チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (86/342)
日本初演から上演50年を迎えた松本白鸚主演のミュージカル『ラ・マンチャの男』が9月7日、大阪のフェスティバルホールで幕を開けた。白鸚は1969年、当時市川染五郎だった26歳でこの作品に主演し、翌年、日本人としては初めてブロードウェイから招聘され現地でも出演。以後、作品とともに50年の歩みを続けている。「ラ・マンチャの灯がいつまでも日本に灯されますように」と願う、今年喜寿の白鸚の、気迫のこもった演技と歌声が会場中に響き渡った。ミュージカル「ラ・マンチャの男」チケット情報16世紀末のスペイン・セビリアの牢獄が舞台。教会を侮辱した罪で投獄されたセルバンテス(白鸚)は、即興劇で申し開きをしようと思い立つ。セルバンテスは田舎の紳士キハーナと、キハーナが作り出したドン・キホーテを演じる。自由奔放なキホーテは遍歴の騎士となり、従僕のサンチョを従えて、真実を求める旅に出る。三重構造になった哲学的な物語は、頭で理解しようとするよりも、体感するほうが何かを得やすい。とても喜寿とは思えない、セルバンテス、キハーナ、ドン・キホーテの3役を務め、そのセリフが血肉となり、今、役を生きている白鸚を見ていると、誰が想像上の人物で何が現実かを考えるのがナンセンスになってくる。白鸚は「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生に、ただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ」というセルバンテスのセリフがこの作品のテーマだと語る。風車を巨人だと思い込み、娼婦のアルドンザを“憧れの姫”と敬う、狂人だと笑われるキホーテこそ、折り合いをつけず、あるべき姿のために真っすぐに戦っている真実だと気付かされていく。2009年からサンチョを演じ「やるたびに身が引き締まる」という駒田一と白鸚のコンビは、ますます息もピッタリで笑いと涙を誘う。初参加の瀬奈じゅんは「50年の歴史を台無しにしないように、プレッシャーと緊張感でいっぱい」だと話すが、力強さの中に悲しみ、切なさを抱えたアルドンザを演じ切った。余命幾ばくもないキハーナをサンチョとアルドンザが抱きかかえるシーンは、荘厳として悲しく胸を打つ。劇中劇が終わり、セルバンテスは一歩一歩、裁判所への階段を登っていく。白鸚は「この作品は私の亡き父と、亡き菊田一夫さんのふたりの見果てぬ夢なんです。僕は、男ふたりの夢を『見果てぬ夢』という劇中歌でレクイエムとして、感謝と祈りとこれからへの思いを込めて歌い続けてきました」と話す。また、「77歳の男がいう言葉ではないんですが、夢とは夢を叶えようとする心意気。口には出さないけれどそういう思いを胸に秘めた大人は素敵だと思います」ともいう。私たち観客の秘めた見果てぬ夢も背負って、今日も白鸚は舞台に立ち続ける。大阪公演は9月12日(木)までフェスティバルホールにて上演。その後、宮城、愛知、東京公演あり。チケット発売中。取材・文:米満ゆうこ
2019年09月09日朝海ひかる、平埜生成らが出演するこまつ座公演『日の浦姫物語』が9月6日(金)、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで開幕する。同日、報道向けのフォトコールと囲み取材が行われ、朝海、平埜、演出の鵜山仁が見どころを語った。チケット情報はこちら井上ひさし没後10年となる今年、“井上ひさしメモリアル10”と銘打ち、名作を連続上演しているこまつ座。第5弾となる今回は井上が1978年に文学座の大女優・杉村春子への当て書きで書き下ろした初期戯曲『日の浦姫物語』を、こまつ座としては初めて上演。平安時代の奥州を舞台に、双子の兄妹、稲若と日の浦姫の間にうまれた禁忌の愛。運命の激流に翻弄されたひとりの姫の物語を、悲しくもおかしく描く。囲み取材で演出の鵜山は「ひと言で言うと近親相姦の話。近親相姦はリスクがあるとは言われていますが、愛し合っている兄妹とその間に生まれた子どもを、タブーにかこつけて世の中から抹殺するために大人たちが忖度を働かせる。タブーゆえに排除されていく弱い者の姿を描く“弱い者いじめの芝居”だと僕は思っているところがあります。色々な生き方を排除する、多様性に逆らうこと自体が世の中の活力を弱めている。もちろん井上さんの作品ですから、お客さまが入り、抱腹絶倒の喜劇になってくれるとありがたいのですが、かなり深淵なテーマを秘めた作品です」と作品の本質を語る。愛し合う兄妹を演じる朝海、平埜は会見でも息の合ったところをみせた。日の浦姫役の朝海が「日々セリフとの戦い、鵜山さんのリクエストとの戦い、生成君との格闘…いやラブシーン…に挑戦してきました(笑)」と語れば、稲若/魚名太郎役の平埜は「日々稽古の中で朝海さんと一緒に愛を育んでいったのですが、なんか、夢に出てくるんですよね、朝海さんが」。そんなふたりにお互いの魅力を問うと、平埜がまず「夢に出てくるくらいなので…魅力を語るというか、もはや“好き”なので…(語れない)」と悩みつつ、「魅力は、顔、声、スタイル、お芝居に対する姿勢。完璧なパートナーをこの舞台で見つけることが出来たので幸せです」とベタ惚れっぷりを披露。それを笑いながら聞いていた朝海も「私にないものを全部持っている。何度も平埜さんの不思議な感性に救われて、お芝居させてもらっています。顔をあわせるたびに「きれいな顔だなー」と思っています」と返す。最終的には平埜が「すみません、いちゃついて」と報道陣に謝るほどのやりとりが繰り広げられた。ほか出演は辻萬長、毬谷友子ら。公演は9月23日(月・祝)まで同劇場にて。チケットは発売中。
2019年09月06日長野の貧しい家庭に生まれ、独自の才覚で実業家となった橋本ひろしの生き様を、実際のオリジナル楽曲も盛り込みながら描く「今、僕は六本木の交差点に立つ」。1952年生まれの橋本が、なぜ50代になってシンガーソングライターとなったのか、そこに至るまでの軌跡も、アツい温度感で描かれる本作。主人公の“稲本ふとし”に中村誠治郎が扮するほか、有澤樟太郎、定本楓馬、さらに山寺宏一と、充実のキャストで贈る本作。初日直前の9月初旬、その通し稽古を見学した。稽古場に足を踏み入れると、畳の部屋に敷かれたせんべい布団や、昭和を思わせる懐かしいデザインの扇風機、炊飯器などの小道具が。物語はサングラスをかけた“現在”のふとしが、ライブハウスでギターをかき鳴らすシーンから始まる。客に容赦なくツッコむ泥臭さ全開のトークも、次第にまっすぐな力強さを帯びるのは、演じる中村の美形だが愛嬌あるたたずまいが大きいだろう。続く歌のシーンでは、激しい動きのあまりサングラスが吹っ飛び、制作方の松田誠プロデューサーや演出の赤澤ムックら、スタッフ陣から思わず笑いが漏れるひと幕も。続いて時間は30年ほど巻き戻り、長野の高校を出て東京・板橋の電気屋を手伝っていたふとしが、失意の中、帰郷の荷造りをしているシーンに。そこへ高校の同級生だった俊(有澤)がやってくる。スラリとした長身に“ジーパン”を着こなした俊は、すっかりスマートな“東京の大学生”。それでも本心からふとしの可能性を信じている気持ちが、その誠実なたたずまいから伝わってくる。ここでもジタバタする中村を有澤が止めようとして、中村が机に激しく足をぶつけ、シュンとなるハプニングが!その様子はそのまま、単純だが憎めないふとしの性格を表わしているようで、傍で見ていたキャストたちも思わず笑顔に。中村自身のもつキャラクターが、いい意味で役と重なっているのがわかる。キーマンとなる久保田康徳役の山寺宏一は、「久しぶりの舞台」と言うものの、セリフの端々から久保田の内面までにじませる演技はさすが。硬軟自在の様子に、キャスト陣も真剣に山寺の芝居を見つめていた。また後半で実業家の津田山涼介を演じる定本楓馬は、前半では物語の狂言回し役。さりげなくも的確な進行で展開の一翼を担う。その他、小劇団出身ならではの細かすぎるアドリブで場を盛り上げる久ヶ沢徹、確かな存在感で物語に厚みをもたらす中込佐知子ら、舞台を引き締めるベテラン勢も頼もしい。すべてが効率とスマートさで測られる今の時代、あえての熱量と不格好さで観客に問いかける本作。そのざらざらとした手触りは、ぜひ劇場で実感してほしい。取材・文/佐藤さくら
