三井住友フィナンシャルグループと三井住友銀行は1日、金融関連技術を用いたイノベーション推進を、グループ横断的に強化する目的で、「ITイノベーション推進部」を各々に設置したと発表した。IT・ネット社会の進展は、技術的な革新だけでなく、顧客のニーズの多様化をもたらしている。その結果、金融とITを融合した新たな金融サービスの出現や、他業種の金融分野への参入など、金融機関の経営環境にも急速かつ大きな変化を与えている。SMFGでは、すでに2012年8月からSMFG横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、IBM Watsonの活用によるコールセンター業務における品質向上や、米国・シリコンバレーのPlug and Play Tech Centerとのパートナーシップ契約に基づく金融サービス分野における新技術の活用などに取り組んできた。今回設置する「ITイノベーション推進部」では、これまでのプロジェクトチームの取り組みを引き継ぎつつも、オープンイノベーションの発想のもと、「外部知見の積極活用」、「異業種との連携等による新ビジネスモデルの追求」をより重視するとともに、新たな金融サービスの企画立案から試作開発・実用検証までのサイクルを迅速化する、アジャイル開発のコンセプトを新たに取り入れながら、イノベーション推進に向けた取り組みを一層強化する。SMFGでは、こうした取り組みを通して、今後も続くと見込まれる金融におけるイノベーションや環境変化に、グループ全体でプロアクティブに対応することで、顧客にこれまで以上に利便性の高いサービスを提供できるよう努めていくとしている。
2015年10月02日島津製作所は7月1日、米メリーランド州にある同社の米国子会社SHIMADZU SCIENTIFIC INSTRUMENTS(SSI)の施設内に「SSIイノベーションセンター」を新設すると発表した。SSIはこれまで、同社の主力製品であるクロマトグラフや質量分析計などを使用して臨床分野や食品の安全、環境・エネルギー分野などに関する共同研究を進めてきた。「SSIイノベーションセンター」はSSIのアプリケーション開発部門やソフトウェア開発部門を母体としており、授業員26名が業務にあたるという。同月下旬から本格稼働を開始し、今後5年間で合計約2千万ドルの研究開発投資が計画されている。同社は「メリーランド州には、ジョンズ・ホプキンス大学やアメリカ国立衛生研究所、アメリカ国立がん研究所などを始めとする先進的な大学・研究機関・企業が多数立地しており、特に臨床分野に関して連携を深めるのに最適な環境だと考えています」としている。
2015年07月01日不確かなチャレンジが敬遠される日本企業にありながら、その困難を乗り越え、イノベーションを導いた企業内イノベーターの先達も確かに存在する。そうしたイノベーターをロールモデルとし人材交流を促進する、企業内イノベーターを応援するコミュニティInnovation Cafeが7月15日に秋葉原コンベンションホールにて、「技術開発」をテーマに交流型セミナーを開催する。今回は同Cafeの実行委員、服部 篤子氏(CAC‒社会起業家研究ネットワーク代表)、平田 寛美氏(ウイングアーク1st株式会社)と共に、当日のステージで自らの「イノベーション実録」を語る、味の素株式会社の高橋 裕典氏を訪ね、講演の概要を伺った。本稿ではその一部をご紹介する。一橋大学大学院 国際企業戦略研究科(一橋ICS) 国立大学初の専門職大学院として2000年9月に開校。50~60名という小規模なクラスで日本人が2~3割、後はアジアや欧米、中東などからの学生で構成され日本にいながら海外留学をしたかのごとく、密に国際ビジネスを学べる。対象は実務経験3年以上の社会人で、高橋氏のように国内企業から派遣されてくるケースも少なくない。○地球温暖化防止活動環境大臣表彰も受けたプロジェクト「低炭素化と農業振興につながる農業バリューチェーン」バイオテクノロジーの技術者として味の素に入社した高橋氏だが、事業開発のフィールドでイノベーションを起こしたという、一風変わった経歴の持ち主だ。高橋氏が手がけた“『九州力作野菜』『九州力作果物』プロジェクト”は、味の素のみならず、農家、農作物の流通・小売業者、消費者のすべてに利益をもたらす「共通価値の創出(CSV:Creating Shared Value)」を実現した。バイオテクノロジーの技術者として味の素に入社した高橋氏だが、事業開発のフィールドでイノベーションを起こしたという、一風変わった経歴の持ち主だ。高橋氏が手がけた“『九州力作野菜』『九州力作果物』プロジェクト”は、味の素のみならず、畜産家、農家、農作物の流通・小 売業者、消費者のすべてに利益をもたらす「共通価値の創造(CSV:Creating Shared Value)」を実現した。