医療保険の出来高払いと包括払いとは?メリット・デメリットも解説!

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医療保険制度が導入している医療報酬には「出来高払い方式」と「包括払い方式」があります。

しかし、実際に医療報酬を選ぶことになった場合に
  • 出来高払い方式と包括払い方式の計算方法での違いか分からない
  • 出来高払い方式と包括払い方式では、どちらを選んだらお得なのか分からない
といったことで悩む人もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、

  • 出来高払い方式と包括払い方式の特徴
  • 出来高払い方式と包括払い方式のメリットとデメリット
  • 出来高払い方式と包括払い方式での医療費の違い
といった内容で解説いたします。

今回の記事を読むことで、出来高払いと包括払いの特徴やメリットとデメリットを理解いただけるかと思います。

さらに、患者が負担する出来高払い方式と包括払い方式での医療費の違いについても解説するので、最後までご覧ください。

内容をまとめると

  1. 出来高払い方式は足し算方式、包括払い方式は定額方式
  2. 出来高払い方式は医療費の圧迫に繋がるので医療費を抑えられる包括払いが誕生した
  3. 出来高払い方式は患者は医療にかかる費用が把握しやすく、病院は報酬を増やしやすいが、過剰医療を誘発しやすい
  4. 包括払い方式は、患者は入院時の医療費が抑えられ、病院は過剰医療を抑制できるが、病院が医療費を抑えるために手抜き医療や入院患者のえり好みが起きる可能性がある
  5. 病気やケガで入院することになった場合、出来高払い方式と包括払い方式どちらが医療費を抑えられるか考えて選択する
  6. どちらの方式が自分にとって医療費を抑えられるか判断が付かない場合は保険のプロに相談するのがおすすめ
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医療の値段(診療報酬)は医療保険制度で全国一律とされている

病気やケガをすると病院にかかりますが、そこでかかる費用である診療報酬は全国一律とされているのはご存じでしょうか?


実は、診療報酬など医療にとって必要な値段や医療保険制度の内容については、国によって決められているので北海道で受診しても沖縄県で受診しても、同じ診療内容であれば日本国内どこの病院でも同じ料金で診療を受けることができます。


ちなみに、その価格を「公的価格」といいます。医療保険制度の公的価格は、中央社会保険医療協議会が議論し、厚生労働大臣が審議を行い決定するものです。


医療報酬など公的価格の見直しは2年に一度行われています。そのため、公的価格や制度にズレが生ず、国民が利用する医療保険制度にマッチングしているといえるでしょう。

医療保険制度における出来高払いとは?メリット・デメリットも解説

医療保険制度での医療報酬には、出来高払い方式と包括医療費支払い方式があります。最近、包括医療費支払い方式を取り入れる病院が増えてきていますが、現在はまだ出来高払いの病院が多いといえます。


そういった点でも、医療報酬といえば出来高払いの方が馴染みのある人が多いのではないでしょうか?


医療報酬の出来高払いには

  • 出来高払いは診察で行われた医療行為が医療費明細書に記載されるので値段が把握しやすい
  • 包括医療費支払いと違い出来高払いは患者に行った医療行為をその都度加算できるので、病院の報酬が増える
  • 必要のない検査などを行い、病院が報酬の水増しを行うリスクがある

といったメリットとデメリットがあります。


出来高払いとは、どのような医療報酬なのか把握しておくと、診察した際に会計で受け取る医療費明細書の内容を把握しやすくなるでしょう。

メリット①患者が医療行為に対する値段を詳しく知ることができる

医療保険制度で採用している出来高払いとは、簡単に説明すると診察内容の足し算です。病院で診察が終了すると領収書と一緒に医療費明細書を渡されます。


出来高払いは、その医療費明細書に診察で受けた内容そのままが載り、点数が加算され、患者が支払う医療費の内訳となるのです。


まず、医師から診察を受けたということで診察料が最初に記載されます。その後に検査を行えば検査名と点数が記載され、薬が処方されれば処方料が記載されることとなっています。