2019年09月06日二代目松本白鸚が26歳の頃から主演を続けるミュージカル『ラ・マンチャの男』。今年は日本初演50周年記念公演が全国4都市で上演される。白鸚は日本初演の翌1970年に日本人として初めてブロードウェイから招待を受け、単身ニューヨークへ渡り、全編英語台詞で計60ステージを完走した。本作はトニー賞ミュージカル作品賞ほか計5部門を受賞。その中で脚本の故デール・ワッサーマンは生前、受賞トロフィーを「この作品にふさわしい人に渡してほしい」と言い遺しており、日本上演通算1200回記念公演の日にはワッサーマン夫人から白鸚にトロフィーが授与された。白鸚は今年77歳の喜寿を迎え、本ツアーで通算上演回数は1300回を更新する予定だ。そんな伝説的作品で、元宝塚歌劇団月組トップスターの瀬奈じゅんがヒロインに初挑戦する。ミュージカル「ラ・マンチャの男」チケット情報『ラ・マンチャの男』は、スペインの作家・セルバンテスの代表作『ドン・キホーテ』をもとにした舞台。小説とセルバンテスが投獄された史実を絡めて描かれた作品で、三重構造で展開する。舞台は16世紀末のスペイン。宗教裁判で有罪となり投獄された作家セルバンテスは、獄中で自らが書いた『ドン・キホーテ』を囚人らと劇として上演する。主人公の田舎の郷士キハーナは、自らを遍歴の騎士ドン・キホーテと思い込み、悪を成敗する旅に出る。白鸚は作者セルバンテス、キハーナ、そしてドン・キホーテの3役を演じ分け、瀬奈は囚人として、ドン・キホーテには憧れの姫ドルシネアに見える、あばずれ女アルドンザを演じる。オーディションでヒロインの座を射止めた瀬奈。『ドン・キホーテ』はシンシア・ハーヴェイ出演のアメリカン・バレエ・シアターの作品で慣れ親しみ、幼少期は祖父の家に飾られたピカソが描いたドン・キホーテの抽象画が大好きだったと振り返る。「陽気だけど影もあり滑稽さも感じられる絵の世界観が大好きでした」。そして初めてミュージカル版を観た際には、出演者らの気迫に圧倒されたという。「ギターの音色に合わせて踊る、そのシルエットから始まり、冒頭から早くも鳥肌が立ちました。ドン・キホーテの台詞ひとつひとつが深くて、観る度に捉え方が変わる。それは演じる白鸚さんご自身が積み重ねてこられた人生そのものに起因することなんだろうなと。歴史ある作品を前に今必死にお稽古をしています」。稽古では「相当な気力と体力が必要な役だと実感した」という瀬奈。「短い間に様々なことが凝縮された劇中劇なので、瞬発力が必要ですし、アクロバティックな演出もあり、家に帰ると何でこんな所にアザが?という感じ。白熱のソロナンバーでは、稽古で初めて歌い終わった後に目の前がチカチカしました。喉のケアを大切に、お客様には新しい気持ちで楽しんでいただけるように頑張ります」。公演は9月7日(土)から12日(木)まで大阪・フェスティバルホール、10月4日(金)から27日(日)まで東京・帝国劇場にて上演。他、地方公演あり。チケット発売中。文:石橋法子
2019年09月06日井上ひさし没後10年のメモリアルイヤーである今年、最後の書き下ろし戯曲となった『組曲虐殺』が7年ぶりに再々演される。主人公の小林多喜二を三度演じるのは井上芳雄。10年前の初演以来ずっと心にあったと語るほど思い入れのある作品に、今どう向き合い、何を伝えてくれるのだろうか。『組曲虐殺』について、「自分が演劇をやらせてもらう意味があるかもしれないと思わせてくれた特別な作品」と井上は言う。演じたのは、プロレタリア文学の旗手として、貧しい人々が苦しむ世の中を変えたいと活動した小林多喜二。言論統制が激化して命を脅かされるような状況下にありながら信念を貫いた青年である。「初演は、こんなに大きな人物を演じるに値しないと思いながらも、みなさんの力に支えられてただただ一生懸命やらせてもらいました。そして、井上ひさし先生や多喜二に恥ずかしくない人間でいたいと思うようになったんです。だから、理想論かもしれないですけど、世の中が少しでも良くなるような生き方ができたらと思いますし。そういう使命感を基本に持ちながら、作品や役を表現できたらと思っているんですね」。再々演への思いは強い。自身にとっても大切な作品であるうえに、格差や排他感情、全体主義的な動きが激しくなるばかりの今、世界が多喜二の時代に逆戻りしている気がしてならないからだ。「井上先生はきっと今を見越しておられたんだと思いますが、やっぱりもう一度あの時代に戻るわけにはいかないですから。観て何を感じていただくかは自由ですし、演劇にできることは本当に小さいかもしれないんですけど、こういう時代があったんだという事実はちゃんとお伝えしたいなと思っています」。しかも、その事実の伝え方に、楽しい工夫がされているのが井上ひさし作品である。「井上先生が描いている多喜二は周りの人に愛されていて、多喜二も含め、みんな本当に明るく生きているんです。だから、悲劇的な面だけではなく、その力強さも表現するのが務めだろうなと思っています」。そしてその表現には音楽も使われる。「なかでも『信じて走れ』には、希望をつないでいこうという井上先生のメッセージを感じて、歌うたびにすばらしい曲だなと思うんです」。今回の上演では、初演から続投する神野三鈴、山本龍二、高畑淳子に加え、上白石萌音、土屋佑壱の新メンバーも加わる。こうしてまた作品がつながっていくことも喜びのひとつ。「みんなで“今”の『組曲虐殺』を作って、初演を超えたいと思います」。(取材・文:大内弓子)組曲虐殺は10/6(日)~10/27(日)まで天王洲 銀河劇場にて上演後、福岡、大阪、松本、富山、愛知を巡演。
2019年09月06日2011年より恒例の、る・ひまわりと明治座によるコラボ企画「年末祭シリーズ」。2019年末は『明治座の変麒麟にの・る』と題し“本能寺の変”を描く。W主演の平野良と安西慎太郎、シリーズ初出演の神永圭佑に話を聞いた。【チケット情報はこちら】なんと3人ともが最近「共演したいね」と言い合っていたそうで、配役には驚いたようだ。「2週間ほど前に慎太と「いつか一緒にやりたいね」と飲んでいたので、共演を聞いてドッキリかと思った!」(平野)。「共演できることが嬉しいです。個人的には、サイコパス気味な織田信長という役柄が楽しみですね!」(安西)。はしゃぐふたりの一方、神永は淡々と「僕なんかが明治座さんに立てるとは思ってなかったのでビックリ。すごくいいお芝居するおふたりと共演できることにも震えました」と静かにコメント。その落ち着きぶりに平野が「年齢ウソついてない?」と驚くと、安西が「しっかりしてるように見えるけど、実はすごく可愛い」と暴露。神永は隣で苦笑いを浮かべた。上演は二部制。一部では歴史上で最も謎が多いと言われる“本能寺の変”の物語。見どころは「秘密がある」(安西)という点だ。平野も「それぞれに秘密があって、みなさんのイメージする歴史のキャラクターと違う。中国神話に登場する“麒麟”が関連してスケールも大きいし、ファンタジー要素が加わった歴史ミステリーです」と、また神永も「秘密の内容と展開が面白い」と口をそろえる。その“秘密”とは!?また、第二部は番外編「3.5次元舞台~日本の歴史~」だ。安西は「いつもと違う挑戦。とにかくやってやろう!」と真面目に頷く。平野は「キラキラしたい。キャーキャー言われたい(笑)」と個人の願望を熱弁した。神永は落ち着いた口調で「去年、いい役者になるためには、と悩んだ。でもいろんな方の支えをうけ、より頑張ろうと決めた今年の締めくくりとなる作品だから、食らいついていきます」と語ると、平野は「役者、きっと向いてるよ」とエールを送った。今回のタイトルについて平野は「中国の神獣・麒麟。歴史ミステリーにファンタジー要素が加わって、スケールが大きい作品。幼なじみがふとした時にめっちゃ可愛く見える瞬間、みたいな作品」と真顔で言い、ふたりが爆笑を返す。終止笑いが溢れ、「楽しんでやろう!」という意欲を感じるインタビュー。年末、舞台でどうぶち上がるのか楽しみだ。公演は12月28日(土)から31日(火)まで、東京・明治座にて。チケットぴあでは9月8日(日)10時より、先行先着を受付。取材/河野桃子
2019年09月05日中村誠治郎が主演する『今、僕は六本木の交差点に立つ』が、9月4日に東京・天王洲 銀河劇場にて開幕した。“経済界の風雲児”と称される実業家・シンガーソングライター、橋本ひろしの半生をモチーフにした物語が繰り広げられる本作。莫大な富と名声を手に入れた彼は、なぜ50代で音楽活動をスタートさせたのか──。TRASHMASTERS主宰の中津留章仁が脚本を、赤澤ムックが演出を手がけ、橋本を連想させる主人公・稲本ふとしを中村が演じる。舞台はふとしのライブ場面で幕を開ける。MCと歌が混然一体となった“トーキングブルース”で知られる橋本のステージを彷彿とさせるように、ギターを抱えた中村は内省的なメッセージが込められた「天に向かって弓を射ろ」を熱唱。やがて登場するふとしの実業家仲間・津田山涼介(定本楓馬)の狂言回しぶりも手伝って、観客は自然とマクドナルドの日本第1号店が開店した1971年の東京へいざなわれていく。父の死で長野の実家に呼び戻された19歳のふとしは、一家の生計を立てるためにさまざまな事業へ乗り出す。作品には、橋本が実際に手がけたプリント基板製造メーカー・キョウデンや生鮮コンビニ・SHOP99(現在はローソンストア100)などを思わせる企業が。持ち前の商才とコミュニケーション能力を発揮して次々とビジネスで成功を収めるふとしの立身出世に、親友・山口俊(有澤樟太郎)との友情やガンを患った中年男性・久保田康徳(山寺宏一)とのエピソードが密接に絡み──。劇中には、公演タイトルを含め「たまるか」「目標」「ハレルヤ」など橋本のオリジナルナンバー7曲が登場。いずれも前向きで、聞く者の心を鼓舞するようなむき出しの熱い歌詞が並ぶ。開幕に際して「橋本ひろしさんというすごい方の人生を生き抜きたい」とコメントを寄せたように、中村は情熱的な歌声とパフォーマンスでふとしの波乱万丈な人生を体現した。劇世界を彩る、アンサンブルのバラエティ豊かなステージングにも注目したい。交差点をイメージさせる、十字の八百屋舞台で展開する160分(休憩含む2幕)の濃密な人間ドラマを見届けよう。公演は9月8日(日)まで。チケットぴあでは現在、当日引換券を発売中だ。取材・文:岡山朋代撮影:源賀津己