大学院でバイオテクノロジーを研究していた高橋氏が、味の素に入社したのは2000年。 「味の素の主製品の成分は、グルタミン酸ナトリウムというアミノ酸です。どうすればこれを効率的に つくれるか、というのが研究内容でした」(高橋氏) 10年間、アミノ酸製造の研究をした後、佐賀の九州事業所(九州工場)の事業開発部門へと異動になった。ここで高橋氏は、発酵副生バイオマスと向き合うことになる。発酵副生バイオマスとは、 アミノ酸をつくる際に生まれる発酵副産物で、酒粕のような柔らかい粘土状の物質だ。すでにすぐれた有機系肥料として知られており、九州事業所ではこの粘土状のバイオマスを重油を燃やして作った温風で乾燥させて、肥料業者に販売していた。「ところがこれが大赤字でした。年間600klもの重油を燃やして2000tの炭酸ガスも排出しながら赤字を出し続けるというのはもったいない。どうにかしなければ、と考えていました」(高橋氏)○突然の人事異動。信念を持ち、伝え続けた結果だった自分の仕事とは直接関係ありませんでしたが、この考えを色々な人に話していたところ、発酵副生バイオマスの事業開発を任されることになった。 2011年のことだ。 「突然の人事異動、しかもこれまで全く関わったたことのない副産物の担当ということで、周囲からもびっくりされました」(高橋氏)そこから高橋氏の奮闘が始まる。乾燥工程を省いた、湿ったままのバイオマスを販売するために、「カオスでした」というほどの苦労を経験した。従来乾燥させたバイオマス由来の肥料を使っていた農家にも持ち込んだが、湿ったままでは農業用機械を使って撒くことができず、多くから断られたという。しかしある一軒の農家が行った試みをヒントに、重油を使わずに乾燥させる手法を発見する。データ分析により、その手法で乾燥させたバイオマスを肥料にすると、甘味やうま味成分を多く含む作物をつくれることも証明できた。「このデータがあれば作物の売り先を探しやすくなる」と、農家や卸売業に大好評のサービスになったという。「乾燥方法を見つけるところで終わりではなく、その後のことまで考えられていたんですね。高橋さんが自分の領域のことだけしかしていなかったら、イノベーションは起こらなかったかもしれませんね」(平田氏)結果的にこの肥料で育った作物は、イオン九州で『九州力作野菜』『九州力作果物』ブランドとして販売されるようになり、また肥料そのものもホームセンターで『九州力作堆肥』として販売されている。さらにこのバイオマスが、下水処理で発生する汚泥肥料と混合してより質の高い肥料を生産できることがわかり、全国の下水道を管轄する国交省からも注目されるようになった。「自分だけの力でできたわけではありません。味の素のみならず、畜産家、農家、農作物の流通・小 売業者、行政、それぞれの関係者がこれまでに蓄積してきた強みをつなげられたのでイノベーションが起こりました。なぜつなげられたかは、セミナーでお話できればと思います」(高橋氏)ここまで事業が広がった裏には、ドラマで言うところの伏線が数々ありそうだ。この辺りについてはシンポジウム本番でのトークに譲ろう。○技術力だけでは、他国の安い人件費に勝てない?「高橋さんは、もともとは技術をやっていたわけですよね。技術から離れて事業開発に行くことに、未練はありませんでしたか?」と服部氏から問われた高橋氏は、「最初はありました。でも、今回のような事業開発は、自分が技術職だったからできたことだとも考えています」と答える。「グルタミン酸ナトリウム(味の素製品の主成分)などのアミノ酸は、装置産業なので、アミノ酸を作る菌と発酵プラントがあれば、どこでもつくれるものです。日本では技術力を使って効率的に生産していますが、人件費が安い国で作ると、それほど技術力が高くなくても日本の方が割高になってしまうことがあります。せっかく日本の技術者が頭を悩ませてつくったものを、コスト競争の結果、安く買い叩かれているという状況のままでは、工場が疲弊していってしまいます。その解決のためには、商品に当社ならではの売り方やサービスを融合させなければならない、という考えは以前からありました。今通っている一橋ICSで習ったのですが、「モノかサービスか」ではなく、「モノもサービスも」一緒に販売するという「サービスマネジメント」という考えです。だから事業開発へ行く決心がついたんです」(高橋氏)作物の味や成分についての分析結果をデータ化して、販売促進やネットワークづくりに役立てるというアイディアも、こうした考えから出てきたものだ。高橋氏の起こしたイノベーションは、技術者ならではの危機感と、並々ならぬ行動力から生まれたと言える。 高橋氏は最後 に「技術者に戻るのではなく、技術を活かすような仕事ができるようになりたいですね」と、今後の目標を語ってくれた。同Cafeが7月に行うシンポジウムでは、「現在の延長線を追求するだけでは、イノベーションは生まれない」という前提のもと、「では何 を、誰とつくればいいか」に焦点を絞ったものになる予定だが、高橋氏の実例もその好例の一つとなるだろう。当日は高橋氏自身の口から イノベーションの詳細や、本稿では触れなかった興味深い話も聞けるはずだ。 現在企業内で技術開発、事業開発のどちらに携わっている方 にも、参考になるに違いない。
