更新日:2021/03/30
個人年金は収入? 保険金受け取りで扶養から外れる? 税金の控除についても解説
内容をまとめると
- 個人年金は収入となる。扶養の場合は、59歳以下であれば年間130万円、それ以上であれば年間180万円以上受け取ると要件から外れる
- 配偶者控除については、給与収入と足して103万円を越えると受けることができなくなる
- 個人年金では、契約者本人が受け取る場合で分割受け取りは雑所得、一括受取りは一時所得となるため同じ所得税でも計算方法が違う
- 個人年金を配偶者が受け取る場合は、初年度は贈与税、翌年以降は所得税がかかる
- 個人年金を中途解約する場合は、増えた部分に対して所得税がかかる
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目次を使って気になるところから読みましょう!
年金受給を受ける(収入を得る)と扶養は外れるのか?
結論からいうと、年金受給で扶養から外れるのかは受給金額によります。
扶養に認定されるかどうかは年間に収入額で決定されますが、収入に含まれるもののなかに年金もあります。
年金もふくめ、それらの合計が基準額を超えるか超えないかで扶養認定が決まります。
ここでは、
- 扶養の認定基準
- 個人年金の受給
扶養認定基準とは
さきほど説明したよに扶養に認定されるかどうかは、年間の収入額で決まります。ここでいう収入に含まれるのは以下の項目です。
- 給与収入
- 各年金収入
- 事業収入
- 不動産収入
- 利子収入
- 配当収入
- 雑収入
- 傷病手当金・失業給付金
- そのほか収入と認められるもの
このような収入があるひとは全て扶養から外れてしまうのかというと、そういわけではなく
- 59歳以下→年間130万円未満
- 60歳以上→年間180万円未満
個人年金の受給(=収入がある)と扶養から外れる
個人年金を受給する場合は、先ほど説明したように各種年金の中に含まれますので収入になります。
そのため、個人年金の受給額が年間で59歳以下であれば130万円、60歳以上であれば180万円を越えると扶養からは外れてしまいます。
また、個人年金の受給額が下回っているひとでも他にも収入があるひとは合算することで基準を超えれば扶養から外れますので注意が必要です。
個人年金の受給で配偶者控除はどうなるか?
配偶者控除についても、収入の金額で控除を受けることができるかどうかが変わります。
そのため、個人年金を受給しているひとは配偶者控除の対象となるかは受給額によります。
ここでは、配偶者控除について
- 配偶者控除とはなにか
- 収入がある場合はどうなるのか
配偶者控除とは
配偶者控除とは結婚しているひとが受けることのできる税金の控除です。
配偶者控除の対象になるのは以下に当てはまるひとです。
- 法律上夫婦であること(内縁関係は不可)
- 納税者と同一生計であること
- 年間の所得が48万円以下、給与収入の場合は103万円以下
- 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない
- 白色申告者の事業専従者ではない
よくパート主婦のひとに関して「103万円の壁」などと言われるのはこのことです。
似たような名前の制度に配偶者特別控除があります。
配偶者特別控除は、年間の給与収入が103万円以上では配偶者控除に該当しないひとでも年収201万円までのひとが受けることのできる税金の軽減制度です。
夫が納税者の場合の妻の収入額別のそれぞれの控除額は以下のとおりです。
<配偶者控除>…上段→所得税控除額、下段かっこ→住民税控除額
妻の所得(給与算) /夫の所得 | 900万円以下 | 900万円超~ 950万円 | 950万円超~ 1,000万円 | 1,000万円超 |
---|---|---|---|---|
48万円以下 (103万円以下) | 69歳まで38万円 70歳以上48万円 (69歳まで33円 70歳以上36円) | 69歳まで26万円 70歳以上32万円 (69歳まで22万円 70歳以上26万円) | 69歳まで13万円 70歳以上16万円 (69歳まで11万円 70歳以上13万円) | 0円 |
<配偶者特別控除>…上段→所得税控除額、下段かっこ→住民税控除額
