また、子どもの実際の生活に役立つ知識や技術、それらを有用に活用する力を身に着けられるようにすることは、将来の生活の質の担保のためにも大切でしょう。金銭感覚をつけたり、自己管理ができるなど、社会的自立に必要な基礎力を身に着ける学習をするのもよいとされています。ダウン症のある子どもは筋緊張が低下していることが多く、姿勢が崩れやすいため、学校や家庭での椅子の座り方にも注意が必要です。足底全体が床にきちんとついていて足首が90度に曲がっていること。そして腰が椅子のうしろについた状態で膝が椅子の端に接した状態で90度に曲がっていること。さらに腕を机の上に出したときに肘が90度に曲がっていることなどが目安になります。その子の足の長さに合った椅子を選ぶことが大切です。友人関係のコツ知的な遅れがある子どもがつまずくのは、小学4年生から5年生ごろが多いようです。重度の知的障害がある場合は、小学校入学時から特別支援学級や特別支援学校に通わせるケースが多いですが、軽度であれば通常学級に在籍するケースもあります。しかし、徐々に通常学級での授業についていくことが困難になっていくことも多いようです。そんなときに大切なのは、その子のことを理解してくれる友だちです。障害の有無にかかわらず、その子自身の気持ちや特性を理解してくれる友人をつくることが大切です。同じ環境の友達をつくる最初のきっかけにもなるのが療育です。支援者に相談することで、どう育てたらいいか、どのような環境設定や学習への支援が必要かなどを知る機会にもなります。ダウン症のある子どもは周囲の人の気持ちを汲み、感受性豊かだといわれています。保護者がイライラしていたり、ストレスを感じているとそれを感じて不安になってしまう子どももいます。保護者自身が息が詰まらないよう、自分一人だけの時間を持つようにしたり、同じ環境の友達をつくることも大切です。療育施設は同じ環境の保護者が利用しています。自分自身のコミュニケーションの時間としても活用してみてはいかがでしょう。できたよ(がんばり)カードの利用ここで述べてきた、家での接し方・学校での生活や学び方・友人関係などでお子さんが頑張ってできたら、「できたよ(がんばり)カード」をつくり、そのポイントがたまったら好きなところへ連れて行ってあげるようなご褒美をあげても良いかもしれません。まとめダウン症のある人や子ども、それぞれに性格や性質がさまざまなことはもちろん、生活の様子もさまざまです。子どもの得意なこと、苦手なことなどを知り、悩んだときや情報が欲しいときなどは医療機関や児童相談所、地域の親の会などに相談し、ご家族だけで悩まないことが大切です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年04月24日いくつか目立ちやすい常同行動があったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある子どもは常同行動を行うことがあるそうですが、コウの場合は「ピョンピョン跳ねる」「ぐるぐる回る」「腕や肩を洋服から出し入れする」が特に目立っていました。コウのそれらの行動は、大体小学4年生ごろまで続いていました。クラスの中でも背の高いコウがピョンピョン跳ねると遠目に見ても目立つため、学年が大きくなるほど周囲の人から『どうしたんだろう?』という視線を感じることも増えてきました。※常同行動…手をひらひらさせる・体を揺らす・ぐるぐる回る・同じところをうろうろするなど、一見無目的に同じ動きを繰り返す行動。ピョンピョン跳ねるコウの思い出あるとき、コウとスーパーで買い物していると、コウは移動しながらピョンピョンと跳ね始めました。人や商品棚とぶつからないように声をかけたり気を引いたりしながら買い物を続け、何とかレジへ。レジでお会計をする間も跳ねてる彼を見た店員さんが、やや戸惑いつつも「ボク、元気だね~」と声をかけてくれました。でもコウは店員さんの存在など意識にない様子でニコニコしながら跳ね続けたので、微妙な空気が流れました。Upload By 丸山さとここのときに限らず、跳ねているときのコウはいつも「一人の世界に入っている」感じでした。私以外の人とは会話が成立しないことも多く、私が話しかける場合も返事は返ってくるもののどこか上の空といった雰囲気でした。コウが跳ねるシチュエーションを観察していると、ヒマなとき・不安なとき・うれしいときが主なようでした。ピョンピョンと跳ねるコウに「どうして跳ねるの?」と聞くと「わかんなーい」「なんとなくー」との答えだったので、当時は漠然と『単調な刺激の繰り返しが落ち着くのかな?』と思っていました。Upload By 丸山さとこ以前の常同行動を現在のコウと振り返ると…現在中学生のコウは、私の知る限りでは目立った常同行動は現れていません。ペンまわしや消しゴムを転がすなどの「目立たない」行動に置き換わっていった印象です。なぜピョンピョン跳ねていたのか改めて今のコウに聞いてみても、「分からない」「なんとなくだな~」とのことで理由は迷宮入り。なので、勝手に『多かれ少なかれ人間は一定のリズムの刺激が好きだからなのかもしれないな』と思っている現在の私です。Upload By 丸山さとこ赤ちゃんが退屈だったり眠かったり不安だったりしてむずかるとき、優しくトントンしたり揺すったりすると落ち着きます。大人も落ち着くために指や足先でリズムをとったり揺り椅子やハンモックで揺れたりすることを考えると、コウの常同行動も同じようなものなのだったのかもしれません。Upload By 丸山さとこ本当のところは分からないけれど、あれらの行動がコウにとって落ち着くことであったのなら、あのころのコウにその手段があってよかったなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)神経発達症(発達障害)がある人がジャンプしたり、グルグル回ったりするのは自己刺激で行っている場合が多くあります。多動症の一種として考え、ADHDの治療をすることで頻度を減らすこともできると考えています。皮膚を搔くといった常同行動は、てんかんの可能性もあるのでかかりつけ医か小児科の神経専門医に一度相談する必要があります。以前、成人期の自閉スペクトラム症がある方から、手をひらひらさせる常同運動をすることで話のタイミングをとっていると伺ったこともあります。こうした常同行動を、無理に止める必要はありません。感覚統合訓練ではトランポリンを使って重力不安を軽減する工夫をしています。その場でジャンプしていると不思議がられますが、トランポリンをさせれば不思議がられることはないでしょう。重力不安のあるお子さんはつま先歩きも特徴の一つです。そういうお子さんもトランポリンをさせることでかかとをしっかりついて重力不安を軽減できると思われます。