2019年09月05日「いま最も旬でうまいラーメンは?」をコンセプトに関西最強のラーメンを決定する「第8回 究極のラーメンAWARD関西」が、9月5日(木)発売のムック本『究極のラーメン2020関西版』(ぴあ)にて発表された。“関西ラーメン四天王”と呼ばれる有名ラーメン通4名が選考委員を務め、1000店以上ものノミネート店の中から総合グランプリに選んだのは、上新庄で創業20年を迎える関西を代表する豚骨ラーメンの名店「博多とんこつ 天神旗」。濃厚かつ香りも秀逸で、味、仕事、風格ともに文句なしのラーメンマニアから圧倒的支持を受ける超人気店だ。グランプリの記念盾が贈呈され、店主の大鶴貴士さんは「ありがとうございます!故郷・博多のルーツを追い続け20年。頂きに上がれて感無量です」と、受賞の喜びをかみしめた。また、新店をはじめ、醤油、塩、豚骨、鶏白湯、味噌、つけ麺、バラエティなどの各部門のグランプリ&準グランプリ店も同時に発表。今回も関西のラーメンシーンの最新トレンドが分かる、興味深いラインナップとなっている。『究極のラーメン2020関西版』9月5日(木)発売本体690円+税ぴあ
2019年09月05日アニメから10年後の磯野家を描く 明治座9月公演 舞台『サザエさん』が9月3日に開幕した。その初日に囲み取材が行われ、主演でサザエ役の藤原紀香、マスオ役の葛山信吾、フネ役の高橋惠子、波平役の松平健、カツオ役の荒牧慶彦、ワカメ役の秋元真夏(乃木坂46)(Wキャストで齊藤京子/日向坂46)、タラオ役の大平峻也、タマ役の酒井敏也が登壇した。【チケット情報はこちら】会見で藤原が「脚本・演出の田村孝裕先生と共に、かなり細かく稽古を重ねてきました」と語ったように、芝居はもちろんセットや小道具、効果音に至るまで、隅から隅まで『サザエさん』らしさが詰まった舞台。キャラクターはそれぞれ10年前…つまりアニメの面影をしっかりと漂わせ、特に大学生になったカツオや、服飾学校に通うワカメ、中学生のタラオは思わず「大きくなった!」と親戚のような気持ちにさせられる役作り。逆にサザエや波平、フネ、マスオという大人の面々は、懐かしさすら感じられる魅力を放っている。特にオープニングは、誰もが「あの『サザエさん』だ!」という演出の目白押しで、ぜひ注目してほしいポイント。とはいえ舞台となるのはアニメの10年後の世界。「磯野家にもこういう問題がやってくるんだなということを、稽古場でも考えました」と藤原が語るように、波平は定年退職し、カツオは就職活動を控え、ワカメは課題に追われ、マスオは残業続き、タラオは勉強に忙しく、家族そろって食卓を囲む機会はほとんどなくなっていて、それぞれがリアルな悩みも抱えている。けれど、その問題をどうするかは、やっぱりサザエさん!と思う展開。高橋が「いろんなことを言い合えたり、喧嘩したり、ぶつかり合えたり。それが家族の良さ。“些細なことでもいいから何でも話して”っていうサザエさんの台詞は、時代が変わってもそうだなと思います」と語るストーリーはぜひ劇場で確認してほしい。また、ある意味で最も“舞台ならでは”な存在・タマについて、演じる酒井は「葛山さんの飼い猫の動画を見せていただいて、勉強しました」とサラリと話したが、実際はかなりのインパクト。客席に笑いを生む存在となっていた。三河屋さんや中島、穴子さん、花沢さんなどお馴染みのキャラクターも登場する舞台『サザエさん』は9月17日(火)まで東京・明治座にて、9月28日(土)から10月13日(日)まで福岡・博多座にて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月04日2005年にブロードウェイで初演され、トニー賞で10部門11ノミネート、ミュージカル主演男優賞を受賞した傑作コメディミュージカル『ペテン師と詐欺師』が東京・新橋演舞場で9月26日まで上演中だ。演出を手がけるのはテレビドラマ・映画でヒット作を数多く生み出し、舞台でも活躍するコメディの名手・福田雄一。そして主演するのは、福田とのタッグで数々のヒットをとばす山田孝之と、ミュージカル界の名優・石丸幹二のふたりだ。いったいどんなミュージカルになるのか。8月、稽古場の山田と石丸に聞いた。【チケット情報はこちら】若いアメリカ人詐欺師であるフレディ・ベンソン (山田) がやってきたのは高級リゾート地である南仏のリヴィエラ。そこでは凄腕の詐欺師ローレンス・ジェイムソン (石丸) が富豪の女性たちをターゲットに荒稼ぎをしていた。ローレンスの正体を知ったフレディは、その詐欺師の才能にほれ込むが、そのうちふたりは縄張りをめぐって敵対するように。ついにはアメリカ人旅行者のクリスティーン (宮澤エマ)から、先に5万ドルを巻き上げたほうが勝ちという対決をすることになる・・・。「出演が決まったときはプレッシャーよりも楽しみのほうが大きかった」と話す山田は、福田演出のミュージカル出演は3回目。「歌と踊りは不慣れなので、ただ緊張していますが、お芝居はたのしみ。石丸さんとのかけ合いで笑えるところがいっぱいありますし」と石丸との共演に期待をよせる。対する石丸も「ミュージカルの現場でご一緒でき、夢のようですね」と待望の共演だったことを明かし、「この作品もブロードウェイで観て、いつかやりたいと思っていた。ただ、絶え間なく笑いを呼ぶ作品なので、挑戦できることは光栄なことですが、いっぽうで緊張と不安もありました」と出演が決定したときの思いを語った。山田が演じるフレディは「若くてスキルはないけど、自信はあって調子に乗っている。そんな自分の未熟さを痛感したりもするんですけど、その根拠のない自信が彼のかわいさでもあると思う。対する相手によってキャラが変わっていくのが、おもしろいんじゃないかな」と自身の役柄を紹介。対決する石丸は役について「ベテラン詐欺師として自信満々でいた自分の縄張りに、若手のフレディがやってきて、もう一度初心に戻るカンフル剤になる。そこがおもしろい。この役は、ただの二枚目ではなく、シチュエーションに合った変化球を投げなければいけない」と意気込みを語った。ブロードウェイのミュージカルコメディで「観終わった後には、ハッピーな気持ちになれる作品」(石丸)だ。歌とダンスとともに大いに笑いたい。公演は9月26日(木)まで東京・新橋演舞場にて上演。チケットは発売中。
2019年09月04日9月に初来日する、ヨーロッパで今最も注目を集めるバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」。芸術監督を務めるマーティン・シュレップァー氏に、『バレエ・アム・ライン』、また公演する『白鳥の湖』の魅力について聞いた。【チケット情報はこちら】2009年より同バレエ団の芸術監督を務めるシュレップァー氏。すでに名のあるバレエ団ではあったが、氏の改革以来、大きく飛躍してきた。氏が芸術監督となってから変わったことは「アーティスティックな状況の変化」と語る。「新しく5つのスタジオがある”バレエハウス”を作ったこと、そしてカンパニーの名前が変わりました。美徳の部分を変えたと言えるのではないでしょうか。純粋なダンスに目を向けたというのは、決してストーリー性があるバレエをしないとか、嫌いとかではなく、アーティスティックな観点からの変革を続けてきたことで、我々のカンパニーに対する外からの評判や印象が変わったのではないでしょうか」また『白鳥の湖』は日本でも良く知られる古典だが、今作は2018年の同バレエ団の新作。氏が制作する中で一番のインスピレーションとなったのは、小澤征爾のチャイコフスキーだという。「私個人として大型の古典的な作品を取り扱うことを長くテーマにしていたのですが、その準備に3、4年は必要だと思っていました。『白鳥の湖』と『眠れる森の美女』で迷っていたとき、小澤征爾のチャイコフスキー原典版の録音を聞き、倒れてしまうぐらいの衝撃を受け、それが最後の決め手になりました」と話す。また優雅な踊りをイメージするバレエとは違い、同バレエ団の『白鳥の湖』はスピーディな動きも特徴だ。「私のレッスンというのはとても独特ですが、常識外れではない。音楽的なダイナミックさに合わせてすばやく激しく動くことを求めています。私のカンパニーのダンサーは、体格も違うし年齢も国籍も多種多様。日本人では加藤優子さんという素晴らしいダンサーがいて、彼女は47歳ですが偉大なアーティストです。私の作品は身体への要求は高いと思いますが、振付はいつもハーモニー(調和)なものではなく、私自身ヨーロッパ人なのでレジスタント(抵抗性)も好きですし、舞台上でのフリクション(衝突)を大事に思います。舞台上ではハーモニーたっぷりな作品よりドラマがあるほうが面白いものになりますね」公演は9月20日(金)・21日(土)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、9月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて。
