チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (14/342)
1990年ショパン国際コンクールに歴代日本人として最年少で入賞。以来、クラシック界のトップアーティストとして常に注目を浴び続けるピアニスト・横山幸雄。彼が「自分にとってショパンと並ぶ、演奏活動の柱の一つ」と語るのがベートーヴェンだ。5月21日(日)、福岡シンフォニーホールで行なわれる「ベートーヴェン 5大ピアノ・ソナタ」は、2017年に同ホールで行なわれ大絶賛された公演の再演。今回は、スペシャルゲストにヴァイオリニストの千住真理子を迎え、 夢の共演による『クロイツェル』が実現する。「ベートーヴェンは子どもの頃から好きでした。彼が作品番号を付けて発表した全楽曲を約10か月にわたるシリーズで演奏した20代後半が、演奏家として彼の作品に集中的に取り組んだ最初。以降、2020年の生誕250年に向け、2013年から年1回のベートーヴェン・シリーズを始め、通常のリサイタルでも度々演奏してきました。コロナ禍と重なった2020年の年末にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を2日間にわたり連続演奏した事で、より深く凝縮してベートーヴェンと向かい合うことができたように感じます。彼は耳が聞こえなくなった音楽家として超人的なエピソードも多い人物。20代の頃は同じ人間とは思えない存在でしたが、公演の準備期間約3カ月を経て、『ベートーヴェンもやはり人間。彼がもつあらゆる人間的な側面が、様々な楽曲の端々に全て現れている』と捉えられるようになったのは大きかったです。今は、ベートーヴェンの人生と彼が創った芸術作品を、いかに磨いて、伝えていけるかを考えながら演奏しています」。千住と共演する『クロイツェル』の披露も今回のコンサートの見どころだ。「ピアノとヴァイオリンが対等に対峙するこの楽曲は、彼の金字塔のひとつ。その後“ヴァイオリン・ソナタ”と呼ばれる形式を確立した歴史的な曲でもあります。今回のプログラムは3部構成で、第1部最初の『悲愴』から第3部最後の『熱情』まで全て、28歳から34・5歳までの約7年間に書かれたもの。聴力を失いながら作曲家として生きる決意をし、私たちもよく知る名曲を次々と生み出していった時期で、『クロイツェル』は作曲順でもちょうど真ん中にあたるため、千住さんに登場頂く第2部で演奏するにもぴったりだと考えました」。プログラムには、耳の病を乗り越えていったベートーヴェンと、コロナ禍を乗り越えていかなければならない私たちという現代のテーマも重ね合わせたという。「演奏会にもようやく心置きなく足を運べるようになり始めたこの時期に、人間が持っている潜在的な能力やエネルギーをひしひしと感じさせてくれるベートーヴェンの作品群から何かを感じ取って頂き、明日への活力につなげていただけたら」と力強く締めくくった。公演は5月21日(日)福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)にて。チケットは発売中。
2023年04月26日大阪松竹座が開場100周年を迎える今年、1948年に誕生した松竹新喜劇は劇団創立75周年。節目の年を迎え、91年より劇団代表を務めて来た渋谷天外が代表を勇退、藤山扇治郎、渋谷天笑、曽我廼家一蝶、曽我廼家いろは、曽我廼家桃太郎ら若手世代を軸とする新体制でスタートする。笑いと涙と人情あふれる上方喜劇の伝統をつなげていこうと、新たな決意で臨む「松竹新喜劇 五月新緑公演」。演目は、劇団の代表作のひとつ『花ざくろ』と、久しぶりの上演となるまげもの喜劇『三味線に惚れたはなし』の2本立て。期待を担う若手陣の中から「楽屋や稽古場をなごませる才能は一番」と胸を張る天笑が、意気込みを語った。大阪松竹座開場100周年記念 『松竹新喜劇 五月新緑公演』 チケット情報天笑は2010年に入団。今では劇団を「自分の帰る場所、家のような感じ」と話す。長身でイケメンの彼は松竹新喜劇の舞台でニ枚目の役柄が多いが、「一見かっこいいけど、ちょっとやるとおもしろい。そんな2.5枚目が大好きです」。『花ざくろ』は、「関西弁のお芝居を初めて観て、こんなおもしろいことをやっている劇団があるんだ」と入団のきっかけになった作品だ。実直な植木職人・三次郎と加代子夫婦の話で、三次郎の仕事への思い、加代への思いが胸にしみる人情芝居。見どころは「女房が家を出て行ったあと、ひとりで掃除をするシーン。一切セリフがない中で、女房への思いが伝わってくる。役者の見せどころです」。約60年前の初演から、繰り返し上演されて来た松竹新喜劇の名作。今回は扇治郎が祖父・藤山寛美の当たり役である三次郎に初めて挑む。演出は新派の齋藤雅文。『三味線に惚れたはなし』は、三味線の音色にのって大工仲間たちが大騒動を巻き起こす、ドタバタまげもの喜劇。天笑は寛太郎、桃太郎と共に二枚目の大工・鶴吉を演じる。「2.5枚目の役で楽しいです。ただ、都都逸を歌うシーンがあって。頑張りますけど…」。音声だけが残る作品を43年ぶりの上演、天外が再編集し、演出は劇団赤鬼の川浪ナミヲが手掛ける。天外の父・二代目渋谷天外は、ペンネーム舘直志の劇作家で今年が歿後40年。残された多くの作品をもとに、天外は役者・作者の両面から劇団を支え、若手俳優陣のエネルギーをベテラン、中堅がワンチームの気合で臨む。「2本とも、今、松竹新喜劇の魅力が伝わる一番いい作品。ここからが松竹新喜劇の新たなスタートなので、感性の豊かな若い世代の人たちにも観てほしい。生っていいなと思ってもらえる舞台にしたいです。5人の若手でしっかり助け合いながら頑張って行きますので、新しい松竹新喜劇を応援してください!」と天笑。公演は5月13日(土)から25日(木)まで、大阪松竹座にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年04月25日大御所演歌歌手で、芸人・友近のお友達としても知られる水谷千重子が、東京・明治座では三度目、福岡・博多座では二度目となる『水谷千重子50周年記念公演』を上演。その幕開けを前に制作発表会を行い、水谷のほか、的場浩司、YOU、ガンバレルーヤのまひる・よしこ、倉たけしが登壇した。まず水谷が「明治座さん、博多座さんはものすごく理解のある小屋で、いつも千重子がやりたいわ、と思うことを実現してくださいます」と切り出し、「今回も素晴らしいキャスト、スタッフの方が集結してくださいました」と周囲に目を向ける。続いては、第1部のお芝居ステージ「大江戸混戦物語 ニンジャーゾーン」に出演する3組が挨拶。「子供のころから憧れていた水谷先生と、初めて同じ板の上に立たせていただけるということで身震いしております」と明かす的場には、すかさず水谷から「馬鹿言ってる!」のツッコミが。三度目の参加で、「千重子先生のことは実の姉のようにお慕い申し上げております」と語るYOUには、「YOUちゃんは本当にしっかり者なので、なんの心配もございません」と絶賛する。初参加のガンバレルーヤからは、50周年を記念した花束の贈呈が。さらにまひるから「『まひるちゃんは身体能力の子だから』という助言のおかげで、仕事の幅が広がりました」と感謝の気持ちが伝えられると、「例えばここで受け身とか…?」との水谷の無茶振りにも即反応。華麗な受け身を披露した。「私も出来ます!」と立ち上がったのは相方のよしこ。受け身のようなものを披露し、「今のはなに?」との水谷の質問に、「バク転です!」と答え爆笑をさらった。第2部の歌謡ステージ「千重子オンステージ」に出演する倉が紹介されると、「ほら俺からも」となにかを差し出しつつ、「金がないからさ、チンゲンサイにしたんだ」と花束型のチンゲンサイを贈呈。さらにガンバレルーヤに刺激されたのか、忍者のような動きも披露し、さらなる爆笑を誘った。と、ここでサプライズ!海外から緊急帰国した御崎進が登場し、「千重子一座の座員のひとりとして参加できることがとても嬉しいです!」とコメント。だが倉と御崎は昔から犬猿の仲で、会見中に何度も衝突、的場やよしこに止められるひと幕も。だが最後は水谷が、「あのふたりは心配だけれども、なんだかんだうまいことやると思いますし(笑)、最高のメンバーで、最高の舞台を作り上げたいと思っています!」としっかり締めくくった。取材・文:野上瑠美子