2022年04月23日東京都の特別支援教室の制度が変更に?ASDのあるミミは4月から小学3年生。1年生のころから東京都内の小学校の特別支援教室に通っています。その特別支援教室ですが、来年度から在籍できる期間が1年間に…?延長できれば、最長2年間通えるらしい…。年始に制度変更のお知らせが来てびっくり!在学中はずっと特別支援教室に通えると思っていたので少し不安になってきました。Upload By taeko特別支援教室の先生との面談で、新年度のことを聞きました。来年度からは、特別支援教室に在籍できるのは基本的に1年になり、面談などを経て1回延長ができ、最長2年間は通えるという制度に変わったそう。ミミは長くても小学校の4年生まで。6歳のころ通っていたクリニックの先生には「特別支援教室は通えるだけずっと行ったほうが良い」と言われていたので今回の制度変更で私はちょっと不安になりました。ガイドライン変更のチラシをよく読んでも分からないので、東京都に電話をしました。すると、最大2年通えたとして、その次はゼロベースで見直し、通常学級で支援員をつけてもらう、福祉につなげる(放課後等デイサービス)、特別支援学級なのかなど、総合的に判断するとのこと。せめて最長2年は特別支援教室にミミを通わせたいなと思ったので、ミミのASDの診断書を書いてくれた小児科医の先生の診察を予約をしました。予約は半年後。そこで特別支援教室を延長したほうが良いかどうか、意見を先生に伺いたいと思っています。Upload By taekoミミに特別支援教室を続けてほしいのは、年末年始ごろから急に通級に行くのを嫌がるようになった、ということもある。2年生前半は楽しそうに行っていたので、続けたらまた楽しく通えるのではないかと…。特別支援教室に通うこと、本人はどう思ってる?2年生の後半ぐらいから、特別支援教室の日が近づき、私が「明日、特別支援教室だね」と言うと、ミミは「ないよ」と言うようになった。それに前までは特別支援教室の翌日以降に、先生が活動内容を書いてくれる連絡ノートを持って帰って来ていたけれど、最近は持ってこない。声をかけても持ってこない。先生に連絡ノートを渡していないようで、臨時のファイルを持ってくることが何度もあった。特別支援教室のどんなところが嫌なのか聞くと、集団のとき、ほかの子にミミに対してうるさい、と言わわれたから、と言うミミ。私は「そっか、嫌なことを言われて悲しかったね」となだめました。ミミは声が大きくて、話が途切れないので言われたのかも…。別の日は「特別支援教室の日は疲れるから、学童休みたい」とミミが言ってきました。その日は学童は休ませました。Upload By taeko最近のミミの様子を考えたら、特別支援教室に無理に通わせなくても良いかも、と思うようになってきた。もし特別支援教室が延長出来なくても民間の放課後等デイサービスに通っているから(今のところ一対一で、本人も楽しんでいる)、心配する必要はないのかもしれないな、とも思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)特別支援教室をめぐる母の思い、よく伝わってきました。東京都の方針転換については、東京都の考えも分からなくはないですし、また私個人としても思うところがあります。過渡期である今はまさにどう捉えてゆけばよいか難しいと感じているところです。そもそも、一律にこう、と決められるものなのかどうなのかも難しいなと感じています。さて、ただ、そうした方針転換によるショックもありつつも、ミミくんの特別支援教室を嫌がることに関してはそれはそれとして落ち着いていくつかの視点で見てみることが必要かなとは感じました。まず1つ目は、本人の成長という点。特別なところでクラスの子から離れて別の活動をすることについて、本人が成長することで違和感を持つ(「どうして自分だけ?」など)というのはよくあることです。行けば楽しく活動できるけれど、なんとなく漠然とセッティング自体を嫌だなと感じるようになると、特別支援教室での活動中の嫌なことがとても嫌に感じることもあると思います。そのあたり、ミミくんはどうでしょうか。2つ目は、特別支援教室での支援目標やそのための実際の活動が本人に合っているか(あるいは、本人と目標が共有されているか)、また毎回の活動後にその活動で何を学んだか身につけたのか、自分で体感として伝わっているか、そのあたりの点です。同じ時間にグループで指導を受けるお子さんとの課題のレベル感が合っているか、活動目標が本人にとってニーズや関心のあるところになっているか、そのあたりを見直す時期なのかもしれません。毎回の振り返りも、楽しかった、難しかったといったこと以上に、何を学んだ(学ぼうとした)のか、子が理解できる言葉で伝えてくださっているといいなぁと思います。そのあたり、特別支援教室の先生方はすでにされていると思いますが、成長の著しい時期でもあります。家庭での反応を伝えつつ、担当の先生と面談できるといいですね。そういう意味で、3つ目は、特別支援教室という場でできることがミミくんにとって学びの場として機能しているか、そのあたりを見直してみる。教室での学習の内容に興味関心の強いお子さんだと学年が上がると学習内容も難しくなる分、授業が楽しいと感じるタイプのお子さんもいます。もしそうだとしたら、ソーシャルスキルや感情コントロールについては放課後や休みの日にできるほうがいい可能性もあります。好きな授業を抜けてまで、苦手なグループワークをやりたくないといった気持ちもあるでしょうし、それは自然なことに思います(とはいえ、放課後や休日に苦手なことやトレーニングをやることの体力的・心理的負担をどう見積もるかもこれまた難しいところですね…)。特別支援教室を利用できるだけで保護者の方からしたら安心の1つになりますね。ただ、どんな良いものであったとしても、本人の成長発達や課題と合うかどうか、本人の困り感をターゲットとした活動が提供できているかなどによって、どう機能するかは変わってくるものでもあります。ぜひ今回のことをきっかけに関係する先生方といろいろお話してみていただければと思います。