2019年09月04日昨年の落語会を振り返り、『徂徠豆腐(そらいどうふ)』という古典への手応えを口にした笑福亭鶴瓶。今年の大ネタは『明烏(あけがらす)』に決めたと言う。50歳から本格的に落語と向き合った男に「古典落語」と「ライバル」をキーワードに話を聞いた。【チケット情報はこちら】「今回の『明烏』は東京・吉原を舞台とする落語なんですけど、物語も演出も大阪版に変えています。聴く落語としては東京を代表する(古今亭)志ん朝師匠の『明烏』が大好きなんですけど、自分がやるとなると泥臭さみたいなものを足したくなるんですよ。演出に関しては、東京にはない関西独自のお囃子を加えたらどうかなぁと。2日前かな。東京・北区の寄席で試しました。その寄席の女将がおもしろい人で“私、錦糸町のベットであなたの横で寝てて。痛かったぁ~”と。えぇ!?と思って詳しく聞いたら、マッサージ屋で、たまたま隣りになったんですって。錦糸町やし、ベットやし、ややこしいと(笑)」私落語と呼ばれる創作も手がける人ならば、古典落語に自分の色を加えるのも自然な流れ。だが、「壊す」だけでないのが鶴瓶色。先人であり『明烏』の名手である古今亭志ん朝の墓参りを欠かさず、長年受け継がれた古典への敬意を忘れることがない。「古典をやらせてもらう時に思うのは、“俺がいちから作ってるわけじゃない”ということ。その上で、少しでもおもしろくしたいと自分の色を加えているんですけど、じゃあ、志ん朝師匠の『明烏』がライバルかと聞かれても、そんなこと、おこがましくてよう言えません。僕が思うライバルの条件は、同じ時代を生きているということ。僕でいえば、所ジョージ、明石家さんま、ビートたけしとかね。うらやましいと感じる部分が、いっぱいあるすごい人たちですけど、勝ち負けよりも、あの人たちと一緒に同じ時代を生きられていることがうれしいんです。そういう意味では、落語界のライバルとして講談の神田松之丞が、同じ時代に現れたことはうれしいし、刺激になる。去年1度共演させてもらったんですけど……松之丞はすごい。化物です(笑)」実は、神田松之丞との共演時に選んだ噺が『妾馬』だった。江戸時代にもあったであろう講談と落語のぶつかりあい、その令和版。では、今年の大ネタ『明烏』はどのような噺に再構築され、育っていくのか。笑福亭鶴瓶は落語初心者にもおすすめな落語家ではあるが、点ではなく線で聴くべき表現者でもある。同じ時代を生きる観客として。「笑福亭鶴瓶落語会」は10月24日(木)大阪・森ノ宮ピロティホールを皮切りに全国で開催。東京公演は12月5日(木)から8日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。10月6日からの東京公演一般発売に先駆け、9月5日(木)11:00までいち早プレリザーブ受付中。9月6日(金)11:00からプレリザーブ受付開始。東京公演以外は、9月7日(土)より一般発売開始。取材・文:唐澤和也
2019年09月04日大阪を訪れる観光客の間で人気の「大阪周遊パス」をご存じだろうか。1日2,700円で主な大阪市内の電車・シティバスが乗り放題になるパスだが、人気の秘密は40か所以上もの観光スポットが無料で入場できるお得さにある。大阪観光で1度は訪れてみたい主要観光スポットを網羅したパスは、外国人観光客にも人気。今の季節だからこそおすすめしたいスポットをピックアップして紹介してみよう。「大阪周遊パス」チケット情報聖徳太子が建立した「四天王寺」(通常:300円)は、全国的にも有名である。大阪には四天王寺や天王寺にまつわる駅があり、地元の生活に溶け込んだ存在と言える。見どころは、日本最古の建築様式である四天王寺式伽藍配置。回廊に囲まれてそびえ建つ五重塔の高さは約39.2メートルにもおよぶ。内部拝観が可能で最上階まで登ることができ、大阪市内を一望することができる。また、東側にある本坊庭園(通常:300円)も、ぜひ併せて観光いただきたいスポット。四天王寺の後には、通称「なにわのエッフェル塔」大阪のシンボル通天閣(通常:800円)にも、足を伸ばしてもらいたい。幸運の神様・ビリケン像も必見。オフィシャルショップやカフェも併設され、お土産選びにもちょうどいい(ただし、無料入場は平日のみ)。小さな子供連れやファミリーにおすすめなのが、「天王寺動物園」(通常:500円)。11ヘクタールの園内におよそ180種1000点の動物を飼育する都会の動物園である。また、期間限定のイベントも見逃せない。「NAKANOSHIMA Night View Cruise」(通常:1500円)の運航期間は、10月1日~11月30日。大阪市中央公会堂や大阪城のライトアップ、剣先公園の大噴水、建ち並ぶビル群など、水と光が織りなす大阪の美しい夜景を楽しめるナイトクルーズだ。もうひとつおすすめのクルーズが、大阪港に沈んでいくダイナミックな夕日を眺める「帆船型観光船 サンタマリア トワイライトクルーズ」(通常:2,100円)。こちらも期間限定で、10月までの土日祝のみの運航となっている。以上の紹介した観光スポットがすべて無料で利用できる「大阪周遊パス」。もちろん、この他にも多くの無料観光スポットがあるので、ぜひ詳細な情報をチェックしていただきたい。
2019年09月04日ぴあ株式会社から9月5日(木)、神戸観光局監修による新しい神戸観光ガイドMOOK『神戸の本当』(A4版・104P)が全国の書店で発売される。この『神戸の本当』は「あなたの知らない神戸へ」をテーマに編集した、これまでの観光ガイド本とは異なる視点で神戸の街を捉えた観光ガイド。有名観光地に加えて、1868年の神戸港開港以降に培われてきた西洋文化との融合の歴史や、観光者にはなかなか情報が届かない地元神戸市民が愛する店や場所、大切なゲストをもてなせる厳選神戸グルメガイド、知られざるフォトジェニックなスポットなど、多面的な切り口で神戸の深い情報を紹介する。全編「神戸愛」にあふれた誌面は、神戸の街を理解する上でとても役立ち、読み応えがある一冊と言えるだろう。紹介エリアも三宮・元町の中心エリアだけでなく東灘区から兵庫区、北区、六甲・有馬エリアまで幅広く、それぞれの新しい街の魅力、楽しみ方を紹介し、読者に新発見を与えてくれるはず。『神戸の本当』は全国主要書店にて9月5日(木)より発売開始。「神戸」と聞いて、イメージするものが異人館、南京町、ポートタワー、メリケンパーク…だけではもったいない!ぜひこの本を手に、知られざる神戸の魅力に触れてもらいたい。『神戸の本当』9月5日(木)発売本体880円+税ぴあ
2019年09月04日11月5日(火)から25日(月)までBunkamuraシアターコクーンにて、市川海老蔵第五回自主公演「ABKAI 2019~第一章FINAL~『SANEMORI』」が上演される。その製作発表会見に十一代目市川海老蔵が登壇した。【チケット情報はこちら】「ABKAI(えびかい)」は、海老蔵が“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”の融合を目指し、2013年夏に初めて自らが企画・製作を行った舞台。歌舞伎を縁遠く感じていたり、舞台を観る機会の少ない方々でも、気軽に足を運んで歌舞伎を楽しめるよう、日本昔話や古事記など、幅広い世代に馴染みのある題材を扱ってきた。十一代目市川海老蔵として最後の「ABKAI」となる今回は、『SANEMORI』と題し、「源平布引滝 (げんぺいぬのびきのたき)」より「実盛物語」を主軸とした、新たな歌舞伎の舞台を創り上げる。「実盛物語」は、平家に仕えながらも源氏に忠を尽くさんとする斎藤実盛の生き様や、ドラマ性があふれる、時代ものの名作と称される作品だ。舞台を中心に活躍するジャニーズJr.の人気急上昇中ユニット「Snow Man」から宮館涼太と阿部亮平が出演するのも見どころのひとつ。若い世代にも歌舞伎の楽しさや醍醐味を感じてもらう狙いがある。FINALの演目として「実盛物語」を選んだことについて海老蔵は、「源平の戦いの中での白旗の重み、それを守るために命を懸ける人々の様をクローズアップした作品。歌舞伎の良さが詰まった作品だが、その面白さがなかなか分かりづらく、もっと分かりやすい演目に仕立てたいと以前から考えていた」とその理由を語った。真剣に見どころを語る一方で、「『ABKAI』という名前は海老蔵だからではなく、自分自身がAB型であることが由来で、市川團十郎を襲名しても『ABKAI』は続く」と発言し、会場の笑いを誘う場面も。共演する「Snow Man」の宮館、阿部については、「立ち回り、動きの面での活躍を楽しみにしている。彼らから学ぶことが沢山あると思っている」と、期待を滲ませた。最後は、「多くのお客様に来ていただけるよう努力をしながら、古典を継承していくことが歌舞伎界にとって1番大事。また、弟子たちが活躍できるような公演を企画することで、若手にも希望のもてる歌舞伎界にしていきたい」と公演の意義を語り、会見を締めくくった。チケットぴあでは、9月8日(日)から一般販売が開始される。取材・文:松崎 優美子