2015年06月25日アドイノベーションは6月22日、同社が提供するスマートフォン向け広告効果測定ツール「AdStore Tracking」において、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)が提供するDMP「AudienceOne」とのシームレスな連携を開始したと発表した。「AdStore Tracking」はアドイノベーションが提供するASPサービスで、さまざまなスマートフォン広告やアドネットワークなどの広告効果測定・解析を行うもの。複数のSDKを設定することなく、アドネットワークやアフィリエイト広告におけるコンバージョン数の測定、アプリ内の特定のアクション計測、広告投資効果や継続率を計測でき、プロモーションの総合的な管理・分析を可能としている。また、「AudienceOne」は、広告配信結果、ソーシャルメディア、提携企業の3rd Partyデータなどを収集・解析し、見込顧客の発見や既存顧客のロイヤルカスタマー化などのさまざまなマーケティング施策に活用する、データ・マネジメント・プラットフォーム。収集したオーディエンスデータをもとに多様なセグメントを作成し、さらにセグメントのデモグラフィック情報や、流入キーワードと掛け合わせた分析を行える。今回の連携により可能になるとされているのが、「AdStore Tracking」のSDKを導入したアプリのデモグラフィック属性分析。この分析は「AudienceOne」のデモグラフィック属性(性別、年代、居住エリア、職業、世帯年収、未既婚など)データを用いる。アプリ利用ユーザーの行動履歴だけでなく、デモグラフィック属性を含めた分析を行い、「AdStore Tracking」で分析、生成されたセグメント情報を「AudienceOne」に連携することで、サイコグラフィックデータ(ライフスタイルや趣味嗜好など)も用いた再分析、オーディエンスセグメント生成を可能とした。さらに、DACの連結子会社であるプラットフォーム・ワンの提供するDSP「MarketOne」を活用することでアプリ面だけでなくWeb面への広告配信も実現し、広告主企業のマーケティングROIの向上を支援する考えだ。なお、同連携ではクライアントごとに厳正なデータ管理を行って、データの漏えいを防ぎ、オーディエンスのプライバシー保護に最大限考慮した仕組みを構築・運用している。
2015年06月23日イノベーティブな発想に基づくプロジェクトを、企業内でビジネスとして成立させるために必要なノウハウとは?イノベーションを起こそうとする企業が、真に大切にすべきこととは?こうしたテーマに特化したセミナーやワークショップ、人材交流会を開催するコミュニティ「Innovation Cafe」が注目を集めている。昨年7月には「業務改革」(vol.0)、今年2月には「事業開発」(vol.1)をテーマにシンポジウムを開催し、数多くの参加者を集めたことからも、このコミュニティに対する期待の大きさ、ニーズの高さが伺える。そして2015年7月15日に秋葉原コンベンションホールにて、「技術開発」をテーマとしたシンポジウム(vol.2)が開催される(お申し込みはこちら)。今回は、これに先立ち、同Cafeの実行委員たちに、コミュニティ起ち上げの経緯や活動の目的などを聞いた。○なぜ今、イノベーションが必要なのか取材当日集まっていただいたのは、大成建設、大成ロテックを経て、現在はビジネスプロセス・コンサルィングなどを行う株式会社オランの代表、木内里美氏、CAC-社会起業家研究ネットワークの代表で、ソーシャルイノベーションに関する著書もある服部篤子氏、そしてITソリューションで企業の情報活用を支援するウイングアーク1st株式会社の奥田哲史氏と平田寛美氏の4人。ウイングアーク1stは、同Cafeのスポンサーであり、事務局の役割も担っている。同Cafe発案の原点は日本の将来に対する危機感だと、発起人の一人、木内氏は語る。「今後日本の高齢化はいっそう進み、20年後には急激に国力が劣化します。その時にも日本が今と同じような力を持ちつづけるには、イノベーションを起こして海外へ発信し、ビジネスにしていかなければなりません」そして、かつての仕事仲間である田辺 要平氏(大成建設)や、データサイエンティストとしても有名な河本 薫氏(大阪ガス)らと、イノベーター支援のための具体的な活動を模索し始めた。これが同Cafe誕生へとつながっていく。○異端・異才ならではの発想と、企業内の壁「イノベーションを起こせるのは、“異端児”です。