2022年04月22日普通の赤ちゃんだったのに…歩かない息子と発達の遅れ私の息子は、知的障害を伴う自閉スペクトラム症(ASD)があります。知的障害があるといっても程度はさまざまですが、息子はその中でも「重度知的障害」にあたります。Upload By べっこうあめアマミUpload By べっこうあめアマミ息子は生まれる前も、生まれたときも、生まれたあと1年くらいも、何の異常もないごくごく普通の赤ちゃんでした。「あれ?」と思ったのは1歳のころ。首すわり、寝返り、ずりばい、ハイハイと、問題なく身体発達を遂げてきた息子が、「歩く」という段階で、初めてのつまずきを見せました。息子がはじめて1人歩きをしたのは1歳8ヶ月。一般的な発達段階から考えると、遅めです。当時の息子はどちらかというと、「歩けない」というよりも「歩かない」ように見えました。伝い歩きはできていたのですが、体を支えるというよりは、何かに触っていないと不安を感じていたようです。そのため、最後のほうは、てすりや壁に触れる程度の伝い歩きでした。何事にも慎重な息子なので、歩くことが怖かったのかな?と思いましたが、今思えばこれはある種の「こだわり」だったのかもしれません。歩き出すのが遅いというと、一見「身体発達」の面に遅れがあるように思えます。でも実は、息子の場合は精神発達の遅れのほうが深刻だったのです。人への興味が薄い息子、私の育て方のせい?Upload By べっこうあめアマミ当時は「歩かない」ことが息子の発達における最も重大な問題に思えました。ですが問題なのは精神的な発達の遅れのほうだったと、今なら思います。というのも、今の息子はむしろ同年代の定型発達のお子さんより歩くんじゃなかろうか、というくらいよく歩く子ですが、指さしは7歳になった今もできません。人の真似などもほとんどしません。突然突きつけられた発達の遅れに、私の育て方が悪かったのかと何度も自分を責めました。Upload By べっこうあめアマミこれまでずっと「育てやすい赤ちゃん」だと周りから言われ、自分でもそう思って育ててきたので、息子に対して「障害」という言葉はなかなかピンとこなかったのです。苦しんでいる親御さんに寄り添いたいしかし、そんな息子も4歳のときに正式に知的障害と自閉スペクトラム症の診断がおり、この4月に特別支援学校の2年生になりました。息子が3歳のときには娘も生まれ、いろいろな問題を乗り越えながら、家族4人、楽しく暮らしています。子どもに発達の遅れがある、障害があるかもしれないと思うと、親の心は大きなストレスに押しつぶされそうになるでしょう。でも、そんな時期を乗り越え、「なんとかなる!」と前を向いた私たち家族のお話が、今まさに悩んでいたり、苦しんでいる親御さんの心に少しでも寄り添えたらいいなと思っています。Upload By べっこうあめアマミ執筆/べっこうあめアマミ(監修:井上先生より)ここまでの子育て振り返ると、お子さんの発達の遅れに気づかれ悩まれた時期、妹さんが生まれ2人の子育てに大変だった時期、そして就学の時期を乗り越えられ、今は妹さんも少しずつ手がかからなくなってきているころかもしれません。いろいろなことがあり、さまざまな体験をされ、本当によく頑張られたと思います。お子さんの障害の種類や程度は異なっていても、先輩の親御さんの体験は幼児期のお子さんをもつ親御さんの心の支えになると思います。これからの連載を楽しみにしています。
2022年04月21日親がしてあげたいことと、子どもが求める距離感は違うかも?自閉スペクトラム症と知的障害のある息子ほぺろうは この4月から特別支援学校の1年生!ですが感情のコントロールはまだまだ難しく発語もないので、気持ちを表現できずにイライラしている様子です。ほぺろうが怒っているときは『抱っこ拒否・共感拒否』なので私は触らず喋らず、ただ癇癪につき合わされるだけという日々。せめて気持ちを切り替える為に こちらから働きかけることができたら…と悩んでいます。Upload By ぼさ子三木先生:大人も機嫌が悪いとき、かまって欲しい人、放っておいて欲しい人とかいろいろいますよね。ほぺろう君は放っておいてほしい感じですか?ぼさ子(以降ーー): いや、触らせてくれないくせにつき合ってほしいタイプみたいです。三木先生:なるほど。おそらく、積極的には介入して欲しくないけど側で「うん、うん、」って言ってほしい感じですかね。ホント距離感って人それぞれなので、ほぺろう君の場合は近所の子くらいの距離感を求めているのかも。側に居てほしいけど抱きしめるのはチョット…みたいな。ーーまさにそんな感じです!三木先生:でも親としては近所の子の距離感を求められると切ないっていうのがあるじゃないですか。親なんだからなにかしてあげたいって。自分が思う親の役割を 自分は果たせてないと凹んでしまう親御さんは結構います。だから親側がその気持ちをどう飲み込むかっていうところも考えてた方がいいかもしれないですね。ぼさ子さんはどうですか?そういうのつらいかな?ーーいや、今はあんまり気にしてないです。ただ、癇癪が長引くとほぺろう本人がつらいかなって思っちゃいますね。三木先生:そうですね。