2019年09月04日カナダ・モントリオールを拠点に活動し、Mac DeMarcoバンドでギタリストを務めていたことでも知られる天才クリエイターPeter Sagar(ピーター・セイガー)によるプロジェクト、ホームシェイクの待望のジャパンツアー開催が決定した。【チケット情報はこちら】ジャズやソウル、R&Bからの影響を感じさせる独特なリズムの揺らぎとルーズな歌心を伴ったベッドルーム・ポップを生み出すホームシェイクの4枚目となる最新作『Helium』は、ヒップホップのメロウネスとビート感、甘く奇妙なポップ・センス、洒脱で歪なソングライティングが、密室から一点で結びついた奇跡の傑作!!“籠もれば籠もるほど外に通じる” そんな逆説がそのまま音になった。2018年の来日ツアーではフライトの都合で大阪公演が泣く泣くキャンセルとなっており、約2年ぶりの待望のジャパンツアーとなる。今回のツアーは東京、京都公演の2会場で開催。チケットの一般発売に先駆けて、チケットぴあでは主催者先行を実施中。受付は9月9日(月)午後11時59分まで。■HOMESHAKE(ホームシェイク)2020年3月13日(金)duo MUSIC EXCHANGE(東京都)2020年3月14日(土)京都METRO(京都)
2019年09月03日朝夏まなとが主演を務めるミュージカル『Little Women -若草物語-』が9月3日(火)に開幕する。それに先がけ囲み取材と公開ゲネプロが行われ、取材には朝夏まなと、彩乃かなみ、井上小百合(乃木坂46)、下村実生(フェアリーズ)が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、名作小説『若草物語』とその続編『続・若草物語』を下敷きに、2005年にブロードウェイで初演されたミュージカル。主人公で次女のジョーを朝夏、長女のメグを彩乃、三女のベスを井上、四女のエイミーを下村が演じるほか、林翔太(ジャニーズJr.)、宮原浩暢(LE VELVETS)、川久保拓司、久野綾希子、村井國夫、香寿たつきが出演する。翻訳は小山ゆうな、演出・訳詞は小林香。取材ではまず朝夏が「いよいよ始まるんだなと実感しています」と笑顔で語り、「家族や姉妹という“絆”が大事な作品ですが、このカンパニーは皆さんが温かく、今すごくいい状態だと思います」と話す。自身の役柄について、朝夏は「ジョーは、女性は結婚して子供を産むことが当たり前な時代に自分の夢を追いかける人です。それも、(自分のためだけでなく)家族のためにそうありたいと思っている。演じていて、強い精神力と挫折しても立ち上がる強さを感じます」、彩乃は「メグは夢見がちでロマンティックなものが好き。唯一、マーチ家が裕福だった時代の記憶があるので、過去と今を比べてしまったりするのですが、ある男性と出会うことで自立していく過程がよく見える人です」、井上は「ベスは三女ということもあってか、真ん中の視点で人をよく見ていて、いろんな人の影響を受けたり与えたりもしている人です。病弱で人見知りですが、私はベスから生きることの強さを学びました」、下村は「エイミーはおしゃまでかわいいものが大好きな女の子です。一幕ではまだまだ子供なのですが、色々な出来事と共に成長していって、二幕では大人の姿になります」とそれぞれ紹介した。ジョーを中心とした四姉妹のエピソードがテンポよく描かれていく本作。有名な小説家になって家族になんでも買ってあげたいと突き進むジョーをはじめ、登場人物それぞれが生き生きと人生を生き、そしてやさしく支え合う姿が数多く観られる作品だ。それぞれの“人との関わり”がそのままのカタチで表現されている楽曲も1曲1曲が印象的。また、10人のキャストだけでつくりあげる舞台は、例えばジョーの書く“流血もの”小説も彼らよって再現されるため「あの人があんな役を!?」と思わず笑ってしまう楽しいシーンとなっていた。細部まで凝ったセットや衣裳もぜひ注目してほしいポイントだ。『Little Women -若草物語-』は9月25日(水)まで東京・シアタークリエにて上演後、愛知、福岡を巡演。
2019年09月03日サンミュージックに所属する若手男性俳優11人で構成されるユニット「SUNPLUS」の第1回舞台公演「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」が10月に東京・新宿村LIVEで上演される。2015年のユニット結成より4年。目標のひとつだったという舞台公演が決定して感じていることを蒼木陣、井澤巧麻、佐奈宏紀に聞いた。【チケット情報はこちら】結成からファンミーティングやイベントを中心に活動してきたSUNPLUS。本作の上演決定には「やっとです!」と口を揃える。俳優のユニットだからこそ「お芝居は結成して最初のミーティングからやりたいと言ってきた」(井澤)というが、当時は集客が見込めず叶わなかったと明かし、「だんだん応援してくれる方が増えてきて、『今ならできるかもしれない』と実現しました」(佐奈)と感慨深い表情を見せた。メンバー11人でつくる会話劇の脚本は宮本武史、演出は赤澤ムック。全寮制男子校を舞台に、登場人物それぞれが抱える不安や悩み、そこから1歩を踏み出すまでの葛藤を描くという。それぞれの役柄は「本人のキャラクターに寄せつつも、課題も与えてくれているのを感じます」(蒼木)という当て書きの要素もあるようだが、蒼木は「偽善者で外面は完璧という役」、井澤は「複雑な生い立ちでトラウマも抱える役」という一方、佐奈は「何でもそつなくこなすプレイボーイな役」と、どんな展開になるのか気になる設定だ。さらに描かれる人間関係にも「僕たちのリアルな関係性が生かされそう」(井澤)と、まさにSUNPLUSのために生まれた物語となる。「第2回、第3回ができるかは、今回の僕たち次第。今までにないプレッシャーがあります」(佐奈)という本作。これから始まる稽古に向けて、井澤は佐奈に「別の舞台で共演したとき、佐奈は座長で、めちゃくちゃがんばっていたし引っ張ってくれた。今回もそのエネルギーで座組を盛り上げてくれたら嬉しい」、佐奈は蒼木に「陣くんは最近目の色が変わってきてる。話していると、お芝居で大事にしたいものが見つかってきているような感じがする。いいところは盗ませてもらいたいし、お互いのこだわりを共有して、上手く混ぜて、新しい色にできたら、いい作品になると思う。いろいろ話したいです」、蒼木は井澤に「SUNPLUSって今まであまりぶつかることがなかったけど、今回はもしかしたらぶつかることもあるんじゃないかなと思ってる。だからこそ本音で話したい気持ちでいます」とそれぞれメッセージを送り合った。3人が「新しいお客さんにもぜひ来てほしい!」と口を揃える本作は10月18日(金)から27日(日)まで東京・新宿村LIVEにて。チケットは発売中。
2019年09月03日ELLEGARDEN/THE PREDATORSの高橋宏貴(ds)が結成したインストゥルメンタル・バンド、PAMが9月4日(水)に1stフル・アルバム『How have you lived?』をリリースする。PAMは、高橋と北海道を中心に活動しているバンド、トリコンドルの久米優佑(g)の2人組で、2018年に結成された。ふたりに新作やツアーに向けて話を聞いた。【チケット情報はこちら】在籍してきたバンドのジャンルが異なるふたりが出会ったきっかけを聞くと「(ELLEGARDEN休止中に高橋が在籍していた)Scars Boroughで活動している頃に、縁あってよく北海道に行ってて。久米がやっていたトリコンドルと対バンする機会が何度かあって仲良くなったんです。久米のステージ観たときに“あっ、一緒にやりたいな”って思いましたね」(高橋)。「純粋に嬉しかったです。今30歳なんですけどバッチバチのELLEGARDEN世代だったんで(笑)」(久米)トリコンドルはインスト・バンドだが、高橋がこの音楽性を展開することは意外な印象を受ける。「te’というバンドのサポートをやらせてもらって、それでインストに興味を持ったというのも大きいですけど、トリコンドルがすごい刺激的なんですね。いろんな要素が重なって久米とやってみたいと思ったんです。本来、歌を殺すドラムがだいっ嫌いで絶対に立てていきたいんですけど、ボーカルが居ないとオレの感性がどうなるんだろう、とか興味深かった」(高橋)。本作に収録された全10曲は、実に幅広い音楽性を巧みに飲み込んでいて、ギターとドラムのセッション感、せめぎ合いに圧倒される。8月21日千葉からスタートしたツアーは、11月3日(日)恵比寿club aimまで全国各地を廻る。ライブもベースやギターの音源は同期させるものの、ふたりだけで演奏される。「久米が作ってくる曲が速いのが多くて、この歳になってくるともうちょっと休める音楽をやるのかなと思ってたらまたさらに速くなる、みたいな(笑)。エキサイティングですね、歌がなくて自分がしゃしゃり出て良いところも結構あるんで」(高橋)PAMの将来について想いを聞くと「海外に行ってみたい。アメリカとかイギリスとか行ってどういう化学反応が起こり、受け入れてもらえるかなという興味はあります。それからインストというカテゴリーだけじゃなくて普通のバンドとも日本でいっぱい対バンしたいな。