妻の所得(給与換算) /夫の所得 | 900万円以下 | 900万円超~ 950万円 | 950万円超~ 1,000万円 | 1,000万円超 |
---|---|---|---|---|
48万円超~95万円 (103万円超~150万円) | 38万円 (33万円) | 26万円 (22万円) | 13万円 (11万円) | 0円 (0円) |
95万円超~100万円 (150万円超~155万円) | 36万円 (33万円) | 24万円 (22万円) | 12万円 (11万円) | 0円 (0円) |
100万円超~105万円 (155万円超~160万円) | 31万円 (31万円) | 21万円 (21万円) | 11万円 (11万円) | 0円 (0円) |
105万円超~110万円 (160万円超~166.8万円) | 26万円 (26万円) | 18万円 (18万円) | 9万円 (9万円) | 0円 (0円) |
110万円超~115万円 (166.8万円超~175.2万円) | 21万円 (21万円) | 14万円 (14万円) | 7万円 (7万円) | 0円 (0円) |
115万円超~120万円 (175.2万円超~183.2万円) | 16万円 (16万円) | 11万円 (11万円) | 6万円 (6万円) | 0円 (0円) |
120万円超~125万円 (183.2万円~190.4万円) | 11万円 (11万円) | 8万円 (8万円) | 4万円 (4万円) | 0円 (0円) |
125万円超~130万円 (190.4万円~197.2万円) | 6万円 (6万円) | 4万円 (4万円) | 2万円 (2万円) | 0円 (0円) |
130万円超~133万円 (197.2万円~201.6万円) | 3万円 (3万円) | 2万円 (2万円) | 1万円 (1万円) | 0円 (0円) |
133万円超 (201.6万円超) | 0円 (0円) | 0円 (0円) | 0円 (0円) | 0円 (0円) |
このように納税者の収入と配偶者の収入によって控除される金額は違ってきます。
収入があると配偶者控除から外れる
先ほど、説明したように配偶者控除を受けることができるかどうかは所得金額によって決まります。
そのため、控除を受けるひとはパートなどで給与を貰っている場合は勤務時間の調整を行い年間の給与収入が103万円を越えてしまわないように気をつけなくてはいけません。
しかし給与収入以外にも収入がある場合に給与収入との合計が103万円以上となれば配偶者控除から外れてしまいますので注意しましょう。
個人年金受給で確定申告は必要なのか?
確定申告とは、所得税をいくら納めるべきか計算するために税務署に1年間の収支を申告する手続きになります。
個人年金を受給した場合に確定申告が必要になるかどうかは年間の受給額によります。
ここでは、個人年金を受給している場合の確定申告の必要性の有無の条件について説明します。
確定申告は、必要なのにしていないと後で加算して納付しなくてはいけなくなりません。
そうならないためにも確定申告が必要となる場合はどんなときなのかしっかりと頭に入れておきましょう。
確定申告が必要な場合
まず、確定申告が必要な場合についてです。
年金は
- 公的年金…国民年金や厚生年金など
- 公的年金以外…個人年金など
の2種類にわけられます。
公的年金の場合には、年金所得者の確定申告不要制度というものがあり公的年金受給額が年間400万円以下なおかつその他の収入が20万円以下の場合確定申告は不要となります。
個人年金の場合は、この制度には該当しないので受け取った年金は雑所得となり20万円以上から所得税が課税されるため確定申告が必要です。
ただし、受け取った金額イコール収入というわけではありません。
どういうことかというと雑所得=収入額-必要経費となるからです。
必要経費は、個人年金の場合は、
年間の受給額×払込保険料の総額÷見込み総支給額
で計算したものになります。
この計算で20万円を超えている場合には確定申告が必要になります。
確定申告が不要な場合
- 受給額が年間20万円以下である場合
- 年間受給額から年間掛金を差し引いて20万円を超えない
個人年金の総支払額とは
さきほど説明したように個人年金では、課税される場合とされない場合があります。
さらに契約の仕方でも税金に違いがあります。