でも本人にもどうしようもないって部分はあると思うので、こちら側が子どもの距離感を尊重してあげるのがいいですね。そういう意味では、ぼさ子さんは割り切って接してあげることができていると思います。ーーメンタルによってはできていないですけどね(照)Upload By ぼさ子気持ちの切り替えルートは大きく二つ三木先生:気持ちが切り替わる方法って大きく2つありまして、1.本人の気が済む2.周りの刺激に引っ張られるですね。Upload By ぼさ子1は内側のことなので外部が介入するのは難しいですが、2は本人が刺激を受け入れられる準備ができているかによります。本当にどうしようもないときは待つしかないけど、ピリピリの水準がどれくらい下がったときにどんな刺激を受け入れてくれるか、経験を積み重ねて模索することですね。例えば、子どもがすごく怒っていたとしても「遊園地行こう!」みたいな強烈な報酬があると その刺激に引っ張られて機嫌が直るけど、いつもそういうワケにいかないじゃないですか。親側のコストが少なくて済むように、先入観なしで試行錯誤でいろいろ試してみるといいですね。そうやって経験を積み重ねていくと「今ならこうかな?」っていうのが見つかっていくと思います。あとは、切り替えの刺激になりそうなもののバリエーションを増やすことです。これも先入観なしにいろいろ試してほしいんですけど、大人が興味ないようなことで子どもがすごく喜ぶなんてことあるじゃないですか。例えば小さい子だと、プレゼント放り出して包装紙で遊んじゃうみたいな。ーー確かに子どもってそういうところありますね!三木先生:子どもって大人の価値観で判断しきれないところがあるので、本当にヤケクソでもいいのでやってもみてほしい。マンネリすると刺激が弱くなってしまうので、新しい方法を編み出していくと効果が高いと思います。Upload By ぼさ子おやつ・絵本・ふとんから読み取る、切り替えの『性質』ーーちなみに、今ほぺろうの三大切り替え方法は『おやつ・絵本・ふとんにくるまる』なんです。おやつを食べてお腹いっぱいになったら落ち着く、好きな絵本をじっくり読んでもらうと落ち着く、自分がふとんにくるまっているのを母に横から眺めてもらうと落ち着く…という感じで。三木先生:なるほどね!実はそれ面白いバリエーションがあることが分かるんです。おやつは、食べる行為そのものよりも、食べることで体の状態が変わるってところがポイントなんです。そこを拡張していくと『体の状態変わる』という性質のものを見つけていくといいですね。絵本は、『周りの刺激に引っ張られる』の要素だと思うんですけど、安心できる空気を浴びることによってピリピリ水準を下げる事を間接的に実現してるんだと思います。ふとんもそうで、くるまってる安心感とか圧迫感が好きで、体の状態も変わってくるしピリピリも下がってくるっていうのをゆっくり実現しているんですね。つまりは、そういう系統の刺激で落ち着きやすいという性質のものを探していって、いつもの方法が通じなかったとき、同じ意味を持つ別の方法を見つけておくといいでしょう。Upload By ぼさ子三木先生:あと、ただ見守ることが大切だったりします。親として何かしなければ!と不安にかられる人は多くて、何かしようとして余計悪化しちゃうことはよくあります。ーー案外、何もしないことが正解ってときもあるかもしれませんね。私は、癇癪を抑えるには「絵カード」というイメージがあったんですけど、ほぺろうは絵カードをあまり受けつけてくれなくて…。でも これまでのお話を聞くと、絵カードにこだわらなくてもいいと思えて安心しました。三木先生:方法は目的じゃないんで、目的が達成できるんだったら何でもいいんです。一般的な自閉スペクトラム症のあるお子さんの多数派に当てはまるものはあるけど、その子の特徴だったり、シチュエーションやタイミングによっては使えないものだってあります。Upload By ぼさ子当てはまらないときは「やり方が間違ってる」可能性も振り返ってみる三木先生:ただ、試してもあまりにはまらないときは「やり方が間違ってる」という可能性も頭に置いた方がいいですね。僕もよく反省するんですけど、例えば薬を出しても効かなかったとき「薬が効かなかったのか?僕が効くと思ってた見立てがズレてたのか?」っていうのはいつも振り返るようにしてて、どうしても合わないときは「意味を取り違えてないか?」と考え直したりしています。考え直しても合わないときは「この子には合わない」という結論になったりしますね。ーーやっぱり経験を重ねる事が大事ということですか?三木先生:一般論という近道もありますが、必ずそれが当てはまるというものではないので、やはりウチの子の場合という方法を探すといいですね。感想(みんなと同じじゃなくて大丈夫!!)ーー自閉スペクトラム症のある子どもだからって『全員同じ』というワケじゃないって思っていいんですね。実は、「発達障害のある子どもだったら 普通こうすればできるようにならない?」という意見をもらうことがたまにあって、ほぺろうはほかの発達障害のある子どもができることをできないのかと落ち込むことがあります…。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:自閉スペクトラム症のあるお子さんも人それぞれ。あくまでウチの子の場合で考えましょう。気にしなくて大丈夫!!ーーそうですよね!ありがとうございました!執筆/ぼさ子