そういうの考えるとワクワクしますね」(高橋)インストは1番間口が広い音楽に感じるというふたり。言葉もないからその“自由さ”を楽しんで欲しいし、“ライブをすごく大事にしている”というこだわりをぜひとも生で体感して欲しい。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2019年09月03日黒柳徹子スペシャル『ラヴ・レターズ』が10月7日(月)から16日(水)まで東京・EXシアター六本木にて上演される。出演者の高橋克典に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、故・青井陽治の翻訳・演出により1990年から毎回さまざまなペアで上演され続けてきた二人朗読劇。お互いを意識しながらも結ばれなかった幼馴染の男女が時を経て再会し、別々に過ごした日々を取り戻すかのような時間を、手紙のやり取りによって描く物語で、今回は女性・メリッサを黒柳徹子が、男性・アンディーを高橋克典、筒井道隆、吉川晃司がそれぞれ務める。演出は藤田俊太郎。本作を「とてもやりたかった」と明かした高橋。今回の出演を「すごく嬉しいです。僕は以前、(黒柳の半生を描いた)ドラマ『トットちゃん!』で、徹子さんの人生において大きな存在である飯沢匡さんの役をやらせていただきました。今回はそういうご縁もあったのかな。でもなにより『黒柳徹子と芝居できる』というのがすごく楽しみです」と意気込む。テーブルに2脚の椅子というシンプルな舞台セットで、手にした台本を読んでいく、ふたりきりの朗読劇。稽古もたったの1日だが、高橋はその1日すら「あまりしたくない」という。その理由は「稽古場でやっちゃうともったいないと思うんです。例えば家庭での絵本の読み聞かせなんかでも、初めのうちは普通に読んでいても、読んでいるうちにだんだんとその人だけのキャラクターで読み出しますよね。僕はあの瞬間にワクワクする。この作品の面白さはそこだと思うんですよ。通常の舞台では、役者が役を立ち上げていく様をお客様が観ることはできない。でもこの作品はそれが観える。それって稽古がないからこそです」稽古をしないと不安になりそうだが、「劇中でアンディーが“手紙を書いているときだけは自分自身でいられる”“なりたい自分でいられる”と言いますが、その“自分”って結局本当の自分なの?理想の自分なの?と思います。僕もこういうインタビューで話して、家に帰ってから“ああ言えばよかったな”とか思うことがある。つまり、手紙に書いてあることも、それがすべてかのように流暢に言えなくてもいいと思うんです。そういうところが面白いんだと思います」と、台本を手に持てる朗読劇だからこそ生まれるリアルもあると語った。高橋が「熱烈なラブストーリーですが、観終わった後にいろんなことを考えられる物語だと思っています。ふたりの恋は、1番の真実だったのか、むしろただの理想だったのか。非常にシニカルな話でもありますね」と語るふたりの熱い手紙のやりとりを、ぜひ劇場で!取材・文:中川實穂
2019年09月02日発達障害のピアニスト野田あすかが、昨年につづいて公演を行なう。前半はクラシック作品、後半は自作という構成だ。【チケット情報はこちら】前半で弾くヒナステラの《アルゼンチン舞曲集》(全3曲)についてこんな話をしてくれた。「1曲目は〈年老いた牛つかいの踊り〉という題名なんだけど、私が聴く限りはものすごくキレがいいんです。“年寄りじゃないだろう!”ってツッコミたくなる(笑)。3曲目は〈はぐれ者のガウチョの踊り〉。みんなとはぐれてどこかに走って行っちゃうカウボーイのお話なんですけど、ちょっと行き過ぎ(笑)。みんなの元に戻れたのかなって心配しちゃいます」視点が面白い。どんな音楽でも、このようにストーリーを考えながら弾いているのだそう。「作曲家がどう考えたのかをちゃんと調べて再現するのが大事だということを、知識としては知っているんだけれども、それをわかったうえで、私は自分の色を入れるほうが、弾きやすいし伝えやすいんです」でも、音楽学的な知識と同じぐらい、あるいはそれよりずっと、楽譜に向き合ってたどり着いた解釈が大事なはず。その意味で彼女は正統的だ。障害のせいで図形の認識が苦手。だから譜読みにとても時間がかかる。「ものすごく時間がかかってしまうから、耳で覚えて弾いてみたこともあるんですけど、それだと音色まで耳で聴いたように弾いてしまって、もう直せないんです。だから、どんなに時間をかけても、自分で譜読みするほうが、結局仕上がりは私らしい。大変だけど、今もその方法を続けています」そして自作曲。どのように作曲しているのだろう。「楽譜に書いた時点では自分がどんな曲を書いたのかわかりません。クラシックの作品と同じように一から譜読みして、“あっ、私、こういう曲を書いたんだ”って(笑)」どういうことかというと、彼女はまず、描こうとする風景や表現のイメージを点と線でスケッチする。見せてくれた作曲ノートには、ちょうど北斗七星のような図形がいくつも並んでいた。そしてその図形を、タブレットの楽譜アプリで、なぞるように音符を置いていくのだ。それが主題のモティーフとなり、展開し、和声づけしながら曲を完成していく。一見ユニークだが、最初の工程に視覚的な線画を用いているだけで、肉付けしていく過程は非常にオーソドックスな作曲法だともいえる。障害のあるピアニストとして報道されることをどう感じているのだろう。「最初はそれが嫌だと思って頑張っていたのですが、障害のある人もない人も、いろいろ悩みがあることに気づきました。そういう人たちが私のピアノを聴いて、悲しい気持ちや悔しい気持ちを少しでも涙として流せるとしたら、それは障害のためにいろんな悔しい思いをしてきた私だからこそできることかもしれない。私は障害を乗り越えたとは思っていなくて、これからも一緒に生きていこうと思っています。今回のコンサートでは、自作の新曲を何曲か発表する予定です。演奏を聴いて、来たときと違う気持ちで帰ってくれたらうれしいです」公演は12月22日(日)東京・トッパンホールにて。取材・文:宮本明
2019年09月02日稲垣吾郎主演舞台『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』が8月30日に東京・日本青年館ホールで幕を開けた。【チケット情報はこちら】2012年、2014年、2016年と3度に渡り上演された稲垣主演の舞台『恋と音楽』シリーズ。数々のオリジナルミュージカルを手掛けた実績を持つ劇団ラッパ屋主宰の鈴木聡が作・演出を担当し、鬼才のジャズピアニスト・作曲家の佐山雅弘が音楽監督を務め、好評を博してきた同シリーズ。そのクリエーター陣が再びタッグを組み、昨年夏に京都で上演された舞台がパワーアップして東京で上演される。共演には安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙という実力派女優3人が顔を揃えた。本作は音楽劇と、合間にショーが入る二部構成となっているところがユニーク。物語の舞台は国道沿いにある海の見えるダイナー兼ホテル。夏の終りのある日、ひとりの男性客・ジョージ(稲垣)が店を訪れる。ライザ・ミネリ好きという店主・ライザ(北村)が訳ありな様子の男に事情を聞くと、10年前に別れた恋人と、この店で今日再び会おうと約束したのだという。そこにホテルの宿泊客である若い女性・ニーナ(中島)、休暇中だという女社長・ビビアン(安寿)が現れ、男一人&女3人の夏の一夜が繰り広げられていく……というストーリー。過去の恋にセンチメンタルになりつつ、若い美女にはつい惹かれてしまうという、ちょっとお調子者のジョージを稲垣が好演。ときに子供っぽくなってしまう振る舞いも、彼のチャーミングさとどこか浮世離れした雰囲気が見事に魅力に変えている。また、彼を振り回す(?)3人の美女たちも、コミカルなライザ、謎めいたキャリア女性ビビアン、若さとパワー全開のニーナと三者三様。歌を交えた軽妙なやり取りが、とにかく観ていて楽しい。そして“楽しい”といえばなんといっても、間に入るショウタイム!全員がゴージャスな白い燕尾服に身を包み、生演奏に合わせて『ニューヨークニューヨーク』や『マック・ザ・ナイフ』などスタンダード・ナンバーを歌い踊っていく。京都公演からはショウの時間も拡大され、稲垣と北村のタップダンスシーンなど、追加された場面も見逃せない。初日前に行なわれた囲み会見で稲垣は、昨年11月に逝去した音楽監督・佐山について触れ、「暗い雰囲気は佐山さん自身が好きではないと思うので。稽古場でもずっと近くに感じながらやっていましたし、本番も1番の特等席で観劇してほしいですよね」とコメント。北村も「きっと今日いらしてますよ」と話し、キャスト全員が頷きあうひと場面も。稲垣は「(今回のキャストは)みんなエンターテインメントの世界でやってきて、でもちょっとだけ畑が違ったりとか、育ってきた環境も違ったりとか。そこがまたミックスされた面白さが特徴」と本作の魅力を語った。夏の終りにしっとりと愉しみたい“大人のエンターテインメント”と言えそうだ。公演は9月23日(月祝)まで日本青年館ホールで上演。チケットぴあでは限定公演のみ公演前日までチケット発売中。取材・文:川口有紀