ここでは個人年金について
- 契約による税金の違い
- 生命保険料控除
個人年金の契約の仕方で税金が変わる
個人年金は、掛けたひとと受け取るひとがだれなのかでかかる税金の種類が違います。
税金種類 | 契約者 | 受取人 |
---|---|---|
所得税(雑所得) | 本人 | 本人 |
贈与税 | 本人 | 家族 |
このように、契約者本人が受給する場合には所得税となります。それに対して受け取り人が家族であるときには、贈与となるため贈与税がかかります。
ただし、個人年金において贈与税が適用となるのは1年目のみで、翌年度以降は所得税として課税されます。
贈与税は、年間110万円までは課税されないという基礎控除があります。そのため年間の受給額が110万円以下では贈与税はかかりません。
110万円を超えた場合には超えた部分に対して「年金受給評価額」を使い贈与税の計算します。
この年金受給評価額とは
- 解約返戻金額
- 一時金を受ける場合には一時金額
- 予定利率から計算した金額
例えば、年金受給評価額が500万円だった場合に課税されるのは500万円から基礎控除110万円を引いた390万円です。
このときに税率は国税庁のHPによると20%で控除額25万円になるので
(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円
が贈与税となります。
個人年金の生命保険料控除
生命保険料控除は、年間に支払った保険料額を所得から控除することで所得税と住民税の負担を軽くすることのできる制度です。
この対象となるのは
- 一般生命保険
- 介護医療保険
- 個人年金
の3つです。
これらの控除を受けるには
- 年末調整
- 確定申告
控除を受けることができる条件は先ほど説明した3種類の保険ごとに決められていますが個人年金の条件は、
- 個人年金保険料税制適格特約がついている個人年金保険
- 受取人が本人または妻(夫)
- 保険料払込期間が10年以上
- 年金の受取が60歳以降に設定されており受取期間が10年以上または終身
これらの条件に合わない場合には、個人年金ではなく一般生命保険の方の対象となる場合がありますので併せて条件を確認しておくとよいでしょう。
個人年金の受け取り方で変わる税金! 税金の計算方法も解説
個人年金保険では
- 分割受け取り(毎年受取り)
- 一括受取り
毎年受け取りを選んだ場合には、既に説明したように受け取った年金は雑所得として所得税が課税されます。
それに対して一括での受け取りを選択した場合には一時所得となります。その場合、同じ所得税でも計算方法が変わってきます。
ここでは、それぞれの税金の計算について詳しく説明していきたいと思います。
毎年受け取りは雑所得
まず、毎年受け取りで雑所得となるときの税金を計算していきます。
確定申告のところでも説明したように
- 雑所得=受取り金額-必要経費
- 必要経費=受取額×払込保険料総額÷見込み総支給額
<条件>
- 60歳満了(契約時30歳)
- 月額保険料:15,582円(総支払額予定5,609,520円)
- 年金額…年60万(10年受給600万円)/一括受取り5,695,920円
まず必要経費は先ほどの式に当てはめて計算すると
600,000円×5,609,520円÷6,000,000円=560,952円
となります。
そうすると雑所得の金額は
600,000円-560,952=39,048円
となります。
この場合の所得税は、年間の所得に対して課税されますので仮にこのひとの所得税率が10%であったとすれば単純計算ですが3,904円が所得税になります。
ただし受取時に既に退職し、他に収入がない場合はこの金額であれば基礎控除以内なので税金はかからず確定申告不要です。
一括受け取りは一時所得
次に、一括受取りで一時所得となる場合の税金を計算していきます。
この場合の計算では、
一時所得=総収入-必要経費-基礎控除(50万円)
で計算していきます。今回の必要経費は、単純に支払った保険料になります。
条件は分かりやすいように先ほど同じく
- 60歳満了(契約時30歳)
月額保険料:15,582円(総支払額予定5,609,520円)- 年金額…年60万(10年受給600万円)/一括受取り5,695,920円
このときの一時所得は