だから“異端児ネットワーク”をつくり、その多様性の中から得た気づきを、イノベーションにつなげてもらえるような環境を用意したいと考えました。ただ異端児的な人材は、自分がやろうとしていることに対する熱意も知識もある反面、企業という組織の中にある政治を利用することが苦手で、想いを達成することができないことが多いものです」(木内氏)型破りな人材が、既存の事業とかけ離れた分野で何かを始めようとしても、予算取りや上層部の説得という壁にぶつかったり、社内で敬遠されたりするようになるのは、想像に難くない。ウイングアーク1stがスポンサーとなることを決めた理由の一つも、そこにあった。新しいビジネスを起こそうとしている同社のユーザーが、社内の壁を前に行き詰まっているケースをしばしば目にしていたのだ。「個人やチームが持つイノベーションへの熱い想いを、なんとか支援したい、当社製品のユーザー様に限らず、日本企業のイノベーションをしっかり支えていきたいと考え、事務局も引き受けることにしました」(奥田氏)「同Cafeでは企業内の個人やチームが、企業のリソースを上手く使いながらイノベーションを実現していく方法にフォーカスをあてることにしました。その方が効果も大きなものになりえるからです」(平田氏)○それぞれの想いが結実して生まれたInnovation Cafe企業内イノベーションの成功事例をコミュ二ティで役立てていきたいとの考えから、平田氏は、服部氏に参加をオファーする。服部氏は阪神淡路大震災をきっかけに市民の力、特にNPOの活動に着目し、社会起業家、ソーシャルイノベーションへとその研究の幅を拡げていった人物で、企業内イノベーターへの取材をまとめた『未来をつくる企業内イノベーターたち』(近代セールス社)の著者でもある。「今の社会には、政策と市民のニーズの間にギャップがあり、歪みが生じています。それを埋めるために多くのNPOが活動していますが、草の根運動では成果を上げるのに時間がかかってしまいます。だから企業がそうしたギャップ、つまり今目の前にある課題を、自らのビジネスにどう取り込んでいけるかを考えることが必要です。それこそがイノベーションとなり、社会的な成果につながるものとなるはずです」(服部氏)木内氏の抱く将来への危機感とは別の角度から、イノベーションの必要性を捉える服部氏だが、イノベーションを支援したいという想いは同じ。服部氏は実行委員となることを快諾する。こうして同Cafeの骨格ができあがった。○企業の内外からイノベーションを支援同Cafeでは、企業内イノベーションを実現させた(実現させつつある)人材を「バリスタ」としてシンポジウムに招き、その体験談からノウハウを学び取ってもらう他、バリスタたちが実践した人の巻き込み方、政治力の利用の仕方、新規ビジネスを定着させるためのノウハウなどを凝縮し、「イノベーターセオリー」として確立しようともしている。「最初の発想だけでなく、ビジネスとして定着するまで、全体をどうデザインしていくかがわかっていないと、実を取ることができません。そこを我々が『セオリー』にまとめ、ノベーションを起こすための手法として参加者と共有したいと考えています」(ウイング1st奥田氏)こうしたセオリーが必要となるのは、裏を返せば、企業内に新しい発想を評価できる人材がいないということの証でもある。「今の日本企業には、異端な人材の活かし方を知っている人が少ない。経営者も含めて、まず異端・異才を認知する力が必要です」(木内氏)そこで同Cafeでは、きちんとした評価のできる人材、個人を認められるリーダーの育成をも視野に入れつつ、同時に同Cafe自体がイノベーティブなプロジェクトを評価する役割をも担おうとしている。「成功した企業内イノベーターの場合、自社内よりも先に外部から評価されていることが多いですね。まず外部で認められ、何かの賞をとって、ようやく社に認められたという話は良く聞きます」(服部氏)「Innovation Cafeでは今まで表に出てきたことのないイノベーターを採り上げ、社外からその人の仕事の価値を認めることで、企業内イノベーションの支援につなげられればと考えています」(平田氏)○1500いいねを超えCafe Member同士の異業種交流もすすむ参加者や登録者はCafeMemberとされ、Member同士の業種をこえた交流も、同Cafeの大きな活動目的だ。立ち上げ当初から企業内の様々な部門から関心を集めており、Memberは今後ますます増えていくことが予測される。「企業の人は一人ひとりと喋っていると有能さを感じるのに、成果が出せていない人も多い。成果を出すためには、様々な人たちとコラボレーションし、知恵を出し合う場が必要です」(服部氏)「考え方が違う異業種の人から得られる影響は非常に大きいし、自分のヒントや力になります。そういう体験を広く味わってもらえるコミュニティにしたいですね」(木内氏)次回のシンポジウムは7月15日に開催される。イノベーションにつながる発想を持っている方、社命でイノベーションを起こすことを求められている方のみならず、イノベーティブな人材を育てる立場の方にも必見の内容となるだろう。「今は企業にも余裕がなくなってきて、本業に関係ないセミナーには参加できないという話も聞きますが、個としてその雰囲気を打ち破って、ぜひ参加していただきたい。それくらいでないと、社内の壁など打ち破れないでしょう」(木内氏)