2023年04月25日アガサ・クリスティーのミステリの中でも、その繊細な人物描写で人気の『ホロー荘の殺人』。1946年に発表した同作を1951年にはクリスティー自ら戯曲化。世界中で映画やドラマとなり今も愛されている名作だ。今回は野坂実の演出と凰稀かなめの主演で、同じ宝塚歌劇団出身の紅ゆずるが共演するのが見どころ。稽古を目前に控えた3人に意気込みを聞いた。舞台はアンカテル卿(中尾隆聖)と、妻のルーシー(旺なつき)が住むロンドン郊外の屋敷ホロー荘。ある秋の週末、親族であるヘンリエッタ(凰稀)やエドワード(林翔太)、ミッジ(高柳明音)、さらに夫妻の友人クリストゥ医師(河相我聞)と妻のガーダ(紅)が晩餐に集まる。映画スターのヴェロニカ(綾凰華)の来訪に驚く一同だが、その翌日、クリストゥ医師が何者かに殺されて……。本作の魅力を「ミステリにつきもののトリッキーさより、現代劇のように登場人物の心情が描かれているところ」と語るのは、演出の野坂だ。「以前から好きな作品だったのですが、友人の小田島恒志(翻訳家)に『翻訳したことがあるよ』と聞いて詳しく教えてもらっているうちに、強く舞台化を願うようになりました」と話す。凰稀と紅については「物語がもつ重厚さを表現できる人にと思っていたところ、ご縁あって凰稀さんと紅さんにお声をかけることができて。これで全く新しい『ホロー荘』になるぞとワクワクしているところです」と期待を寄せる。その凰稀と紅は、同じ星組に約2年、所属していたが、退団後ではこれが初共演。凰稀は「一緒にいた期間は短いのですが、実はお休みの時もずっと芝居の話をしていた仲。そんな紅さんと大好きなストレートプレイで共演できるのが楽しみ」と語る。紅も「私は当時、大きな役が付き始めた頃。凰稀さんに悩みを話すと『その気持ち分かるよ』と言ってくださったり、2人で遊びに行ったりと、何にでも一生懸命だったあの頃を思い出します」と振り返る。そんな2人にとって、今回はまさに挑戦となる役どころ。さらに紅はストレートプレイ初出演だ。凰稀は「台本を読むと、人間関係が複雑に入り混じったドラマというのが第一印象。私の演じるヘンリエッタも感情をどういうふうに出すかでお客様への伝わり方が違ってくると思うので、稽古場で慎重に探っていきたいですね」と意気込む。紅も、「初めてのストレートプレイで、演じるガーダも今までやったことのないタイプの女性。『人を崇拝するほど愛する』ってどういうことだろうと、まずそこからなんですが(笑)。セリフひとつとってもパズルのピースのような作品なので、難しさを楽しみに変えて挑みたいです」と話した。「戯曲が充分面白いので、演出としては余計なことをせず、お2人が一番輝く形で作っていければ」との野坂の言葉に、凰稀と紅が真剣な面持ちで耳を傾けるひとコマも。この座組みならではの美しく重厚な舞台を、今から楽しみに待ちたい。取材・文/藤野さくら
2023年04月24日2003年に5000倍のオーディションを勝ち抜き、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役で華々しい舞台デビューを飾った女優・新妻聖子。以来、日本ミュージカル界屈指の歌姫として第一線で活躍を続け、今年で初舞台から20周年を迎えた。そんな新妻の20周年記念コンサートツアー『Seiko Niizuma 20th Anniversary Concert Tour~HARMONY~』が6/25(日)にNHK大阪ホール、7/20(木)にサントリーホールで開催される。初舞台の『レ・ミゼラブル』より「On My Own」のほか、『ラ・マンチャの男』や『ボディガード』などの楽曲をフルオーケストラ(大阪は日本センチュリー交響楽団、東京は東京フィルハーモニー交響楽団)とともに披露する予定だ。「こうして20年続けてこられたのは当たり前の事ではなくて、私が何かを成し遂げたというより、『連れて来てもらった』という感覚が強いです。辞めずに続けた自分も偉いぞ!と少しだけ思いますが(笑)自分が続けたくてもお仕事をいただけなかったら道は途切れてしまう。ミュージカル女優としてここまで歩ませてくれた環境に感謝をするタイミングだと思いますし、恩返しの気持ちを込めて、お客様が満足して帰ってくださるようなコンサートにしたいです」と新妻は意気込みを話す。第一線で走り続けた20年。そのモチベーションを尋ねると、「いろいろな方に『一線で走り続けてきた』と言っていただけるのは嬉しいのですが、私の感覚としては本当に山あり谷ありだったので」と話す。「特に20代~30代前半は『私はどこに向かっているんだろう』と悩んだ時期もありましたし、それでもとにかく板の上では真剣勝負で『今日お客様に満足してもらえなかったら明日はない』という危機感をもって、追い込んでやっていました。思うようにいかなかった事の方が多かったし、何度も心が折れそうになったけど、壁に体当たりや頭突きをしながら大きな石を1ミリずつ動かして......我武者羅でしたね」。突破口は「意図していなかった出会いやご縁」からのテレビ出演だった。「35歳ぐらいかな。カラオケ番組に呼んでいただいたことをきっかけに、思わぬ形で応援してくださる方の間口が広がったんです。そこから新たな形でコンサートツアーをまわったり、新しい役をいただくようになったり......年を重ねるごとにむしろ活動の幅が広がっているので、本当に恵まれた運の良いキャリアを歩ませてもらっていると思います」とも語った。これからの目標については「先日、スティングのコンサートに行ったんです」と興奮気味に切り出し「71歳。声も伸びるし体もムキムキに鍛えられていて、スターの余裕を感じました。あれは努力以外の何物でもないですよ」。そして「怠けず、いつまでも元気に歌い続けることかな。それが私にとっても一番の幸せだし、家族やファンの皆さんを含めて私の周りの人たちの幸せでもあると思うから」と笑顔で語った。取材・文:五月女菜穂
2023年04月21日EMILY(エミリ/vo)とKAWAGUCHI(カワグチ/g)の2人組、HONEBONE。アコギと歌の生々しいサウンド・歌詞・キャラクターが評判をよび、全国各地でライブ活動を展開。「人には言いづらいネガティブな感情」をメインテーマとしてスタイルを確立している。そんな彼らが4月26日(水)、約1年ぶりとなる最新アルバム『祝祭』を配信リリースする。読売ジャイアンツ・丸佳浩選手の入場曲『夜をこえて』等、全8曲が収録される。HONEBONEチケット情報また、東京・仙台・名古屋・大阪の4都市で開催される『祝祭 JAPAN TOUR』も決定。ファイナルの東京・渋谷O-nestでは豪華サポートメンバーを迎えたバンド編成でお届け予定。チケット情報や詳細はオフィシャルサイトをチェック!11月には自身最大キャパシティの会場である恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブにも挑戦する。チケットは発売中。
2023年04月21日14回目の開催となるアートフェア「神戸アートマルシェ2023」が、5月12日(金)から14日(日)まで、神戸メリケンパークオリエンタルホテルにて開催される。「神戸アートマルシェ2023」チケット情報本イベントは、アートギャラリーが一同に会し、選りすぐりの美術作品を展示販売するイベントだ。居住空間に近いホテル客室に作品を展示することで、自宅でのアートコレクションがイメージしやすく、気に入った作品はその場で購入することもできる。アートラバーの方や、アートコレクションに興味のある方のファーストコレクションにもぴったりのアートフェアとなっている。また、会場となる神戸メリケンパークオリエンタルホテルは、海に囲まれたリゾートホテルで、海と山が近い神戸の街の景観を生かした作品展示が行われるのも魅力のひとつ。美しい景観とアート作品のコラボレーションを楽しんでほしい。入場チケット(3日通し券)は発売中。