2022年04月20日どの中学校が合っている?ADHD次男の中学校選びUpload By スガカズADHDとLD(書字障害)のある次男は4月から小学6年生。療育センターで、中学校進学に向けて学校での合理的配慮に備えるためにST(言語療法士)のところに通い始めるなど、少しずつ準備を進めています。中学校生活を送る上で、生活習慣や対人関係、勉強で数々の困難が待ち受けていることでしょう。子どもの中学校選びで親として何を一番大事にしたいのか、本人の意思を考慮すべきか…私自身まさに悩んでいる最中です。Upload By スガカズ次男は仲の良い友達がたくさん通う予定のA中学校を希望しているのですが、良い噂も悪い噂もあります。特に、対人関係のトラブルに関する噂が気になり、「A中学校を選ぶことは次男にとって本当に良いのだろうか?」とどうしても感じてしまいます。仲の良い友達がA中学校より少なくても、落ち着いた雰囲気の、特別支援学級の拠点校であるB中学校が良いのではと思っています。それには、親である私自身が中学校時代に苦い経験をしたからです。母の経験。対人関係でのトラブルに悩み、不登校だった中1Upload By スガカズ私自身、学校生活の中で一番つらいと思った時期は中学1年生のときでした。当時私が住んでいた地域は選択制ではなく、基本的には進学する中学校が決められていました。通っていた小学校の同級生はほとんどがその中学校に進学しました。私には小学校のころから、折り合いの良くない女の子(Aさん)がいました。小6のとき、Aさんの私への態度と、ほかの子への態度に差を感じていたので、共通の友達に相談したことがあります。共通の友達は、善意からAさんにその内容を伝えたようで、後日Aさんは私に直接「気のせいだ」と言いました。「そうなんだ。勘違いしてごめんね」と私は返答しました。小学校のとき、Aさんとは別々のクラスだったので、その一件のあと卒業まで特に何もなかったのですが、中学1年生になって、Aさんと私は同じクラスになりました。加えて私は、小学校時代の仲の良い友達とは同じクラスにはなれませんでした。Upload By スガカズ小6のとき、私がAさんのことを友達に相談したことについて、Aさんはきっと腹を立てただろうと思っていました。中学1年生で同じクラスになりましたが、Aさんとは少しぎこちない空気になっていました。そのうちに、クラスで私への陰口が始まりました。中学時代クラスの女の子たちは、よく一緒に行動する子同士でグループのようになっていました。Aさんは、そのグループの子たちに私のことを悪く言いだしたようで、それを聞いていたほかの2つのグループからも無視をされてしまいました。そんな状況から、私は自分からクラスの女子に話しかける勇気が出ず、だんだんと孤立していきました。ある日席替えがあり、Aさんのグループの子が、私の前に決まった子に対して「あの子(私)の前になっちゃったんだ。かわいそう〜」と、笑いながら話していました。言った子は、ふざけて言ったのかも知れませんが、近くで聞こえるように話していたことが本当にショックで、「そうか、私の近くにいる子はかわいそうなんだ。」と理解し、その場に存在することがとてつもなく惨めで、その日以降学校に行かないようになりました。両親や友達に相談する勇気がなかった当時の気もちUpload By スガカズ両親は私が中学1年の約一年間、不登校だったことを実は知りません。私は7つ上に兄がいて、重度の自閉スペクトラム症と知的障害があります。母は障害のある兄のサポートが大変ですし、父も仕事が忙しい時期だったので、自分から余計な心配をかけたくなかったですし、何よりも「クラスメイトからいじわるをされている」という事実を伝えたくありませんでした。家族の前では、今まで通りの自分でいたかったのです。また、友達にも先生にも相談できませんでした。もし間違って小学校のときのように、Aさんの耳に情報が届いたとしたら、ますます自分にとってつらい学校生活になってしまうのでは?といった不安があったからです。そのため私は、毎日登校したフリをして、1時間ほど近所で時間をつぶし、家族が外出するとこっそり家に帰るといった日々を送っていました。幸いにもAさんとは中2、中3は別々のクラスになり、新しいクラスには仲の良い友達がいたので、また学校に通えるようになりました。それでも、中1のころの心の傷が残ったままで、月に2~3日ほど、反動がきて学校に行くのがつらくて休む日もありました。今思えば不登校は短い期間だったわけですが、渦中にいた当時は、一日一日が苦痛で、自分がこの世にいてはいけない存在に思えました。私は人と争うことが苦手なタイプなので、大勢がいる教室で言い返すこともできません。もし3年間同じような状況が続いていたらどうなっていたのだろうと想像すると、ゾッとします。子どもには同じ経験はしてほしくない。でも…Upload By スガカズこういった私自身の中学校での経験から、子どもには、自分と同じような経験をさせたくないと強く思っています。それにはまず「自分の居場所がある」ということが大切です。その「自分の居場所」とは、先生と生徒の距離感であったり、通う生徒の属性、人数、教育方針など、さまざまな条件があると思っています。現在次男が通っている小学校では、いろいろありましたが、結果的に次男に合った環境だと感じています。次男が低学年、中学年のころ友達とケンカになってしまったとしたとしても、仲裁にはいってくれる先生や友達がいたりしました。そのお陰で、高学年になってからは、次男がほかの子たちのトラブルの仲裁に入ったり、友達に寄り添う姿も見られるようになりました。そんな次男には、「YES、NOを伝える」「人にやさしくする」力があると思っています。一方で、「自分の行動の理由を相手に説明する」ことに不得意があると感じます。次男は今、小学校で「自分の居場所」を持つことができています。中学進学が近づいてきていますが、私が子どもの中学校選びで一番大事にしたいことは、「自分の居場所がある」ということです。勉強は二の次で、少しでも安心して中学校に通えることを望みます。A中学校よりもB中学校の方が、今通っている小学校の雰囲気に似ています。であれば、B中学校の方が、今までどおり次男が自分の居場所を確保できるのでは?と思っています。一方で、次男自身が今希望しているA中学校の場合は、通っている小学校の雰囲気とは違いますが、次男と仲の良い友達が多く進学するので、自分の居場所の確保ができることもあるのではないか?とも思います。安心できる「居場所」という枠組みは、思春期の子どもが大勢いる環境では、とても不安定であるとも思います。