ですので、診察を受けた患者本人でなくても家族など第三者が医療費明細書を見ても、病院でどんな診察を受けたのか分かります。


そして、医療費明細書に記載されている点数1点につき10円の単価を表しているので、どの医療行為にいくら値段がかかっているのか一目で知ることができます。

メリット②病院側としては医療行為を重ねるごとに報酬が増える

医療保険制度では、出来高払いの医療報酬を採用している場合、病院側は患者の治療に対しておこなった医療行為を足し算方式で加算します。


そのため包括払い方式と違い、病院が行った医療行為を医療報酬に追加することで報酬を増やすことができるのです。


また、出来高払い方式の医療報酬であれば検査や投薬を、患者にとって必要と判断されば採算を気にせず医療内容をそのつど追加します。


それにより、病院は必要な患者にとって必要な医療行為をおこなえ、かつ報酬を増やすことができるのです。

出来高払い方式のデメリット

保険制度の医療報酬である出来高払い方式は、患者が受けた医療行為のすべてが医療費として加算されるという仕組みになっています。


その方式を逆手に取って、病院が患者に必要のない検査や治療などをおこなってしまうというデメリットが発生するケースがあります。


そういった点で、出来高払い方式が医療過誤に繋がりやすいというデメリットになるといえます。


ですので、出来高払い方式のデメリットを防ぐためには、医療を受ける患者が診察内容をしっかりと把握することと、病院側が報酬を増やすことを目的とせず必要とされている医療行為のみを患者に行うということが欠かせないといえるでしょう。

医療保険制度における包括医療費支払い制度方式(DPC)とは?

ここでは、医療保険制度における包括医療費払い制度方式(DPC)について解説いたします。


出来高払い方式に比べますと、包括医療費支払い制度方式(DPC)が医療保険制度に導入されてから、それほど年数が経っていないのであまり知られていない医療報酬だといえます。


包括医療費支払い制度方式(DPC)とは、

  • 医療保険制度で採用されている出来高払い方式はすべての医療行為が加算対象になるので医療費がかかりすぎてしまっている
  • 包括医療費支払い制度方式(DPC)は入院基本料や投薬などの項目をその都度加算するのではなく包括で計算することで医療費の負担を減らせる
  • 包括医療費支払い制度方式(DPC)を採用している場合でも、手術やリハビリなどは出来高払い方式の対象となる

といった医療報酬です。


包括医療費支払い制度方式(DPC)がどんな医療報酬なのか知ることで、医療費を抑えることができ、患者の経済的な負担を減らすことに繋がることでしょう。

包括医療費支払い制度方式(DPC)が導入された背景と概要

日本は、戦前に比べると長生きをするお年寄りが増えており高齢化社会になっています。対して出生率が低下しているので、これから日本の医療保険制度を支える世代は減少しつつあるといえるでしょう。


このように、医療を多く利用し必要としている高齢者が増え医療費が増加しているにも関わらず出生率が低下している現状では、医療費がひっ迫し日本の医療保険制度が崩壊してしまう危機があります。


そうなると国民すべてが加入している医療保険制度が成り立たなくなってしまいます。そういった状況を回避するために、現在の医療保険制度では様々な形で医療費削減が行われています。


その中でも、出来高払い方式よりも医療費を抑えることができる医療報酬として導入されたのが包括医療費支払い制度方式(DPC)です。

包括医療費支払い制度方式(DPC)における入院基本料はいくら?

包括医療費支払い制度方式(DPC)では、加算されていた画像診断などの項目が包括評価部分に一括で一日分として入院基本料に含まれることになります。

入院基本料は一般病棟の入院基本料の1日辺りの点数1,650点を参考にして1,650点=16,500円だけが対象です。

しかし包括払い方式では、その他に画像診断、投薬、検査、注射、1,000点未満の処置などを含んだ1日あたりの定額料金が決められています。

包括払いの入院基本料は、
  • 入院1日目から3日目までが1日あたり3万円
  • 入院4日目から10日目までが2万5千円
  • 入院11日目から20日目までが2万円
といったように三段階に料金が変動します。

包括払いの計算方法は20日までが対象で、21日目からは入院基本料は出来高払い方式に切り替わります。

病気やケガの状態によって入院基本料は異なります。ですので、ここで使用した入院基本料は目安として考え、この方式はこのように日数で料金が変わるということを把握すると良いでしょう。

東京都(大田区)の包括払い方式(DPC)対象病院一覧

全国でも包括払い方式(DPC)を導入している病院が増えてきていますが、ここでは東京都大田区包括払い方式を導入している病院を紹介いたします。


包括払いでの支払いを行いたい人は参考にしてみましょう。

病院名電話番号
大森赤十字病院03-3775-3111
牧田総合病院03-3762-4671
東急病院03-3718-3331
東京労災病院03-3742-7301
大森山王病院03-3775-7711
本多病院 03-3732-2331
田園調布中央病院03-3721-7121
大田病院03-3762-8421
東京蒲田医療センター03-3738-8221
池上総合病院 03-3752-3151
荏原病院03-5734-8000
松井病院03-3752-1111
高野病院03-3741-0011
東邦大学医療センター大森病院03-3762-4151

包括払い方式(DPC)のメリット・デメリットとは?