2015年06月19日アドイノベーションは5月26日、スマートフォンアプリ分析に特化した多言語対応ASPサービス「AdStore App Tracking」の提供を開始した。同サービスは、同社が2010年から提供する独自の広告解析ツール「AdStore Tracking」における経験と運用を基に開発した分析ツール。レポート画面では、「アプリ内イベント」や「ユーザー分析」「ROAS」などに関する分析結果をリアルタイムに表示。WebブラウザのCookieを利用したCookie計測や、スマートフォンの端末識別子を利用した端末識別子計測、海外で幅広く利用されているFingerPrint計測に対応し、海外メディアの広告効果測定も可能だ。また、日本語・英語・ロシア語など多言語に対応しており、日本をはじめ海外のアプリ開発者も使用することができる。価格は、アプリからのリクエスト数に応じて月額利用料金を決定する仕組みで、従量課金制を採用。利用開始後30日間は無料期間を設けているほか、広告効果測定を実施しない限り費用が発生することはない。同社は今後、アプリ開発者と広告代理店が一つの案件を管理する際に便利なアカウント権限切り分け機能や、特定のユーザー層の行動を詳しく知るためのコホート分析機能などを、順次開発・リリースしていく予定だという。
2015年05月27日岡山大学は2月17日~18日、同大学鹿田キャンパス内のJunko Fukutake Hallで、医療展示会「中央西日本メディカルイノベーション2015」を開催した。同展示会は産学金官を問わず医療に携わるさまざまな人々が集まり、講演や展示を通じて情報交換やビジネスマッチングを行う場となっており、今年で2回目の開催となる。本稿ではその展示ブースの模様を一部ご紹介する。○安全・安価な岡山大式人工網膜現在存在しているアメリカの人工網膜はカメラ撮像を処理した電流信号を網膜の近くに埋め込んだ電極から出力する方式で、外部起電力が必要となるほか、生体適合性および分解能も悪く、価格も約1000万~1200万円と高額となる。これに対し岡山大学方式の人工網膜はポリエチレンフィルムの表面に光電変換色素分子を化学結合させたもの。色素分子サイズの高分解能を有し、外部起電力は必要としない。また、動物実験を通じて生体に対し毒性が無いことがすでに実証されており、想定販売価格は100万円とアメリカ式と比べて遥かに安い。2002年から開発研究が開始され、2015年、first-in-human医師主導治験を岡山大学病院で実施する予定となっている。○スマホを使って精子の運動性をチェック不妊治療では顕微鏡を用いて精子の運動性および数を計測するため、自宅で精子の状態を確認することはほとんどできない。岡山大の松浦宏治講師らは、少量の精液を試験紙上に置くと、30分後に色が変化するデバイスを開発。その紙をスマートフォンのカメラで撮影することで精液内の精子の数と運動性を判断することができる。顕微鏡が必要ないため、このデバイスを用いれば男性不妊のリスクを専門機関に行かなくても確認することができる。現在、臨床研究が進められているほか、電気化学分析フォーマットについても検討が進められており、不妊治療関連だけでなく、他のバイオマーカー検出などへの応用も想定されるという。○Kinectを利用したVRで疼痛治療病気や怪我がないのに痛みが続く慢性疼痛の一種である複合性局所疼痛症候群(CRPS)の研究を進めている岡山大大学院自然科学研究科(工)知能機械システム学講座の五福昭夫 教授らのブースでは、モーションセンサを用いたVRシステムが展示されていた。これはCRPSに効果があるとされる鏡療法を、楽しみながら継続するために開発されたもので、モーションセンサにKinectを使用することで身体に特殊な装置を身につけることなく治療に取り組むことができる。Kinectとコンピュータという構成のため比較的安価で家庭への導入ハードルが低いのも特長だ。今後、より精巧でリアリティの高いVRの生成や精度の高い動作計測が可能となれば、より高い治療効果が期待できるという。一方、システムを提供するための基盤づくりが進んでおらず、普及のための基盤整備において企業の持つ技術力と展開力が望まれている。