前年度がそのときの子どもにとってよい条件だとしても、次年度は同じとは限りません。私のように、人(友達)に相談しても解決せず、居場所が小さくなってしまうことは大いにあると思います。次男の進学先に関して、まだ2つの中学校の間で迷っている状態ですが、本人の意向も理解した上で納得してもらえないと「あのときA中学校に通いたいと言っていたのに」と次男の中で不満がでてきてしまうでしょう。本人と保護者、双方が折り合いをつけられるように、慎重に見極めていきたいと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)スガカズさん自身が中学時代につらい体験をされたことから、息子さんの中学校選びに対して友人関係、学校の雰囲気などさまざまなことを考えて迷っておられることと思います。一方で息子さんと、スガカズさんが子どもだったころというのは、特別支援教室や自治体の配慮、システムなども変わってきている部分もあります。また、お母さんとお子さんは似ているところもあれば、違うところもあるのだと思います。安心できる居場所をキープするには困ったときに相談しやすい環境が大切です。これから思春期になり、学校でのことや友人関係のことを親に相談しにくくなる年齢になると思いますが、困ったときに自分から先生などに相談しやすい雰囲気のところがあるとよいですね。今回息子さんとお互いに本音で話し合うことをきっかけに、さまざまなことを話せる関係になっていくことを願っています。
2022年04月19日自信をなくしがちな時期を乗り越えるには……?こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは、思春期の子どもを始めとして、落ち込んでいるときに自分で自分を応援する、リフレーミングの視点をお伝えしたいと思います。子育ての上では「ほめることが大事」「子どもの自己肯定感を高めましょう」とよく言われますが、だんだんと成長に伴って周りが見えてきたり、大人や社会に対しての批判や疑問を感じる目が育ってくると、親のほめ言葉を素直に受け取れないことも多くなるでしょう。また思春期は、体の急激な成長に伴ってホルモンバランスが崩れたり、成績や進学・就職、恋愛や複雑な友達関係などで思い悩んだり、自分に否定的になったり、周りと比べて劣等感を感じたり…など、成長の上での課題に直面し、身体的・精神的に不安定になりやすい時期でもあります。加えて現在は、新型コロナウイルスや刻々と変化する世界情勢などで先行きが不透明な中、客観的に物事を見て視野を広げる経験が減ったり、ネットなどで少数の極端で否定的な言葉や、不安感を強めるネガティブな情報が、簡単に目に入りやすい状況でもあるでしょう(こんな中では、大人ですら、自信や意欲をなくしやすいのではないでしょうか)。では、この自信を失いがちな多感な時期をなんとかやり過ごし、乗り越えるにはどうしたらいいでしょう。私は、それまでの子育てで、我が子の少しでもできてるところをほめ、一見できて当たり前のような頑張りを認め、失敗しても挑戦した意欲や努力の過程に注目し、短所や欠点は長所やいいところに変換し、自信につながるように意識して接してきました。ですから、子どもが大きくなってきた今度は、親がいてもいなくても、誰がほめてもほめなくても、同様に、「子ども自身が自分でリフレーミングし、自分を応援できたらいいのではないか」と考え、我が子が周りと自分を比較し始めたころより、以下のセルフ・チェックシートを自作し、いつも見えるところに貼っていました。Upload By 楽々かあさん実は、この自分への7つの問いかけは、私自身もつい、いろいろと気になってしまうほうなので、いつも頭の中で繰り返し、習慣のようにしていることでもあります。では、うちの子どもたちと同世代のお子さんに向けたメッセージとして、それぞれ詳しくお伝えしますね(大人の方にも、ご参考まで)。落ち込んだときに、自分で自分を応援する7つの問いかけ誰だって、落ち込んでいるときには、どうしてもネガティブな情報ばかりが目についてしまうもの。そんなときは、意識して自分自身の「いい情報」に目を向けるクセをつけるといいでしょう。たとえ誰もほめてくれない時でも、以下の「自分への7つの問いかけ」などで、自分で自分のできてること、頑張っていること、いいところに気づいて、ちゃんと認めて、自分を応援してあげてくださいね。誰にでも、得意なことと苦手なことがあります。周りの人みんながいとも簡単にできているように思えることでも、それがとても苦手なことである人にとっては、ただ「みんなと同じように」「人並み程度に」するだけでも、密かにものすごく努力することが必要な場合だってあるでしょう。もしかしたら、「〇才なら、これくらい"できて当たり前"」とか、「なんでこんなこともできないんだ」なんて言葉に傷ついたり、そんな風に自分で自分を責めている人もいるかもしれませんね。でも、苦手なことはうまくできないほうが当たり前なんです。そして、あなたがそれを人一倍努力しながらやっていることは、たとえ誰も気づいてくれなくても、あなた自身が一番よく知っているハズです。こんなときは、ギリギリ最低限ラインでもいいから、自分なりに努力できたのなら、自分に「よく頑張ったね」と、心の中で拍手してあげませんか。定期テストや部活動などで、自分では頑張ったつもりなのに、結果につながらなくて失敗すれば、落ち込んでしまうのは当然です。でも、全てを「0か、100か」で判断せずに、「本当にそれは”全部”失敗だったのか」を、よーく思い出して、物事をトータルで客観的に見直してみると、どうでしょうか?例えば、「最後の最後でうまくいかなかったけれど、途中まではできていたこと」や、「間違いではあったけれども、ここまではできている、わかっていること」や、「全体的には残念だったけれども、ここだけはうまくいっている部分」、そして「結果につながらなくても、努力の過程で得られたこと」だって、結構見つけられるのではないでしょうか。