ここでは、包括払い方式(DPC)のメリット・デメリットについて解説いたします。


包括払い方式(DPC)には、

  • 入院基本料に画像診断などの項目が、一括で含まれるので医療費を抑えやすい
  • 出来高払い方式と違い、必要のない検査などをしても加算できないので過剰医療を抑制できる

  • 包括評価部分が一括請求になっているので、病院側が手抜き医療や入院患者の選別してしまう可能性がある

といったメリットとデメリットがあります。


包括払い方式は、包括評価部分にあたる医療項目を患者が一括で支払うことになります。そのため、追加で検査などをおこなったとしても患者は追加で医療費を支払わなくて済みます。


このように包括払い方式には、医療費安く抑えられるだけでなく病院からの過剰医療を防ぐというメリットがあります。


しかし、この方式は検査などを行っても加算できないので病院側が手抜き医療をおこなったり、検査などの少ない患者を好んで入院させてしまうといったデメリットも考えられます。

メリット①医療費を抑えやすい

包括払い方式入院基本料に画像診断などの項目が含まれた状態で支払うことになるので、出来高払いよりも入院基本料が高くなってしまうように感じられます。


しかし、包括評価部分に含まれている画像診断などの項目は何度行っても医療費として追加加算されないので病気やケガなどによっては医療費を抑えやすいというメリットがあります。


ですので、自分の病気やケガの治療が画像診断や検査、投薬や注射など包括評価部分に含まれいている項目が多くなりそうであれば、出来高払いよりも包括払い方式を選ぶと良いでしょう。

メリット②医療過誤を抑制できる

医療保険制度では医療報酬が出来高払い方式と包括払い方式があります。出来高払いは、患者におこなった医療行為に対してすべて加算されます。


対して包括払い方式は、画像診断や検査など包括評価部分に含まれている医療項目については、一括で医療費請求を行っています。


病院が医療報酬で包括払い方式を導入している場合は、検査などを追加でおこなっても報酬が増えません。


ですので、必要のない検査をおこなって医療費の水増しをおこなうということができなくなります。


そういった点で結果として包括払い方式には、医療費を抑えられるだけでなく医療過誤を抑制できるというメリットがあります。

包括払い方式(DPC)のデメリット

包括払い方式には、医療費を抑えたり医療過誤を抑制できるというメリットがありますが、このメリットとなっていることが裏目にでるケースも考えられます。


出来高払いは患者におこなった医療行為に対して全て加算できますが、包括払い方式は一定の項目以上に追加で検査などをおこなっても、点数を加算できません


そのため、患者にとって必要な検査などがあったとしても利益を優先するような病院にとっては赤字行為になるのでおこなわれず、結果として手抜き医療に繋がってしまう恐れがあります。


そして包括払い方式のデメリットは手抜き医療だけでなく、包括評価部分に含まれている項目をあまり必要としない患者ばかりを選んで入院させようとする可能性も出てきます。

医療費は出来高払い方式と包括払い方式でどのくらい違うの?

医療費が出来高払い方式と包括払い方式では、実際にはどのくらい違いが出てくるのか具体的な金額で比較してみましょう。


包括払い方式で上記の入院基本料を元に20日間分の料金を出すと46万円となります。出来高払い方式の入院基本料も、上記の料金を参考にすると33万円なので差額13万円です。

46万円-33万円=13万円

こうすると出来高払いの方がお得に感じますが、包括払い方式には投薬や検査などの料金が入院基本料に含まれていますが出来高払いにはそれらの包括評価部分に含まれている項目が別途支払うことになります。


20日間の入院で投薬や検査などの料金が約20万円くらいになるので、出来高払い方式はトータルで53万円くらいになります。

33万円+20万円=53万円

同じような内容で比較すると、包括払い方式が46万円となり出来高払い方式は53万円なので、7万円くらい包括払い方式の方がお得になります。

53万円-46万円=7万円

まとめ:医療保険の出来高払いと包括払いの違いを理解することが大切

医療保険制度で医療報酬として導入されている出来高払い方式と包括払い方式について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


出来高払い方式と包括払い方式についてまとめますと

  • 出来高払い方式は足し算・包括払い方式は定額
  • 出来高払い方式のメリットは、患者は医療にかかる費用が把握しやすく、病院は報酬を増やしやすい
  • 出来高払い方式のデメリットは、過剰医療を誘発しやすい
  • 包括払い方式のメリットは、患者は入院時の医療費が抑えられ、病院は過剰医療を抑制できる
  •  包括払いのデメリットは、医療費を抑えるために手抜き医療入院患者のえり好みが起きる可能性がある

といった内容になります。


出来高払い方式と包括払い方式では、それぞれメリットとデメリットがあります。それらを理解した上で自分が入院する際はどちらの方式を利用するか判断すると、医療費を抑えることができます。


もし、自分の治療に出来高払い方式と包括払い方式、どちらを選んだら良いか悩む場合は保険のプロに相談してみましょう。

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