2019年09月02日三谷幸喜が作・演出を手掛け、柿澤勇人が主演を務める舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』が東京・世田谷パブリックシアターにて上演中。その開幕に先駆けフォトコール(マスコミ向け写真撮影会)と囲み取材が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、シャーロック・ホームズファンである三谷が「シャーロック・ホームズは如何にして、偉大なる名探偵になったのか?」をテーマに書き下ろした新作。若きホームズとワトソンが、小説シリーズ最初の作品『緋色の研究』で描かれた最初の事件に遭遇するまでの数カ月間を描く。囲み取材にはホームズ役の柿澤、ワトスン役の佐藤二朗、依頼人ヴァイオレット役の広瀬アリス、そして三谷が出席。三谷は「ホームズは子供の頃から大好きだったので、いつか自分のカタチで新しいホームズができないかなと思っていました」と肝いりの作品であることを明かし、「ホームズにも当然若い時代があったわけで。描かれてない、まだ未熟な彼はどんな人だったんだろうと思ったとき、柿澤さんの芝居を観て“あ、ここにホームズがいた”と思いました」と語る。それを受けて柿澤は「稽古最終日にそのような言葉をかけていただいて。泣きそうでした」と笑顔を見せる。三谷とは初タッグとなる3人。佐藤が「三谷さんは憧れに近い存在。でも憧れと言っていても誰のためにもなりませんので、この期間は忘れて“幸喜ちゃん”と呼んでいます」と話すと、三谷は「柿澤さんも廣瀬さんもすごく一生懸命。でも二朗さんがちょっと僕にはめんどくさい」と仕返し(?)し、取材陣を笑わせる。広瀬が「稽古場での三谷さんは母のよう。やさしく見守ってくださって、やさしくいろいろおっしゃってくださる。“そこで変顔して”とか」と話すと、三谷は「彼女は言えばなんでもやってくれるんです。素敵なおもちゃをいただいたみたい」と絶賛した。最後に柿澤が「皆さんご存知のシャーロック・ホームズが誕生する瞬間が見られると思います。ホームズを知らない方でも楽しめます!」と話した。フォトコールでは冒頭15分を公開。三谷が「最高のホームズ」と語った柿澤は、小説のホームズの片鱗も見せつつも子供のような言動が愛らしい。ホームズが甘え放題わがまま放題の同居相手ワトスンは父親のようで、既に名コンビの香りが漂う。そこに依頼に訪れるヴァイオレットは癖が強く、さてどんな展開に…というところでフォトコールは終了した。公演9月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演後、10月3日(木)から6日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、10月12日(土)13日(日)に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールを巡演。9月7日(土)12:00~立見席・見切れS席をチケットぴあにて販売。取材・文:中川實穂
2019年09月02日男も女も魅了する希代のプレイボーイ。TBS赤坂ACTシアターで9月18日(水)まで上演されているミュージカル『ドン・ジュアン』でこの難役に挑戦しているのは、初ミュージカルとなるKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔だ。【チケット情報はこちら】舞台はスペイン。荒野にあらわれる人たちが語る、誰もがその魅力に囚われるドン・ジュアン。フラメンコの調べに乗せて、口々に彼について語られる。藤ヶ谷が共演者を「ミュージカルの百戦錬磨の方々なので」と言うように、どっしりと重く、情熱的なスペインの風を吹かせる歌とダンス。それぞれが魅力を放つ登場人物達が惹かれるドン・ジュアンとは……?待望と、こんなに期待させていいの?という少しの不安が高まる。その不安を打ち破るように、登場したドン・ジュアンはじっくりたぐり寄せるように観客を惹きつけていく。なめらかなしぐさから滲む色気。細身の身体から出る太い声が、やり場のない苛立ちを地鳴りのように響かせる。そして、歌は叫びのようにぐっと惹き付ける。藤ヶ谷は「J-POPと歌い方が違うので苦労している」そうだが、率直に生への思いを表現する。女を抱いては捨てる冷酷な男。けれど藤ヶ谷本人は「女性を乱雑に扱えなかった」と振り返る。「でもやらないと相手の女性もリアクションがとれないから」と、周囲と相談しながら役を作ってきた。身勝手なドン・ジュアンの一方、同世代の男性達の誠実な生き方が対比する。ミュージカル経験の豊富なふたり……上口耕平の幅広いダンスと伸びやかな歌声、平間壮一の身体能力と安定し力強い歌が、ミュージカル初挑戦の藤ヶ谷のエネルギー溢れる個性をより立たせる。3人それぞれの“愛”の貫き方が違うのも面白い。また、ドン・ジュアンをめぐる女達……蓮佛美沙子、恒松祐里、春野寿美礼らも、確かな歌唱力と異なる個性でさまざまな愛を表現する。そして物語を強く率いていく亡霊役の吉野圭吾。その“愛の呪い”により、ドン・ジュアンは愛に翻弄されていく……。愛は誰かを愛しく思い、幸せに満たされるだけではない。嫉妬、不安、憎しみ、独占欲、許しなどいろんな感情が絡み合う。今まで知らなかった感情を知っていくドン・ジュアン。愛とはいったい何なのか。さまざまな愛が交差するなか、身勝手に生きてきた彼なりの、愛への答えとは……。本作は同じく生田大和演出で宝塚歌劇団でも上演されているが、さらに脚色も加わり本カンパニーならではの舞台となり、愛と生き方を問いかける。取材/河野桃子
2019年09月02日12月8日から25日の18日間、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールにて音楽イベント「毎日がクリスマス2019」が開催される。【チケット情報はこちら】2008年に神奈川・横浜ランドマークホールで始まったこのイベントは、赤レンガ倉庫に会場を移して今年で12回目の開催。SURFACEと永谷喬夫、椎名慶治がそれぞれソロで出演する初日8日公演を皮切りにAnly、NEIGHBORS COMPLAIN、THE King ALL STARS、GLIM SPANKY、Juice=Juice、奇妙礼太郎、Rei、のん、かりゆし58、Bentham、yucat、眉村ちあき、ACIDMAN、KEYTALK、チャラン・ポ・ランタン、コレサワ、ISEKI、wacciなど幅広いジャンルのアーティストがライブを繰り広げる。クリスマスシーズン横浜赤レンガのイルミネーションとプレミアムなクリスマスライブに足を運ぼう。
2019年09月02日今年メジャーデビュー5周年を迎えるLittle Glee Monster(リトル グリー モンスター)の、初の展覧会『Little Glee Monster 5th Celebration Exhibition』が、同じく今年開業5周年を迎えたあべのハルカス近鉄本店にて、9月5日(木)より開催される。「Little Glee Monster×あべのハルカス5周年 リトルグリーモンスター 5th セレブレーション エキシビション」チケット情報8月より開催中の全国ツアー「Little Glee Monster 5th Celebration Tour 2019 ~MONSTER GROOVE PARTY~」の一部を最先端映像技術で撮影・編集した、臨場感あふれる高画質映像シアター「パワフル ライブ シアター」をはじめ、ヒストリー、衣装展示、スマホ配信スペシャル・コンテンツ、インスタ撮影できる体験型イベントなど、さまざまな演出が展開。また、会場でしか買えないコラボアイテムやカフェコーナーにも注目だ。チケットは発売中。『Little Glee Monster 5th Celebration Exhibition』チケット発売中Pコード:992-469▼9月5日(木)~16日(月・祝) 10:00~20:00(最終日は17:00まで)。近鉄百貨店あべのハルカス本店 9階催事場入場券-1500円※Little Glee Monster本人の出演はございません。未就学児は無料。※「障がい者手帳各種」ご提示で、ご本人さまとご同伴1名さままで無料でご入場いただけます。