自分で「できた」のハードルを下げてあげると、その失敗は本当の失敗ではなくなるかもしれませんし、あなたにしか気づけない、次の挑戦へのヒントや発見だって見つけられるのではないでしょうか。自分の個性や、周りとの違いについて、思い悩むこともあるでしょう。「もうちょっと、自分も〜だったら良かったのに」とか、「〇〇さんみたいにできたら、毎日楽しいだろうなあ」とか、「なんで自分は、みんなと違うんだろう」とか……(私もそう思っていましたよ)。でも、一見その人の"短所や欠点"に思えることも、"長所やいいところ"とセットになっていることは、本当に多いんですよ。例えば、「空気が読めない」→「自己主張できる」「落ち着きがない」→「行動力がある」「飽きっぽい」→「切り替えが早い」……というように、逆に言うことだってできるんです。もしかしたら、自分では気になる短所や欠点も、どこかの誰かの目からは、あなたの長所や魅力として映っているかもしれませんね。そして、世界中を探しても、短所だけの人、長所だけの人も、きっと一人もいないでしょう。完璧な人はいません。ちょっとくらい、凸凹しているほうが、人間らしくて、いいじゃないですか。毎日のルーティンとして、フツーに、何気なく続けていることって、結構ありますよね。例えば、「身支度をして学校に行く」とか、「宿題をこなす」とか……。小さなころは、ただ着替えただけでも「すごいね!」とか、宿題をやっただけでも「えらいね」なんて、親や先生にほめられたかもしれません。でも、いつの間にか、それが”フツーのこと”で、やって当たり前になっているので、それができたからと言って、もう誰もほめてはくれないけれども、そこに、あなたの小さな頑張りの積み重ねがあることは、今でも変わりありません。たとえ、些細な習慣や、誰もが毎日当たり前にこなしていることでも、続けることって本当は簡単じゃないですよね。その、見過ごされがちな”フツー”の小さな頑張りに、誰も気づいてくれないのならば、自分で気づいて「今日もオレ、よくやった」「毎日よく頑張ってるね、私」って、ちゃんと自分をほめてあげませんか。周りと比べて、"できない"と感じることが多かったり、クラスのみんなができることができなかったりすると、自分だけ置いていかれるような焦りを感じるかもしれませんね。特に思春期では、ほんの数ヶ月で身長が10センチ以上も伸びる子がいるように、誰もが心身の成長が著しい時期にありますし、学校ではテストの順位や偏差値などが数値化されてもいて、能力の優劣を比較しやすい環境でもあるでしょう。でも、例えば、身体測定の時の身長・体重の成長曲線が「平均」や「標準」の範囲に収まる人ばかりではないように、人の成長の仕方も、そのスピードも、物事が身につくタイミングも人それぞれです。そして、1人の人の中にも、成長が早い部分もあれば、ゆっくりな部分もあるので、むしろ、なんでもまんべんなく、平均的に成長する子のほうが本当は珍しいのかもしれません。でも、1年前の自分はどうでしたか?更に、5年前の自分はどうだったでしょうか?たとえ、人よりゆっくりでも、自分なりにちゃんと成長し、進歩している部分を、たくさん見つけられるハズです。「十人十色」「大器晩成」といった言葉もあります。比較は自分自身とすればいいんです。人の心が成長していく上で、親以外の誰かに認められる経験は、大切な栄養になります。例えば、SNSや動画投稿サイトなどで、多くの人に今の自分を見てもらえたり、自分の意見に共感が集まったりすると、嬉しいですよね。ただ、あなたに対する100の反応のうち、99の肯定的・好意的な声よりも、たった1つの否定的な声のほうが気になって、”みんな”に否定された気がして、自信や意欲をなくすことだって、あるかもしれません(私もよくあります)。あるいは、直接またはメッセージアプリのやりとりなどで、誰かに言われた言葉で傷つくこともあるでしょう。特に、自分の心の中で大きな位置を占めている相手や、「この人は自分のことを分かってくれている」と信じていた相手からだと、世の中の全ての人に否定されたような気持ちになることもあるでしょう。でもそれは、あくまでその「◯◯さん」個人の考えで、"みんな"ではないし、ただ「自分とは違う」というだけなのかもしれませんそして、世の中には、自分と全く同じ考えを持ち、同じものが好きで、同じように行動する人は、一人としていません。少し寂しく感じるかもしれませんが、最初から「違う」のが当たり前なのです。そんな時は、自分に否定的な相手も「〇〇さん」という1人の人として見て、「まあ、そう考える人もいるよね」と思いながら、あなたを応援してくれる人や、いい情報のほうに意識的に向き直ってみるといいでしょう(それでもうまく気持ちを切り替えられない場合は、一旦SNSやメッセージアプリから離れるのも1つの工夫です)。誰だって、一生懸命頑張ってみたのに、結果的に失敗したり、裏目に出たり、つまづく経験ばかりが続いていたら、心が折れそうになるでしょう。中には、なにかをやってみる前に、「どうせ、やってもムダだ」「自分にはムリだ」と諦めてしまうほど、今まで失敗や挫折の体験が多かった人もいるでしょう(今頑張れない状態の人は、まずは無理せずよく休んで下さいね)。でも、「失敗が多い」ということは、「挑戦したことが多い」証拠でもあります。何もしなければ、失敗もしません(うちの長男・談)。つまり、今までたくさん失敗してきた人は、 それだけ、未経験の新しいことや、今の自分にとって少し難しいことに果敢に挑んできたから、なのではないでしょうか。「失敗の数」=「挑戦した数」です。これって、すごいことだと思いませんか?たとえ結果が失敗でも、「やってみた」「挑戦してみた」だけでも、価値があることって、たくさんあると思いますよ。そして、それは全て、その人の成長のための経験値になっているハズです。もし、あなたが何かに挑戦して失敗したのなら、ぜひ、自分の勇気に自分で「いいね!」してあげませんか。