2015年02月20日総務省は、2015年3月5日(木)に、ICT分野におけるイノベーション創出支援をメインテーマとしてICTイノベーション創出チャレンジプログラム事業発表会「I-Challenge! ICT Startup 2015」を開催すると発表した。同省では、ICT分野における我が国発イノベーションの実現に向け、同発表会を2014年度より実施。その一環として、地域発の最先端のイノベーションに関する基調講演や、イノベーション創造に最前線で取り組む講演者によるパネルディスカッションなどを行っている。また、「I-Challenge!」を通じて新事業の創出を目指す起業家とその支援者からの事例発表も行っており、同事業の周知を図るとともに、次世代の起業家によるチャレンジを応援する。イベントは参加無料で、現在参加募集を行っている。開催概要は、以下のとおり。
2015年02月09日ブルームバーグはこのほど、同社がまとめた世界の国別イノベーションランキング トップ50で日本が総合2位(総合得点90.58)にランクインしたとことを発表した。同ランキングは、世界200カ国以上の国を対象に、ブルームバーグをはじめIMF(国際通貨基金)、世界銀行、OECD(経済協力開発機構)、ユネスコを含む複数の国際専門機関のデータに基づいて6つの指標を算出し、各国のイノベーションの高さを0~100の得点で評価し、まとめたもの。総合ランキングでは、日本は昨年それぞれ2位、3位であったスウェーデン、米国を抜き、昨年の4位から2位に上昇した。1位は昨年に引き続き韓国(総合得点96.30)となっている。指標項目別では、日本はGDPに占める研究開発投資、先端企業数、特許活動の3つの項目で5位以内にランクインしたが、高等教育では29位と下位ランクだった。総合で1位だった韓国は、研究開発投資額、高等教育、特許活動においても1位を獲得している。また、高価値製造で1位だったスイスは、総合では16位、先端企業数で1位だった米国は、総合では昨年の3位から6位に下落した。研究人材項目では、総合で4位のフィンランドが1位となっている。<データ出典先>ブルームバーグ、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、OECD(経済協力開発機構)、世界知的所有権機関(WIPO)、ユネスコ
2015年01月23日デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの連結子会社であるトーチライトと、DACの持分法適用関連会社であるアドイノベーションは12月24日、Adstore Trackingデータを活用したFacebookモバイル広告のターゲティング最適化での連携を開始した。AdStore Trackingは、様々なスマートフォン広告の広告効果測定・解析が行えるアドイノベーションのASPサービスで、広告効果測定ツールとして、多数のスマートフォンアプリに導入されている。一つのSDKでリスティング広告におけるコンバージョン数測定、純広告におけるCPAの算出など、さまざまな指標で総合的にプロモーションを管理・分析できるほか、出稿媒体の一元管理も可能となる。スマートフォンアプリを運営するデベロッパーは、AdStore Trackingを利用してユーザーのログイン頻度や課金状況などのデータを正確に把握し、分析データとFacebook広告のカスタムオーディエンス機能を利用して、よりターゲティング精度の高いオーディエンスを作成することで、コンバージョンへの導線の設置が容易になる。広告配信例として、「自社アプリの利用頻度が低下しているユーザーに対して、Facebook広告でアプリ内のキャンペーン告知を行い、リエンゲージメントを促す」「新規アプリのリリース時に、自社アプリの既存ユーザーなどの、すでにアプリ利用が活発な類似オーディエンスに対して、新規アプリのインストールを促すFacebook広告を配信することで、CPI(コスト・パー・インストール)を抑える」といった使い方が考えられる。3社は、今後もFacebook広告運用事業の強化を図り、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援していく。
2014年12月25日日立製作所は、11月25日に、日立グループが推進する社会イノベーション事業を支えるITを利活用した先進的なソリューションとその利活用モデルを、体験型のデモンストレーションや具体的な取り組み事例の紹介を交えたプレゼンテーションを通じて紹介するプレゼンテーション施設「イノベーションスクエア」を開設すると発表した。本施設は、日立のプラットフォーム検証施設「ハーモニアス・コンピテンス・センター」(東京都港区)内に設置。プレゼンテーションエリアおよび技術体験コーナーにおいて、社会イノベーションを支えるITを利活用したソリューションを紹介する。今後、新たに開発するソリューションを追加するなど、順次コンテンツを拡充・変更していくという。プレゼンテーションエリアでは、「ヘルスケア」、「製造」、「流通・小売」、「一般企業・オフィス」、「まち・インフラサービス」の5カテゴリーに分けて、各種ソリューションについて紹介する。専任のスタッフが体験型のデモンストレーションや具体的な事例の紹介を交えながら、プレゼンテーションを行うことにより、詳細なソリューションの活用方法や導入イメージを体験・確認することができる。所在地は、東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー13階で、開館時間は平日の10:00~17:00となっている。なお、利用には日立の営業を通じて、事前予約が必要となる。