2019年08月30日トップスター・明日海(あすみ)りおの退団公演となる宝塚歌劇団花組公演、ミュージカル『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』、レヴューロマン『シャルム!』が、8月23日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇花組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』/三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』チケット情報『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』は、19世紀半ばの大英帝国が舞台。世界初の万国博覧会が大成功を収めたロンドンでは、異国からの珍しい植物が大ブームとなっていた。ある深い霧の夜、植物研究科のハーヴィーは、枯れ果てた屋敷の庭で“青い薔薇の精”エリュと出会い、かつてこの屋敷に住んでいたシャーロットという少女にまつわる話を知ることになる…。人々が現実だと信じている世界と、目に見えない異次元の世界とを交錯させながら描く本作。美しく幻想的な世界観の中で明日海が扮するエリュは、自然界の掟に背いた罪により、霧に包まれた闇の中で孤独に生きる。悲しみの“青色”に染まったエリュは、気高くも寂しげな空気をまとい、50年もの間、シャーロットを思い続ける。人間離れした妖しげな美しさ、愁いを帯びた佇まい、内に秘めた熱い想い…。圧倒的な歌唱力でも魅せ、男役の集大成として、明日海の魅力が存分に引き出された役となっている。シャーロットを演じるのは、本作で大劇場お披露目となるトップ娘役・華優希(はな・ゆうき)。無邪気で愛らしい少女時代から落ち着きのある老年までを演じているが、その演じ分けは目を見張るものがある。また、次期トップスターが発表されている柚香光(ゆずか・れい)は、植物学者のハーヴィー役。唯一精霊たちとコミュニケーションが取れる人間で、最初は彼らの存在に戸惑いながらも、友情を築き上げていく様を丁寧に表現している。第2幕の『シャルム!』は、花と光の都パリの地下都市を舞台に繰り広げられるレヴュー。華優希扮する愛らしい少女に誘われ、若者たちがマンホールの中に足を踏み入れると、そこには豪華絢爛な世界が広がる…。アダルトな雰囲気のプロローグから目くるめくシーンが展開。明日海をはじめとする花組生の色香に目を奪われながら、組子に囲まれサヨナラを思わせる場面、柚香との絡みも印象的な黒燕尾の場面など、ラストステージならではの演出に心を揺さぶられる。公演は9月30日(月)まで宝塚大劇場、10月18日(金)から11月24日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは9月15日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年08月30日ブロードウェイの新進気鋭ソングライティング・コンビと日本のクリエイティブ・チームの共作で、世界に先駆け上演する新作ロックミュージカル、A New Musical「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」。芸歴20周年を迎えた柚希礼音が主演、読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞し、注目を集めるソニンらが共演、19世紀半ばのアメリカ・ローウェルを舞台に、自由を求め闘った女性達の物語だ。共演には元宙組トップ娘役の実咲凜音、映像・舞台での活躍目覚ましい清水くるみ、12年の「RENT」以来のミュージカル挑戦となる石田ニコルら個性豊かな女優陣が集結した。この度行われた本作の稽古場公開、囲み取材が行われ、キャストが意気込みを語った。【チケット情報はこちら】柚希が演じるサラ・バグリーは、実在した女性であり、働く女性たちのリーダーとして立ち上がる人物。その役について「宝塚のトップ時代に色々リーダーとして悩んだ事がすごく思い出されました」とし、「20年間ミュージカルをやらせて頂いておりますが、宝塚以外で取材でこんなに女性が並ぶのは滅多にない(笑)。なので、とても革命的なミュージカルだと思います。本番までには役名のない方もキラキラして、誰を観たら良いか分からないくらいの中で、私達も増々エネルギーをもってやりたいと思っています。恋愛がメインではなく、でもお客様にかなり共感してもらえる事が多い作品になっているので、女性はもちろん、男性も「女性はこう思ってるんだな」と分かってもらえるのでぜひ見て頂きたいと思います」と、語った。ソニンが演じるのは工場で働くガールズの寄稿集「ローウェル・オファリング」の編集者として女工たちの憧れの存在であったハリエット・ファーリー。役について「皆から1歩引いて周りの様子をみて、上司と雇用者の間にたって中間をとる役どころ。その人なりの悩みを繊細に伝えられたらと思っています。これに共感してくださる方もいるのではないかと思います」とコメント。また作品について「新作という事で、我々がオリジナルの作品になっていくので、日々キャスト、スタッフ皆で話し合いながら一緒に作っていっているので、正直大変なところもありますが、幕が開けた時に今まで感じた事のない達成感がまっているかと思っています。女性だけが並んで激しく踊る、女性だけのユニゾンで聞く迫力は初めてなので、お客さんが聞いたらゾワゾワするのではないかと想像しています」と期待を煽った。公演は9月25日(水)から10月9日(水)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは発売中。
2019年08月30日林ゆうきが2020年1月12日(日)に東京・草月ホールでコンサートを開催することが決定した。【チケット情報はこちら】現在日本テレビで放送中のドラマ『あなたの番です』(毎週日曜夜10:30放送)や、アニメ『僕のヒーローアカデミア』、『ハイキュー!!』、NHK『連続ドラマ小説』など、話題のドラマ、映画、アニメの劇伴音楽(劇中で流れる音楽)を手がけている林ゆうき。高校から大学まで打ち込んでいた男子新体操のために音楽を作り始め、後にオリジナル楽曲を製作。2009年に連続ドラマ『トライアングル』で作曲家としてのデビューを果たす。デビュー後の10年で、ドラマ、テレビドキュメンタリー、映画、アニメ、ゲーム、舞台など約80作品の音楽を手がけ、今や人気の高い作曲家のひとり。同コンサートは、林自身がミュージシャンを集め、選曲、そしてコンサートを構成。人気劇伴を作曲家自身のパフォーマンスとともに聴ける貴重な機会となる。チケットは8月31日(土) 正午12時より、チケットぴあにて先着先行を受付開始。
2019年08月30日南北戦争時代のアメリカ北部で、愛し合い助け合いながら生きる四姉妹を描いた、ルイ―ザ・メイ・オルコットの不朽の名作「若草物語」のミュージカル化である、『Little Women─若草物語─』(演出:小林香)。都内稽古場では東京・シアタークリエでの初日に向けた通し稽古が行われた。【チケット情報はこちら】まず、心に染みるソロナンバーを2幕で披露する宮原浩暢演じるベア教授と主人公・次女ジョー役の朝夏まなと(この日は朝夏のみ衣裳をつけて稽古に臨んだ)の会話から、女性の自己実現が極めて難しかった時代に小説家として身を立てようと志すジョーの、現代に通じる生き方を巧みに提示して、物語は四姉妹が揃うコンコードのマーチ家へと遡る。あくまでも稽古場仕様の代替えが使われているセットもありながらの転換の流麗さに、すべてが本番用に創り込まれ、照明も入った舞台での絵姿の美しさへの期待が膨らむ中、長女メグ役の彩乃かなみ、三女ベス役の井上小百合、四女エイミー役の下村実生が登場。プレゼントもツリーもないクリスマスを嘆く姉妹たちを、ジョーが鼓舞し、作家になって皆の望みを叶える!そして私達はいつまでも変わらない四姉妹でいよう!と固い約束を交わすまでが快調に進み、四姉妹の賑やかな明るさが弾ける。そこに母親役の香寿たつきが帰宅。彼女がこの家の要であることが一目で分かる、宝塚歌劇団で朝夏と同じく男役トップスターを務めた人の持つ香寿のオーラ、凜とした立ち姿と優しさに賢夫人ぶりが際立ち、表現力に満ちた歌声が本作の豊かさを示してくれる。父からの手紙を読む母の周りに四姉妹が集い、父の願いと母の愛に包まれる姿が美しい。そこから、原作の読者にはお馴染みの展開に、尚新しい風をもたらし、新たなミュージカル作品としての興趣を最後まで離さない中で、“姉妹の絆を強く信じるが故の寂寥感に苦しむジョーを奮い立たせるのが「書く」ことであり、その原動力もまた家族への愛である”という根幹が見事に伝わってくる演出に、心の綾を歌い上げる朝夏の堂々たる主演としての存在感が輝く。メグ役の彩乃にも元宝塚歌劇団娘役トップスターの出自を感じさせるひたむきさと気品とがあり、彼女とひと目で恋に落ちるジョン・ブルック役の川久保拓司とのロマンスも美しい。ベス役の井上の健気で真摯な演じぶりには涙を誘われずにはいられず、天真爛漫で、どんな我儘を言っても全く嫌味にならないエイミー役の下村の愛らしさは微笑ましく、随所に見せるダンスのキレも鮮やか。更に、深い愛情が根底にあることが感じられる村井國夫と久野綾希子が、その佇まいだけで「ザ・ミュージカル!」の香りも放つのが貴重。中でも驚かされたのは、ローリー役の林翔太の実によく通る、しっかりしたミュージカル唱法の確かさで、本番での活躍に期待したい。全体を統括している演出の小林香の温かな目線も印象的な、作品の開幕に期待の膨らむ通し稽古をみせた本作は、9月3日(火)より東京・シアタークリエで上演後、愛知・福岡を巡演。チケット好評発売中。
2019年08月30日