自分自身を最大の味方に……おそらく多くの人は、長所よりも短所、できたことより失敗したこと、自分に肯定的な意見より否定的な意見……などのほうが気になったり、自分の毎日の何気ない頑張りに気づかないこともあるのではないでしょうか。それが、感受性が強い時期にある子なら、尚更のように思います。また、社会的に不安要素が多い中では、不安や不満からストレスが溜まりやすく、他人の欠点や言葉のあら探しをしたり、若い人や意欲や才能のある人の芽を摘むようなネガティブな情報が広まりやすいのではないでしょうか。こんな時は、物事を両面・多角的に観た上で、「いい情報」のほうに意識的にフォーカスするクセをつけるくらいで、現実的かつ、ちょうどいいバランスが取れるのではないかと思います。たとえ世の中がどう変わっても、誰がほめても、ほめなくても、自分が自分の最大の味方であってほしい…と、私は我が子と同世代の子どもたちに願っています。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者・井上先生より)自分自身の考え方のくせを見直すことはとても大事なことです。セルフチェックから一歩すすめ、あげてある内容を自分の言葉(自分にとってすっきり入ってくるキーワード)に直して何度か呟いてみる、いったくせをつけると、ネガティブな認知のくせというものが少しずつ変わってくるのではないでしょうか。このように、認知のコントロールができるようになってくると、感情のコントロールも少しずつできるようになってくると思います。
2022年04月19日突然のフラッシュバックに戸惑う日々Upload By みんみん(以下、――)Pは突然固まって何かを考え込んでいると思ったら、急に泣いたり怒ったりします。頭の中でいろんなことを思い出してそのような状態になっていると思うのですが、理由を想像しても分からないし見守るしかないのかな?と思っています。ですが、泣いたり怒ったりしている姿を見ると、何かこちらでも対応しないといけないのかな?と感じることもあり、どのように接したらいいのか戸惑ってしまうことも多いです。三木先生:あまり戸惑わず見守る形で良いかもしれません。外からできる介入はあまりないので、見守りながら本人が落ち着いたら声がけすればいいと思います。ほとんどは本人の内面世界で完結している場合が多く、本人の中で思っていることが少し外に漏れ出ているだけなんですよね。外の世界と疎通しているわけではないので、本人の中でその気持ちがおさまったときに、こちらから「どうしたの?」「大変だったね」と声をかけてみると反応はあるかもしれません。外の世界のあり様によっては内面世界のストーリーが少し変わるかもしれないので、できる外的介入としてはPくんに寄り添ってあげたり快適な状態にしてあげたりすることもあって良いのかもしれませんが、外から見ているとその変化があまり分からないので無力感がありますよね。――ものすごくあります。だから戸惑うしフラッシュバックが起こるたび対応するのが大変だなと思います。Upload By みん自分がどのように介入できるのか?タイミングを考える三木先生:日常的に全てのことに対応するのはかなり大変だと思います。でもとりあえず外的介入にトライしてみるのもありかもしれません。見守りつつ、声をかけ、どのタイミングでの声がけが有効だったかを少しずつ見つけていくのがいいかもしれません。自分のリソースが有効に活用きるタイミングを知っていき、そのタイミングで介入していくほうがお母さんも疲れませんよね。Upload By みん――そう思ったら私はまだ経験が足りないですね。フラッシュバックが起こると焦ってしまったり、どう対応するのが正解なのか分からなくなります。それから、一週間前に起こった兄や友達とのトラブルを思い出して、兄や友達にくってかかることがあります。自分1人の中で起こるフラッシュバックではなく、自分が根に持っていたトラブルを、その相手の顔を見たことで突然思い出して行動に出てしまうという感じの「対・人に対するフラッシュバック」もあります。他害は減ってはきていますが、衝動的で前触れのない他害は防ぎようもなくて困っています。「対・人」に対するフラッシュバックにはどう対応する?Upload By みん三木先生:P君の頭の中を覗けないし、フラッシュバックが起こるタイミングが分からないので止めようがないですよね。原因を把握しておくことも大事ですが、すべてを把握できる訳でもありませんし、どちらかというと本人よりも相手の子に対するフォローを丁寧にすることが大事ですね。あとはフラッシュバックを起こす前触れを見つける方がいいかもしれません。フラッシュバックが起きる前兆がないか?と観察するのが大事です。――確かに相手をフォローし、フラッシュバックの理由をこちらが説明できるようにするだけでも違いますよね。三木先生:できるだけ原因を把握し、トラブルがないように観察して相手にも説明をする。納得はできないかもしれないけれど、理解はしてもらえると良いですね。たとえばお兄ちゃんに「理不尽に耐えてえらかったで賞」などとして夕飯を好きなメニューにしてあげたりするのも良いですね。でも「仕方ないから許す」、「お詫びの品を受け取ったら許さなきゃいけない」といった流れにならないように注意です。方法に振り回されないというのを定期的に振り返りながら、子どもの成長とともに親子で試行錯誤していく。苦しんできた経験があるからこそ分かることや体感があると思います。大変なことも多いとは思いますが、とにかく今は実験したり失敗したりの経験を重ねるのが良いのではないでしょうか。Upload By みん実験と失敗を繰り返し、経験を重ねるからこそ分かること感想フラッシュバックが起こると、どうしても原因を考えオロオロしてしまいがちでしたが、何度もそういう経験を重ねることで体感として分かることや、できる対応も増えていくのかな?と思いました。最初から全てうまく対応しようとするのではなく、うまくいかなかったことや失敗も経験として一つずつ取り入れながら、自分と子どもに合った対応や育児をしていきたいと思いました。執筆/みん
2022年04月18日