2023年04月20日“だいすけお兄さん”こと横山だいすけがライフワークにしている、『世界迷作劇場』が3年ぶりに復活。5月の大阪公演を皮切りに、全国約50か所で上演される。今回は、横山と同じ『おかあさんといっしょ』出身で、今年番組を卒業したばかりの第12代体操お兄さん・福尾誠も参加。そこで横山と福尾に話を訊いた。『世界迷作劇場 2023~24』チケット情報3年ぶりの上演決定について横山は、「もう嬉しくて、嬉しくてしょうがないです!」と満面の笑みを浮かべ、「やっぱり特別な存在ですよね。僕にとって子どもたちに音楽を届けられる『迷作劇場』は、ずっと自分の真ん中に置いておきたいことであり、それがついに再び動き出すわけですから。しかも“まことお兄さん”と一緒に!誠くんもコロナ禍で番組内ではなかなか子どもたちと関わることが出来なかったと思うので、その溜まっていたエネルギーをぜひ爆発させてもらいたいです!」と語る。当初、少し緊張気味の福尾だったが、今回の出演について訊ねると、「とにかく嬉しいです!」と一気ににこやかな表情に。「やっとみんなに会えるので…」と続ける口調には、コロナ禍での葛藤と子どもたちへの愛が滲む。横山との共演については、「番組では被っている期間がなく、やってきたことも違うので、お互いの良さを生かしつつ、ふたりでどんなことが出来るのか。今から楽しみです。とにかく僕は、だいすけさんよりたくさん動きます!(笑)」と意気込む。横山も「僕がこれまで“音楽”というものの楽しさとともに届けてきたものを、誠くんはきっと“体”というものを使って表現してくれるはず。そこにはまた全然違う楽しさがあると思うので、僕も楽しみです」と期待を寄せる。一方の福尾は…。「僕にとっては初のミュージカルで、人前で歌うのももちろん初めて」と少し緊張した表情を見せるも、「ただ新しいことにチャレンジし続けることは、自分の中でずっと大切にしてきた部分でもありますし、歌とともに物語も楽しんでもらえたらと思います」とアピールした。その物語だが、今回のテーマは『アラビアンナイト』とのことで、「みんなが知っているお話を、ちょっと面白おかしくするのが本シリーズの特徴。そこで今回は『シンドバッドの冒険』と『アラジン』をくっつけちゃいました。いいとこどりです!」と横山。これまで通り“本物”の歌やダンスにこだわるのはもちろん、ふたりの“お兄さん”でよりパワーアップした新生『世界迷作劇場』。その幕開けはもう間もなくだ。取材・文:野上瑠美子
2023年04月20日スピルバーグ監督の映画作品の脚本家としても知られる劇作家トニー・クシュナーによるピュリッツァー賞受賞作「エンジェルス・イン・アメリカ」がいよいよ開幕。第一部の初日開演前に公開稽古が行われ、その後、岩永達也、鈴木杏、水夏希、山西惇が報道陣を前に意気込みを語った。1980年代半ばから90年代にかけてのアメリカを舞台に、エイズに罹患した同性愛者の青年や周囲の人々の生きる姿を“天使”などの超常的な存在を交えつつ二部構成計8時間で描き出す。この日は、エイズに苦しむプライアー(岩永)の病室を元ドラァグクイーンの看護師・ベリーズ(浅野雅博)が訪れるシーン、モルモン教徒であるジョー(坂本慶介)が電話で母親(那須佐代子)に同性愛者であることを告白するシーン、病室ではルイス(長村航希)がプライアーに別れを告げ、ジョーの家ではジョーが妻のハーパー(鈴木)に対し、同性愛者であることを認めるシーンなどが公開された。そして、最大の見どころとも言えるのが、水夏希が演じる“天使”がプライアーの前に姿を現すシーン。水はワイヤーで吊られた状態で登場し、圧巻の存在感を放っていた。公開稽古後、報道陣の取材に応じた岩永、鈴木、水、山西。通常よりも長い約2か月半に及ぶ稽古を重ねてきたということもあって、ようやく幕開けを迎えることを楽しみにしているよう。ゲイであることを隠して辣腕をふるう大物弁護士ロイ・コーンを演じる山西は、フルオーディションによる本作への参加について、アメリカの連続ドラマ版で同じ役をアル・パチーノが演じていることに触れ「日本でやるなら俺しかいないだろうという思いで応募しました(笑)」と語り笑いを誘う。また、岩永はエイズ患者の役ということで年明けからの数か月で約10キロ減量したことを明かした。天使役の水はこの日も披露したフライングについて「人生で初めてですが、ついに飛ぶ時が来たか! という思いです。宝塚の頃から憧れていました」と明かしつつ「結構、身体にダメージがあります(苦笑)」と苦労も口にしていた。二部構成で計8時間という長丁場の舞台となるが、岩永は「僕らの世代にこそ見てほしい。歴史や知識など、教科書やSNSでササッと調べて出てくるようなものじゃない“熱量”が詰まっています。この作品に触れるということで、いま、どれだけ人生の見え方が変わるか? 声を大にして言いたいです!」と熱く訴えた。「エンジェルス・イン・アメリカ」は新国立劇場にて上演中。取材・文:黒豆直樹
2023年04月20日5月20日(木)の大阪・豊中市立芸術文化センター公演を皮切りに、2024年2月まで全国ツアーをまわる『世界迷作劇場 2023~24』のメインビジュアルが公開された。『世界迷作劇場 2023~24』チケット情報『世界迷作劇場』とは、NHK「おかあさんといっしょ」の11代目“歌のお兄さん”にして9年間という歴代最長在任記録を打ち立てた横山だいすけと、脚本・演出の岸本功喜が、『親子が一緒に楽しめる、初めてのミュージカル体験にふさわしい作品をお届けしたい』という想いを胸に試行錯誤を重ね制作されたファミリー向けのミュージカルだ。今回の名作は「アラビアンナイト」。横山だいすけと、3月に「おかあさんといっしょ」の卒業を発表した、元12代目“体操のお兄さん”こと福尾誠が共に全国を駆け巡る。夜の街をイメージしたメインビジュアルは、シンドバッドに扮した横山だいすけと、アラジンに扮した福尾誠がお互いの背中を合わせて、にっこり笑ってこちらをみている写真となっている。NHK番組時代でも人気を博したこのふたりが揃うビジュアルは今回が初出しとなっている。開幕まで1か月をきり、ますます注目を集める『世界迷作劇場』に期待せずにはいられない。チケットは、5月7日(日)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、4月23日(日)23:59までFC先行(二次、先着)、4月24日(月)11:00までセブンイレブン先行(抽選)を受付中。
2023年04月20日オーケストラ奏者、ソリストに室内楽奏者として幅広い活躍を続けるヴァイオリニストの石田泰尚。圧倒的な個性と美しい音色、幅広い音楽性を持つ彼が、信頼する首都圏のオーケストラ奏者を集めて2014年に結成したのが弦楽アンサンブル「石田組」である。今年は彼らが昨年8月に行った演奏会のライヴ録音CDのリリース、そして28か所を巡る全国ツアーが決定し、さらに話題を集めそうだ。「現在60人ほどの“組員”がいますが、ツアーでは会場ごとに違う奏者が登場し、また演奏曲目も変わります。CDの曲も演奏しますが、録音したときとは違う奏者が演奏する場合もあるのでそれぞれ違った音色をお楽しみいただけると思いますし、収録曲以外の曲も色々と盛り込む予定です」石田組のコンサートは彼らが一番大切にしているクラシックを第1部、ロックや映画音楽、演歌など様々な楽曲が第2部で演奏される。そのプログラムの幅広さと曲ごとに変わる演奏スタイルが魅力である。「演奏中は特にジャンルの違いに合わせて演奏を変えるという意識はしていませんが、演奏曲が決定したらその曲を徹底的に聴き込んで、色々な奏法、音圧を試すということはします。あとはテンポやリズムの感じ方は大きく違うので、そこは大切にしていますね。映画音楽でテンポを揺らし過ぎたらおかしいですし、ロックは頭拍が大事なのでそこはぶれないように、というところなど。あとはリハーサルで組員から提案をもらうということもありますね。ある程度の方向性を定めたら、あとは本番でその時の空気感も感じながら演奏していく…という感じです。全員がオーケストラ奏者なので、お互いの音や空気を感じて演奏するというのは慣れていますし、毎回とても楽しく演奏させていただいています」今回リリースされるCDもハードロック・バンドのレインボーやクイーンの楽曲に「ニュー・シネマ・パラダイス」などの映画音楽を経てヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」などが演奏される色彩豊かなプログラム。改めて石田組の音楽性の広さ、その音色の多彩さを実感できることだろう。CD、生演奏両方でそれを堪能してほしい。なお、ツアーでは時々組長がサプライズをしかけることもある。それが何かを目撃すべく全国追ってみるのも楽しいかもしれない。「今回のツアーでは石田組として初めて北海道、秋田、仙台、福島、京都、佐賀、熊本、鹿児島を訪れます。色々なジャンルをお届けしますので、多くの方にお楽しみいただけるはずです。まずはぜひ一度お越しいただければ嬉しいです」