2014年11月04日「ナイキ(NIKE)」は6月7日から22日まで、東京・渋谷表参道のバツアートギャラリー(BA-TSU ART GALLERY)に、ナイキの最新のフットボールイノベーションを体感出来る「ナイキ イノベーション ハウス(NIKE INNOVATION HOUSE)」をオープンする。入場無料。ワールドカップブラジル大会で長友佑都選手などが着用するスパイクや、世界10カ国のナショナルチームのジャージなどを展示するとともに、携帯端末なども使い、各プロダクトの機能性や特徴をインタラクティブな体験施設で紹介する。1994年にフットボールスパイクを発表して20年、フットボールイノベーションの歴史を塗り替えてきたナイキ。本イベントはその進化と革新を体感できるスペース。独自の製造技術である、ナイキ フライニット(NIKE FLYKNIT)テクノロジーを駆使した最新のスパイク「ナイキ マーキュリアル スーパーフライ」や、世界10カ国のナショナルチームジャージなど、機能性やデザインなどにフォーカスした四つのインスタレーションで構成されている。会場を入ってまず目に飛び込んでくるのは今回の見所の一つである、ナイキスポーツリサーチラボの4年に渡る研究開発と、クリスティアーノ・ロナウドのインサイトによって生まれたスパイク「ナイキ マーキュリアル スーパーフライ」の爆発的なスピードを表現したインスタレーション。会場内に用意された携帯端末を使い、長友選手の走るスピードなどを体感することも出来る。1階から2階へ続く階段に設けられているのは、イングランドのバークレイズプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、イタリアのセリエAでも使用されているボール「ナイキオーデム」の軌道を表現したインスタレーション。1998年から最新作までのマーキュリアルシリーズの歴史も紹介している。2階は、プレイスタイルの異なるアスリートに合わせ開発された「ナイキ ハイパーヴェノムファントム」「ナイキ ティエンポ レジェンド」「ナイキ マジスタ オブラ」「ナイキ マーキュリアル スーパーフライ」の4種類のスパイクをそろえたインスタレーションと、世界10カ国のナショナルチームジャージを集めたインスタレーション。ブラジル、フランス、イングランド、オランダ、ポルトガルなど各国のナショナルチームジャージは、過酷な天候条件の中でもアスリートが快適にプレイ出来る、ドライ フィット(DRI-FIT)テクノロジーを採用。また、環境への配慮からリサイクルペットボトルを素材として使用している。更に、各インスタレーションブースでは製品の機能性や、それを着用したアスリートについてのクイズが出題される。会場で貸し出される携帯端末で答えて正解し、上位に選ばれた人にはプレゼントが用意されている。【イベント情報】NIKE INNOVATION HOUSE会場:BA-TSU ART GALLERY住所:東京都渋谷区神宮前5-11-5会期: 6月7日から22日時間:12:00から20:00休業日:月・火・水曜日入場無料
2014年06月06日イトーキは東京都中央区京橋に11月26日、イトーキ東京イノベーションセンター「SYNQA(シンカ)」を開設する。同施設の名称「SYNQA」は、「イトーキとSynchronaize(同調)して進化(シンカ)していく」というコンセプトから来ている。協業パートナーと同社がWin-Winの関係を築き、新たなビジネスを生み出し進化していくことを目指しているという。同施設は従来型の製品展示型ショールームとは異なり、投資家や消費者・従業員・地域社会・取引先・同業者など、利害関係に関わらず様々な人が自由に集う。そして場を共有することで、新たなビジネスを作り出す共創型事業開発拠点と位置づけている。外部に門戸(もんど)を広く開放することで、内部交流型から“外部交流型”へと進化させていくとのこと。1階は外部交流スペースとして、サテライトオフィスカフェ、オフィスチャンネルなどを設置。2階は共創型事業スペースとして、セミナールーム、プロジェクトルームを設けている。