5,695,920円- 5,609,520円-500,000円=-413,600円
となります。
つまり0円なので税金はかからないということになります。
5年以内の途中解約は源泉徴収
個人年金保険を中途解約した場合、解約返戻金が戻ってきますよね。
戻ってきた金額が支払った保険料よりも多い場合には、この増えた部分に対して所得税がかかります。
- 契約から5年以内…源泉分離課税20%
- 契約から5年目以降…総合課税(一時所得として)
ただ、一般的に個人年金保険で契約から5年以内の中途解約で解約返戻金が支払った保険料よりを大きく上回るようなことはほとんどないと言っていいでしょう。
5年目以降についても、多くの場合に利益が出るようになるのは受取り間近です。
しかも、先ほどの一括受取りのところで計算したように満期で600万円近く受け取っても税金がかかりませんでしたので、かなり大きな金額を契約していない限り税金が取られることは少ないということになります。
個人年金と合わせて考えておくべき国の社会保険制度
社会保険制度とは、社会保障の1つで
- 健康保険
- 年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
その中でも、老後を支えてくれるものとしては
- 健康保険
- 年金保険
- 介護保険
健康保険は、病院にかかったときに医療費の負担を軽くしてくれます。特に後期高齢者は負担額が小さくなります。
健康保険は、働いているひとは勤め先で加入する協会けんぽなどがありますが退職した場合や、自営業のひとは国民健康保険へ加入する必要があります。
年金保険については
- 厚生年金
- 国家公務員共済組合
- 船員保険
- 各種共済組合
- 国民年金
- 農業者年金
これらは、ある一定の年齢になったときに給付されるものになりますが、この他に
- 遺族年金
- 障害年金
遺族年金は、厚生年金や国民年金の保険金の支払いをしていた被保険者が亡くなった場合に残された遺族の生活保障として支払われる年金です。
それに対して障害年金は病気やけがなどで生活に支障をきたし働くことが出来なくなった場合に生活保障として所定の条件に応じて給付される年金になります。
介護保険は、高齢者を社会全体で支えるための制度であり、65歳以上のひとであれば原因に関係なく必要に応じて様々な介護サービスを受けることができます。
そのほかにも、40歳以上のひとは指定された病気の場合に介護が必要であれば介護サービスを受けることが可能です。
公的制度以外でも医療保険、個人年金保険、介護保険などがありますがこのように公的な社会保険制度でも同じような役割のものがあります。
これらも加味したうえで足りないものや手厚く備えたいものについては保険加入などで補っていくようにしましょう。
まとめ:個人年金は収入なので、受け取ると扶養から外れる
個人年金について扶養や税金などについて説明してきましたがいかがだったでしょうか。
この記事のポイントをまとめると、
- 個人年金は所得に含まれるので受取金額によっては扶養から外れる場合がある
- 個人年金は、契約者本人が受け取る場合は所得税がかかるが、分割受け取りでは雑所得、一括受取りは一時所得になるため税金の計算方法が異なる
- 個人年金を配偶者が受け取る場合は、贈与となることから受取りの初年度は贈与税がかかる。翌年度以降は雑所得となり所得税がかかる
- 個人年金を中途解約した場合は利益が出た部分に対して、解約時期に応じて源泉分離課税または総合課税されるが、そのケースはまれである
個人年金は収入となることから、契約内容や受取方法によってそれぞれ税金がかかってきます。
また、扶養についても同じ理由から受取金額によっては条件から外れてしまうので抜けなくてはいけない場合もあります。
契約する場合は、そのことも考えたうえで金額などを決めるようにしましょう。
ただし、この記事のなかで計算してきたように契約内容にもよりますが個人年金にかかる
税金は心配するほど大きなものではありません。
それよりも老後の資金については公的年金や保障で足りるのかを考え、必要に応じて保険などで補っていくことが大切と考えます。
是非、この記事を参考に個人年金について検討してみて下さいね。
- 扶養から外れるのか
- 配偶者控除はどうなるのか
- 確定申告の必要性
- かかる税金と計算法
- 社会保険制度について
を説明していきます。