2023年04月19日セックスレス夫婦の新たな門出を赤裸々に描いた朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』。開幕を約10日後に控えたタイミングで、夫婦に扮する篠原涼子と山崎樹範がインタビューに応じた。原作は、10月よりスタートするNHK連続テレビ小説『ブギウギ』を手がける脚本家・足立紳による同タイトルの小説(2022年刊行)。共同脚本・演出として劇団宝船を主宰する新井友香が加わり、コロナ禍を舞台にセックスレスの二人が夫婦や子育てのあり方を問う“ファミリーストーリー”が展開される。ペアが入れ替わるWキャスト制で、篠原×荒木宏文、山崎×佐藤仁美の夫婦ぶりも堪能したいところだ。妻のもとに夫から届いた、「今晩、久しぶりにしたいです。どうですか……?」というLINE。このメッセージをきっかけに冷え切った二人の関係性が転じていく中で、出会った頃の初々しい姿(早川聖来:乃木坂46、ゆうたろう)が映像で挟まれる。その劇効果を尋ねると、篠原は「恋愛初期のキラキラした時期と、口汚く罵り合う私たちの“成れの果て”のギャップを楽しんでいただければ」と笑う。山崎も「若かりし頃の夫婦をビジュアルで見せるからこそ、“成れの果て”の僕たちが陥る言葉だけの物語に厚みが増して説得力が加わりますよね」と頷いた。セックスレスを起点とする普遍的なテーマだからこそ、「彼らと同じ立場だったらどんな行動に出るか」と尋ねてみた。すると篠原は「距離を取って空気を入れ替えることで変化をもたらしたい」とコメント。「劇中の妻も離れたことによって相手を思いやる気持ちを取り戻し、ポジティブな言葉をかけられるようになりました。実生活でも大切な考え方だと思います」と述べる。山崎は「出会った頃の気持ちを思い出し、日ごろから“楽しい”とか“一緒にいて幸せ”という感情を言葉で伝える」と自らの日常を覗かせる一方で、「劇中の相手役である篠原さんに“もう一度、距離を詰めてもいいかな”と感じていただけることが僕の目標になりました!」と宣誓し、一同を和ませた。初挑戦の朗読劇に対して、篠原はYouTubeで動画を観るなど予習に余念がなく「表情や動きが封じられ、言葉だけで世界観を形づくることは映像や舞台に臨む時と心構えが違いますね」と率直な想いを明かす。経験者の山崎も「丁寧に言葉や物語を伝えることが難しくもあり楽しいところ」と続き、「長いこと役者をやって高い武器や防具を買い揃えたのに、ここへ来て初期の“棍棒”で勝負するドキドキ感があります」と例えていた。公演は4月20日(木)〜23日(日)、東京・俳優座劇場にて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代ヘアメイク(山崎樹範):浅山ジャスミン莉奈(TUNE)、中間愛梨(TUNE)、眞舘楓
2023年04月19日池田亮が脚本・演出を手がける気鋭の劇団「ゆうめい」の新作『ハートランド』。4月20日(木)の開幕を前に、稽古中の池田、キャストの相島一之、saraの3人に話を訊いた。舞台は、駆け込み寺にもなっているカフェ“ハートランド”。そこで暮らす須田、ユアンを演じるのが、ゆうめい初参加の相島とsaraだ。池田はキャスティングについて、「僕の今までの作品は母親や父親など明確なモデルがいましたが、今回は完全にフィクション。頭の中で一から作り上げる作業になるので、まずは役に合う人を探し、辿り着いたのがこのおふたりでした」と語る。俳優としてベテランの相島だが、「いつも若い才能ある人と出会いたいと思っているんです」と大きな期待を胸に出演を決断。さらに「演劇ってリアリティとの戦いだと思っているんですが、作品に自分の家族を持ち込んでくる池田さんは、まさにそこと戦っている人。その点も参加したいと思った理由です」と続ける。本作のストーリーと役どころを聞いた時点で、一気に興味が沸いたと言うのはsara。「グッと掴まれるような作品に出会える機会ってなかなかないのですが、今回は面白い!飛び込んでみたい!とすぐに思えて。23歳の自分が、出会うべくして出会った作品、劇団だと思います」。実体験ベースの作品から完全なるフィクションへ。作風の転換について池田は、「僕はゆうめいに、演劇以外の仕事から得たものを全部ぶち込みたいと思っていて。すでに脚本・監督をしたドラマなどではフィクションを作っていましたし、その中で自分以外の誰かの体験を描くことにも興味が沸いてきた。そういった意味で言えば、実体験味は今回のほうが増しているのかもしれません」と明かす。稽古はすでに中盤。相島は「本当に難しいホン」と苦笑いを浮かべつつ、「池田さんはすごく表層を描かれる作家ですが、その奥底にちょこちょこと大事なものが隠されている。そこを届けられないとやはり残念な舞台になってしまうので、これは非常に大変です」。saraも「難しい」と口をそろえつつ、「ただ相島さんから学ぶことがありまくりで!(笑)イメージでしかなかったユアンのミステリアスさも、相島さんのアドバイスのおかげで具体的な表現に繋げられました」と目を輝かせる。本作での新たな挑戦について、「自分でも見たことのない世界を作ろうと思っています」と池田。「今しか見られないドラマだと思いますので、ぜひ多くの方に目撃していただきたいです」。取材・文:野上瑠美子
2023年04月17日3月から3ヶ月連続デジタルシングルをリリースすると発表したフレンズ。第1弾としてリリースされた『ヤッチマイナ!』が大きなリアクションを集める中、第2弾として新曲『OKASHi NA DEAi』が4月19日(水)にリリースされることが決定した。フレンズ チケット情報フレンズは、友情や恋愛、日々の心の機微を、キャリアもルーツも違う4人の絶妙に絡み合うオリジナリティとグルーブとともに多彩なPOPサウンドで表現。唯一無比なポップアイコンとして、きららかにしなやかに圧倒的なエネルギーを放ち、大きな共鳴を集めている男女混合神泉系バンド。第2弾最新シングルとなる『OKASHi NA DEAi』は、作詞をえみそん(Vocal)、作曲を三浦太郎(Guitar, Vocal & Chorus)、編曲をフレンズが手掛け、三浦太郎出身地の長崎県佐世保市にあるスイーツ専門店「OKASHi NA DEAi」のテーマソングとして書き下ろされた。「退屈な日々を / 抜け出すレシピ探すeveryday」「こわばった顔ほどいて / 心弾ませて / 笑い合えたら / ステキ!」「オカシナデアイ / せつなさも吹き飛ばす / はちみつの波に乗って / のんびり暮らそう」と歌う本楽曲は、どこかしら童話の世界を感じさせる、せつなく温かくやさしい世界に包まれた春めく超ポップチューンとなっている。ジャケットビジュアルは、3月22日にリリースされたばかりのデジタルシングル『ヤッチマイナ!』に続き、今作も数多くの印象的な作品を世の中に送り続けるアートディレクター・デザイナー花房真也(TI_ALT)が手掛け、花房真也(TI_ALT)×フレンズならではのポップワールドが心に残るビジュアルとなっている。なお、Apple Music・Pre-Add、Spotify・Pre-Saveによる事前登録もスタートしている。事前登録して発売を楽しみに待ってほしい。さらに、4月17日(月)にFM802「THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS」にて初オンエアが決定!オンエアをぜひチェックしてほしい。YouTubeでは本作のVISUALIZERも、4月19日(水)20:00に公開予定。また、4月19日(水)21:00からフレンズOfficial TikTokアカウントにてメンバー4人揃ってのトークを中心としたTikTok LIVE生配信も実施される。7月には東名阪ツアーを開催することがすでに発表されているが、この度、ツアータイトルが「フレンズ -愛をやめないTOUR 2023-」に決定したことも発表された。本ツアーのファンクラブチケット第2次先行が受付中。
2023年04月17日Noranekogutsとハイツ友の会のツーマンライブ「ニタイニ」が 5月25日(木)に大阪・CONPASSで開催される。Noranekoguts チケット情報「ニタイニ」は2ピースバンドNoranekogutsが主催するゲストも2人組のツーマンライブシリーズ。第1回のゲストとして、吉本興業の女性コンビ・ハイツ友の会を迎えて行われる。音楽とお笑いとジャンルは違うものの、同世代であり同じ京都出身のツーマンイベントとなっている。チケットは発売中。