また、イトーキのヒストリー展示スペースも設置。3階はイトーキ京橋オフィスとなっている。同施設は12月中は施設やサービスのテストランを重ね、見学を中心に一般公開をする。本格稼働は2013年1月からになるという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月26日米国の化学会社デュポンはこのほど、同社の自動車および自動車部品関連事業の統括組織である「デュポン オートモーティブセンター」を、「デュポン ジャパン イノベーションセンター」に改称し、再スタートすると発表した。デュポン オートモーティブセンターは2005年、名古屋市中心部に開設。デュポンの持つ技術力を、「ワンデュポン」のコンセプトの下、自動車産業界の顧客企業に提供。つねに技術提案、素材開発を行ってきた。開設以来、4,000社、9,400名を超える来場を記録し、新しい開発のアイデアはシステムで54件、アプリケーションでは320件以上になるという。今後はこうした実績や自動車業界の顧客との密接な関係を維持しつつ、成長分野の新たな顧客企業に向けて事業展開するため、改名の上で再スタートとなった。自動車業界以外に農業、栄養・健康食品、パッケージング、エレクトロニクス、太陽光発電、工業用バイオなどの分野に活動の場を広げていくという。デュポンは1802年創立の古い歴史を持つ企業で、テフロンなど画期的な新素材を開発してきた。その高い技術力でNASAのアポロ計画にも多大な貢献をしたことは有名。アジアは日本をはじめ韓国、台湾など5カ所に進出し、さまざまな企業の素材開発などに協力している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月08日ロールス・ロイスはこのほど、ジャパン・オープン・イノベーション(JOIN RR)プログラムのウェブサイトをオープンした。JOIN RRプログラムは1カ月前に発表されたロールス・ロイスによるオープンイノベーションの試験的取り組み。かつて高級車で知られたロールス・ロイスだが、後に自動車部門が分離され、現在のロールス・ロイス社(Rolls-Royce Group plc)は陸海空で使用されるパワーシステムを提供する企業となっている。レシプロエンジンだけでなくジェットエンジンなどの開発、製造もしており、同社の顧客は航空会社500社、ヘリコプター運用会社4,000社、160の軍隊などがあるという。同社は世界50カ国に事務所や製造拠点を持ち、4万名の社員のうち、じつに1万1,000名がエンジニアとなっている。こうした企業風土を背景にスタートしたJOIN RRプログラムは、ロールス・ロイスの事業展開に貢献する新しい技術を発掘し、購入あるいはライセンス取得することを目的としている。JOIN RRプログラムに参加したい企業や組織はウェブサイトに登録する必要がある。サイトにはさまざまな課題が掲載されており、その解決策を提案しなければならない。提案が優れていればロールス・ロイスが採用するという。ロールス・ロイス ジャパン代表取締役社長、リチャード・ソーンリー氏は、「日本には世界でも有数の革新的な中小企業があります。こうした専門性や知識に優れた資源の中から、ロールス・ロイスの事業展開に貢献する新しい技術を発掘したいと思っています」と述べている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月14日顧客サービスイノベーション太陽生命保険が、高性能のモバイル通信を使った、契約手続きや各種サービスの驚くべき充実化を計画している。同社では本年9月に、新営業職員用の携帯端末を導入する予定で、これが実現した場合、様々なイノベーションが起こされる。現在保険に加入をする場合、『どのようなプランにするか?』という相談から、引き受けの可否が決定するまで、およそ1週間~10日の時間を必要としている。しかし同社で新型携帯端末が導入され、それに合わせて社内の引受査定体制を革新することにより、所定の条件さえ満たせば、即時に契約を完了することが可能となる。※画像はイメージ健康確認もその場で専門家がまた今までは契約申込後に実施されていた健康確認についても、顧客からの申込と同時に、同社の生命保険面接士がTV電話で行うようになり、顧客が改めて時間を作る必要もなくなる。さらにペーパーレス化や業務の自動化によって、各支店・拠点で大幅な事務が削減され、業務の効率化も推進されることとなる。この他、証券発行時間も平均5.9日かかっていたのが、最短で3日となったり、コールセンターが土日も利用できるようになるという。同社は今回の発表に際し、下記のようなコメントを発表している。当社はこの業務革新計画を「EXCITE’10」と名づけ、これまでの業務改革の集大成となる、保険会社の業務を変革するプロジェクトと位置づけております。
2011年01月31日