2023年04月14日京都三大祭のひとつ・葵祭「路頭の儀」が、5月15日(月)に開催される。「葵祭」チケット情報新緑の京都を優雅な行列で彩る葵祭は、今から約1500年前に始まったとされる賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭。5月初旬からさまざまな行事(前儀)が行われ、5月15日に行われる葵祭のハイライト「路頭の儀」では、およそ8キロもの距離を、平安装束をまとった人々が王朝絵巻さながらに練り歩く。日本の伝統的な美意識を感じる貴族の衣裳に注目してほしい。京都御苑と下鴨神社参道の2か所に、行列をゆっくりと堪能することができる有料観覧席が設置される。一般席は、行列について分かりやすく説明が書かれたパンフレット(A5サイズ)付き。下鴨神社参道のみに設置されるまなび席は、パンフレットに加えガイディングレシーバーの解説付きとなっている。チケットは発売中。
2023年04月14日2年に1度、フェスティバルホールで開催している『祝祭大狂言会』。6回目となる今回は、92歳の万作、57歳の萬斎、24歳の裕基という野村家三代がそろい、それぞれが発揮する年代に応じた芸の魅力を堪能できる演目が並ぶ。また、大ホールの空間を存分に生かし、観客参加の趣向もこらした萬斎ならではの大胆な演出で盛り上がる『博奕十王(ばくちじゅうおう)』も見もの。同ホールで“電光掲示狂言会”と銘打ち、2000年に上演して以来の関西登場で、狂言初心者から通まで幅広く楽しめる公演になっている。萬斎と、昨年『釣狐』を披(ひら)き一人前の狂言師として歩み始めた裕基の父子が意気込みを語った。「祝祭大狂言会2023」チケット情報いつも好評な萬斎の解説から始まり、まずはわかりやすいポピュラーな『棒縛(ぼうしばり)』から。「謡や舞が楽しく、狂言らしい笑いに満ちた曲」(萬斎)で、太郎冠者を演じるのが裕基。主人の外出中に酒を飲まないよう次郎冠者と共に両腕を棒に縛られたふたりが、なんとか酒を飲もうとする話だ。「ドタバタ劇的なストーリー展開が非常に魅力的だと思います。普段の能楽堂とは違った動きを意識したい」(裕基)。そして万作の至芸『奈須与市語(なすのよいちかたり)』。平家物語の奈須与市が弓で扇を射落とす話を、語りと動きで伝える。約15分、92歳の万作がたったひとりで上演する。「広い空間で素手で戦う、身1本、扇1本ですべてを表す究極の芸。父はこのような勇壮な語りの方が気合いが入り、まだまだ衰え知らずの『奈須の語り』です」と萬斎。裕基は「祖父の熟練した芸を間近で見ることができるのは三代公演ならでは」と、今回の公演を得るものが多い貴重な機会と話すが、それを観客も存分に味わえるぜいたくな番組。次に『能楽囃子』をはさみ、関西で23年ぶりの上演となる『博奕十王』。ばくち打ちが地獄に落ち、閻魔(えんま)大王や地獄の鬼たちとサイコロばくちを始めるという「狂言らしい荒唐無稽な世界」(萬斎)が繰り広げられる。多くの鬼がカラフルな出で立ちで登場し、照明も入ってゴージャスな地獄の舞台。さらに超特大のサイコロを転がし、重要な内容に関わるサイコロの目を観客も一緒に当てるという驚きの観客参加型だ。通常の能舞台では1本の橋掛かりを3本配置、萬斎が仕掛ける大ホール狂言でしか体験できない演出は狂言初心者にも観やすく非常に楽しい。「すべてはへこたれない人間を描くのが狂言の良さでもあります。生きる力に触れるような感覚で狂言をご覧いただき、元気になって免疫力を高めてお帰りいただきたいなと思う次第でございます」(萬斎)。取材・文:高橋晴代
2023年04月14日朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』が、4月20日(木)に東京・俳優座劇場で開幕する。初日が約10日後に迫ったタイミングで製作発表記者会見が行われ、キャストの篠原涼子、山崎樹範、荒木宏文、佐藤仁美、劇中オリジナルドラマに出演した早川聖来(乃木坂46)、ゆうたろうらが登壇した。原作は、10月よりスタートするNHK連続テレビ小説『ブギウギ』を手がける脚本家・足立紳による同タイトルの小説(2022年刊行)。共同脚本・演出として劇団宝船を主宰する新井友香が加わる。妻のもとに夫から届いた「今晩、久しぶりにしたいです。どうですか?」というLINEメッセージを起点に、セックスレスの二人が夫婦や子育てのあり方を問う“ファミリーストーリー”が展開される。ペアが入れ替わるWキャスト制が敷かれ、組み合わせの妙も期待できそうだ。映画『喜劇 愛妻物語』(2019年)など、もともと足立作品のファンだったという篠原は「衝撃的なセリフに惹きつけられました」と会見の口火を切る。加えて「パートナー関係であれば避けて通れないセクシャルな話題を通じて自分たちを見つめ直す物語。私の年齢でこうしたテーマや人物に取り組むのは、初めての朗読劇と並ぶくらい大きなチャレンジです」とコメントした。劇中には落ち目の映画監督・脚本家で“セックスしたい”夫・孝志に対して、シナリオコンクールで優秀賞を獲得した“したくない”妻・恭子が登場する。佐藤は「人間味たっぷりの二人による攻防戦に、きっと観客の皆さんも共感していただけるんじゃないかな」と見どころを述べ、「恭子のセリフにある『人の時間を奪うな』って、私が常に言っていることでもあるんですよね」と苦笑した。朗読劇の楽しみ方を問われると、経験者の山崎は「表情や動きで見せる映像や舞台の芝居と異なり、“音”に特化した朗読劇はお客さんの想像力を掻き立てるのが魅力」と笑顔を見せる。一方で、今回は朗読の合間に若かりし孝志と恭子による恋路がオリジナルドラマとして映し出される。この演出に対して荒木は「まだ表現の枠が確立されていないからこそ、つくり手のアイディアで演出を自在に変えられるのが朗読劇の可能性」と述べ、「ビジュアルを取り入れながら聴覚で魅せるそのバランスを劇場でご堪能ください」と言って会見を結んだ。公演は4月23日(日)まで。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2023年04月14日2023年の母の日は5月14日(日)。その直前、10日(水)にLINE CUBE SHIBUYAで一晩限りの音の宴を楽しみませんか? この日集うのは、ホスト役の森山直太朗をはじめ、手嶌葵、平原綾香、Little Glee Monster、そしてピアニスト・桑原あい。森山と共にオーディエンスに寄り添うのは、ストーリーテラーの内田也哉子。「これだけ稀有な存在感をもった方々の歌声を一堂に会し、じっくり聴ける機会は、なかなかないのでは? 平原さんは一声発しただけで別世界に連れていってくれるような深い低音が魅力。手嶌さんも透明感や懐かしさのある歌声で、独特な世界観を創り上げてらっしゃる。Little Glee Monsterの皆さんもハーモニーがまるでオーケストラのようで、楽器としての声の美しさや華やかさがある。桑原あいさんもまるで指揮者のようにライブ全体を終始ピアノで彩ってくださる」という。そして昨年のこのコンサートが初対面だったという森山については、「例えば『さくら』は誰しもこの曲との思い出があるでしょう。そして昨年発表された『素晴らしい世界』は今までとまた違う世界観で、直太朗さんがアーティストとしても人としても更に深まり、世界に羽ばたいていくような魅力が詰まった曲」と絶賛。彼の弾き語り公演にも足を運び、「削ぎ落とされた圧倒的な声の力で、まさに“歌うたい”の素晴らしさを味わいました」と絶賛。また、エッセイストとして活躍する内田は「昨年は散文を書きおろし、朗読をしました」。今年も同様の趣向があると思われ、内田の言葉が紡ぐ世界にも注目したい。自身も音楽と文芸という「違う畑の人間が出会って何かを創り出す面白さもあって、普通のコンサートとはかなり雰囲気が違う、特別な場所になっているのではないか」と期待しているそう。ちなみに2018年に亡くなった母・樹木希林との母の日の思い出は、子どもの頃に手書きのメッセージカードを作ったことだそう。女優として多忙な樹木には直接渡せず、机の上に置いておいたという。「最低限の物しか手元に置かない人だった」樹木がずっと大事にとっていたそうで、やはり娘からのメッセージはとても嬉しく大切な宝物だったのだろう。内田と森山は、演奏の合間のトークタイムでこういった話題にふれる機会も。「お母さんに対する想いを伺う機会は、あまりないですよね。アーティストさんの素顔が垣間見られる、このコンサートの醍醐味ではないでしょうか。いらしてくださった皆さんにとっても、魅力的な音と共に自分の歩いてきた道のりを振り返るような親密な時間になるのでは。ぜひ足を運んでいただけたら、会場を後にした時にはきっと充足感に満たされているのではないかと思います」取材・文:金井まゆみ
2023年04月14日春爛漫の4月、歌舞伎座新開場十周年記念「鳳凰祭四月大歌舞伎」では、心浮き立つ3演目が上演中だ。昼の部(11時開演)は、2013年に新開場した歌舞伎座で初めての新作歌舞伎として上演されたものを、古典歌舞伎の手法で一新した『新・陰陽師』。夢枕獏の原作を、石川耕士の監修と市川猿之助の脚本・演出で贈る。そして夜の部(16時開演)は、世話物の名作『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』を、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の人気コンビで。さらに獅子の親子の情愛を描いた舞踊『連獅子』を、尾上松緑・尾上左近という実の親子が勤めるのも話題だ。どれも見逃せない3演目のうち、今回は昼の部『新・陰陽師』をピックアップ。次代を担う花形俳優(期待の若手)がズラリと顔をそろえ、2023年度版“陰陽師”の世界が生き生きと展開されている。時は平安時代。故郷の東国の民を救うため、朝廷に反旗を翻した平将門(坂東巳之助)は、朝廷から遣わされた旧友・俵藤太(中村福之助)に討たれる。将門の蘇生を謀る軍師・興世王(尾上右近)と妖術遣いの陰陽師・蘆屋道満(猿之助)に、陰陽師の安倍晴明(中村隼人)と友人で笛の名手である源博雅(市川染五郎)らが立ち向かう……というストーリーだ。安倍晴明を主人公にした夢枕獏の原作は、1990年代のコミック化や2000年代の映画化によって、一大ブームとなった。本作でもそのワクワクするような世界観はそのままに、晴明と将門の空中戦や、巨大なガマガエルと可愛らしいキツネたちを使った妖術戦、アクロバティックな立廻りに道満の宙乗りと、アッと驚く演出が盛りだくさん。初めて歌舞伎を観る観客にも楽しめる内容となっている。同時に、脚本・演出の猿之助が「古典歌舞伎仕立てでお送りいたします」と筋書(プログラム)で語っているとおり、随所に歌舞伎らしい様式美がちりばめられているのも『新・陰陽師』の魅力だ。それぞれの見せ場に“あの演目のあの場面”を思い出させる演出があり、それを表現するには、むろん演者の力量が必要。巳之助の人ならざる者のオーラ、福之助のさっぱりと清廉な佇まい、右近のケレン味たっぷりの躍動感。さらに将門の妹の滝夜叉姫役・中村壱太郎のたおやかさと強さ、藤太と恋仲である桔梗の内侍役・中村児太郎のひたむきさ、後半で登場する大蛇丸役・中村鷹之資の凛々しさは、猿之助の意図に充分に応えて舞台に厚みを加えている。隼人は聡明さと器の大きさを感じさせる晴明を、染五郎は滝夜叉姫にひと目で心を奪われてしまう、親しみある博雅を好演。29歳と18歳の瑞々しいコンビは、メディアでも人気の2人ということもあり、“並びの美しさ”がもうひとつの見どころだ。そんな花形俳優たちの間で、猿之助はポイントリリーフ的な出番ながら、いかにも怪しげな道満を演じて観客を一気に引き込んでゆく。まさにさまざまな“歌舞伎の面白さ”を味わわせてくれる舞台といえよう。取材・文/藤野さくら
2023年04月14日女性の美に革命を起こした二大コスメブランド創始者の争いを描く、ミュージカル『エリザべス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』。タイトルロールの二人に扮する明日海りおと戸田恵子に、稽古前の心境を尋ねた。ダグ・ライトの脚本、スコット・フランケルの音楽で、米ブロードウェイにて初演(2017年)された原題『WAR PAINT』。視覚に訴える華やかさを追求したアーデン(明日海)、科学的見地からアプローチするルビンスタイン(戸田)とそれぞれ独自の発想と行動力で自らの化粧品ブランドを世界的地位へ押し上げた二人が、苦悩や困難を乗り越えた先で対面を果たすまでの様子が綴られる。日本初演となる今回は、翻訳・訳詞・演出をG2が手がける。タイトルに対立関係の「vs.」と付されているものの、終盤までセリフの応酬はないという。ブロードウェイ版を観劇した戸田は「共通のミュージカルナンバーで二人それぞれの心情を歌うことはあっても、基本は個人戦で構成される珍しいミュージカル。二人の掛け合いは最後までお預けだから、稽古場でも明日海さんと顔を合わさないことになるのかな」とこれから始まる稽古に思いを寄せる。すると明日海は「同じ場所にいないからこそ、互いの存在をいちばん近くに感じる気がします」とコメント。戸田も頷き「ライバル心が燃え上がり、業界のトップランナーになっていく二人を意識させる台本でした」と話す。演じる女性の生き方をどう感じているか尋ねると、明日海は「二人がここまで頑固に意地を張って争っていると、清々しいですよね。日本人はオブラートに包んだ言動が美徳とされるので、なおさらスカッとしました。仕事に情熱を捧げるアーデンとルビンスタインに翻弄されるパートナー(上原理生・吉野圭吾)の反応も楽しくご覧いただけると思います」と見どころを述べる。戸田も「現代の女性が活躍するもっと前から精力的に動いている二人だから、想像以上に大変な目に遭っているんですよね。だからとても意志の強い人間に描かれているけど……そのぶん、家庭やプライベートがうまくいかない。ラストは切ないですよ」と続き、インタビューを結んだ。公演は、5月7日(日)~17日(水)に東京・日生劇場にて。その後、5月27日(土)~29日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホール、6月2日(金)~4日(日)に愛知・御園座、6月8日(木)~13日(火)に京都・京都劇場と巡演する。取材・文:岡山朋代
2023年04月13日劇団四季の最新オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』の製作が発表された。原作は『うしおととら』などで知られる藤田和日郎の中編コミックス『黒博物館 ゴーストアンドレディ』。演出は『ノートルダムの鐘』を手掛けたスコット・シュワルツを迎える。4月10日(月)、都内にて製作発表会見が開催され、劇団四季の吉田智誉樹 代表取締役社長と、演出のスコット・シュワルツが出席した。物語は19世紀、クリミア戦争下のイギリスを舞台に、ドルリー・レーン王立劇場に棲みつく芝居好きのシアター・ゴースト“グレイ”と、自分の生きる道に悩むフローレンス・ナイチンゲール(フロー)をめぐるファンタジックなラブストーリー。劇団四季は近年オリジナル作品の製作に力を入れ、2019年からは年に1本ペースで次々と新作を生み出しているが、今回は四季オリジナルミュージカルとしては初めて海外から演出を迎えての創作。作品の内容に関しては吉田社長は「19世紀半ば、欧州が直面したシリアスな歴史を描く中にあって、冒険、ロマンスといった要素が盛り込まれている。藤田氏ならではの独創的視点から描かれた筋立てはファンタジックなのですが同時に人生の本質を示唆している。さらにグレイはゴーストにして芝居好きという舞台お誂え向きのキャラクター。シェイクスピアやマザーグースの引用も登場し、演劇好きな方々の知的好奇心を刺激する内容」と自信をみせる。予算感としても「半年から一年程度上演する海外作品……『マンマ・ミーア!』『アイーダ』などと同規模くらいの予算をかけ、我々としても相当力を入れている」と吉田社長が気合いの入れ具合を語るものになる。また演出のシュワルツ氏は「原作の漫画は本当に興味深く、オリジナリティあふれる物語。ダークでありロマンチックでありスリリング、同時にとても楽しめるものです」と物語に対しての感想を述べ、さらに、すでにリーディングワークショップは終えていると語り「ハイライトはまず非常にメロディアスな楽曲。一度聴いたら鼻歌で歌いたくなる楽曲を期待してくださって大丈夫です。そしてスペシャルエフェクトでゴーストたちが魔法のごとく現れたり消えたりフライングしたりすることも考えている。舞台セットも見応えのある素晴らしいものになりそうですし、衣裳も魅力的なデザインがあがってきています。物語の題材はシリアスなものですが、遊び心とユーモアにあふれ、冒険のようにワクワクした体験ができる演出的アプローチをしていこうと考えています」と現状の進捗と構想を語った。脚本・歌詞は高橋知伽江、作曲・編曲は富貴晴美、振付はチェイス・ブロック。公演は2024年5月、JR東日本四季劇場[秋]にて開幕。チケットは2024年1月発売予定。公演期間は半年程度で、その後各地での上演も検討中とのこと。取材・文:平野祥恵
2023年04月13日数多の名舞台を生み出してきた“二大レジェンド女優”大地真央と花總まりが、初共演を果たして話題を呼んだ『おかしな二人』(ニール・サイモン作)。2020年の上演時には、コメディエンヌぶりに定評のある大地に、コメディ初挑戦となる花總が果敢に挑んで客席を湧かせた本作。待望の再演となる今回も女友だち役の宮地雅子や平田敦子、山崎静代(南海キャンディーズ)と、スペイン人兄弟役の芋洗坂係長、渡辺大輔が続投。新たに青木さやかが加わり、大いに笑って楽しめる舞台を展開している。1970年代のアメリカ、マンハッタン。TVの敏腕プロデューサーだが無精者のオリーブ(大地)は、今日も荒れ放題の部屋でミッキー(青木)やレネー(宮地)、シルヴィア(平田)、ヴェラ(山崎)とカードゲームに興じている。そんな中、離婚問題で傷心のフローレンス(花總)がやってきて、女たちは大わらわ。オリーブは彼女との同居を提案するが、病的なほどキレイ好きなフローレンスとの生活はハプニングの連続で……。大地は自由で奔放、自立した女性のオリーブがまさにハマり役。次々に着用する70年代風の衣裳が目にも楽しく、別れた元夫にお金を振り込んでしまう弱さも見せて、なんともチャーミングだ。花總は、いつもの姫役者ぶりをかなぐり捨てての熱演。それでもセリフの間合いやふとした動きまで、キッチリとフローレンス像を通しての“喜劇”であるのがさすが。おたまを振り回す花總の姿は必見だ。フィナーレにはショーシーンも付いて、最後まで大地・花總の豪華コンビを楽しめる演出となっている。青木、宮地、平田、山崎は、普段はゴシップ話で盛り上がりながらも、オリーブやフローレンスの窮地には頼もしさを発揮する女友だち役を個性豊かに表現。オリーブと同じアパルトマンに住むスペイン人兄弟役の芋洗坂係長と渡辺は、英語が苦手という設定から珍妙なやりとりで笑わせる。とはいえ、こちらも安易な笑いには走らず、兄弟の温かくマジメな性格が伝わる役づくり。物語に気持ちのよいアクセントを加えていた。ゲネプロの前に行われた囲み会見では、「間違いなくパワーアップしていると思うので、見どころは全部です(笑)」(大地)、「おかしな2人じゃなくて、おかしな8人というくらい全員が面白くて。お客様と一体となって楽しめれば」(花總)と語った2人。「舞台に出ている日は元気になる」(青木)、「大地さんと花總さんの温かさで稽古も楽しかった」(宮地)、「パワーアップしている2人に一生懸命追いつきたい」(平田)、「(前回のコロナ禍での稽古と違い)今回は向き合って稽古ができたので、団結力が強まった」(山崎)と、この座組みならではの言葉が次々と。「たくさんの方に笑顔になっていただければ」(渡辺)、「再演が決まった時から心待ちにしていた作品」(芋洗坂係長)との言葉に全員がうなずくなど、ここでも抜群のチームワークを見せての会見となった。取材・文/藤野さくら
2023年04月12日韓国で大きな話題を呼んだ人気ミュージカルの日本版となる「サンキュー・ベリー・ストロベリー」が開幕! 4月5日(水)の初回公演を前に主演の真弓孟之(AmBitious/関西ジャニーズJr.)、土居裕子、高橋由美子、原田優一、まりゑが出席しての取材会と公開リハーサルが行われた。他人との関わりを避けて孤独に暮らす老女・エンマ(土居と高橋のWキャスト)と彼女の元に派遣されたケアロボット(真弓)の交流を描くハートウォーミングストーリー。本作でミュージカルに初めて挑戦した真弓。今回の“ロボット”役について「お茶目なロボットということで『ベイマックス』を見るところから始めた」と明かしていたが、実際に公開リハーサルを見てみると、なんとも憎めない、キュートなロボットをコミカルに好演している。見た目は人間と変わらないという設定だが、独特の口調やリアクション、長い手足を活かした動きで、絶妙な“違和感”を醸し出し、存在感を発揮しており「ああいうロボット、どこに行ったら買えるんだろう?と思ってもらえるチャーミングさ」(高橋)があふれる魅力的なロボットとなっている。そんな真弓演じるロボットとエンマの掛け合いも見どころ。辛辣な言葉や冷たい態度で、自らのテリトリーに入ってこようとするロボットを受け入れようとしないが、それでもなお、エンマの元にとどまり、献身的にケアしようとするロボットに少しずつ心を開いていく。土居も取材会で語っていたが、時折、エンマが漏らす哲学的な言葉(「使えないからといってゴミとは限らない」など)も観る者の心を打つ。この日の公開リハーサルでは、土居がエンマを演じたが、その歌唱力は圧巻! 生演奏に合わせて、力強い歌声でエンマの心情を見事に表現している。ちなみに、共演陣によると、土居と高橋では、おなじエンマ役でも解釈や表現がガラリと変化するとのこと。高橋版のエンマも楽しみだ。物語の中に、時折、挟み込まれるのがエンマの古い記憶。こちらのパートは原田とまりゑが担い、息ピッタリの演技を見せているが、彼らはいったい何者なのか? そして、そもそもケアロボットとは何なのか――?序盤から伏線が張り巡らされており、物語が進むにつれて、徐々にパズルのピースがハマっていくような爽快感をもたらしてくれる。エンマとロボットのやりとりを通じて、切なくも温かい記憶の旅が展開する。「サンキュー・ベリー・ストロベリー」は東京芸術劇場 シアターイーストにて上演中。取材・文:黒豆直樹
2023年04月11日5月4日(木・祝)にエディオンスタジアム広島にて開催される『#HIROSHIMAミライバトン』にEXILE・GENERATIONS・LIL LEAGUEのメンバーら総勢14名の追加出演が決定した。新たに出演が発表されたのはEXILEからAKIRA、橘ケンチ、TETSUYA、GENERATIONSからはEXILEも兼任する白濱亜嵐と関口メンディー、そして小森隼、佐野玲於、中務裕太の5名、そしてLDH史上最大のオーディションで今年1月にメジャーデビューした6人組男性グループLIL LEAGUEがスペシャルパフォーマーとして参加する。このイベントは今年5月19日(金)~21日(日)に広島で開催されるG7サミットに向けた平和の祭典として、EXILE ATSUSHI&TAKAHIROやSTU48などが登場する一夜限りのスペシャル音楽ライブや子ども達も楽しめる近未来型エンターテインメント、国内最大規模のドローンショーなどが行われる。チケットは現在発売中。▼公演情報5月4日(木・祝)19:00開演会場:エディオンスタジアム広島【出演】[音楽ライブ]EXILE ATSUSHI&TAKAHIRO、STU48、TEE、HIPPY ほか[エンターテインメント]白A、チームHIROSHIMAパフォーマー、キッズダンサー[ドローンショー]レッドクリフ【席種・チケット】[全席指定 ベンチ]P席、SS席、S席、A席、B席、C席※バックスタンド26列~73列P席-8000円 子ども-7500円SS席-7000円 子ども-6500円S席-6000円 子ども-5500円A席-5000円 子ども-4500円B席-4000円 子ども-3500円C席-3000円 子ども-2500円Pコード:237-808※子どもは3歳以上中学生以下、当日要身分証・学生証が必要。※Makuakeゾーン([個席]P席、SS席、S席、スカイランタン席 ※バックスタンド1列~25列)はチケットぴあでの取扱はございません。
2023年04月11日2018年に逝去した劇団四季の創設者・浅利慶太が1958年の日本初演から500回以上にわたって上演を重ねてきたジャン・ジロドゥ作『オンディーヌ』が浅利の生誕90年を迎えた今年、浅利が育ててきた俳優・スタッフたちの手で上演される。水の精オンディーヌと騎士ハンスのはかない恋を描く本作。オンディーヌの恋敵となるベルタを演じる坂本里咲とオンディーヌの養母ユージェニーを演じる末次美沙緒が本作の魅力、そして浅利慶太の思い出について語った。2006年に劇団四季を退団し17年を経て、かつての仲間たちとこの作品に再び出演することに末次は「まさか声をかけていただけるとは」と喜びを口にする。ジロドゥは、末次にとって思い出深い作家だという。「初舞台が19歳の頃、西武劇場(現・PARCO劇場)で上演したジロドゥの『テッサ』だったんですが、私が浅利先生にほめていただいたのはその時の一度きり。『若々しくて生き生きしていていいね』と。演技ではなく、その年齢の生身のままをほめられただけなんですけど(苦笑)。主演の影万里江さんを指して『人生を歩んで大人になって、あそこに到達するんだよ』と言われました」。一方、坂本にとって『オンディーヌ』は人生を変えた1本。高校3年生の時、初めて日生劇場で目にし、その美しさに心を奪われ、劇団四季の研究生に応募した。念願かなって最初に『オンディーヌ』に出演した際は水の精のひとりを演じたが「稽古でひと言しゃべるたびに『違う!』と怒られ、どんどんセリフが削られて(苦笑)。初日を迎えても感慨に浸るというより、とにかく必死でした」とふり返る。そんな坂本が忘れられないのは、稽古の帰りに電車で浅利と一緒になった際のエピソード。「小さな子を連れたお母さんが本を読んであげていたんです。それを見た先生が私に『君は結婚して子どもがほしいのかい?』と聞いてきて、私が『そうですね。母がよく読み聞かせをしてくれたので、同じことを自分の子にもしたいです』と答えたら『君はね、ひとりの子だけでなく、日本中の子どもにお話を聞かせる女優になりなさい』と。その言葉はずっと胸の中にあります」。そんな2人が『オンディーヌ』で何より大切にしたい魅力として口を揃えるのは「言葉」の力。末次は「とにかく絶対的に美しく、奥深い言葉がたくさん出てきます。それを聴いているだけでも心地よく感じられると思います」と頷く。坂本は今回、再演版演出にして主演も務める野村玲子らと共に、浅利の遺した言葉を掘り起こしながら、それを後進の若者たちに伝えるという役割も担っている。「作品の経験者である美沙さんや広瀬彰勇さん(水界の王役)の力も借りながら、日々稽古をしています。浅利慶太の演出って形があるものじゃなく精神、生き方。先生がこの戯曲の中に見出した“美しさ”をお客さまに届け続けていきたいです」。取材・文:黒豆直樹
2023年04月11日舞台『火の顔/アンティゴネ』が東京・吉祥寺シアターにて上演されている。2021年には「深作組ドイツ三部作」と銘打ち、『火の顔』を始めとするドイツ戯曲を3作品(『火の顔』『ブリキの太鼓』『ドン・カルロス』)、22年には「深作組新ドイツ三部作」の第一弾として、日本では80年ぶりの上演となる『オルレアンの少女-ジャンヌ・ダルク-』を上演した深作健太による演出のもと、ドイツの家族劇2作品を同時上演するという企画。1つは、ドイツ演劇界の新進気鋭の劇作家であるマリウス・フォン・マイエンブルクが現代の不条理を描いた『火の顔』で、ジャニーズJr.の人気グループ・少年忍者の川崎星輝主演で上演。もう一つは、戦後ドイツを代表する劇作家ベルトルト・ブレヒトが、ソフォクレスのギリシャ悲劇を今日的な意味を加えて改作した『アンティゴネ』で、NHK朝の連続テレビ小説『舞い上がれ!』のヒロインの同僚・山田紗江役でも話題の大浦千佳主演で上演する。初日を前に行われた『火の顔』のゲネプロ(総通し舞台稽古)を観た。登場するのは、確かにどこにでもいそうな“普通”の4人家族だが、物語の序盤からどこか歪でぎこちなさが感じられる家族である。父親(宮地大介)と母親(愛原実花)に反発を強めていく、思春期真っ只中の姉・オルガ(大浦千佳/小林風花※Wキャスト)と弟・クルト(川崎星輝)。そこへ突然、現れる姉の恋人パウル(富田健太郎/葉山昴※Wキャスト)。閉ざされた家庭に、新しい〈風〉が吹き込んだとき、思春期の少年に渦巻いていた〈炎〉は、音を立てて燃えあがるーーというあらすじである。前回2021年の上演のときは、北川拓実が主演でその好演ぶりが話題となったが、今回バトンを受け継いだ川崎星輝も非常に魅惑的。初日を前に「ドイツ戯曲とは何か、という所から始まった稽古期間。戦争、文化、少し刺激しただけで爆発してしまうほど、繊細な家族を考え続けた1ヶ月でした。何故僕たちは今、暴力に関する演劇を上演するのか、この舞台を通してぜひ皆様と一緒に考えたいです。僕の新しい一面、これからの可能性を見て頂けるよう全力で挑みます!」とフレッシュなコメントをしている弱冠18歳だが、その若さと危うさと狂気と色気が混じり合う“不安定な感じ”がクルトそのもの。なかなか難しい役柄を堂々と演じ切ったと思う。時代も国境も超えた2つの家族劇を、同じキャスト、同じセットで上演するという。そこから何が見え、何を感じるのか。ぜひ2作を見比べてみたい。公演は4月16日(日)まで。※川崎星輝の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記です。取材・文:五月女菜穂
2023年04月11日韓国で大ヒットしたミュージカル『フランケンシュタイン』『ベン・ハー』の作曲家:BRANDON LEE、指揮:イ・ソンジュンが贈るシンフォニーコンサート。韓国ではわずか5分でチケットが売り切れたミュージカルシンフォニーコンサートが、6月17日(土)東京・文京シビックホール、6月19日(月)大阪・フェスティバルホールにて開催される。「BRANDON LEE ミュージカルシンフォニーコンサート フランケンシュタイン&ベン・ハー」チケット情報韓国ミュージカル界トップ俳優のユ・ジュンサン(大阪公演のみ)、パク・ミンソン、ミン・ウヒョク(東京公演のみ)が来日。さらに追加キャストとしてKAIの出演が決定した!日本ミュージカル界からは『フランケンシュタイン』のアンリ/怪物役を熱演した加藤和樹が出演しており、韓国公演と日本公演のアンリ役の二人が念願の共演を果たすことになる。演奏は、東京公演は東京フィルハーモニー交響楽団、大阪公演は関西フィルハーモニー管弦楽団。豪華コラボが実現する。オーケストラとイ・ソンジュンの演奏にあわせて、『フランケンシュタイン』『ベン・ハー』に過去出演した韓国・日本界のトップミュージカル俳優が作り上げる日本初のコンサートは見逃せない!東京公演は4月16日(日)23:59まで、大阪公演は4月12日(水)11:00までチケット先行抽選プレリザーブを受付中。
2023年04月10日5月20日(土)・21日(日)の2日間、神戸メリケンパークにて2度目の開催を果たす『KOBE MELLOW CRUISE』。先日までの解禁ではメロクルで観られることを多くの人が待ちわびているアーティストの面々、また、昨年度とは違った新たな風を吹かせてくれるアーティスト等が勢ぞろいした。『KOBE MELLOW CRUISE 2023』チケット情報そして今回は、各日の幕開けを飾るオープニングアクトを含めた出演アーティストが最終発表された。Hip Hopコレクティブ“Tha Jointz”にも名を連ね、大阪を拠点に活動するラッパー、MFSが20日(土)のオープニングアクトとして登場。また、21日(日)にはJAZZDOMMUNISTERSのN/K(a.k.a菊地成孔)とヒップホップMC・トラックメイカーであり元SIMI LABのQNによるコラボレーション・ユニットQ/N/K(QN+N/K a.k.a 菊地成孔)、さらにオープニングアクトとして、日本とアメリカをルーツに持ち、多文化なスタイルを取り入れ、高いスキルで日本語と英語を組み合わせたラップを魅せるWez Atlasが決定している。チケットは、4月14日(金)18:00まで先行先着プリセールを実施中。アパレルやフード出店情報等も随時更新されるので、続報をお見逃しなく。
2023年04月10日FM802主催の野外音楽フェスティバル『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2023』が、5月27日(土)大阪・万博記念公園もみじ川芝生広場にて開催される。『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2023』チケット情報出演アーティストは、SHISHAMO、スキマスイッチ、Da-iCE、ナオト・インティライミ、ハンブレッダーズ、ビッケブランカ、yamaの7組。本公演は、FM802のコーポレートアイデンティティである「Meet the music on the radio」を体現するイベントとして、「ラジオで音楽を伝え、ライブでアーティストを伝える」という理念のもと、1990年に誕生し、毎年恒例のイベントとなっている。第2回(1991年)からリスナー無料ご招待という形で実施されてきたが、今年からチケットは有料で開催される。緑豊かな万博記念公園で、家族・友人などと一緒に、1日を通して様々な音楽を楽しんでほしい。チケットは、4月23日(日)23:59までオフィシャルHP先行(抽選)を受付中。
2023年04月10日